2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 業績の変動要因

当社グループは、自動車用点火コイル・電装品の自動車機器、太陽光発電用パワーコンディショナ・蓄電ハイブリッドシステム等のエネルギーソリューション機器、家庭向け冷暖房・給湯用着火装置、トランス・リアクタ―等の電子デバイス及び電子制御機器の製造・販売を主な事業内容としております。

自動車機器事業は、世界的な自動車業界のグローバル化の進展に伴う価格競争の激化、自動車の電子化の進展に伴う新製品開発コスト増等により、製品競争力の格差に大きな変動の可能性を内包しております。より有力なメーカーの主力商品に採用されることが、当社グループの業績に直接影響いたします。また、エネルギーソリューション事業は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度を始めとする政府のエネルギー政策全般及び当社グループが生産する太陽光発電関連製品の販売先や電気事業者の動向等によっては、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。電子機器事業は、成熟製品分野を多く占める家庭向け電子制御機器で、円安時における海外拠点から国内拠点への生産回帰、付加価値の高い新分野における新製品の開発が鍵となります。

当社グループ製品の主要原材料である金属・樹脂・部品等に関して、安定的かつ安価に調達できるよう努めておりますが、市況変動による価格の高騰・品不足、いくつかの原材料等については特定仕入先の生産能力の不足による納入遅延、取引先が製造した製品の欠陥、経営状態の悪化、不慮の事故、自然災害等により、当社グループの原価の上昇、生産遅延・停止がおこり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、収益力確保に向け、部品・生産設備の内製化等による合理化・生産性向上、高付加価値新製品の開発に全力で取り組んでおり、最大限の努力を傾注いたします。それにもかかわらず、想定外の事由により達成できなかった場合は、業績に影響が出る可能性があります。

 

(2) 特定の取引先への集中等

当社グループにおいて、売上高に占める上位10社グループの比率は59.6%となっております。特定顧客への依存度を引き下げるべく顧客基盤の拡充に努めておりますが、主要顧客の業績、顧客の海外生産シフト等生産政策の変更等により、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(3) 海外での事業拡大に伴うリスク

当社グループは、顧客のグローバル化に対応するため海外事業を積極的に展開しており、政治・経済情勢の変動、社会環境、法制・税制の変更、人材確保の困難等、海外拠点特有のリスク要因があります。

 

(4) 為替変動リスク

当連結会計年度の海外売上高比率は56.6%であり、外貨建て取引や外貨建て資産の評価替えに伴う一定の為替変動リスクが存在しています。為替変動リスクに対応するため、短期的には為替先物予約の活用、中長期的には現地調達体制の整備を進めておりますが、現時点でこのリスクを完全に回避することは困難であり、為替相場の変動が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(5) 災害等による影響

当社グループは生産設備の定期的点検等を通して生産力の低下を最小限に抑制するよう努力しておりますが、自然災害による火災・電力供給等の中断による影響を完全に防止又は軽減することができるという保証はありません。予期せぬ自然災害の発生により生産活動が中断し、結果として当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、ロシアによるウクライナ侵攻が現在も継続しており、新たに、中東問題という地政学リスクも高まっています。当社グループでは当該地域への拠点展開や直接投資はございませんが、米国、インド、中国等での生産拠点の操業やサプライチェーンに影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

(6) 法的規制

当社グループ各社は、知的財産権の保護に関する規制、環境規制、商取引、投資又は輸出入、公正競争、労働、租税等にかかる所在国・地域の各種法令諸規制の適用を受けております。これらの法令諸規則又はその運用にかかる変更は、当社グループの事業活動への制約、法令遵守対応にかかる費用又は法令諸規則違反による当社グループへの過料賦課等によって、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、2013年7月に当社顧客への一部自動車部品(点火コイル)の販売に関して米国独占禁止法に違反したとして米国司法省との間で司法取引契約を締結しております。当該違反行為に関連して、一部顧客と協議をすすめた結果、和解が成立し、2017年3月期において計上した訴訟損失引当金796百万円の支払いが完了しております。なお、2022年3月期で特別損失で計上した和解金74百万円の支払いをもって、今回の訴訟関連の費用は終結したと判断しております。

 

(7) 知財競争

当社グループは、独自の技術開発と生産工程の創出に最重点をおいておりますが、海外進出に伴い、知的財産権の侵害を受けるおそれは益々増大しています。また、顧客と市場ニーズに応えてシステム技術を開発するに当たり、全ての技術を当社でカバーしえない場合は、他社との協業等によりそのリスクを回避する所存であります。

 

(8) 製品品質の不具合

当社グループは「お客様要求品質第一に徹することで、世界に冠たる製造業のお客様を通じて世の中に安全・安心・感動を届け続ける。」という品質方針に基づいて、顧客に喜ばれる品質・価格・納期の実現に徹底して努力しております。しかし、全ての製品について不具合がなく、将来にリコールが発生しないという保証はありません。予期せぬ品質の不具合の発生が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(9) 財務制限条項による影響

当社グループが締結している借入金契約には、財務制限条項が付されているものがあり、この条項に抵触し、一括返済を求められた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

