事業内容
セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
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セグメント別売上構成
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セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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セグメント別利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
セグメント名 | セグメント別 売上高 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
セグメント別 利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
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(単一セグメント) | 3,575 | 100.0 | 193 | 100.0 | 5.4 |
事業内容
3 【事業の内容】
当社グループは、当社、子会社27社及び関連会社22社で構成され、FPSO、FSO及びTLPといった浮体式海洋石油・ガス生産設備の設計・建造・据付、販売、リース及びオペレーションを主な事業としております。主な得意先は海外各国の政府系又は民間石油開発会社であり、当社グループは浮体式海洋石油・ガス生産設備について、以下のようなトータルサービスを提供しております。
(1) 当社グループの事業分野
石油開発事業は、油田の探鉱から始まって開発・生産、精製・販売といった過程に大きく分けられます。石油開発事業は一般的に、比較的リスクが高いビジネスですが、リスクの高い分野は鉱業権・石油権益取得から試掘までの探鉱の分野であり、当社グループが関わる開発・生産の分野は、石油開発事業者において商業採算性の評価が得られた後に開始される事業であります。
オイルメジャーに代表される石油開発事業者は、かつてはこうした事業に用いる設備等を自らが建造して所有し、かつ一連のプロセスを直轄しておりましたが、近年では専業会社にアウトソーシングする流れにあります。当社グループは石油開発業界におけるこのような趨勢のもと、海外各国の政府系又は民間石油開発事業者の開発計画に応じたFPSOをはじめとする浮体式海洋石油・ガス生産設備について、以下のようなトータルサービスを提供しております。
(2) 浮体式海洋石油・ガス生産設備
海洋石油・ガス生産設備は、生産設備を搭載するプラットフォームの形態によって固定式と浮体式に大別されます。一般的に固定式は海底にプラットフォームを固定する方式で、設備本体のほかに海底パイプライン、陸上の貯蔵タンク及び港湾積出施設等、インフラの建設に多額の投資が必要になります。これに対しFPSOをはじめとする浮体式は、こうしたインフラを必要とせず出油までの工期も短期間であるため、一般的に固定式に比べて経済的であるという利点があります。また、技術的な面では、高度な係留技術を利用することによって、固定式よりも大水深の海域での石油生産に対応することができます。
各種の浮体式海洋石油・ガス生産設備のうち、当社グループはFPSO、FSO及びTLPといわれる設備に関連する分野を主としておりますが、これらの概要は以下のとおりであります。
① FPSO(Floating Production, Storage and Offloading System)
FPSOは「浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備」といわれる設備であります。石油・ガスの生産、貯蔵及び積出の機能を有し、洋上で石油・ガスを生産し、生産した石油・ガスは設備内のタンクに貯蔵して、港湾設備や陸上タンクを介さずに洋上で輸送タンカーへの積出を行います。構造的にはタンカー船体を基礎とし、原油に含まれる不純物を分離して石油・ガスを生産し、船外に排出する不純物を各国の定める環境基準に適合した状態にするためのプロセスシステム、海洋上で船体を一定位置に保持する係留システムを搭載しております。なお、船体は新規に建造する場合のほか、中古タンカーを改造して建造する場合があります。
② FSO(Floating Storage and Offloading System)
FSOは「浮体式海洋石油・ガス貯蔵積出設備」といわれる設備であります。構造的にはFPSOと同様に船体を基礎として係留システムを搭載しておりますが、石油・ガスの生産を行うプロセスシステムは有しておりません。石油・ガスの生産機能をもたない、洋上での貯蔵、積出専用の浮体式設備であります。
③ TLP(Tension Leg Platform)
