リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
項 目 |
リスクの内容・可能性・時期・影響の程度 |
対応策 |
1.地政学リスク |
当社グループはグローバルに事業活動を行っており、中国・アジアを中心に生産拠点を有し、販売会社は世界各地に展開しているため、米中関係やロシア・ウクライナ情勢、中東情勢などの国際情勢の動向は事業に大きな影響を及ぼしうるリスクであると認識しております。 通商上の摩擦やエネルギーを始めとする、さまざまなコストの上昇、及び当社が予期しない政策、法制度、規制の変更等は、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループでは、グローバルでの国際情勢を注意深く見守り、懸念されるリスクに対して組織横断での連携を実施し、当社現地法人からの情報収集を通じて、機動的な対応を行っております。 通商上のリスクに対しては、各国の規制動向を常に把握し、適宜対応を進めてまいります。問題が長期化しているロシア・ウクライナ情勢に対しては、各国の経済制裁や規制強化をはじめ、さまざまな国際情勢の動向を常に情報収集し、状況に応じた適切な判断を行ってまいります。中東情勢悪化に伴うスエズ運河の航行リスクに対しては、各生産拠点における利用航路・港の複線化を進めてまいります。 |
2.プリンティング市場の縮小 |
オフィス・ホーム向けのプリンティング市場は、デジタル化の進展や働き方の変化の流れを受け、プリントボリュームが減少し、緩やかな市場縮小が続いております。アフターコロナの環境下では、在宅勤務とオフィスワークが混在する働き方へ急速にシフトしており、オフィス向け機器のプリントボリューム減少の傾向が変化する可能性があります。プリンティング・アンド・ソリューションズ事業の売上収益、営業利益は全社の半分を超える規模を占めているため、市場の動向に対応した製品やサービスを提供できない場合、当社グループ全体の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 |
在宅勤務の定着及びオフィス印刷の分散化が加速し、SOHO向け製品の需要は高まっております。ホーム・オフィス向けのプリンティング市場に対しては、変化する市場ニーズに対応する契約型サービスの拡充など、ビジネスモデルの転換加速により、収益力強化とともにお客様と継続的につながるビジネスを拡大します。加えて、今後も市場拡大が見込める業務用ラベリング事業の拡大に注力していきます。 一方で、産業用印刷市場はアナログからデジタルへの転換、無人化・省人化ニーズを背景に、成長が継続しております。 これまで培ったさまざまな技術を活用し、ドミノ事業やガーメントプリンターを中心とした産業用印刷領域での事業拡大を図ってまいります。 |
3.企業間競争 |
当社グループはプリンティング・アンド・ソリューションズ事業を始めとして、多くの市場において他社との激しい競争にさらされております。当社グループよりも多くの経営資源を有している企業との競合や、新興国の地場メーカーの台頭、あるいは競合先間の提携が行われ、市場競争が激化することが想定されます。企業間競争が激化すると、販売価格の低下や現在の市場シェアを維持できなくなることにより、当社グループの経営成績等に悪影響を受ける可能性があります。 |
各市場で顧客価値を実現する製品や、当社の強みである各地域の販売会社やチャネルネットワークを通じたサービスの提供に取り組むとともに、業務の効率化を推進し、手戻りの少ない開発の実践や製造コストの削減を行うことで、スピード・コスト競争力のある事業運営基盤の構築を実行しております。また、サステナビリティの観点から、製品の環境性能向上、消耗品カートリッジの回収・リサイクル拡大など循環経済型ビジネスの推進にも取り組んでまいります。 |
項 目 |
リスクの内容・可能性・時期・影響の程度 |
対応策 |
4.世界経済状況の変動 |
当社グループはグローバルに事業を展開しているため、世界経済の状況の変動により関連する市場の動向が変化する場合、当社グループの経営成績等に影響することが想定されます。 当社のプリンティング領域の製品は、オフィス・ホーム向けとしてお客様に利用いただいています。また、マシナリー・FA領域、産業用印刷領域の製品は、自動車、アパレル、消費財の包装などの製造業にかかわる設備としてお客様に利用いただいています。世界経済状況の変動がお客様の経営状態に影響を与え、これら製品に対する投資が抑制されると、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 |
