2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    3,917名(単体) 9,886名(連結)
  • 平均年齢
    43.9歳(単体)
  • 平均勤続年数
    18.9年(単体)
  • 平均年収
    7,605,882円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

(2025年3月31日現在)

セグメントの名称

従業員数(名)

電力インフラ事業

2,331

社会システム事業

2,541

産業電子モビリティ事業

1,287

フィールドエンジニアリング事業

1,860

不動産事業

0

その他

636

全社(共通)

1,231

合計

9,886

 

(注)  従業員数は就業人員数であります。

 

(2) 提出会社の状況

(2025年3月31日現在)

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

3,917

(236)

43.9

18.9

7,605,882

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

電力インフラ事業

843

(46)

社会システム事業

1,133

  (116)

産業電子モビリティ事業

693

(23)

フィールドエンジニアリング事業

17

(1)

不動産事業

0

(0)

全社(共通)

1,231

(50)

合計

3,917

(236)

 

(注) 1.平均年間給与(税込)には、賞与、時間外勤務手当及び基準外賃金等を含んでおります。

2.従業員数は就業人員数(当社から社外への出向者、パート・アルバイト及び休職者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、嘱託、定年退職後再雇用者は( )内に外数で記載しております。

3.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。

 

(3) 労働組合の状況

2025年3月31日現在、当社グループで労働組合を組織している会社は、当社及び㈱甲府明電舎、明電ケミカル㈱、明電システムソリューション㈱のあわせて4社であり(組合員数4,216名)、これらの会社で明電関連労組協議会を組織しております。

なお、労使関係については特に記載すべき事項はありません。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

セグメントの名称

対象会社

管理職に

占める女性労働者

の割合

男性育児

 休業等

取得率

男女の賃金の差異

全労働者

うち正規雇用労働者

うち

パート・

有期労働者

提出会社

㈱明電舎

5.4

%

107%

71.4

%

70.7

%

57.5%

電力インフラ事業

明電テクノシステムズ㈱

0.0

%

75%

87.4

%

84.3

%

*1

イームル工業㈱

9.1

%

0%

90.6

%

87.1

%

40.5%

社会システム事業

明電システム製造㈱

20.0

%

100%

82.0

%

83.8

%

72.3%

明電プラントシステムズ㈱

0.0

%

100%

72.5

%

72.0

%

57.7%

明電システムソリューション㈱

5.1

%

200%

73.8

%

72.9

%

54.6%

明電アクアビジネス㈱

0.0

%

100%

67.1

%

86.9

%

55.9%

産業電子

モビリティ事業

㈱甲府明電舎

0.0

%

100%

71.9

%

77.3

%

93.6%

フィールドエンジニアリング事業

㈱明電エンジニアリング

1.8

%

71%

70.7

%

69.8

%

92.9%

明電ファシリティサービス㈱

0.0

%

120%

84.8

%

92.4

%

67.6%

その他

明電興産㈱

35.3

%

*2

74.7

%

84.6

%

39.1%

 

※ 対象期間は、2025年3月期(2024年4月1日から2025年3月31日まで)となります。

※ 「*1」は、対象となる女性労働者が無いことを示しております。

※ 「*2」は、対象となる男性労働者が無いことを示しております。

 

※ 管理職に占める女性労働者の割合は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64 号)に基づき算出したものであります。

※ 管理職に占める女性労働者の割合は、他社への出向者を含み、他社からの出向者を除いて算出しております。

 

※ 男性の育児休業等取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。

※ 過年度に配偶者が出産した従業員が、当連結会計年度に育児休業を取得することがあるため、取得率が100%を超えることがあります。

※ 男性の育児休業等取得率は、他社への出向者を除き、他社からの出向者を含んで算出しております。

 

※ 男女の賃金の差異=女性の平均年間賃金÷男性の平均年間賃金×100%として算出しております。

※ 平均年間賃金は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

※ 正規雇用労働者の人員数は、他社への出向者を含み、他社からの出向者を除いております。パート・有期労働者の人員数は、臨時従業員を含んでおります。

※ 当社グループの国内従業員における女性従業員比率が低く、また、女性に比べ男性の管理職比率が高いことが男女間賃金差異の主な要因となっております。

  なお、同一労働の賃金に差はなく、提出会社の管理職における男女の賃金の差異は、94.6 %であります。

 

