3【事業等のリスク】
(1)リスク管理体制と運用状況
NIDECグループでは、グローバルな事業展開における多様なリスクに対し、中長期的な視点と日常的な視点の両方から、事業継続の確保を図っています。そのために、以下に示すとおり、リスク事象の調査・評価、現状対策の実効性確認、改善策の実施といった一連の仕組みを整備しています。
図1 全社リスク管理体制図
上記管理体制図に掲載された組織等の役割は、以下のとおりです。
・取締役会
事業年度の冒頭にリスク管理委員会からリスク管理についての基本方針の報告を受け、適正なリスク管理活動を指導・助言します。また、リスク管理に関する責任体制を定めた「リスク管理規程」の改廃に係る承認を行い、リスクガバナンス体制の実効性確保を図ります。
・リスク管理委員会
リスク管理担当役員を委員長とし、業務執行上の意思決定機関である経営会議のメンバーで構成され、リスク管理方針・施策の決定、取締役会への報告・建議を行います。
・リスク管理担当役員
全社的なリスク管理を統括し、リスク管理委員会の運営、リスク管理状況の監視、必要な資源配分の検討を行います。
・リスク管理室
リスク管理委員会の常設事務局として、リスク管理に関する企画立案、各リスク管理者、リスク統括責任部署との間における連絡調整等を担当します。
・リスク管理者
事業所長、部門長及びリスク管理委員会が別途定める者を担当業務領域についてのリスク管理者とし、その担当業務領域におけるリスク管理の責任を負います。
・リスク管理統括部署
後述するリスク評価活動の結果を踏まえて決定されたリスク管理領域の本社主管部署をリスク管理統括部署とし、その担当役員をリスク統括責任者とします。リスク管理統括部署は、それぞれの担当領域に係るリスクについてリスク管理者から報告を受け、その対応を支援し、モニタリングします。
(2)リスク調査・評価活動
リスク管理室より依頼を受けた本社・グループ会社・事業本部のリスク管理者は、全社リスク管理フロー図(図2)、リスク調査・評価活動階層(図3)に基づき、定期的に事業に影響を及ぼすリスク事象の調査・評価を行います。対象とするリスク事象は、経営戦略リスク、事業運営リスク、ガバナンスリスク、偶発的リスクの4つに分類されます。
図2 全社リスク管理フロー図
上記フロー図内の主なアクションの概要は、以下のとおりです。
・リスク特定
リスク管理室により任命されたリスク管理者が、毎年度、事業に影響を及ぼす可能性のあるリスク事象を洗い出します。
・リスク評価
当該リスク管理者は、洗い出されたリスク事象について、全社共通の指標に則り発生可能性と影響度を評価の上、リスクレベルを特定します(図4参照)。リスク評価に当たっては、事象毎にリスクシナリオを検討し、潜在リスクの把握に努めます。
・追加リスク低減措置
特にリスクレベルが「重大」「高」の場合、現行のリスク管理活動に追加するリスク低減策を立案、実施します。
・モニタリング
リスク管理委員会で決定したNIDECの経営成績、株価、財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスク(後述 項番(3)参照)については、KRI (Key Risk Indicator)を定め、モニタリングします。
・改善
リスク低減策の実施状況を確認の上、必要に応じて改善策を講じます。リスク管理活動の結果を分析し、リスク管理体制や運用状況の継続的な改善を図ります。
図3 リスク調査・評価活動階層
リスク調査・評価に当たっては、現状のリスク管理活動とリスク低減対策の実施状況を確認のうえ、残存リスクのモニタリングを行い、結果をほかの階層の施策に相互利用しています。例えば、L2で特定されたリスクについてはL3でも内容を確認し、その中にL3主導で改善しなければならない全グループ共通の課題を発見した場合は適宜L3のリスク管理活動に反映する等、階層別リスク管理活動を相互に関連づける動きを進めています(図3参照)。
図4 リスクレベル特定マトリックス
リスクレベルはリスク対策実施後の残存リスクに対して、発生の可能性と結果の重大性を5段階に分類した上で図4のマトリックスにあてはめ、重大・高・中・低の4段階で評価します。「重大」、「高」に特定されたリスク事象は、追加のリスク低減措置の検討が必須となっており、年度末に低減措置の実施状況をリスク管理室が確認し、課題があればリスク管理委員会に報告されます。
(3)事業等のリスク
前掲のリスク評価活動の結果を踏まえて特定された、NIDECの経営成績、株価、財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、次のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてNIDECが判断したものです。
リスク項目
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リスクレベル
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前年との比較評価
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1) 経営戦略リスク
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① 政治・経済状況の変動に係るリスク
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高
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-
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② 技術環境・産業構造の変化に係るリスク
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高
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増大
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③ 競合に係るリスク
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高
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-
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④ 先行投資に係るリスク
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高
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-
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⑤ M&Aに係るリスク
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重大
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-
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2) 事業運営リスク
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① 高度な専門性を有した人材の採用・保持に係るリスク
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中
