人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数603名(単体) 2,937名(連結)
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平均年齢44.0歳(単体)
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平均勤続年数15.7年(単体)
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平均年収6,489,000円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
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2025年3月31日現在 |
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セグメントの名称 |
従業員数(名) |
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日本 |
879 |
(493) |
米州 |
231 |
(-) |
EMEA |
1,047 |
(214) |
アジア・パシフィック |
780 |
(11) |
合計 |
2,937 |
(718) |
(注)従業員数は就業人員であり、従業員数欄の(外書)は臨時雇用者の年間平均雇用人員であります。
(2)提出会社の状況
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2025年3月31日現在 |
従業員数(名) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(千円) |
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603 |
(267) |
44.02 |
15.73 |
6,489 |
セグメントの名称 |
従業員数(名) |
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日本 |
603 |
(267) |
合計 |
603 |
(267) |
(注)1.従業員数は就業人員であり、従業員数欄の(外書)は、臨時雇用者の年間平均雇用人員であります。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
(3)労働組合の状況
当社及び連結子会社の一部には、IDEC労働組合が組織されており、全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会(電機連合)に加盟し、組合員数680名でユニオンショップ制であります。
なお、労使関係については円滑な関係にあり、特記すべき事項はありません。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
①提出会社
当事業年度 |
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管理職に占める女性労働者の割合(%)(注)1 |
男性労働者の育児休業取得率(%)(注)2 |
労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1 |
||
全労働者 |
正規雇用労働者 |
パート・ 有期労働者 |
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9.7 |
92.3 |
53.9 |
80.2 |
49.7 |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
②連結子会社
当事業年度 |
|||
名称 |
男性労働者の育児休業取得率(%)(注) |
||
全労働者 |
正規雇用労働者 |
パート・有期労働者 |
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IDECセールスサポート株式会社 |
100.0 |
100.0 |
- |
IDECファクトリーソリューションズ株式会社 |
100.0 |
100.0 |
- |
(注)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ
①ガバナンス
