リスク
3 【事業等のリスク】
当社グループは、「内部統制委員会」を設置し、取締役社長の下にリスク管理体制を構築しています。平時においては、各委員会および各本部において「経営リスク管理規程」に従いリスクの軽減等に取り組むとともに、有事においては「緊急時対応要領」に基づき対応する体制を整備し、リスク管理体制の推進を図っています。また主要な各グループ会社からもリスク管理活動に係る報告を受けています。
当社グループの財政状態および経営成績等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクは以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2024年3月31日)時点において当社グループが判断したものです。当社グループは、これらのリスクを認識したうえで、発生の回避および発生したときの対応に万全を尽くす所存です。
(1) 事業活動に係るリスク
① 事業環境について
当社グループの製品需要は、国内の民間非居住建築物棟数や機械受注に関連するものが多く最終的には国内の景気動向の影響を大きく受けます。また、情報通信分野および電子部品分野の製品においては技術革新が急速に進んでおり、保有する在庫の陳腐化や案件の失注等により当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業環境では、当該リスクが顕在化する可能性は常にあると認識していますが、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用したスマートファクトリーを実現する瀬戸工場を2024年春に稼働させるなどコア事業競争力をより一層高めるとともに、事業領域の拡大、東南アジア地域を中心とした海外事業基盤の確立や新規ビジネスの確立などの諸施策を推し進めています。
② 品質について
当社グループが提供している製品は、厳重な品質管理体制のもと製造・出荷されています。不具合等が発生した場合には迅速な対応を行う管理体制を構築していますが、消費生活用製品安全法および製造物責任法に関連した問題が発生した場合には、社会的評価、企業イメージ低下のリスクがあり、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが提供している製品は多品種であり個別仕様に基づくものも多くあるなど、当該リスクを完全に排除することは困難であると認識していますが、設計品質の向上、生産工程の改善、検査体制の拡充や品質教育の充実など品質保証体制の強化を着実に進めています。
③ 情報システム、情報セキュリティについて
当社グループは、販売や生産等の事業活動において情報システムに依存しており、また顧客、仕入先、従業員等に関する機密情報や個人情報を扱うことがあります。不測の事態により情報システムの長期間停止、機密情報や個人情報の流出などが発生した場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
高度化するサイバー攻撃などにより当該リスクを完全に排除することは困難であると認識していますが、情報システムに対する外部攻撃対策、コンピュータウイルス対策、セキュリティ遵守に関する従業員教育等の実施により当該リスクの低減に努めるとともに、積極的に新しい情報システムの活用を継続しています。
④ 労働環境について
当社グループの事業活動は、多くの役職員が携わることにより成立しています。人員の恒久的な不足、労働環境等の悪化による労災事故、労務コンプライアンス問題などが発生した場合にそれらにともなう役職員のモラル低下などは当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
労働に対する価値観の多様化が進むなか、当該リスクが常に存在するものであることを認識していますが、グループとして「働きがい改革」を掲げ、安全対策、労働時間管理、相談窓口設置やモチベーション向上施策の実施などにより、健康的でやりがいのある職場環境を実現することで当該リスクの低減に努めています。
⑤ 原材料等の調達について
当社グループは鋼材、ステンレス材、樹脂材、伸銅材などの原材料ならびに購入機器等を使用した製品の製造や情報通信機器等の仕入、販売をしています。サプライチェーンにおいて国際的な政治・経済情勢や商品市況の動向により調達価格の高騰や供給がひっ迫した場合や、環境や人権に係る問題が発生した場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
供給のひっ迫に関するリスクは緩和されつつあるものの、引き続き部材の調達難や原材料の価格高騰は当社グループのサプライチェーンの一部に影響を及ぼしています。供給が市況等に左右される原材料等を多く使用しているため当該リスクを完全に排除することは困難であると認識していますが、海外調達を含めた購買先の分散、機動的な在庫確保や使用部材の仕様変更などの施策を進めるとともに、共同購買などグループでの購買力を高めることで当該リスクの低減に努めています。
また、環境に配慮した調達の推進や「日東工業グループ人権方針」の制定などにより持続可能なサプライチェーンの強化に努めています。なお、運送物流についても配送時間や運送コストの増加が予想されており、郡山物流センターの設置や配送の効率化などを進めて当該リスクの低減に努めています。
(2) 経営戦略や中長期に顕在化する可能性のあるリスク
① 人財確保、人財育成について
当社グループの持続的な成長には、優秀な人財の確保や育成促進が前提となります。積極的な採用活動、外部専門知識の活用や社内教育制度の充実などを進めていますが、事業展開に必要な人財の確保が困難となった場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
引き続き採用手法の多様化、柔軟な人事制度、多様な人財の登用や教育制度の充実をはかることなどにより、持続的な成長に必要な人財の確保に努めていきます。
② デジタル技術の進化について
デジタル革命の流れは、経営スピード、顧客との関係性や競争力などへ、より一層の影響を及ぼすものと予想されます。これらに起因して現在の競争優位の維持が困難となった場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
引き続きデジタル技術の活用を推進し、優位性のある販売システムやコスト競争力を高めることなどにより事業の競争優位性の維持に努めるとともに、ICTインフラ基盤の構築を通じてグループ経営基盤の強化を進めていきます。
③ 事業ポートフォリオについて
