2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    22,271名(単体) 104,194名(連結)
  • 平均年齢
    42.6歳(単体)
  • 平均勤続年数
    16.6年(単体)
  • 平均年収
    9,631,033円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

 

 

(1) 連結会社の状況

 

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

ITサービス事業

59,952

社会インフラ事業

24,199

その他

20,043

合計

104,194

(注)従業員数は、就業人員数であり、NECグループからNECグループ外への出向者を除き、NECグループ外からNECグループへの出向者を含んでいます。また、臨時従業員は、その総数が従業員の100分の10未満であるため、記載を省略しています。なお、「第1 企業の概況 1 主要な経営指標等の推移 (1)連結経営指標等」に記載の従業員数についても同様です。

(2) 提出会社の状況

 

 

 

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年令(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

22,271

42.6

16.6

9,631,033

 

セグメントの名称

従業員数(人)

ITサービス事業

12,912

社会インフラ事業

4,557

その他

4,802

合計

22,271

  (注)1 従業員数は、就業人員数であり、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含んでいます。また、臨時従業員は、その総数が従業員の100分の10未満であるため、記載を省略しています。なお、「第1 企業の概況 1 主要な経営指標等の推移 (2)提出会社の経営指標等」に記載の従業員数についても同様です。

 2 平均年令、平均勤続年数および平均年間給与は、当社から他社への出向者を含め、他社から当社への出向者を除いた人数を基に算出しています。

 3 平均年間給与は、税込額であり、時間外給与および賞与を含んでいます。

 4 当社は、2024年4月に従業員の年間給与に占める月収と賞与の比率を見直し、月収比率を高める報酬体系の改定を実施しました。当事業年度の6月賞与は、制度上の取扱いとして前事業年度の報酬体系(月収比率を高める前のもの)に基づき支給していることから、当事業年度の平均年間給与は、前事業年度に比べ一過性の増加を示しています。

(3) 労働組合の状況

 当社の労働組合は、日本電気労働組合と称し、NECグループの一部の会社の労働組合により結成されているNECグループ労働組合連合会(組合員数約44,000人 2025年3月31日現在)に加盟しています。また、NECグループ労働組合連合会は、上部団体の全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会に加盟しています。

 なお、労使関係は安定しており、特に記載すべき事項はありません。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(*1)

男性労働者の育児休業取得率(%)

(*2)

労働者の男女の賃金の差異(%)

(*1)

全労働者

うち正規雇用労働者

うちパート・有期労働者

10.6

50.6

75.9

74.8

82.9

*1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しています。出向者は、他社への出向者を含め、他社からの出向者を除きます。

*2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出しています。したがって、配偶者出産休暇は含めておりません。出向者は、他社への出向者を含め、他社からの出向者を除きます。

 

② 連結子会社

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(*1)

男性労働者の育児休業取得率(%)

(*2)

労働者の男女の賃金の差異(%)(*1)

全労働者

うち正規雇用労働者

うちパート・有期労働者

NECプラットフォームズ㈱

5.2

41.0

75.7

74.3

73.6

NECフィールディング㈱

4.2

20.5

71.1

70.5

67.4

NECフィールディングサポートクルー㈱

100.0

*3

78.5

93.8

69.6

NECフィールディングシステムテクノロジー㈱

11.1

100.0

73.7

73.7

*4

NECソリューションイノベータ㈱

10.6

51.8

83.5

82.4

84.8

アビームコンサルティング㈱

15.4

70.8

81.8

82.5

84.0

アビームシステムズ㈱

10.7

77.8

84.1

85.8

84.1

NECネッツエスアイ㈱

7.7

63.2

76.8

75.0

64.4

キューアンドエー㈱

19.0

100.0

66.3

79.9

78.3

ディー・キュービック㈱

35.3

0

61.3

98.7

75.0

NECマグナスコミュニケーションズ㈱

3.6

0

79.2

72.8

*5

NECネッツエスアイ・サービス㈱

1.9

14.3

75.5

75.4

74.8

NECネットワーク・センサ㈱

1.1

28.6

78.6

76.0

59.7

㈱オーシーシー

3.3

57.1

78.5

79.2

66.5

日本電気通信システム㈱

5.3

51.6

79.2

79.2

*4

NECネクサソリューションズ㈱

8.4

66.7

79.7

75.0

93.0

NECファシリティーズ㈱

3.0

54.2

83.0

83.8

79.6

NECプラントエンジニアリング㈱

0

33.3

77.6

75.5

*5

NECビジネスインテリジェンス㈱

13.9

0

71.2

68.7

73.4

NEC VALWAY㈱

31.0

55.6

77.9

78.0

90.3

㈱NECライベックス

14.1

0

61.5

66.6

71.7

日本電気航空宇宙システム㈱

8.1

75.0

86.1

86.1

*4

㈱サンネット

6.3

50.0

79.9

78.4

77.2

㈱KIS

6.9

80.0

85.7

85.7

*4

㈱ワイイーシーソリューションズ

1.6

50.0

62.5

70.2

55.9

 

*1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しています。出向者は、他社への出向者を含め、他社からの出向者を除きます。

*2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出しています。したがって、配偶者出産休暇は含めておりません。出向者は、他社への出向者を含め、他社からの出向者を除きます。

*3 配偶者が出産した男性労働者は0名です。

*4 パート・有期労働者は在籍していないため、公表できる数値はありません。

*5 女性のパート・有期労働者は在籍していないため、公表できる数値はありません。

 

 「管理職に占める女性労働者の割合」については、当社は2025年度末(2025年度内に決定された2026年4月1日付の異動を含みます。)までに20%を達成することを目標に掲げ、女性従業員がキャリア形成を考える機会の創出に向けた取り組みなど様々な施策を推進しています。既存の育成プログラムに加え、2021年度から女性の次世代経営リーダーを育成するためのプログラムとして、対象の主任女性従業員に「Women's Leadership Program」(のべ6ヵ月間にわたり、自身が役員またはシニアディレクターに就任したと想定して事業プランを描くプログラム)を提供しています。また、2024年度からは、上述の目標値20%の達成に向けて、年度毎に女性管理職の目標人数を定め、統括部長以上の業績目標に組み入れています。加えて、管理職候補者をリストアップし、候補者本人にはキャリア意識醸成のためのプログラムを、また、候補者の上司に対しては有識者によるダイバーシティマネジメント研修を実施しています。候補者本人向けのプログラムでは、Corporate SVP以上の女性役員全員が登壇し、力強いメッセージを通じて候補者本人のキャリア形成を後押ししています。

