2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    6,286名(単体) 23,127名(連結)
  • 平均年齢
    41.3歳(単体)
  • 平均勤続年数
    19.9年(単体)
  • 平均年収
    8,463,582円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

自動制御機器事業

23,127

[5,371]

 

(注)1  従業員数は就業人員数(当社及び連結子会社(以下、「当社グループ」という。)からグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時従業員数は[  ]内に年間平均雇用人員を外数で記載しています。

2 当社グループは自動制御機器事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。

 

(2) 提出会社の状況

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

6,286

[3,079]

41.3

19.9

8,463,582

 

(注)1  従業員数は就業人員数(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時従業員数は[  ]内に年間平均雇用人員を外数で記載しています。

2  平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。

3  当社は自動制御機器事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。

 

(3) 労働組合の状況

当社には労働組合は組織されていませんが、一部の在外連結子会社には労働組合が組織されています。

なお、労使関係について特記すべき事項はありません。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

区分

名称

管理職に占める

女性労働者

の割合(%)

(注)1

男性労働者の

育児休業

取得率(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)
(注)1

全労働者

正規雇用
労働者

パート・
有期労働者

提出会社

SMC株式会社

1.8

43.1

50.8

62.9

87.6

連結子会社

日本機材株式会社

10.1

11.1

42.3

57.2

89.5

制御機材株式会社

8.7

81.6

82.3

77.9

 

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。

3 当社の賃金制度は、同一労働同一賃金の原則に則っており、性別による格差はありません。

  男女の賃金の差異が生じている主な要因は、以下の2点であると分析しています。

  ①近年、女性従業員の採用数を増やしていることもあり、女性の平均勤続年数が男性に比して短いこと

  ②管理職に占める女性従業員の割合が低いこと

  これらの事象に対する対応策については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 考え方及び体制

[マテリアリティ]

当社グループは、事業活動を通じた社会課題の解決に取り組んでいます。

お客様や株主・投資家の皆様との対話を起点に、取締役会で議論を重ね、リスク及び収益機会の両面から、当社グループが持続的に成長する上での重要課題(マテリアリティ)を以下のとおり特定しました。

 (a) 人権の尊重・ダイバーシティの推進・職場の安全安心確保

・当社グループはもとよりサプライチェーンにおいても、人権侵害のない環境づくりに取り組みます。

・ダイバーシティに取り組み、国籍・性別・年齢等に関わらず、多様な人材が活躍できる企業を目指します。

・従業員が安全・安心に働ける職場環境の維持に努めます。

 (b) 気候変動・環境課題への対応

・製造時及び使用時のCO2排出量を削減した環境配慮型製品(エコプロダクツ)の開発・供給を推進します。

・工場におけるCO2排出量削減、廃棄物の削減など(エコファクトリー)に取り組み、そのノウハウをお客様への提案にも活かします。

 (c) グローバルな製品の安定供給

・事業活動全般にわたるBCP(事業継続計画)を推進し、いかなる時にも製品供給を持続できる体制を構築します。

 (d) 人材の育成・自動制御技術の普及

・グローバルな人事評価制度・表彰制度・教育研修制度を整備し、人材の育成と活用に努めます。

・奨学金や各種セミナーの開催等を通じて、自動制御技術の普及に努めるとともに、次世代を担う人材の育成に貢献します。

 

 

[ガバナンス]

取締役会の諮問機関として「サステナビリティ委員会」を設置し、サステナビリティ課題に関する取組の進捗状況等の監督機能を強化しています。サステナビリティ委員会は、独立社外取締役が全体の過半数となるよう構成すること、委員長は独立社外取締役である委員の互選により選定することを、内規により定めています。

執行側の組織としては、同委員会を補佐する管掌取締役を置き、サステナビリティに関する取組を統括する「SDGs事務局」及びグループ内外への情報発信を担当する「コーポレートコミュニケーション室」が、事務局機能を担っています。また、各事業部門の責任者が管下組織における取組を統括管理し、サステナビリティ委員会及び取締役会への報告を行う体制としています。

環境関連のデータ収集並びに再生可能エネルギーの利用促進など気候変動対策としての具体的施策の企画立案・実施を担当する部署として、「エコファクトリー推進室」を設置しています。

 

 

取締役会

 

 

 

サステナビリティ委員会

 

 

 

 

 

事務局

(管掌取締役)

SDGs事務局

 

コーポレート
コミュニケーション室

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

製造本部

 

生産技術本部

 

