2026年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    530名(単体) 3,006名(連結)
  • 平均年齢
    42.9歳(単体)
  • 平均勤続年数
    14.2年(単体)
  • 平均年収
    6,816,000円(単体)
  • 平均年収の
    対前年増減率
    5.0%(単体)

従業員の状況

人材戦略に関する基本方針等

(1)【人材戦略に関する基本方針等】

 IDECでは4つのマテリアリティの一つとして、「企業基盤:価値創造を促進する経営構造の整備、人権の尊重、組織風土の醸成および人材の育成」を掲げております。持続的な成長と企業価値向上を実現するためには、企業の活性化や人的資本の強化が必要不可欠となるため、2030年の目指す姿を掲げ、中期経営計画の施策やサステナビリティKPIとも連動させながら、さまざまな取り組みを推進しております。

 更なる成長を実現するためには、IDECグループ全体で人的資本への投資をより強化していく必要があることから、グローバル人材基盤としてタレントマネジメントシステムを新たに導入し、優秀な人材の発掘・最適配置に取り組む予定です。その他にも、組織のグローバル化を推進するとともに、グローバル・エンゲージメントサーベイなども行ってまいります。

 ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの取り組みも不可欠と考えており、人材の多様性確保に向けて、キャリア採用やグローバル人材採用を積極的に進めております。日本では、男女間の賃金差異の是正に向けて、女性管理職比率向上に向けた取り組みにも注力しております。中長期の人材戦略としては、重要ポジションの充足とグローバル人材、リーダー人材の育成を掲げており、グループ全社での持続的成長を実現するために、次世代の経営を担う幹部候補者を計画的に選抜、育成しております。

 また、従業員の役割や成果に応じた公正な評価と処遇を行うという考えのもと人事制度を導入しており、IDEC株式会社では、「持続的な企業価値向上を支える人材の確保および育成」を目的として、日本国内社員の給与について以下の基本方針に基づき設計しております。

① グレード・役割に応じた適正な固定給を設定し、社内外水準との均衡を図る

② 会社業績および個人評価に連動した変動報酬を導入し、成果創出を促進する

③ 中長期的な企業価値向上に資するインセンティブ設計を組み込む

 社員の評価は、業績目標の達成度に加え、行動評価も加味して総合的に決定しており、その評価結果を賞与等に反映しております。報酬制度は定期的に見直しており、事業のグローバル化に合わせて今後も定期的にモニタリングしてまいります。

(2)【従業員の状況】

①連結会社の状況

 

2026年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

日本

781

(379)

米州

220

(-)

EMEA

1,240

(60)

アジア・パシフィック

765

(14)

合計

3,006

(453)

(注)従業員数は就業人員であり、従業員数欄の(外書)は臨時雇用者の年間平均雇用人員であります。

 

②提出会社の状況

 

 

 

 

 

2026年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

530

(187)

42.9

14.2

6,816

5.0

 

セグメントの名称

従業員数(名)

日本

530

(187)

合計

530

(187)

(注)1.従業員数は就業人員であり、従業員数欄の(外書)は、臨時雇用者の年間平均雇用人員であります。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

③労働組合の状況

 当社及び連結子会社の一部には、IDEC労働組合連合会が組織されており、全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会(電機連合)に加盟し、組合員数597名でユニオンショップ制であります。

 なお、労使関係については円滑な関係にあり、特記すべき事項はありません。

 

④使用人等のみに対して付与した新株予約権の内容

 当社は、使用人等のみに対する新株予約権を付与しております。当該新株予約権の内容については、「1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況 ①ストックオプション制度の内容」に記載しております。

 

⑤管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の額の差異

ア 提出会社

当事業年度

管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合(%)(注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)(注)2

労働者の男女の賃金の額の差異(%)(注)1

全労働者

正規雇用労働者

パート・

有期労働者

11.9

100.0

58.9

77.7

55.7

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

  2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。

 

イ 連結子会社

当事業年度

名称

男性労働者の育児休業取得率(%)(注)

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

IDECセールスサポート株式会社

100.0

100.0

-

IDECファクトリーソリューションズ株式会社

100.0

100.0

-

IDECロジスティクスサービス株式会社

0.0

0.0

-

(注)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。


(1)サステナビリティ

①ガバナンス

 IDECグループのサステナビリティ活動の方針を策定する機関として、サステナビリティ委員会を設置しております。代表取締役社長が委員長を務め、社外取締役を含む取締役も参画し、経営レベルでの議論と意思決定を行っております。