 

 当社の「男性労働者の育児休業取得率」は、2023年度の40.6%から2024年度は50.6%と向上しています。NECグループ各社とも男性従業員の育児関与の促進・強化に取り組んでいます。

 

 「労働者の男女の賃金の差異」は、当社をはじめNECグループ各社の多くが75%前後となっていますが、賃金の額が比較的高くなる管理職における男女の人数差が、男女の賃金の差異に影響しているものと分析しています。なお、当社の役職別における男女の賃金の差異は、おおよそ90%台半ばとなっており、その格差は小さなものとなっています。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 

1899年の創業以来、NECグループは、情報通信技術(ICT)を活用して世の中のインフラを支えるミッションクリティカルなシステムを提供することで豊かな社会の実現に貢献し、成長を続けてきました。NECグループは、今後もコンプライアンスの徹底に努め、社会を構成する多様なステークホルダーの期待に応えることで、これまで培ってきた信頼関係を維持・強化していくとともに、Purposeで謳う社会価値の創造により長期利益の最大化を目指していきます。

また、NECグループは、Purposeに照らし、環境や人に対してはもとより、自らの財務面においても、「リスク」と「機会」の両面でインパクトの大きな経営課題をマテリアリティとして特定し、その実践に努めています。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてNECグループが判断したものです。

 

(1)サステナビリティ経営

① ガバナンス

 NECグループでは、監督と執行を明確に分離したコーポレート・ガバナンス体制のもと、サステナビリティ経営を推進しています。コーポレート・ガバナンス体制の詳細については、「第一部 企業情報 第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 ①コーポレート・ガバナンス体制」をご覧ください。

サステナビリティ経営推進体制

 

 

(イ)経営者の役割

(i)取締役会による監督

 取締役会は、サステナビリティ推進担当役員であるCFO(チーフフィナンシャルオフィサー)およびサステナビリティ経営推進に携わる役員(以下「サステナビリティ推進関係役員」という。)から、「(ⅱ)執行体制」で説明する各会議体等で討議または承認された事項の報告を受け、マテリアリティの実践状況やサステナビリティを巡る課題への対応状況を監督しています。

 

(ⅱ)執行体制

 当社は、CFOとサステナビリティ推進関係役員が協働して、マテリアリティを核に、サステナビリティを巡る課題について、内容に応じ適切な会議体で議論・審議しています。主に「機会」については、CEOが主催する経営会議やCFOが主催する事業戦略会議を、また、「リスク」については、CRCO(チーフリスク&コンプライアンスオフィサー)が主催するリスク・コンプライアンス委員会を活用しています。会議体の詳細は、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ①コーポレート・ガバナンス体制 (ロ)執行機能 (ⅰ)執行役」に記載のとおりです。加えて、CFOおよびサステナビリティ推進関係役員が社外有識者に諮問するサステナビリティ・アドバイザリ・コミッティを設置し、当社のサステナビリティに関する方針や取り組みを最新動向に照らして客観的・専門的に議論することで、不確実性が高く、変化が急速に進む時代における自社の方向性を確認し、改善につなげています。

 経営企画・サステナビリティ推進部門は、経営企画、IR、コミュニケーションなどを推進する統括部で構成され、人事、総務、人材組織開発、リスク・コンプライアンス推進、経営システム、環境、CS、品質、調達といった当社や子会社のコーポレート部門や事業部門と密接に連携しながら、サステナビリティ推進担当役員のもと、サステナビリティ経営を推進しています。さらに、NECグループでは、取引先と連携した取り組みも進めています。

 

(ロ)マテリアリティおよびサステナビリティ関連のパフォーマンス指標と役員報酬

 マテリアリティの実践については、「NEC Wayの実践をベースとした全社の組織開発・人材開発」および「ESG視点の経営優先テーマ『マテリアリティ』の実践」を社内取締役の役割定義書で明記するとともに、サステナビリティ推進関係役員の業績評価KPIにも織り込むことにより責任を明確化し、その実効性を高めています。また、Corporate SVP以上の役職員(社外取締役を除く。)の賞与算定指標として、エンゲージメントスコアを組み入れています。詳しくは、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4)役員の報酬等 ①役員報酬等の内容の決定に関する方針 (ニ)短期インセンティブ報酬(賞与)」に記載のとおりです。

 

② 戦略

 NECグループは、多様なステークホルダーとの信頼関係の維持・強化と社会価値創造による長期利益の最大化に向け、NEC Wayに基づく以下の3項目をサステナビリティ経営の基本方針として、マテリアリティを実践しています。

・事業を通した社会課題解決への貢献

・リスク管理・コンプライアンスの徹底

・ステークホルダー・コミュニケーションの推進

 

 <マテリアリティの考え方>

 NECグループは、ISO26000、GRIスタンダード、国連グローバル・コンパクト原則、SDGs、SASBなどのグローバルなガイドラインを参考に洗い出した環境や人に関する課題について、NECグループのバリューチェーン上でのインパクトの有無や大きさ、および財務的影響を評価したうえで、マテリアリティを特定しています。特定にあたっては、様々な分野の有識者やステークホルダーの代表との対話を行い、方向性の確認や改善に活かしています。マテリアリティは、取締役会の監督のもと、中期経営計画の策定時に特定されており、自社や事業の環境変化、社会からの要請の変化等に応じて毎年見直しています。マテリアリティの特定プロセスは、サステナビリティWebサイト(https://jpn.nec.com/sustainability/ja/management/nec.htmlに記載のとおりです。

 「2025中期経営計画」では、企業価値算出式に照らし、成長、機会創出および成長率向上を目的とした5つの「成長マテリアリティ」と、リスク低減と成長率向上を目的とした7つの「基盤マテリアリティ」を特定し、実践しています。

 これらマテリアリティの実践を通じて、従業員、取引先、顧客など、様々なステークホルダーからの要請に応え、社会や資本市場からの信頼度を測るESGインデックスへの継続的な組み入れを目指します。

 

 

 

各マテリアリティの主なリスク、機会および取り組みは、以下のとおりです。

 

