2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    523名(単体) 1,349名(連結)
  • 平均年齢
    42.2歳(単体)
  • 平均勤続年数
    13.7年(単体)
  • 平均年収
    7,361,579円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

日本

642

〔 330 〕

北米

205

〔 2 〕

欧州

362

〔 24 〕

全社(共通)

140

〔 14 〕

合計

1,349

〔 370 〕

 

 

(注) 1.従業員数は就業人員であり、嘱託及び臨時従業員数は〔 〕内に年間の平均人員を外数で記載しております。

2.全社(共通)は、当社の基礎的研究部門、総務・経理部門等の管理部門の従業員であります。

 

(2) 提出会社の状況

2024年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

523

〔148 〕

42.2

13.7

7,361,579

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

日本

383

〔 134 〕

全社(共通)

140

〔 14 〕

合計

523

〔 148 〕

 

 

(注) 1.従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員であり、嘱託及び臨時従業員数は〔 〕内に当事業年度の平均人員を外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.全社(共通)は、基礎的研究部門、総務・経理部門等の管理部門の従業員であります。

 

 

(3) 労働組合の状況

提出会社には労働組合が組織されており、JAM HDS労働組合と称し、産業別組合であるJAMに属し、組合員数は2024年3月31日現在335名であります。また、連結子会社である株式会社ハーモニック・エイディにも、提出会社と同一の産業別組合に属する労働組合が組織されております。

その他の連結子会社には労働組合は組織されておりません。なお、労使関係について特に記載すべき事項はありません。

 

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

①提出会社

2024年3月31日現在

管理職に占める

女性労働者の割合(%)(注1)

男性労働者の

育児休業取得率(%)

(注2)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注1)

全労働者

うち正規雇用労働者

うちパート・有期労働者

2.2

81.8

68.9

68.8

94.3

 

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したも

     のであります。

  2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の

    規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」

    (平成3年労働省第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

②連結子会社

2024年3月31日現在

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注1)

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注2)

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注1)

全労働者

うち正規雇用労働者

うちパート・有期労働者

株式会社ハーモニック プレシジョン

11.1

-

79.4

77.8

97.9

 

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したも

     のであります。

  2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の

    規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」

       (平成3年労働省第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

当社グループは、様々な社会課題を解決し、社会をより良くするための技術革新に事業を通じて貢献していくことを使命としております。この使命を果たすにあたって基盤としているのが、当社の創成期に作られ現在も当社グループの企業文化として受け継がれている経営理念です。当社ではこの経営理念に基づいたサステナビリティ基本方針を策定し、2022年3月25日の取締役会において決議いたしました。当社グループはこの基本方針に則り、戦略的にサステナビリティの推進を図ってまいります。

 

 

サステナビリティ基本方針

私たちは、「個人の尊重」、「存在意義のある企業」、「共存共栄」、「社会への貢献」という4つの柱で構成された〝経営理念″に基づき、トータル・モーション・コントロールを提供する技術・技能集団として、社会をより良くするための技術革新に貢献することで、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指します。

 

 

 

(1)サステナビリティ全般

 

 1)ガバナンス

 当社グループでは、サステナビリティの取り組みを経営上の重要課題と認識し、サステナビリティ委員会を中心とするガバナンス体制を構築するとともに、取締役会による監督を行っております。

 

① 取締役会による監督体制

 当社グループのサステナビリティに関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限は取締役会が有しております。取締役会は、サステナビリティ委員会で協議・決議された重要事項について報告を受け、サステナビリティに関するリスク及び機会への対応方針や実行計画等について審議・監督を行っております。

 

② サステナビリティに係る経営者の役割

 当社グループのサステナビリティに係る経営判断の最終責任は代表取締役社長が有しております。

 

③ サステナビリティ委員会

 当社では、グループ全体のサステナビリティ推進体制を強化するため、グループサステナビリティ全般を推進・統括・管理する組織としてサステナビリティ委員会を2023年4月1日付で設置いたしました。本委員会の委員長は代表取締役社長が務め、メンバーは業務執行取締役で構成されております。