当社グループの活動方針を策定する機関として、代表取締役社長が委員長を務め、社外取締役を含む取締役も
参画するサステナビリティ委員会を設置しております。傘下には、ESGに私たちの強みである「安全:Safety」、「品質:Quality」を加えた「ESG+Sa+Q」の5つの分野の専門委員会を設けております。 各専門委員会は、委員長を執行役員とし、専門知識や経験を持ったメンバーで構成されております。サステナビリティ委員会は年2回開催しており、議論した重要事項については、経営会議や取締役会に報告され、監督される体制となっております。 また、サステナビリティ委員会で議論・決議された内容及びその実践は、サステナビリティリーダーである部門長が職場研修会を通じて、社員一人ひとりに周知・徹底しております。 |
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②戦略
当社グループは『The IDEC Way』に基づき、IDEC Group Code of Conduct(行動基準)、CSR憲章、国連グローバル・コンパクトの10原則を重要な指針として採用しております。国連グローバル・コンパクトは、企業や組織が「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」の4分野にわたる10の原則に基づき、責任ある創造的なリーダーシップを発揮することで、持続可能な社会の実現を目指す国際的なイニシアティブであります。当社グループは2009年に加盟し、10原則を支持しております。
2018年に設立したCSR委員会(2024年にサステナビリティ委員会へ名称変更)を軸に、事業活動を通じた社会課題の解決に取り組んでおります。具体的にはILO傘下のISSA(International Social Security Association)が推進するVision Zeroキャンペーンへの賛同・登録を通じ、社内外のすべての人々の安全・健康・ウェルビーイングの向上を追究しております。加えて、気候変動などの地球環境問題への対応や、リスクと機会を見据えた将来への備えを進めております。
当社グループは、国際社会の急速な変化や多様化する社会的課題に対応し、競争力の強化と社会的責任の遂行を両立するため、2024年度に構築したグローバルでの連携体制を基盤とし、2026年3月期から2028年3月期を対象とした「サステナビリティ新計画」を策定しました。本計画は、新たな時代を切り拓く「新生IDEC」に向けた2025年3月期からの構造改革、及び中期経営計画と連携しております。各専門委員会はこの計画に沿った具体的な目標を設定し、環境・社会・ガバナンスそして、安全・品質の各領域でのリーダーシップを発揮してまいります。
③リスク管理
サステナビリティ全般に関するリスクと機会は、マテリアリティ分析において、ステークホルダーの重要度と事業としての重要度の両軸でマッピングしており、「気候変動」と「企業基盤」に関わるリスクについては、当社グループのリスクマップに統合して管理しております。
リスクの重要項目については、リスクマネジメント委員会において評価、管理しており、年に1回経営戦略企画本部でリスクと機会を見直すこととしております。
④指標及び目標
2030年の目指すべき姿を実現するための取り組みテーマを設定し、テーマごとにサステナビリティKPIを掲げております。
人的資本については、新中期経営計画に合わせて、課題への対応とKPIの策定を現在進めております。
(気候変動)
2030年の目指す姿 |
サステナビリティKPI |
2026年3月期~ 2028年3月期の目標 |
当社グループの技術、製品を活用した顧客・社会の環境負荷低減への貢献 |
環境配慮強化型製品の売上高 |
82億円 |
自社における再生可能エネルギー活用などによるCO2排出量の削減 |
CO2排出量の削減率 (Scope1&2、2020年3月期比) |
35%減 |
ステークホルダーへの環境対応開示と協働活動の推進 |
サプライチェーンエンゲージメント率 |
80% |
(2)気候変動
■当社グループの環境経営
当社グループは、人と機械の最適環境を創造し、世界中の人々の安全・安心・ウェルビーイングを実現することを目指しております。また、事業活動の全ての面において地球環境の保全を最重要課題とし、持続可能な社会を次世代に繋げていくことを環境方針として、2024年には「環境基本方針」を刷新いたしました。