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増大
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② 研究開発に係るリスク
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中
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低減
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③ 製品の品質に係るリスク
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重大
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-
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④ 原材料・部品調達に係るリスク
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中
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増大
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⑤ 知的財産権に係る訴訟リスク
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中
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-
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⑥ 情報セキュリティに係るリスク
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高
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-
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⑦ 人権に係るリスク
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中
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-
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⑧ 為替に係るリスク
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高
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-
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⑨ 金利の変動に係るリスク
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高
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-
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⑩ 資金の流動性に係るリスク
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高
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-
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⑪ 繰延税金資産の不確実性に係るリスク
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中
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低減
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3) ガバナンスリスク
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① 経営継承に係るリスク
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高
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-
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② 内部統制に係るリスク
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重大
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-
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③ 適正決算に係るリスク
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重大
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-
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4) 偶発的リスク
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① 自然災害・人的災害に係るリスク
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中
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-
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② 気候変動に係るリスク
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高
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-
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上記の各リスク内容、主要な対応策については、次ページ以降をご参照ください。
1)経営戦略リスク
①政治・経済状況の変動に係るリスク
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リスク内容
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NIDECは、世界40カ国以上に300社を超えるグループ会社を有し、海外売上高比率が約9割に達する等、グローバルに事業を展開しています。そのため、事業を展開する各国・地域における政治・経済情勢の変動が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。特に、近年の米中間の通商問題に代表される保護主義的な貿易政策の台頭、特定国によるレアアース等の重要な原材料に関する輸出規制、更には国家間の緊張の高まりや地域紛争といった地政学的リスクの顕在化は、以下のような形で当社グループに影響を与える可能性があります。 ・製品・サービスに対する需要の変動 ・原材料・部品の調達難や価格高騰 ・サプライチェーンの寸断や非効率化 ・製造・物流コストの上昇 ・為替レートの急激な変動 ・事業活動の制限や停止 これらの事象が複合的に発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
