2024年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

ITサービス 社会インフラ その他
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
ITサービス 1,961,497 55.5 208,064 68.9 10.6
社会インフラ 1,089,913 30.8 75,359 25.0 6.9
その他 484,150 13.7 18,449 6.1 3.8

事業内容

3【事業の内容】

 当社および連結子会社を中心とする関係会社で構成されるNECグループの主たる事業は、ITサービス事業および社会インフラ事業の2つの事業です。各関係会社は、設計、開発、製造および販売、サービスの提供などそれぞれの役割に応じ、各事業の一部を分担しています。

 なお、当社は当連結会計年度よりセグメントを変更しています。

 それぞれの事業の主な内容は次のとおりです。

(ITサービス事業)

 システム・インテグレーション(システム構築、コンサルティング)、サポート(保守)、アウトソーシング・クラウドサービス、システム機器およびソフトウェア・サービスなどの提供を行っています。

(社会インフラ事業)

 ネットワークインフラ(コアネットワーク、携帯電話基地局、光伝送システム、海洋システム)、通信事業者向けソフトウェア・サービス(OSS・BSS)(*)ならびに航空宇宙・防衛領域におけるシステム機器、システム・インテグレーション(システム構築、コンサルティング)およびサポート(保守)などの提供を行っています。

 

* OSS:Operation Support System、BSS:Business Support System

 

 なお、上記のほかに、システム機器の開発・製造・販売などの事業を「その他」として表示しています。

NECグループの連結子会社(254社)をセグメントごとに記載すると概ね次のとおりです。

 

 

2024年3月31日現在

 

セグメント

子会社

ITサービス事業

NECフィールディング㈱

NECソリューションイノベータ㈱

アビームコンサルティング㈱

日本電気通信システム㈱

NECネクサソリューションズ㈱

NECファシリティーズ㈱

コメット・ホールディング社[オランダ]

ガーデン・プライベート・ホールディングス社[英国]

ソレイユ社[デンマーク] 等

社会インフラ事業

NECネッツエスアイ㈱

ネットクラッカー・テクノロジー社[米国] 等

その他

NECプラットフォームズ㈱

NECコーポレーション・オブ・アメリカ社[米国]

NECヨーロッパ社[英国]

NECアジア・パシフィック社[シンガポール]

日電(中国)有限公司[中国]

NECラテン・アメリカ社[ブラジル] 等

 

(注)1 金融商品取引所に株式を公開している子会社

東京証券取引所プライム市場…NECネッツエスアイ㈱

2 純粋持株会社

コメット・ホールディング社

主要な子会社はソフトウェアの開発およびITサービスの提供を主要な事業内容とする子会社を傘下に保有するアバロク・グループ社

ガーデン・プライベート・ホールディングス社

主要な子会社はソフトウェアの開発およびITサービスの提供を主要な事業内容とするNECソフトウェア・ソリューションズ・ユーケー社

ソレイユ社

主要な子会社はソフトウェアの開発およびITサービスの提供を主要な事業内容とするケーエムディ社

 

 

 

 なお、NECグループの事業運営における当社および関係会社の事業系統図を示すと概ね次のとおりです。

2024年3月31日現在

 

 

 

(注)矢印は、製品の設計、開発、製造および販売ならびにサービスの提供関係を示しています。

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

※当連結会計年度から、セグメントを変更しています。

また、前連結会計年度との比較数値については、前連結会計年度の数値を新たなセグメントに組み替えて表示しています。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度におけるNECグループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 財政状態および経営成績の状況

当連結会計年度の経済環境は、欧米を中心に物価水準の高止まりとこれまでの金融引き締め政策などの影響により、世界経済における改善ペースが緩やかなものとなりました。また、日本経済においても、物価高などの影響により、民間需要を中心に改善ペースが緩やかなものとなりました。

このような事業環境のもと、NECグループは、2021年5月に発表した「2025中期経営計画」に基づき、Purpose・戦略・文化の一体的な取り組みを経営方針に掲げて、事業活動を行いました。