環境基本方針を多様なステークホルダーからの社会的要請や企業の社会的責任を果たす指針とし、環境課題の改善に努める中で、当社グループは環境課題の改善が自社の事業活動への貢献にもつなげることを目指した環境目標の設定を検討し、2026年3月期から3か年の中期経営計画刷新に合わせて、新サステナビリティKPIを設定いたしました。
新たなKPIは、2025年3月期末までに目標到達したCO2排出量削減率の数値目標を更に上乗せした項目に加え、環境配慮強化型製品の売上額とサプライチェーンエンゲージメント率の新設2項目の計3項目といたしました。
新KPIの目標到達に向けて当社グループがグローバル一体となっての取り組みを進めるため、2024年度に設立されたグローバル環境マネジメントシステムを活用しております。ここでは、各拠点共通の課題や拠点別の優先課題を設定し、四半期ごとの進捗確認を行い、成功事例の積み上げと共有を進めながらグループ全体での新KPIの達成に向けて取り組んでおります。
環境課題の改善に向けたグローバルでの取り組みと、事業活動への肯定的な影響を開示することで、投資家や株主、顧客だけではなく、さまざまなステークホルダーの関心に応えることが期待されます。これらの取り組みを通じて、地球環境保全と事業活動の持続的な成長の両立を目指してまいります。
■環境に配慮した製品開発
当社グループでは、製品開発プロセスの最初の段階から、環境配慮を重視する手順で開発を行っております。当社独自の規準に基づいて環境配慮度合いを評価し、貢献度の高い製品は「環境配慮強化型製品」に認定しております。 今中期計画より、これら製品開発における環境配慮活動がもたらす財務的貢献効果を測る指標として、新たに環境配慮強化型製品の売上額をKPIとして設定いたしました。この目標額は、過去に発売した環境配慮強化型製品と、今後中期計画内で発売する新製品の中から、環境配慮 強化型製品と認定されうるものを抽出し、その売上額を想定しております。 |
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■環境配慮強化型製品の例
(非常停止用押ボタンスイッチ「XAシリーズ」)
安全規格ISO 13850:2015(JIS B9703:2019)に対応し、有効/無効な非常停止機器を識別するための照光タイプとモニタ用接点を備えているタイプをラインアップしております。安全機構では第3世代となるセーフティポテンシャル構造を採用し、屋外での使用を想定したType 4X(UL認証)を取得している非常停止用押ボタンスイッチであります。
この製品は、生産現場などでオペレータが危険を感じた場合や、機械設備に異常が発生したり、損害が発生する可能性を感じた場合に、オペレータが手動で操作する「非常停止用」として使用されるスイッチであります。環境配慮面においては、従来品からの短銅化、製品廃棄時への考慮など配慮して開発しております。
■環境配慮ポイント
■CO2排出量削減の取り組み
2023年3月期から2025年3月期までのサステナビリティKPIである、CO2排出量削減率24%減(Scope1&2)については、基準年である2020年3月期の11,943t-CO2から2025年3月期は8,555t-CO2と、削減率24%を達成できました。
2026年3月期からの3か年で、CO2排出量削減率35%(2019年比)の目標を達成するには、国内だけではなく当社グループ全体での取り組みが不可欠であります。Scope1に関しては、社用車の適正台数の見直しや、ハイブリッド・EV車比率の増加、各種熱源の電化に取り組んでまいります。Scope2に関しては、各拠点での消費電力の削減、CO2排出量係数の低い電力会社への切替、省エネとなる空調設備や生産設備への切替を行ってまいります。
■サプライチェーンエンゲージメントの強化
Scope3のCO2削減には、当社グループの取り組みだけではなく、サプライヤーの協力が不可欠になります。実現に向けた取り組みとして、各生産拠点の取引額上位80%のサプライヤーとのエンゲージメントを新中期経営計画のKPIに定め、2026年3月期はグローバルで対象企業のうち、約60社と対話を行う予定であります。
具体的には、サプライヤーとエンゲージメントしたい内容をリスト化し、グローバル環境マネジメントシステムの活動を通じて、国内のみならずグローバルの各購買拠点で、実現可能な項目からエンゲージメントを進めます。毎年エンゲージメントの社数を増やしながら、すでに対話を進めているサプライヤーとも、実現可能な項目の向上を図るよう協力して取り組みます。
サプライヤーとのエンゲージメントの取り組みは、当社のScope3上流で最もCO2排出量が多い購買関係のCategory1の排出量削減に、将来的につながることが期待できます。
