3 【事業等のリスク】
本文中における将来に関する事項の記述については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1) リスクの管理体制
当社グループは、代表取締役を最高責任者として、3線モデルを基本とするリスクマネジメント体制を構築しています(下図)。リスク対応の実行主体である事業部門(第1線)が行うリスク管理を、コーポレート部門をはじめとするリスク所管部署(第2線)が支援、指導、監督します。また、第1線及び第2線のリスク管理の取り組みを、監査部門(第3線)が監査します。
リスクマネジメント体制(2025年12月期)
当社グループは、これらの取り組みを全社的な観点でモニタリング、対応指示及び進捗管理を行うために、代表取締役を委員長、コーポレート部門長、事業部門長、グループチーフオフィサー等を委員とするリスクマネジメント委員会を設置しています。同委員会は以下の事項を所管しており、2024年12月期は3回開催しました。委員会の取り組み状況等については、必要に応じ取締役会へ報告を行います。
① リスクマネジメント委員会の所管事項
1) リスク管理体制の企画及び立案並びに関連規程の整備
2) リスクアセスメント結果を踏まえたシビアリスク(経営層が中心となって組織横断的に優先管理すべきリスク)の選定
3) シビアリスクの対応方針の決定、指示、進捗管理及びモニタリング
4) 年次レビューの実施及び結果のフィードバック
5) リスク意識の向上のための各種情報共有、その他リスクマネジメントの重要性、考え方及び手法等に関する教育・訓練・研修等の実施方針の決定、指示
6) 危機対応に関する教育訓練及び演習等の対応方針決定、指示
② 平常時及び非常時の体制
当社グループのリスクマネジメント体制は、平常時はリスクマネジメント委員会が上記①の活動を行い、リスクが顕在化する前に、その可能性や被害の極小化に努めています。
リスクが顕在化し、危機対応を行うべき事態が発生した際は速やかにBCP推進体制へ移行します。
(2) 主要なリスク(シビアリスク)の選定及び対応のフロー
(3) 主要なリスク(シビアリスク)の評価と対応
当社グループにおいて「シビアリスク」と呼称しており、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性があると経営者が認識している主要なリスクは次のとおりです。ただし、これらは当社グループのすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。
① 主要なリスク(シビアリスク)の一覧
② 主要なリスク(シビアリスク)の内容と対応策
リスクテーマ
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リスク項目
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リスク評価
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影響度
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発生可能性
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顕在化時期
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1) 事業環境の変化
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市場環境の変化
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大
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高
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1年以内
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経済危機、景気変動
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大
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中
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1年以内
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重要顧客の喪失
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大
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やや高
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特定時期なし
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政変、革命、戦争、内乱、 紛争、暴動、テロ
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大
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低
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1年以内
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リスクの説明
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世界的なインフレや金利上昇、中国経済の減速、各国の政策の大幅な転換、世界各地で発生した紛争や政変など、経済動向に悪影響を与え得る事象が引き続き見られます。当社グループの主たる製品は物流システム等の設備であり、景気変動やお客さまの設備投資動向が売上に大きく影響します。特に半導体業界を主体とするエレクトロニクス業界は、技術革新のスピードが非常に早く、AIの利活用の加速による半導体需要増が見込まれるものの、同業界の設備投資動向は短期間で急速に変化するため、業績に想定以上の影響を及ぼす可能性があります。 一方で、少子高齢化や人手不足による自動化・省人化ニーズの高まり、グローバルサウス諸国の経済発展、自動車産業のxEV(BEV、HEV、PHEV、FCEVなど電動車の総称)の需要拡大、国際的な人の往来回復など、これら中長期の経済・社会のトレンドが当社グループの受注・売上増に好材料となり得ます。
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リスク対策
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当社グループを取り巻く事業環境は絶えず変化しているとの認識の下、経済情勢、市場環境、お客さまのニーズの変化や投資動向等を注視し、経営計画・事業計画への機動的な反映に努めています。
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リスクテーマ
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リスク項目
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リスク評価
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影響度
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発生可能性
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顕在化時期
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2) 調達・ サプライチェーン
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原材料・部品・購買品等の調達遅延・不足・不能
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やや大
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高
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1年以内
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リスクの説明
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当社グループが製造・提供する主たる製品は、多種多様な部品・部材で構成される物流システムであり、部品・部材の調達の成否及び停滞により当社製品の生産、工事、サービスの提供の遅れに繋がる可能性があります。半導体等、部品の世界的な供給不足は落ち着きを取り戻したものの、依然としてエネルギー価格・部品及び原材料価格の高騰、物流コストの上昇が想定されます。加えて、当社グループの安定的な調達活動にあたっては、サステナブル調達、下請法コンプライアンス等への対応が不可欠です。これらの取り組み不足は当社グループのレピュテーション低下を招くだけではなく、サプライチェーンにおける中長期的な関係の構築・維持に失敗し、部品・部材の調達遅延・不足・不能のリスクにつながり得ると考えています。
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リスク対策