主要なリスクの分類とその対応策

リスク区分

内容

リスクへの対応策

市場動向

(自動車機器事業)

・急速な自動車の電動化シフトに伴う点火コイル市場の衰退

 

・グローバル化の進展に伴う価格競争激化

・各国の環境規制の強化

 

 

 

 

(エネルギーソリューション事業)

・エネルギー政策、規制の見直し

・非化石由来のエネルギー需要の進展

・市場ニーズの高まりに伴う競争激化

 

 

 

 

 

(電子機器事業)

・グローバルに拡大するインバータエアコン需要により海外拠点の生産再編

 

 

・主要製品である点火コイルの市場でグローバルNo.1を目指す。(市場淘汰の中残存者利益を確保する)

・次世代燃料点火燃焼技術開発推進

 

・お客様要求仕様に対応し、マルチ点火、エネルギー変換効率の追求など技術の深化に拠るCO2削減を実現

・中国・インド・インドネシア等、海外拠点の生産拡大

 

・レジリエンス(災害等危機対応)需要拡大を背景に蓄電システムへのニーズに対応

・増産体制の確保、当社のハイブリッド蓄電機能により低価格・高付加価値なシステムの提供

「車と家をつなぐ技術開発」V2H・V2Gへの取り組み強化

 

・メキシコ・インド南部での生産拠点の確保

・ダイヤゼブラ電機の独自技術の統合・プラットフォーム化

原材料の調達

・原油・金属(鉄・銅)等の国際価格の高騰

・特定仕入先の生産能力の低下

・半導体等の部品の供給不足

 

・需要と供給の変動に伴う物流の混乱

 

・原価構造の見直しと最終製品への価格転嫁

・グローバル調達による物流費の低減

・半導体等の専用部品でのセカンドソースの確保

・サプライチェーン再構築における強靭化

海外展開

・為替リスク

・海外拠点の脆弱な経営基盤によるトラブル

・労働安全に関する現地法違反

 

・生産品目の最適地生産を再検討

・グループで「為替リスク管理」を徹底

 

・海外拠点のコンプライアンス教育の推進

自然災害

・災害・疫病による社会混乱

・施設への被害

 

・サプライチェーン停滞

 

・BCP策定

・リモートワークの推進等感染症対策の徹底

・定期的生産能力の点検

・仕入先様との強固な信頼関係構築
  仕入先様とで組織するAll Diamonds強化

コンプライアンス

(法的規制)

・知財・各種商取引・輸出入・公正競争等の規制

・環境課題への取り組み要請

 

 

 

 

 

 

 

 

(ガバナンス)

・リソースの不足(人材流出)

・ハラスメント

 

 

・契約時の徹底的な検証

 

・コンプライアンスの意識を社員全員で共有

2050年までにグローバルでCO2排出ゼロの「ものづくり」を目指すべく、再生可能エネルギーの導入や新工法等による省エネルギーの取り組みを行うと共に、当社グループのサプライチェーンについてもCO2排出削減に向けた活動を推進 

 

・継続的な採用、教育の充実、労働環境の最適化

「仕事と家庭生活を両立できる雇用環境の整備、労働時間の適正化や法令に基づく適正な労務管理、ハラスメント予防に関する社員教育の徹底、内部通報制度の設置などの施策を実行」

製造物責任

・リコールの発生

・顧客からの品質不具合に関する請求

 

 

・品質基本方針「お客様要求品質第一に徹することで、世界に冠たる製造業のお客様を通じて世の中に安全・安心・感動を届け続ける。」 の徹底

・トップマネジメントによる異常発生時の即時対応、並びに継続的な品質改善活動を通したリスク源への徹底した取り組み

 

 

配当政策

 

3 【配当政策】

株主の皆様への還元については、長期的視点に立って企業体質の一層の強化及び将来の成長分野への投資のために必要な内部留保を確保し、安定配当の維持と向上を図ります。

この方針に則して、剰余金の配当は、連結当期純利益に対する2025年度における配当性向25%以上を目標とし、当事業年度以降もそれに向かって利益還元を実施したいと考えております。また、自己株式の取得についても、株主に対する有効な利益還元の一つと考えており、株価の動向や財務状況等を考慮しながら適切に対応してまいります。

当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本としております。

これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

当事業年度の配当につきましては、今後の経営環境の見通し等から、引き続き内部留保の確保が経営の最優先課題と位置づけ取り組んでおりますが、将来に向けた一定の利益を確保できる体制が整ったこと、さらに今後の業績及び事業展開等を総合的に検討した結果、株主の皆様への還元を図るべく、当期の期末配当につきましては、1株につき12.5円の配当を実施することを決定しました。

当社は、「取締役会の決議により毎年9月30日を基準日として中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。

基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

 

決議年月日

株式の種類

配当金の総額

(百万円)

株当たりの配当額

(円)

2024年6月27日

定時株主総会

普通株式

113

12.5

 

(注) 2024年6月27日株主総会決議における「配当金の総額」には、業績連動型株式報酬制度等に係る信託財産として、信託銀行が基準日時点で保有していた当社株式720,000株に対する配当金9百万円が含まれております。