2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 792,108 100.0 190,244 100.0 24.0

事業内容

 

3 【事業の内容】

当連結会計年度において、SMC Automation (Guangzhou) Ltd.(略称:SMC広州)は、SMC Automation China Co., Ltd.(略称:SMC中国)との合併により消滅したため、連結の範囲から除外しています。

当社及び子会社72社(連結子会社43社、非連結子会社29社)(2025年3月31日現在)から成る企業集団は、ファクトリー・オートメーション(FA)に欠かせない要素機器である自動制御機器(方向制御機器、駆動機器、空気圧補助機器などの空気圧機器のほか温調機器、センサー等)を製造・販売する「自動制御機器事業」を営んでいます。

2025年3月31日現在の事業における主要な会社の名称及び取引関係の概要は、次の「事業系統図」及び「第1 企業の概況 4 関係会社の状況」に記載のとおりです。なお、子会社の名称は、一部略称を用いて表記しています。

 


業績

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績

当期(2024年4月1日から2025年3月31日まで)の世界経済は、主要国でのインフレ圧力は緩和しましたが、ウクライナや中東での紛争の長期化、米国での政権交代に伴う急激な政策転換、中国経済の減速懸念などから先行き不透明感が強まり、幅広い業種において設備投資を手控える動きが続きました。

自動制御機器の需要は、半導体・電機関連は、中華圏(中国・香港・台湾)では年度後半に電機関連で需要回復の動きがみられましたが、日本・北米・韓国の半導体関連需要は本格的な回復には至りませんでした。自動車関連は、米国大統領選等の影響もあり、北米・日本・欧州で設備投資先送りの動きが継続しました。工作機械関連は、中華圏では堅調でしたが、その他の地域では調整局面が続きました。医療機器関連、食品機械関連及びその他の業種向けは、コロナ後の新たな省人化・自動化需要はあるものの、伸び悩みました。

 

 

 (地域別の販売の状況)

   [日本]

 半導体関連では、米中対立の激化を背景として特に中国向けの輸出需要が大きく縮小したほか、日本国内の投資案件も延期されるケースが多くみられました。自動車関連では、完成車メーカーから部品メーカーまで全般的に設備投資の抑制・先送りの傾向が続き、工作機械関連でも需要は低調に推移しました。

  [北米]

 米国では、大統領選挙を控えた様子見から、政権交代後の急激な政策変更に伴う景気の先行き不安へと、設備投資意欲の減退傾向が続きました。自動車関連、特にEV関連の投資案件が大幅に減少しました。メキシコでも、米国の政策変更への懸念から、設備投資の抑制・先送りの動きが広がりました。

   [欧州]

 中国経済とドイツ経済の減速が欧州全域に波及し、景況は総じて低調に推移しました。半導体関連ではユーザー在庫の消化に時間がかかっており、自動車関連では中国メーカーとの競合や各国政府の補助金打ち切りなどにより、EVの車体及び電池の生産に急ブレーキがかかるなど、厳しい需要環境が続きました。

   [中華圏]

 中国では、東南アジア向け輸出の伸びに加えて、年度末にかけて米国の関税措置発動をにらんだ米国向け輸出の増加もみられました。政府の景気刺激策を背景に内需も堅調でしたが、中国国内の競合メーカーも含めた競争の激化により、販売価格の下落が続いています。台湾では、半導体関連の設備投資が大きく回復したほか、工作機械の輸出も増加しており、前期の反動もあって、好調に転じました。

  [その他アジア]

 韓国では、半導体、二次電池、自動車など主力産業での需要が低迷しました。半導体関連向けの比率が高いシンガポール、マレーシアでは、需要は堅調に推移しましたが、その持続性については注意が必要です。インドでは、自動車及び半導体関連の設備投資案件があり、堅調な状況が続きました。

   [その他]

 南米やオセアニアなどその他の地域では、自動車関連や資源採掘関連の設備投資が堅調で、前期比で増収となりました。

 

このような環境において当社グループは、製品供給体制の強化のための設備投資を積極的に推進するとともに、お客様のCO2排出量削減に貢献できる省エネ性能の高い新製品開発、お客様が工場で使用される空気圧の低圧化等のソリューション提案、BCPの体制整備、グローバル人材の活用などの課題に引き続き取り組みました。

これらの結果、当期の売上高は、792,108百万円(前期比2.0%増)となりました。当社グループ会社の所在地別では、中華圏が前期比で10.7%増加したものの、日本は1.1%減少、北米は6.9%減少となりました。

営業利益は、190,244百万円(同3.0%減)となりました。原価率の上昇、人件費の増加、修繕費などの販売費及び一般管理費の増加が、主な減益要因です。

経常利益は、為替差損の増加などにより、209,921百万円(同16.4%減)となりました。

税金等調整前当期純利益は、211,068百万円(同16.5%減)となりました。上述の影響に加え、固定資産売却益の減少及び固定資産除却損の増加が、主な減益要因です。親会社株主に帰属する当期純利益は、156,344百万円(同12.3%減)となりました。