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部品等の価格高騰・調達困難などを十分考慮して、コストや納期を管理するとともに、受注する案件の契約条件等に留意して影響の最小化を図っていきます。2024年12月期においては、サプライヤーとの調達価格協議状況の把握や、サプライヤー関連情報を可視化するシステムを導入しました。加えて、「SCM委員会」※の運用を開始しました。同委員会では、与信管理体制の高度化や生産・工事系業務におけるコンプライアンスの徹底を図るとともに、サステナブル調達活動とサプライチェーンの最適化に向けた施策を事業横断的に展開しています。 ※ SCM委員会:Supply Chain Management委員会
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リスクテーマ
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リスク項目
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リスク評価
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影響度
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発生可能性
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顕在化時期
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3) 成長戦略
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新規領域創出・技術開発
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大
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高
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5年以内
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リスクの説明
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当社グループは、産業界の幅広い領域をカバーする総合マテリアルハンドリングメーカーとして成長してきました。今後、当社グループの持続的な成長を図るためには、既存事業の伸長に加え、新規領域、新規事業の創出が不可欠であると考えています。しかしながら、近年の産業構造や社会情勢はダイナミックに変化しており、それらをタイムリーに捕捉した上で当社グループの業績拡大をもたらす新規領域、新規事業を創出するには一定程度の時間を要するものと考えています。 また、AIやIoT技術の進展により、マテリアルハンドリング業界においても物流や製造プロセスのさらなる無人化・最適化が進んでおり、これに対応するための技術開発力や人材の確保が重要となっています。これらの技術を活用した新製品やサービスの開発が遅れると、市場での競争力を失うリスクが高まります。
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リスク対策
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これまで事業部内で取り組んでいた新領域における事業拡大の取り組みに加え、SDGs、新技術、未来トレンドを起点にした新規事業の検討、及びAIや先端技術分野の技術開発を進めるため、2024年4月にビジネスイノベーション本部を発足させました。2025年12月期には新規技術及び事業のアイデアに関する社内公募を実施します。
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リスクテーマ
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リスク項目
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リスク評価
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影響度
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発生可能性
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顕在化時期
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4) 人材関連
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人材育成の取り組み不足
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やや大
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高
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3年以内
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従業員(作業者)の不足
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やや大
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高
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3年以内
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後継者(管理職)教育
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大
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中
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5年以内
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人材の確保・社員の離職
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やや大
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高
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1年以内
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リスクの説明
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当社グループの持続的な発展には、次世代を担う後継者の教育及び育成が重要と考えています。世界的な人手不足の中、マテリアルハンドリング業界においても、特に技術者・技能者不足の深刻化が懸念されており、当社グループにおいても専門的知識や技術を持った人材の不足による競争力低下をリスクと捉えています。これらのリスクが顕在化することにより、事業運営の継続性や技術・技能のノウハウ、優位性が失われ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
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リスク対策
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当社グループでは、キーポジションの後継者計画を更新し、後継候補者の育成に努めています。2024年12月期には、事業部門を跨いだ部長クラスの異動によるグループ人材の活用や新任部長研修のコンテンツ拡充による育成プログラムの整備、海外ナショナルスタッフ向け育成支援プログラムの構築なども進めています。 従業員のエンゲージメント向上に関しては、国内グループ会社を対象にエンゲージメントサーベイを実施(回答率98%)し、役員、各事業部門及び各本部に対して結果報告会を開催しました。2025年12月期からは、組織ごとの課題対応施策の検討をワークショップ形式で実施し、組織課題に対する改善活動に取り組んでいきます。なお、2024年3月期にサーベイを実施した海外子会社については改善に向けたアクションプランのフォローを行いました。 採用手法の多様化にも取り組んでおり、夏季インターンシップ(5日間コース)では前年比1.5倍の学生を受け入れ、応募者と募集職種のマッチングを推進しています。キャリア採用については、ダイレクトリクルーティングの活用拡大に加え、ジョブリターン・エントリー制度の対象者を拡充し、自己都合退職者の再入社を受入れる仕組みを構築しています。
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リスクテーマ
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リスク項目
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リスク評価
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影響度
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発生可能性
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顕在化時期