技術本部

 

営業本部

 

管理本部

 

 

 

 

エコファクトリー推進室

 

 

 

[リスク管理]

サステナビリティ委員会は、各事業部門及び事務局から報告を受けたサステナビリティに関するリスクについて、分析、評価、対応策の妥当性を検証し、必要に応じて取締役会に報告することとしています。

気候変動に関しては、エコファクトリー推進室が中心となり、SDGs事務局及び各事業部門と連携して、リスク・機会を幅広く抽出し、重要なリスク・機会の特定・評価を行い、それぞれのリスク・機会に対して対応策を検討しています。その結果は、サステナビリティ委員会及び取締役会に定期的に報告しています。

 

(2) 気候変動に関する取組

[戦略]

当社グループは、2022年6月に賛同表明したTCFDの考え方に基づき、IEAやIPCCなどの報告書やパリ協定をはじめとする国際動向を踏まえ、低炭素社会へ移行する1.5℃シナリオと、温暖化が進行する4℃シナリオを選択し、シナリオ分析を実施しました。

シナリオ分析の結果は、当社グループの方針決定に反映しています。

また、1.5℃シナリオ及び4℃シナリオの双方において、それぞれのリスク・機会に関する財務影響度及び対応策の観点から、当社グループの事業戦略はレジリエンスを有していると考えています。

今後も定期的にシナリオ分析を行い、リスク・機会を見直すとともに、対応策の着実な実行及び進捗状況のモニタリングを実施します。

 

 

<シナリオの概要>

 

概  要

参照した主な参考文献

1.5℃
シナリオ

2050年に温室効果ガス(GHG)排出量をネットゼロとするため、炭素税や排出量取引、リサイクル規制や地球温暖化防止規制など、脱炭素に向けた政策が強化される。

それに伴い、GHG排出量削減要請の高まり、低炭素技術の進展や低炭素製品の需要拡大が見込まれる。

なお、気温上昇が抑えられることから、物理的な影響は比較的大きくないことが想定される。

・IEA WEO NZEシナリオ、SDSシナリオ

・IPCC RCP1.9

・JEITA 「注目分野に関する動向調査」

・世界経済フォーラム

「Winning in Green Markets: Scaling Products for a Net Zero World」

4℃
シナリオ

化石燃料への依存により経済が発展する中で、気候変動政策は十分に講じられず、脱炭素に関する技術はあまり進展しない。

一方で、気温上昇に伴い、洪水などの気象災害が激甚化し、物理的な被害の拡大が予想される。そのため、BCP対応や、熱中症・感染症等に備えるための工場設備の省人化・自動化の推進が想定される。

・IEA WEO STEPSシナリオ

・IPCC RCP8.5

・WRI Aqueduct Floods

・WRI Aqueduct Water Risk Atlas

・国土交通省 ハザードマップ

 

 

<定義>

時間軸

定  義

 

財務影響度

定  義

短期

0~3年

 

10億円未満

中期

4~10年

 

10~500億円未満

長期

11~30年

 

500億円以上

 

 

<1.5℃シナリオ>

分類

気候変動

ドライバー

想定

リスク

/機会

事業への影響

顕在

時期

2030年度

財務影響度

対応策

政策・

法規制

炭素税・排出量取引制度の導入

炭素排出の負担が発生する

リスク

サプライヤーの炭素排出負担転嫁による調達費用の増加

中~

長期

・小型・軽量製品の開発(材料使用量削減)

・切粉・端材のリサイクル

・グローバル調達の最適化

リスク

Scope1・2に炭素排出負担が生じることによる製造・営業費用の増加

中~

長期

・太陽光発電の導入

・再生可能エネルギー由来電力の主力電源化

・HFCを温暖化係数の低い洗浄液へ切替

・高効率設備の導入と設備更新

・省エネ生産工法の研究と量産導入

・温調機器に温暖化係数の低い冷媒を採用

機会

Scope1・2削減に伴う炭素排出負担減少による製造・営業費用の減少

中~

長期

市場

顧客の低炭素意識の高まり

顧客から低炭素エネルギーの利用が要請される

リスク

Scope1・2削減施策の実行に伴う製造・営業費用の増加

中~

長期

顧客からカーボンフットプリント(CFP)等の詳しい情報開示を要請される

機会

CFP表示が義務付けられ、CFPの小さい製品が選定されることによる、当社製品の売上高の増加

中~

長期

・代表機種製造時のCO2排出量算定

・製品アセスメントの実施

・軽量・小型設計で製造時のCO2排出量削減

・工場電力を再エネ電力へ切替

・製造時CO2排出量算定対象製品の拡大

・省エネ・省エア・長寿命製品の開発拡大

低炭素製品を志向する顧客が増加する

機会

見える化に伴うセンサー類の需要増加による売上高の増加

中~

長期

・省エネ製品の開発

・生産/販売体制の強化

・製品バリエーションの充実

・無線化技術の拡充

 