マテリアリティ

リスク

機会

取り組み

成長マテリアリティ

行政・金融のデジタル化によるWell-beingな社会を実現

・高齢化の拡大やデジタルディバイドによる行政サービスの地域差拡大、富の偏重・格差拡大

・行政と金融など、様々な業種間の連携・融合

・高度な資産運用アドバイスや資産取引における利用者の裾野拡大

・信頼性の高いデジタル技術によって、透明性が高く、公平に利用できる行政・金融基盤を構築

人にも環境にもストレスなくつながる社会の実現

・通信機器の電力消費の増加による環境負荷

・効率的なトラフィック収容やネットワーク構築、柔軟なネットワーク運用、カーボンニュートラル対応を可能にするソリューションへの需要の増加

・セキュアな通信の重要性の高まり

・高速、大容量、低遅延の通信環境の提供

社会や産業の変革をデジタルの力で実現

・DXに通じた人材の不足やロードマップ作成の難しさなどによる実事業への展開の遅れ

・社会・企業のデジタル化によるIT需要の継続

・デジタル技術を活用したクラウドベースのサービス導入の増加

・AI、生体認証、セキュリティなどの技術力とクラウドやアジャイルの技術者、データサイエンティストなどの豊富な人材を強みに、社会や産業のDXを推進

誰もが自分らしく生きる、新しいヘルスケア・ライフサイエンスの世界を実現

・協業の遅れや市場の立ち上がり時期の遅れ

・AIなど先進技術を活用したヘルスケアへの需要の増加

・AIや画像認識技術を活用し、先進的な個別化治療/総合的医療サービス/ライフスタイルサポートの新事業開発を推進

お客さま・社会のカーボンニュートラルを実現

・カーボンプライシング導入や、CO2排出量に伴う費用増

・自然災害によるシステム障害

・カーボンニュートラル実現に向けたICTソリューション需要の増加

・自社のCO2削減の知見と経験を活かしてお客さまの脱炭素推進をデジタルで支援し、社会全体のカーボンニュートラルに貢献

基盤マテリアリティ

気候変動(脱炭素)を核とした環境課題への対応

 

・自社とサプライチェーン全体からのCO2排出量を削減

・洪水や干ばつなどの気象災害リスクに備えるソリューションの提供

ICTの可能性を最大限に広げるセキュリティ

・情報漏えい、不正アクセス、システム障害

・セキュリティ人材の育成

・堅牢な情報システムの提供・運用

・情報セキュリティ対策を確実に推進するとともに、NECグループの情報セキュリティのレファレンス事例やセキュリティを組み込んだ製品・システム・サービスを提供

・情報セキュリティ人材の育成を強化

人権尊重を最優先にしたAI提供と利活用

(AIと人権)

・新技術に伴うプライバシー侵害

・バリューチェーン上における人権侵害

・競争力強化

・「NECグループAIと人権に関するポリシー」をもとに人権を最優先にしたAI提供と利活用を推進

・国内外の法規制の動向を踏まえたAIガバナンスの強化と様々なステークホルダーとの対話を継続

多様な人材の育成とカルチャーの変革

・人材の確保・育成が困難

・長時間労働

・ハラスメント

 

 

・従業員エンゲージメント向上による組織力アップ

・NEC WayおよびHR方針に基づき、「2025中期経営計画」において「人・カルチャーの変革」を掲揚

・イノベーションの源泉であるダイバーシティを加速させるとともに、多様なタレントのワークスタイルを支える働き方改革を実行

社会価値の継続的な創出と企業価値の最大化を図るコーポレート・ガバナンス

・会計プロセス不備

・秘密情報管理

・社会からの信頼獲得

・以下を基本方針にコーポレート・ガバナンスを推進

1.経営の透明性と健全性の確保

2.スピードある意思決定と事業遂行の実現

3.アカウンタビリティ(説明責任)の明確化

4.迅速かつ適切で公平な情報開示

調達取引先との協働・共創を通じたサプライチェーンサステナビリティ

・バリューチェーン上における人権侵害

・サプライヤーとの協働・共創

・調達取引先に「サプライチェーンにおける責任ある企業行動ガイドライン」を周知し、その内容を遵守する旨の宣言書を取得する活動を推進

社会価値創造型企業としてのコンプライアンスの実践

・コンプライアンス事故(違法行為、不正行為)

・品質・安全性に関する法規制

・プロジェクト契約に関する品質向上コスト

・社会からの信頼獲得

・役員から従業員に至るまで、NECグループ行動規範「Code of Conduct」の同意書に署名し、一人ひとりがコンプライアンスを自分事として認識し、規範に基づく行動を日々実践

 

③ リスク管理

 NECグループのサステナビリティ関連リスクは、全社リスク管理の一環として、各制度主管および各事業主管が管理し、リスク・コンプライアンス委員会が定期的にモニタリングしています。リスク管理、リスク特定における方針・プロセス・運用状況については、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 なお、全社リスク管理事項となっている「サイバーセキュリティ」、「人権の尊重」、「重大な不祥事の発生」および「人的資本経営」は、社会に対するインパクトも自社における財務的影響も大きいことから、「ICTの可能性を最大限に広げるセキュリティ」、「人権尊重を最優先にしたAI提供と利活用(AIと人権)」、「社会価値創造型企業としてのコンプライアンスの実践」および「多様な人材の育成とカルチャーの変革」として「基盤マテリアリティ」にも位置づけています。

 一方、機会創出については、「基盤マテリアリティ」の取り組みのほか、「成長マテリアリティ」の実践状況を「2025中期経営計画」の進捗管理の一環で確認しています。加えて、自らをゼロ番目のクライアント、すなわち「クライアントゼロ」として位置づけ、リスク低減に関して、まずは自ら取り組み、その実践で得たノウハウも踏まえて顧客に提供することで大きな機会創出につなげることを目指しています。例えば、サイバーセキュリティでは、自社で実践してきたセキュリティ経営から得た経験とノウハウを活かし、セキュリティリスクマネジメントを支援するサービスを提供しています。

 

④ 指標及び目標

 「2025中期経営計画」において、マテリアリティの進捗を測るための指標として2025年度のKPIを設定し、毎年成果や課題を確認し、必要に応じて追加施策の検討や目標の見直しを行っています。各マテリアリティの2025年度のKPIと2024年度の取り組み実績は、次のとおりです。

 

マテリアリティ

2025年度KPI

2024年度実績

成長マテリアリティ

行政・金融のデジタル化によるWell-beingな社会を実現

・DGDF
売上収益3,150億円
調整後営業利益率12.1%(*1)

・DGDF
売上収益3,207億円
調整後営業利益率6.7%

人にも環境にもストレスなくつながる社会の実現

 ― (*2)

 

 ― (*2)

 

社会や産業の変革をデジタルの力で実現

・BluStellar
売上収益6,240億円
調整後営業利益率13.2%(*3)