※ 女性従業員の継続的な採用と女性管理職の育成は、当社として重要な課題と認識しており、DEI推進に向けた全社横断組織を発足し、各種施策を展開しております。詳細は、第一部 第2 事業の状況 2「サステナビリティに関する考え方及び取組」の「(3)戦略 ②未来へ挑む人財・企業文化づくり(人的資本) 」に記載しております。

 

※ 上記の表には提出会社に加えて、女性活躍推進法に基づき公表が求められている会社のみ記載しており、その他の主要な連結子会社については後記「第一部 第7 提出会社の参考情報 2その他参考情報」に記載しております。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

当社グループでは、持続可能性の観点から企業価値を向上させるため、サステナビリティ推進体制を強化しており、代表取締役 執行役員社長がサステナビリティ課題に関する経営判断の最終責任を有しております。

2022年度より、経営判断を行う場と進捗把握を行う場を切り離す目的で、サステナビリティ経営戦略会議とサステナビリティ経営推進会議の2階構造に体制を見直しております。また、取締役会がサステナビリティ全般について監督する役割を担っており、社内のサステナビリティ経営に関する議論内容については、年2回の定期報告を含め取締役会へ情報共有が行われております。

 


 

~両会議体における議題(2024年度)~

 

回数

議題

サステナビリティ経営戦略会議

第1回

第三次明電環境ビジョン

サステナビリティ活動進捗

第2回

中期経営計画2027 サステナビリティ経営

サステナビリティ経営推進会議

第1回

2024年度活動計画

環境・文化改革・価値共創・人権・サステナビリティ若手部会 活動進捗

第2回

環境・人的資本・文化改革 活動進捗

第3回

環境・文化改革・価値共創・人権 活動進捗

 

 

また、取締役(監査等委員及び社外取締役を除く。)報酬を決定する評価基準に、従業員エンゲージメント指標であるeNPS連動報酬を組み込むことで、サステナビリティガバナンスの強化及び取組みの実効性向上を図っております。他のサステナビリティに関する指標についてもインセンティブ報酬の中に組み込むことを検討してまいります。

 


 

 

(2) リスク管理

当社グループにおいて、全社的なリスク管理は、リスクマネジメント委員会にて行っております。サステナビリティ全体に関するリスク管理については、サステナビリティ経営を推進するサステナビリティ推進部が中心となり、関連部門とともにリスクの抽出を行っており、その内容については全社リスクの中に織り込んで、様々なリスクとともにマネジメントされております。リスク管理の詳細については、「第一部 第2 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

(3) 戦略

当社は、企業理念である「より豊かな未来をひらく」のもと、「人」と「技術」を企業価値創造の中核に据え、社会とともに発展してまいりました。中期経営計画2024では、2030年ビジョンとして「サステナビリティ・パートナー」を掲げ、そこからバックキャストする形で6つのマテリアリティ(重要課題)を特定し、その解決に取り組んでまいりました。

近年、生成AIをはじめとする革新的な技術が次々と実用化されており、企業を取り巻く環境や提供すべき価値のあり方は、今後更に大きく、かつ多様に変化していくと想定されます。その中で、2030年のビジョンを実現していくためには、成長と挑戦による価値提供方法の更新や、その実現を担う人財、企業文化の変革が必要になります。これらを踏まえ、当社はマテリアリティにデジタル化の視点を加えて再構成し、「未来へ挑む人財・企業文化づくり」、「価値提供のアップグレード」、及び「人とデジタルの調和」を新たな重要課題として追加しました。注力領域のうちである「リニューアブルエナジー」及び「サステナブルインフラ」の両領域においては、顧客や社会の課題に対し、ソリューションを通じた価値提供を推進してまいります。また、「グリーンモビリティ」「スマートインダストリー」の両領域では、製品技術及び生産技術を当社のコアコンピタンスと位置づけ、これを活かした価値提供を展開してまいります。

マテリアリティの抽出については、経営企画本部が中心となり各事業グループや横断部門と意見交換を行ったうえ、サステナビリティ経営戦略会議・常務会・取締役会で議論を経て決定しております。

