リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項には、以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスクを十分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針です。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)売上高の状況に係るリスクについて
当社グループは、日本国内を主たるマーケットとしてホテル事業を展開しておりますが、同事業における売上は、国内外の政治・経済情勢等による景気動向や天候・気象状況、災害の発生等、様々な要因により影響を受ける可能性があります。
①国内景気及び個人消費の動向について
当社グループは、日本国内を主たるマーケットとしてホテル事業を展開しておりますが、同事業による売上は国内景気や個人消費の動向の影響を受けやすい傾向にあり、企業活動の停滞、雇用情勢の悪化、個人消費の低迷等による個人利用客及び法人・団体利用客の減少が、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
②訪日外国客の減少について
当社グループの事業は、訪日外国客の増減により、大きな影響を受けます。訪日外国客数は、日本の経済情勢、為替相場の状況、外交政策による対日感情、自然災害、事故、疫病等の影響を受ける可能性があり、訪日外国客の減少により当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。
③競争激化について
当社グループの事業においては、競合ホテルの進出や民泊等、多様化する消費者のニーズに対応すべく宿泊サービスも多様化が進んでおり、業界内の競争は激化しております。
当社グループでは、レベニューマネジメントを活用したオペレーション等により、競争力の維持強化に努めておりますが、競合他社が新築又は改築・改装したホテルに対して競争力を維持強化するためには、当社グループのホテルについても改築・改装を含む多額の設備投資の負担が必要となります。また、こうした施策が有効に機能しない場合、価格引下げ等により営業収入が減少し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
④業績の季節変動について
当社グループの事業は、夏季の宿泊者数が増加する一方で、冬季には減少する傾向があり、また冬季にはホテルの改装等、設備投資を実施することが多いことから、第3四半期連結会計期間に売上高及び営業利益が減少する傾向が生じております。
係る季節変動により、当社グループの一時点における業績は通期の業績の分析には十分な情報とならないことがあります。
⑤自然災害・事故・感染症の発生等について
当社グループの事業においては、「安心・安全」を重要課題と認識し、施設の安全対策の実施等安全管理には万全の注意を払っております。しかしながら、地震や台風などの自然災害、大規模な事故、テロ行為等が発生した場合、その対策費用の発生等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症や、新型インフルエンザ等の感染症が発生した場合、ホテルの休業や観光客の減少が懸念され、営業収益の減少や対策費用の発生等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
⑥収益構造について
当社グループの事業においては、営業コストの相当部分が人件費、減価償却費、ホテル土地建物の賃借料等の固定費で構成されているため、売上高の減少が、営業利益に大きな影響を及ぼす可能性があります。
⑦固定資産に係るリスクについて
当社グループは、店舗等に係る固定資産の一部を自己保有しておりますが、当該資産について、今後の各店舗の収益悪化や地価の下落にともなう減損損失の発生などにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(2)業務運営上のリスクについて
①風評について
当社グループの事業は、お客様に直接サービスを提供しているため、法令違反、自然災害・事故・感染症等の発生、顧客情報をはじめとする情報漏えい、長時間勤務等の内部告発等が生じた場合を含め、当社グループのブランドイメージが損なわれた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
②法的規制等について
当社グループの事業においては、旅館業法や食品衛生法等の法的規制を受けております。具体的には、旅館業法の事業経営の許可(旅館業法第3条)、食品衛生法の営業許可と施設基準等です。旅館業法においては、宿泊施設ごとに事業経営の許可を受けておりますが、各都道府県の条例にて換気、採光、照明、防湿及び清潔その他宿泊者の衛生に必要な措置、客室の有効面積等について定められており、これらに違反すると指導や罰金等の処分がなされる場合があります。また食品衛生法においては飲食店営業等の許可を受けておりますが、許可の更新を行うほか、食品衛生責任者の設置が必要となります。また不衛生な食品の販売が禁じられており、当該施設が調理し、提供した食事によって人の健康を害した場合、営業停止を含む行政指導がされる場合があります。
ホテル物件に関して、建築基準法(特定建築物)、消防法(防火対象物)、市町村の火災予防条例、建築物衛生法等の規制があり、営業上の規制については、廃掃法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)、食品リサイクル法、景品表示法、個人情報保護法、下請法等が該当します。建築基準法においては法に定める建築物の建築や改修を行う場合に申請、届け出が必要とされていますが、それらの手続きを経ずに建築等を行った場合においては使用停止、工事停止等の指導がされる場合があり、建築物の用途や構造違反があった場合には指導等がなされる場合があります。また消防法においては宿泊施設の規模に応じた防火管理者を選任し、消防計画の作成及び管轄消防署への届け出などが必要であり、これらに違反した場合、管轄の消防署より指導等を受ける場合があります。さらに防火対象物の用途や規模に応じた消防設備や避難設備等が必要で、設備の不備等があれば改修を行わなければなりません。そして火災の予防や消防活動の障害除去等が必要であり、これらの改修がされていない場合、指摘・指導・改善命令等がなされる場合があります。