 傘下には、ESGに私たちの強みである「安全:Safety」「品質:Quality」を加えた「ESG+Sa+Q」の5つの分野の専門委員会を設けております。各専門委員会は、委員長を執行役員とし、専門知識や経験を持ったメンバーで構成されております。これら5分野の取り組みに加え、サプライチェーンに対する責任を重視する観点から、責任ある調達活動の推進を目的とした「CSR調達」も重点テーマとして位置づけております。

 サステナビリティ委員会は年2回開催し、議論した重要事項は、経営会議や取締役会へ報告され、監督される体制となっております。

 また、サステナビリティ委員会で議論・決議された内容は、サステナビリティリーダーである部門長が職場研修会を通じて社員一人ひとりに周知し、実践につなげております。

 

②戦略

 ■サステナビリティに関する基本方針

 IDECグループは『The IDEC Way』に基づき、IDEC GROUP Code of Conduct、CSR憲章、国連グローバル・コンパクトの10原則を重要な指針として採用しております。

 国連グローバル・コンパクトは、企業や組織が「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」の4分野にわたる10の原則に基づき、責任ある創造的なリーダーシップを発揮することで、持続可能な社会の実現を目指す国際的なイニシアティブです。

 IDECグループは2009年に加盟し、10原則を支持しております。

 

■サステナビリティへの取り組み

 2018年に設立したCSR委員会(2024年にサステナビリティ委員会へ名称変更)を軸に、事業活動を通じた社会課題の解決に取り組んでおります。具体的には、ILO傘下のISSA(International Social Security Association)が推進するVision Zeroキャンペーンへの賛同・登録を通じ、すべてのステークホルダーの安全・健康・ウェルビーイングの向上を追究しております。加えて、気候変動などの地球環境問題への対応や、リスクと機会を見据えた企業基盤の強化に取り組んでおります。

 

■サステナビリティ新計画(2026年3月期~2028年3月期)

 IDECグループは、国際社会の急速な変化や多様化する社会的課題に対応し、競争力の強化と社会的責任の遂行を両立するため、2026年3月期から2028年3月期を対象とした「サステナビリティ新計画」を策定いたしました。2025年3月期に構築したグローバルでの連携体制を基盤とし、「新生IDEC」に向けた構造改革と中期経営計画に連動した本計画に沿って、各専門委員会は各領域でリーダーシップを発揮しながら、KPIの達成に向けて主体的に活動を推進しております。

 

③リスク管理

 サステナビリティ全般に関するリスクと機会は、マテリアリティ分析において、ステークホルダーの重要度と事業としての重要度の両軸でマッピングしており、「気候変動」と「企業基盤」に関わるリスクについては、当社グループのリスクマップに統合して管理しております。

 リスクの重要項目については、リスクマネジメント委員会において評価、管理しており、年に1回経営戦略企画本部でリスクと機会を見直すこととしております。その結果は経営会議および取締役会に報告され、全社的なリスク管理に反映されております。

 

④指標及び目標

 2030年の目指すべき姿を実現するための取り組みテーマを設定し、テーマごとにサステナビリティKPIを掲げております。

 これらの指標は定期的にモニタリングし、必要に応じて見直しを行っております。

 

(気候変動)

2030年の目指す姿

サステナビリティKPI

2026年3月期~

2028年3月期の目標

当社グループの技術、製品を活用した顧客・社会の環境負荷低減への貢献

環境配慮強化型製品の売上高

82億円

自社における再生可能エネルギー活用などによるCO2排出量の削減

CO2排出量の削減率

(Scope1&2、2020年3月期比)

35%

ステークホルダーへの環境対応開示と協働活動の推進

サプライヤーエンゲージメント率

80%

 

(企業基盤:人的資本)

2030年の目指す姿

サステナビリティKPI

2026年3月期~

2028年3月期の目標

•『The IDEC Way』の浸透と、働きがいのある魅力的な職場づくりによる企業の活性化

•ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進と、人的資本への投資拡大による、新たな価値やイノベーションを創造する人材の育成

男性の育児休業取得率
(IDEC単体)

障がい者雇用率(国内)

女性管理職比率(IDEC単体)