 

※マテリアリティに関する詳細な情報については、2025年9月に当社ウェブサイトにて公表予定の統合報告書(明電舎レポート)2025年度版をご参照ください。

 

当社グループにおけるマテリアリティのうち、①カーボンニュートラル社会の実現(気候変動に対する取組み) 及び②未来へ挑む人財・企業文化づくり(人的資本)については、特に企業経営に影響を与えると考えており、それぞれの項目にかかる当社グループの考え方及び取組みは、次のとおりであります。

 

 ① カーボンニュートラル社会の実現(気候変動に対する取組み)

 <TCFD提言に基づく開示>

当社グループは長年、気候変動問題を重要課題として認識し、事業を通じて問題解決に取り組んでまいりました。2019年6月にTCFD提言への賛同を表明し、2020年よりTCFDのフレームワークに沿ったリスク・機会の検討を開始して、戦略への織り込みを進めております。

 

 <ガバナンス>

当社グループにおける気候変動問題への対応は、経済政策及び国際情勢に関して、グループ内外での経験を通じた高い見識を有するサステナビリティ担当役員が統括責任を担い、環境政策及び技術に関する専門的な知見を有する経営企画本部サステナビリティ推進部が、戦略の立案・実行、各種対応策の策定、モニタリングを推進しております。

また、先述のとおり、サステナビリティ全般について扱うサステナビリティ経営戦略会議及びサステナビリティ経営推進会議において、脱炭素に向けた戦略策定などを検討しております。議論の内容については年2回、サステナビリティ担当役員及びサステナビリティ推進部より取締役会へ報告しており、取締役会は戦略・計画の妥当性や実行状況を監督しております。これと並行して、生産統括役員が委員長を務める「明電グループ環境委員会」にて、社内環境活動の進捗管理として、四半期ごとに社内課題の抽出、環境目標・実施計画・緊急事態発生時の対応等を審議し、環境経営の具体的な施策展開を推進・モニタリングしております。

 

 <リスク管理>

先述のとおり、サステナビリティ全体に関するリスク管理については、サステナビリティ経営を推進するサステナビリティ推進部が中心となり関連部門とともにリスクの抽出を行っており、その内容についてはガバナンス本部が管理をする全社リスクの中に織り込み、様々なリスクとともにマネジメントしております。気候変動に関するリスクについてもその中に含まれております。

 

 

 <戦略>

気候変動に対するシナリオ分析は、サステナビリティ推進部が中心となり、経理・財務本部、ガバナンス本部、事業グループなどの社内関係部門と連携しながら検討プロセスを4つに分け、年次で分析・評価をしております。同時に事業に影響を及ぼす重要な要因を選定し、特定したリスクと機会・評価を事業戦略に反映しております。

 


 

 STEP1 シナリオ群の選択・具体化

TCFDが推奨するように、2℃シナリオ以下を含む複数の温度帯シナリオを選択し、分析を行っております。脱炭素シナリオ(RCP1.9)及び温暖化シナリオ(RCP4.5, RCP8.5)の2つのシナリオに基づき、IEAやIPCCなどの国際公表データや日本の政府機関が公表している数値データなどを用いつつ、5フォース分析などの経営フレームワークも活用し、各シナリオにおける世界観や具体的なシナリオを整理しております。当連結会計年度から当社グループの長期環境目標の最終年度である2050年までを見通して中長期的な世界観やシナリオ、数値前提を再構築しております。

 

 

気温レンジ

関連シナリオ

出典

脱炭素シナリオ

1.5℃未満

NZE2050

IEA

RCP1.9

IPCC

温暖化シナリオ

2.5~4.0℃

STEPS

IEA

RCP4.5

IPCC

RCP8.5

IPCC

 

 

 


 

 

STEP2 気候変動関連リスクに対する重要度評価

TCFD提言で例示されているリスク・機会を参考にしつつ、各シナリオの世界観をもとに気候変動に伴うリスク・機会因子を抽出し、事業領域別と当社グループ全体の対象範囲に分けたうえで、リスク・機会の具体化と影響が生じる時間軸を整理しております。

 

■気候変動関連リスク評価における時間軸の定義

 

