リスク
3【事業等のリスク】
以下において、当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業展開上のリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断において重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。
なお、当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
また、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクをすべて網羅するものではありません。
なお、以下の記載事項は、特に断りがない限り、当連結会計年度末現在の事項であり、将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。将来に関する事項につきましては、不確実性を有しており、将来生じる結果と異なる可能性がありますので、記載しております事項に対する判断は、以下記載事項及び本項目以外の記載内容も合わせて慎重に行われる必要があります。
(1)特定の仕入先への依存リスク
当社グループはエレベーター等のメンテナンスを主たる事業としております。
当社グループは、エレベーター等のメンテナンスのために必要となるパーツの購入先を複数にするなどパーツが確保できなくなるリスクを低減するよう努めておりますが、パーツによっては品質維持の目的によりメンテナンス対象となるエレベーター等のメーカー(系列会社を含む)のみからの購買としております。
当社グループは、これらのパーツについて一定量の在庫の保有、パーツのリサイクル、海外市場等からの調達の検討によりパーツの供給不足や調達時期の遅れに備えておりますが、なんらかの理由により、これらのパーツを適時・適量に確保できない場合には、当社グループのメンテナンス業務を適時に実施できない可能性があります。
また、これらのパーツを構成する素材の価格上昇等の理由により、これらのパーツの価格が上昇し、そのコストをサービス価格に転嫁できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)競合に関するリスク
メンテナンス市場には、エレベーター等メーカー、メーカー系列のメンテナンス専業会社及び独立系メンテナンス会社等、大小様々な競合会社等が多数存在しており、競合の激化により新規獲得数の減少や契約切り替え等が発生し、当社グループのシェアが低下する可能性があります。また、サービス価格が下落した場合、メンテナンスの単一事業を行っている当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)技術革新について
エレベーター及びエスカレーターは随時新機種が発売・設置されており、当社グループでは国内主要メーカーのどの機種でも保守できるよう技術水準の向上に努めておりますが、今後、メーカーによる急激な技術革新が進み、当社グループが適時に対応できない場合、当社グループの財政状態及び経営成績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
(4)法的規制について
① 当社グループが行う保守・保全業務のうち法定検査については、建築基準法において昇降機等検査員等の資格を有する者が行う旨定められております。当社グループでは事業規模に応じて昇降機等検査員の確保に努めておりますが、何らかの理由で昇降機等検査員を十分に確保できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 当社グループが行うリニューアル業務では、建設業法に基づく機械器具設置工事業の許可を得て事業を展開しておりますが、建設業法・建築基準法その他関係法令の改廃等が行われた場合に、製品の仕様変更が必要となる等の理由により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)知的財産権について
当社グループは多くの知的財産権を保有し、維持・管理しており、必要に応じて技術調査等を行うことで知的財産権侵害問題の発生を回避するよう努めております。
しかし、当社グループの知的財産権が無効とされる可能性や模倣される可能性等があり、当社グループの保有する知的財産権の保護が損なわれた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、第三者の知的財産権を侵害したことにより、当社グループが当該第三者に対して損害賠償責任を負う可能性があります。
(6)メンテナンス用パーツの在庫及び評価リスクについて
当社グループでは、エレベーター等の保守・保全、リニューアル業務のためのパーツ棚卸資産として保有しておりますが、メンテナンス対象となるエレベーター等が多機種であることに加え、メンテナンス期間が長期間となることが想定されるため、棚卸資産が増加する可能性があります。
当社グループでは、基準在庫数による管理を行うなど、パーツの重要性に応じた在庫管理を実施しておりますが、収益性の低下等に伴い、棚卸資産の資産価値が低下した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)事故・災害等に伴うリスク
当社グループは、エレベーター等の保守・保全業務及びリニューアル業務を行っております。
これらの業務を行うに当たって、当社グループは、国土交通省の「建築保全業務共通仕様書」に準拠し、また、社内で設定した独自の安全基準を遵守することにより、顧客及び利用者の安全を確保するよう十分配慮しております。
しかし、地震等の災害・利用者の使用方法・エレベーター等の欠陥に起因する事故の他、メンテナンス作業における当社グループ社員又は業務委託先の人的なミス等により機器の損傷事故や場合によっては人身事故に至る可能性があります。
当社は、グループ社員及び業務委託先への安全指導の徹底や損害賠償責任保険の加入によりリスク回避に努めておりますが、保険でまかないきれない損失の発生や信頼失墜により、当社グループの経営成績に影響が生じる可能性があります。
(8)労働災害に係るリスク
エレベーター等のメンテナンス作業は、危険を伴う作業であるため、当社グループでは「何よりも安全のために。」を経営理念のひとつに掲げ、作業員の安全教育を徹底することにより事故防止に努めております。
しかしながら、万が一、重大な事故・労働災害等が発生した場合、一時的に補償金等の負担が生じ、また、当社グループの社会的信用に重大な影響を与え、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)買収又は業務提携に関するリスク