・DX人材のべ人数12,000名

・BluStellar
売上収益5,424億円

調整後営業利益率12.2%

・DX人材のべ人数11,935名

誰もが自分らしく生きる、新しいヘルスケア・ライフサイエンスの世界を実現

・事業価値5,000億円(2030年度)に向けてヘルスケア・ライフサイエンス新事業を継続的に創出

・生成AIを活用した病院経営マネジメントサービスの実証実験を開始

・治験患者登録の効率化に向けLLM活用の有効性を実証

・個別化ネオアンチゲンがんワクチンの有効性確認のための治験が着実に進展

お客さま・社会のカーボンニュートラルを実現

・企業の脱炭素を支援するカーボンマネジメントなどの領域での事業拡大

・気候変動対策領域に加え、資源循環・自然資本などへも領域を拡大

・顧客および業界団体などとの社外連携やトライアルを促進

・自社取り組みを顧客課題解決に繋げる環境クライアントゼロ戦略を推進

基盤マテリアリティ

気候変動(脱炭素)を核とした環境課題への対応

 

・2040年カーボンニュートラルに向けScope1およびScope2におけるCO2排出量を25.0%削減(2020年度比)

・集計中(*4)

(2023年度実績は、Scope1およびScope2におけるCO2排出量約31.0%削減(2020年度比))

ICTの可能性を最大限に広げるセキュリティ

・国際認定資格(*5)取得者数3倍(2020年度比)

・国際認定資格(*5)取得者数累計約560名、2020年度比約3.7倍

人権尊重を最優先にしたAI提供と利活用(AIと人権)

・「NECグループAIと人権のポリシー」の適用

・「NECグループAIと人権のポリシー」の適用

多様な人材の育成とカルチャーの変革

・エンゲージメントスコア50%

・女性管理職比率20%(*6) 、役員に占める女性または外国人の割合20%(*7)

・エンゲージメントスコア42%

・女性管理職比率10.6%(*8)、役員に占める女性または外国人の割合16.9%(*9)

社会価値の継続的な創出と企業価値の最大化を図るコーポレート・ガバナンス

・独立社外取締役がマジョリティの指名委員会等設置会社への移行によるガバナンス高度化

・取締役会のモニタリング機能の強化

・独立社外取締役比率61.5%

調達取引先との協働・共創を通じたサプライチェーンサステナビリティ

・調達ガイドへの同意サプライヤー75%(*10)

・調達ガイドへの同意サプライヤー87%(*10)

社会価値創造型企業としての

コンプライアンスの実践

・重大なカルテル・談合行為の発生件数0件

・重大なカルテル・談合行為の発生件数0件

*1 2025年度に目標を変更したもの

*2 環境変化に伴いKPI対象から除外

*3 2024年度にコアDXから変更し、KPIも見直ししたもの

*4 サステナビリティ情報を掲載した当社のウェブサイトや今後発行予定の「ESGデータブック2025」において報告予定。なお、「ESGデータブック2025」は、2025年度上期中に当社ウェブサイトで公表を予定。

*5 CISSP(Certified Information Systems Security Professional)

*6 2025年度内に決定された2026年4月1日付異動を含む。

*7 2026年3月末日時点の当社の取締役、執行役、Corporate SEVP、Corporate EVPおよびCorporate SVP(執行役、Corporate SEVP、Corporate EVPおよびCorporate SVP については2025年度内に決定された2026年4月1日付異動を含む。)

*8 2025年3月末日時点。2025年4月1日時点の女性管理職比率は11.7%

*9 2025年3月末日時点の当社の取締役、執行役、Corporate SEVP、Corporate EVPおよびCorporate SVP。2025年4月1日時点の役員に占める女性または外国人の割合は20.0%

*10 調達金額ベースでの比率

 

  「サプライチェーンサステナビリティ」については、当連結会計年度末時点で87%となり、前年度に引き続き2025年度のKPIである75%を達成しました。この数値は、調達金額ベースであるため変動しますが、2025年度末時点においても達成するよう取り組みを継続します。

 

(2)気候変動

① ガバナンス

 NECグループは、「(1)サステナビリティ経営 ①ガバナンス」に記載のサステナビリティ経営推進体制のもと、CSCO(チーフサプライチェーンオフィサー)が環境担当役員として、環境経営体制を整備しています。

 

(イ)経営者の役割

(i)取締役会による監督

 取締役会は、「(ⅱ)執行体制」で説明する各会議体等で討議または承認された議題のうち、「NECグループの事業に対して特に著しい影響を及ぼす、気候変動などのマテリアリティを巡る課題」について、CSCOから報告を受け、適宜対策指示を行い、対応状況を監督しています。

 

(ⅱ)執行体制

 気候変動を含む環境関連の重要事項については、経営会議または事業戦略会議にて討議します。付議する議題については、各ビジネスユニットに設置された環境経営委員会やテーマ別専門部会での議論および各ビジネスユニットの環境推進責任者で構成された環境経営推進会議での議論の結果、重要と判断されたものに限られます。

 各ビジネスユニットは、環境経営委員会の設置に加え、各部門や国内外のNECグループ会社における具体的な取り組みにつながる体制を整えており、経営会議または事業戦略会議で策定された環境戦略に基づき具体的な活動計画を立案および実践することで、NECグループとして一貫した環境経営を推進しています。

 例えば、NECグループの気候変動に関する環境方針・目標は、環境経営推進会議において審議・策定しています。CSCOは、その内容を確認し、上位会議体にあたる事業戦略会議に報告しています。また、気候変動に関するリスクについても、環境経営推進会議において共有し、事業に与える影響が大きい場合には、CSCOが確認のうえ、必要に応じてリスク管理プロセスに則ってリスク・コンプライアンス委員会で討議します。

 

(ロ)マテリアリティおよびサステナビリティ関連のパフォーマンス指標と役員報酬

 NECグループ全体で確実に気候変動対策を推進するため、CSCOは、ESGに関する第三者評価「CDP気候変動Aリスト評価」の達成にコミットし、その達成成否は、一定割合で賞与査定に連動しています。

 

② 戦略

 NECグループは、2017年に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」への賛同を表明し、気候変動に関する戦略として、不確実な未来への対応力を高めるため、複数のシナリオで将来起こりうる社会を予想し、対応策を検討しています。気候変動に関する政府間パネルなどの公開情報、ICT動向および社会情勢をもとに、サプライチェーン全体における中長期的なシナリオ分析を行い、以下のとおり事業のリスクと機会を認識しています。「2025中期経営計画」においては、基盤マテリアリティの一つとして「気候変動(脱炭素)を核とした環境課題への対応」を、成長マテリアリティの一つとして「お客さま・社会のカーボンニュートラルを実現」を特定し、事業における環境リスクの低減と事業を通じた環境課題解決に向けて取り組んでいます。