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主要な対応策
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上記のリスクによる影響を最小限に抑えるため、以下の対応策を講じています。 ・事業ポートフォリオの最適化と市場分散 特定の国・地域への過度な依存を避け、各市場の特性に応じた事業戦略を展開します。また、成長市場への積極的な進出や製品・技術開発による事業領域の多角化を推進し、リスクの分散を図ります。 ・地営地開/地産地消体制(メイド・イン・マーケット戦略)の推進 主要市場において、開発・生産・販売・サービスまでの一貫体制を構築し、現地顧客のニーズに迅速に対応すると共に、関税等の貿易障壁や地政学的変動による影響を低減します。 ・サプライチェーンの強靭化と多元化 重要部品や原材料については、特定の調達先に依存しないよう、複数購買化や代替サプライヤーの開拓を常時進めます。また、生産拠点の最適配置や在庫管理の高度化を通じて、サプライチェーン全体の柔軟性と耐性を向上させ、不測の事態にも対応できる体制を構築します。 ・情報収集体制の強化と迅速な意思決定 各国・地域の政治・経済動向、通商政策、法規制の変更等に関する情報を適時的確に収集・分析し、経営判断に活かす体制整備に取り組みます。必要に応じて、生産拠点の移管や事業戦略の機動的な見直しを検討します。
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②技術環境・産業構造の変化に係るリスク
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リスク内容
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急速な技術革新や産業構造の変化は、NIDECのビジネスモデルに深刻な影響を与える可能性があります。特に、AIの進化や自動運転技術の進展に伴い、従来の製品に対する需要が急激に減少する可能性があります。例えば、電動モータやセンサ技術の進化が、従来の機械部品の需要を脅かすことが考えられます。また、競争が激化する中で、新たな市場プレイヤーの台頭や技術の急速な進化が、NIDECの市場シェアを脅かす要因となる可能性があります。これらの変化に対して適切に対応できない場合、売上や利益の減少を招く恐れがあります。
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主要な対応策
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技術環境・産業構造の変化に対して適切な措置を取れるよう、以下の対応策を講じています。 ・研究開発部門の強化 次世代技術の開発に注力することで、新たな市場ニーズに迅速に対応します。 ・外部技術の導入や共同開発の促進 他社との戦略的提携やアライアンスを積極的に進め、競争力を高めます。特に、スタートアップ企業との連携を強化し、革新的な技術を迅速に取り込む体制を整えます。 ・顧客ニーズの把握 顧客ニーズの変化を的確に把握するためのマーケティングリサーチを強化し、製品ポートフォリオの見直しを行います。 ・技術者の力量向上 社内の技術者や専門家による定期的なワークショップを開催する等最新技術に関する知識を全社で共有し、技術環境の変化に対する柔軟性を高めます。
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③競合に係るリスク
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リスク内容
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NIDECは、事業を行う様々な市場で激しい競争にさらされており、特に車載、家電市場においては、新興国の地場メーカーの台頭で競争が激化する傾向が継続しており、以下のような状況において、NIDECの競争力や収益性が低下する可能性があります。 ・競合他社がNIDECの技術開発を上回る速度で新製品を投入し、市場での優位性を確保する場合 ・原材料価格の急騰や供給網の混乱によりコスト削減が困難になり、価格競争において不利な立場に置かれる場合 ・競合他社が新たなビジネスモデルやサービスを導入し、顧客の選択肢が増加することで、NIDECの製品に対する需要が減少する場合 ・業界の再編成が進み、競合他社の合併や提携によって、NIDECの競争環境が一層厳しくなる場合 ・国際市場において、地域特有の規制やニーズに適応できず、競争力を失う場合
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主要な対応策
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市場動向を踏まえた以下5つの注力事業領域を設定し、グループ内の協業・シナジーの最大化を図ることで競争優位性を確保します。 ・AI社会を支える ・サステナブル・インフラとエネルギーの追求 ・産業の生産効率化 ・より良い生活の追求 ー Better Life ・モビリティ・イノベーション 5つの注力事業領域別の当社の取組は、統合報告書2024の8~10頁をご参照ください。 (https://www.nidec.com/jp/sustainability/integrated-report/2024/)
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④先行投資に係るリスク
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リスク内容
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NIDECは、需要の拡大を予測した場合、受注に先駆けて生産設備を拡張したり、リードタイムを考慮して部品や材料を先行発注することがあります。これには以下のリスクが伴います。 ・需要が予測を下回った場合、固定資産の稼働率が低下し、減価償却費の増加や過剰在庫の発生による棚卸資産の評価減が生じ、経営成績に悪影響を及ぼすリスク ・競合他社の新製品や技術革新により、当社の製品が市場で競争力を失う可能性があり、その結果として市場シェアが減少するリスク ・経済環境の変化や顧客のニーズの変動により、計画した投資が期待したリターンを得られないリスク ・需要を過小に見積り必要な設備投資を行わなかった場合、顧客の要求を満たせずシェアを失うリスク
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主要な対応策
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持続可能な成長を目指し、以下の対応策を講じています。 ・ROIC(投下資本利益率)経営 ROICを経営指標のひとつとして導入し、ROIC12%以上の達成を目標に掲げ、収益性と資本効率の両面から改善活動を推進します。 ・投資判断に資する新たな仕組みの導入 投資判断に当たり、相対的に収益率の高い事業分野や将来の成長が見込める分野を明確にし、事業により創出した資金を最適に配分できるよう、事業ポートフォリオ戦略を支える新たな体制を構築します。