自己資本当期純利益率(ROE)は、前期比1.8ポイント低下して8.2%となりました。

 

② 財政状態

 (a) 資産の状況

当期末における資産は、前期末比6,208百万円増加2,100,767百万円(前期末比0.3%増)となりました。営業債権は9,701百万円の減少、棚卸資産は29,896百万円の減少、有形固定資産は当社新本社竣工や当社グループ製造拠点における設備投資などにより65,158百万円の増加となりました。

 (b) 負債の状況

負債は、前期末比36,227百万円減少172,461百万円(同17.4%減)となりました。営業債務は11,919百万円の減少、未払法人税等11,092百万円の減少となりました。

 (c) 純資産の状況

純資産は、前期末比42,435百万円増加1,928,306百万円(同2.3%増)となりました。自己株式25,018百万円の増加、為替換算調整勘定24,808百万円の減少及び親会社株主に帰属する当期純利益計上を主因とする利益剰余金の92,278百万円の増加が、主な要因です。

自己資本比率は、前期末の89.8%から当期末は91.8%となり、1株当たり純資産額は、前期末の29,338円63銭から当期末は30,255円22銭となりました。

 

 

③ キャッシュ・フロー

当期末における現金及び現金同等物の残高は、前期末比126,062百万円増加531,649百万円となりました。

 (a) 営業活動によるキャッシュ・フロー

196,656百万円の収入(前期比98,449百万円の収入増)となりました。

正味の営業活動により得られた収入242,218百万円(同73,078百万円の収入増)、利息及び配当金の収入21,239百万円(同2,418百万円の収入増)、及び法人税等の支払66,725百万円(同22,945百万円の支出減)が主要因です。

 (b) 投資活動によるキャッシュ・フロー

35,234百万円の収入(前期比167,135百万円の収入増)となりました。

定期預金にかかる純支出額20,144百万円(同35,204百万円の支出増)、固定資産にかかる支出額107,803百万円(同3,494百万円の支出増)、有価証券等にかかる純収入額10,782百万円(同53,920百万円の収入増)、保険積立金にかかる純収入額147,813百万円(同150,061百万円の収入増)が主要因です。

以上により当期間のフリーキャッシュフローは、231,891百万円のプラス(同265,584百万円の収入増)となりました。

 (c) 財務活動によるキャッシュ・フロー

100,202百万円の支出(前期比12,274百万円の支出増)となりました。

配当金の支払64,048百万円(同5,985百万円の支出増)、長期借入金の返済による支出7,884百万円(同5,833百万円の支出増)が主要因です。

 

④ 生産、受注及び販売の状況

(a) 生産実績

当社グループは自動制御機器事業の単一セグメントであり、当連結会計年度における生産実績は次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

自動制御機器事業

747,901

△6.9

 

(注)  金額は、販売価格によっています。

 

(b) 受注実績

当社グループは自動制御機器事業の単一セグメントであり、当連結会計年度における受注実績は次のとおりです。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

自動制御機器事業

770,418

+8.8

88,436

△19.7

 

 

(c) 販売実績

当社グループは自動制御機器事業の単一セグメントであり、当連結会計年度における販売実績は次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

自動制御機器事業

792,108

+2.0

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 経営成績の分析

当期の売上高は、792,108百万円(前期比2.0%増)となりました。需要動向及び販売の状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績」に記載のとおりです。

売上総利益は、363,038百万円(同0.0%減)となりました。生産物量の減少に伴う操業度の低下による原価率の上昇、人件費の増加、及び減価償却費の増加を主因とする製造原価や費用の増加などの影響により売上総利益率は前期比0.9ポイント低下して45.8%となりました。

販売費及び一般管理費は、人件費、修繕費の増加を主因に172,793百万円(同3.6%増)となり、販管費負担率は前期比0.3ポイント上昇して21.8%となりました。営業利益は190,244百万円(同3.0%減)となり、営業利益率は前期比1.2ポイント低下して24.0%となりました。

営業外損益では、市場金利上昇によ受取利息は20,237百万円(同9.6%増)となりましたが、為替差損が4,468百万円(前期は24,486百万円の為替差益)となり、経常利益は209,921百万円(同16.4%減)となり、経常利益率は

前期比5.8ポイント低下して26.5%となりました。

特別損益では、固定資産売却益の減少及び固定資産除却損の増加一方、法人税等が減少し、親会社株主に帰属する当期純利益は156,344百万円(同12.3%減)となりました。

なお当期の期中平均為替レートは、1米ドル=152円59銭、1ユーロ=163円86銭、1人民元=21円10銭、期末為替レートは、1米ドル=149円53銭、1ユーロ=162円03銭、1人民元=20円59銭でした。