 

<気候関連のリスクとビジネスモデルおよびバリューチェーンに与える影響および財務的影響>

リスク

シナリオ(1.5℃

or 4.0℃)

(*1)

内容

時間軸

(*2)

財務的影響

/年

対策

関連事業

移行

(*3)

1.5℃

カーボンプライシングによるコスト増

中期

44億円

CO2排出量実質ゼロ(2040年)達成に向けた効率化の徹底と再生可能エネルギーの活用拡大

ITサービス

社会インフラ

その他

レピュテーションリスクによる売上減

短期

36億円

SBTイニシアティブ(*4)認定および再生可能エネルギーの活用拡大とグリーン電力の購入

物理

(*5)

4.0℃

データセンターの気象災害(洪水、土砂崩れ、水不足など)の影響による事業停止に伴う売上減

短期

33億円

非常用電源設備などの発電設備の強化(5日間稼働分の燃料の備蓄など)

ITサービス

洪水に伴う生産拠点の稼働停止の影響による売上減

中期

82億円

フロアの嵩上げや浸水防止のための止水板、止水扉の設置および土のうの備蓄など

ITサービス

社会インフラ

その他

 

*1 1.5℃:脱炭素社会が実現し、2100年に気温が1.5℃上昇するシナリオ

  4.0℃:脱炭素社会が実現せず、2100年に気温が4℃上昇するシナリオ

*2 時間軸:短期=0~3年、中期=4~10年、長期=11~20年

*3 移行リスク:脱炭素社会への移行に伴って、政策・法務・技術革新・市場嗜好の変化などにより発生するリスク

*4 SBTイニシアティブ:企業に対し、科学的根拠に基づく二酸化炭素排出量削減目標を立てることを求めるため、カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)、国際連合グローバル・コンパクト(UNGC)、世界資源研究所(WRI)および世界自然保護基金(WWF)の4団体により設立されたイニシアティブ

*5 物理リスク:異常気象から引き起こされる事象による急性リスク(洪水や土砂災害など)と長期間での気候パターンの変化による慢性リスク(海面上昇や熱波、耕作適地の変化など)

 

  <気候関連の機会とビジネスモデルおよびバリューチェーンに与える影響および財務的影響>

機会

シナリオ

(1.5℃

or 4.0℃)

内容

時間軸

財務的影響

/年

機会創出と拡大

関連事業

適応

(*6)

4.0℃

適応価値の透明化とそれによる資金導入の需要増加による売上増

中期

-(*7)

デジタル技術の応用により減災効果や環境効果の見える化を行う「NECデジタル適応ファイナンス」の提供

ITサービス

適応

緩和

(*8)

4.0℃

災害に強い、エネルギー効率の高いデータセンターへのニーズ拡大による売上増

中期

133億円

データセンターのエネルギー効率改善(データセンターのグリーン化)

緩和

4.0℃

製造業の過剰在庫削減ニーズ増加による売上増

中期

-(*7)

需要予測技術を用いた廃棄物の削減

*6 適応:すでに生じている、あるいは将来予測される気候変動の影響による被害を回避・軽減させるために備えること

*7 本有価証券報告書提出日現在算定中です。

*8 緩和:気候変動の原因となる温室効果ガスの排出量を減らすこと

 

③ リスク管理

 「(1)サステナビリティ経営 ③リスク管理」に記載のとおり、気候変動への対応に関するリスクも全社リスク管理の一環として、「①ガバナンス (イ)経営者の役割」に記載の「(ⅱ)執行体制」のもと、気候シナリオ分析を活用したリスク評価を行っています。そして、潜在的および顕在的リスクに対する対応の進捗や課題を把握し、そのモニタリング結果をもとに計画の見直しや取り組みの改善を図ることにより、リスク低減とリスクの発生防止につなげています。一方、気候変動への対応に関する機会については、カーボンニュートラルビジネス推進PMO(*9)が全社横断で識別・評価し、事業ポートフォリオ管理を行い、四半期ごとにCEOおよびCFOに報告しています。

 なお、前連結会計年度から気候関連のリスクおよび機会の管理プロセスに変更はありません。

 

*9 カーボンニュートラル関連事業の拡大・創出に向けた活動を担う専門部署として2022年度に新設。PMOはプロジェクトマネジメントオフィスのこと。

 

<気候シナリオ分析>

 当社は、気候変動に対するリスクと機会の評価と特定のために、2022年度にシナリオ分析を実施しました。
(イ)使用したシナリオ
 シナリオ分析の際に参照した移行リスクおよび物理的リスクに関するシナリオは、以下のとおりです。最新の国際合意に沿ったシナリオであり、気候変動のレジリエンス評価にも活用しています。

シナリオ

出典

1.5℃

IPCC AR6 WG1 SSP1-1.9

IEA World Energy Outlook2021 Net Zero Emissions by 2050 Scenario (NZE)

IPCC 1.5℃特別報告書

IPCC AR5 RCP2.6

国立環境研究所 日本版SSP SSP1:持続可能

4.0℃

IEA World Energy Outlook2021 Stated Policies Scenario (STEPS)

IPCC AR6 WG1 SSP5-8.5

IPCC AR5 RCP8.5

国立環境研究所 日本版SSP SSP3:地域分断

 

(ロ)時間軸

 パリ協定だけでなく、ステークホルダーからの要請に対応するため、長期にわたる気候変動の影響を評価する必要性があると考え、2050年までを対象に分析しました。また、SBT目標設定に合わせて2030年を中間地点として設定しました。

 

(ハ)検討ステップ

 2022年度は、自治体を中心とした行政DXを対象事業と定め、リスクと機会両面でシナリオ分析を行いました。

 2024年度は、対象事業をNECグループ全体に広げ、NECグループの強みであるAI技術を活用して、リスクの重要度評価を行ったうえでリスク面でのシナリオ分析を実施しました。

 

検討ステップの詳細は、以下のとおりです。

 

 

