2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    3,903名(単体) 42,801名(連結)
  • 平均年齢
    43.6歳(単体)
  • 平均勤続年数
    14.2年(単体)
  • 平均年収
    8,038,089円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

プリンティング・アンド・ソリューションズ

28,631

[1,740]

マシナリー

1,951

[276]

ドミノ

3,412

[119]

ニッセイ

897

[47]

パーソナル・アンド・ホーム

2,936

[115]

ネットワーク・アンド・コンテンツ

3,179

[27]

その他

1,064

[109]

全社(共通)

731

[30]

合計

42,801

[2,463]

(注)1.従業員数には、パートタイマー、期間従業員等を含んでおります。

2.臨時従業員数(主に派遣社員)は、[ ]内に当連結会計年度の平均人員を外数で記載しております。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

3,903

[563]

43.6

14.2

8,038,089

 

セグメントの名称

従業員数(人)

プリンティング・アンド・ソリューションズ

2,076

[172]

マシナリー

815

[261]

ドミノ

153

[31]

パーソナル・アンド・ホーム

235

[24]

ネットワーク・アンド・コンテンツ

29

[3]

その他

70

[48]

全社(共通)

525

[24]

合計

3,903

[563]

(注)1.従業員数には、パートタイマー、期間従業員等を含んでおります。

2.平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含んでおり、また出向者を除いて算出しております。

3.臨時従業員数(主に派遣社員)は、[ ]内に当事業年度の平均人員を外数で記載しております。

4.従業員数は他社からの出向者(12人)を含めた就業人員であり、他社への出向者(307人)を除いております。

5.60歳定年制を採用しております。

 

(3)労働組合の状況

当社の労働組合は、ブラザー工業労働組合と称し、上部団体には加入しておらず、2025年3月31日現在の組合員数は2,700人(国内出向者55人を含む)であります。

また、連結子会社であるブラザー販売株式会社において、UAゼンセンブラザー販売労働組合があります。2025年3月31日現在の組合員数は332人であります。

なお、労使関係について特に記載すべき事項はありません。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

①提出会社

当事業年度

管理職に占める

女性労働者の割合(%)

(注)1.

男性労働者の

育児休業取得率(%)

(注)2.4.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1.5.

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

6.8

79.6

76.0

74.3

80.1

 

②連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める

女性労働者の割合(%)

(注)1.

男性労働者の

育児休業取得率

(%)

(注)4.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1.5.

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

ブラザー販売㈱

4.7

84.6

(注)3.

67.5

69.2

77.3

㈱ニッセイ

2.8

44.4

(注)2.

60.1

69.8

43.0

㈱エクシング

4.7

75.0

(注)2.

68.8

71.7

52.3

㈱スタンダード

2.6

(注)2.

64.1

79.4

93.2

㈱ビートップスタッフ

14.3

100.0

(注)2.

76.0

75.3

74.6

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。

4.男性労働者の育児休業取得率について、各社ごとの対象者数は下記の通りです。

提出会社:108名、ブラザー販売㈱:13名、㈱ニッセイ:18名、㈱エクシング:8名、

㈱スタンダード:0名、㈱ビートップスタッフ:1名

5.男女の賃金格差については、等級及び職種別人数構成の差によるものであります。性別による賃金体系及び制度上の違いはありません。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ

 

 ①ガバナンス

 「サステナビリティ基本方針」※に基づく各種活動を推進することを目的として、2022年4月にサステナビリティ委員会を設置しました。サステナビリティ委員会は代表取締役社長を委員長とし、常務以上の執行役員、事業統括執行役員、その他必要な機能として委員長が指名する者により構成されています(以下、当委員会の委員長を「サステナビリティ委員長」といいます)。

 サステナビリティ委員会の傘下に特定分野ごとの各種サステナビリティ活動を推進することを目的として、分科会を設置しています。各分科会には、分科会活動を統括する者として、分科会オーナーを置いています。分科会オーナーには、サステナビリティ委員長が指名する執行役員または関連性の高い機能を担う部門の部門長が就くものとしています。各分科会は、該当する分科会オーナーの招集により、適宜開催されます。

 分科会を新設・改廃する場合には、サステナビリティ委員長の判断でサステナビリティ委員会を開催のうえ、その目的や役割、必要に応じ分科会オーナーや構成メンバー等の必要事項を明確にした上で、委員長の決裁により行うものとしています。

 サステナビリティ委員会の開催には定例会と臨時会があります。臨時会は必要に応じてサステナビリティ委員長が招集するものとしています。毎年度の年間計画立案時には、ブラザーグループとして取り組むべき重点課題・施策をサステナビリティ委員会で審議したうえで、各組織・部門の年間計画へ展開すること、その進捗についてはサステナビリティ委員会にて報告するとともに、目標変更が必要な場合にはサステナビリティ委員会での審議・承認を受けることとしています。