 

分類

気候変動

ドライバー

想定

リスク

/機会

事業への影響

顕在

時期

2030年度

財務影響度

対応策

市場

 

顧客の低炭素意識の高まり

低炭素製品を志向する顧客が増加する

機会

小型・軽量な空気圧機器の需要増加による売上高の増加

中~

長期

・製品バリエーションの充実

・小型・軽量製品の拡充

・生産/販売体制の強化

・省エネ・省エア製品の新規技術開発

・使用済み製品のリサイクルチェーン構築

動力が

電化に

移行する

機会

空気圧アクチュエータの市場の成長が鈍化する中での一定の売上高の増加

中~

長期

・省エネ・省エア製品の開発

・最適製品を選定できるプログラムの提供

・省エネ・省エア製品の市場普及活動

・省エネシステムの技術サポート

・カスタム製品の対応強化

リスク

空気圧アクチュエータ市場の成長率鈍化による売上高の逸失

中~

長期

機会

電動アクチュエータの市場が拡大することによる売上高の増加

中~

長期

・電動アクチュエータのバリエーションの充実

・省エネ製品の開発

・生産/販売体制の強化

・修理・リサイクル体制の構築

素材の価格上昇

低炭素社会移行に伴いアルミニウムの価格が上昇する

リスク

主要な原材料であるアルミニウムの価格上昇による調達費用の増加

中~

長期

・小型・軽量製品の開発によるアルミ使用量の削減

・樹脂材料への材質転化

・リサイクルチェーンの構築

・グローバル調達の最適化

低炭素社会移行に伴い銅合金・鋼材の価格が上昇する

リスク

主要な原材料である銅合金・鋼材の価格上昇による調達費用の増加

中~

長期

・小型・軽量製品の開発による銅合金・鋼材使用量の削減

・樹脂材料への材質転化

・リサイクルチェーンの構築

・グローバル調達の最適化

再生樹脂

・ゴム

材料価格が上昇する

リスク

主要な原材料である樹脂・ゴム材料の価格上昇による調達費用の増加

中~

長期

・小型製品の開発による材料使用量の削減

・ランナーレス金型構造の研究

・リサイクル原料の活用検討

・グローバル調達の最適化

市場

小売電力価格の上昇

電力会社が脱炭素エネルギーに基づく発電に移行することにより、小売電力価格が上昇する

リスク

サプライヤーの電気代価格転嫁による調達費用の増加

中~

長期

・連結Scope3排出量の算定

・省エネ生産工法の研究(プレス化、樹脂化など)

・省エネ生産工法の設計採用

・最適なグローバル生産拠点の検討

リスク

自社の電気代上昇による製造費用の増加

中~

長期

・太陽光発電の導入

・省エネ設備の導入

・高効率生産設備への更新

機会

省エネ・省エア製品の需要増による売上高の増加

中~

長期

・省エネ・省エア製品の開発

・最適製品を選定できるプログラムの開発と提供

・省エネ・省エア製品のバリエーション拡充と拡販

・省エネ・省エア製品の生産/販売体制強化

・省エネシステムの技術サポート

 

 

分類

気候変動

ドライバー

想定

リスク

/機会

事業への影響

顕在

時期

2030年度

財務影響度

対応策

市場

小売電力価格の下落

再生可能エネルギーが汎用化して小売電力価格が下落する

機会

自社の電気代下落による製造費用の減少

中~

長期

・再生可能エネルギー由来電力の主力電源化

・燃焼・空調設備の電化

機会

電気をエネルギー源とする製品の売上高の増加

中~

長期

・LCA関連団体(LCA日本フォーラム)への参加

・生産/販売体制の強化

・製品シリーズとバリエーションの拡充

・カスタム製品の対応強化

 

 

<4℃シナリオ>

分類

気候変動

ドライバー

想定

リスク

/機会

事業への影響

顕在

時期

2030年度

財務影響度

対応策

物理

(急性)