④指標及び目標

 当社は、2017年に策定した「2050年を見据えた気候変動対策指針」、2021年9月に署名した「Business Ambition for 1.5℃(BA1.5℃)」をベースに、2021年に、2050年までのCO2排出量実質ゼロ(Scope1、Scope2およびScope3(*10))を宣言しました。その後、2022年9月に、サプライチェーン全体からのCO2排出量を2040年までにゼロとすることを目指すイニシアティブ「The Climate Pledge(TCP)」に参加し、従来計画比で10年前倒しとなる2040年カーボンニュートラルを宣言しました。また、2024年4月にはSBTイニシアティブからNet-Zero目標の認定(*11)を取得し、2030年度までに「Scope1、Scope2およびScope3のそれぞれ50%以上を削減(2020年度比)」という目標に引き上げました。

 この目標達成に向け、NECグループは、事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーとすることを目指す国際イニシアティブ「RE100」(*12)に2021年に加盟し、再生可能エネルギーの利用拡大を進めており、既に当社本社ビルやNEC Cloud IaaSのデータセンターで使用する電力を100%再生可能エネルギー由来に置き換えています。2023年度には、RE100の目標達成年度を2050年から2040年に前倒ししています。

 「2025中期経営計画」における気候変動に関連する指標および目標については、「(1)サステナビリティ経営 ④指標及び目標」に記載のマテリアリティ「お客さま・社会のカーボンニュートラルを実現」および「気候変動(脱炭素)を核とした環境課題への対応」のとおりです。Scope1およびScope2におけるCO2排出量削減の2024年度の目標は、次のとおりです。

 

<CO2排出量削減目標>

2024年度

目標(2020年度比)

実績

Scope1,2

20.0%

集計中

*10 Scope1:事業者が所有または管理する排出源から発生する温室効果ガスの直接排出

    Scope2:電気、蒸気、熱の使用に伴う温室効果ガスの間接排出

    Scope3:Scope1およびScope2以外の事業者の関連する他社の温室効果ガス排出

*11 Net-Zero目標の認定 :2030年度までに2020年度比で、Scope1、Scope2およびScope3のそれぞれ50%以上を削減し、2040年度までに90%以上削減を目指す。まずはこの削減を最優先し、削減が非常に困難な残余排出量は、吸収クレジットで中和することでNet-Zeroの達成を目指す。

*12 RE100 :企業が自ら事業の使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアティブ

 

<温室効果ガス排出の測定に用いたアプローチ>

 NECグループにおける温室効果ガス排出量の把握にあたっては、NECグループ財務連結範囲を対象として、財務支配力アプローチ・見積りの方法により測定しています。

Scope1とScope2のマーケットベースは、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づき算出し、Scope2のロケーションベースは、国際エネルギー機関(IEA)Emissions Factors 2024の国別排出係数を参照し算出しています。

 Scope3については、GHGプロトコルScope3スタンダードに基づいて算出しています。

温室効果ガス排出量を測定するために使用した活動量および排出係数に関する情報ならびに測定にあたり当社が置いた仮定は、以下のとおりです。活動量については、データの入手可能性、鮮度および網羅性を考慮のうえ、決定しました。

 

 なお、前連結会計年度から測定アプローチ・方法に変更はありません。

分類

活動量

排出係数

仮定

Scope1

燃料の調達実績

燃料種類別排出係数

Scope2

電力および熱の調達実績

ロケーションベースおよびマーケットベースの排出係数

Scope3

Cat1

原材料・資材の調達額

サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(ver.3.2)

Cat2

資本財の調達額

Cat3

電気・蒸気のエネルギー使用量

サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(ver.3.2)

LCIデータベースIDEAv2

Cat4

荷主分の輸送に係る燃料使用量

物流関係の量(金額、重量、輸送距離)

ロジスティクス分野におけるCO2排出量算定方法 共同ガイドラインVer.3.1(従来トンキロ法)

当社の費用と輸送に伴うCO2排出量を基にNECグループ分を算出、調達輸送はシナリオを設定しCO2排出量を算出

Cat5

廃棄物種類別排出量

サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(ver.3.2)

Cat6

従業員数

Cat7

交通費支給額

通勤手段に関する過去実績を基に当該年度の実績を按分し通勤手段別にCO2排出量を算出

Cat8

リース資産の使用量(エネルギー使用量、移動距離)

Cat9

製品重量

物流関係の量(輸送距離)

ロジスティクス分野におけるCO2排出量算定方法 共同ガイドラインVer.3.1(従来トンキロ法)

パーソナル製品の輸送シナリオを設定しCO2排出量を算出

Cat10

中間製品の販売量(金額、部品量)

LCAデータ

サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(ver.3.2)

部品1個当たりの平均単価、部品1個当たりのプロセスにおけるエネルギー使用量を社内データから求め、中間製品製造時にCO2排出量を算出

Cat11

資材の調達量(金額)

LCAデータ

当社製ハードウェアのカーボンフットプリントの値を使用、さらに外部購入ハードウェアについては費用額の比を基に延伸し、付加して算出

Cat12

廃棄物別の量(重量)

製品関連データ

当社製品の包装に関するデータをサンプリングし、当社取り扱いの全ハードウェアに延伸

Cat13

該当活動なし

Cat14

該当活動なし

Cat15

該当活動なし

 

 NECグループの気候変動の取り組みの詳細は、以下の当社ウェブサイトに掲載しています。

なお、当該ウェブサイトの内容に更新があった際には遅滞なく更新します。

https://jpn.nec.com/sustainability/ja/eco/risk.html

 

 

(3) 人的資本経営

① ガバナンス

 NECグループは、「(1) サステナビリティ経営 ①ガバナンス」に記載のサステナビリティ経営推進体制のもと、CHRO(チーフヒューマンリソーシズオフィサー)が人的資本経営の推進体制を整備しています。

 

(イ)経営者の役割

(i)取締役会による監督

 取締役会は、「(ⅱ)執行体制」で説明する各会議体等で討議または承認された議題のうち、「NECグループの事業に対して特に著しい影響を及ぼす、人的資本経営などのマテリアリティを巡る課題」について、CHROから報告を受け、適宜対策を指示するなどし、対応状況を監督しています。

 

(ⅱ)執行体制

 CHROの主導のもと、人事、組織変革、総務、労務、人材育成などの専門部署で構成されるピープル&カルチャー部門が人的資本経営を推進しています。人的資本経営に関する重要事項は、議題の内容により、経営会議、事業戦略会議またはリスク・コンプライアンス委員会で議論・審議のうえ、決定しています。

 当社は、1997年に人権啓発推進会議を設置して以来、差別の禁止やハラスメントの防止をはじめとした人権啓発活動を継続して推進しています。また、従業員の安全および健康については、社長の指示のもと、CHROがリスク管理を含む安全衛生および健康に関わる活動を統括し、その活動内容を取締役会などで報告しています。