 以下の重要事項を策定、改訂する場合には、サステナビリティ委員会または分科会で検討のうえ、社長、及び役付執行役員で構成される戦略会議で審議し、取締役会で決議を行います。

・サステナビリティ基本方針の策定、改訂

・マテリアリティの特定、変更

・サステナビリティ目標の策定、変更

・その他、サステナビリティに関する重要な事項

 サステナビリティ委員長またはその指名を受けた者は、定期的に取締役会において、サステナビリティ委員会の活動計画及び活動実績について報告を行っています。

 また、統合報告書の開示に関しては、投資家を中心としたステークホルダーへの説明責任を適切に果たすため、企画と最終的な開示の二段階において、サステナビリティ委員会が内容について報告を受けます。加えて、企画・制作・開示のすべての段階にわたって、開示プロセスが適切であるかどうかを内部監査部門がモニタリングをします。

 

     サステナビリティ推進体制

 

※「サステナビリティ基本方針」

ミシンの修理業から始まったブラザーは、働きたい人に仕事をつくるために輸入産業を輸出産業にするという志のもと、ミシンの生産を始めました。壊れにくい国産ミシンを作ろうという思いは、お客様を第一に考える“At your side.”の精神として、すべての活動の礎である「ブラザーグループ グローバル憲章」に受け継がれ、お客様への価値提供を増大させ、そこから生まれる成果をステークホルダーや地球環境への貢献に活かすことで企業価値を高めてきました。

ブラザーグループはこれからも、お客様の課題、ひいては社会の課題に向き合い、取り組むべきマテリアリティ(重要社会課題)を定め、解決することで、「世界中の“あなた”の生産性と創造性をすぐそばで支え、社会の発展と地球の未来に貢献する」というブラザーグループビジョン「At your side 2030」の実現、及び国連が定めた「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成を目指してまいります。

 

 ②戦略

 ブラザーグループは、“At your side.”の精神のもと、持続的なお客様への価値提供と、事業を通じた社会課題の解決を図るべく、サステナビリティを重視した経営を実践しています。

 ブラザーグループビジョン「At your side 2030」においては、当社グループのあり続けたい姿を「世界中の“あなた”の生産性と創造性をすぐそばで支え、社会の発展と地球の未来に貢献する」と定めています。この“社会の発展”と“地球の未来”への貢献に向けて、重要な社会課題として2022年に5つのマテリアリティを特定しました。その後、環境の変化などを踏まえてマテリアリティを見直し、2025年に6つのマテリアリティに再定義しています。

 ブラザーグループは今後も、これらのマテリアリティを解決することで、サステナビリティを重視した経営の更なる高度化を目指します。

 

 ③リスク管理

 ブラザーグループは、グループの経営に大きな影響を与える恐れのあるリスクを低減することを目的として、代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会を設置し、「ブラザーグループリスク管理規程」に基づく総合的なリスク管理体制を構築しています。当社グループの各組織及び各子会社はリスクとその発生可能性を把握し、影響の軽減または回避策の実施などのリスク管理に努め、その実施状況については定期的に取締役会に報告を行う体制をとっています。コンプライアンス・製品安全・輸出管理・情報管理・環境法規・安全衛生・防災・サプライチェーンに関するリスクを常に認識し対応することに加え、危機発生時の事業継続の強化や永続可能な価値創造の仕組みの見直しなど、従来以上に中長期的かつ戦略的な観点でリスクを認識し対応していくことを目指します。(詳細な内容に関しては「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 5)内部統制システムの整備の状況 3.リスク管理体制」を、具体的なリスクの内容、対応策に関しては、「3 事業等のリスク」をご参照下さい。)

 また、ブラザーグループビジョン「At your side 2030」達成に向けたサステナビリティの推進やそのリスク管理を目的に、リスク管理委員会と同じく代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設立し、マテリアリティの解決に必要な問題を特定した上で適切な対策を決定、実行し、その進捗状況を定期的にモニタリングしています。

 今後は、サステナビリティ委員会及び各分科会において、多様な人々の活躍、責任あるバリューチェーンの追求、CO₂排出削減、持続可能な資源活用、価値創造を支えるガバナンスなどを始めとしたサステナビリティに関するリスク及び機会の識別、評価、適切な対応指示についての議論をさらに深め、対応を強化します。

 

 ④指標及び目標

 ブラザーグループは、ブラザーグループビジョン「At your side 2030」達成のために特定したマテリアリティ解決に向けて、「CS B2024」期間中におけるサステナビリティ目標を設定し、重要な経営課題として活動を推進してきました。2024年度の取り組みの実績は以下の通りです。

 

 