1人当たりの平均研修費用
(IDEC単体)

100%

 

3%以上

12%以上

70千円以上

 

 

(企業基盤)

2030年の目指す姿

サステナビリティKPI

2026年3月期~

2028年3月期の目標

•高い倫理観を持って経営を行い、自社およびバリューチェーンにおける人権を尊重し、ガバナンス、コンプライアンスの更なる強化を推進

人権・コンプライアンス研修の受講率(国内)

重大な法令違反件数

取締役会の実効性評価

 

サプライヤーとのサステナビリティエンゲージメント率(SAQ回収率)

SAQ低評価サプライヤーに対する監査・フォローアップ実施率

100%

 

0件

対前年比で
改善項目数20%以上

100%

 

 

100%

 

 

 

(2)気候変動

■IDECグループの環境経営

 IDECグループは、人と機械の最適環境を創造し、世界中の人々の安全・安心・ウェルビーイングを実現することを目指し、事業活動の全ての面において地球環境の保全を最重要課題としております。

 2024年には、多様なステークホルダーからの社会的要請や企業の社会的責任を果たす指針として「環境基本方針」を刷新いたしました。また、2050年のありたい姿として「カーボンニュートラルの実現」を掲げ、IDECグループの長期ビジョンの1つに組み入れました。

 2025年は、環境課題の改善がIDECグループの事業活動への貢献につながることを目指し、中期経営計画の刷新に合わせて環境関連の新サステナビリティKPIを設定いたしました。KPIには、①環境配慮強化型製品売上高82億円、②CO2排出量削減率35%(2020年3月期比)、③サプライヤーエンゲージメント率80%(取引高比率)の3つを掲げ、それぞれの項目に対して年次マイルストーンを設けると共に、四半期ごとに進捗状況を確認し、IDECグループ全体での新KPI達成に向けて取り組んでおります。

 新サステナビリティKPIへの取り組みに加えて、廃棄物削減やリサイクル素材の導入など、事業による環境負荷低減を通じた循環型社会の実現に向けた取り組みをグローバル主要生産拠点を中心に進めております。

 これらの取り組みを通じて、地球環境保全とIDECグループの事業活動の持続的な成長の両立を目指してまいります。

 

・環境関連のサステナビリティKPI

①環境配慮強化型製品の売上高:82億円

 製品開発における環境配慮活動がもたらす財務的貢献効果を測る指標として、環境配慮強化型製品の売上高をKPIに設定しております。この目標額は、過去に発売した環境配慮強化型製品と、今後中期経営計画内で発売される新製品の中から環境配慮強化型製品と認定されうるものを抽出し、その売上高を想定しております。2026年3月期時点の環境配慮強化型製品売上高は35億円で、計画通り進捗しております。

 

②CO2排出量の削減率:35%(Scope1&2、2020年度3月期比)

 2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、CO2排出量削減率をKPIに設定しております。2026年3月期のCO2排出量は8,420t-CO2で、基準年である2020年度3月期の11,943t-CO2からの削減率は29.5%でした。2028年3月期に削減率35%を達成するために、社有車のハイブリッド化促進、グリーン電力導入促進、熱源の電力化などによる低排出量化促進などを計画しております。

 

CO2排出量削減率

 

2026年3月期

 

2027年3月期

(計画)

2028年3月期

(計画)

削減率

30%

31%

35%

実績

29.5%*

達成状況

*見込値。確定値は2026年9月以降Webサイトに公開予定。

https://www.idec.com/ja/sustainability/environment/management

 

③サプライヤーエンゲージメント率:80%(取引高比率)

 2026年3月期は、グローバル主要生産各拠点で上位サプライヤーにアンケートを実施して、サプライヤーの環境への取り組みの実態を把握し、協働していくつながりを開始いたしました。2027年3月期はアンケート結果の分析をもとに、上位サプライヤーとのサプライヤーエンゲージメント率50%到達を目標としております。

 

サプライヤーエンゲージメント率(グローバル)

 

2026年3月期

 

2027年3月期

(計画)

2028年3月期

(計画)

エンゲージメント率

25%

50%

80%

実績

35%

達成状況

 

■環境に配慮した製品開発

 IDECグループは1945年の創業以来、「省」の思想をもとに1982年に「Save all」を掲げ、環境に配慮した事業を展開してきました。2023年3月期には「環境配慮型製品開発手順書」を改訂し、製品開発プロセスの最初の段階から環境配慮を重視する手順で開発を行っております。