当社グループは、これらの法規制の遵守に努めておりますが、現在の規制に重要な変更や新たな規制が設けられた場合には、規制を遵守するために必要な費用が増加する可能性があり、規制に対応できなかった場合は、許認可の取り消しなどにより当社グループの活動が制限される等、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
また、新たな会計基準や税制の導入・変更により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
③情報システム・情報管理について
当社グループでは、多くのITシステムを使用しておりますが、これらのシステムについて事故・災害、人為的ミス等により、その機能に重大な障害が発生した場合、当社グループの事業運営に重大な影響を与え、営業収益の減少または対策費用の発生により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
また、インターネットを経由した旅行代理店であるオンライントラベルエージェンシー(OTA)をはじめとする他の旅行業者や斡旋業者等他社のシステム障害による影響を受ける可能性があります。
④個人情報の漏えいについて
当社グループでは、宿泊者名簿や宴会における顧客データ等個人情報を含むデータベースを管理しております。当社では、プライバシーマークを取得し、個人情報の管理に十分留意しておりますが、万一、個人情報の流出等の問題が発生した場合、当社グループへの損害賠償請求や信用の低下により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
⑤食中毒や食品管理について
当社グループでは、ホテルやレストラン、宴会場等で食事の提供を行っております。品質管理や食品衛生には十分注意しておりますが、食中毒事故が発生した場合は営業停止の処分を受けるほか、当社グループの信用やブランドイメージを毀損し、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。
また、当社グループ以外でも同業他社における産地偽装や、家畜伝染病の発生等の食の安全・安心に関する問題が発生した場合にも、当社グループの営業収益の減少や在庫の廃棄ロスの発生等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
⑥人材の確保及び育成について
当社グループの事業では、一定数の従業員の確保が必須であり、少子高齢化により今後若年層の人材確保がさらに困難になることが予測され、最低賃金の引き上げや社会保障政策に伴う社会保険料料率の引き上げ等による人件費の上昇、人材不足による既存従業員へのしわ寄せによる長時間労働や、これに伴う離職率の増加、採用コストの増加等により、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑦光熱費、食材価格、清掃外注費の高騰について
当社グループは、店舗において電気やガスを多く利用しており、ロシアおよびウクライナの情勢並びにそれに起因する原油価格等の上昇の今後の見通しは不透明でありますが、光熱費の高騰により当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また、当社グループはホテルやレストラン、宴会場等でお客様に食事の提供を行っており、天候不順等による食材価格の高騰により当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
加えて、当社ではホテル運営における客室品質の維持のため、客室清掃の外注化を図っておりますが、清掃会社における人材不足等からの清掃委託費用の値上げにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
なお、当社では、業務上のフローに基づき発生しうるリスクを防止するため取締役会の直属の機関としてリスク管理・コンプライアンス委員会を設置し、毎月1回以上の委員会を開催しております。同委員会は、コンプライアンス、財務報告、情報システム、事務手続き、店舗でのオペレーションなど、それぞれに関するリスクのほかその他会社の業務に関し発生しうるリスクに対し総合的かつ迅速に対応し、会社としてリスク管理・コンプライアンス上適切な判断が可能な体制整備をおこなっております。
(3)フランチャイズ契約について
当社グループでは、当社の連結子会社である株式会社チョイスホテルズジャパンが、チョイスホテルズライセンシング 2 B.V.(チョイスホテルズインターナショナル社の間接的な完全子会社)との間で日本における「マスターフランチャイズ契約」を締結し、また当社は株式会社チョイスホテルズジャパンとの「フランチャイズ契約」により、チョイスホテルズインターナショナル社が保有する商標(ブランド名称)を使用し多数のホテルを展開・運営を行っております。
チョイスホテルズインターナショナル社と当社グループでは、取引開始以降、長年にわたり良好な関係を維持しておりますが、当該「マスターフランチャイズ契約」には、一般的な解約事由の他、以下の解約事由が定められております。
本契約の契約期間においては、毎年12月31日を期日とする開発割当店舗数が定められており、当該割当店舗数を達成できなかった場合に解約事由に抵触いたします。ただし、開発不足分の店舗数に応じたフランチャイズ・フィーを相手方に支払うことで1年間の猶予が与えられます。
