リスク
3 【事業等のリスク】
当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月24日)現在において、当社グループが判断したものです。
① 設備投資動向に関するリスク
当社グループの製品は、産業用ロボット、半導体製造装置、フラットパネルディスプレイ製造装置をはじめとする産業用機械の部品として販売されるものが大半でありますので、設備投資動向が当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、産業用ロボット、半導体製造装置、フラットパネルディスプレイ製造装置業界向けについては、スマートフォンや半導体デバイス並びにパネル市場の市況好転や製造技術の革新などにより大きな成長を遂げることがある反面、需給調整などによる予期せぬ市場の縮小が起こった場合、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 研究開発に関するリスク
当社グループは、モーション・コントロール分野における技術・技能集団として、研究開発部門への重点的な資源配分を実施することで、高付加価値で特長ある製品を開発し、市場投入していきます。しかしながら、研究開発への資源配分及び研究開発のための人材確保の努力を継続する一方、技術革新に追い付きお客様や市場の需要を満たす魅力的な新製品を開発できなかった場合または研究開発の成果である新製品の市場投入もしくは市場浸透が遅れた場合、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 品質に関するリスク
当社グループは、お客様満足の向上と市場における優位性を高めるために、ISO9001の認証取得をはじめとして、品質保証体制の強化に努めております。しかしながら、予期せぬ製品の不具合が発生することなどにより、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 外国為替の変動に関するリスク
当社グループは、米国に連結子会社2社、中国に連結子会社1社、韓国に連結子会社1社、欧州に連結子会社9社を有し、事業における積極的な国際化を推進しております。従いまして、為替変動は当社グループの事業活動に悪影響を与えることがあります。また、為替変動は、当社グループの外貨建取引に伴う収益・費用及び資産・負債の円換算額に影響を与え、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 退職給付債務に関するリスク
当社及び一部の連結子会社では、確定給付型の退職年金制度または退職一時金制度を設けておりますが、退職給付債務及び退職給付費用の計算の基礎となる条件の見直しや、年金資産の運用環境悪化等が、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、2016年12月1日より、確定給付企業年金制度の一部を確定拠出年金制度へ移行しております。
⑥ 生産に関するリスク
当社グループは、生産能力の向上及び増強に努めておりますが、生産能力が計画どおりに向上する保証はありません。また、当社グループは、生産能力を向上させるため、特に国内の工場が位置する地域において生産業務に携わる従業員を雇用する必要がありますが、当社グループがその労働力需要を満たす能力は、多くの外部要因(工場が位置する地域において適切な従業員を確保できる可能性、当該地域の失業率、給与水準及び人口動態等)に左右されます。計画どおりに生産能力が向上したとしても、お客様が求める水準またはスピードを満たすよう生産ができる保証はありません。
他方で、当社グループの商品に対するお客様の需要が当社グループの予想を下回った場合、当社グループの生産能力が十分に活用されず、投下資本等を回収することができないか、または回収できるとしても想定より長い期間を要する可能性があります。
これらの場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 調達に関するリスク
当社グループは、幅広いサプライヤーから原材料、部品及び生産設備を購入しておりますが、サプライヤーの供給不足、費用増加またはその他の理由により当社グループの利用量が制限される可能性があります。原材料、部品及び生産設備の価格上昇または利用制限があった場合、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 人材の確保に関するリスク
当社グループの事業においては、事業及びノウハウに関する深い知識と高い技術を有する研究者その他の技術者を含む熟練した従業員並びに能力の高い役員を確保する必要があり、かかる従業員または役員を確保できなかった場合、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの人材が競合他社に流出した場合、当該人材を通じて競合他社に当社グループの技術やノウハウが漏れ、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 海外事業の展開に関するリスク
当社グループは、グローバルに事業を展開しているため、次のような海外事業展開に関するリスクがあります。
・各国の政治情勢及び経済状況の変化及び社会的混乱
・海外市場の関連産業における景気の減速または後退
・各国の予期しない法律や規制の変更(移転価格問題、当社の在外子会社及び関連会社による送金その他の支払いにかかる源泉徴収その他の税金の賦課または増税等)
・各国における許認可の取得及び維持の困難性及び不確実性
・取引制限または関税の変更
・テロ、戦争、自然災害、悪天候、感染症その他の制御不能な要因
・当社グループが事業を行っている国もしくは地域と日本との間の、またはかかる国もしくは地域間の政治的、経済的関係の悪化
・各国の政府による投資制限及びその他の規制の実施または増加
・人件費の著しい増加及び賃金上昇
・労働紛争、争議行為、ゼネストまたは労働環境におけるその他の障害
・開発途上のインフラによりもたらされる予期せぬ事故(停電等)
・文化の違いやその他の要因による現地の人材及び事業の管理の困難性
・一部の国における限定的な知的財産権の保護
また、海外における事業の展開に際しては、投下資本の回収が当初の計画どおりに進まない場合があり、収益の増加よりも早く費用の増加が生じることがあります。これにより、当社グループの業績及び財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
⑩ M&A及び事業提携等に関するリスク