  サステナビリティ委員会の主な役割は以下の通りです。

  ・サステナビリティ関連方針・戦略の策定・改定

  ・サステナビリティに関するマテリアリティの特定

  ・サステナビリティに関する長期目標・KPIの策定・進捗管理

  ・サステナビリティ推進活動の企画・報告

  ・サステナビリティに関するリスクと機会の特定及び管理

  ・取締役会への定期的な報告及び提言・基本方針等の上程 等

 

④ 執行役員会議

当社グループでは、執行の立場からサステナビリティを実現するために、経営企画・IR担当執行役員が、サステナビリティの取り組み状況やサステナビリティ関連の動向等を、取締役・監査役も出席する月次の執行役員会議で都度報告し、様々な視点から議論を行っております。

 

 

⑤ サステナビリティ推進に係る所管部署

 経営企画・IR担当執行役員のもと、経営企画・IR室がサステナビリティ委員会の事務局を務めるとともに、当社グループのサステナビリティ全般に係る推進を担っております。また、サステナビリティに係るマテリアリティやリスクと機会への対応等についてサステナビリティ委員会に提言するとともに、適宜当社各部門並びにグループ会社へ展開し、グループ全体のサステナビリティ活動を推進いたします。

 

 

グループサステナビリティ推進体制図

 


 

 

<サステナビリティに関する主な議論の実績>

 

開催年月日

主な協議内容

取締役会

2022年3月25日

サステナビリティ基本方針の策定

2022年9月21日

サステナブル調達ガイドラインの策定

2023年3月24日

サステナビリティ委員会の設置

2023年11月20日

マテリアリティ(2024年度~)の特定

執行役員会議

2021年7月13日

サステナビリティの取り組みの検討

2021年8月11日

サステナビリティの取り組み内容について

2021年11月11日

お客様要求によるサステナビリティ格付機関への対応について

2021年12月10日

有明工場へのCO2フリー電気導入の検討

2022年1月14日

・PaperLabの導入について(社内リサイクルでコピー用紙の廃棄量削減)

・サステナビリティの取り組み計画について

2022年2月10日

気候変動、水資源、労働と人権、倫理、持続可能な資材調達への対応進捗状況報告

2022年3月10日

サステナビリティ格付機関の評価結果(2021年度分)の報告及び課題について

2022年5月17日

マテリアリティの特定について

2022年8月11日

気候変動対応の課題について、サステナブル調達ガイドラインの検討

2022年9月9日

サステナブル調達方針の検討

2022年12月9日

労働と人権、倫理、環境、持続可能な資材調達への対応状況報告

2023年2月10日

サステナビリティ情報開示義務化について

2023年3月10日

サステナビリティ委員会の設置、ネットゼロ目標の設定について

2023年4月14日

サステナビリティ格付機関の評価結果(2022年度分)の報告及び2023年度の取組計画

2023年5月17日

サステナビリティ対応に対するステークホルダーの要請について

2023年6月9日

統合報告書作成の検討

2023年7月12日

グループサステナビリティ推進体制について

2023年8月10日

サステナビリティ開示規制の動向、気候変動・水セキュリティシナリオ分析

2024年2月14日

当社統合報告書に対する外部評価の報告

サステナビリティ委員会

2023年6月15日

2023年3月期有価証券報告書のサステナビリティ記載内容について

2023年8月17日

サステナビリティ委員会の今後の活動予定

2023年10月17日

マテリアリティ(2024年度~)候補の抽出

2023年11月2日

マテリアリティ(2024年度~)候補項目の重要度評価

2023年11月14日

マテリアリティ(2024年度~)最終案の決定

 

 

 

2)戦略

 

当社グループでは、マテリアリティと価値創造プロセスをサステナビリティ全般の戦略として取り組んでおります。

 

【目指す姿の実現に向けたマテリアリティ】

 当社グループは経営理念をもとに、ミッションである「モーションコントロール技術で社会の技術革新に貢献する」ことで持続可能な社会の実現と事業成長を目指しております。将来の短・中・長期的なリスクに柔軟に対応する持続可能な経営基盤を構築し、社会課題の解決に貢献していくため、当社グループが中長期的な視点で優先的に取り組むべき事項として2022年5月にマテリアリティを特定し、事業戦略に組み込んで2024年3月末まで取り組んでまいりました。また、マテリアリティを特定するにあたっては、経営理念や事業戦略だけでなく、持続可能な開発目標(SDGs)との整合性も重視し、社会の持続可能性と当社グループの持続的成長の両面から評価を行いました。