■自然への取り組み
・生物多様性
当社グループの生物多様性リスクの分析と評価を、2025年3月期も実施いたしました。評価ツールには世界自然保護基金(WWF)が開発したRisk Filterを活用し、主要拠点所在国別の生物多様性リスクの定量化と、グループ全体での生物多様性リスク指標の上位10項目のデータを更新いたしました。 周辺地域の生態系に与える影響を把握するために、IDEC本社と事業所(滝野、福崎、尼崎)、物流拠点の5か所で生き物調査を実施いたしました。2024年3月期に本社で取得した、SEGES「そだてる緑」の外部審査機関のアドバイスも得て、生態系被害防止外来種(セイタカアワダチソウ)などの駆除も行いました。 |
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・TNFD(自然関連財務情報開示)
環境関連の情報開示として、当社グループは2022年からTCFD(気候関連財務情報開示)を実施してきましたが、ステークホルダーの要請は気候変動に加えて、生物多様性を始めとするTNFDにまで範囲が広がりつつあります。
当社グループでは、世界自然保護基金(WWF)が開発したBiodiversity Risk Filterを評価ツールに活用した国別生物多様性リスクの分析結果と、Aqueduct Water Risk Atlas 4.0を活用した水リスク分析結果を2023年からウェブサイトに公開しております。
今後はTCFDと合わせて、TNFDフレームワークに基づく自然関連財務情報の開示とリスク機会の評価アプローチ(LEAP)を活用した分析準備を環境戦略委員会で取り組む予定であります。
・環境教育
2025年3月期に社内で実施した環境教育は、イントラネットを活用してTNFDが定義する生物多様性と生き物の解説に加えて、当社の環境配慮強化型製品の紹介や、内部炭素価格(ICP)を活用した環境投資の試算事例を取り上げました。
また、環境マネジメントシステム学習教材や入社時研修教材の中にCDPやEcoVadisの解説、当社の環境への取り組み事例を盛り込んでおります。
■循環型社会の実現
・プラスチック廃棄物削減
当社グループの生産拠点では、生産工程初期の成型過程で発生する、プラスチック材料の端材を破砕・粒状化して再利用するリグラインドや、プラスチック廃棄物の有価引き取りなど、プラスチック廃棄量削減と資源有効利用の取り組みを継続しております。
2025年3月期にキャリアケースの有価引き取りを開始した国内事業所では、2020年3月期比でプラスチック産業廃棄物が86%減となりました。
・産業廃棄物削減
当社グループは産業廃棄物削減率24%(2020年3月期比)を2023年3月期から2025年3月期までの新中期経営計画のサステナビリティKPIの一つに設定し、グローバル全体で産業廃棄物の削減に取り組んでおります。日本、蘇州、台湾の各製造拠点の取り組みが功を奏した結果、2025年3月期末時点で28.7%減を達成することができました(2020年3月期比)。引き続き、当社グループ全体で産業廃棄物の削減に取り組んでまいります。
■外部からの環境評価
当社は、CDP、EcoVadis、FTSE、MSCIなどのESG評価機関からの要請に対応しており、質問書への回答を通じて気候関連財務情報を開示しております。
2025年2月にCDPが公表した「気候変動レポート2024」で、当社は2024年に引き続き「B」スコアと評価されました。EcoVadisにおける2024年の環境部門スコアは75点と、2024年から25ポイント向上いたしました。
また、当社は2021年にTCFDに賛同し、2022年より気候関連財務情報を開示しており、2024年からはIFRS S2号に沿った情報開示を進めております。
・EUでの情報開示(フランス・APEM)
当社グループの中でEMEAを中心に事業拠点を置くAPEMは、CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive)要件に取り組むチームを設置し、2026年の開示に向けた準備を進めております。欧州のグループ会社単体としてのEcoVadisの回答準備やダブルマテリアリティの設定準備を進めております。
IFRSサステナビリティ開示基準S2号に沿った情報開示
①ガバナンス
代表取締役社長が委員長を務める、サステナビリティ委員会の専門委員会である環境戦略委員会が中心となり、気候関連財務情報の開示に取り組んでおります。