 手順書では省資源、省エネ向上、長寿命化など、IDEC独自の規準に基づいて環境配慮度合いを評価し、脱炭素を目指した製品開発を行っております。評価において貢献度の高い製品は「環境配慮強化型製品」に認定し、「ISO/JISQ14021(タイプⅡ)に準拠したIDECオリジナルのエコマークをカタログなどに貼付して、対象製品を開示しております。

 

環境配慮型製品の評価項目(抜粋)

省エネ向上(高効率)

製品の省エネ設計

省資材(材料)

使用材料の削減

省資材(包装、梱包材など)

梱包材の削減、ペーパレス・ラベルレス

省スペース、軽量化

従来品からの小形化・軽量化

省工数

生産効率向上

リサイクル

リサイクル可能な材料の採用

環境配慮材料(部品)の採用

構成部品・梱包材・運搬材への適用

製品解体の容易性

接着剤レス、ねじ削減

長寿命化

長寿命部品の採用、保守容易性

 

・環境配慮強化型製品の例

セーフティコントローラ「FS1B形」

 セーフティコントローラ「FS1B形」は、生産現場で使用頻度の高い24種類の回路パターン(安全認証取得済:TUV Rheinland)をあらかじめ搭載しております。お客さまが複雑なプログラムを行うことなく、容易に安全システムを構築でき、安全認証を得られることができます。

 

・環境配慮ポイント

①省資源&省スペース

 内部回路の見直しによる電子部品の削減を行い、製品重量を従来比15%低減いたしました。また、製品の幅寸法を削減することで省スペースも実現し、設置する設備の小型化にも貢献できます。

 

 

②製品解体の容易性

 お客さまが製品廃棄する際、リサイクルに配慮した分別廃棄を容易に行えるよう、ネジレスならびに接着剤を使用しない設計をしております。

 

■コミュニケーションと情報開示

・外部からの環境評価

 2025年11月にCDPが公表した「気候変動レポート2025」で、IDECグループは2023年から3連続「B」スコアと評価されました。

 事業戦略、CO2排出量削減の取り組み、ガバナンス、依存とインパクト、リスクと機会のプロセスなど多くの気候変動カテゴリーで、AまたはA-スコアを獲得した一方、第三者検証と目標カテゴリーで課題が残る結果となりました。

 2025年のウォーター分野は2024年と同じB-スコア、サプライヤーエンゲージメントはBスコアと、2024年のDスコアから大幅に向上いたしました。

 EcoVadis2026年の環境部門スコアは78点と、2025年から3ポイント向上いたしました。IDECグループ全体の総合得点は、これまでの最高である66点を獲得し、2年連続でブロンズメダルを受賞いたしました。

 より詳細な情報「EcoVadis表彰ページURL」は、以下をご覧ください。

 https://recognition.ecovadis.com/32CioXRx10u3rTOpYPRdvA

 

■循環型社会の実現

・環境負荷の低減

 IDECグループの生産拠点では、生産工程初期の成型過程で発生するプラスチック材料の端材を、破砕・粒状化して再利用するリグラインドや、プラスチック廃棄物の有価引き取りなど、プラスチック廃棄量削減と資源有効利用の取り組みを継続しております。2026年3月期は計8,341kgのプラスチック素材をリグラインドで再利用し、再生樹脂やシャツへの原材料として約40.8tのプラスチック廃棄物を売却いたしました。また、再生プラスチック、バイオマス混合プラスチックの導入や、製品以外の消費財では、バイオマス混合の包装材の活用なども進めております。

 産業廃棄物削減は2026年3月期からサステナビリティKPIではなく、重点課題としてグローバルで取り組みを継続しております。一般および産業廃棄物量は各生産拠点で削減目標を設定し、四半期ごとに目標達成状況を報告する仕組みを導入しております。過去3年間の数値は水や電気の使用量、再生可能エネルギー利用率などと合わせて非財務データとして公開しております。

 

・環境教育

 社内の環境教育に関しては、2026年3月期もイントラネットを活用して、「環境ワード」を掲載しております。また、2022年から実施している環境e-Learningは、日英版に加えて、蘇州・台湾現地の要望から簡体字版と繁体字版の運用拡大を開始いたしました。