定義

戦略・計画期間との関係

短期

2025年~2027年度までの3か年

中期経営計画2027に基づく環境戦略、実行計画

及び2027年度目標に合わせた期間

中期

2030年まで

「第三次明電環境ビジョン」に基づく環境戦略、実行計画

及び2030年目標に合わせた期間

長期

2050年まで

国家目標及び当社グループの長期環境目標に合わせた期間

 

 

 

■当社グループの注力領域及びグループ共通の移行リスク (主に脱炭素シナリオにおける機会・リスク)


 

 

  ■当社グループ共通の物理リスク(主に温暖化シナリオにおける機会・リスク)


 

 STEP3 事業インパクト評価

STEP1で整理したシナリオ別の世界観及び、STEP2で整理した機会・リスク項目を踏まえ、事業インパクトの評価を実施しております。その過程で「第三次明電環境ビジョン」にて進捗目標を設定している2030年を対象に「営業利益へのインパクト」、「事業発生の蓋然性」の2軸から特に事業への影響が大きい項目をスクリーニングし、それらの項目について詳細分析を実施しております。影響が大きい各項目は、シナリオ別に市場成長率などをもとに「成行値(対策織り込み前の値)」を把握しました。一部仮定を置きながら定量的に試算し、計算が不可能な項目については定性的に整理しております。

 


 

 


 

 STEP4 対応策の検討

STEP3で算出した「成行値」をもとに、当社グループの置かれた状況を踏まえ、機会を掴む戦略、リスクを軽減するための施策を検討してまいりました。

 


 

 

●トピックス① エステル油入変圧器でSuMPO環境ラベルプログラムを取得

 

 当社は、今後の脱炭素関連市場の拡大、国内外の法規制対応を見据え、エステル油入変圧器において一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)で第三者検証を実施し、SuMPO環境ラベルプログラム「SuMPO EPD」※(旧名称:エコリーフ)の認証を業界で初めて取得しました。

 今回の第三者検証により、当社のエステル油入変圧器のライフサイクル全体のGHG排出量を可視化できただけでなく、大気や水域等への影響や資源循環に関する情報等、製品の環境影響を多角的に評価されました。

 GHG排出量の可視化については、お客様のScope3排出量算定の精度向上に貢献するとともに、サプライチェーン全体の排出量削減に向けた改善点を特定できるようになりました。これにより、お客様への脱炭素化を支援するとともに、ステークホルダーに対する透明性の高いESG情報開示要請に応えることに繋がります。

 2050年のカーボンニュートラル社会への移行に伴い、環境配慮製品の市場優位性が更に高まることが予想されます。第三者機関による厳格なEPD認証取得は、製品の環境性能を客観的に証明し、環境法規制にも対応可能となります。

 当社は、今後も、より一層環境に配慮した製品の開発・提供に努め、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

※SuMPO環境ラベルプログラム SuMPO EPD(旧名称:エコリーフ)国際規格ISO 14025に準拠した

 「タイプⅢ環境宣言」で、いわゆるEPD(Environmental Product Declaration)の1つ。

 

 

●トピックス② SF6ガスレス変電事業拡大

 

 気候変動における当社グループの機会の1つとして、脱炭素社会構築に貢献することが出来るSF6ガスレス変電事業の拡大が挙げられます。

 電力インフラの重要な機器の1つである開閉器(スイッチギヤ)では、従来、電流遮断及び絶縁をするためにSF6ガスを使用しておりました。しかし、SF6ガスはCO2の2万倍以上の温室効果を持つため、当社グループでは、電流遮断には真空インタラプタを用い、絶縁ガスとしてはドライエアを採用することにより、SF6ガスを全く使用しない環境配慮型のスイッチギヤの開発に取り組んでまいりました。2007年には72kVクラスのタンク形真空遮断器(ドライエア絶縁)を国内外の市場に投入し、その後、高電圧化へのニーズに対応しつづけ、2020年には世界初の145kVクラスの製品を開発しております。同年にはSF6ガスレス変電製品を取り扱う初の北米製造拠点 Meiden America Switchgear, Inc. (以下、明電アメリカスイッチギヤ)を設立し、現在では好調な事業環境の下、成長事業の1つとして成長を続けております。

 