「戦略」においては、2023年4月から事業セグメントを「ITサービス」および「社会インフラ」に変更し、各事業を推進しています。

「ITサービス」のうち、国内ITサービス事業では、継続的にIT投資が旺盛だったことに加えて、DX(デジタルトランスフォーメーション)の領域における需要の高まりを背景に、NECデジタルプラットフォームに関するビジネスとコンサル起点ビジネスが拡大しました。NECデジタルプラットフォームについては、特に成長が見込まれる生成AIの事業戦略において、2023年7月に当社独自の生成AIの開発・提供開始を発表した後、2023年11月に相模原市と共同検証を開始しました。そして、2023年12月には、これに生成AI「cotomi(コトミ)」という名称を付けたうえで、更なる性能の強化・拡充を発表しました。コンサル起点ビジネスについては、当社子会社であるアビームコンサルティング㈱を中心に、お客様の産業・経営アジェンダに対応した変革テーマの創出と変革ロードマップを策定するなど価値共創ビジネスを拡大しました。また、DX領域の技術者も2020年度末時点の2倍に相当する1万人超を確保するなど人材も強化しました。海外ITサービス事業(デジタル・ガバメントおよびデジタル・ファイナンス)は、2023年6月に当社子会社であるアバロク社がアメリカの資産運用会社であるブラックロック社と戦略的パートナーシップを締結しました。このパートナーシップによりクライアントへの更なる付加価値の提供が可能になりました。

「社会インフラ」のうち、テレコムサービス事業では、グローバル5Gに関して、国内5G基地局を中心に商用商談の開拓と、ソフトウェア・サービスを中心とした高付加価値事業へのシフトを進め、㈱NTTドコモの5G商用サービス向け仮想化基地局(vRAN)ベンダーに選定されました。また、海外5G領域においては、コストコントロールを徹底することで財務の健全化をはかったことなどにより、収益性が改善しました。エアロスペース・ナショナルセキュリティ領域では、ナショナルセキュリティへの意識の高まりを背景とした日本政府の防衛予算の増加に伴い、案件の獲得が増加しており今後の成長が期待されます。

次の柱となる新規事業開発にも取り組んでおり、ヘルスケア・ライフサイエンス事業では、バイオテクノロジー企業であるフランスのトランスジーン社およびAIによる分子・免疫プロファイリングのリーディング企業であるアメリカのボストンジーン社の2社と、頭頸部がんに対する個別化ネオアンチゲンがんワクチンの第I/II相臨床試験に向けた協業を拡大しました。また、デジタルヘルスケアサービスである「フォーネスビジュアス(FonesVisuas)」においても、「検査日から5年以内の認知症の発症リスク予測」、「4年以内の慢性腎不全の発症リスク予測」および「『たばこの影響』による現在の体の状態」の3つを新たな検査項目として追加したうえで、提供を開始しました。農業領域では、住友商事㈱と協力してAIを用いて農作物栽培を支援するサービス「CropScope(クロップスコープ)」を2024年中にグローバルに展開し、テクノロジーで食料の安定生産を支援していきます。

コーポレート・ガバナンスについては、取締役会の監督機能の強化と、取締役会から執行役への大幅な権限委譲による意思決定と事業遂行の迅速化を目的とし、指名委員会等設置会社へと移行しました。また、2024年3月には上場子会社であった日本航空電子工業㈱の株式を一部売却し、非連結化しました。

「文化」においては、「2025中期経営計画」に基づいた施策として、主に「『ジョブ型人材マネジメント』への移行に向けた人事制度改定」、「『Inclusion & Diversity』の加速」および「『経営インフラ』の高度化」を実行しました。「ジョブ型人材マネジメント」については、2024年4月から全社員に導入しましたが、これに先駆けて2023年度から統括部長以上に導入し、会社としての「適時適所適材」を進めるとともに、社員のキャリア自律をサポートする仕組みと環境の下地を構築しました。「Inclusion & Diversity」については、多様な人材が活躍する会社を目指して、キャリア採用者や女性・外国人社員の登用を進めており、特に役員における女性・外国人の割合が2年間で約10ポイント向上しました(*)。「経営インフラ」については、フラッグシップとして社内基幹システムを刷新し、2023年度から順次機能を稼働させました。これにより、会社全体の商談プロセスを標準化・システム化し、商談段階でのオペレーションを改善しました。また、NECグループが世界に誇る生体認証技術やデジタルIDを活用したオフィス入退場、業務用パソコンへのログイン、社内売店での決済などに加え、各種業務での生成AIの活用などにより、当社自身をゼロ番目のクライアントとして最先端のテクノロジーを実践する「クライアントゼロ」の考え方のもと、当社が先んじて課題に取り組み変革を推進しています。また、そこで得た経験をリファレンスとしてお客様や社会に提供したいと考えています。