気象災害(洪水・大雨・台風等)の激甚化

気象災害に被災する

リスク

サプライヤーの気象災害被災に伴う納入遅延による損失

短~

長期

・複数購買の推進

・定期的な在庫保有日数の確認

・定期的な洪水・高潮リスクの把握

・新規サプライヤー選定時の洪水リスクの把握

リスク

自社の気象災害被災による棚卸資産・固定資産の災害損失

短~

長期

・生産/物流拠点の分散化

・事前の対策及び被災時のBCPの策定

・BCP対応予算の拡充

・損害保険契約

・在庫保管場所の見直し

・生産拠点の新設・移転時の気象災害リスクの評価

・洪水の影響を受けやすい拠点における洪水発生時の備えの検討

リスク

自社の気象災害被災に伴う操業停止による損失

短~

長期

物理

(慢性)

降雨パターンの変化

降雨の季節的な変動により、水不足が生じる

リスク

渇水による水不足に伴う操業停止による損失

短~

長期

・生産/物流拠点の分散化

・事前の対策及び被災時のBCPの策定

・BCP対応予算の拡充

・特に水不足のリスクが高い拠点における対策の実施や水不足発生時の備えの検討

・水使用量の削減

・水の再利用・循環の検討

 

 

[指標及び目標]

当社グループは、気候関連リスク及び機会を測定・管理するための指標として、国際的な基準である「GHGプロトコル」に基づくScope1、Scope2及びScope3(*1)のCO2排出量について、グループ全体(*2)を網羅するデータの収集及び推計を行っています。なお、これらデータの正確性及び信頼性については、LRQAリミテッドによる第三者検証を受けています。

将来の売上・生産規模の拡大も想定した上で、具体的な施策を積み上げて、GHG排出の絶対量を削減する中・長期目標(*3)を策定し、削減施策に取り組んでいます。なお、2030年度までのGHG排出量削減の中期目標については、SBTi(*4)による認証を取得しています。

*1 Scope1: 自社の燃料消費によるCO2排出量

   Scope2: 他社から供給されたエネルギーの消費によるCO2排出量

   Scope3: 原材料の購入、製品の配送、お客様が当社製品を使用した際のエネルギー消費など、事業活動に

       関わる間接排出

*2 連結外部売上高の95%以上を構成する販売拠点、生産拠点、主要物流拠点34社

*3 2021年度を基準年として、SBTi(*4)による1.5℃シナリオの要求を満たす削減目標

*4 SBTi(Science Based Target Initiative)は、企業が2050年までの実質的なGHG排出量ゼロ(ネットゼロ)達成

   に向けた目標を設定するための科学的な基準やガイダンスを提供する国際機関

 

 



 


<温室効果ガス(GHG)排出量>

(単位:t-CO2)

 

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

Scope1

50,907

52,930

60,240

60,634

50,507

Scope2 (マーケット基準)

110,199

116,516

137,918

119,139

86,041

Scope1,2 合計

161,106

169,446

198,158

179,773

136,548

Scope3

 

 

14,057,549

14,261,704

(注)

Scope1,2,3 合計

 

 

14,255,707

14,441,477

(注)

 

    (注) 2024年3月期のScope3排出量は、現在集計中です。

 

(3) 人的資本に関する取組

[戦略]

当社グループは、ビジネスのグローバル化、顧客ニーズの多様化、少子高齢化・労働力人口の減少に伴い深刻化する人材不足といったビジネス環境の変化に対応するとともに、イノベーションの創出や生産性の向上など、ビジネスに新たな価値をもたらす効果が期待できるダイバーシティを推進し、人的資本の最大限の活用に取り組みます。

 

① グローバル人事方針

当社グループの従業員約23,000名のうち75%が、海外のグループ会社に在籍しています。

当社グループがさらなる成長を遂げ、次のステージに進むためには、ダイバーシティの取組を推進し、グループが一体となって事業活動に取り組む体制を構築する必要があると考えています。具体的には、グループ間での連携・協働の深化、グループの優秀な人材が能力を発揮できる仕組みと環境の整備、人材育成の仕組みの整備に取り組みます。

当社グループは、こうした認識のもと、以下の人事方針を掲げています。

・従業員が会社に愛着と誇りを持ち、働きがいを感じることで、持てる力を存分に発揮できる環境を整備する。

・持続可能性と多様性を基軸とした人事施策を推進し、多様な個性を持った従業員を繋ぎ、グループとしての一体感を醸成する。

 

 