環境戦略委員会はさまざまな部門の社員で構成され、環境担当上席執行役員のもとで隔月開催されております。環境戦略委員会における決定事項は、サステナビリティ委員会で審議された後、経営会議に上程され報告承認を受け、その後取締役会で報告承認される体制になっております。2026年3月期からの中期計画で設定された目標の進捗は隔月の会議で確認され、進捗が予定どおりでない場合は対応策を検討いたします。
グローバルのガバナンス体制として、2025年3月期からグローバル環境マネジメントシステム運営委員会を発足させました。IDEC本社、国内グループ会社、蘇州、台湾、タイ、APEM各拠点(フランス、英国、デンマーク、チュニジア、米国)で構成しており、四半期ごとに運営委員会を開催しております。委員会では環境課題の進捗確認、廃棄物・環境対応資材・再生プラスチック導入などの情報共有や環境課題の議論などを行っております。
②戦略
当社グループでは、環境戦略を事業戦略の重要な一部と捉え、移行計画を2026年3月期からの中期計画に反映させるべく、環境配慮強化型製品の売上目標額をKPIに導入いたしました。これにより、事業活動における環境貢献度の向上に計画的に取り組みます。
また、サプライチェーンエンゲージメント率のKPI設定やCSR調達ガイドラインとグリーン調達ガイドラインの改定など、サプライヤーとのバリューチェーン構築を加速させております。カーボンニュートラル実現に向けたCO2排出量の削減、産業廃棄物の削減とリサイクル量の増加など、さまざまな環境対応活動にも継続的に取り組んでおります。
こうした移行計画に関わる活動は、当社グループのパーパスである、「世界中の人々の安全・安心・ウェルビーイングの実現」への貢献に対し、環境側面における調和のとれた取り組みとなっております。なお、IFRS S2号に沿った情報開示をはじめとするESG関連情報は、2023年度より有価証券報告書にも掲載しております。
・気候レジリエンス
2025年3月期の当社グループの選定シナリオは、2024年3月期と同様に移行リスクシナリオはWEO2024のSTEPS(2.6℃シナリオ)とNZE(1.5℃シナリオ)を、物理的リスクシナリオはIPCC第5次報告書のRCP2.6(2℃シナリオ)とRCP8.5(4℃シナリオ)を採用し、当社グループの世界観想定時の参考にいたしました。
選定したシナリオを基に、2025年3月期にIDEC本社及びGEMSメンバー各国・地域でワークショップを開催して、さまざまな部門のメンバーでリスクと機会の分析を行いました。ワークショップでは、国際エネルギー機関が発行する「世界エネルギー見通し2024年度版(WEO2024)」、IFRS S2号及び産業別開示トピック、CSRD/ESRS、12MAIG(マテリアリティ評価に関する適用ガイダンス)をリスクと機会検討時の参考資料としました。
これらの検討結果は、移行・物理的リスクの識別、時間的影響や財務上の潜在的影響の特定などに分類し、我々が考える1.5℃/2℃、4℃の世界観として整理いたしました。
・気候変動のリスクと機会
日本及びグローバル環境マネジメントシステム参加各国で実施した、リスク・機会のワークショップで整理した世界観や他の検討結果をもとに、当社グループの見通しに合理的に影響を及ぼすと予想される移行・物理的リスクと機会の項目を設定いたしました。
次に、リスクと機会各項目について、発生確率、影響の程度、財務上の潜在的影響額を算出し、気候関連リスクと機会マップを更新いたしました。
③リスク管理
環境戦略委員会で抽出した気候関連のリスクと機会の項目について、発生確率、影響の程度、財務上の潜在的影響額を検討し、リスクと機会のマップにまとめました。抽出結果、及びマッピングにおいて重要と評価したリスク項目は、当社グループのリスクマップに統合して管理しております。さらにマテリアリティの自然資本に関わるリスクと機会にも反映させております。
環境推進室では、特に環境に関わるリスク管理項目を年度ごとのリスク管理表に展開し、達成指標を定めて達成状況をリスクモニタリング部会に報告しております。
④指標及び目標
CO2排出量の削減に向けて、Scope1&2で2028年3月期までに35%、2031年3月期までに50%削減(いずれも2020年3月期比)を中期計画で目標としております。2023年3月期より導入した内部炭素価格(ICP)については、2026年3月期14,000円/tで価格を設定いたしました。ICPが環境投資の意思決定に与えるインパクトはまだ十分なものではありませんが、環境戦略委員会を中心にICP活用のモデルケースをイントラネットで紹介することで、社内意識の向上を図っております。