 

マテリアリティ抽出・特定のプロセス

 

Step1

サステナビリティ課題の抽出

当社グループの事業戦略における課題に加え、バリューチェーン企業を中心とした他社事例調査や、SASBスタンダード等の国際的なフレームワークを参照し、サステナビリティ課題を網羅的に抽出。

Step2

マテリアリティの特定

抽出された課題を「社会の持続可能性に対するインパクト」と「当社グループの持続的成長へのインパクト」の両面から評価し、マテリアリティ・マトリックスを作成。その中からインパクトが特に強い課題項目を選定し、当社グループの事業戦略を踏まえて5つのマテリアリティとして整理・統合。

Step3

妥当性の確認

特定したマテリアリティと中期経営計画との整合性を評価。また、株主・機関投資家とのエンゲージメントを通じてステークホルダーからの期待が反映されていることを確認。

Step4

取締役会による承認

5つのマテリアリティを取締役、監査役、執行役員が参加する会議体で議論し、妥当性を確認。最終的に取締役会における議論・承認を受け、当社WEBサイトにて公表。

 

 

 

マテリアリティ・マトリックス

 


 

 

 2022年5月に特定し2024年3月末までに取り組んできたマテリアリティは、「働きがいのある職場環境」、「お客様の期待値を満足させる製品・サービスの提供」、「安定的な調達・供給体制の確立」、「地球環境への負荷低減」、「時代に適合した経営基盤の構築」の5つです。この中で、社会の持続可能性へのインパクトが大きいマテリアリティは「地球環境への負荷低減」であり、当社グループの持続的成長へのインパクトが大きいマテリアリティは「働きがいのある職場環境の整備」、「お客様の期待値を満足させる製品・サービスの提供」、「安定的な調達・供給体制の確立」、「時代に適合した経営基盤の構築」です。

 「地球環境への負荷低減」に関しては、当社グループのGHG排出量の削減(=再生可能エネルギーの活用など)、水使用量の抑制や廃棄物の削減、地球環境への負荷低減を考慮した製品開発などへの取り組みを進めました。小型・軽量を特長とするハーモニックドライブⓇは、組み込んだ装置も小型化が可能になることから使用段階の省エネ効果が向上するとともに、資源採取から廃棄に至るライフサイクルの環境負荷が低減される製品です。今後はお客様の環境負荷低減をさらに促進する製品の開発に注力してまいります。

 「働きがいのある職場環境の整備」に関しては、経営理念の最重要項目である「個人の尊重」と関連しております。安全・安心な職場環境の整備に加え、従業員の能力開発や多様性を高める人事制度、男性の育児休暇取得を促進する取り組みなど、人的資本の強化とそれに向けた職場環境の整備を図ってまいりました。

 「お客様の期待値を満足させる製品・サービスの提供」と「安定的な調達・供給体制の確立」に関しては、性能と品質を含め、多様化するお客様のニーズに応え続けるために、主力製品であるハーモニックドライブⓇの進化を図るとともに、外部研究機関との共同研究にも注力し、次世代モーションコントロールに向けての要素開発と製品化への取り組みを進め、トータル・モーション・コントロールのさらなる高度化を図ってまいりました。また、お客様の希望納期に対応するため、日本・ドイツ・アメリカの3拠点において、今後の需要増加を見据えた生産能力の増強を実施しました。さらに、当社グループのビジネスは需要変動が激しいことから、先行きを予測する精度を高めるとともに、製造実行システム(MES)を導入することで製造工程のリアルタイム管理を進めております。加えてサプライチェーンの強化にも取り組んでまいりました。

 「時代に適合した経営基盤の構築」に関しては、これらのマテリアリティを実現するためのベースとなるものであり、財務面でのサポートに加え、経営体制の持続可能性を高めるべくガバナンスの強化に取り組んでまいりました。

 

HDSグループのマテリアリティ

 


 

【価値創造プロセス】

 当社グループでは、持続的な成長のために、社会課題や事業環境を的確に把握したうえでリスクと機会を認識し、強みとなるインプットから経営理念に基づいた当社グループ独自の事業活動を経て、企業価値向上につながるアウトカムを生み出すことで、「モーションコントロール技術で社会の技術革新に貢献する」というミッションの達成につなげることを価値創造のプロセスとしております。