 このように多くの社員が環境に対する関心を高めており、自己啓発に励んでおります。

蘇州和泉電気(左)とIDEC IZUMI TAIWAN(右)のグローバル環境マネジメント運営委員会メンバーによって翻訳された教材

 

■TNFDに沿った情報開示

 IDECの環境関連開示情報は、2024年からIFRS S2号(International Financial Reporting Standards Sustainability 2)に沿っていますが、ステークホルダーの要請は気候変動に加えて、生物多様性を始めとするTNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosure)にまで範囲が広がりつつあります。そこで、2026年3月期からTNFDフレームワークに沿った情報開示と、自然関連リスク機会の評価アプローチLEAP(Locate, Evaluate, Assess, Prepare)を活用した自然関連課題の特定と評価の準備を開始いたしました。LEAPを活用して、TNFDフレームワークの4項目である、ガバナンス、戦略、リスクとインパクトの管理、測定指標とターゲットに沿って情報を開示いたします。

①ガバナンス

 取締役会が気候変動、TNFDなどのサステナビリティに関する重要事項を監督しております。

 より詳細な情報については、以下をご覧ください。

 https://www.idec.com/ja/sustainability/environment/disclosure

 

②戦略

 IDECグループの事業活動と自然への依存とインパクトの関係を整理するために、外部ツール「ENCORE」を使用してマテリアリティ評価を行いました。ENCOREが示す、依存とインパクト項目は産業共通の一般的な内容であり、IDECグループ固有の事業活動の特徴を反映させた分析結果とならない項目もありました。そのため、マテリアリティ評価結果の中から、IDECグループの事業活動と関連が大きい項目として、依存では水供給、インパクトではCO2排出と有害汚染物質の水および土壌への排出を選定いたしました。ENCOREの分析結果をもとに、IDECの事業活動が依存する自然資本として、水、土壌、生物多様性、鉱物の4つを選定いたしました。

 

③リスクとインパクトの管理

 自然関連のリスクと機会の検討にあたり、日本、中国、台湾、タイで、リスク・機会のワークショップを実施いたしました。ワークショップではIDECグループの事業活動に関連する自然資本への依存と影響、リスクと機会について議論いたしました。

 カテゴリー別リスクと機会表はWebサイトをご参照ください。

 https://www.idec.com/ja/sustainability/environment/disclosure

 

自然資本別の主要な依存

自然資本

主な依存内容

水資源

・製造工程での水使用(成型冷却、洗浄、化学プロセス他)

・生活用水としての水使用

土壌

・工場、オフィスに使用している土地利用
・敷地内の植栽の土壌、事業所の植栽の土壌

生物多様性

・木材資材、有毒物質使用や廃棄による生物多様性への影響

・パルプ生産による森林消費、水の大量使用、排水による影響

金属鉱物資源

・サプライチェーン上の金属・鉱物資源への依存

・電気絶縁材・樹脂(石油由来)への依存

大気

・太陽光発電のための太陽光の使用

陸地の地質構造

・プラスチック系梱包材使用による石油消費

海洋の地質構造

・サプライチェーン上の海洋輸送、港湾利用、 海底資源採掘

 

④測定指標とターゲット

 IDECの事業活動で測定可能な指標として、TNFDが定義する測定指標の中から4項目を選定いたしました。今後は、各指標の目標値設定と計測を進める予定です。

 

指標

測定指標

IDECに該当する要素

GHG排出量

ISSBのIFRS S2号「気候関連開示」を参照

CO2排出量

水不足の地位からの
取水量と消費量

水不足の地域からの取水量と消費量(m3)

水源の特定を含む

拠点別、全体の水消費量

 

カテゴリー

測定指標

IDECに該当する要素

リスク

自然関連のマイナスのインパクトにより当該年度に発生した多額の罰金、科料、訴訟の内容と金額

非財務指標

機会

自然に対して実証可能なプラスのインパクトをもたらす製品およびサービスからの収益の増加とその割合、ならびにそのインパクトについての説明

環境配慮強化型製品の売上高

 