当社グループは主に配・分電盤ならびにコンポーネンツの製造、販売等を行う電気・情報インフラ関連 製造・工事・サービス事業をコア事業として、ネットワーク商材を扱う電気・情報インフラ関連 流通事業、電磁波環境コンポーネンツ等の製造、販売を行う電子部品関連 製造事業により構成されています。当社グループの業績はコア事業を主に担う日東工業株式会社の業績に連動性が高く、コア事業の低迷は当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
引き続きコア事業の一層の強化、適切なリソース配分を通じた各セグメント事業の成長、グローバル化の推進に加えて、EVインフラ、エネルギーマネジメントなど環境に関連した事業領域の拡大、新規ビジネスへのチャレンジなどを通じてグループとしての成長に努めていきます。
④ 海外事業展開について
当社グループは海外でも事業を展開しており、当社グループの成長の重要なキーとなっていますが、事業の低迷、国際的な政治・経済動向あるいは戦争、テロ、大規模自然災害等により当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
引き続き成長を続ける海外市場において強固な事業体制を構築し、東南アジア地域を中心としたビジネス展開に注力するとともに、グループガバナンス体制の強化を図ることによりグループとしての成長に努めていきます。
⑤ 知的財産について
当社グループは多くの知的財産権を保有し、権利保護のため適切に維持、管理しています。また、第三者の知的財産権についても侵害することのないよう適時適切に調査検討をしています。しかし、第三者との間で、無効、模倣、侵害等の知的財産権の問題が生じた場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
海外市場展開においては知的財産権の管理、とりわけ第三者の知的財産権への侵害等を回避することは事業活動に不可欠なものと認識しており、特許公報、海外規格の調査などを強化することにより当該リスクの低減に努めていきます。
⑥ 環境問題について
地球環境に対する問題意識の高まりは、事業活動におけるエネルギー使用の合理化、環境負荷物質の規制強化による製品対応のみならず、当社グループの環境問題、特に気候変動リスクの取り組み姿勢への評価などは当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「サステナビリティ委員会」のもと、その他の専門委員会等と連携をとり気候変動に関するリスクと機会のモニタリングを行うとともに、課題に対して戦略を策定し取り組みを進めます。また、グループとしてのGHG排出量削減目標を設定し、持続可能な社会の実現と企業価値向上に向けて、サプライチェーン排出量削減の取り組みを推進します。
引き続き製造工程における廃棄物の抑制、エネルギー使用の合理化、地球環境に配慮した製品開発、グリーンエネルギーへの切り替え、サプライチェーンや配送を含めたグループの事業活動全般にわたる環境課題に対する取り組みなどを強化することにより当該リスクの低減に努めていきます。
(3) その他
大規模災害等について
当社グループの主要事業所の多くは、今後発生が予想される南海トラフ地震による被災の可能性が高い地域にあります。こうした大規模自然災害等が発生した場合、工場建屋や生産設備の被災、サプライチェーンの復旧遅れ、電力供給不足等により、生産能力および物流機能等に大きな影響が生じ、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
近い将来、南海トラフ地震による被災の確率は高いと認識しています。当社グループでは人命を最優先に、大規模災害時の生産および販売への影響を最小限に抑えるため、防災訓練、安否確認訓練、各種耐震対策、データ管理の二重化等、事業継続計画の整備を積極的に進めています。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、企業価値向上を目指すための重要な経営指標(KPI)として「ROE」(自己資本利益率)を掲げ、中長期的にその水準の維持向上を目指しています。利益配分につきましては、企業価値向上に寄与する投資を推進しつつ、財務状況やROE水準などを総合的に勘案し、株主の皆様へ配当を実施していきます。
また、必要に応じて、自己株式の取得・消却など資本効率向上のための諸施策を実施し、株主の皆様にお応えしていきます。
なお、「2023 中期経営計画」の2期(2023年3月期および 2024年3月期)では、更なる自己資本の積み増しを抑制しROEの向上をはかるため、連結配当性向 100%を目標に配当を実施していきます。配当の回数については従来どおり中間配当および期末配当の年2回行う予定です。これらの配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会となります。
当事業年度の配当金については、中間配当金として1株当たり72円、期末配当金として1株当たり158円とし、年間配当金230円を実施します。この結果、当連結会計年度の自己資本当期純利益率は8.3%、連結純資産配当率は8.3%となります。
なお、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当をすることができる旨を定款に定めています。
基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりです。
なお、当社は2024年5月15日付で配当に関する基本的な方針を以下のとおり変更しています。
<2025年3月期(第77期)以降の配当方針について>
当社は、企業価値向上を目指すための重要な経営指標(KPI)として「ROE」(自己資本利益率)を掲げ、中長期的にその水準の維持向上を目指しています。
利益配分につきましては、企業価値向上に寄与する投資を推進しつつ、財務状況やROE水準などを総合的に勘案し、株主の皆様へ配当を実施していきます。
また、必要に応じて、自己株式の取得・消却など資本効率向上のための諸施策を実施し、株主の皆様にお応えしていきます。
なお、2026中期経営計画期間中は、資金を積極的に成長投資へと振り向け収益力強化を目指すとともに、自己資本をコントロールしROEの持続的な向上を図るため、連結配当性向50%を目標に配当を実施していきます。また、DOE(連結純資産配当率)の下限を4.0%に設定し、安定的な配当も実施していきます。
上記の新配当方針に基づき2025年3月期中間配当金は1株当たり64円、同期末配当金は1株当たり64円、1株当たりの年間配当金は128円を予定しています。