 今後の展望として、電力業界では2026年の欧州SF6ガス規制導入など、電力設備の脱炭素化ニーズが更に拡大する見込みであります。当社グループとしては、この好機を逃さず、世界トップレベルの真空遮断器メーカとして事業を拡大してまいります。

 特に中期経営計画2027では、開発を進めている環境配慮型スイッチギヤを順次国内外の市場に投入していくとともに、明電アメリカスイッチギヤの生産能力増強にも取り組んでまいります。また並行して将来への取組みとして、さらなる高電圧・大容量化のニーズに応えられるようなスイッチギヤの製品化に挑むとともに、SF6ガス規制が発動した欧州市場向けに事業展開準備を進めてまいります。

 当社グループはこのような環境配慮型製品・サービスを今後も開発・拡販し、気候変動に伴う事業拡大の好機を掴んでまいります。

 

 

 

 <指標と目標>

当社グループは、2021年11月に長期目標として、2040年RE100、2050年カーボンニュートラル達成を宣言しております。また、中期目標として、2030年度に向けたScope1,2及び3の温室効果ガス排出削減目標を上方修正した第二次明電環境ビジョンを2021年度に発表しました。そして、2025年度から開始した中期経営計画2027では、1.5℃シナリオ水準に整合した新たな目標を第三次明電環境ビジョンとして策定し、短期目標として中期経営計画2027の最終年度2027年度の目標を定めました。また、これまで、Scope3の削減目標は最も排出量の多いカテゴリ11「販売した製品の使用」を削減目標の対象として参りましたが、第三次明電環境ビジョンでは、全カテゴリで新たな削減目標を定めました。なお、本目標は、SBT(Science Based Targe)イニシアチブの認証を2025年3月に改めて取得しております。

 

温室効果ガス排出量削減目標

2019年度比

2024年度

2025年度

2027年度

2030年度

計画

見込

計画

計画

計画

事業活動に伴う

排出量(Scope1+2)

6%削減

18%削減

30%削減

40%削減

50%削減

事業活動に関連する

排出量(Scope3)

6%削減

(カテゴリ11)

16%削減

(カテゴリ11)

20%削減

(全カテゴリ)

30%削減

(全カテゴリ)

 

 

■カーボンニュートラルに向けた移行計画


 

■インターナルカーボンプライシング(ICP)

当社では2021年4月からインターナルカーボンプライシング(ICP)制度を導入して設備投資計画に伴う排出量を内部炭素価格で費用換算し、投資判断材料の一つとしております。2023年度の設備投資より、環境省のガイドライン及びIEAの1.5℃シナリオの炭素価格を考慮して、15,000円/t-CO2へ引き上げ、これまで空調設備更新やLED化等の推進に活用しております。当連結会計年度は、574t-CO2/年の削減に貢献しました。引き続き、ICPの活用拡大、Scope1,2の削減に取り組んでまいります。

 

■再生可能エネルギー由来の電力利用

生産増に伴うScope2増大を抑制するため、再生可能エネルギー由来の電力利用の拡大を進めてまいります。国内の再生可能エネルギー比率は2023年度30%から2024年度は41%となりました。今後自家発、電力購入契約(PPA)、再エネ電力メニュー、再エネ電力証書を活用しながら、国内外の生産拠点の再エネ比率拡大を優先事項として取り組んでまいります。

 

 

   ■GHG削減貢献量実績

当社グループは、環境配慮型製品及びサービスの販売を通じて、社会全体の温室効果ガス排出量削減に貢献してまいります。

対象製品/事業

GHG削減貢献実績

(万t-CO2)

GHG削減貢献量算定の考え方

2023年度

2024年度

風力発電事業*1

3.5

2.8

系統電力を再生可能エネルギー発電に代替した場合の排出抑制

太陽光発電システム

13.5

6.4

水力用発電設備

(明電舎分)

570.3

103.1

水力用発電設備

(イームル工業分)

3.8

2.8

電鉄用回生インバーター

0.0

2.3

回生電流による省エネルギー

EV駆動ユニット

141.0

140.0

同等グレードのガソリン車を代替した場合の排出抑制

電動フォークリフト用

制御器・モーター

201.8

170.3

キュービクル形ドライエア絶縁開閉装置

(Eco C-GIS)