顧客価値を実現する製品やサービスを提供することで、短期的な世界経済状況の変動があったとしても、お客様に選ばれるブランドであり続けるため、開発、製造、販売・マーケティング、アフターサービス・メンテナンスの強化を実行しております。 プリンティング領域では、コンパクトな複合機とモバイル機器やクラウドに対応できるスキャナーを組み合わせることで、インプットからアウトプットまで一貫してお客様のニーズに対応できる製品構成やサービスの提供を進めております。また、印刷管理・消耗品自動配送などの契約型ビジネスを通じてより多くのお客様とつながり、継続的な価値提供を実現してまいります。 また、マシナリー・FA領域、産業用印刷領域では、生産性・環境性能に磨きをかけた製品を継続的に市場投入していくとともに、顧客価値を実現する製品やサービスの提供に取り組む販売体制を強化し、お客様のモノづくりの競争力強化とCO2排出削減に貢献してまいります。加えて、固定費や原材料費等の継続的な削減を実行し、世界経済状況の変動に影響されにくい収益構造の構築を図ります。 さらに、ブラザーグループにおきましては日本、アジア、米州、欧州の売上構成のバランスがとれており、特定地域への売上高の偏りがないことから、一部の地域に大きな景気変動があっても、業績が急激に悪化するリスクに備えられております。 |
項 目 |
リスクの内容・可能性・時期・影響の程度 |
対応策 |
5.サプライチェーン ・サプライチェーンの断絶 ・CSR調達 |
・サプライチェーンの断絶 当社グループは、生産・販売拠点をグローバルに展開しております。主要な生産拠点はベトナム・フィリピン・中国等であり、販売拠点は世界各国に広がっております。国や地域における経済的な対立や戦争、大規模火災、巨大地震、地球温暖化に伴う異常気象、感染症の再拡大に加え、取引先の事業ポートフォリオの見直し(事業採算悪化、設備の老朽化等)により重要部材の継続調達が困難になる等、部材調達・生産面で支障が発生するリスクがあります。 また、国際物流が混乱し船のスペース不足やコンテナの滞留、航路制限が発生すると、部品輸入遅延や出荷遅延及び運賃コスト高騰リスクがあります。 結果として市場への商品供給不足による販売機会の損失や顧客流失により経営成績に影響を与える可能性があります。
・CSR調達 当社グループは、その生産拠点の多くを海外に置いており、主要な生産拠点はベトナム・フィリピン・中国等となっております。これら諸拠点では部品調達先との取引関係がありますが、その調達先を含むサプライチェーンで発生する人権問題、例えば強制労働や児童労働などがあった場合、お客様からの信頼を失うだけでなく、当社とお客様のお取引に影響が出る可能性があります。また、調達先のさらにその先をたどっていくと、原材料に行き着きます。その原材料となる鉱物の取引において、アフリカなどの紛争地域及び高リスク地域産出の一部の鉱物の取引が当地の武装勢力の資金源となり、紛争の助長、人権侵害、労働問題、環境破壊などに関与していることが判明した場合にも、同様にお客様からの信頼を失う可能性が出てきます。 |
・サプライチェーンの断絶 生産体制については、主要な消耗品を複数拠点において生産するほか、予備の生産設備を保有するなどのリスク対応策を実施しております。部品に関しては、調達先の複線化や重要部材の戦略的な在庫保有を進め、特定の国やサプライヤーへの依存度を下げる活動を推進しております。販売拠点においては、欠品を防ぐための在庫水準の適正化を継続的に行ってまいります。物流面においては、生産拠点所在地域において自社倉庫や外部倉庫による製品や部材の在庫保管スペースの確保及び利用航路・港の複線化を進めております。 また諸拠点においては、防火対策や地震・台風等の自然災害に対する一定の防災・減災施策を講じております。本社機能が位置する日本でも南海トラフ地震を想定した防災危機管理体制を確立しております。 ・CSR調達 リスク低減に向け、当社は「CSR調達方針」を制定し、ホームページでの開示の他、取引先説明会、書面などで調達先の皆様へ方針説明をおこなうとともに、主要事業の一次サプライヤーに対して人権への取り組みを要請しております。