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⑤M&Aに係るリスク
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リスク内容
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NIDECは、事業の成長に必要な技術、製品、販売網、顧客基盤を所有する他社の買収や他社への資本提携を通じて大幅な成長を達成していきました。買収や出資活動を継続的に成功させることは、NIDECの事業戦略を達成する上で極めて重要な要素です。市場が急速に変化する中で、ビジネスモデルの転換に必要な技術を適確に選択・買収することが出来なかった場合に、市場の成長スピードに追随できなくなる可能性があります。また、適切な買収や出資の対象会社を見つけることができない場合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。買収した資産に関して、買収した事業の効率的な統合により得られる将来の収益力を適切に反映したものと考えていますが、事業環境の悪化等により予想どおりの収益が得られないと判断された場合、NIDECはこれらの資産について減損を認識しなければならず、NIDECの経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。更に、同意なき買収等の新たな買収施策を講じることにより、当社買収方針に対するネガティブキャンペーン等によるレピュテーションリスク発生の可能性があります。
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主要な対応策
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M&Aリスク低減のため、以下の対応策を講じています。 ・買収対象企業は、当社事業戦略に沿った企業を選定 ・事前調査を徹底し適正価格で買収 ・買収後の迅速かつ徹底したPMI ・当社の経営理念や経営手法を全従業員に深く浸透させ、当社グループ入りによるシナジー効果を創出しながら、買収対象企業の企業価値を向上してのれん減損リスクを極小化 ・M&A活動に係るメディアコミュニケーション等の広報戦略の事前準備
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2)事業運営リスク
①高度な専門性を有した人材の確保・保持に係るリスク
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リスク内容
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NIDECは、目指す姿である「100年を超えて成長し続けるグローバル企業」、「人類が抱える多くの課題を解決する世界No.1のソリューション企業集団」を実現するためには、高度な専門性をもつ優れた人材、グローバルに活躍できる人材の確保が不可欠であると考えています。人材の流動化や少子高齢化等により人材の獲得競争の激化が懸念される中、これらの人材を確保できなければ、競争優位性を失い、事業成長に悪影響を及ぼす可能性があります。また、優秀な人材の流出が続く場合、独自技術の流出や長期的な競争力の低下を招く恐れもあります。
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主要な対応策
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高度な専門性を有した人材の採用・保持のため、以下の対応策を講じています。 ・戦略的な人材採用 事業部門の要望を適切に吸い上げ、ターゲットを明確にした採用計画を策定しています。特に新卒採用においては大学や専門機関との連携の強化や、部門とも協力したインターンシッププログラムを通じて優秀な人材の早期獲得を行っています。 ・キャリア開発支援 上司・若手向けキャリア研修やキャリアプランシートを活用した上司とのキャリア面談を通じて、社員のキャリア開発を支援しています。また、社内公募等の機会を定期的に設け、社員の自律的なキャリア形成を後押ししています。 ・スキル開発支援 社員の現在や今後の業務に役立つ知識・スキルの習得を支援するためのプログラムを導入し、社員のスキル開発を支援しています。 ・グローバル人事戦略コミッティ 事業・地域の枠を超えた適所適材を実現すべく、専門性を有した人材の発掘・開発等グローバルに優先すべき人事課題や施策について、事業・地域の人事キーパーソンが集まり、議論・推進しています。
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②研究開発に係るリスク
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リスク内容
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急速な技術革新が求められる事業環境にあって、NIDECが市場の変化や技術トレンドを適切に把握できず、研究開発の成果を市場に迅速に投入できなければ、競合他社に対して劣位に立たされ、製品の競争力が低下し、売上の減少や市場シェアの喪失を招く可能性があります。また、研究開発活動が期待通りの成果を上げられなかった場合、企業全体の成長戦略に深刻な影響を及ぼし、経営成績や財政状態に悪影響を及ぼすリスクが高まります。
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主要な対応策
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研究開発に係るリスク低減のため、以下の対応策を講じています。 ・グループシナジーの推進 研究開発活動においてもグループシナジーを追求し、高度化、スピード化を図っています。ニデック新川崎テクノロジーセンター、ニデック製品技術研究所台湾センターにおけるモータ全般の要素技術研究、ニデックけいはんなテクノロジーセンターにおける生産技術の進化に主軸を置く研究開発等はその一例です。 ・技術戦略コミッティの設置 研究開発機能のグループ横串となる技術戦略コミッティを中心に、市場・技術・顧客動向の予測と要求に沿った新製品・ソリューションの開発に係る課題の見える化、対応をモニタリングし、One NIDECで研究開発に係るリスク管理に当たります。
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③製品の品質に係るリスク
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リスク内容
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近年、顧客の製品品質に対する要求レベルが高度化してきています。安全で高品質な製品を提供できない場合、製品自体の故障のみならず物損や人命に係る事故へ繋がる可能性があります。このような問題がNIDECの製品を原因として発生した場合、顧客からの求償要求や訴訟、リコールや行政処分に繋がる恐れがあり、その結果として、不良品回収・修理等の損失費用支払い、ブランドイメージの悪化による販売の落込みが発生し、財務的な負担や人的資源の喪失によってNIDECの経営に深刻な悪影響を与えることが懸念されます。
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主要な対応策