マテリアリティ

2024年度目標

2024年度実績

社会

の発展

人々の

価値創出の
支援

産業機器事業におけるお客様の生産性向上、CO₂排出削減に貢献するための製品性能の優位性確保

・2022年度以降、高い環境性能と生産性を誇る、SPEEDIOシリーズの新製品計15機種を発売

P&S事業におけるお客様のLTV*1向上に向けたお客様と直接「つながる」ための基盤の構築

・各地域におけるサブスクリプションサービスをはじめとするお客様と双方向でつながるための取り組みを引き続き強化

多様な人々が

活躍できる
社会の実現

グローバルベースでの従業員エンゲージメントの可視化と調査スコアの向上

・従業員エンゲージメント調査の対象をグループ全体に拡大し、拠点ごとに自律的な取り組みを実施中

海外拠点責任者の現地登用を促進するための人財育成及びガバナンスの強化

・海外主要拠点における幹部人財の育成推進、サクセッションプランを継続実施

管理職の健全なジェンダーバランスに向けたパイプラインの強化及び多様な働き方を実現する環境整備*2

・女性管理職候補育成プログラムの継続実施*2

・障がい者の活躍の場を拡大するための理解促進運動を実施*2

責任ある

バリュー

チェーンの

追求

サプライヤーに対する人権リスク評価の拡大

・サプライチェーン上流に対する人権デュ一デリジェンスの実効性向上のために25社に対して監査を実施、重大なリスクがないことを確認

・サプライチェーン上流以外に対する人権デューデリジェンスを48社に対して実施、重大なリスクがないことを確認

・1次サプライヤーに対し、人権リスクをテーマとした教育活動を実施

・責任ある鉱物調達のための活動を継続実施

RBA*3ゴールド認証を取得したグループ製造拠点数 3拠点

・2023年度に中国深圳工場*4、及びフィリピン工場*5においてRBAプラチナ認証を取得

・2024年度に星崎工場、ベトナム工場*6においてRBAプラチナ認証を取得

地球

の未来

CO₂排出削減

[スコープ1,2]*7 2015年度比47%削減
(2022~2024年度の3年間で9%を削減)
参考)2030年度目標:2015年度比65%削減

[スコープ3]*7 自助努力での15万t削減対策の実施
参考)2030年度目標:2015年度比30%削減

(2025年3月3日付中期目標改定前)

・[スコープ1・2]

電力使用の効率化や太陽光発電の導入などの省エネ・創エネ施策を実施し、2024年度目標(CO₂排出量の2015年度比47%削減)を達成

・[スコープ3]

製品の小型・軽量化、消費電力の削減などの施策を実施し、2024年度目標(15万tのCO₂排出削減施策の実施)を達成

資源循環

製品に投入する新規資源率 81%以下

参考)2030年度目標:65%以下

(2025年3月3日付中期目標改定前)

・段ボール及び、鉄鋳物のサプライヤーでの再生材使用率が向上し、2024年度(製品に投入する新規資源率81%以下)を達成

 

 

 なおマテリアリティに関しては、環境の変化などを踏まえて、2025年に6つのマテリアリティに再定義しています。ブラザーグループビジョン「At your side 2030」達成のために特定した6つのマテリアリティ解決に向けて、「CS B2027」期間中におけるサステナビリティ目標を設定し、重要な経営課題として活動を推進しています。

 

2027年度目標

・人々の価値創出の支援

・マシナリー事業:マシニングセンタSPEEDIOシリーズの顧客基盤の拡大

・インダストリアル・プリンティング事業:ライフサイクル価値提供型ビジネスの拡大

・プリンティング&ソリューションズ事業:お客様のLTV*1向上に向けたつながるビジネスの拡大

・多様な人々の活躍

・グローバルベースでの従業員エンゲージメントの向上

・各拠点、地域の状況や課題に即した多様な人財の活躍促進

・重点分野における人財ポートフォリオの強化

・責任あるバリューチェーンの追求

・バリューチェーン全体に対する人権リスク評価の実効性向上

・主要工場におけるRBA*3認証の継続的な取得

・CO₂排出削減

・[スコープ1・2]*7 2015年度比56%削減

・[スコープ3]*7 売上高原単位*8の2022年度比25.2%削除

・持続可能な資源活用

・売上高原単位*9の2022年度比16.9%削減

・価値創造を支えるガバナンス

・事業ポートフォリオの変革を後押しするためのガバナンス改革

 

*1:Life Time Valueの略称。顧客生涯価値。製品・サービス利用期間全体におけるお客様にとっての価値及び企業にもたらされる収益

*2:ブラザー工業株式会社において実施

*3:Responsible Business Allianceの略称。製造業のサプライチェーンにおいて、労働環境が安全であること、そして労働者が敬意と尊厳を持って扱われること、さらに製造プロセスや調達が与える環境負荷に対して、企業が責任を持っていることを確実にするための基準を規定したもの

*4:ブラザーテクノロジー(深圳)

*5:ブラザーインタストリーズ(フィリピン)

*6:ブラザーインダストリーズ(ベトナム)

*7:温室効果ガスの排出源の区分け。スコープ1は事業者自らによる温室効果ガスの直接排出、スコープ2は他者から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出、スコープ3はスコープ1、スコープ2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他者の排出)

