2025年2月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。以下はリスク要因を当社グループの判断により、外的要因の影響の高いリスクと内的要因の影響の高いリスクに分類して記載いたします。

 

1.当社グループのリスクマネジメント体制

 当社グループのリスクマネジメントは、リスク及び機会を踏まえた適切な意思決定を促し、ビジネスの成長を推進することを目的として取り組んでいます。

 リスクマネジメントのプロセスは、はじめに当社グループの経営理念の実現、中長期計画の実行及び達成を阻害しうる不確実性をリスクと捉え、当社の全部門及び全グループ会社からリスク及びその対応策を抽出します。

 次に、抽出したリスクを、影響度、発生可能性(頻度)の観点から評価し、代表取締役社長を委員長としたリスクマネジメント委員会にて議論の上、重要なリスクを決定するとともに、各重要なリスクの責任者及びリスク対応策を決定します。

 このように特定された重要なリスクについては、各重要なリスクの責任者の指示の下、実行部門により対応策が実行されます。各重要なリスクの責任者は、対応策の実行状況をモニタリングし、その実効性を測定します。これら一連の取り組みは取締役会に報告され、リスクマネジメントプロセスとその対応策の実効性が確認されます。より一層のリスクマネジメント体制強化のため、今後も更なる活動を推進してまいります。

 

2.外的要因の影響が大きいリスク項目

リスク項目

内容

取り組み

影響度

発生頻度

顧客企業の設備投資

動向

当社グループは、生理用ナプキン製造機械及び紙おむつ製造機械等の衛生用品製造機械の販売が連結売上高の大半を占めております。そのため、衛生用品市場の需要減少、衛生用品メーカーにおける設備投資の抑制等により製造機械への注文が減少した場合、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、グローバル市場の流動的なニーズを的確に捉えながら、顧客企業の需要に合致した新コンセプト機の開発、製品や素材の提案を通じて受注拡大に取り組んでおります。

また、既存の技術や事業領域と関連のある事業に取り組み、衛生用品製造機械以外の収益の確保および新たな成長領域を獲得するための取り組みを行っております。

材料の調達に関する

リスク

当社グループの原価構成のうち、材料費及び外注加工費の占める割合が相対的に高い水準にあります。国内外の材料の市場動向により材料の調達が計画から前後することにより、機械製品の納品時期が前後する可能性や、市場価格の変動により収益が変動し、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、諸外国の情勢に伴う原材料の高騰や調達困難に備えるため、早期手配による在庫の確保、代替となる材料・部品の調査、調達先や外注業者の新規開拓などを推進しております。

カントリーリスク

当社グループは海外売上比率が約80%に達し、幅広い国・地域で積極的な事業活動を展開しております。これらの事業展開にあたっては、国内とは異なり、予期しない法律又は規制の変更、政治・経済の混乱、為替の変動等のリスクが内在しており、これらの事態が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、海外子会社を設立するにあたって、事業上の必要性とともに当該国のカントリーリスクを慎重に検討しております。また、「関係会社管理規程」において海外子会社各社を所管する部門を定め、定期的に事業上のリスクに係る重要事項を当社に報告する体制としております。

さらに、当社の内部監査室が、定期的に海外を含む拠点を巡回し、子会社のコンプライアンス、リスク管理その他の管理状況を確認し、問題があれば適宜指摘して是正を促しております。

為替リスク

当社グループは、海外への売上高比率が増加しているだけでなく、製造コスト削減のために海外からの部品調達も増加傾向にあります。海外への輸出は、外貨建ての契約も存在するため、大幅な為替変動(円高)は価格競争力の低下や受注済みプロジェクトの売上高の目減りが発生する可能性があります。また、海外の連結子会社の財務諸表を円換算して連結財務諸表を作成しておりますので、大幅な為替変動は当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社においては、為替予約等を活用することで為替リスクの緩和・平準化を図ってまいります。在外子会社の財務諸表を換算する際の為替リスクの回避は困難であり、在外子会社については、現地通貨での業績管理を行い、現地通貨ベースでの業績の向上を目指します。在外子会社が現地通貨以外の通貨で取引する場合は、基軸通貨である米ドルで取引を行い、為替の変動幅を最小限に抑えます。

 

