2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書提出日(2024年6月28日)現在において、当社グループの経営成績および財政状態に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには以下のようなものがありますが、すべてのリスクを網羅している訳ではありません。当社グループの事業等にとって現時点では未知のもの、あるいは重要と見なされていない他のリスクについても、将来的に影響を受ける可能性もあります。

 

[リスクマネジメントについて]

(1)基本的な考え方

事業を継続的に維持・発展させていくためには、企業の社会的責任を果たすとともに、事業活動を遂行する上で発生しうる様々なリスクを適切に管理することが不可欠です。

このため、当社グループでは、「リスクマネジメント基本方針」を定め、経営に重大な影響を及ぼす様々なリスクについて、その要因を継続的に抽出・把握し、リスクの未然防止と損失極小化に努めております。

(2)推進体制

実効的かつ効率的にリスクマネジメント活動を推進するため、当社グループでは、「サステナビリティ委員会」統括のもと、環境、品質、安全衛生、コンプライアンス・危機管理、倫理等の委員会を設置しております。これらの委員会が互いに連携をとりながら、リスク要因の抽出・把握と未然防止に重点を置いた諸施策を継続的に実施することで、グループ全体でのリスク対策を推進しております。

また、万一リスクが発生した場合に損失極小化を図るため、グローバルでの緊急連絡体制を整備・運用しております。

(3)主な取り組み

当社グループでは、グループ各社を取り巻くリスクの状況とその対応状況を定期的に評価しております。環境、品質、安全衛生、コンプライアンス・危機管理、倫理等の各委員会では、この評価結果を踏まえ、分野ごとに具体的なリスクマネジメント活動を行っております。

2023年度は、気候変動対応、人権・労務リスク管理、サプライチェーンリスク管理、危機管理体制強化、サイバーセキュリティ対策強化の5点に取り組みました。これらの活動は当社のサステナビリティ委員会に報告され、都度必要な指示を受けております。

 

 

[各種リスクについて]

(1)経営環境に関するリスク

① 市場環境変動のリスク

当社グループがターゲットとする市場において、景気の下ぶれなどによる設備投資の減少や企業の稼働状況の悪化に伴う需要減少、特に当社グループにおける最大顧客である自動車業界において急激な需要変動や構造変化(内燃機関搭載自動車の生産台数減少、設備投資の縮減など)があった場合には、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

影響度

中~重大

対 策

市場ニーズに基づいたオンリーワン商品の開発に注力し、売上高の拡大・利益の確保に努めております

 

 

② 気候変動に関するリスク

当社グループは、「長期ビジョン2030」および「中期経営計画2025」において、当社グループのCO2総排出量削減目標を設定し、「2050年カーボンニュートラル達成」に向けた取り組みを強化しておりますが、気候変動や環境規制への対応が遅れた場合には、事業機会の損失や調達コスト上昇などのリスクが見込まれます。

また、気候変動による自然災害の激甚化により事業活動の継続が困難になるなど、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

影響度

中~重大

対 策

気候変動の影響を「移行リスク」と「物理的リスク」に分けてシナリオ分析を実施し、リスクと機会を特定。それぞれに対応策を定めております。また、CO2排出を削減するための活動計画を定め、「環境委員会」を中心にグループ全体で活動のPDCAを回しております

 

③ 海外での事業展開に伴う地政学的なリスク

当社グループはグローバルに事業を展開しており、連結売上高の60%以上が海外売上高となっております。当社グループが事業展開している国や地域において、政治的・軍事的な要因により、テロや戦争・紛争などが発生した場合には、当該地域での製品販売の減少や工場操業の停止、当該地域からの部品調達に支障が生じるなど、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

影響度

中~重大

対 策

グローバル生産体制の強化や生産拠点、調達先を分散させることなどにより当社グループ全体に与えるリスクの低減を図っております

 

④ 為替レート変動のリスク

当社グループがグローバルに事業展開を行う中、想定を超える急激な為替変動があった場合には、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

影響度

小~中

対 策

為替予約を分散して行うほか、生産・調達の現地化を推進することでリスクの低減を図っております

 

 

(2)事業運営に関するリスク

 ① 品質に関するリスク

当社グループは、モノづくり企業として「品質不良ゼロ」を目指したモノづくりを行っています。そのモノづくりにおいて、製品の不具合による重大な事故、リコール、クレームまたは品質不正等が発生した場合には当社のブランドイメージを悪化させるほか、補償費用やその他の費用が製造物責任保険等によってカバーしきれない場合には、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

影響度

中~重大

対 策

「つばきグループ品質基本方針」に基づき、グループ品質委員会の下、高品質の追求と品質管理の徹底に努めております

 