また、その上流のサプライヤーに対しても一次サプライヤーを通じて同様の取り組みを要請することで、サプライチェーンにおける責任ある調達を目指しております。また、人権への取り組みをより推進するために「ブラザーグループ人権グローバルポリシー」を制定し、当社の役職員及び製品・サービスの全ての関係者の皆様に同ポリシーの理解及び当社の取り組みへのご協力を要請しております。さらにRBA(Responsible Business Alliance)に加盟し、RBA行動規範の遵守をサプライヤーに対し要請することで、人権問題だけでなく、安全衛生・地球環境への影響を削減するなど、サプライチェーンにおけるリスク評価と是正への体制を強化しております。責任ある鉱物調達については、「責任ある鉱物調達方針」を制定し、ホームページに開示するとともに、鉱物の使用状況について調査を実施し、調達先の皆様と連携を図りながらサプライチェーンにおける鉱物調達の透明性確保及び紛争鉱物の使用回避に向けた調達活動に取り組んでおります。 |
項 目 |
リスクの内容・可能性・時期・影響の程度 |
対応策 |
6.部材に関するリスク |
当社グループの製品に使用されている調達部材について、取引先様での火災・地震等の自然災害や、取引先様の事業環境変化・ポートフォリオの見直しによる事業撤退から、部材調達困難な状況が新たに発生するリスクがあります。 また、カーボンニュートラル、再生材料利用率向上といったサステナブル対応に伴う対応費用や各国法規制対応の為の価格転嫁、地政学リスク対策の為の調達先の限定、シリコン・フッ素等の原材料価格の上昇、エネルギーコストの高騰、人件費の上昇等、さまざまな複合要因により価格上昇が発生しており、その状況が高止まりするリスクがあります。 これらの影響を製品の販売価格に転嫁できない、あるいは経費削減、能率改善でコストを十分に吸収できない場合、将来の収益性に一定の影響を及ぼすことが想定されます。 |
部材の調達難に対しては、代替え困難な部品の長期在庫確保、調達の複線化、現地化などのBCP対策を継続するとともに、取引先様における電気設備点検等の防災活動を推進することで、強靭なサプライチェーンの構築を推進します。 部材価格の高騰に対しては、樹脂材料・電子部品、鋼板や銅などの原材料やエネルギーコストの価格高騰リスクを計画時点でも織り込むことで想定収益への影響を低減しております。また、調達コストの低減においては、各市況の変化を正確に把握することで、取引先様に対し適切なタイミングにおける値戻しを依頼していきます。併せて、取引先様と連携したVA提案活動を推進します。 |
7.品質・製造物責任 |
すべての製品に対し欠陥がなく、将来に製品安全問題や品質問題が発生しないという保証はありません。それらの重大な問題が発生した場合の可能性として、多額のコストを要するほか、ブランドイメージや社会的評価が低下し、顧客の当社グループ製品への購買意欲を減少させ、当社グループの経営成績等が影響を受けることがあります。 |
当社グループは、高品質の魅力ある製品を提供するため、厳格な品質管理基準に従って生産管理体制を確立し、製品の製造を行っております。製造委託先から供給を受ける製品に対しても、適正な品質レベルであることを検証しております。また、仮に製品起因の事故が発生した場合には、被害者への対応を第一優先に行うとともに情報公開、官公庁への報告など被害拡大の抑制に取り組んでいきます。 |
項 目 |
リスクの内容・可能性・時期・影響の程度 |
対応策 |
8.法規制 ・コンプライアンス全般 ・税制 |
・コンプライアンス全般 当社グループは、事業活動を行っている各国・地域において、さまざまな法令や規制の適用を受けております。各国・地域の法令・規制の新設・変更によって、当社グループの事業活動が大きく制限され、法令や規制対応のために多額の費用負担が発生する可能性があり、意図せずに法令・規制に違反した場合には、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