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製品の品質に係るリスク低減のため、以下の対応策を講じています。 ・品質保証体制の構築による品質ガバナンスの強化 NIDECグループ全体の品質保証を統括するCQO(Chief Quality Officer)とその実働部隊であるグローバル品質統括本部を設置し、CQOを頂点として事業本部及びグループ各社の品質保証責任者を繋ぐ品質保証体制を構築することによって、品質面でのガバナンス強化を図っています。 ・品質横串活動の推進 NIDECグループ全体の品質保証部門が参加する品質会議を定期的に開催し、品質状況や好事例及びトラブル事例等を共有することを通じて、継続的かつ全社的な改善活動を推進しています。 ・国際規格に準拠した品質マネジメントシステムの構築と運用 製品に応じた国際規格(ISO9001、IATF16949等)に基づいた品質マネジメントシステムを構築、運用することにより、製品品質の維持・向上を図っています。
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④原材料・部品調達に係るリスク
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リスク内容
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NIDECは、製品の製造に必要な原材料及び部品の多くを外部から調達していることから、それらの需給環境が極端に悪化すると生産計画や納期にも深刻な影響を与える恐れがあります。また、原材料の種類や部品の使用条件等に関わる各国政府政策の変更や、顧客による調達方針の変更により、原材料・部品調達に支障をきたす可能性があります。
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主要な対応策
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原材料・部品調達に係るリスク低減のため、以下の対応策を講じています。 ・サプライヤーのマルチソース化 特定の供給先に依存しない体制を構築しています。これにより、特定の原材料や部品の供給が途絶えた場合も、ほかの供給元から迅速に調達できるようにしています。尚、サプライヤー選定に当たっては、環境、人権、労働環境、資源入手可能性への配慮を事前確認しています。 ・突発的な需要変動への対応 重要な原材料については、長期契約を締結し、価格変動や供給不足のリスクを軽減しています。更に、在庫管理の最適化を図り、必要な資材を適切に確保することで、突発的な需要変動にも対応できるよう努めています。
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⑤知的財産権に係る訴訟リスク
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リスク内容
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NIDECは、自社技術及びその他の知的財産を、特許権、意匠権、商標権、著作権、営業秘密等の知的財産権として保護しています。しかし、以下のようなリスクが存在します。 ・当社が第三者の知的財産権を侵害し、事業の差し止め、損害賠償、特許使用料を求められるリスクがあります。 ・第三者により当社の知的財産権が侵害されることで、事業活動が阻害され、競争力が低下するリスクがあります。 ・各国の法制度の違いにより、既存の知的財産権が無効になる等で十分に事業が保護されないリスクがあります。
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主要な対応策
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知的財産に関連するリスクを最小限に抑えるため、以下の対策を講じています。 ・製品開発の初期段階から第三者の知的財産権に対する包括的かつ継続的な調査を徹底し、第三者の知的財産権を侵害するリスクの排除を行っています。必要に応じ、外部の法律事務所と連携し、迅速かつ適切な対応を図っています。 ・当社の独自技術保護による競争力維持のため、コア技術に関する積極的な知的財産権の取得、維持管理、他社製品の監視、事業活動の保護対応を行うと共に、従業員に対する情報管理教育を徹底、機密情報の流出を防止しています。 ・各国の知的財産権の法制度に応じた適切な知的財産権の取得、維持管理を行うことで、国際的な事業の保護を強化しています。 これらの対策により、NIDECは知的財産に関連するリスクを最小限に抑え、持続的な事業成長を目指します。
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⑥情報セキュリティに係るリスク
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リスク内容
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NIDECは、顧客、取引先、従業員に関する機密情報や個人情報を広範に取り扱っています。これらの情報を適切に取り扱うことは、競争上の優位性を確保し、顧客との信頼関係を維持するために不可欠です。情報の管理を巡ってはサイバー攻撃被害や内部の者による不正行為、あるいは人的ミス等により生じる情報セキュリティリスクが存在します。特に情報漏洩が発生した場合NIDECは法的責任を負う可能性があり、これにより多額の賠償金や罰金が発生する恐れがあります。また顧客や取引先からの信頼を失うことで、売上の減少や市場シェアの低下を招き、企業のブランドイメージにも深刻な影響を与えることになります。このような事態はNIDECの持続的成長や経営の安定性に重大なリスクをもたらすことになります。
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主要な対応策
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情報セキュリティに係るリスク低減のため、以下の対応策を講じています。 ・グループ横断のセキュリティ管理体制の構築(情報セキュリティ専任チームの設置、情報セキュリティ委員会による活動の監視、情報セキュリティ管理責任者及び情報セキュリティ推進責任者の設置) ・社員に対する情報セキュリティ教育の実施 ・サイバー攻撃の標的にされやすいVPN(Virtual Private Network;仮想専用通信網)機器の脆弱性点検と是正措置の実施 ・サイバー攻撃被害を想定した初期動作と対応体制、組織間のコミュニケーション等をあらかじめ定めた「インシデント対応マニュアル」の整備と定期的な訓練の実施
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⑦人権に係るリスク
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リスク内容
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人権に関する社会的責任が重視されている昨今、特に労働環境、サプライチェーンにおける強制労働や児童労働、差別問題がクローズアップされており、これらの問題に対する企業の姿勢も企業価値を測る評価項目となっています。人権問題への社会的責任を果たさない企業に対する評価は厳しく、これらの問題への対策が不十分な場合には法的制裁やブランド価値の棄損、売上や市場シェアへの影響が懸念されます。
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主要な対応策