② 人材育成方針

 (a) 基本的な考え方

 当社グループは、空気圧機器をはじめとする自動制御機器の製造販売を通じて、「産業界の自動化・省力化に貢献する」という社会的使命を果たすために、人的資本を確保・育成していく必要があると考えています。

 当社は設立以来、「働きがい」を重視した人事管理を行っています。自由闊達な企業風土を醸成し、実務経験を通じて人を育て、若い社員にも責任ある仕事を任せて成長を促しています。各自が自律的に活動することで持てる力を存分に発揮し、常に仕事に情熱を持ち、会社に誇りを持てる環境づくりに努めています。

 当社グループは、持続可能性と多様性を基軸とした人事施策を推進するとともに、人材投資を惜しまず実行し、その効果の検証・改善を継続します。

 (b) 確保・育成していく人材像

   ・失敗を恐れずに積極的にチャレンジする人材

   ・グローバルな視点で活躍できる人材

   ・主体的に考え行動する自律型の人材

   ・専門性を高めスペシャリストを志向する人材

 (c) 具体的な取組

  (ⅰ) SMCグループ内転勤制度

 当社グループのさらなる成長を実現するためには、世界中のグループ各社で働いている優秀な人材が、会社の枠を超えて「グローバルに活躍できる態勢」を、スピード感を持って構築する必要があるとの考えから、「SMCグループ内転勤制度」の運用を2023年度から開始しました。本制度は、海外グループ各社から募った、優秀で高い意欲を持った人材が、日本の本社での勤務経験をもとに視野を広げ、帰国後のさらなる活躍の素地を固めると同時に、日本の従業員が海外の人材と交流し切磋琢磨する中で刺激を受け、グローバルな活躍の舞台を求めてチャレンジする精神を培うことを目的としています。(2023年度のグループ内転勤制度適用者は、6か国10名)

  (ⅱ) SMCグループ技能競技大会

 当社は、技能の向上及び伝承の環境づくりを整備するために、製造本部及び各工場に「技能伝承委員会」を発足し、国内にある6事業所の工場に「技能育成道場」を設置しました。また、自己啓発を促進して技能の維持・向上を図ることを目的に、社内の技能者を対象に技能競技大会を開催することとしていますが、SMCグループ企業及び協力企業の技能の維持・向上を図ることを目的に、2023年度は日本の6工場の他、中国工場が競技に参加して「第1回SMCグループ技能競技大会」を実施しました。今後は韓国工場やベトナム工場の参加も計画されており、国や会社の枠を超え、優れた技能に触れ切磋琢磨する機会を提供することで、製品の安定供給と品質向上を実現するとともに、モノづくりによるヒトづくり、モチベーションやエンゲージメントの向上、生産性向上を図ります。

 

③ 社内環境整備方針
 (a) 基本的な考え方

 当社グループは、「SMCグループ行動規範」において、「従業員一人一人の人格、個性を尊重し、国籍、人種、民族、信条、宗教、性別等に基づくいかなる非合理な差別もなく、各自が意欲を持ち、能力を十分に発揮できる、安全で働きやすい職場環境の維持に努めます」と定めています。

 (b) 安全・安心で健康的な職場環境の整備

 事業活動のすべてにおいて安全・安心を優先します。各生産拠点に「安全道場」を設置し、研修を徹底するなど、万全な安全管理に努めています。また特に、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント等のハラスメント行為は、人権を侵害し職場環境を害する行為であり、固くこれを禁じ、他人の行為も見逃しません。問題発生時には、迅速に調査し、被害者の救済と再発防止に向けた断固たる措置を取ります。全従業員を対象としたハラスメント防止研修を継続して実施し、組織としてハラスメントを起こさない職場風土づくりを進めています。

 (c) 公平・公正で透明性のある人事評価と処遇

 自由闊達な企業風土を醸成するとともに、明るく、働きがいのある職場環境の維持に努めます。公平・公正で透明性のある人事評価を行い、役割・能力・成果に基づいて処遇します。各自が意欲を持ち、能力を発揮できる環境を整備することで、生産性の向上を図り、会社に愛着や誇りを持って、働きがいを感じることができる職場環境づくりを進めています。

 

 

[指標及び目標]

① 女性の活躍推進

当社は、女性がキャリア形成をあきらめることなく活躍できる環境を整え、管理職へ昇進する機会も平等であることが重要だと考えています。積極的な採用活動により女性採用比率を向上させるとともに、出産や育児のための休暇・休業から復帰する際には、休業前と同一の職場に復職することとして、スムーズな復帰が可能となるよう配慮しています。また、仕事と家庭・育児等の両立支援策として、時短勤務制度や時差出勤制度などの諸制度を設け、働きやすい職場環境の整備に取り組んでいます。