主要なコンプライアンスとして「不正会計・横領」「不公正な取引方法(競争法違反)」「贈収賄(腐敗リスク)」「品質不正」の4つを特定しております。 不正会計については、各国・地域の法令や当社グループの会計ルールなどに反する会計処理によって決算の修正やステークホルダーからの信頼失墜につながるリスクがあります。また、役職員の横領によって会社の財産が棄損されるリスクがあります。 不公正な取引、贈収賄については、各国・地域の競争法・反腐敗法に違反する事業活動によって、競争法当局からの罰金や当社グループの事業活動への制限がかけられるなどのリスクがあるほか、法令や規制対応のために多額の費用負担が発生する可能性があります。 品質不正については、当社製品の開発や製造・検査上の不正(性能や検査に関するデータ改ざん等)によって製品のリコールやそれに伴う多額の費用負担、ブランドイメージの低下などのリスクがあります。 上記のリスクが顕在化した場合、当社グループの事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。
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・コンプライアンス全般 当社グループでは、コンプライアンス(法令・倫理の順守)は、さまざまなリスクを回避する上で経営上不可欠なものであると考えております。グループ全体でコンプライアンスを徹底するために「ブラザーグループ グローバル憲章」の行動規範のひとつである「順法精神・倫理観」と、企業としての責任を明確に定義し行動していくための「ブラザーグループ社会的責任に関する基本原則」に基づいて、従業員の行動基準を定めております。 当社では、コンプライアンス委員会の設置や相談通報窓口(ヘルプライン)を設けて不祥事の未然防止や早期対応、再発防止に努めています。海外を含むグループ各社でも個別にコンプライアンス委員会・部門やコンプライアンスヘルプラインを設置して対応しております。 重要なコンプライアンス案件については、グループ各社のコンプライアンス委員会・部門だけでなく、当社のコンプライアンス委員会にも通知され、グループ一体となって対応する体制を築いております。
主要なコンプライアンスリスクに関する対応状況は以下の通りです。 ・不正会計・横領:当社グループ会社の決算を分析し、不正の兆候の有無を把握するとともに、必要に応じ個別に調査を実施しております。 ・不公正な取引(競争法違反):日本国内においては、サプライチェーンの取引先や価値創造を図る事業者の皆さまとの連携・共存共栄を進めることを明示した「パートナーシップ構築宣言」を公表するとともに、下請法の順守体制を構築しております。特に、下請業者からの労務費上昇に基づく価格交渉については、下請事業者から協議の申入れがあった場合には、労務費上昇分の影響を考慮するなど下請事業者の適正な利益を含むよう、十分に協議することとしております。また、グループ会社(欧米、アジア)の役職員に対して競争法リスクに対する意識向上のための定期的な教育を実施しております。
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項 目 |
リスクの内容・可能性・時期・影響の程度 |
対応策 |
8.法規制 ・コンプライアンス全般 ・税制 |
・税制 当社グループは、グローバルに事業活動を展開しており、事業拠点を有する各国・地域における税制の適用を受けております。各国・地域における税制や税率が変更された場合、当社グループの経営成績等にマイナスの影響を与える可能性があります。 |
・贈収賄(腐敗リスク):腐敗リスクが高い国や地域(主にアジア)のグループ会社において、反腐敗に関するポリシーを定めることや、取引先による腐敗行為の防止に関するスクリーニングなどの活動を行っております。また、役職員の反腐敗意識を高めるために反腐敗に関する教育(E-Learning等)を行っております。
・品質不正:品質データ管理システムの導入などデータ改ざんを防ぐ体制、当社グループの主要製造拠点・開発拠点に対する品質不正監査体制の構築活動を進めております。また、品質コンプライアンス意識向上のための教育(E-Learning等)を実施しております。
・税制 重要な税務上の事項については、各地域の統括会社を通して、当社税務部門に適宜共有され、税理士法人などの外部専門家のサポートを受けるだけでなく、必要に応じて税務当局ともコミュニケーションを取って対処しております。また、当社グループ間の取引については、独立企業間価格となるように、各国・地域との移転価格を適切に管理しており、移転価格課税リスクの高い取引については、APA(事前確認制度)を活用することで税務リスクを低減しております。 |