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NIDECは、国際ガイドラインに基づき人権尊重の重要性を認識し、強制労働や児童労働の禁止、差別の排除、適切な労働条件の確保に取り組むと共に、サプライチェーンを活かしてビジネスパートナーやサプライヤーも含めた取り組みを行っています。具体的な活動は以下のとおりです。 ・「NIDECグループ人権基本方針」の策定・更新・啓発 2021年には「NIDECグループ人権基本方針」を策定し、全役員と従業員、ビジネスパートナーやサプライヤーにも周知し、遵守を促しています。また、2024年には社会情勢等を踏まえ、本基本方針を改定し、常に企業として必要な取り組みの見直しを行っています。 ・人権影響評価の実施 人権影響評価を実施し、事業活動に関連する人権への影響の特定・評価に努めています。2023年度には、NIDECグループの約300拠点に人権に関するセルフアセスメント(SAQ)を実施しています。またサプライヤーに対しても人権に関する設問を含んだSAQを行い、2024年度は1000を超えるサプライヤーから回答をいただきました。この回答結果から、特に人権を中心とした詳細な評価、分析を実施しました。分析からリスクが大きいと判断したサプライヤーに対しては、個別のヒアリングや調査を行い改善活動につなげると共に、人権に関する教育資料を展開しサプライヤーの理解促進を行っています。 ・人権への取組体制整備 定期的なモニタリングや教育・研修を通じて職場環境の改善や人権意識の向上を図り、問題発生時には迅速に是正・救済に取り組む体制を整えています。また、社長を議長とするサステナビリティ推進会議及び担当部門により構成される人権分科会の日々の活動を通じて、負の影響の停止・防止・軽減を図っています。人権分科会の取り組みは取締役で構成されるサステナビリティ委員会により監督されており、定期的に報告されています。また、サステナビリティ委員会への報告事項はサステナビリティ委員長より、取締役会に報告されます。
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⑧為替に係るリスク
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リスク内容
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当社の事業はグローバルに展開しており、売上の多くが日本円以外の通貨(米ドル、ユーロ、中国元、タイバーツ等)で構成されています。このため、為替レートの変動は当社の業績に直接的な影響を及ぼす可能性があります。特に円高が進行した場合、海外での売上が円換算で減少し、結果として営業利益や当期利益が圧迫されることになります。また、海外子会社の業績を連結財務諸表に統合する際、為替変動による影響が大きく、特に新興市場における通貨の不安定さがリスク要因となります。更に、外貨建ての資産や負債の変動が為替差損益を引き起こし、財務状況に悪影響を与えることも懸念されます。
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主要な対応策
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為替リスクを軽減するため、以下の対応策を講じています。 ・売上と仕入の外貨建て取引を相殺し、ナチュラルヘッジを活用します。 ・定期的に為替リスクの状況をモニタリングし、必要に応じて取引通貨の見直しを実施しています。 ・海外市場における多様な通貨での取引を行い、特定通貨への依存度を低下させることでリスク分散を図ります。
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⑨金利の変動に係るリスク
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リスク内容
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NIDECは、固定金利や変動金利の長期債権、短期債権、及び有利子負債を保有しており、これらの金利の変動が資金調達コストや投資収益に重大な影響を及ぼす可能性があります。金利が上昇する場合、借入コストが増加し、これが直接的に利益率やキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす恐れがあります。
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主要な対応策
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金利変動リスク低減のため、以下の対応策を講じています。 ・金利スワップや金利オプション等のデリバティブ商品を活用し、予測可能な資金調達コストを確保します。 ・定期的に金利の動向をモニタリングし、資産及び負債の構成を見直すことでリスクの分散を図ります。また、金利に敏感な資産や負債の比率を最適化します。 ・長期的な資金計画においては、複数のシナリオを想定したストレステストを実施し、金利変動に対する耐性を評価することで、迅速な意思決定を支援します。 ・経済動向や金融政策の変化を注視し、必要に応じて資金調達戦略を柔軟に見直します。
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⑩資金の流動性に係るリスク
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リスク内容
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NIDECは、事業の成長や運営に必要な資金を、主に金融機関からの借入や資本市場からの調達に依存しています。金融市場の変動や経済環境の不確実性により、金融機関による貸付条件の厳格化や、資金調達の機会が制限されるリスクがあります。特に、グローバルな経済状況が悪化した場合、信用格付けの低下や投資家のリスク回避行動が強まり、必要な資金を適切な条件で調達できない可能性が高まります。このような状況下では、運転資金の不足や設備投資の遅延が生じ、結果として事業の成長戦略や競争力に深刻な影響を及ぼすことがあります。また、資金調達コストの上昇や資金繰りの悪化が、財務状況の悪化を招く懸念もあります。
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主要な対応策
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資金の流動性リスク低減のため、以下の対応策を講じています。 ・資金調達の多様化 銀行融資や社債発行等の資金調達手段を検討し、資金源を広げます。特に、長期的な資金計画を策定し、短期的な資金需要に対するリスクを軽減するためのストレステストを定期的に実施します。 ・運転資金の効率的な管理 在庫管理や売掛金の回収プロセスを見直すことで、キャッシュ・フローを安定化させ、急な資金需要にも迅速に対応できる体制を構築します。 ・信用格付けの維持・向上 財務健全性を重視した経営を推進し、透明性の高い財務報告を行います。 ・グローバルなキャッシュ・マネジメント・システム 各地域の余剰資金を集約することで、資金の効率的な配分を図ります。
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⑪繰延税金資産の不確実性に係るリスク
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リスク内容