「NEC 2030VISION」で示した未来の社会像の実現に向けて自らその構想を発信し、ステークホルダーとともに新たな価値の創造と社会への実装を目指すソートリーダーシップ活動として、スイスで行われたダボス会議への参加や、NECグループのシンクタンクである㈱国際社会経済研究所の体制強化、NECグループの注力領域に関するホワイトペーパーの発行などを行い、未来の共感創りの加速と成長事業の社会実装への貢献を推進しました。

これらの取り組みに加え、経営幹部と社員との継続的なコミュニケーションを実施したことなどにより、「2025中期経営計画」で指標に掲げたエンゲージメントスコアが、2020年度の25%から39%へと改善しました。なお、「2025中期経営計画」では、エンゲージメントスコアを50%まで上げることを目標としており、これは概ねグローバル上位25パーセンタイルに該当します。

このような経営環境のもと、当連結会計年度の売上収益は3兆4,773億円(前連結会計年度比5.0%増)、営業利益は1,880億円の利益(同176億円増加)、調整後営業利益は2,236億円の利益(同180億円増加)、Non-GAAP営業利益は2,276億円の利益(同305億円増加)、税引前利益は1,850億円の利益(同173億円増加)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,495億円の利益(同350億円増加)、親会社の所有者に帰属するNon-GAAP当期利益は1,778億円の利益(同450億円増加)となりました。また、当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フロー(「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」の合計額)は、1,952億円の収入となりました。当連結会計年度末の有利子負債(短期借入金、コマーシャル・ペーパー、1年内返済予定の長期借入金、1年内償還予定の社債、社債、長期借入金およびリース負債を合計したもの)残高は、前連結会計年度末に比べ598億円減少し、5,486億円となり、デット・エクイティ・レシオ(D/Eレシオ、自己資本(「資本合計」から「非支配持分」を控除したもの)に対する有利子負債の割合)は、0.29倍(前連結会計年度末比0.08ポイント改善)となりました。なお、有利子負債残高から現金及び現金同等物の残高を控除した有利子負債残高(NETベース)は、前連結会計年度末に比べ1,169億円減少の722億円となり、デット・エクイティ・レシオ(NETベース)は0.04倍(前連結会計年度末比0.08ポイント改善)となりました。

 

* 2021年4月1日時点の取締役、監査役および執行役員に占める女性・外国人の割合と2023年7月1日時点の取締役、執行役、Corporate SEVP、Corporate EVPおよびCorporate SVPに占める女性・外国人の割合を比較しています。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、2,712億円の収入で、前連結会計年度に比べ1,191億円増加しました。これは運転資金の改善や税引前利益が増加したことなどによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、760億円の支出で、前連結会計年度に比べ264億円支出額が増加しました。これは有形固定資産の取得の増加などによるものです。

この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは1,952億円の収入となり、前連結会計年度に比べ927億円増加しました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、子会社において償還オプション付優先株式の発行による収入などがあったものの、リース負債の返済や長期借入金の返済による支出などにより、1,555億円の支出となりました。

現金及び現金同等物に係る為替変動による影響は、173億円の増加となりました。

上記の結果、現金及び現金同等物は、4,765億円となり、前連結会計年度末に比べ570億円増加しました。

 

③ 生産、受注および販売の実績

NECグループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模、受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。

このため、生産、受注および販売の状況については、「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」におけるセグメントの業績に関連づけて示しています。

なお、外部顧客への売上収益のうち、連結損益計算書の売上収益の10%以上を占める相手先がないため、主要な販売先に関する記載を省略しています。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点によるNECグループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、NECグループが判断したものです。連結財務諸表の作成には、期末日における資産、負債、偶発資産および偶発債務ならびに会計期間における収益および費用に影響を与えるような見積りや仮定を必要とします。結果として、このような見積りと実績が異なる場合があります。

 

① 当社の概要(主な事業内容)および経営成績に重要な影響を与える要因

NECグループの売上は、2つの主要なセグメントであるITサービス事業、社会インフラ事業から生じます。

各セグメントの製品およびサービス等の概要は、「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載のとおりです。