■IFRSサステナビリティ開示基準S2号に沿った情報開示

①ガバナンス

 代表取締役社長が委員長を務める、サステナビリティ委員会の専門委員会である環境戦略委員会が中心となり、気候関連財務情報の開示に取り組んでおります。環境戦略委員会はさまざまな部門の社員で構成され、環境担当上席執行役員のもとで隔月開催されております。環境戦略委員会における決定事項は、サステナビリティ委員会で審議された後、経営会議に上程され報告承認を受け、その後取締役会で報告承認される体制になっております。サステナビリティKPIで設定された目標の進捗は隔月の会議で確認され、進捗が予定通りでない場合は対応策を検討いたします。

 グローバルのガバナンス体制として、2025年3月期からグローバル環境マネジメントシステム運営委員会を発足いたしました。IDEC本社、国内グループ会社、米国、蘇州、台湾、タイ、APEM各拠点(フランス、英国、チュニジア)の各拠点で構成しており、四半期ごとに運営委員会を開催しております。委員会では環境課題の進捗確認、廃棄物・環境対応資材・再生プラスチック導入などの情報共有や環境課題の議論などを行っております。

 

②戦略:a)気候レジリエンス

 世界エネルギー展望2025年(WEO2025)の主要シナリオからAPS(公表誓約シナリオ)が除外され、CPS(現行政策)が復活するなど、気候変動対策の足踏みが見られるものの、2026年3月期のIDECグループの選定シナリオは、2025年同様、移行リスクシナリオはWEO2025のSTEPS(2.6℃シナリオ)とNZE(1.5℃シナリオ)を、物理的リスクシナリオはIPCC第5次報告書のRCP2.6(2℃シナリオ)とRCP8.5(4℃シナリオ)を採用し、IDECグループの世界観想定時の参考にいたしました。

 

 戦略:b)気候変動のリスクと機会

 環境戦略委員会を中心に、環境情報開示のグローバルスタンダードの一つであるCDP質問書の気候関連リスクと機会項目を参考にしながら、IDECグループの見通しに合理的に影響を及ぼすと予想される、リスクと機会の洗い出しを行いました。「IFRS S2号「気候関連開示」の適用(に関する産業別ガイダンス)」で定義された産業別開示トピック(電気および電子機器)の適用可能性を参照・考慮しながら、移行リスク/物理的リスクの識別、短期~長期のいずれかの期間で合理的に発生することが予想される気候関連リスクと機会の影響、財務上の潜在的影響の特定、期間の定義を行いました。

 

③リスク管理

 環境戦略委員会で抽出した気候関連のリスクと機会の項目について、発生確率、影響の程度、財務上の潜在的影響額を検討し、リスクと機会のマップにまとめました。これまでは気候関連のリスクと機会の洗い出しを毎年行っていましたが、今後は気候関連と自然関連のリスク・機会の洗い出しを、それぞれ隔年ごとに行う予定です。

 抽出結果、およびマッピングにおいて重要と評価した気候関連のリスク項目は、IDECグループのリスクマップに統合して管理しております。さらにマテリアリティの自然資本に関わるリスクと機会にも反映させております。環境推進室では、特に環境に関わるリスク管理項目を年度ごとのリスク管理表に展開し、達成指標を定めて達成状況をリスクモニタリング部会に報告しております。

 

主要な気候変動リスク一覧

分類

項目

移行リスク

市場

① 原材料のコスト増加

技術

② 顧客や投資家の環境志向の高まり

③ 競合他社に対する既存・新製品の低排出/
  低炭素技術への移行の遅れ

規制

④ カーボンプライシングの動向

物理的リスク

緊急性/慢性

⑤ 自然災害と気温上昇

 

主要な気候変動機会一覧

分類

項目

リソースの効率

① R&Dおよび技術革新を通じた低排出商品や多彩な新製品や
  サービスの要求

② リソースの代替/多様化/新技術への移行

製品とサービス

③ 分散的エネルギー生成への移行とそれに伴う新市場の創設

 

④指標と目標

 IDECグループでは、2050年にカーボンニュートラルの実現を目指しており、CO2排出量の削減に向けて Scope1&2で2028年3月期までに35%、2031年3月期までに50%削減(いずれも2020年3月期比)をサステナビリティKPIとしております。2023年3月期より導入した内部炭素価格(ICP)については、2026年3月期と同じ14,000円/tで価格を設定いたしました。ICPが環境投資の意思決定に与えるインパクトはまだ十分なものではありませんが、環境戦略委員会を中心にICP活用のモデルケースをイントラネットで紹介することで、社内意識の向上を図っております。