 

価値創造プロセス図

 


 

 脱炭素や資源循環などの地球環境課題は世界的な社会課題であり、当社グループの納入先においても情報開示要請を含めて関心が高まっております。これらの対応が遅れると、当社グループの事業機会の減少につながるリスクがあります。一方で、労働人口と熟練技能者の減少は自動化を加速させ、当社グループのお客様であるロボットメーカーなどの需要増加につながります。ロボットメーカーに精密減速機を供給している当社グループにおいても生産体制の強化や持続可能なサプライチェーンの確立が必要になってまいります。

 これらの外部環境及びリスクと機会に対応するため、当社グループは5つのアウトカムと価値創造につながる取り組みを推進しております。

 

① 価値ある製品の開発とサービスの強化によるHD・AD・MT事業の拡大

 競争力強化のための事業拡大には、精密減速機における「真似できない製品の開発」が欠かせません。メカトロニクス製品においてはお客様の“やりたい”を実現し得る「真似したい製品の開発」が必要です。これらを継続的に推進することは財務資本、製造資本、知的資本、社会関係資本の拡大につながると考えております。

 

② 時代の要求に適合した経営基盤の構築

 持続可能な経営の推進には、事業拡大をけん引できる人財の育成、多様性を高める人事制度や働き方の構築を図り、同質的な企業風土からの脱却が必要です。またIT強化戦略、成長を支える財務基盤の確立、資金調達力の強化も重要であり、これらを推進することは財務資本、人的資本、知的資本の拡大につながると考えております。

 

③ 海外のグループ会社・研究機関との連携強化とシナジーの最大化

 地域最適・世界最適による価値の追求には、各拠点の経営資源活用、海外研究機関との積極的な連携、グローバル生産体制の確立が必要です。これを果たすことは製造資本、人的資本、知的資本、社会関係資本の拡大につながると考えております。

 

④ お客様の期待値を満足させるQCDSの実現

 品質(Q)・コスト(C)・納期(D)・サービス(S)に対して、不適合・クレームゼロ(Q)、生産性向上(C)、お客様希望納期に対するコミット(D)、お客様ファースト(S)を果たすことで、お客様満足の実現を図ることは、製造資本、人的資本、社会関係資本の拡大につながると考えております。

 

⑤ 固定観念にとらわれず、次の50年の新常識を創造する

 事業活動から直接アウトカムにつながる取り組みであり、時間軸は長めとなります。当社グループ製品の強みである、小型・軽量・高精度を活かした積極的な挑戦が当社グループの価値拡大には重要であり、これには社会変化に敏感な感覚、非常識を受け入れる風土の醸成が必要です。これらを推進することは、長期的な人的資本、知的資本、自然資本の拡大につながると考えております。

 

※ マテリアリティと価値創造プロセスについては、当社WEBサイトに掲載

https://www.hds.co.jp/csr/hdsreport/)の統合報告書「HDS REPORT 2023」も併せてご参照ください。

 

3)リスク管理

リスクと機会については、経営方針(課題)を受けて、各部門責任者が検討し、各部門のマネジメントプログラムで具体的な活動に結びつけております。

特に、リスクについては、「危機・リスク管理規程」に則り、サステナビリティに係るリスクを特定・評価・対応する体制を構築しております。リスクを「全社リスク」と「業務プロセスのリスク」に分類し、年に1回リスク評価を実施しております。「全社リスク」については経営企画担当執行役員及び経営企画部門が把握・分析・評価を実施しており、「業務プロセスのリスク」については、各部門がリスクを抽出・特定し、内部統制監査室によって短・中・長期の時間軸で発生頻度と損害規模の観点からリスク評価を、法令と人命の観点から方針を決め、それらを合わせて総合リスク評価し、リスクマネジメントを管掌する人事・総務担当執行役員が評価結果をもとに優先順位付けを行ったうえで、代表取締役社長が承認いたします。

各リスクには、法令遵守と人命優先の観点からそれぞれの方針が策定され、部門責任者がリスク管理目標を設定するとともに、リスク内容に応じて回避、受容、低減、移転等を判断し、各リスクに見合った低減活動を実施いたします。その実施状況については、人事・総務担当執行役員が年に1回進捗をレビューし、代表取締役社長がレビューをもとに次年度の方針を示し、各部門に展開しております。