2024年3月期から役員報酬制度に導入したパフォーマンスシェアユニット(PSU)では、最大で報酬10%までに相当する譲渡制限付普通株式を取締役及び執行役員に割り当て、非財務指標としてEcoVadisの実績をPSUの算定に用いております。CO2をどれだけ少なくして効率的に利益を稼いだかを表す指標である炭素利益率(ROC)は、営業利益額減少に伴い、減少傾向が続いております。
2025年3月期のCO2排出量に関しては、Scope1と2の合計で2024年3月期より減少しており、2023年3月期以降、継続的に削減できております。
2026年3月期は太陽光発電設備の追加導入は計画にありませんが、2023年3月期に導入した竜野物流センターの自家発電設備が稼働を開始し、2026年3月期のCO2排出量削減に貢献します。さらに、排出係数の低い電力への切り替えや各工場での稼働率向上推進の成果が、CO2削減効果に表れることが期待されます。
Scope3に関しては、主に省電力設計などの製品開発プロセスにおける環境配慮を継続して実施することで、削減に取り組んでまいります。
2030年の目指す姿 |
サステナビリティKPI |
2026年3月期~ 2028年3月期の目標 |
当社グループの技術、製品を活用した顧客・社会の環境負荷低減への貢献 |
環境配慮強化型製品の売上高 |
82億円 |
自社における再生可能エネルギー活用などによるCO2排出量の削減 |
CO2排出量の削減率 (Scope1&2、2020年3月期比) |
35%減 |
ステークホルダーへの環境対応開示と協働活動の推進 |
サプライチェーンエンゲージメント率 |
80% |
(主要なリスク一覧)
B: 直接費と間接費の増加、C: 製品及びサービスに対する需要減少に起因した売上減少、D: 生産能力低下に起因した売上減少、E: 設備投資の増加
(主要な機会一覧)
(3)人的資本
■人材戦略
当社では4つのマテリアリティの一つとして、「企業基盤:価値創造を促進する経営構造の整備、人権の尊重、組織風土の醸成及び人材の育成」を掲げております。持続的な成長と企業価値向上を実現するためには、企業の活性化や人的資本の強化が必要不可欠となるため、2030年の目指す姿を掲げ、中期経営計画の施策やサステナビリティKPIとも連動させながら、さまざまな取り組みを推進しております。
更なる成長を実現するためには、当社グループ全体で人的資本への投資をより強化していく必要があることから、グローバル人材基盤としてタレントマネジメントシステムを新たに導入し、優秀な人材の発掘・最適配置に取り組む予定であります。その他にも、組織のグローバル化を推進するとともに、グローバルエンゲージメントサーベイなども行ってまいります。
ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの取り組みも不可欠と考えており、人材の多様性確保に向けて、キャリア採用やグローバル人材採用を積極的に進めております。日本では、男女間の賃金差異の是正に向けて、女性管理職比率向上に向けた取り組みにも注力しております。中長期の人材戦略としては、重要ポジションの充足とグローバル人材、リーダー人材の育成を掲げており、グループ全社での持続的成長を実現するために、次世代の経営を担う幹部候補者を計画的に選抜、育成しております。
①ガバナンス
■推進体制
経営戦略と人事戦略を立案していくため、代表取締役直轄の組織として経営戦略企画本部を設置し、関係各部と調整しながら、長期ビジョンや中期経営計画、サステナビリティKPIなどの策定、経営・人事戦略の立案、経営資源マネジメントなどを牽引しております。米国やフランス拠点の担当者とも連携しながら、グローバルでの人材戦略を立案、推進し、重要事項は経営会議に上程して方針決定後、取締役会へ報告しております。 また、全社安全衛生委員会の専門部会として、ディーセントワーク部会を2022年に設置し、働きがいのある職場環境づくりや、社員のウェルビーイング実現に向けた社員満足度向上を目指した取り組みを行っております。 |
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②戦略
■人材育成方針・社内環境整備方針
当社グループは、「世界中の人々の安全・安心・ウェルビーイングを実現すること」を私たちのパーパスとして定めるとともに、「Pioneer the new norm for a safer and sustainable world.(いつも、ずっと、みんなに新しい安心を)」というVisionを『The IDEC Way』で掲げ、全ての人々に幸福と安心をもたらし、より安全で持続可能な社会の実現を目指しております。