NECグループの各セグメントの業績は、景気動向およびIT投資の動向や通信事業者の投資動向等に左右されます。

 

経営成績に重要な影響を与えるその他の要因につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

② 重要性がある会計方針および見積り

経営陣は、次の重要性がある会計方針の適用における見積りや仮定が連結財務諸表に重要な影響を与えると考えています。

 

重要性がある会計方針および見積りにつきましては、「第一部 企業情報 第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」と「第一部 企業情報 第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。

 

③ 当連結会計年度の経営成績の分析

当連結会計年度の売上収益は、3兆4,773億円と前連結会計年度に比べ1,642億円(5.0%)増加しました。これは、ITサービス事業および社会インフラ事業が増収となったことによるものです。

収益面につきましては、営業利益は、前連結会計年度に比べ176億円増加し、1,880億円の利益となりました。これは、売上収益の増加などによるものです。また、調整後営業利益は、前連結会計年度に比べ180億円増加し、2,236億円の利益となり、Non-GAAP営業利益は、前連結会計年度に比べ305億円増加し、2,276億円の利益となりました。

税引前利益は、営業利益が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ173億円増加し、1,850億円の利益となりました。

親会社の所有者に帰属する当期利益は、税引前利益が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ350億円増加し、1,495億円の利益となりました。また、親会社の所有者に帰属するNon-GAAP当期利益は、前連結会計年度に比べ450億円増加し、1,778億円の利益となりました。

セグメント別実績については次のとおりです。なお、各セグメント別の売上収益については、外部顧客に対する売上収益を記載しています。

 

a.ITサービス事業

売上収益

1兆9,151億円

(前連結会計年度比     9.1%増)

調整後営業利益

2,081億円

(    同     401億円増加)

 

ITサービス事業の売上収益は、国内の企業向けおよび官公庁向けが好調に推移したことなどにより、前連結会計年度に比べ1,602億円(9.1%)増加し、1兆9,151億円となりました。

調整後営業利益は、売上の増加に加え、システム構築領域の収益性向上などにより、前連結会計年度に比べ401億円増加し、2,081億円の利益となりました。

 

b.社会インフラ事業

売上収益

1兆840億円

(前連結会計年度比     2.1%増)

調整後営業利益

754億円

(    同     16億円増加)

 

社会インフラ事業の売上収益は、防衛向けが増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ218億円(2.1%)増加し、1兆840億円となりました。

調整後営業利益は、通信事業者向けで不採算案件や棚卸資産の評価引当など一過性の費用を計上したものの、売上の増加に加え、5G事業の収益性改善などにより、前連結会計年度に比べ16億円増加し、754億円の利益となりました。

 

c.その他

売上収益

4,781億円

(前連結会計年度比     3.6%減)

調整後営業利益

184億円

(    同     54億円減少)

 

その他の売上収益は、前連結会計年度に比べ177億円(3.6%)減少し、4,781億円となりました。

調整後営業利益は、前連結会計年度に比べ54億円減少し、184億円の利益となりました。

 

財政状態につきましては、当連結会計年度末の総資産は4兆2,275億円と、前連結会計年度末に比べ2,435億円増加しました。流動資産は、営業債権及びその他の債権や契約資産が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ1,459億円増加し、2兆1,418億円となりました。非流動資産は、その他の非流動資産の増加や為替変動などによるのれんの増加などにより、前連結会計年度末に比べ976億円増加し、2兆857億円となりました。

 

負債は、2兆1,380億円と前連結会計年度末に比べ667億円増加しました。これは、営業債務及びその他の債務や契約負債などが増加したことなどによるものです。有利子負債残高は、前連結会計年度末に比べ598億円減少の5,486億円となり、デット・エクイティ・レシオは0.29倍(前連結会計年度末比0.08ポイント改善)となりました。また、有利子負債残高から現金及び現金同等物の残高を控除した有利子負債残高(NETベース)は、前連結会計年度末に比べ1,169億円減少の722億円となり、デット・エクイティ・レシオ(NETベース)は、0.04倍(前連結会計年度末比0.08ポイント改善)となりました。

 

資本は、配当金の支払があったものの、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上に加え、為替変動に伴う在外営業活動体の換算差額の増加や、確定給付制度の再測定の増加など、その他の資本の構成要素が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ1,768億円増加し、2兆895億円となりました。

 