将来的に組織の管理や経営の意思決定に携わる女性社員を増やしていくためには、中長期の視点でキャリア意識の醸成が必要であり、各自の特性や能力を最大限活かせる職場環境の整備や管理職の養成に関わる研修等の取組を進めています。

 

<当社における育児休業取得者の復職率>

 

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

育児休業取得者の復職率

99.0%

96.7%

100.0%

99.0%

100.0%

 

   (注) 期間中に復職した者の数/期間中に休職を終了した者の数(退職者を含む)で算出しました。

 

<当社における大学新卒採用状況>

 

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

女性の

応募比率

技術職

0.0%

4.2%

3.9%

7.2%

2.1%

営業職・企画業務職

21.0%

32.5%

31.3%

27.3%

女性の

採用比率

技術職

0.0%

3.1%

2.3%

5.0%

2.4%

(5年平均)

(1.0%)

(1.2%)

(1.1%)

(2.5%)

(2.8%)

営業職・企画業務職

22.7%

36.0%

39.1%

15.2%

(5年平均)

(17.1%)

(16.7%)

(20.4%)

(28.9%)

(27.2%)

 

(注) 2020年度の営業職・企画業務職の女性の応募比率・採用比率については、採用者が0名であったことから、算出していません。

 

<当社における女性管理職比率>

 

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

管理職層における女性比率

0.9%

1.5%

1.8%

1.7%

1.8%

 

 

<当社における全労働者の年次有給休暇の取得率・1当たりの平均取得日数>

 

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

男性

年次有給休暇の取得率

68.5%

63.3%

71.0%

75.9%

77.3%

1人当たりの平均取得日数

12.9日

11.8日

13.2日

13.7日

14.1日

女性

年次有給休暇の取得率

84.1%

76.4%

89.4%

95.3%

94.8%

1人当たりの平均取得日数

15.2日

13.7日

16.1日

17.0日

17.2日

全社

年次有給休暇の取得率

74.7%

68.6%

78.5%

83.7%

84.3%

1人当たりの平均取得日数

13.9日

12.6日

14.4日

15.0日

15.3日

 

 

<女性活躍推進法に基づく行動計画>

数値目標

(1) 技術職の新卒女性採用比率を5年平均で10%とする。

(2) 営業職・企画業務職の新卒女性採用比率を5年平均で35%とする。

(3) 社員1人当たりの年次有給休暇の取得率を80%以上とする。

 

 

② 男性の育児休業取得

当社は、男性の育児参加の促進を図るため、出生時育児休業制度の新設に合わせ、「出生時育児休業取得奨励金」を新設しました。職場全体が育児への理解を深めるとともに、育児を応援する職場風土の醸成と、育児休業を取得しやすい環境の整備を進めるために、社内報で男性の育児休業取得者の特集を組みました。これらの取組により、男性従業員の育児休業制度の利用が進んでいます。

また、育児を目的とした休暇の取得を促進するため、配偶者の出産時の特別有給休暇日数を増やしています。

 

<当社における男性従業員の育児休業取得率・育児休業平均取得日数>

 

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

男性従業員

育児休業取得率

0.7%

3.6%

11.0%

21.9%

43.1%

育児休業平均取得日数

68.3日

62.2日

51.1日

38.2日

24.3日

 

(注) 育児休業平均取得日数に、配偶者の出産時の育児を目的とした特別有給休暇の取得日数は含めていません。

 

<男性の育児休業取得の数値目標と施策>

数値目標

男性の育児休業取得率を2025年度に50%とする。

施  策

男性の育児休業取得状況を公表し、社内報等で取得者の声を紹介する。

管理職研修において周知徹底する。

 

 

③ 男女間の賃金格差

<男女間の賃金格差(男性を100とした場合の女性の値を表した指数)>

 

2022年度

2023年度

全従業員

48.5

50.8

正規雇用労働者

60.6

62.9

パート・有期労働者

89.0

87.6

 

 

<当社における労働者の職層別の男女間の賃金格差、従業員比率、平均勤続年数>

 

男女間賃金格差
(男性を100とした
場合の女性の値を
表した指数)