自然災害、事故、テロ等の人為的災害、感染症等のリスク

当社グループは大規模地震や気候変動に伴う自然災害や火災・事故等の発生や、テロ等の人為的災害及び感染症等が発生した場合に、当社グループの設備、情報システム等に影響が出る可能性があります。その他、大規模災害の発生により、経済環境の悪化によって需要動向に大きな変化が生じた場合は、経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、自然災害等からの早期復興のため、事業継続計画(BCP)を策定しております。この計画に基づき、緊急連絡網などを整備し、また、非常時を想定した避難訓練、安否確認訓練を実施しております。

また、太陽光発電、蓄電池の導入を行い、長時間の停電にも対応可能な非常電源を確保しております。

その他、データの保護や迅速な復旧のため、社内データの管理システム及び社外にデータのバックアップを補完するセンターを整備しております。

知的財産権のリスク

当社グループが販売した製品、あるいは今後販売する製品が第三者の知的財産権に抵触する可能性を的確・適切に判断できない可能性があり、また、当社グループが認識していない特許権等が成立することにより、当該第三者より損害賠償等の訴えを起こされる可能性があります。そのような場合、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは他社と差別化できる技術とノウハウを蓄積し、自社が保有する技術等については特許権等の取得による保護を図っているほか、他社の知的財産権に対する侵害のないよう知財部門を中心に弁護士や弁理士と協働して、リスク管理に取り組んでおります。

税制等に関するリスク

当社グループは国内外において税制に関する様々な法規制の適用を受けております。今後についても、社会情勢の変化等により規制が強化される可能性や新たな法的規制が設けられる可能性があり、この場合、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、国内外における税務当局との見解の相違等により追加課税が発生し、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、税制面に関する法律改正や規制について、事業活動への影響を最小限に抑えるべく、法令制度の調査や社内での情報共有を行っております。

また、当社グループを構成する事業法人は、各国の税法に準拠して適正な納税を行っており、適用される各国の移転価格税制など国際税務のリスクについても注意を払っております。

コンプライアンスに関するリスク

当社グループは、事業活動において、対外的には、国内外を問わず、取引に関連する法令等、また、対内的には、会社法等のガバナンスに関する法規制や労働基準法等の適用を受けております。

当社グループに、以上のような取引又はガバナンスや労務におけるコンプライアンス上の問題が発生した場合、顧客を含む各種ステークホルダーとの関係の悪化、遮断、関係官庁等による処分や社会的信用の失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、「瑞光グループ倫理方針」を基盤に、具体的な倫理基準を「コンプライアンス・マニュアル」に記載し、当社グループのすべての役員、従業員への周知活動を進めております。

また、コンプライアンス委員会により、事業活動遂行のために留意が必要なコンプライアンスに関する情報発信、重要な法分野を対象としたe-ラーニングを定期的に実施することで、社内手続やコンプライアンスに対する意識の維持・向上と問題発生の未然防止に努めております。

 

3.内的要因に起因する傾向の高いリスク項目

リスク項目

内容

取り組み

影響度

発生頻度

生産形態に関する

リスク

当社グループは顧客からの個別受注生産が大半を占めており、受注後の仕様変更、工程遅延、工事費の高騰等により、売上計上時期の後ずれや見積もり費用の超過等が発生する可能性があります。また、予定した検収時期に変動が生じ出荷が遅れた場合、次に予定していた製品の生産スケジュールも遅延し、売上が後ずれする可能性があります。その場合には、経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、受注機械において新規開発要素を含む部分を先行してテストするなど、工程遅延のリスクを早期に把握・抑制できるよう取り組んでおります。また、共通部品の標準化や生産管理システム導入によるデータの活用とフィードバックを推進することにより、スケジュール管理や原価管理の継続的な改善に取り組んでおります。

製品の品質維持に関するリスク

予期せぬ製品の欠陥が発生した場合には、多額の費用が生じるとともに当社機械の信頼性や評価を低下させ、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは社内加工品や外注品の受入検査において品質の担保を図っております。また、製品については、顧客立会いのもと自社工場にて試運転を行った後、顧客の工場へ運搬し、再度試運転を行った後に検収を得る、という品質管理を行っており、製品の品質及び安全性には細心の注意を払っております。