 

 

(2)気候変動

 当社グループは、気候変動に係る対応を経営上の重要課題と認識し、サステナビリティ委員会を中心に推進しております。

 

 1)ガバナンス

 当社グループの気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ全般のガバナンスに組み込まれております。詳細については、「(1)サステナビリティ全般 1)ガバナンス」を参照ください。

 

 2)戦略

 当社グループの事業に影響を与えると想定される気候変動関連のリスクと機会を特定した上で、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数のシナリオを参照の上、パリ協定の目標である「産業革命前からの気温上昇を1.5℃未満に抑える」ことを想定した政策移行への影響が大きいシナリオ(1.5℃シナリオ)、及び環境規制が強化されず物理リスクが高まるシナリオ(4.0℃シナリオ)それぞれの世界観においてTCFDが提言するシナリオ分析を実施し、顕在化時期の時間軸を短・中・長期として、各リスク・機会の事業への影響度や発生可能性を分析しました。 本シナリオ分析の結果に基づき、機会創出とリスク最小化に向けた取り組みを推進しております。

 ・参照シナリオ:IEA NZE2050(1.5℃シナリオ)、IPCC RCP8.5(4.0℃シナリオ)

 ・時間軸の定義:短期 0~3年・中期 3~10年・長期 10~30年・超長期 31年~

バリューチェーン

シナリオ

リスク/機会

関連する事業活動

リスク/機会の要因

内容

顕在化時期

発生可能性

影響度

上流

4.0℃

リスク

調達/物流

洪水、豪雨等

 自然災害(台風・豪雨等)の激甚化・頻発化により、サプライチェーンの混乱が生じ、原材料の調達遅延や停止が発生

短期

機会

調達/物流

評判

調達先の分散等により自然災害にレジリエントな物流を可能にすることでお客様からの信頼性が高まる

短期

直接

リスク

技術/生産

水不足

降水パターンの変化により水利用可能性が低下、取水制限等が実施されることで操業停止が発生、水価格高騰により生産コストが増加

中長期

リスク

技術/生産

洪水、豪雨等

海面水位上昇による沿岸部事業拠点の浸水被害増加

超長

リスク

技術/生産

洪水、豪雨等

自然災害の激甚化・頻発化により、事業拠点の損壊や操業停止、生産量の減少が発生

リスク

技術/生産

気温上昇

気温上昇により労働生産性が低下

リスク

技術/生産

気温上昇

気温上昇に対応するため、事業拠点の冷房設備の増設・更新費用、空調費用が増加

中期

下流

機会

調達/物流

評判

製造拠点の分散等により自然災害にレジリエントな物流を可能にすることでお客様からの信頼性が高まる

 

 

バリューチェーン

シナリオ

リスク/機会

関連する事業活動

リスク/機会の要因

内容

顕在化時期

発生可能性

影響度

上流

1.5℃

リスク

調達/物流

エネルギー

価格高騰

再生可能エネルギーの導入に伴うエネルギー価格の高騰

リスク

調達/物流

原材料

価格高騰

電化や脱炭素に伴う原材料価格の高騰

(鋼材・アルミ・鋼・レアアース等)

中期

直接

リスク

技術/生産

低炭素技術の開発

 低炭素製品の開発競争が激化し、対応が遅れた場合、製品の競争力が低下

リスク

技術/生産

規制強化

 サステナビリティ関連法規制等の拡大・厳格化に伴う対応負荷の増加、対応を怠ることで取引制限、罰則等に発展する可能性

短期

リスク

技術/生産

省エネ技術の普及

排出削減に向けた設備投資や省エネ化の負担増

短期

リスク

技術/生産

規制強化

カーボンプライシングにより排出に伴う支出(課税)が増加

中期

リスク

技術/生産

低炭素技術の開発

低炭素材料(グリーン材料・リサイクル材料)への切り替えのための技術開発費増加

短中期

機会

技術/生産

省エネ技術の普及

低排出設備への更新の結果、エネルギーコストの削減や炭素税の負担が軽減

中期

機会

技術/生産

低炭素技術の普及

社会の低炭素志向が促進されることによる低炭素製品(EV等)関連への売上増加

中期

機会

技術/生産

低炭素技術の開発

低炭素材料に対する需要拡大

リスク

技術/生産

既存技術の

需要減

石油・天然ガス・紙の需要減少に伴う関連用途向け製品の売上減

リスク

/機会

販売/評判

評判

気候変動対応が不十分と判断されることによるレピュテーションリスク

(社会、消費者、従業員)