項 目 |
リスクの内容・可能性・時期・影響の程度 |
対応策 |
9.環境 ・環境に関する 社会的要請 ・環境規制、環 境汚染 |
・環境に関する社会的要請 グローバルに事業活動を展開する当社グループにとって、次のリスクは現在から将来にわたって極めて重要な課題であり、事業経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。 気候変動は、災害等による人的被害、操業の停止、サプライチェーンの断絶など、生産・販売活動に大きな影響を与える物理的リスクに加え、脱炭素社会への急速な移行に伴う法規制強化や対応コスト増、対応遅れによる販売機会喪失などの移行リスクがあります。特にマシナリー事業では自動車産業における内燃機関からEVへの移行リスクがあります。 サーキュラーエコノミーの進展は、欧州各国中心に資源消費を抑えつつ経済発展を目指す政策が推進されており、法規制強化や対応コスト増、対応遅れによる販売機会喪失などの移行リスクがあります。
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・環境に関する社会的要請 気候変動に対しては、その原因となっている温室効果ガス排出を削減するため、「1.5℃目標」のSBT(Science Based Targets)認定を受けた2030年中期目標(2015年度比でスコープ1,2:65%削減、スコープ3:30%削減)を設定しております。この目標の達成に向けて、スコープ1、2については事業所の省エネ及び再生可能エネルギーの積極的な利用等、スコープ3については温室効果ガス排出量の80%以上を占める製品の部材調達、使用、廃棄段階での排出を削減するため、調達する部材の省資源化・再生利用、製品の省エネルギー性能の向上・リサイクル性向上などに注力して取り組んでおります。さらに2023年度からレーザープリンター製品において、部品サプライヤーと協働し、部品製造時に使用される電力に再生可能エネルギーを導入して、部品製造時のCO2排出量の削減に繋がる活動を開始しました。またマシナリー事業では内燃機関部品に替わって需要が増加しているEV向け部品で求められる大型のアルミ部品や、さまざまな加工ニーズに応えることができる製品“SPEEDIO”シリーズを開発することで、EV部品加工ソリューションを提供し、自動車産業におけるEVへの移行リスクに対応しております。 サーキュラーエコノミーの進展に対しては、当社グループの資源効率を向上させるため、2030年中期目標(製品に投入する新規資源率65%以下)を設定しております。その達成に向けて「プリンターの消耗品カートリッジの回収・リサイクルの拡大」、「製品のリユース促進」、「サブスクリプションサービス等のお客様とつながり続けるビジネスの拡大」を主要な取り組みと位置付け、資源の有効利用、資源循環を推進し、CO2排出削減にも貢献しています。 また、当社は2020年2月に金融安定理事会が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の提言に賛同致しました。そして当社グループの主な事業に対して気候変動が与える財務的な影響の分析を実施し、Web等にて開示しました。今後は情報開示の充足に努めてまいります。
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項 目 |
リスクの内容・可能性・時期・影響の程度 |
対応策 |
9.環境 ・環境に関する 社会的要請 ・環境規制、環 境汚染 |
・環境規制、環境汚染 グローバルに事業を展開する当社グループは、世界各国・地域において様々な環境法規制の適用を受けております。中でもEU-RoHS指令をはじめとする製品含有化学物質に関わる法規制は、世界各国・地域において新設及び改正が頻繁に行われています。これら規制に対する違反が発生した場合、製品のリコール、生産・販売の中止、課徴金の負担、刑事罰及び社会的信用の失墜等により、当社グループの事業経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。 |