情報セキュリティの

リスク

当社グループは事業活動において、顧客情報・個人情報等に接することがあり、また営業上・技術上の機密情報を保有しております。そのため、万が一、情報漏えい等の事故が発生した場合には、情報管理に関する法的責任を問われる可能性や当社グループの評判・信用、経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは左記各種情報の取扱い、機密保持には細心の注意を払っており、不正なアクセス、改ざん、破壊、紛失等から守るため、管理体制及び取扱い規則を定め、合理的な技術的対策を実施するなど、適切な安全措置を講じております。

人材確保のリスク

雇用情勢の変動等により、的確な人材の確保や育成が出来なかった場合、もしくは人材流出の増加が継続した場合は、当社グループの人材確保が計画どおりに進まず、今後の事業展開も含めて当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

採用活動において、インターンシップでの業務体験機会の増大、専門性の高い外国人採用も積極的に進めるなど、新卒採用を強化し、入社後においても、メンター制度を活用し、スムーズな業務適応を支援しています。さらに、職種毎のキャリアパスの明確化、個人のキャリアプランに基づいた定期面談の実施などにより、エンゲージメントの向上や離職率の低下に繋げております。

固定資産の減損の

リスク

当社グループの固定資産について、経営環境の著しい悪化により事業の収益性が低下した場合や、市場価格が著しく下落した場合等には、固定資産の減損会計の適用による減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは固定資産の稼働状況、キャッシュ・フローの状況等を定期的にモニタリングしております。

労働災害の発生に関するリスク

当社グループは日常的な安全教育、各種技能研修、資格取得の促進等を通じて、労働災害の削減と安全管理への取り組みを行っております。ただし、生産部門における工場での現場作業を中心に、労働災害に繋がる可能性がゼロではないため、重大な労働災害が発生した場合は、社会的な責任とともにその後の受注に影響を受ける可能性があります。

当該リスクへの対応策として、設計・生産両部門が連携し、設計段階からリスクを洗い出し、事故や故障のリスクを低減する“安全標準”を設定しました。また、作業マニュアルを完備し、現場での教育及び全従業員へのe-ラーニングを実施し、作業員の安全意識を高め、労働災害の予防に努めております。

環境規制に関連するリスク

当社グループは気候変動問題(GHG/温室効果ガス排出)、水質、化学物質、廃棄物等多様な環境問題に対し環境法及び規制の影響を受けており、年々それらの規制が厳しくなっております。環境法等の厳格化に対応するため、追加的義務並びにコスト増加が発生するリスクがあり、当社グループの財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

リスクマネジメント委員会を主管として、TCFD提言のプロセスに基づき、気候変動が当社グループに及ぼすリスク及び機会の特定・評価やシナリオ分析等を進めております。それらの分析結果を元に顧客およびサプライヤーを含むステークホルダーとの連携を図ることによって、GHG排出量削減の実現を推進してまいります。

 

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現に加え、株主の皆様に対する利益還元を経営上の重要施策と位置付けております。剰余金の配当については、事業活動で獲得した各年度の利益を株主の皆様に分配するという見地から、配当性向を基本的な指標としております。配当額の検討にあたっては、連結配当性向30%を目標に、将来の事業展開や財務健全性確保に必要な内部留保、資本効率の改善などとのバランスを勘案して決定いたします。また、自己株式取得については、将来の戦略投資や財務状況、株価水準等を総合的に勘案し、必要と判断した場合には適宜実施いたします。

 当社は、中間配当及び期末配当の年2回の剰余金の配当を行っており、これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

 当事業年度においては、親会社株主に帰属する当期純利益が期初の業績予想を下回る結果となりましたが、有利子負債と自己資本のリバランスを図り資本効率を向上する観点から1株当たりの年間配当金は10円00銭(中間配当5円00銭、期末配当5円00銭)といたしました。

 内部留保資金につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応すべく、今まで以上にコスト競争力を高め、市場ニーズに応える技術・製造開発体制を強化し、さらには、グローバル戦略の展開を図るために有効投資してまいりたいと考えております。

 当社は、毎年8月20日を基準日として取締役会の決議をもって、中間配当を行うことができる旨定款に定めております。

 なお、基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2024年10月3日

132,327

5.00

取締役会

2025年5月16日

132,325

5.00

定時株主総会