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NIDECは、繰延税金資産が将来の課税所得から回収可能であるかどうかを継続的に評価する必要があります。経済情勢の変化や業績の悪化、又は新たな規制の導入があった場合、繰延税金資産の回収可能性が大きく影響を受ける可能性があります。このため、当社が繰延税金資産の一部又は全てについて回収不能と判断するリスクが存在し、その結果、利益が減少することが予想されます。特に、競争の激化や市場の変動が影響を及ぼす要因となり、当社の財務健全性に対する圧力が高まることが懸念されます。
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主要な対応策
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繰延税金資産の不確実性リスク低減のため、以下の対応策を講じています。 ・繰延税金資産の回収可能性に関する定期的な評価を実施し、業績や市場動向に応じた引当金の見直しを行うためのフレームワークを整備します。 ・税務戦略の策定においては、将来の課税所得の見込みを精緻に分析し、シナリオプランニングを通じてリスクを可視化します。 ・専門の税務アドバイザーと連携し、最新の税制改正や業界動向に基づいた情報収集を強化し、迅速な意思決定を支援する体制を構築します。
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3)ガバナンスリスク
①経営継承に係るリスク
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リスク内容
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NIDECの継続的な成功は主にNIDECの創業者である永守重信氏の能力と手腕に依存してきました。様々な経済的・政治的なリスクが顕在化している昨今の状況下において、NIDECの創業精神でもある「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」という成長を牽引する原動力となる新たなリーダーを輩出することができない場合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
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主要な対応策
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NIDECでは創業者依存から脱却し、集団経営体制の強化を図るため、グループ全体の重要ポストの可視化を進め、経営幹部候補人材の「発掘・開発・動機付け」に力を注いでいます。具体的な取り組みは以下のとおりです。 ・発掘 経営幹部がサクセッションプラン(後継者計画)の妥当性を議論し、安定・継続的な組織運営に努めています。更に、当社の社長ポストをはじめとした特に重要な一部のポストについては、2022年11月に「指名委員会」を設置し、経営層(取締役・執行役員)の選任に繋がる仕組みを構築しています。また、次世代の経営幹部候補を発掘すべく、サクセッションプランを参考に、特に地域や事業を跨いで開発すべき人材の特定をグローバル人事戦略コミッティを中心に進めています。 ・開発 それぞれの事業本部の中での人材開発を基本としつつも、特に地域や事業を跨いで開発すべき人材については、更なる開発施策を提供しています。 (例)企業再建や抜擢登用等のタフアサインメント 当社理念や経営マインドの浸透を目的とした創業者による育成塾 グローバル企業のトップとして高いレベルの経営知識習得を目的としたグローバル経営大学校 ※グローバル経営大学校については、グローバル人事戦略コミッティ発足後、更なる改善に向けて取り組みの見直しを進めています。 ・動機付け 経営幹部及び幹部候補人材の発掘・開発のみにとどまらず、動機付けを行うことも、集団経営体制の強化を図る上で重要となります。 上記の開発施策の提供のほか、各種報酬の仕組みの定期的な見直し等を通じて動機付け・定着を図っています。 更に2025年4月1日付けで役員体制の見直し及びチーフオフィサー制の強化を実施しています。CxOを中心に新たにグローバル本社体制を構築し、創業者の強いリーダーシップによる経営から仕組み化された組織機能体制とすることで、各事業部門リーダーと各機能リーダー(CxO)が連携して、今後の様々な事業課題の解消に向けてスピーディーかつ大胆な改革を推進していく経営体制とします。
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②内部統制に係るリスク
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リスク内容
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(過年度の開示すべき重要な不備) 当社グループは、コンプライアンス遵守、財務報告の適正性確保を達成するために内部統制システムを整備し、運用してまいりましたが、過年度決算において当社の連結子会社において、連結決算手続における当社グループの連結子会社間取引を伴う売上高等の連結調整の一部について調整対象を誤認し、売上高が過大に計上されていることが判明し、2023年3月期及び2024年3月期の決算・財務報告プロセスの内部統制上、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。 当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を十分に認識しており、前連結会計年度末における財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備を是正するために、以下の再発防止策を実行し、内部統制の改善状況を確認してまいりました。 (1)他の関連した問題の識別や会計処理及び表示の改善を行うための、過年度に開示した書類及び訂正された連結財務諸表に含まれる連結決算仕訳に対しての詳細なレビューの実施 (2)連結決算手続に係る方針の更新、連結子会社間取引に関連する調整対象案件を特定する際に必要な正確かつ網羅的な情報を把握するための体制の強化、並びに連結決算処理に対する検証及び承認権限者による承認手続に重点を置いた研修の実施 (3)当社及び子会社の経理財務責任者による連結決算手続に対する包括的なモニタリング機能の強化及び決算・財務報告プロセスにおける連結子会社間取引の調整に関する査閲・承認手続の強化 その結果、前連結会計年度末における開示すべき重要な不備について、当社は当連結会計年度において、開示すべき重要な不備が解消し、当該内部統制の評価結果は有効であると判断しました。 当社は、再発防止の取り組みを今後も継続的に実行し、内部統制の強化を図ってまいりますが、内部統制に本質的に内在する固有の限界があるため、今後、上記の対応が有効に機能しなかった場合には、当社グループの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。 (当連結会計年度の開示すべき重要な不備) また、当社の連結子会社において、製造したモータの原産国申告の誤りに伴う未払関税額の過少計上が判明し、2025年3月期の全社的な内部統制及び経理決算プロセスの内部統制上、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。 当社としましては、財務報告に係る内部統制の重要性を十分に認識しており、開示すべき重要な不備を是正するために、当社グループにおいて、以下の再発防止策を速やかに策定、実行することで財務報告の信頼性を確保しましたが、今後開示すべき重要な不備が再度発生した場合には、当社グループの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。