*8:売上収益に対するCO₂排出量を示す指標

*9:売上収益に対する新規資源使用量を示す指標

 

 なお、上記のうちCO₂排出削減(スコープ1・2)については、その目標達成度を役員に対する株式報酬における業績連動指標として採用しています。(詳細に関しては「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4)役員の報酬等」をご参照下さい。

 

(2)人的資本

 

◆戦略及び指標と目標

 

 ブラザーグループの持続的な成長のために最も重要な基盤は、人財です。ブラザーグループは、「多様な人々の活躍」をマテリアリティとして定め、2025年度目標として「グローバルベースでの従業員エンゲージメント※の向上」「各拠点・地域の状況や課題に即した多様な人財の活躍促進」「重点分野における人財ポートフォリオの強化」を掲げています。中期戦略「CS B2027」で掲げた「事業ポートフォリオ変革を加速するための人財基盤の強化」に向けて、ブラザーグループは、チャレンジを奨励する組織文化の醸成、リーダー人財への育成投資等を進めるとともに、従業員一人ひとりが働きやすい環境づくりを行うなど、人的資本をさらに強化するための活動を今後も推進していきます。

 ※ 従業員と会社が相互に対等で、互いに価値を提供しあう関係のこと

 

<多様性の確保についての考え方>

 ブラザーグループは、ビジネスや市場環境に大きな変化が起こっている昨今、多様な人財を確保し、多様な働き方やキャリアの形成を支援することがますます重要性を増していると考えております。

 ブラザーグループにおいては、「ブラザーグループ グローバル憲章(以下、グローバル憲章)」の「基本方針」に掲げた「従業員の多様性を重視し、さまざまな能力を発揮できる職場環境とチャレンジングな仕事への機会を提供する。そして、努力と成果に対しては、公正な評価と正当な報酬で応える」という考え方があり、グローバル憲章の行動規範では「常に一人ひとりの人格、多様性を尊重し、信義と尊敬を持って行動する」ことを定めております。

 ブラザーグループはこれまでも、女性、外国人、さまざまな職歴をもつ経験者採用者など、多様な人財の採用、管理職への登用を積極的かつ継続的に行いつつ、個々の能力を最大限に発揮できる職場環境の整備、新入社員から管理職層まで各階層教育などの取り組みを進めております。ただし、事業活動を行う地域における関連法規、文化、社会慣習等が異なり、すべての会社における画一的な目標値は有していないため、代表として連結グループの主要事業を営む提出会社の取り組みを記載しております。

 

<多様性の確保の目標・多様性の確保の状況>

(ⅰ)女性の管理職への登用

 ブラザー工業は、女性活躍推進法に基づき「女性活躍推進に関する行動計画」を策定し、2025年度末に女性の上級職(管理職相当及びそれと同等の処遇を受ける専門職)を60名以上にすることを目指しており、2024年度末時点では60名となっております。育成の視点では、性別に関わらず従業員の成長を支援しておりますが、ライフイベントとキャリアの意識醸成や管理職というポジションを身近にする環境整備のため、社内の女性管理職のキャリアを紹介する座談会や有識者を招いた講演会、社外女性従業員とのキャリア研修、管理職候補者に対する外部カウンセリング機会の提供等、学ぶ機会を提供しております。2022年度より計5期実施している「女性リーダー育成研修」にはこれまでに101人が参加しました。他にも、フレックスタイム制度のコアタイム廃止や、在宅勤務制度等、安心して働ける環境を整備しております。

 

(ⅱ)外国人の管理職への登用

 ブラザー工業は、事業の中核を担う人財確保のために、国籍に関係なく採用・登用を行っております。2025年3月末時点の外国籍従業員比率は1.4%、管理職比率は0.5%となっております。また、当社の執行役員に占める外国籍従業員比率は2024年3月末時点で9.5%、2025年3月末時点で9.1%です。各国・地域のグループ会社の幹部社員は、国籍を問わず適任者を登用し、地域に密着した経営を目指すこととし、統括拠点であるアメリカ及び中国の販売拠点の社長を含め、ブラザーグループの各拠点では現地スタッフを積極的に経営幹部に登用しております。海外拠点責任者の現地従業員率は、2019年度の62%から、2024年度には67%に上昇しております。このような状況から、現在のブラザーグループにおける外国人の人財登用は十分な水準にあると認識しており、当社における外国人の管理職への登用に関する目標設定は行っておりません。

 

(ⅲ)経験者採用者の管理職への登用

 ブラザー工業において、2024年度の経験者採用者比率は40%、管理職の経験者採用者比率は28%となっております。経験者採用者数は労働市場環境に左右される面もあるため、管理職への登用に関する目標設定は行っておりませんが、今後積極的に事業ポートフォリオの変革を実現していくために、外部からの専門人財の登用を積極的に行っていきたいと考えております。