FPSO及びFSOと同様に、TLPも浮体式海洋石油・ガス生産設備の一種で「緊張係留式プラットフォーム」といわれる設備であります。洋上のプラットフォームにプロセスシステムを搭載して、洋上での石油・ガス生産を行います。半潜水型の浮体から生ずる浮力を利用した係留方式によって、洋上プラットフォームの水平・垂直方向への動揺が小さな範囲にとどまるところが特徴であり、水深1,000m超の大水深海域に適しております。固定式生産設備と同様に生産専用の設備であるため、貯蔵積出機能を有するFSOとの併用や、パイプラインとつなげ石油・ガスの積出を行います。
(3) 事業の推進体制と海外関係会社の設立・運営方針等
当社は、FPSO等の浮体式海洋石油・ガス生産設備の受注から設計・建造・据付を完了しての売渡し事業をグローバルに展開、推進しております。
この事業において当社グループは、建造工事やFPSO等に搭載する設備等の製作並びに据付工事を海外造船所や専門の業者に外注し、ファブレス企業として工程・品質管理等のプロジェクトマネジメントに特化しております。
FPSO等のリース、チャーター及びオペレーションの事業は、プロジェクトごとに関係会社を設立して運営いたします。これは各プロジェクトの採算管理を明確にする目的のほか、主にこれら事業に係る長期の資金負担を軽減するために、わが国の総合商社を中心とするパートナーと合弁で事業を展開するという方針に基づくものであります。従って、リースを行う場合は、建造したFPSO等は当社グループの関係会社が引渡しを受けて保有し、オペレーションサービスの提供とこれに伴う技術者・操業要員の雇用、安全・環境保全、資機材の調達・輸送及びメンテナンス等のマネジメントも各関係会社において行っております。
当社グループは、海外各国の政府系又は民間の石油開発事業者を販売先としているほか、建造工事等における外注先や資材・機器等の仕入先の多くも海外の企業であります。このため、事業上の取引及び資金収支の大半は米ドルを主とした外貨にて行っております。
事業の系統図は、以下のとおりであります。
なお、当連結会計年度における主な建造工事、チャーター及びオペレーションプロジェクトは、以下のとおりであります。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(業績等の概要)
(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、経済社会活動の正常化が続き、インバウンド需要の戻りにも支えられて回復基調を維持しました。世界経済は、米国においては総じて堅調に推移したものの、欧州での停滞や中国の成長が 鈍化したことから全体としては減速局面となり、長期化するロシアによるウクライナ侵攻やイスラエル・ガザ 紛争といった地政学上のリスクも加わって更に不透明感が高い状態となりました。
原油価格は、サウジアラビアによる自主的な追加減産が延長されたことなどを受け、一時1バレル90米ドル超の高値をつけたものの、中国経済の減速などにより、2023年末の終値は1バレル70米ドル台となりました。 脱炭素の流れと並存しつつ、安定したエネルギー供給を維持することは依然重要な課題であり、石油会社による深海油田開発プロジェクトは継続して進められています。当社グループの主要事業である浮体式海洋石油・ガス生産設備に関する事業、特に当社グループが強みを持つ超大水深大型プロジェクトに対する需要も堅調に推移しております。
こうした状況のもと、当連結会計年度の連結業績は、中南米向け大型FPSOの建造プロジェクトを2件受注したことによって受注高は、8,740,646千米ドル(前年比497.8%増)となり、これらのプロジェクトを始めとする建造工事の進捗とグローバルに展開するオペレーションサービスの提供によって、売上収益は3,574,924千米ドル(前年比30.5%増)となりました。
利益面では、前述のFPSO建造工事の進捗及び安定したチャーター事業の収益積み上げなどにより、営業利益は192,938千米ドル(前年比156.1%増)となりました。
また、持分法適用会社向けの貸付金に対する損失評価引当金戻入益を計上したことによる金融収益の増加により、税引前利益は214,668千米ドル(前年比291.5%増)となりました。これらにより、親会社の所有者に帰属する当期利益は96,536千米ドル(前年比158.3%増)となりました。
当社グループは、浮体式石油生産設備の建造及びこれに関連する各種サービスを提供する単一の事業を展開しているため、セグメント別の業績等の記載は省略しております。
(2) 財政状態について
当連結会計年度末の資産合計は、主に現金及び現金同等物の増加により、前連結会計年度末から751,707千米ドル増加し、3,887,921千米ドルとなりました。
負債合計は、主に営業債務及びその他の債務の増加により、前連結会計年度末から557,538千米ドル増加し、2,852,630千米ドルとなりました。