(b) 財政状態の分析

「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態」に記載のとおりです。

 

② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。作成に当たっては、経営者による会計方針の選択と適用並びに資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等に基づき合理的に判断していますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる可能性があります。

当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しています。

 

(棚卸資産の評価に関する事項)
  (ⅰ) 当社グループの製品の特性(需要及び材質)

当社グループの主要製品である空気圧機器をはじめとする自動制御機器は、お客様の工場の生産・搬送ライン、半導体製造装置、工作機械、産業用ロボットなどに組み込まれる要素部品です。自動制御機器製品の単価は比較的低廉ですが、その不具合や欠品によってラインの停止や稼働遅れが生じた場合、お客様は多大な損失を被ります。そのため、お客様のニーズに合致した製品を短納期で即納することができるかどうかが、競争上、極めて重要な要件となります。

当社グループの製品を採用してくださったお客様は、次にラインや装置の図面を更新するまで長期間にわたり継続して同一の製品を購入される傾向があります。

また、当社グループの製品の主要な材質は、アルミニウムや樹脂など腐食に強い素材であり、製品は経年劣化しにくい特性を持っています。

さらに、在庫の陳腐化リスクを低減するため、最終製品に組み上げる前の段階で在庫として保持する等の対応も行っています。

 (ⅱ) 当社グループの在庫保有方針

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営環境 ② 当社グループの競争優位性」に記載のとおり、豊富な品揃えと潤沢な在庫は当社グループの競争優位性の重要な要素であり、戦略的に厚めの在庫を保持するという方針を変更する予定はありません。

 (ⅲ) 棚卸資産の評価減金額の算定方法

当社は、上記の製品の特性及び在庫保有方針を踏まえつつ、時間の経過に応じた販売実績の減少に伴う収益性の低下を棚卸資産の評価に適切に反映するため、当社及び各連結子会社が保有する在庫の品番別の残高、過去の一定期間(概ね10年)の販売・使用の実績データ等を分析し、滞留状況に応じた評価減率を設定して、棚卸資産の評価減金額を算定しています。

 

 (ⅳ) 重要な会計上の見積りに関する注記との関係

「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」及び「2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性
① キャッシュ・フローの状況の分析

「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フロー」に記載のとおりです。

 
② 資金需要

当社グループの運転資金需要の主なものは、原材料・部品等の購入費用、製造経費、販売費及び一般管理費、研究開発費です。投資を目的とする資金需要の主なものは、土地、建物、機械設備等の購入など設備投資です。

 

③ 財務政策

当社グループは、通常の事業活動に必要な流動性を確保しつつ、機動的な設備投資を実施するための資金需要にも対応できる資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。

長期運転資金及び設備投資資金については自己資金により賄い、短期運転資金については自己資金のほか必要に応じて金融機関からの借入により調達することを基本としています。

 当期末における借入金の残高は5,041百万円、現金及び現金同等物の残高は531,649百万円です。

なお当社は、2024年8月9日開催の取締役会の決議に基づき、当期中に399,200株、24,993百万円の自己株式の取得を実施しました。

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について

  「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

(5) 経営戦略の現状及び見通し

  「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

 

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

当社グループは「自動制御機器事業」の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しています。

 

【関連情報】

前連結会計年度(自 2023年4月1日  至 2024年3月31日)

1  製品及びサービスごとの情報

報告セグメントと同一区分のため、記載を省略しています。

 

2  地域ごとの情報

(1) 売上高

(単位:百万円)

日本

米国

中国

アジア
(中国を除く)

欧州

その他

合計

159,172

93,200

195,218

136,726

149,487

43,068

776,873

 

(注)  売上高は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しています。

 

(2) 有形固定資産

(単位:百万円)

日本

中国

アジア
(中国を除く)

その他

合計

204,153

57,801

67,775

83,828

413,558

 

 

3  主要な顧客ごとの情報

外部顧客への売上高のうち、連結売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しています。

 

当連結会計年度(自 2024年4月1日  至 2025年3月31日)

1  製品及びサービスごとの情報

報告セグメントと同一区分のため、記載を省略しています。

 

2  地域ごとの情報

(1) 売上高

(単位:百万円)

日本

米国

中国

アジア
(中国を除く)

欧州

その他

合計

158,116

88,937

208,690

151,612

144,414

40,336

792,108

 

(注)  売上高は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しています。

 

(2) 有形固定資産

(単位:百万円)

日本

中国

アジア
(中国を除く)

その他

合計

241,720

60,278

94,752

81,965

478,717

 

 

3  主要な顧客ごとの情報

外部顧客への売上高のうち、連結売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しています。

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

 当社グループは「自動制御機器事業」の単一セグメントであるため、記載を省略しています。

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

 当社グループは「自動制御機器事業」の単一セグメントであるため、記載を省略しています。

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

 当社グループは「自動制御機器事業」の単一セグメントであるため、記載を省略しています。