また、金融機関その他投資関連以外の第三者が株式会社チョイスホテルズジャパンの株式の20%を取得するか、当社の支配権を取得した場合に解約事由に抵触いたします。
加えて同業他社の代表者または代理人が当社もしくは株式会社チョイスホテルズジャパンの取締役に就任した場合にも解約事由に抵触いたします。
これらを含む本契約の解約事由に抵触した場合、当社グループはチョイスホテルズインターナショナル社が保有する商標(ブランド名称)を使用できなくなり、営業戦略の見直しやブランド変更に伴う諸費用の増加等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。なお、本書提出日現在において、当該解約事由には抵触しておりません。
また、本契約の期間満了後には新たなマスターフランチャイズ契約を締結する必要があり、契約締結の可否及び契約条件の見直し等により当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(4)店舗に係る差入保証金について
当社グループは、店舗用物件の賃貸借契約締結の際に、賃貸人に保証金を差し入れる場合があります。差入保証金は契約期間満了等により賃貸借契約が終了した場合、原則全額が返還される契約となっております。
しかし、差入保証金は預託先の経済的破綻等により、その一部または全額が回収不能となる場合や、賃貸借契約に定められた契約期間満了前に中途解約を行った場合には返還されないことがあり、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(5)建物について
当社グループでは、ほとんどの物件を賃借によりホテルを運営しておりますが、当該建物の建築時の管理において、耐震偽装や建築データの改ざん等が明らかになった場合、当社グループへの信用やブランドイメージが毀損し、当該ホテルの閉店や客数の減少による損害や、ホテル運営から撤退する場合の費用等の発生も含め当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(6)M&Aが想定どおりのメリットをもたらさないリスクについて
当社グループは、中長期的な事業計画においてM&Aを成長戦略の一環として位置づけ、今後もその機会を追求してまいります。しかしながら、将来のM&Aについては、適切な買収対象があるとは限らず、適切な買収対象があった場合においても、当社グループにとって受入可能な条件で合意に達することができない可能性があり、また買収資金を調達できない可能性、必要な許認可が取得できない可能性、法令その他の理由による制約が存在する可能性があり、買収を実行できる保証はありません。当社グループは、近年、適切な買収対象の選定、M&Aの実行及び被買収事業の当社グループへの統合等につき経験を積み重ねておりますが、将来的なM&Aの成功は、以下のような様々な要因に左右されます。
・買収した事業の運営・商品・サービス・人材を当社の既存の事業運営・企業文化と統合させる能力
・当社グループにおける既存のリスク管理、内部統制及び報告に係る体制・手続きを被買収企業・事業に展開する能力
・被買収事業の商品・サービスが、当社グループの既存事業分野を補完する度合い
・被買収事業の商品・サービスに対する継続的な需要
・目標とする費用対効果を実現する能力
これらの結果、M&Aが想定どおりのメリットをもたらさなかった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(7)会計基準変更に伴うリスク
当社グループは店舗にかかる資産の多くをオペレーティング・リース取引により調達しており、連結財務諸表上はオフバランス処理となっておりますが、リース会計基準等の変更により、オペレーティング・リース対象資産・負債をオンバランス処理することとなった場合には、リース契約残高相当額が計上されるため、自己資本比率が大幅に減少する可能性があります。
また、当該リース店舗の収益性が悪化した場合、リース資産の減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社の配当については、単年度業績、配当性向、ROE等を総合的に勘案して、安定的な経営基盤の確立と業績の向上による安定した配当の継続を基本方針としております。
当社の剰余金の配当は、期末配当の年1回を基本的な方針としており、配当の決定機関は株主総会であります。
当事業年度の剰余金の配当につきましては、上記の方針に加え、利益改善により有利子負債の削減・財務基盤の改善が進んだこと、キャッシュ・フローの状況、また足元の事業環境や事業の進捗、業績動向を考慮した結果、1株当たり23円の期末配当を実施することを決定いたしました。なおA種優先株式につきましては、発行時に定めた所定の計算による配当を実施いたしました。
内部留保金につきましては、企業価値の最大化を図ることを目的として、出店及び店舗リニューアル等の効果的かつ戦略的な投資のための資金需要に備えることとし、中長期的な成長のための店舗網の拡大と顧客満足度の向上を目指してまいります。
なお当社は、取締役会の決議により毎年12月末日を基準として、中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。
(注)当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
株式の種類 |
基準日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2024年9月26日 |
普通株式 |
2024年6月30日 |
318 |
23.00 |
定時株主総会決議 |
||||
2024年9月26日 |
A種優先株式 |
2024年6月30日 |
160 |
40,109.59 |
定時株主総会決議 |