当社グループのVisionの実現に向けて、グローバルベースで事業を更に発展させていくとともに、事業活動を通じてさまざまな社会課題の解決に貢献するため、多種多様な強みを持ち、能力を発揮できる人材や、情熱を持って自律的に未来を切り開ける、次世代を担う人材の採用・育成を重点テーマに定めております。今後もダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを積極的に推進し、さまざまな人材育成施策を実施してまいります。
また、当社グループは職場の安全と心身の健康を守るとともに、人権を尊重し、差別のない健全な職場環境の確保に取り組んでおります。
■企業理念の浸透・実践
M&Aの推進などにより、現在連結社員数の約70%は日本以外の拠点となっており、企業理念である『The IDEC Way』の共有は、持続的な成長のために必要不可欠な要素となっております。
具体的な取り組みとして、社内でのポスター掲示、イントラネットや社内報の活用、クレドカードの配布などを行うとともに、『The IDEC Way』に基づく役割定義とグレード定義した人事制度を採用し、人事評価との紐づけを行っております。 理念の更なる浸透と、実践を促すための取り組みとして、2025年3月期にCore Values部門と、4つのテーマ別部門から選出する、社長賞を刷新しました。Core Value部門では、働く上で具体的に意識するべき考え方・行動である、Principlesに沿って行動した模範的な社員を表彰することで、グループ理念の浸透を図っております。 |
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■社員エンゲージメントの向上
社員エンゲージメントの向上に向けては、定期的にエンゲージメントサーベイを実施しており、抽出された課題への取り組みを推進してきました。 日本では、2020年3月期と2023年3月期に実施し、代表的な指標である「会社の総合的魅力」、「職場の総合的魅力」のスコアがアップし、その他の多くの項目において改善が見られました。一方で、スコアの低かった(1)人材育成、(2)マネジメント力の強化、(3)人事制度に対する納得性の向上、という3つを主要課題と認識し、改善に向けた取り組みを実施してきました。 2026年3月期に日本で3回目なるサーベイと、APEMグループとしてのグローバルサーベイを実施し、各種施策の検証を行う予定であります。2027年3月期からは、APEMグループと合同でグローバルサーベイを実施し、その結果を踏まえて、課題の抽出や各種施策の検討を行ってまいります。なお、エンゲージメントサーベイでは、企業理念に関する設問を設けており、今後グローバルサーベイを通じて、当社の創業当時から大切にしている「人間性尊重経営」をはじめとした、企業理念の更なる浸透、強化を図ってまいります。 |
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グローバルでの理念の浸透や、社員エンゲージメントの向上により、更なる企業基盤強化を推進してまいります。
■グローバル経営を支える人材の確保・育成・適正配置
事業拡大に向けて、「新生IDEC」を支える人材を継続的に獲得・育成し、グローバルで活躍できる環境を整備する必要があります。当社グループでは、以下を備えた人材を採用しており、常に自分の生産性をどう上げていくかを考え、失敗を恐れずチャレンジしていける社員を育成することで、持続的な成長を実現できる企業を目指しております。
・グローバル視点での思考を持っている人 ・情熱を持って困難なことにもチャレンジし、業務改革をやり切れる人 ・生産性を常に意識し、継続して生産効率の向上のための努力を惜しまない人 |
今後、人材の育成・活躍を支える制度や情報基盤を、グローバルレベルで整備・展開し、国・地域を超えた配置・育成を推進してまいります。
・教育制度
持続的な成長を支えるために不可欠な、人材への投資を強化しており、研修体系を整備しております。特に英語教育について、これまで自己啓発支援としてきたところ、リスキルプログラムとして集中投資する方針を固めました。具体的には、コーチング付き英語学習や海外留学メニューを拡充し、新入社員研修にも異文化理解プログラムを強化しております。管理職登用の英語力基準も引き上げ、グローバルに活躍できる幹部育成にも取り組んでおります。
