リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 海外での事業展開に伴うカントリーリスク
(リスクの内容)
当社グループは、顧客満足度の向上を通じた受注の拡大を目的として、世界各地域において研究開発から資材調達、生産、販売に至るまでの広範な事業活動を展開しています。特に中国及びベトナムにおいては、当該国内での需要への対応やグローバルな製品供給の役割を担うべく、生産拠点の充実・強化を進めています。
中国をはじめ各国においては、以下のような不測の事態が発生するリスクがあります。
① 政治体制、経済環境の激変
② 法制、税制、為替政策、輸出入に関する規制などの急激な変更
③ 労働力の不足、人件費の高騰、大規模な労働争議の発生など労働環境の激変
④ 社会インフラの未整備に起因するエネルギー供給の不安定化
⑤ テロ、戦争、暴動、自然災害、感染症の蔓延などによる社会的混乱
(リスクが顕在化する可能性の程度及び時期)
当該リスクが顕在化する可能性は10年から20年に一度程度と想定してきましたが、近年、戦争や感染症の蔓延などリスクが顕在化したほか、経済面や安全保障面での米中対立も続いており、不透明感が高まっています。
(リスクが顕在化した場合の影響の内容)
当該リスクが顕在化した場合、現地従業員及び駐在員の安全並びに生産設備など現地資産の保全が危うくなるおそれがあるほか、グローバルな製品供給体制に支障が生じ、当社グループ全体の事業活動に深刻な悪影響が及ぶ可能性があります。
(リスクへの対応策)
BCPの観点から、中国に匹敵する規模の生産拠点をベトナムに整備することや、国内にも一定の供給能力を確保することで、不測の事態が発生しても早期に復旧できる体制の整備に努めています。
(当連結会計年度におけるリスクの顕在化について)
当連結会計年度においては、ロシアによるウクライナ侵攻の継続、中東における紛争の勃発とそれに伴うスエズ運河の航行不能という形で、当該リスクが顕在化しました。
当社グループの各拠点は、通常稼働を継続しており、お客様及びサプライヤー様の事業活動への影響も限定的なものにとどまりました。海上輸送の所要期間及び物流コストの面では影響を受けましたが、平素から潤沢な在庫を保持する戦略も奏功し、当社グループの製品供給に大きな支障は生じませんでした。
(2) 外国為替相場の変動リスク
(リスクの内容)
当社グループは、世界各地域において研究開発から資材調達、生産、販売に至るまでの広範な事業活動を展開しています。
当社グループの外貨建取引及び外貨建資産等は、連結財務諸表作成時に円換算するため、外国為替相場の変動により業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
(リスクが顕在化する可能性の程度及び時期)
当社グループの海外ビジネスの拡大に伴い、当該リスクが顕在化する可能性は高まっており、過去の経験上、2~3年程度に一度は、為替変動により業績及び財政状態に比較的大きな影響を受けることが想定されます。
顕在化の時期としては、業績に対する影響は年間を通じて、財政状態に対する影響は決算期末となります。
(リスクが顕在化した場合の影響の内容)
円高方向への為替変動により、当社グループの外貨建売上高及び利益が減少します。外貨建の仕入及び費用も減りますが、相対的に影響は少額です。また、当社グループの外貨建資産に関して、換算上のマイナスが発生します。
(リスクへの対応策)
外貨建の仕入を増やすことに努めていますが、モノづくりの本拠が日本にあることから、対応には限界があります。現在、グループ内での現金配分を見直すことにより、特に為替変動の影響を受けやすい新興国通貨建の資産を減らす対応を進めています。
(3) 製品の欠陥に関するリスク
(リスクの内容)
当社グループは、製品の欠陥によってお客様に損害を与えた場合、製造物責任を問われるリスクがあります。
当社グループの主要製品である空気圧機器は、医療機器などの新しい分野に用途が拡大しており、これら機器に使用された製品に欠陥があったとして、損害賠償を求める訴訟が提起されるリスクもあります。
(リスクが顕在化する可能性の程度及び時期)
大規模な製品の欠陥という形で、当該リスクが顕在化する可能性は非常に低いと想定しています。顕在化の時期は特定できません。
(リスクが顕在化した場合の影響の内容)
当該リスクが顕在化した場合、損害賠償のための費用負担が発生するほか、お客様からの信頼を失うおそれがあり、イメージダウンに伴う他のお客様からの失注も含め、当社グループ全体の事業活動に悪影響が及ぶ可能性があります。
(リスクへの対応策)
当社グループは厳しい品質管理を行っていますが、製品に欠陥が生じるリスクをゼロにすることは不可能です。生産物賠償責任保険には加入していますが、保険金によって賠償額のすべてを賄える保証はありません。
(4) 情報セキュリティに関するリスク
(リスクの内容)
当社グループは、顧客情報や技術情報の管理、受発注から生産、人事・給与、会計のデータ処理など、事業活動のあらゆる場面において、情報ネットワークやシステムに大きく依存しています。
これらの情報ネットワークやシステムは、日常的に大量のサイバー攻撃にさらされています。このほかシステムや機器の故障、ヒューマンエラーや不正アクセスにより、情報システムの障害や、重要な情報の漏洩が発生するリスクがあります。
(リスクが顕在化する可能性の程度及び時期)
サイバー攻撃の手法は年々巧妙化しており、また経済安全保障やプライバシー保護の観点から、情報の取扱いに関する規制強化の動きが各国で進む中、当該リスクが顕在化する可能性は高まっています。顕在化の時期は特定できません。
(リスクが顕在化した場合の影響の内容)
当該リスクが顕在化した場合、生産や出荷、支払が止まるなど、当社グループの事業活動全般に重大な支障が生じることが想定されます。また、お客様やお取引先様の情報が漏洩した場合、損害賠償のための費用負担が発生するほか、社会的信用を失うことによる売上の減少など、当社グループの業績に深刻な悪影響が生じるおそれがあります。
(リスクへの対応策)
当社グループは、グループ全体の情報セキュリティを統括管理する専門チームを置いて、NIST(米国国立基準技術研究所)の「サイバーセキュリティフレームワーク」を踏まえた総合的な情報セキュリティ対策を実施しています。詳しくは、本有価証券報告書の「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (4) 情報セキュリティに関する取組」をご参照ください。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、中長期的な利益成長を通じた企業価値の向上により、株主の皆様に報いていくことを、経営の最優先課題と位置付けています。
また、金融・経済情勢の混乱や為替相場の急激な変動にも揺らぐことのない、堅固な財務基盤を維持するため、株主資本の一層の充実を図ります。
さらに、将来にわたって競争優位性を保ち、企業として存続するために必要な、生産設備、研究開発体制、IT基盤及び営業人員等の充実に向けた投資に積極的に取り組み、これらに伴う資金需要に対応するための手元資金を確保します。
株主の皆様への利益還元については、安定的な配当の継続を基本とし、状況に応じた機動的な自己株式の取得を組み合わせて、より一層の充実に努めます。
当社は、「取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として中間配当を行うことができる」旨を定款に定めており、剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回実施することを基本方針としています。中間配当の決定機関は取締役会、期末配当の決定機関は株主総会です。
当事業年度の期末配当については、上記の基本方針のもと、直近の経営成績及び財政状態に鑑み、1株当たり500円としました。中間配当と合わせた年間の配当金は、1株当たり950円となりました。
なお、基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりです。
(注) 「配当金の総額」には、「役員向け株式給付信託」が保有する当社株式に対する配当金(2023年11月14日取締役会決議による配当金5百万円及び2024年6月27日定時株主総会決議による配当金5百万円)がそれぞれ含まれています。