資本合計は、主に当期利益及び新株の発行により、前連結会計年度末から194,169千米ドル増加し、1,035,291千米ドルとなりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動によるキャッシュ・フロー及び財務活動によるキャッシュ・フロー収入が大きく増加したことにより、前連結会計年度末から521,286千米ドル増加し、1,013,912千米ドルとなりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度に比べて694,782千米ドル増加し、485,886千米ドルの収入となりました。これは主に、FPSO等の建造工事に関わる売上債権の回収時期と買掛金の支払時期のバランスによる変動であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に持分法で会計処理されている投資の取得による支出229,821千米ドルにより、210,542千米ドルの支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に社債の発行による収入195,518千米ドル及び株式の発行による収入107,549千米ドルにより、241,146千米ドルの収入となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
当社グループは、浮体式石油生産設備の建造及びこれに関連する各種サービスを提供する単一の事業を展開しているため、セグメント別の記載は省略しており、以下の各項目は当社グループ全体の実績を記載しております。
(1) 生産実績
(注)1 上記の金額は、FPSO、FSO及びTLPの設計・建造・据付並びにその他の工事に係る完成工事高であります。
2 金額は、販売価格によっております。
(2) 受注実績
(注) 上記の他、持分法適用会社のリース及びチャーターに関する当社グループ持分相当の受注残高は、5,769,161千米ドルであります。
(3) 販売実績
主な顧客の販売実績及び総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。
(注) 該当年度において売上収益の10%未満であるため、記載を省略しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績に重要な影響を与える要因
① 関係会社への出資比率
FPSO等のリース、チャーター事業推進にあたっては多額の資金を必要とします。当社グループは、各々のプロジェクトごとに総合商社などと合弁で事業会社を設立することにより、資金負担の軽減を図っております。これらの事業会社に対する当社の出資比率は、プロジェクトの規模やリスク許容度等を総合的に勘案した上で決定しており、プロジェクトによって異なります。
連結財務諸表の作成にあたっては、議決権などから支配権を有していると判断される関係会社を連結子会社とし、支配権を有しないと判断される関係会社を持分法適用会社としております。
連結子会社を事業会社としたプロジェクトでは、FPSO等の建造工事をグループ内取引と認識するため、建造工事が完工し、リース及びチャーターサービスの提供が開始されてから連結損益計算書において損益を認識します。また、連結財政状態計算書にはFPSO等の有形固定資産を計上します。
一方、持分法適用会社を事業会社としたプロジェクトでは、建造工事期間における損益を収益認識基準に基づくインプット法(発生した原価の見積総原価に占める割合で収益認識)によって連結損益計算書に反映させます。ただし、期間損益のうち、当社グループの出資比率に相当する金額はグループ内取引と判断されるため、連結調整によって未実現利益として消去します。建造工事が完工し、リース及びチャーターサービスの提供を開始すると、当該関連会社の損益のうち当社グループの出資比率に相当する金額を、連結損益計算書において持分法による投資損益として計上します。
以上のとおり、事業会社に対する当社グループの出資比率等により、連結財務諸表への影響は大きく異なっております。
② 未実現損益の消去
プロジェクトの規模が大型化するに従い、リース及びチャータープロジェクトのために設立する事業会社に対する当社グループの出資比率は概ね50%以下に止まるケースが多く、事業会社は持分法適用会社となっております。前述のとおり、こうしたプロジェクトの建造工事期間中は収益認識基準に基づくインプット法によって連結損益計算書に売上収益を計上する一方、期間損益のうち当社グループの出資比率に相当する金額を未実現損益として消去しております。
消去した未実現損益は、FPSO等を所有する持分法適用会社において、リース及びチャーター事業の会計処理にファイナンス・リースを適用する場合は、リース及びチャーターの開始時期に一括して実現させております。一方、オペレーティング・リースを適用する場合は、減価償却期間に応じ未実現利益を実現させております。
なお、連結損益計算書における営業損益に影響を与える未実現損益の消去額及び未実現損益の実現額、並びに未実現損益残高の推移は、以下のとおりであります。
(単位:千米ドル)
(2) 経営成績に関する分析