 「2025中期経営計画」の「人・カルチャーの変革」の推進にあたっては、社長を委員長とするI&D推進委員会およびI&D変革チームを立ち上げ、インクルージョン&ダイバーシティに関する各種施策を検討のうえ、実行しています。加えて、2023年度には営業・ビジネスデザイン、マーケティング、サービス・SE・コンサルタントなどの職種別に役員クラス(Corporate SVP以上の役職員およびCorporate Executive)が委員長を務める人材育成委員会を新設し、NECグループ全体で体系的に人材育成を行う体制を整備しました。

 

(ロ)マテリアリティおよびサステナビリティ関連のパフォーマンス指標と役員報酬

 CHROを含むCorporate SVP以上の役職員(社外取締役を除く。)の賞与算定指標として、エンゲージメントスコアを組み入れています。詳しくは、「第一部 企業情報 第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4)役員の報酬等 ① 役員報酬等の内容の決定に関する方針(ニ)短期インセンティブ報酬(賞与)」に記載のとおりです。

 

② 戦略

 NECグループでは、最大の経営資源を「人」と位置づけており、人的資本経営はリスク低減と機会創出の双方に寄与する重要テーマであると考えています。

 NECグループは、2019年にHR(Human Resources)方針「挑戦する人の、NEC。」を策定し、従業員一人ひとりへの多様な挑戦・成長機会の提供やフェアな評価、挑戦する従業員がベストを尽くせるよう環境や風土の変革を進めてきました。2021年には、これに加え、同年に公表された「2025中期経営計画」を人的資本経営の観点で実現する「2025人事中期経営戦略」を策定し、多様なタレント人材の活躍、働き方マインドセット改革、「適時適所適材」の実現およびタレントマネジメントという4つの柱を定め、「人・カルチャーの変革」を実現します。

 HR方針および「2025人事中期経営戦略」ならびにこれらに基づく具体的な取り組み内容は、次のとおりです。

 

(イ)HR方針

 

(i)多様な挑戦機会

 2020年度にNECライフキャリア㈱を設立して以来、従業員のキャリア自律・スキル開発支援を強化しています。具体的には、年間約6,000名が参加するキャリアデザインワークショップや年間約3,000名以上が利用するキャリア面談など、従業員が自律的にキャリアを形成するための支援のほか、従業員のスキルアップデートおよび行動変容を加速させるリスキリングプログラムを提供しています。

 

(ⅱ)限りない成長機会

 新しい発想、柔軟な視点、豊富な経験・実績を活かした変革型リーダーシップを兼ね備えたNECグループを牽引するリーダーを育成することを目的に、将来の経営リーダーを育成するプログラム「NEC Talent Acceleration Program(NTAP)」を展開しています。また、グローバルマーケットで勝ち続ける強い経営リーダー、強い経営チームを創出する取り組みを行っています。

 

(ⅲ)フェアな評価および次へ繋がるリワード

 ジョブ型人材マネジメントの実現に向けて人事の仕組み全体を整備する中で、2024年4月からジョブグレード体系と報酬制度を改めています。市場価値を反映した競争力のある報酬体系へ移行し、パフォーマンスに応じたフェアな評価とフィードバックの徹底をはかっています。また、NECグループでの「適時適所適材」をより一層進めるべく、これらの仕組みを2025年4月からNECグループ会社(当社含む6社、約49,000名)に展開しています。

 

(ⅳ)従業員がベストを尽くせる環境、文化の実現

 従業員一人ひとりが働きやすさだけでなく働きがいを持って高いパフォーマンスを発揮し、自律的に自己実現を描けるような環境づくりに取り組んでいます。

 

(ロ)「2025中期経営計画」の実現

 NECグループでは、「2025中期経営計画」において企業価値の最大化に向けたPurpose・戦略・文化の一体的な取り組みを経営方針としており、文化の観点でエンゲージメントスコアを中核指標と位置付けています。その取り組みを加速するために、HR方針に基づき「2025人事中期経営戦略」を策定し、多様なタレント人材の活躍、働き方マインドセット改革、「適時適所適材」の実現およびタレントマネジメントという4つの重点テーマに取り組んでいます。

 

(i)多様なタレント人材の活躍

 多様な人材が活躍し、多角的な視点やアイデアが尊重されるカルチャーを醸成することは、イノベーションの創出のために必須かつ重要な経営戦略の一環であると考えています。そのための施策として、グローバルな人材活用、キャリア採用の拡充、女性の活躍推進、障がい者の雇用促進および性的マイノリティに対する理解と支援の促進などに取り組んでいます。

 

(ⅱ)働き方マインドセット改革

 当社では、2024年度から、従業員一人ひとりの健康やインテグリティをベースとしてチームのパフォーマンスを最大化し、Purposeの実現を目指す目的組織としての活動を加速させています。具体的には、Face to Faceの活用機会を、原則として40%(週2日)以上設けることや、会社と従業員がインテグリティの高い行動をとることを基本的な考え方としています。

 

(ⅲ)「適時適所適材」の実現

 社会価値を創造しグローバル競争に勝つために重要となるのが、「適時適所適材」の実現です。市場の変化にしなやかかつスピーディに対応するために、戦略起点で適時にその実行に必要な組織・ポジションを設計し、社内外から最適な人材を登用していきます。

 当社は、ジョブ型人材マネジメントを目指して、2018年度の評価制度改革から開始し、段階的に制度・仕組みを導入してきました。2024年4月からは、全従業員向けにジョブ型人材マネジメントを適用しています。

 

(ⅳ)タレントマネジメント

 「2025中期経営計画」に掲げる「国内IT事業のトランスフォーメーション」実現のため、社会価値を創造・実装し続けるDX人材(*1)を12,000名(*2)確保する計画を掲げ、DX人材育成の強化を進めています。また、次世代リーダー人材の育成として、有望人材にタフアサインメントやトレーニングなどの豊富な成長機会を提供し、成長のスピードを加速する取り組みを行っています。

 

*1 当社が各定義および要件を定めるコンサルタント、データサイエンティスト、サイバーセキュリティ人材などを指しており、当社および次の連結子会社等を対象としています。
NECプラットフォームズ㈱、NECソリューションイノベータ㈱、日本電気通信システム㈱、NECネクサソリューションズ㈱、NECビジネスインテリジェンス㈱、NECネットワーク・センサ㈱、NECスペーステクノロジー㈱、日本電気航空宇宙システム㈱、NECライフキャリア㈱、㈱日本電気特許技術情報センター、NEC企業年金基金