 

 

 3)リスク管理

 気候変動に関するリスクと機会については、サステナビリティ全般のリスク管理(「(1)サステナビリティ全般 3)リスク管理」をご参照ください。)に含めて管理するとともに、会社全体で包括的に環境に係るリスクと機会を掌握しております。全社環境目標設定時に気候変動に係るリスクと機会を検討の上、環境マネジメントプログラムで全社へ展開し、各部門責任者は、環境マネジメントプログラムに基づき、各部門で把握した環境側面などから具体的な部門活動に取り組んでおります。

 

 

 4)指標及び目標、実績

 

① 指標及び目標

 当社グループでは、気候変動に関する長期的な指標として「2050年ネットゼロ」を目指しております。短・中期の具体的なGHG削減目標については、当社グループの経営戦略、事業拡大等を踏まえて決定するべく検討中であります。

 

② GHG排出量実績

 2024年3月期のGHG排出量実績は現在算定中のため、2023年3月期の排出量を以下に記載いたします。2024年3月期のGHG排出量実績については、算定出来次第当社WEBサイトのESGデータ集(https://www.hds.co.jp/csr/esg/)に公表いたします。

 

  当社連結グループのスコープ1とスコープ2の排出量                        (単位:t-CO2)

 

2022年3月期

2023年3月期

スコープ1

スコープ2

スコープ1

スコープ2

日本

80

13,394

81

15,418

アジア

16

416

14

264

欧州

197

2,349

103

2,494

米国

205

783

145

474

合計

498

16,942

342

18,650

 

※ スコープ2は、ロケーション基準の排出量です。

 

  当社連結グループのスコープ3の排出量                              (単位:t-CO2)

 

カテゴリー

No.

カテゴリー名

2022年3月期

2023年3月期

購入した商品・サービス

198,899

358,792

資本財

17,054

11,237

スコープ1,2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動

899

18,329

上流の物流

3,951

8,466

操業で発生した廃棄物

455

1,322

出張

104

702

従業員の通勤

212

613

上流のリース資産

0

0

上流合計

221,574

399,461

下流の物流

-

3,837

10

販売製品の加工

-

0

11

販売製品の使用

-

6,190,129

12

販売製品の廃棄

-

1,398

13

下流のリース資産

-

23

14

フランチャイズ

-

0

15

投資

-

0

下流合計

-

6,195,386

スコープ3合計

221,574

6,594,846

 

 ※1.2022年3月期のカテゴリー1・4・5・6・7の対象範囲は、当社単体になります。

 ※2.2023年3月期のデータから新たにカテゴリー9・11・12・13を算定しております。

 

(3)人的資本・多様性

 

 1)人財の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

 当社では、経営理念の筆頭に「個人の尊重」を掲げており、従業員一人一人の権利を尊重し、個人が意義のある文化的な人生と生き甲斐を追求できる企業であること、一人一人の向上心を信じ自立的な活動を援助し、仕事を通して能力が最大限に発揮できる環境を作り、能力や業績に報う企業であることを目指し、人的資本に関する各方針・制度などの環境を整備しております。

経営理念については、12ページの「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題 (1)会社の経営の基本方針」を参照ください。

 

① 人財育成方針

 当社では、「経営理念」を実現できる人財の育成を基本方針としており、以下3段階に分けた人財育成方針に基づき、育成に取り組んでおります。

 

 第一段階:教育・育成段階

  「求める人財像」の基本の徹底

 第二段階:実践段階

主に実務を通して能力向上、専門性の確立を図る中で、個人の取り組みを支援。また、戦略的に将来の幹部候補の育成を行う。

 第三段階:専門性発揮段階

マネジメント力、専門技能技術等これまで培ってきた能力・経験を発揮し、部門運営・後進育成に貢献する。(育成する側となる)

 

② 社内環境整備に関する方針

 当社グループでは、個々人が意欲的に活躍する組織を構築するため、多様な人財が活躍できる職場環境の整備に取り組んでおります。

 