0.1

0.1

SF6ガス不使用による排出抑制

エコタンク形真空遮断器*2

3.0

13.6

合計

937.0

441.4

 

 

*1 使用段階のGHG排出量の差分に、想定寿命及び年間販売量を乗じて算定しております。ただし、風力発電は年間の発電量実績に基づいて算定しております。

*2 2024年度は、米国での生産分が含まれております。

 

 

② 未来へ挑む人財・企業文化づくり(人的資本)

 

<人的資本に関する基本的な考え方>

当社グループは、前述のマテリアリティの認識のもと、それらへの対応の遅れは企業運営や事業継続に関わる重要リスクとなるため、人財を価値創造の源泉である人的資本として捉え、強化に取り組んでおります。

 

<課題認識/従業員意識調査の結果>

当社グループは、従業員エンゲージメントの向上に向け、従業員エンゲージメント指標(eNPS)をKPIとして設定し、毎年実施している従業員意識調査結果に起因する要因を分析することで、現状の課題を把握し施策の実行に繋げております。

当連結会計年度に実施した従業員意識調査においては、組織の柔軟性や達成・挑戦志向を示す「風土」カテゴリの肯定率が前年度比で改善した一方、評価制度や報酬制度を示す「各種制度」カテゴリ、人財育成や採用・配置を示す「人財活用」カテゴリの肯定率は低い水準で推移する結果となりました。

 


◆従業員エンゲージメントの影響要因

カテゴリ

影響要因

ビジョン

理念・ビジョン、戦略の浸透など

風土

オープンな風土、コミュニケーション、達成・挑戦志向、エンゲージメント(会社の未来への希望)など

労働環境

生産性、ワークライフバランスなど

各種制度

評価・報酬・昇格・人財育成制度など

人財活用

エンパワメント(仕事へのやりがい)、人財採用・配置など

 

 

◆従業員意識調査の結果

 

2022年度

2023年度

2024年度

eNPS                       (前年度比)

-68.3%

-69.8% (-1.5)

-69.0%  (+0.8)

カテゴリ別肯定率(%)

ビジョン

74.1

73.1  (-1.0)

73.5  (+0.4)

風土

51.1

51.3  (+0.2)

52.6  (+1.3)

労働環境

52.9

53.7  (+0.8)

54.1  (+0.4)

各種制度

37.0

36.8  (-0.2)

36.9  (+0.1)

人財活用

43.0

43.3  (+0.3)

44.0  (+0.7)

 

※eNPSの単位を%とし、記載しております。

また、eNPS及びカテゴリ別肯定率の対象は、提出会社及び国内関係会社(イームル工業株式会社及び明電ユニバーサルサービス株式会社を除く。)であります。

 

 

<求める人財像の定義と各種取組みの展開>

急速に変化する時代の中で、その変化に対応し、価値提供のあり方を見直しながら世の中が抱える課題を解決していくためには、主体的に新しい社会づくりに取り組み、新たな価値を創造し続けることのできる人財が必要不可欠であります。

求める人財像を「自ら考え、自ら行動できる(考動)、多様な個を受け入れ、新しい価値を生み出すことができる(共動)、そして個とチームが共に育成・成長し合える(共育)人財」と定義し、これに基づく人財を獲得・育成していくための取組みを推進しております。

 


 

具体的には、各々の能力(A)とモチベーション(M)を高め、全ての従業員が活躍できる機会・環境を整備する(O)ことで企業パフォーマンスを最大化するAMOフレームワークを当社グループにおける人的資本強化の考え方のベースとして、「経営課題を解決する人財の獲得・育成」、「個を尊重した組織への転換」を軸に各種取組みを推進しております。

 


 

 

◆ 経営課題を解決する人財の育成

当社グループの目指す姿の実現には、多様な経営課題を解決できる人財の育成が必要不可欠であります。従業員の多様な能力(Ability)を高めるため、以下のような取組みを進めております。

 

<取組み事例>

● 既任正課長を対象としたマネジメント研修

既任正課長に対し、マネジメントスキル向上を目的とした研修を新たに導入しました。従来は新任の課長のみを対象としていましたが、変化する時代に対応するため、既任者向けにもマネジメント観のアップデートの機会を設けました。特にコミュニケーション力の強化を図り、管理職の効果的な部下との関わり方の習得を促進しております。