当社グループは、他社の買収、他社とのジョイントベンチャーや業務提携を行っております。しかしながら、買収又は提携等が円滑に行われない場合や、買収した会社の事業、ジョイントベンチャー、業務提携が当初見込みどおりの期間で予想どおりの効果を得られない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)海外事業の展開に伴うリスク
当社グループは、海外への事業展開を行っておりますが、海外市場での事業活動には、次のようないくつかのリスクがあります。
① 予期しない法律や規制の変更
② 社会・政治及び経済状況の変化又は治安の悪化
③ 各種税制の不利な変更又は課税
④ 異なる商習慣による取引先の信用リスク等
⑤ 労働環境の変化や人材確保・教育の難しさ
⑥ 為替リスク
これらのリスクを最小限に抑えるため、現地顧問弁護士や会計事務所等からも迅速に情報を入手し、いち早く対策が打てる体制を構築する方針でありますが、リスクの顕在化により、サービスの提供が困難になり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)瑕疵担保責任等について
当社グループでリニューアル工事を実施したエレベーターの工事実施部分(当社製品)が、取扱説明書等に準拠した適切な据付、連結及び保守・点検管理が行われている等の所定の条件のもとで保証期間中(引渡から12ヶ月間)に故障した場合には、当社指定の方法により、無償で故障部品を修理又は交換することとしております。
また、当社グループは、当社製品の重大な欠陥、又は当社の製作及び施工の重大な過失によって直接生じた顧客の損害については、賠償の責任を負っております。
当社グループが何らかの理由により、瑕疵担保責任あるいは損害賠償責任の追及を受け、賠償責任を負うこととなった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)人材確保と育成について
当社グループは、高い専門性を有する技術者の確保及び、今後の事業拡大を見据えた営業部門人員、管理部門人員の増強を図っております。また、人材育成にも注力し、技術力の向上及び内部管理体制の一層の強化、充実に努めております。事業拡大に先行して人員を増強し費用負担が先行した場合、もしくは事業に必要な人員を確保できなかった場合、人材育成が想定どおりに進捗しなかった場合等、これらの施策が適時適切に行えなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)顧客情報の管理
当社グループは、保守・保全及びリニューアル契約に関するものをはじめとし、多くの顧客情報を取り扱っているため、外部からのネットワーク不正侵入への対策はもとより、内部からの情報漏洩防止のため、情報漏洩を防止するシステムを導入するとともに、「情報セキュリティポリシー」「個人情報・特定個人情報保護規程」等を整備し、情報流出の防止に努めております。
しかし、万一、不測の事態により顧客情報が外部に漏洩した場合には、信用失墜や損害賠償請求等が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)システム障害
当社コントロールセンターでは、万一のトラブルに遅滞なく対応できるよう、24時間365日体制でエレベーター等の状態を監視しております。
コントロールセンターのサービスは、コンピュータシステムと通信ネットワークにより提供されているため、当社は定期的にバックアップを取ることにより、システムトラブル発生の未然防止又は回避に努めておりますが、自然災害や不慮の事故、想定を上回る急激なアクセス増等の一時的な過負荷その他の要因によりコンピュータシステムにトラブルが生じ業務に支障が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(15)有利子負債について
当社グループの有利子負債残高(リース債務を含む)は、2024年3月期連結会計年度末現在で6,740百万円であり、有利子負債依存度は20.7%となっております。そのため金融市場の混乱や景気低迷、金融機関の融資姿勢の変化により借換えが困難になった場合や、市場金利の急速な上昇等により支払利息が急激に増加した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、借入金の一部には財務制限条項が付されております。財務制限条項に抵触した場合、貸付人の請求があれば期限の利益を失うため、直ちに債務の弁済をするための資金が必要になり、当社グループの財政状態及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
財務制限条項の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係) ※2 財務制限条項」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(貸借対照表関係) ※2 財務制限条項」に記載のとおりであります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主の皆様への利益還元を経営の最重要施策の一つとして認識しており、経営環境の変化に対応した経営基盤の強化と将来の事業展開のために必要な内部留保を確保しつつ安定した配当を継続することを基本方針としております。
第30期事業年度の配当につきましては、上記方針に基づき普通株式1株当たり25円00銭の配当を実施することを決定いたしました。
今後の剰余金の配当につきましては、中長期的な視点で業績や財務状況、投資計画を考慮したうえで、株主の皆様への利益還元に積極的に取り組んでいく方針であります。
内部留保資金につきましては、研究開発投資及び財務体質強化等に活用し、更なる企業価値の向上に努めてまいりたいと考えております。
なお、剰余金の配当を行う場合、普通株式については年1回の期末配当を基本方針としております。
当社は会社法第459条第1項に掲げる事項については、法令に別段の定めがある場合を除き、取締役会決議により定めることができる旨を定款に定めております。
第30期事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりです。
決議年月日 |
配当金の総額(千円) |
1株当たり配当額(円) |
2024年6月21日 |
2,226,443 |
25.00 |
定時株主総会決議 |