② 情報セキュリティに関するリスク

当社グループに対するサイバーアタック等により、当社グループのシステムの停止やセキュリティ上の問題、損害が発生した場合には、当社のブランドイメージを悪化させるほか、サイバーリスク保険等によってカバーしきれない場合には、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

影響度

中~大

対 策

「電子情報セキュリティポリシー」に基づく、技術的対策、従業員への教育、定期的な情報セキュリティ監査の実施、第三者機関による脆弱性診断などにより、情報セキュリティリスクの低減に努めております。

また、インシデント発生時のサイバーセキュリティ対策の体制構築に努めております

 

 

③ 人権に関するリスク

当社グループが事業を展開する国や地域において、ステークホルダーの人権に対する対応が適切でない場合は、社会的評価の低下等により当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

影響度

中~大

対 策

企業倫理強化月間を定め、国内・海外グループ会社でコンプライアンス意識向上活動を展開するとともに、人権基本方針の明文化やヘルプラインの設置、ハラスメント防止活動を展開し、リスクの低減に努めております。また、国内・海外グループ会社に人権デュー・デリジェンスを実施し、リスクの特定に努めております

 

④ サプライチェーンに関するリスク

当社グループがグローバルに事業展開を行う中、サプライチェーンもグローバルに広がっております。当社グループのサプライヤーが事業展開を行っている国や地域において、政治的、経済的な要因により経済の一時的混乱や停滞が発生した場合またはサプライヤー個別の事由により供給の急激な変動や価格の高騰等が発生した場合には、当社グループの部品調達や工場操業が困難になり、当社グループ製品の生産減少、遅延などの問題が発生し、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

影響度

中~重大

対 策

代替できない材料・部品等の併注化やグループ間での調達先情報の共有による供給先の多様化を図っております。また調達先とのパートナーシップ強化に努めております

 

⑤ エネルギー・素材(原材料)価格高騰のリスク

当社グループが事業活動を行うために必要なエネルギー価格や、生産のために使用する鋼材等の素材(原材料)価格が急激に高騰した場合には、費用増加による収益性悪化を招き、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

影響度

中~大

対 策

生産性向上活動に注力し原価低減に努めるとともに、調達先の複数化などに取り組んでおります。また、サプライヤー・顧客双方と交渉し、時勢に応じた仕入れ・販売価格の実現に努めております

 

⑥ 災害や疫病流行等のリスク

当社グループの主要生産拠点の所在地域において、重大な災害(地震や風雨などの自然災害、事故やテロ等の人的災害)の発生や、重篤な疫病が流行した場合には、当社グループ生産拠点の被災や従業員の罹患などによる生産活動の停滞などにより安定した製品の供給ができなくなり、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

影響度

中~大

対 策

不測の災害等に備え、「つばきグループBCP基本方針」を制定し、防災訓練や防災・減災備品の備蓄などを行っております。また、コンプライアンス・危機管理委員会の下、BCP体制強化を図っております

 

⑦ 知的財産権侵害のリスク

当社グループは、製品の開発・改良を通じて多くの特許や商標、ノウハウ等のさまざまな知的財産を保有しております。しかし、第三者の不正利用等による知的財産権への侵害が発生した場合や第三者により知的財産権侵害の訴訟を起こされた場合には、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

影響度

中~大

対 策

規定類の整備のほか、知的財産権に関連して他社情報の収集を行うとともに、自社権利(ノウハウ含む)の適切な管理に努めております

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営の重要課題の一つと位置付けております。

利益の配分に当たっては、株主重視の経営を目指す観点から、連結業績を反映した配当を基本方針とし、資金の状況、財務の状況等を総合的に勘案しながら、従来、連結配当性向30%を基準とした利益配分を目指しておりました。

上記の方針に基づいて、当期の期末配当金につきましては、1株当たり100円とさせていただくことにいたしました。これにより年間配当金は、中間配当(1株当たり60円)とあわせて、1株当たり160円となります。内部留保資金につきましては、財務体質の強化、将来の事業展開等に充当させていただく予定です。

当社の剰余金の配当は、中間配当および期末配当の年2回を基本的な方針としております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。

また、当社は「取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として中間配当をすることができる。」旨を定款に定めております。

(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

 

決議年月日

配当金の総額
(百万円)

1株当たり配当金
(円)

2023年10月31日

取締役会決議

2,174

60.0

2024年6月27日

定時株主総会決議

3,585

100.0

 

 

なお、2024年5月14日に公表いたしました「配当方針の変更に関するお知らせ」のとおり、2025年3月期より、連結配当性向35%以上を基準とした配当の実施を通じて、株主の皆様に対する利益還元の一層の充実を図ることとしました。