<多様性の確保に向けた人財育成方針、社内環境整備方針とその状況>

 ブラザー工業は、多様性の確保に向けた人財育成方針として、従業員の多様性と個性を尊重し、優れた価値を提供できるグローバルな人財を育てることを掲げております。そして、従業員が挑戦と成長を続けることが当社の成長につながるという考えのもと、キャリア・オーナーシップの実現を支援する施策として、階層別研修、テーマ別研修、キャリア開発支援などを提供することで、多様なキャリアの実現、市場価値を意識した専門性向上、挑戦・成長機会の創出に努めております。また、当社では、社内環境整備方針として、多様な人財が活躍できる基盤づくりを掲げ、2024年度は多様性の理解促進を目的に障がい者雇用及びLGBTQに関する社内講演会を実施し延べ800名以上が参加しています。このように、当社は多様な人財が活躍できるための基盤づくりとして、社員が高いモチベーションを持ち、多様なキャリアパスや一人ひとりの社員がより柔軟な働き方を実現できる取り組みを進めることを、社内環境整備方針としております。

 

 <従業員エンゲージメントの向上>

 ブラザーグループは、ビジョン達成に向けた変革の実現と従業員のチャレンジ行動促進を目的に、2027年度サステナビリティ目標として「グローバルベースでの従業員エンゲージメントの向上」を掲げており、従業員と会社が共に成長し貢献し合う関係を目指しています。ブラザー工業では従業員意識調査を2008年度から毎年行っていますが、2022年度には「従業員エンゲージメント調査」を新たに実施しました。調査の結果、組織からの「成長支援」を感じ、「組織への共感」「貢献感」が高い従業員が約半数を占めており、全体としてエンゲージメントが高い状態であるといえることがわかりました。また、2023年度はグローバルで90%以上の拠点、2024年度にはグローバルすべての拠点において従業員エンゲージメント調査を実施し、従業員エンゲージメントの状況を把握しました。今後も「ブラザーグループ グローバル憲章」の共有活動などと並行して、一人ひとりの目標設定の質を高める取り組みや、自律的なキャリア開発を促進する取り組みを実施するほか、グローバル各拠点における従業員エンゲージメント向上に向けて、情報共有の場づくりを推進するなど、ブラザーグループ全体でのエンゲージメント向上を図る予定です。

 

<健康経営の推進>

 ブラザーグループは、従業員が長期にわたり才能とスキルを発揮するためには、一人ひとりの健康管理が重要であると考えています。ブラザー工業は2016年9月に、ブラザーグループ健康経営理念を制定、従業員が生き生きとさまざまな能力を発揮するために、喫煙率10%未満やがん検診二次検査の受診率90%以上など2025年までに達成すべき長期目標「健康ブラザー2025」を定めました。そして、ブラザー工業の代表取締役社長を最高健康責任者とした健康経営推進体制を構築し、会社・労働組合・健康保険組合が三位一体となり、運動習慣者比率をさらに向上させる取り組みなどを進めています。また、健康経営における課題とその解決に向けた取り組みなど一連の流れを可視化できる健康経営戦略マップを作成するなど、従業員の健康保持・増進に戦略的に取り組んでいます。その結果、ブラザー工業は2024年、9年連続で健康経営優良法人(ホワイト500)に選定されました。また、国内グループ会社14社も共に健康経営優良法人に選定されております。

 

 

(3)環境への取り組み

 

◆ブラザーグループ 環境ビジョン2050

 

 エネルギーや資源を使用し、紙や糸、布などの生物由来の物を使用する製品を提供する企業として、ブラザーグループはCO₂排出削減、資源循環、生物多様性保全を3本柱とする「ブラザーグループ 環境ビジョン2050」を2018年に策定しています。この環境ビジョンは、気候変動や資源枯渇、環境汚染、生態系破壊といった社会的な重要課題をブラザーグループの事業上のリスクとして捉え、長期的かつ継続的にその解決に取り組むことを明確にしたものです。

 今回、国際社会における気候変動対応の加速が急務となっている状況を踏まえ、スコープ3のCO₂排出削減における2030年度中期目標を2022年度比で28.5%削減と、従来より厳しい目標に改定しました。

 資源循環については、プリンティング・アンド・ソリューションズ事業(以下、P&S事業)、マシナリー事業、パーソナル・アンド・ホーム事業(以下、P&H事業)を対象に再生材の活用などの取り組みを進め、マシナリー事業とP&H事業の合算において新規資源率65%以下となりました。今後は、スコープ3のCO₂排出削減や、生物多様性保全などの環境負荷軽減につながる新規資源の絶対量の削減を目指し、グループ全体の新規資源量の80%以上を占めるP&S事業の、包装材を含めた製品に投入する新規資源量を2022年度比で25%削減する目標に改定しました。

 

目標・ありたい姿

2030年度中期目標

CO₂排出

削減

グループ全体で、あらゆる事業活動のカーボンニュートラルとバリューチェーン全体のCO₂排出最小化を目指し、脱炭素社会の形成に貢献している

 

(主な取り組み)