従業員比率

平均勤続年数

男性

女性

男性

女性

正規

管理職層

104.3

98.2%

1.8%

30.3年

28.4年

営業職・技術職・企画業務職

80.1

95.0%

5.0%

15.3年

12.0年

技能職・技能工職

59.9

98.1%

1.9%

19.0年

6.9年

製造職・一般事務職

109.7

0.4%

99.6%

18.0年

20.1年

非正規

パート・有期労働者

87.6

34.0%

66.0%

9.9年

11.0年

 

 

当社の賃金制度は、同一労働同一賃金の原則に則り、同一の職群(職層や職階のカテゴリー)においては同一の賃金テーブルで運用しており、性別による支給格差は一切ありません。

賃金格差が生じている理由は、以下のとおりであると分析しています。

(a) 男女間の平均勤続年数の差

従来の日本企業では、女性が結婚、出産、育児、介護を理由に退職することが多く、当社においても女性の平均勤続年数が男性より短い要因となっています。

加えて、特に技術職・営業職・技能職・技能工職の職層では、過去に女性の採用者が少なく、近年の新卒採用において女性の比率が上昇し、若手層が増加していることも、女性の平均勤続年数が男性より短い要因となっています。

(b) 男女間の従業員比率の差

当社では、相対的に賃金水準が高い職層(特に管理職層、技術職・営業職・企画業務職)で女性比率が低くなっています。

これらを踏まえた当社の対応策については、前記「① 女性の活躍推進」をご参照ください。

 

④ 人材の多様性確保

当社は、グローバル化への対応及び専門的知見を持つ人材の獲得を目的として、外国人や中途採用者の積極的な活用を推進しています。従業員全体の意識改革、組織の活性化といった効果も期待しています。

 

 

<当社における正規労働者に占める女性・外国人・中途採用者の比率>

 

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

女   性

28.5%

28.1%

28.3%

28.2%

27.7%

外 国 人

0.5%

0.4%

0.4%

0.5%

0.8%

中途採用者

15.6%

16.2%

15.7%

13.8%

16.7%

 

 

<当社における管理職に占める女性・外国人・中途採用者の比率>

 

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

女   性

0.9%

1.5%

1.8%

1.7%

1.8%

外 国 人

0.2%

0.0%

0.2%

0.4%

0.5%

中途採用者

26.9%

25.9%

24.0%

23.1%

22.3%

 

 

<当社における新規採用者に占める女性・外国人・中途採用者の比率>

 

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

女   性

30.4%

20.7%

28.7%

18.7%

23.9%

外 国 人

0.6%

0.0%

0.6%

2.2%

0.9%

中途採用者

1.8%

22.4%

16.9%

43.5%

26.8%

 

 

⑤ 従業員エンゲージメント

当社は、従業員が会社に愛着と誇りを持ち、働きがいを感じることで持てる力を存分に発揮できる環境の整備を進めています。2022年度から人事評価に関わる納得性調査を開始し、2023年度から従業員一人ひとりの意欲を高め、組織としての一体感を醸成することを目的に、従業員のエンゲージメントサーベイを開始しました。「職場・仕事」「支援・上司」「環境・同僚」「風土・ビジョン」「処遇・報酬」の分類でエンゲージメントの調査を実施しています。結果は、肯定的な回答の比率が高いことから、概ね一定のエンゲージメントを維持できていると認識しています。今後も定期的な調査を継続し、より良い職場環境づくりに活用するとともに、人事施策の評価に活用します。

(a) 従業員エンゲージメントサーベイの結果

各分類に4問の質問を設けて、各々の質問に対して、「その通りである」「どちらかというとその通りである」「どちらかというその通りではない」「その通りではない」のいずれかで回答したものを集計しています。「その通りである」「どちらかというとその通りである」と回答した従業員(肯定的回答者)の割合は以下のとおりです。(調査対象者:当社における社員・嘱託。ただし、執行役員、海外赴任者、休職中の者を除く)

 

<当社における正規雇用労働者のエンゲージメントサーベイ各分類に占める肯定的回答者の比率>

 

2023年度

2024年度

職務・仕事

76.0%

75.5%

支援・上司

77.6%

75.5%

環境・同僚

78.0%

78.3%

風土・ビジョン

73.4%

72.4%

処遇・報酬

66.3%

66.4%

 

(b) 今後取り組むべき課題

従業員エンゲージメントサーベイの結果全体は肯定的な回答が多いものの、「処遇・報酬」の比率が相対的に低いため、そこに改善すべき課題があると認識しています。肯定的な回答比率が低かった「昇格・昇進における公平・公正性」と「自分の希望するキャリアビジョン・キャリアプランを実現する機会」で課題が認識されました。