・環境規制、環境汚染 当社グループは、禁止、制限及び管理対象とすべき化学物質を「ブラザーグループグリーン調達基準書」に明示すると共に、サプライヤーによる部材の適合保証、成分情報の伝達、サプライヤー監査及び納入品の抜き取り検査等を実施することにより、確実な法規制遵守に努めています。 また、世界各国・地域における環境法規制の最新情報は環境担当部門が当社グループ拠点と連携を取って収集し、当社製品に必要な対策の立案を行い、製品設計変更に関わる開発、購買、製造及び営業等の関連部門と協働し、製品への迅速な適応を図っています。 |
10.安全保障貿易 |
当社グループの産業機器事業で取り扱う工作機械は、国際的な安全保障貿易管理の枠組みによる規制品目に分類されております。 |
適正な法令遵守体制を維持しつつ、このようなリスクを低減するために継続的な管理状況の評価と改善、従業員等への周知教育の実施、産業機器事業を中心としたグループ子会社及びサプライチェーンを構成する各社と連携を図ることにより、当社全体としての安全保障貿易管理体制の強化、リスク内容に応じた有効且つ効率的な管理運用に努めております。 |
項 目 |
リスクの内容・可能性・時期・影響の程度 |
対応策 |
11.情報・ システム ・情報セキュリティ ・情報ネットワーク |
・情報セキュリティ 何らかの原因で個人情報及び機密情報が外部に漏洩した場合、お客様からの信頼を失うとともに、ブランドイメージの低下を招くなど、当社グループの事業活動や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、顧客サービスの充実を目指して、製品情報やサポート情報の提供並びに、関連サービスの提供を行っております。このようなWebサイトや関連するシステムにつきましては、安全な情報セキュリティレベルを維持することに努めておりますが、マルウェア感染や標的型攻撃などのサイバー攻撃により、データの破壊や改ざん、サービスの停止などの被害等が発生した場合、事業活動に悪影響を及ぼすことが考えられます。 また、近年は、IoT 製品をターゲットとしたサイバー攻撃の脅威が増大しており、当社製品からお客様の個人情報や機密情報が漏洩した場合、お客様からの信頼を失い、ブランドイメージが失墜し、当社グループの事業活動や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。各国政府もIoT製品のセキュリティ向上や個人情報保護を目的とした法整備を活発化しており、法令に準拠しない製品は、対象国で販売できなくなる可能性があります。 |
・情報セキュリティ 当社グループは、情報管理規程を定めると共に情報管理委員会を設け、情報セキュリティ運用ルールを策定しております。また、SNS等のソーシャルメディアの利用に関しても、利用規程を定めております。それらの運用ルールや利用規程に基づくセキュリティ対策や社内教育を行うことで、個人情報及び機密情報の漏洩防止、サイバー攻撃へのグローバルで統一した多層防御対策の強化に努めております。また、近年はスマートフォン等により一部の社内情報の利用が出来ますが、利用端末の制限や暗号化等により管理体制の強化に努めております。さらに、個人情報や機密情報へのアクセスに関しましては、アクセス制御やアクセスログ管理を行っており、不正な取り扱いを回避しております。 当社グループは、お客様に安心して製品をお使いいただくために、「製品情報セキュリティ基本方針」を定め、グループ全体で製品セキュリティの向上を図っております。また、製品に関する脆弱性リスクが発生した場合の報告ルートや製品情報セキュリティ事故の対応体制に関する社内規程を定め、体制を構築することでリスクを最小化する対策を実施しております。各国の法令順守に関しては、海外子会社と連携し、法令等の新設・改訂の情報を察知し、法律の内容を十分に理解したうえでグループのビジネスや製品サービスへ迅速に反映するよう努めております。
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項 目 |
リスクの内容・可能性・時期・影響の程度 |
対応策 |
11.情報・ システム ・情報セキュリティ ・情報ネットワーク |