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5) グループガバナンス
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子会社の管理不備
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大
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やや高
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特定時期なし
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グループ会社の不祥事
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大
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中
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特定時期なし
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リスクの説明
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2024年12月期の当社グループの連結会社数は66社、従業員数は11,042名となりました。そのうち連結海外子会社の従業員数は6,810名(61.7%)です。このようにグループ規模が拡大している中、国内外の子会社の管理が行き届かず、不正・不祥事の発生や組織運営の失敗により、当社の社会的信用の低下や業績の悪化を招く可能性があります。
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リスク対策
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当社グループでは、買収した海外子会社の管理体制の把握及び整備支援を継続しています。特に、比較的リスクが高いとみられる海外子会社の手がける大型プロジェクトについて、所管事業部門と連携し、契約リスク管理を強化しています。また、内部監査部門と連携し、オンライン会議及び現地訪問を通じて状況把握とコミュニケーションラインの構築を進めています。
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リスクテーマ
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リスク項目
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リスク評価
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影響度
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発生可能性
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顕在化時期
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6) 自然災害
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大規模な自然災害(例:大規模地震、津波、風水害等)
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大
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低
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特定時期なし
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リスクの説明
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地震、台風、津波など大規模な自然災害発生に起因する当社グループの生産設備や拠点・従業員への被害発生、ライフラインの停止等により企業活動が中断するリスクがあります。発生した事象が甚大な場合(南海トラフ地震、超大規模台風など)は、影響は想定より大きくなる可能性があります。
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リスク対策
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BCPの実効性を高めることを目的に、安否確認システムの導入、初動対応マニュアルに基づいた定期的な訓練の実施、防災備品の拡充などを進めています。 当社グループでは、震度5強以上の地震、長期間の復旧活動が必要となる災害、その他長期にわたるライフライン断絶等の事業に重大な影響を及ぼす事象が発生した場合、又は発生が予想される場合に、必要に応じて現地災害対策本部を設置します。 2024年12月期には、南海トラフ臨時情報が発表された際に、速やかに社内に対策本部準備室を設置できる体制を整えました。準備室では、収集した情報を関係部門と共有し、政府や自治体が示す防災対応を踏まえ、業務継続を基本として従業員に適切な防災・安全対策を指示します。
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リスクテーマ
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リスク項目
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リスク評価
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影響度
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発生可能性
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顕在化時期
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7) 情報セキュリティ
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機密情報の人為的な漏えい
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大
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中
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特定時期なし
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サイバー攻撃
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大
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中
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特定時期なし
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リスクの説明
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近年、世界的に内部不正による情報漏洩やサイバー攻撃が増加傾向にあり、情報セキュリティに対する脅威が非常に高まっています。これらのリスクが顕在化することにより、重要な情報資産の流出や不正利用、企業活動の中断、当社グループのレピュテーションの毀損など、当社グループの企業活動の継続や業績に悪影響を与える可能性があります。
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リスク対策
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機密情報の人為的な漏洩に関する対策として、情報セキュリティの人的管理・物理的管理・組織的管理に取り組んでいます。グループ全体として情報セキュリティに対するマネジメントが適切に整備、運用されているかを確認・評価するために、情報セキュリティ監査のグローバル展開を進めています。2024年12月期は、国内7部門、海外子会社10社の監査を実施しました。また、各社・各部門内に情報セキュリティ監査員を育成、設置して自律性を高めることで、グループとしての情報セキュリティレベルの向上に努めています。さらに、サプライチェーン全体でのサイバーセキュリティ確保のため、委託先における情報管理状況のチェック等を実施しています。個人情報管理としては、特に配慮が必要な情報を最重要個人情報に区分し追加の管理策を実施するとともに、国内外で1,000名を超える従業員に対して研修を実施することで個人情報の安全管理の徹底を図っています。 サイバー攻撃については、情報セキュリティ委員会を軸にCSIRT※を運営し、サイバー攻撃を受けた場合の影響範囲や損害の特定、被害拡大防止の初動対応、再発防止策などを整備しています。また、従業員に対しては、多言語に対応した動画コンテンツによるeラーニングや標的型攻撃を想定したメール訓練などを定期的に実施しています。 ※ CSIRT:Computer Security Incident Response Team:サイバー攻撃による情報漏洩など、コンピューターセキュリティにかかる事故に対処するための組織
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