 CO2をどれだけ少なくして効率的に利益を稼いだかを表す指標である炭素利益率(ROC)は、2024年3月期以降、営業利益率の減少に伴い減少傾向が続いていましたが、2026年3月期は、営業利益の増加に伴い、ROCも大幅に改善されました。

 2026年度3月期のScope2は売上高回復に伴い若干増加しましたが、CO2排出量原単位、Scope1、Scope3は2025年3月期より減少しました。2026年3月期の取り組みとして、竜野物流センターの自家発電設備が稼働を開始し、CO2排出量削減に貢献いたしました。

 今後も、グローバルでの太陽光発電設備の導入検討や排出係数の低い電力への切り替え、各工場での稼働率向上推進など、新サステナビリティKPI達成とCO2削減に向けて取り組んでまいります。

 

自社のCO2排出量推移(Scope1&2)

 

炭素利益率(ROC)推移

 

CO2排出量推移 IDEC(連結)       (排出量単位:t-CO2)

 

 

Scope1

Scope2

Scope3

上流

下流

2020年3月期

1,152

10,791

-

-

2021年3月期

948

11,390

-

-

2022年3月期

897

12,146

-

-

2023年3月期

925

10,373

214,010

870,694

2024年3月期

624

8,966

184,687

634,324

2025年3月期

634

7,921

173,512

579,758

2026年3月期

486

7,934

171,093

557,396

 

 

2030年の目指す姿

サステナビリティKPI

2026年3月期~

2028年3月期の目標

IDECグループの技術、製品を活用した顧客・社会の環境負荷低減への貢献

環境配慮強化型製品の売上高

82億円

自社における再生可能エネルギー活用などによるCO2排出量の削減

CO2排出量の削減率

(Scope1&2、2020年3月期比)

35%

ステークホルダーへの環境対応開示と協働活動の推進

サプライヤーエンゲージメント率

80%

 

 

(3)人的資本

①ガバナンス

■推進体制

 経営戦略企画部や人事総務部などを管掌する経営戦略企画本部において、経営戦略と人事戦略を一体的に立案し、長期ビジョンや中期経営計画、サステナビリティKPIの策定ならびに経営資源マネジメントを統括しております。米国やフランス拠点の担当者とも連携しながら、グローバルでの人材戦略を立案・推進し、重要事項は経営会議に上程して方針決定後、取締役会へ報告しております。

 直近では、組織の要である管理職層のマネジメント強化やグローバル化のための語学教育などの強化を図っております。

 

②戦略

■人材育成方針・社内環境整備方針

 IDECグループは、「世界中の人々の安全・安心・ウェルビーイングを実現すること」を私たちのパーパスとして定めるとともに、「Pioneer the new norm for a safer and sustainable world.(いつも、ずっと、みんなに新しい安心を)」というVisionを『The IDEC Way』で掲げ、全ての人々に幸福と安心をもたらし、より安全で持続可能な社会の実現を目指しております。

 IDECグループのVisionの実現に向けて、グローバルベースで事業をさらに発展させていくとともに、事業活動を通じてさまざまな社会課題の解決に貢献するため、多種多様な強みを持ち、能力を発揮できる人材や、情熱を持って自律的に未来を切り開ける、次世代を担う人材の採用・育成を重点テーマに定めております。今後もダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを積極的に推進し、さまざまな人材育成施策を実施してまいります。

 また、IDECグループは職場の安全と心身の健康を守るとともに、人権を尊重し、差別のない健全な職場環境の確保に取り組んでおります。

 

■企業理念の浸透・実践

 M&Aの推進などにより、現在連結社員数の約70%は日本以外の拠点となっており、企業理念である『The IDEC Way』の共有は、持続的な成長のために必要不可欠な要素となっております。

 具体的な取り組みとして、社内でのポスター掲示、イントラネットや社内報の活用、クレドカードの配布などを行うとともに、『The IDEC Way』に基づく役割定義とグレード定義した人事制度を採用し、人事評価との紐づけを行っております。

 理念の更なる浸透と実践を促すための取り組みとして、2026年3月期にCore Valuesに基づく改善提案制度に刷新いたしました。これらは2026年3月期から海外グループ会社からも応募を受け付ける体制に見直し、グループ理念の浸透を図っております。

 