太陽光発電の導入、空調設備の更新、生産設備の更新・省エネ化など

・[スコープ1・2]

2015年度比で65%削減する

・[スコープ3]C1・11・12

2022年度比で28.5%削減する

 

※「2030年度中期目標」は、温室効果ガスの排出削減目標を達成するために設立されたイニシアチブ「Science Based Targets initiative(SBTi)」より、科学的根拠に基づいた目標(1.5℃目標)として認定されています。(2025年5月12日現在)

 

資源

循環

2050年に向けて、グループ全体で資源循環の最大化により、資源の持続可能な利用と廃棄物による環境負荷の最小化を目指す

 

(主な取り組み)

製品・部品のリユース、リサイクル材使用など

・循環経済型ビジネスの拡大と資源の再生利用により、2030年度までに製品※1に投入する新規資源量を2022年度比で25%※2削減する

 

・グループ生産拠点において継続的に水資源の効率的な利用と適正処理による排水に努めている

 

※1包装材を含む

※2対象は、プリンティング・アンド・ソリューションズ事業

生物

多様性

保全

グループ全体で事業活動が生態系へ与える環境負荷を最小化し、環境負荷を上回る修復・保全活動をしている

 

(主な取り組み)

生物多様性保全活動、CO₂排出削減、資源循環の推進

・事業活動が生態系に与える環境負荷及び、その修復・保全活動の影響を評価し、生態系への環境負荷の回避、低減に取り組んでいる

 

・グループ全体の生産・販売拠点において、各地域の状況に応じた自主的な生態系の修復・保全活動をしている

 

◆2023年度までのCO₂排出量の実績(2025年3月3日付中期目標改定前)

 

※2023年度は、販売会社の在庫適正化により製品本体の販売台数が一時的に減少した影響でスコープ3のカテゴリー1・11・12において大幅な減少となりました。

 

◆TCFDへの対応

 

 ブラザーグループは社会の発展と地球の未来に貢献するため、解決すべき重要な社会課題の一つとしてCO₂排出削減をマテリアリティに特定し、サステナビリティ目標としてCO₂排出削減目標を設定しています。2020年2月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明しました。

 このTCFD提言に基づき2021年度に、プリンティング・アンド・ソリューションズ事業、マシナリー事業、パーソナル・アンド・ホーム事業及び新規事業について、気候変動が事業に及ぼすリスクと機会を分析し、関連する情報を開示しました。2024年度には分析対象とする事業範囲を拡大してブラザーグループのすべての事業*について分析し、その分析結果を2025年度に開示予定です。今後も情報開示の充足に努めるとともに、脱炭素社会の形成に貢献するため、より一層の気候変動対策を推進していきます。

 

*プリンティング・アンド・ソリューションズ事業、マシナリー事業、ドミノ事業、ニッセイ事業、パーソナル・アンド・ホーム事業、ネットワーク・アンド・コンテンツ事業及び新規事業

 

①ガバナンス

 ブラザーグループは「(1)サステナビリティ ①ガバナンス」及び「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」で記載の取締役会、戦略会議、サステナビリティ委員会を設置しています。気候変動を含む環境分野のサステナビリティ活動の推進においては、気候変動対応戦略部長を分科会オーナーとする気候変動対応分科会を設置し、サステナビリティ目標の進捗管理及び活動推進を行っています。

 気候変動を含む環境関連の重要事項を策定、改訂する場合には、サステナビリティ委員会または気候変動対応分科会で検討のうえ、戦略会議で審議、取締役会で決議を行います。またサステナビリティ委員長またはその指名する者は、定期的にサステナビリティ委員会及び取締役会において、サステナビリティ委員会の活動計画及び活動実績について報告を行っています。

 

②戦略(シナリオ分析)

 ブラザーグループは、「ブラザーグループ 環境ビジョン2050」でCO₂排出削減を重要項目の一つに掲げています。世界的に深刻化する気候変動を社会的な重要課題と認識するとともに、ブラザーグループの事業上のリスクと機会として捉え、長期的かつ継続的にその解決に取り組んでいます。

 2024年度はTCFD提言に基づき、ブラザーグループすべての事業について2024年から将来までの間に事業に影響を及ぼす可能性がある気候関連のリスクと機会の重要性を評価しました。それぞれのリスクと機会に対して、『世界で温暖化対策が進み、脱炭素社会の実現に近づくという1.5℃シナリオ』と『世界で現状を上回る温暖化対策がとられず、気温上昇がさらに進むという4.0℃シナリオ』に基づき、6つの重要なリスクと機会を特定し、自社の事業や財務に及ぼす影響を評価しました。

 1.5℃シナリオ及び4.0℃シナリオではIEA(International Energy Agency)のWEO2023 APSシナリオ/NZEシナリオ、IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)のSSP5-8.5シナリオ、Aqueduct(水リスク評価ツール)などを参照しました。