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②内部統制に係るリスク
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主要な対応策
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当社は、コンプライアンス重視の経営を行っていくほか、財務報告に係る内部統制の整備及び運用を重要な経営課題のひとつとして位置付け、グループを挙げて関係会社の管理体制等の点検・改善等に取り組むことにより、これらのリスクの回避及び最小化に努めております。 また、2025年3月期の全社的な内部統制及び決算プロセスの内部統制上識別した開示すべき重要な不備を是正するため、以下の対応策を策定しています。なお、第三者委員会による調査及びその他の社内調査等の結果、以下の対応策に変更が生じる可能性があります。 (1)コンプライアンス最優先の意識/企業風土の醸成 ・当社取締役会から当社グループ内に対する明確なメッセージの発信 ・人事処分を通じたコンプライアンスを最優先にした対応の必要性の周知徹底 ・法務コンプライアンス部門の機能強化・権限強化 (2)組織・体制の強化 ・貿易コンプライアンス体制の強化 ・グローバルガバナンス体制の強化 (3)手順・規程・仕組みの改善 ・当社グループのレポーティングラインの改善 ・当社グループの法務コンプライアンス部門間の情報共有 ・内部統制の適切な整備 (4)人事処分 ・適切な人事処分の実施
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③適正決算に係るリスク
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リスク内容
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当社は、当社及びグループ会社の経営陣の関与又は認識の下で、資産性にリスクのある資産に関する評価減の時期の恣意的な調整などの連結財務諸表全体又は財務諸表全体に重要な影響を及ぼす可能性のある不適切な会計処理の疑義を認識したため、当社から独立した第三者委員会による客観性のある調査を行う必要があると判断し、2025年9月3日に日本弁護士連合会が定める「企業不祥事における第三者委員会ガイドライン」に準拠した第三者委員会を設置しました。 また、これとは別に、当社は、貿易取引及び関税に係る諸問題等の社内調査等を実施しています。 現時点において、第三者委員会による調査及びその他の社内調査等は継続中であり、調査により虚偽表示が識別された場合には、連結財務諸表又は財務諸表に重要かつ広範な影響を及ぼす可能性があります。 第三者委員会による調査及びその他の社内調査等の詳細につきましては、連結財務諸表の「連結財務諸表注記」(第三者委員会による調査及びその他の社内調査等について)及び財務諸表の「注記事項」(第三者委員会の調査及びその他の社内調査等について)に記載しています。
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主要な対応策
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当社は、第三者委員会による調査及びその他の社内調査等の一環としての外部専門家による調査に対し、全面的に協力してまいります。現時点において、第三者委員会による調査及びその他の社内調査等は継続中です。第三者委員会等からの調査報告書を受領次第、再発防止策の策定及び実施を迅速に行います。また、過年度及び当年度の財務諸表に訂正すべき重要な虚偽表示が識別された場合には、過年度及び当年度の有価証券報告書の訂正等を含め、適切な対応を行う方針です。その際には、訂正の内容、影響額等を速やかに開示します。
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4)偶発的リスク
①自然災害・人的災害に係るリスク
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リスク内容
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NIDECが事業を展開する国内外の地域において、自然災害(地震、台風、洪水等)や人的災害(戦争、紛争、テロ等)は、企業活動に深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に、主要な製造拠点やサプライチェーンが集中する地域で大規模な災害が発生した場合、製品の生産や供給が停滞し、顧客への納品遅延や生産コストの上昇を招く恐れがあります。また、これに伴い、企業のブランドイメージや顧客信頼度が低下し、長期的な収益に悪影響を与える可能性があります。
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主要な対応策
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自然災害・人的災害に係るリスク低減のため、以下の対策を講じています。 ・リスクモニタリング 世界の各拠点に設置したリスク管理者を中心に、事業継続を妨げる要因の早期の察知と的確な対応に努めています。 ・リスク分散 生産拠点の地理的分散やサプライチェーンの二重化により、災害発生時の影響を最小限に抑えることに努めています。 ・リスク転嫁 損害保険を付保し、損害発生時の財務的な影響の低減を図ります。 ・事業継続管理 事業の中断に備え、「BCP(Business Continuity Plan: 事業継続計画)基本方針」を整備し、国内外の拠点で訓練を実施しています。
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②気候変動に係るリスク
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リスク内容
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気候変動は、企業の持続可能性や競争力に対する重大な脅威であり、特に製造業においてはその影響が顕著です。以下に挙げるリスク事象の現実化はNIDECの財務状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。気候変動に係るリスクの詳細及び対応策につきましては「第2 事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組(参考)事業インパクトの大きい気候変動リスク・機会及び対応策」をご参照ください。
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主要な対応策
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「第2 事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組(参考)事業インパクトの大きい気候変動リスク・機会及び対応策」をご参照ください。
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