■管理職登用のステップ

 課長職の登用には慎重なステップを設けています。以前から、ILCP(IDEC Leadership Challenge Program)と題した課長昇格前研修を実施し、外部研修だけでなく社外取締役による講義や未来予測ディスカッションなどを通して、課長職に求められる視野・視座・視点を磨く場を用意しておりました。2026年3月期は、さらに「研修前アセスメント」を実施し、課長候補者としての視座・課題解決力・周囲への影響力の内省を深める機会を新設いたしました。

 また、社内昇格試験において、必須としている英語力基準を引き上げるとともに、AIリテラシーの資格も必須としました。中期経営計画に基づき、課長職のスキルセットを見直しております。

 さらに、課長登用後も組織マネジメントや人材マネジメントについて、上司・同僚・部下など多方面からフィードバックを得る機会を隔年で設けております。常に内省の機会を提供し、マネジメント力の強化につなげております。

■語学留学の拡充

 英語コーチングおよび留学費用の60~70%を会社が負担する、語学留学スキームの運用を2026年3月期から本格的に開始いたしました。初年度は11名がノミネートし、5名を留学させました。留学した全員が海外赴任必須レベルの英語力に達し、ネイティブレベルまで英語力を伸ばした者もいます。毎年、語学留学を実施することで英語でビジネスを進められる人材を厚くしてまいります。

 

■タレントマネジメントシステムの導入計画

 現在、日本国内にとどまっている人材情報の見える化をグローバルに拡充することを目指し、タレントマネジメントシステムの導入計画を進めております。2026年3月期はIT部門とHR部門とでシステム選定を行い、2027年3月期から各社HR部門と連携してシステム導入を進めます。2028年3月期には、タレントマネジメントシステムを用いてグローバルなサクセッションプランを運用していく予定です。

 

■女性登用施策

 IDEC単体では、2028年3月期までに女性管理職比率12%以上をKPIとし、女性選抜研修の開催や女性上級管理職層の積極採用に取り組んでおります。

 2026年3月には、社外取締役をお迎えして係長クラス以上の女性社員対象に「リーダーシップ・セッション」を開催いたしました。当セッションは、参加者が自身のマネジメントスタイルを振り返りながら、自身に期待されている役割や今後のキャリアを改めて考えるきっかけづくりとして企画いたしました。受講者

からは、「自分の強みを再確認できた」、「自分らしさを大切にしながらリーダーシップを発揮したい」といった声がありました。

 引き続き、ジェンダーにとらわれずリーダーシップを発揮できる職場風土を醸成するとともに、能力開発や積極登用を並行して行うことで、イノベーションをさらに生み出せる組織づくりに取り組んでまいります。

 

■男性育休取得率

 IDEC単体では、2026年4月から育児・介護休業取得者に対する引継ぎ者手当を創設し、休みやすい環境整備を進めております。

 

 

③リスク管理

 サステナビリティ全般に関するリスクと機会は、マテリアリティ分析において、ステークホルダーの重要度と事業としての重要度の両軸でマッピングしており、「企業基盤」に関わるリスクについては、当社グループのリスクマップに統合して管理しております。

 リスクの重要項目については、リスクマネジメント委員会において評価、管理しており、年に1回経営戦略企画本部でリスクと機会を見直すこととしております。

 

④指標及び目標

 当社グループのマテリアリティとして、価値創造を促進する経営構造の整備、組織風土の醸成及び人材の育成を掲げており、2030年の目指す姿を定義しております。

 当社グループは複数の地域において事業を展開しており、人事制度、評価・報酬体系等が各グループ会社の事業特性や市場環境に応じて個別に設計されております。このため、人的資本に関する指標について連結ベースで統一的かつ比較可能な形で目標を設定することが現時点では困難であります。今後は、グループ横断での指標の整備について検討を進めつつ、現時点では主要事業会社単位で目標設定および進捗管理を行っております。

 

2030年の目指す姿

サステナビリティKPI

2026年3月期~

2028年3月期の目標

•『The IDEC Way』の浸透と、働きがいのある魅力的な職場づくりによる企業の活性化

•ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進と、人的資本への投資拡大による、新たな価値やイノベーションを創造する人材の育成

男性の育児休業取得率
(IDEC単体)

障がい者雇用率(国内)

女性管理職比率(IDEC単体)

1人当たりの平均研修費用
(IDEC単体)

100%

 

3%以上

12%以上

70千円以上