多様性の確保に関する考え方

当社グループは、性別、国籍、年齢、障がい等の有無等に関係なく、全ての従業員が持てる能力を発揮し、活躍できる職場環境の構築を目指しております。女性管理職、女性役員、外国人については目標人数を設定し、多様な人財の確保に取り組んでおります。また、中途採用者も積極的に管理職に登用しており、2024年3月末日時点の当社単体管理職のうち55.4%が中途採用者であります。

 

採用に関する考え方

当社の経営理念を共有でき、当社グループに必要な能力を持った人財を確保するため、新卒を対象とした定期採用に加え、様々な経験、スキル、資格等を有し、即戦力として期待できる中途採用も積極的に実施し、多様性のある組織を目指しております。なお、当社グループでは、従前から新卒採用者、中途採用者の区別なく能力本位で管理職登用を行っており、中途採用者比率及び管理職数については十分な数となっていることから目標値は設定しておりません。2024年3月末日時点の当社単体従業員の59.6%が中途採用者で構成されております。

 

人事制度

当社グループでは、従業員の能力向上や働く意欲の向上が、経営ビジョンや目標達成を可能にするとの考えのもと人事制度を構築しております。

従業員個々の能力開発を目的に実施するジョブローテーション、従業員が将来のキャリアパスや自身の能力開発の希望を直接人事担当役員に申告できる自己申告制度、雇用形態に関係なく利用できる育児・介護休業制度など、他にも様々な制度を整備しております。特に、仕事と育児の両立支援を強化するため、出産・育児における休暇・休職・復帰制度、時短勤務、テレワーク等の諸制度で働きやすい職場環境の整備に取り組んでおります。また、女性活躍及び従業員の働き方改革の一環から、男性従業員による育児休暇制度の利用促進を積極的に推進しており、2024年3月期における当社単体の男性育児休暇取得率は81.8%でした。

 

能力開発制度

当社では、従業員の能力開発にあたり、中長期スパンによる計画的な人財育成計画を立案し、誰もが当社の従業員に求められる能力を効果的・継続的に向上・開発できる制度を構築しております。

能力開発研修には、役割に求められる能力を発揮するために階層ごとに実施する必修の「階層研修」、業務遂行とキャリア開発のために必要な「基礎研修」、業務における専門性を向上し、キャリア開発のための専門能力を習得するための「専門分野研修」、より高度な経済環境や技術水準、国際化の進展等を踏まえ、国内外の大学等高等教育機関におけるMBAやMOTなどの学位取得をはじめ、海外関係会社での海外研修や海外の大学のAEIプログラムによる語学留学など、従業員自身の自己啓発による一層の能力向上を会社として支援する「特別研修」があります。また、当社の中長期的な成長を支える技術者・技能者に対しては、社内資格制度や外部の技能検定試験の取得を積極的に支援しております。

 

健康管理の推進

当社では、従業員の健康を重要な経営資源と捉え、安全衛生と健康管理の取り組みを推進しております。具体的な取り組みは以下の通りです。

 ・ 定期健康診断、ストレスチェック等による従業員の体調とメンタル不調の未然防止

 ・ 健康推進に係る専門部署「健康推進センター」の設置と社内産業保健師によるきめ細かな健康

   相談・指導

 ・ 社内・社外にハラスメント等の通報/相談窓口の設置

 ・ テレワーク環境の提供

 

2)人財の育成及び社内環境整備に対する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績

指標

目標

実績

2025年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

女性管理職(人数)

5名

2名

2名

2名

女性執行役員(人数)

1名

1名

1名

2名

女性取締役(人数)

1名

-

-

1名

外国人(人数)

6名

3名

6名

7名

男性の育児休暇取得率

30%

55.6%

56.3%

81.8%

年次有給休暇取得率

70%

74.6%

73.2%

82.0%

 

※1. 上記は、株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ単体の指標及び目標です。

※2. 上記目標(2025年3月期)は2022年3月に、2022年4月1日から2025年3月31日を対象期間として設定したものです。

※3. 連結の指標及び目標については検討中であり、策定次第当社WEBサイトに公表いたします。

※4. 上記以外の人的資本に関するデータは、当社WEBサイトのESGデータ集(https://www.hds.co.jp/csr/esg/)に公表しております。