*2 2024年度に目標を10,000名から引き上げました。

 

 上記のほか、当社は、「多様な人材の育成とカルチャーの変革」をマテリアリティとして特定しています。詳細は、「(1)サステナビリティ経営 ②戦略」に記載のとおりです。

 

③ リスク管理

 NECグループが事業目標を達成するためには優秀な従業員を獲得し維持する必要があり、優秀な従業員が多数離職した場合または優秀な人材を新規に採用することができなかった場合には、NECグループの事業活動に大きな影響を与えると考えています。これらのリスクは、「人的資本経営」として全社リスク管理において重要なリスクとして特定しており、CRCO(チーフリスク&コンプライアンスオフィサー)主導のもと、四半期ごとに影響度と切迫性の観点でリスク評価を行い、人材獲得に向けた外部エージェントや大学とのリレーションシップの構築や、期初予算で設定した要員計画に対する実績の差異を継続的に把握することなどにより、リスクの低減につなげています。

 

リスクおよびリスクへの対応策は、次のとおりです。

(イ)人材の確保および育成

 採用面では、人材紹介会社の利用に限らず、スカウトによる積極的な人材獲得、ブランディング・広報などに取り組んでいます。その結果、2024年度のITサービス領域では、当社ならびに主要子会社のNECソリューションイノベータ㈱およびアビームコンサルティング㈱において1,034名をキャリア採用しています。

 育成面では、DX人材をクラウド系、データサイエンティスト、サイバーセキュリティなど8つに分類のうえ専門の育成プログラムを整備しています。組織ごとのDX人材や育成状況を常時把握できる仕組みを構築しており、ITサービス領域の人材定着率は97%と高水準となっています。

 

(ロ)安全と健康を損なう長時間労働

 定期的にモニタリングを行い、残業時間が多い部門について残業要因の分析を実施し、個人の働き方、組織横断アプローチの両面から対策に取り組んでいます。

 

(ハ)労働安全、ハラスメント

 NECグループにおける労働安全衛生の基本理念と行動指針を定める「NECグループ安全衛生方針」のもと、「NECグループ労働安全衛生マネジメントシステム」に基づき、リスクの特定および対策を行っています。全従業員に対して定期的にオンラインでの研修を実施するとともに、管理職層にはワークショップ形式での研修を実施しています。

 

機会の創出に向けた各種取り組みは、次のとおりです。

(イ)ジョブ型人材マネジメント制度の導入と事業戦略に紐づく柔軟な人材配置

 「② 戦略 (ロ)「2025中期経営計画」の実現 (ⅲ)「適時適所適材」の実現」に記載の取り組み等により、変化に対応しながら最適な人材ポートフォリオを実現し、「適時適所適材」を実現することで、戦略実行に向けた変化へのスピーディな対応を可能とします。

 

(ロ)インクルージョン&ダイバーシティの推進

 NECグループでは、ダイバーシティをイノベーションの源泉であると考え、一人ひとりの違いを強みに変え、変化にしなやかに対応し、強く勝ち続ける組織づくりおよび「多様な人材の育成とカルチャーの変革」を進めています。主な取り組みは、「②戦略 (ロ)「2025中期経営計画」の実現 (i)多様なタレント人材の活躍」をご参照ください。

 

(ハ)従業員のエンゲージメントの向上

 NECグループは、NEC Wayのもとに多様な人材が集い、イノベーションを追求する会社、従業員に選ばれる会社を目指しています。その実現に向けて、毎年実施しているエンゲージメントスコアの結果に基づき、これまでの施策による成果の確認や課題の把握を行うとともに、今後の追加施策の検討を行っています。

 Say(*1)、Stay(*2)、Strive(*3)の3要素でエンゲージメントスコアを測定しており、NECグループでは、Stayの数値の高さと比較して、SayおよびStriveのスコア伸長が課題であると認識しています。そのため、SayおよびStriveとの相関の高い「全社方針・戦略の浸透」および「評価・報酬・登用・キャリア」に注力し、戦略浸透に向けたコミュニケーションの強化ならびに「主体的な学び・キャリア形成」および「フェアな評価・登用、市場競争力の高い報酬」の実現に向けて、当社を中心に「② 戦略 (イ)HR方針」に記載の取り組みをはじめとする各種施策を展開しています。特に、階層を超えた対話機会等、経営陣と従業員の相互信頼関係の構築を行うことで、リスクの低減とさらなる機会創出に向けた従業員のエンゲージメントの向上を推進します。

 

*1 Say:会社について他者に肯定的に語る。

*2 Stay:会社に留まることを強く望む。

*3 Strive:仕事上求められる以上の努力をする。

 

 

 

④ 指標及び目標

 「2025中期経営計画」およびそれに沿った「2025人事中期経営戦略」において、達成指標を設けています。

 

(イ)「2025中期経営計画」文化における指標:エンゲージメントスコア50%(2025年度)

 2025年度に達成を目指す目標および2024年度末の実績(*1)は、次のとおりです。

区分

2025年度目標

2024年度末実績

エンゲージメントスコア(%)

50

42

 

(ロ)「2025人事中期経営戦略」:多様なタレント人材の活躍

 女性や外国人従業員に代表される多様な人材の積極的な登用と計画的な育成により、イノベーションの源泉であるダイバーシティを加速させます。2025年度末までに達成を目指す目標および2024年度末の実績(*2)は、次のとおりです。

区分

2025年度目標

2024年度末実績

役員(*3)に占める女性または外国人の割合(%)

20

16.9

全管理職に占める女性の割合(%)(*4)

20

10.6

 

(ハ)「2025人事中期経営戦略」:タレントマネジメント

 育成と獲得により、2025年度にDX人材をのべ12,000名とすることを目標として掲げています。DX人材は、2025年3月末日現在、のべ11,935名です。

 

*1 One NECサーベイ(マーサージャパン㈱によるグローバルサーベイを利用)に参画している当社および連結子会社(2024年度は45社)における調査結果に基づきます。
目標値であるエンゲージメントスコア50%は、「2025中期経営計画」を策定した2021年5月時点で、グローバル企業の上位25%タイルに相当します。

*2 本指標における取組みは、連結グループに属する全ての会社を対象として実施しているものではないため、目標および実績は、当社の数値を記載しています。

*3 2025年度目標における役員とは、「(1) サステナビリティ経営 ④指標及び目標」の注記*7に記載のとおりです。

*4 全管理職に占める女性の割合は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しています。また、2025年度目標は、2025年度内に決定された2026年4月1日付異動を含みます。