さらに、海外グループ拠点と連携して、海外トレーニーや海外出向、海外転籍などを今まで以上に拡充し、グループ一体となってグローバルなビジネス経験が積める環境整備に取り組んでおります。2028年3月期までには、グローバルに幹部候補社員を選抜し、次世代幹部研修を展開することで、グローバル経営を支える後継者育成に取り組んでまいります。
・グローバルタレントマネジメント
グローバル人材基盤として、タレントマネジメントシステムの導入準備を行っております。スキルや経験といった人事データをグローバルで管理することで、人材の見える化や組織力の最大化を推進し、人材の発掘、最適配置に取り組んでまいります。日本では、スキルや経験をベースに、人材の育成計画、e-Learning、組織編成、サーベイ管理などもタレントマネジメントシステムに集約した上で、キャリア開発の推進やエンゲージメントの改善にも取り組みます。
■ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン
多様な人材が人間性を尊重し、人種、肌の色、年齢、性別、性的指向、性同一性と性表現、民族又は国籍、障がいの有無などにかかわらず、活躍できる環境の整備や支援体制の充実に取り組んでおります。
・女性活躍の推進
多様な人材がチャレンジできる環境・風土づくりの一環として、女性活躍に向けた取り組みを推進しております。2025年3月期末までに、当社の女性管理職数を15名とする目標を掲げ、女性活躍推進のキーとなる全部門長を対象とした意識改革研修、女性管理職候補を対象とした選抜型教育などの取り組みを推進し、2024年3月期に前倒しで目標を達成しました。
課題である、日本における男女間の賃金差異是正に向けた取り組みも行っており、女性選抜研修を積極的に実施し、より実効性を高めるとともに、女性管理職の採用も強化して女性登用を進めております。
なお、日本以外の拠点では女性管理職比率は過去から比較的高い状況となっております。
・働きやすい職場環境づくり
DXによる業務効率化や、計画的年休・男性の育児休業取得の奨励、裁量労働制・フレックスタイム制の導入など、柔軟な働き方を可能にする働き方改革を推進しております。
日本における男性の育児休業取得率向上に向けては、取得者インタビューのイントラネットへの掲載や、対象者の上司への周知により、2025年3月期の取得率は92.3%となりました。制度の充実も2026年3月期から実施しており、育児休業を取得する社員だけでなく、業務を引き継ぐ周囲の社員も含めた、誰もが安心して働くことができる職場風土とするための新たな取り組みも実施予定であります。
「拡充する支援制度(当社)」 ・育児休業から早期復職する女性社員への一時金の支給 ・ベビーシッター代、延長保育料の補助 ・育児休業取得者の引継ぎを行う担当者への特別手当の支給(2027年3月期から実施予定) |
・障がい者の就労機会の創出
2022年3月期より企業グループ算定特例を適用し、2025年3月期末の障がい者雇用率は当社で2.5%、国内グループで3.1%となりました。誰もが活躍できる社内環境整備を推進していくための取り組みとして、障がい者雇用の促進を目的とした「事務サポートチーム」を、2025年3月期IDEC本社に新設しました。
・多様な人材の採用
グローバルで事業拡大を推進するため、国籍にかかわらず多様な人材を採用しており、主要会議における議事録の多言語化を推進するなど、環境整備にも力を入れております。また、事業革新を推進できるDXやAI人材、お客さまの課題に対して最適なソリューションを提案するソリューション営業や新製品開発などを担える高い専門的知識を持った人材など、新しいスキル・多様な視点を経営に取り込むことを目的として、キャリア人材を積極的に採用しております。 今後も、事業強化のために必要となる専門性や知識を有する人材の採用を、積極的に進めてまいります。 |
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③リスク管理
サステナビリティ全般に関するリスクと機会は、マテリアリティ分析において、ステークホルダーの重要度と事業としての重要度の両軸でマッピングしており、「気候変動」と「企業基盤」に関わるリスクについては、当社グループのリスクマップに統合して管理しております。
リスクの重要項目については、リスクマネジメント委員会において評価、管理しており、年に1回経営戦略企画本部でリスクと機会を見直すこととしております。
④指標及び目標
当社グループのマテリアリティとして、価値創造を促進する経営構造の整備、組織風土の醸成及び人材の育成を掲げており、2030年の目指す姿を定義しております。
新中期経営計画に合わせて、人的資本に関する課題への対応とKPIの策定を現在進めております。