公平・公正で透明性のある人事評価を行い、役割、能力・成果に基づいて処遇することが必要であると認識しています。また、自分のキャリアについて漠然とした不安を抱えている可能性、将来に向けて明確な目標を持って仕事に取り組めていない可能性があることから、自分のキャリアについて考える機会が必要であると認識しています。従業員が挑戦意欲を持ち、能力を発揮できる環境を整備することを目指します。

 

<当社における正規雇用労働者の離職率>

 

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

正規雇用労働者の離職率

1.8%

2.0%

2.0%

3.5%

2.0%

 

   (注) 期間中の離職者数/期初の在籍者数で算出しました。

 

<当社における新卒入社者3年以内離職率>

 

2022年4月1日

(2019年入社)

2023年4月1日

(2020年入社)

2024年4月1日

(2021年入社)

大学卒

2.6%

0.0%

8.7%

高校卒

7.0%

14.3%

 

   (注)1 期間中の離職者数/期初の在籍者数で算出しました。

2 2023年4月1日時点における高校卒の数値については、2020年の新卒入社者が0名であったことから、算出していません。

 

⑥ 賃金水準の引上げ

当社は、従業員が働きがいを感じ、生産性の向上に取り組む意欲を高めることを目的として、賃金水準の向上に努めています。直近5期間の昇給率は、以下のとおりであり、平均年率3.9%です。

また2023年4月から、従業員の資産形成を支援する目的も併せて、従業員持株会への拠出金に対して会社から支給する奨励金の支給率を、5%から15%に引き上げています。

 

<当社における正規労働者の昇給率の推移>

 

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

正規労働者の昇給率

4.0%

4.0%

2.6%

4.0%

5.0%

 

   (注) 2021年度は、住宅手当の制度拡充を別途実施したため、他の年度に比して昇給率が低くなっています。

 

<当社における正規労働者の平均年間給与の推移>

 

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

正規労働者の平均年間給与(円)

7,499,525

7,753,221

8,529,285

8,646,196

8,463,582

 

 

(4) 情報セキュリティに関する取組

[ガバナンス]

当社グループは、グループ内で最も先進的なIT活用の実績があり、専門知識を持つ人材も多いSMCアメリカに設置した専門組織「GIT」が、グループ各社のITスタッフと連携して、情報セキュリティ対策を含む、グローバルに統一したIT戦略を推進しています。

GITの最高責任者は、当社取締役執行役員でSMCアメリカ社長のケリー・ステイシーが務めており、GITの活動の計画及び実績は、必要に応じて取締役会に報告されています。

 

[戦略]

当社グループは、オートメーションを支える自動制御機器の総合メーカーとして、いかなる非常事態に際してもグローバルに製品供給責任を果たすことが自社の社会的使命であり、そのためのBCPを整備することが、お客様からの信頼を獲得し、ビジネス面でも大きな競争優位性をもたらすものと認識しています。

BCPの極めて重要な構成要素である、グローバルな情報セキュリティ対策は、以下のとおりです。

① 基幹業務のバックアップ体制

当社グループは、北米、南米、欧州、アジア、オセアニア及び日本に合計11か所のデータセンターを設置して、基幹業務のバックアップ体制を構築しています。

・グローバルに統一した基盤整備により、セキュリティホールを排除

・サイバー攻撃の阻止、自動検知、監視体制の強化及び被害の極小化

・データセンター間のレプリケーションにより、システム障害や災害の発生時にも業務を継続

・他のデータセンターでのバックアップにより、サイバー攻撃や災害による障害からも早期に復旧

 


② グローバルで統一したセキュリティツールの導入

 当社グループは、グローバルで統一した各種の情報セキュリティツールを導入し、運用しています。

 ・サイバーハイジーン(衛生管理)、従業員教育

 ・エンドポイントセキュリティ対策

 ・統合ID認証管理(ID乗っ取り、認証攻撃対策)

 ・ルータ防御、ファイアウォール

 ・メール監視、フィッシングメール対策

 ・SPAMメール、マルウェア、ランサムウェア対策

 ・バックアップ

 ・サイバーインシデント管理

 

③ NISTへの対応

NIST(米国国立基準技術研究所)のサイバーセキュリティフレームワークを踏まえた、当社グループの情報セキュリティ対策の概要は、以下のとおりです。