 

● 技能職研修

技能職は、従来選抜者を対象としたグループリーダー研修を実施していましたが、技能職の知識・モチベーション向上を目的として、当連結会計年度より階層別研修を新設し、昇格者全員を受講対象とする制度を導入しました。

 

● 社内兼業制度・社内インターンシップ制度

従業員のキャリア形成と組織活性化を目的とした人財育成施策として、社内インターンシップ制度及び社内兼業制度を導入しております。社内インターンシップ制度は、期間限定で他部門の業務を体験する機会を提供し、新たな経験や部門間交流を通じて視野の拡大と知見の習得を促進するとともに、従業員が自身のキャリアパスや適性を見つめ直す機会として機能しております。また、社内兼業制度は、従業員が本来の業務に加えて他部門の業務に携わることで、自発的なチャレンジの機会を創出し、働きがいの向上に繋げることを目的としております。

 これらの制度を通じて、当社は多様な経験を持つ人財の育成と組織の持続的成長を図っております。

 

◆ 個を尊重した組織への転換

従業員のウェルビーイングを向上させ、当社グループの中長期的な価値創造に繋げていくためには、「個を尊重した組織への転換」が必要不可欠であります。従業員の能力を高めるだけでなく、働くモチベーションを高め、多様なバックグラウンドを持つ従業員が活躍できる機会や環境を整備することで、従業員それぞれが「個の力」を最大限に発揮でき、組織パフォーマンスの最大化に繋がると考えております。

 

 

ⅰ 従業員のモチベーション(Motivation)向上

● 人事制度改定

従業員のエンゲージメント向上や人財獲得の競争力強化のため、人事処遇制度を改定しました。特に一般職の処遇を引き上げ、それに合わせて役職・シニア職の処遇についても見直しを実施しました。より成果や役割に応じた制度へ移行し、従業員の働きがいや成長意欲の向上を図ります。

今後も、経営環境や労働市場の変化、個人の価値観や働き方の多様化、物価高騰による従業員の生活への影響等を踏まえ、経営状況や制度改定の影響等を考慮しながら、段階的に処遇を改善してまいります。

 

● 昇格基準・運用の見直し

適所適材を実現するために優秀な人財を早期に登用・抜擢できるよう「昇格制度」を見直し、当連結会計年度から運用を開始しました。今後は、必要に応じ昇格制度の運用改善を図りながら、優秀な人財の早期登用・抜擢を進め、組織パフォーマンスの最大化に繋げます。

 

● 職場環境の改善・企業風土醸成

 従業員がよりいきいきと活躍できる職場環境実現のため、空調機を完備した更衣室の新築・運用を開始した他、食堂の改修等を行いました。また、職場の垣根を越えたコミュニケーション活性化のため、各事業所においてボウリング大会等の各種イベントを開催しました。

 

● エンゲージメント・やりがいの向上、オープンかつ未来志向な企業文化づくり 

 従業員のエンゲージメント・やりがいの向上を目的に、「MYビジョン」「MYチャレンジ」の取組みを進めております。また、オープンかつ未来志向な企業文化に変革していくために、2022年度から、経営層と従業員の双方向で「MYビジョン」「MYチャレンジ」について対話をする場として「明電みらいミーティング」、2023年度からは、「社長タウンホールミーティング」の取組みを開始しております。「社長タウンホールミーティング」では、新しい社会づくり・時代にあった価値を提供できる企業、一人ひとりの従業員を大切にする企業であり続けるために、社長自ら「MYビジョン」を語り、この取組みの必要性と、より人を大切にする経営を推進していく覚悟を示しました。また「明電みらいミーティング」では、部門毎に各担当役員が自らの「MYビジョン」を語り、部門の従業員と対話をすることにより、自分の思いをもって挑戦する空気の醸成を進めております。

 

 