この結果、親会社の所有者に帰属する持分は1兆9,156億円となり、親会社所有者帰属持分比率は45.3%(前連結会計年度末比4.6ポイント改善)となりました。

 

④ 流動性と資金の源泉

NECグループは、手許流動性、すなわち、現金及び現金同等物と複数の金融機関との間で締結したコミットメントライン契約の未使用額との合計額を今後の事業活動のための適切な水準に維持することを財務活動の重要な方針としています。当連結会計年度末は、現金及び現金同等物4,765億円、コミットメントライン未使用枠2,380億円、合計7,145億円の手許流動性を確保し、必要な流動性水準を維持しました。なお、現金及び現金同等物は主に円貨であり、その他は米ドルやユーロなどの外国通貨です。

また、NECグループは、短期・長期の資金需要を満たすのに十分な調達の枠を維持しています。まず短期資金調達では、その多くを国内コマーシャル・ペーパーの機動的な発行で賄っており、5,000億円の発行枠を維持しています。さらに、不測の短期資金需要の発生やコマーシャル・ペーパーによる調達が不安定になった場合の備えとして、コミットメントライン枠計2,380億円を維持し、常時金融機関からの借入れが可能な体制を敷いています。一方、長期資金調達では、国内普通社債の発行枠2,600億円を維持しています。

負債構成の考え方に関しては、必要資金の安定的な確保の観点から、十分な長期資金の確保、およびバランスのとれた直接・間接調達比率の維持を当面の基本方針としており、その状況を示すと次のとおりです。

 

 

前連結会計年度末

当連結会計年度末

長期資金調達比率 *1

70.8%

75.0%

直接調達比率 *2

38.5%

42.7%

*1 長期資金調達比率は、社債、長期借入金およびその他(1年超のリース債務)の合計を有利子負債で除して計算したものです。

*2 直接調達比率は、社債(1年以内償還予定を含む)およびコマーシャル・ペーパーの合計を有利子負債で除して計算したものです。

 

(3)キャッシュ・フローの状況について

キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。

 

(4)経営戦略と今後の方針について

経営戦略と今後の方針につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

 

 

セグメント情報

6. 事業セグメント

(1)報告セグメントの概要

 当社グループには、「ITサービス事業」および「社会インフラ事業」の2つの事業があり、各事業を報告セグメントとしています。事業セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、かつ、当社グループの最高経営意思決定者である当社の取締役代表執行役社長兼CEOが経営資源の配分の決定および業績を評価するために定期的に評価を行う構成単位として定義されます。当社グループが展開する様々な事業は、主な製品とサービスに基づいて次の2つの事業セグメントおよびその他の事業活動に分類されます。

 それぞれの報告セグメントの内容は次のとおりです。

 

(ITサービス事業)

 システム・インテグレーション(システム構築、コンサルティング)、サポート(保守)、アウトソーシング・クラウドサービス、システム機器およびソフトウェア・サービスなどの提供を行っています。

 

(社会インフラ事業)

 ネットワークインフラ(コアネットワーク、携帯電話基地局、光伝送システム、海洋システム)、通信事業者向けソフトウェア・サービス(OSS・BSS)(*)ならびに航空宇宙・防衛領域におけるシステム機器、システム・インテグレーション(システム構築、コンサルティング)およびサポート(保守)などの提供を行っています。

 

* OSS:Operation Support System、BSS:Business Support System

 

 なお、上記のほかに、システム機器の開発・製造・販売などの事業を「その他」として表示しています。

 

(2)報告セグメントごとの売上収益、利益または損失、その他の項目の金額の算定方法

 報告セグメントの損益は、営業損益から「買収により認識した無形資産の償却費」および「M&A関連費用(ファイナンシャルアドバイザリー費用等)」を控除した金額としています。セグメント間収益は第三者間取引価格に基づいています。

 

(3)報告セグメントごとの売上収益、利益または損失、その他の項目に関する情報

前連結会計年度(自 2022年4月 1日 至 2023年3月31日)

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

その他

調整額

(注)

連結

財務諸表

計上額

 

ITサービス

社会インフラ

売上収益

 

 

 

 

 

 