 今回の分析の結果、リスクと機会の両面において、ブラザーグループにとってカーボンニュートラルの推進が重要である事が再確認されました。今後はさらなるCO₂排出削減活動などの取り組みを強化していきます。

 

移行リスク(政策・法規制リスク、市場の変化)

外部環境の変化

財務

影響

想定時期

ブラザーグループへの影響

対応策

炭素税導入または炭素税率向上

長期

調達:原材料コストの高騰

製造:エネルギーコストの増加

販売:運送燃料コストの増加

緩和

・事業所におけるCO₂排出削減*1

 各拠点での省エネ施策の推進、再生可能エネルギーの活用

 

・製品におけるCO₂排出削減*2

 製品の小型化・軽量化、省エネ性向上

 部品点数の削減、梱包材の削減

 取引先との協働による原材料に関わるCO₂排出削減

省エネ・低炭素規制の強化

中期

長期

製造:設備投資、再エネ電力切替えコスト、サステナビリティ関連規制/開示要求対応コストの増加

緩和

・将来規制動向の調査

 欧州における環境規制動向の情報収集と製品開発や設備計画への反映

環境・社会に配慮した製品需要の高まり

中期

長期

販売:お客様の環境配慮製品志向、エシカル消費志向に対応できない場合の売上減少リスク

緩和

・廃棄物削減と新規資源削減*3

 製品のリサイクル材の使用や回収製品のリユース

 梱包材へのリサイクル可能な緩衝材の使用

 製品の耐久性の向上・長寿命化

 

 

物理リスク(急性)

外部環境の変化

財務

影響

想定時期

ブラザーグループへの影響

対応策

異常気象の激甚化と頻度の上昇

短期

長期

洪水の影響による生産停止

適応

・一時的な生産停止に耐えうる部品在庫の確保

 

・複数拠点生産によるリスク対応の実施(一部モデル)

 

・部品調達先の複線化

 

機会(製品とサービス)

外部環境の変化

財務影響

想定時期

ブラザーグループへの影響

対応策

顧客のCO₂排出量削減ニーズの増加

長期

販売:省エネ・創エネ・循環型関連の製品・サービスの需要・売上増加、電動化、燃料転換需要の増加

・EV向け及び非自動車市場向け小型工作機械の開発*4

 高い環境性能と生産性を誇るSPEEDIOシリーズの新製品開発

 

・スポットクーラーPureDriveや燃料電池の販売拡大

 

・将来環境技術情報収集のための投資

 未来創生3号ファンド、WiL Ventures Ⅲに出資

環境・社会に配慮した製品需要の高まり

長期

販売:脱炭素貢献(環境ラベル認定)製品・サービスの売上増加、環境対応可能な商品需要の増加

・ブルーエンジェルやEPEAT、SuMPO EPDなどの環境ラベル取得製品の拡大

 

・耐久性の高い製品や継続的なサービスの提供

 

・循環経済型ビジネスの拡大*5

 

 ※財務影響度 小:10億円以内/中:10億円~100億円/大:100億円超

  想定時期  短期:会計年度をベースとする1~2年/中期:中期経営戦略を含む3~4年/長期:長期グループビジョンを含む5年以上

 

*1

■事業所におけるCO₂排出削減の取り組み

 事業所内の省エネルギー活動(高効率機器の導入など)の推進、再生可能エネルギーの活用に取り組んでいます。これらのCO₂排出削減の取り組みに加え、次の製造拠点については残りの排出量をカーボンクレジットで相殺したことにより、ブラザーグループの海外の製造拠点(BROTHER INDUSTRIES (U.K.) LTD.とBROTHER INDUSTRIES (SLOVAKIA) s.r.o)がPAS 2060:2014※1の検証を完了、また国内の製造拠点の刈谷工場がISO 14068-1:2023※2の検証を完了し、カーボンニュートラルを実現しました。

 ※1Publicly Available Specification 2060:2014 カーボンニュートラルを実現していることを証明する国際的な規格

 ※2ISO 14068-1:2023:組織や製品において、定量化、削減、オフセットを通じてカーボンニュートラルを達成・実証するための原則、要求事項、ガイダンスを提供した国際規格

 

*2

■製品におけるCO₂排出削減の取り組み

 製品のライフサイクルのステージごとに、工夫の積み重ねや技術革新を組み合わせることにより、CO₂排出の削減に取り組んでいます。

<レーザープリンター>

 2023年に発売開始されたカラーレーザープリンター製品において、従来製品よりも小型軽量化を実現し、待機時(スリープモード時)の消費電力も大幅に低減することでCO2排出量削減に貢献しました。また、ベトナムにおける当社の生産拠点1つ(BROTHER INDUSTRIES (VIETNAM) LTD.)で生産されているレーザープリンターにおいて、部品サプライヤーと協働し、部品生産時に使用される電力に再生可能エネルギーを導入することによって、部品生産時のCO2排出量を削減する活動を開始しました。

 