・情報ネットワーク 当社グループは、生産管理・販売管理及び財務等に関する情報を、ネットワークを通して管理しております。また、近年は外部データセンターやクラウドサービスを活用し、社内のみならず社外に配置した情報システムもネットワークを通して使用しております。万が一ネットワークの切断、システムの停止等が発生した場合、これらは事業活動の阻害要因となり得ます。また、マルウェア感染や標的型攻撃などのサイバー攻撃につきましても、予期し得ない外部からの侵入や攻撃がなされた場合、その内容や規模によっては、事業活動に悪影響を与える可能性があります。 また、財務報告の信頼性を維持し高めることが求められている中、予期し得ない統制上の問題が生じた場合には、財務報告の信頼性を担保できないような状況が起こり得る可能性があります。 |
・情報ネットワーク 情報の保存、設備の保全等の対策には万全を期しておりますが、サプライチェーンに影響する重要システムは、万が一の故障時にもダウンタイムを最小限にして早期復旧を可能とするシステム構成にしております。 予期し得ない外部からの侵入や攻撃への対策として、グローバルで統一した多層防御に基づくセキュリティ対策の強化を行っており、定期的に見直しを行っております。24時間365日のセキュリティ監視を行うことで、PC、及びサーバ上の不正なふるまいをいち早く検知し、脅威を除去することで高度化するサイバー攻撃への対応も行っております。 上記のように、対応し得る最善の仕組みで対策を行うと同時に、日々進化するITテクノロジーに対応するため、システムを運営、利用する人材を継続的に教育することでレベルアップを図っております。万が一事故が発生した場合に備え、日頃より社内の対応組織の訓練を行い、迅速に対応することで被害を最小限に抑えるよう努めております。 内部統制への対応として、IT全般統制の視点から情報システムの開発・保守・運用業務の品質向上活動を継続し、適正なIT業務運用に努めております。 |
12.人材 ・労働災害、 人的被害 ・人材確保 |
・労働災害、人的被害 当社グループはグローバルに事業拠点を展開しており、多様性や環境、安全に対する意識並びに順守すべき法律も拠点所在国・地域によって異なっています。そうした労働条件において軽微なものから障がいが残る重篤な災害まで多くのリスクが労働環境には潜んでいます。加えて、昨今の想定を超えた天災から生じる被害や機械・設備などが起因となる火災、爆発などの事故で製造拠点の操業を停止することで社会的責任が果たせなくなると共に当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
・人材確保 労働市場における人材の獲得競争は激化しており、有能な人材の採用や雇用の継続が困難になった場合は、研究開発に十分な資源を投入できないことによる製品競争力の低下や労働力不足による製品の安定供給への支障など、結果として当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。発生可能性は現時点で低いものの、特にブランドイメージが著しく損なわれた場合に発生することが想定され、影響は案件の内容次第となります。 |
・労働災害、人的被害 グループ各拠点の安全防災事務局から毎月の事故・災害状況を入手して、発生した災害に関しては原因の究明や再発防止策などの情報を共有し水平展開を図ることで同種・同類災害の再発を防止しています。また、各拠点で実施されている安全防災活動を支援し、工場監査を通じて実施状況の確認を行っております。
・人材確保 当社グループは、グローバルに展開する企画、開発、設計、製造、販売、サービス等の各機能に必要な人材確保に努めております。 |
項 目 |
リスクの内容・可能性・時期・影響の程度 |
対応策 |
13.M&A(減損リ スク) |
当社グループは産業用領域のさらなる拡大・新規事業の創出・育成等に向けて、M&Aも含めた成長投資を加速する方針を掲げております。 なお、当連結会計年度において、ドミノ事業ののれんの一部について減損損失28,216百万円を計上いたしました。英ポンド高の進行による利益へのマイナス影響や、金利上昇を受けた割引率の上昇に加え、デジタル印刷機市場における成長が想定より遅れていることを受けて今後の事業計画を慎重に見直したことによるものです。 |
当社グループは、中期戦略「CS B2024」において、産業用領域の飛躍に向けて「ドミノ事業の成長加速」を重点戦略に掲げ、デジタル印刷分野の新製品投入やコーディング&マーキング分野の顧客基盤強化に取り組んでおります。 また、のれんにつきましては少なくとも年に1回、減損の兆候の有無にかかわらず、将来得られるキャッシュ・フロー見積りと、帳簿価額を比較して、のれんの資産価値を確認しており、適正な評価額で計上しております。 |