ⅱすべての従業員が活躍できる機会(Opportunity)の創出 

多様な人財が活躍できる環境づくり

女性活躍推進における課題を「計画的な育成と女性同士のネットワーク構築」と捉え、新たな女性リーダー育成プログラムを開始しました。これまで行ってきたサポーター役員とのセッションに加え、他社女性とのセッションや先輩社員のパネルディスカッションのカリキュラムによるネットワーク強化を図るとともに、参加者自身のキャリアビジョン及び組織運営に必要な具体的なリーダーシップ行動計画を構築するプログラムとしました。今後も継続的に実施することにより、社内外の女性同士の縦横のネットワーク構築も図ります。また、障がい者雇用においては、製造現場内での軽作業や事業所内路面補修業務等、活躍の場を拡大しました。

海外現地法人幹部候補人財の計画的育成のため、インドネシアにおいて、組織開発を目指す「コーチングプログラム」を実施しました。今後も海外現地法人の経営層の現地化を目指し、他現地法人へも引き続き展開を進めてまいります。

 

● 新たな挑戦を応援する風土醸成(社外への出向拡大)

若手・中堅層を中心に、グループ外・行政機関への出向を強化しております。専門分野や業務の枠を越えた広い視野と高い視座の習得、発想力や問題解決力の向上、多様性の受容力や共感力の向上等、さまざまな経験とチャレンジの場として活用しております。

 

   <従業員の安全意識向上と健康経営の促進>

● 安全に関する取組み

従業員一人ひとりの危険感受性を向上させるとともに職場の危険を把握するため、国内各生産拠点やグループ会社に対し安全体感車を活用した教育(VR含む。)を展開しております。沼津事業所の安全伝承館では労働災害の風化防止のため、過去の労働災害を伝え、同じ労災を繰り返さないための教育を行っております。遠方の事業所の社員に対しては、新たにメタバース安全伝承館を構築し、WEB上での教育を開始しました。また、社員の不安全行動を監視し注意するため、沼津事業所にはAI安全カメラシステムを導入しました。高温多湿となりがちな工場内の作業環境を踏まえ、各工場に環境センサーを設置しWBGT値を監視することで、労働環境の警報を各職場に発信しています。作業者が快適に休憩できるスペース確保や空調管理の職場も拡張しています。

 

● 健康経営の促進

当社グループでは、持続的成長を支える人的資本経営の土台としての健康経営を推進し、『健康は何ものにも代え難い財産』という理念のもと、「身体の健康」・「心の健康」・「職場の健康」を三本柱とする包括的な健康施策に取り組んでおります。

当連結会計年度は国内各事業所と海外拠点(MEIDEN (HANGZHOU) DRIVE TECHNOLOGY CO., LTD.(中国) )をオンラインで結ぶハイブリッド型健康イベントを実施しました。今後も、従業員のヘルスリテラシー向上と健康増進を図るとともに、グローバルな一体感の醸成に取り組んでまいります。

 

 

<指標と目標>

以上の取組みを踏まえ、当社グループでは以下の項目について目標値を設定しております。2025年度も目標達成に向け、各種施策を実行してまいります。

現在、連結ベースでの人事情報収集体制が整備途上であり、データの整合性及び網羅性に課題があるため、現時点では単体ベースでの情報を開示しております。今後は、連結ベースでの人的資本データの整備及び開示体制の構築を進め、段階的に連結ベースでの開示に移行していく予定であります。

 

No

指標

目標値

2024年度実績

1

管理職に占める女性労働者の割合

2030年度 12%

5.4%(提出会社)

2

男性労働者の育児休業取得率

2025年度 100%

107%(提出会社)

3

労働者の男女の賃金差異

71.4%(提出会社全従業員※1)

4

女性役員クラス(プロパー)

2030年度 3名以上

(うち執行役員1名以上)

1名

5

外国人 現地法人社長

2030年度 5名以上

(うち執行役員1名以上)

2名

6

eNPS(従業員向けNPS®)

2027年度 -65.0% ※2

-69.0%

 

※1 同一労働の賃金に差はなく、提出会社の正社員のうち管理職における男女賃金格差は94.6%です。

※2 提出会社及び提出会社と同じ従業員意識調査を実施している国内連結子会社

 

(4)指標・目標

以上の内容を踏まえ、当社グループでは中期経営計画2027にて非財務指標の目標を設定しております。項目・目標値・実績については以上に記載したとおりであります。