<ガーメントプリンターGTXproシリーズ>

 消耗品インクを従来のカートリッジ交換方式からパウチ交換方式やボトル供給方式に切り替えることで、消耗品のプラスチックや梱包材の削減を実現し、CO₂排出削減に貢献しています。

 

*3 *5

■環境・社会に配慮した製品需要の高まり

 ブラザーグループは製品における廃棄物の削減、新規資源の投入抑制に加え、循環経済型ビジネスの実現・拡大に向けて「プリンターの消耗品であるトナー・インクカートリッジの回収・再生の拡大」、「製品のリユース促進」、「耐久性の高い製品や持続的なサービスの提供」の三つをリスクと機会の両面における主要な取り組みとして位置づけ、資源の有効利用、資源循環のさらなる推進を通じて、CO排出削減に貢献しています。

 

<トナーカートリッジの再生>

 回収された使用済みトナーカートリッジは、ブラザーグループの再生拠点で新製品と同一品質を持つトナーカートリッジへと再生され、再び、お客様に届けられます。このように「クローズドループ」で再生を行うことによって、廃棄物の削減による天然資源の有効利用につながり、CO排出削減に貢献しています。

 

※ 再生   :使用済みのカートリッジに清掃・検査などの工程を加え、新品と同一品質のカートリッジを作ることを指す

  リサイクル:使用済みカートリッジを破砕し素材の原料やエネルギー源を再利用することを指す

 

*4

■EV向け及び非自動車市場向け小型工作機械の開発の取り組み

 需要が増加しているEV向け部品で求められる大型のアルミ部品(インバーターケース、バッテリーケース、ポンプハウジング、大型バルブなど)や、さまざまな加工ニーズに応えることができる工作機械“SPEEDIOシリーズを開発することで、EV部品加工ソリューションを提供し、自動車産業が内燃機関からEVにシフトする際の機会に対応しています。

 “SPEEDIOシリーズでは、工具交換などの非切削時の時間短縮によるサイクルタイムの削減、高効率主軸モータや電源回生システムによる動作時の消費電力削減、自動消灯機能による非動作時の消費電力削減などにより高い生産性と省エネ性を実現し、加工時のCO排出削減に貢献しています。

 

③リスク管理

 ブラザーグループでは、2022年度に気候変動対応を含むサステナビリティの推進とリスク管理を目的に設置した代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会、並びにサステナビリティ委員会の下部組織として設けられた気候変動対応分科会において、気候変動リスクを識別、評価し、重要な気候変動リスクを特定した上で適切な対策を決定、実行し、進捗状況を定期的にモニタリングしています。

 

④指標と目標

 「ブラザーグループ 環境ビジョン2050」のCO₂排出削減では、2050年度までにあらゆる事業活動のカーボンニュートラル*1と、バリューチェーン全体のCO₂排出最小化を目指すことを掲げています。また、そのマイルストーンとなる「2030年度 中期目標」を設定し、2030年度までにブラザーグループから排出するCO₂(スコープ1・2)を2015年度比で65%削減、バリューチェーンの中でも特に排出量の多い製品の調達・使用・廃棄の各ステージで排出されるCO₂(スコープ3のC1・11・12)を2022年度比で28.5%削減することを目標としています。

 このCO₂排出削減に関する「2030年度中期目標」は、国際的なイニシアチブ「Science Based Targets initiative(SBTi)から、パリ協定の「1.5℃目標」達成のための科学的根拠に基づく削減目標として認定されています。(2025年5月12日)

 

 さらに「2030年度 中期目標」達成に向けたマイルストーンとして「ブラザーグループ中期環境行動計画2027」において2027年を目標年度とする短期目標を設定し、活動を推進しています。

 

*1:ブラザーグループから排出するCO₂を全体としてゼロにする

 

 

2027年度目標

2024年度実績

CO₂

排出削減

[スコープ1・2]

CO₂排出量の2015年度比56%削減
 

[スコープ3]

売上高原単位*2の2022年度比25.2%削減

[スコープ1・2]

電力使用の効率化や太陽光発電の導入などの省エネ・創エネ施策を実施し、2024年度目標(CO₂排出量の2015年度比47%削減)を達成

 

[スコープ3]

製品の小型・軽量化、消費電力の削減などの施策を実施し、2024年度目標(15万tのCO₂排出削減施策の実施)を達成

 

*2:売上収益に対するCO₂排出量を示す指標

 

 また、上記のうちCO₂排出削減(スコープ3)目標達成に寄与する重要施策と位置付けられる“製品に投入する新規資源量の削減”に関しては、マテリアリティとして特定している“持続可能な資源活用”の項目の下で2027年度目標を設定し、削減に取り組んでいきます。(詳細に関しては「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的な経営戦略」をご参照下さい。)

 なお、上記のうちCO₂排出削減(スコープ1・2)については、その目標達成度を役員に対する株式報酬における業績連動指標として採用しています。(詳細に関しては「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4)役員の報酬等」をご参照下さい。)