① 受注の状況
当連結会計年度は、中南米向け大型FPSOの建造プロジェクトを2件受注したことにより8,740,646千米ドルの受注高となりました。受注残高は、前連結会計年度末から6,026,971千米ドル増加し、16,817,938千米ドルとなりました。また、持分法適用会社のリース及びチャーターに関する当社グループ持分相当の受注残高は、5,769,161千米ドルとなりました。
② 売上収益の状況
売上収益は、主にFPSO等の建造工事の進捗とチャーター及びオペレーションサービスの提供により3,574,924千米ドルとなりました。
③ 営業損益の状況
営業損益は、FPSO建造工事の進捗及び安定したチャーター事業の収益積み上げなどにより、192,938千米ドルの営業利益となりました。
④ 当期損益の状況
当期損益は、金融収益の増加により214,668千米ドルの税引前利益となりました。
⑤ 親会社の所有者に帰属する当期損益の状況
以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期損益は、96,536千米ドルの利益となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (業績等の概要)(3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資本の財源
当社グループの資金の源泉は、主に営業活動からのキャッシュ・フローと外部からの借入となりますが、FPSO等の建造工事においては、工事代金の回収時期と工事費用の支払時期のずれにより当該建造工事に関わる債権債務が一時的に大きく変動し、営業キャッシュ・フローに大きな影響を与えます。当社グループではこれらの建造工事に関わる債権と債務のバランスを案件毎に管理することで資金効率の向上に努めております。また、当社グループは、「CMS預貸制度(キャッシュ・マネジメント・システム)」によりグループ内で資金融通を行うことで資金効率を高めております。
② 建造工事期間における資金負担
FPSO等を客先に売り渡すプロジェクトの場合、建造工事に要する費用は工事の進行度合いに応じて前受金にて回収しているため、当社グループでは運転資金の調達を必要としません。一方、リース及びチャータープロジェクトの場合、当社グループと総合商社等が合弁で設立する事業会社が建造工事の発注者となるため、当社グループには事業会社に対する出資比率に相当する建造工事費用の負担が生じます。
当社グループは、建造工事期間における必要資金を、主に当社の債務保証によって関係会社が借り入れる方法によって調達しております。
③ 総リスク額の管理
当社グループでは、建造工事費用にかかる関係会社での借入金を、チャーター開始後に、プロジェクトファイナンスによる調達へ切り替えております。それによって当社における大型プロジェクトのための長期且つ多額の資金負担と債務保証が不要となり、プロジェクト個々のリスクを軽減する効果をもたらします。
当社グループでは、プロジェクトファイナンスを活用すると共に、総合商社などの事業パートナーをプロジェクトに招聘する等の方策により、総リスク額をコントロールして事業を展開する方針であります。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項については、それぞれ合理的な方法により、会計上の見積りを行なっており、詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」の「連結財務諸表注記」、「2. 作成の基礎 (4)判断及び見積りの使用」及び「3. 重要性がある会計方針」に記載しております。
セグメント情報
4.セグメント情報
(1) 報告セグメントの概要
事業セグメントは、グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、経営者が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。当社グループは、浮体式石油生産設備の建造及びこれに関連する各種サービスを提供する単一の事業を展開しております。従って報告セグメントの記載を省略しております。
(2) 製品及びサービスに関する情報
製品及びサービスごとの外部顧客への売上収益は、「23.売上収益」に記載しております。
(3) 地域別に関する情報
地域別の外部顧客への売上収益は、以下のとおりであります。
(注)1 売上収益は製品及びサービスの最終提供地を基礎として分類しております。
2 該当年度においては記載対象ではないため、記載を省略しております。
地域別の非流動資産の帳簿価額は、以下のとおりであります。
(注) 金融資産(持分法適用会社に対する投資を除く)、繰延税金資産及び保険契約から生じる権利を除いた非流動資産の帳簿価額であります。
(4) 主要な顧客に関する情報
売上収益の10%以上を占める顧客は、以下のとおりであります。
(注) 該当年度においては記載対象ではないため、記載を省略しております。