当社グループは、ドイツ子会社ハーモニック・ドライブ・エスイーの買収をはじめ、様々な業務及び資本提携並びに合弁事業を行っており、適切な機会があれば、さらなる買収(M&A)や事業提携等を行う可能性があります。これらを行う際は、利益性及び投資利益率の見込みを慎重に検討しますが、実施時に見込んだ計画どおりに進捗しない可能性、シナジー効果を実現できない可能性、買収した事業を成功裏に経営できない可能性があります。これらの場合、買収や事業提携等にかかるのれんや無形固定資産の減損等を通じ、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 事業戦略の実現に関するリスク
当社グループは、良好な財政基盤を維持しつつ生産能力を増強させることを含め、事業戦略を推進しております。しかしながら、事業戦略の実現や目標の達成は様々な要因(当社グループが事業を行う地域における一般的な経済環境及び市場環境、競争や需要の水準等)に左右されるため、当社グループの事業戦略の実施が意図したとおりの効果をもたらさない可能性、実際の数値が事業計画の前提と異なる可能性、設定した目標が達成されない可能性があります。また、かかる目標が将来的にさらに変更される可能性もあります。
⑫ 競合に関するリスク
当社グループは、減速装置及びメカトロニクス製品の市場において高い市場占有率を持つ製品を多数保有しております。新規参入者により競争が激化した場合、製品の利益率の悪化や販売の機会損失の発生により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 知的財産に関するリスク
特許及び商標を含む知的財産権並びに企業機密情報を含むノウハウは、当社グループにとって重要な競争力の源泉であり、その保護に努めていますが、当社グループの権利が干渉を受けた場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが事業活動の中で他者の知的財産権を意図せず侵害した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑭ 訴訟その他の法的手続きに関するリスク
当社グループの事業活動において、予期せぬトラブル・問題が生じた場合、当社グループの責任の有無にかかわらずこれらに起因する損害賠償の請求や、訴訟等の提起を受ける可能性があります。かかる訴訟等は、とりわけ製品、環境責任及び特許権侵害の申立て等の知的財産に関する問題に関連して生じる可能性があります。これらの事象が発生した場合は、提訴内容や損害賠償額の状況及びその結果によっては当社グループの社会的信用が低下することに加え、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑮ 法令及びコンプライアンスに関するリスク
当社グループの事業活動は、貿易、反トラスト、知的財産、製造物責任、労働関連法令、コーポレート・ガバナンス、個人情報保護、環境法令、政府の許認可、課税、国家間の国家安全保障に関する法令及び国家安全保障のための輸出入の規制を含む、各国における規制の対象となっております。当社グループのリスク管理体制、コンプライアンス体制及び内部統制システムを維持する努力が効果的でないかまたは不十分である場合、当社グループは(従業員または第三者によって行われたかを問わず)不正行為または腐敗行為に関与する可能性があり、また法令を遵守していないとみなされる可能性があります。これらにより、当社グループに制裁または罰金が科せられる可能性があり、また当社グループの事業及びレピュテーションに悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、今後、法規制が強化された場合や、事業活動を展開する地域が拡大した場合、法規制への対応に追加費用を要することとなり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑯ 環境法令及び有害物質に関するリスク
当社グループの事業は、特に製造プロセスにおいて、使用、貯蔵、排出及び廃棄に厳しい規制がかかっている化学物質等の使用を伴うため、当社グループが事業を展開している国々において幅広い環境法令及び規制の対象となっております。また、当社グループは、エネルギー及び資源保護、リサイクル、地球温暖化、汚染防止、並びに環境衛生及び安全性について、様々な法令及び工業規格の対象となっております。環境法令は、今後、規制が強化される可能性があります。その場合に当社グループの一部の生産及び一部の活動が制限もしくは禁止されてしまう可能性、または是正措置命令を受け、これの実行に伴う費用、適用された環境法令に準拠するために必要となる設備投資その他の費用が相当な金額になる可能性があります。これらによって、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑰ 資金調達に関するリスク
当社グループのコミットメントライン契約等の一部借入金の契約には、財務制限条項が付されているものがあります。今後、当該財務制限条項への抵触があった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、市場金利の急激な上昇等によって借入金に係るコストが増加した場合にも、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑱ その他のリスク
当社グループだけでは避けることのできない、経済や政治環境の変化、テロ、戦争、自然災害、悪天候、感染症その他の制御不能な要因などの予期せぬ事象が発生した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、業績に応じた配当を行うこととし、連結配当性向30%を目処とすることを基本方針といたしております。
また、当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の2回を基本方針としております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。なお、短期的に大きな業績変動が生じた場合には、一定の安定配当の実施にも配慮する方針です。
当事業年度の剰余金の配当につきましては、株主各位への利益還元と企業体質の強化並びに今後の事業展開を勘案し、1株当たりの中間配当10円、期末配当10円としております。内部留保金につきましては、製品需要に応えるための設備投資、新しい市場を開拓するための新製品の研究開発に関する投資、生産性・業務効率向上のための情報管理システムの整備に投資し、また、機動的な資本政策の遂行に備えてまいります。
なお、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当をすることが出来る旨を定款に定めております。
(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。