14.為替変動リスク |
当社グループは、海外での製造・販売比率が高く、外貨建取引に係る為替変動リスクが定常的に発生しております。2024年3月期の実績ベースで試算した場合、対ユーロで円高になると、1円当たり、年間約8億円の利益の減少要因となります。また、対米ドルで円安になると、1円当たり、年間約3億円の利益の減少要因となります。 海外子会社の保有する現地通貨建ての資産(負債を控除した純額)は、各現地通貨に対して円高になると、円換算後の金額が目減りします。これは直ちに連結損益には影響しませんが、その他の包括利益が減少し、純資産を押し下げる要因となります。 |
リスク低減のため、外貨建取引における受取と支払のリンク率向上を図る一方で、短期的には為替予約取引を行うなど、リスクを効率的に管理し、回避するよう努めております。 |
項 目 |
リスクの内容・可能性・時期・影響の程度 |
対応策 |
15.知的財産 |
(1)第三者による模倣品の販売など、第三者による当社グループ所有の知的財産権の侵害が発生する可能性があります。この結果、当社グループの経営成績等が悪化したり、信用が低下したりする可能性があります。
(2)第三者所有の特許権等について、第三者より当社グループに対し、侵害の訴えが提起される可能性があります。第三者の主張が認められると、製品の販売の差止めや、損害賠償の支払などが求められる可能性があります。
(3)当社グループは、必要に応じて、特許権等知的財産権に関するライセンス契約を他社と締結しつつ、事業活動を行っております。しかしながら、ライセンス契約の条件によっては事業活動が影響を受ける可能性があります。
(4)発明者より、発明の報奨に関する訴えが提起される可能性があります。 |
(1)当社グループは、第三者による侵害行為に対しては、経営成績等や信用への影響度を考慮しつつ、知的財産権を行使しております。
(2)当社グループは、他社の特許権等の知的財産権を尊重して事業活動を行っておりますが、第三者から侵害の訴えが提起された場合には、内容を精査した上で、防御や和解などの対策を講じております。
(3)当社グループでは、研究開発の成果として多数の特許権を取得しております。保有する一部の特許権について相手方へライセンスを供与するなどの対策を講じつつ、事業活動への影響が最小限になるように契約を締結しております。
(4)当社グループは、発明報奨規程を設けており、発明者に対する報奨を適切に行っております。
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配当政策
3【配当政策】
剰余金の配当等の決定に関する方針につきましては、将来の成長のために必要な内部留保の確保やキャッシュ・フローの状況などを総合的に勘案しつつ、安定的かつ継続的な株主還元を行うことを基本方針としております。
当社は、第2四半期末配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、「取締役会の決議によって、会社法第459条第1項各号に掲げる事項を定めることができる」旨定款に定めております。
当連結会計年度の配当金につきましては、期末配当を1株当たり50円とし、すでに実施済みの第2四半期末配当(1株当たり34円)とあわせ、前連結会計年度から16円の増配となる、1株当たり年間84円の配当といたしました。
2024年度を最終年度とする中期戦略「CS B2024」においては、未来に向けた先行投資を行う一方で、1株当たり年間68円の配当を下限水準とし、業績状況等に応じて配当水準の引き上げを含めた追加的な株主還元を検討します。加えて、自己株式の取得については機動的に実施してまいります。
なお、当連結会計年度に係る剰余金の配当は以下の通りであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2023年11月7日 |
8,710 |
34.0 |
取締役会決議 |
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2024年5月17日 |
12,811 |
50.0 |
取締役会決議 |