外部収益

1,754,964

1,062,216

2,817,180

495,838

3,313,018

セグメント間収益

45,449

5,845

51,294

6,206

57,500

合計

1,800,413

1,068,061

2,868,474

502,044

57,500

3,313,018

セグメント損益

168,004

73,781

241,785

23,835

60,104

205,516

買収により認識した

無形資産の償却費

 

 

 

 

 

33,513

M&A関連費用

 

 

 

 

 

1,556

営業利益

 

 

 

 

 

170,447

金融収益

 

 

 

 

 

10,899

金融費用

 

 

 

 

 

17,624

持分法による投資利益

 

 

 

 

 

3,949

税引前利益

 

 

 

 

 

167,671

(その他の項目)

減価償却費及び償却費

88,190

27,131

115,321

47,620

20,357

183,298

減損損失

3,932

2,601

6,533

324

6,857

資本的支出

85,031

42,088

127,119

50,770

21,796

199,685

 

当連結会計年度(自 2023年4月 1日 至 2024年3月31日)

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

その他

調整額

(注)

連結

財務諸表

計上額

 

ITサービス

社会インフラ

売上収益

 

 

 

 

 

 

外部収益

1,915,126

1,084,025

2,999,151

478,111

3,477,262

セグメント間収益

46,371

5,888

52,259

6,039

58,298

合計

1,961,497

1,089,913

3,051,410

484,150

58,298

3,477,262

セグメント損益

208,064

75,359

283,423

18,449

78,310

223,562

買収により認識した

無形資産の償却費

 

 

 

 

 

35,202

M&A関連費用

 

 

 

 

 

348

営業利益

 

 

 

 

 

188,012

金融収益

 

 

 

 

 

9,804

金融費用

 

 

 

 

 

18,072

持分法による投資利益

 

 

 

 

 

5,267

税引前利益

 

 

 

 

 

185,011

(その他の項目)

減価償却費及び償却費

93,391

27,636

121,027

45,211

21,462

187,700

減損損失

1,537

6

1,543

3,192

4,735

資本的支出

98,795

33,987

132,782

47,581

48,130

228,493

(注)セグメント損益の調整額には、各報告セグメントに配分していない全社費用がそれぞれ前連結会計年度で△63,951百万円、当連結会計年度で△77,413百万円含まれています。全社費用は、主に親会社の本社部門一般管理費および基礎的試験研究費です。

 

(4)報告セグメントの変更等に関する事項

 当連結会計年度より、2023年4月1日付で実施した組織改革に伴い、報告セグメントの内容を変更しています。従来、当社グループの事業は、「社会公共事業」、「社会基盤事業」、「エンタープライズ事業」、「ネットワークサービス事業」および「グローバル事業」の5つの事業であり、各事業を報告セグメントとしていましたが、当該組織改革に伴い、当社グループの事業を「ITサービス事業」および「社会インフラ事業」の2つの事業としています。なお、前連結会計年度のセグメント情報についても、この変更を反映したものに組み替えて表示しています。

 

(5)地域別情報

①外部収益

 

 

(単位:百万円)

 

 前連結会計年度

(自 2022年4月 1日

  至 2023年3月31日)

 当連結会計年度

(自 2023年4月 1日

  至 2024年3月31日)

日本

2,417,450

2,589,262

北米および中南米

160,523

145,892

ヨーロッパ、中東およびアフリカ

351,318

355,000

中国・東アジアおよびアジアパシフィック

383,727

387,108

合計

3,313,018

3,477,262

 

②非流動資産(金融商品、繰延税金資産、および確定給付資産を除く)

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(2023年3月31日)

当連結会計年度

(2024年3月31日)

日本

659,540

589,541

北米および中南米

48,676

55,441

ヨーロッパ、中東およびアフリカ

613,233

657,159

中国・東アジアおよびアジアパシフィック

21,355

24,658

合計

1,342,804

1,326,799

 

(注)ヨーロッパ、中東およびアフリカの非流動資産には、デンマークに所在するケーエムディ・ホールディング社ののれんが前連結会計年度末において104,074百万円、当連結会計年度末において116,302百万円含まれています。またスイスに所在するアバロク・グループ社ののれんおよび無形資産が、前連結会計年度末においてそれぞれ123,239百万円、181,256百万円、当連結会計年度末においてそれぞれ141,586百万円、186,578百万円含まれています。

 

 

(6)主要な顧客に関する情報

 外部顧客への売上収益のうち、連結損益計算書の売上収益の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しています。