2026年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    842名(単体) 2,683名(連結)
  • 平均年齢
    44.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    17.5年(単体)
  • 平均年収
    7,114,000円(単体)
  • 平均年収の
    対前年増減率
    1.0%(単体)

従業員の状況

人材戦略に関する基本方針等

(1) 【人材戦略に関する基本方針等】

① 人材戦略

当社グループは、半導体をコアビジネスとし、パワーエレクトロニクス及びその周辺領域を含めた最適なソリューションを提供することを使命としております。こうした事業成長を支える基盤として、人材戦略を経営の中核に位置付け、社員一人ひとりを尊重するとともに、成長の促進を図り、活躍できる環境の整備に取り組んでいます。

 

現在、当社グループは電動化・デジタル化の進展に対応した製品による売上及び利益の拡大に取り組んでいます。そのための人材面における主要な課題は、変化の激しい事業環境下において、多角的な視点と挑戦志向を備えた専門人材の確保・育成・活躍の実現にあります。

 

この課題に対応するため、当社グループは以下の3つの人材戦略を実行しています。

1)    事業の持続的成長を支える専門人材の計画的な確保及び育成 

2)    成果及び価値創出に応じた適切な処遇制度の整備

3)    多様な人材が活躍できる環境の整備

 

一方で、経営戦略の実現に必要な専門人材について、職種及び人数を可視化し、経営戦略と連動した人材構成の最適化を図ることが課題であると認識しています。

このため、従来の採用・育成、エンゲージメント向上、働く環境の整備に加え、今後人材ポートフォリオに基づく最適人員管理を推進していきます。これにより、必要な人材の適時確保と最適配置を実現し、人的資本の価値最大化及び企業価値向上につなげていきます。

 

<人事戦略の将来構想イメージ>


② 具体的な取組

1)  事業の持続的成長を支える専門人材の計画的な確保及び育成

当社グループが目指す姿は、「技と知のプロフェッショナル集団」として、顧客価値の創出に貢献する専門人材が主体的に活躍できる組織であり、その実現に向け、社内教育プログラムを活用した専門人材の育成推進、計画的な人材育成の仕組みの整備を進めております。

また、現場と連携して採用・育成・異動を連動させた人材活用を進める等、最適人員管理に向けた取組を開始しております。

 

当社グループの技術の中核を担う当社においては、専門人材比率は現在30%にとどまっており、今後は計画的な育成と戦略的配置を一体的に推進し、専門人材比率について高度専門職を含め50%への引き上げを2026年度の目標としています。

 

現在、各部門と連携し、経営・事業戦略に基づく人材ニーズと課題の把握・整理を通じて、最適人員管理に向けたHRBPの取組を進めています。

そのうえで、当該ニーズに基づき職種別の人材ポートフォリオを策定し、将来に向けた人材の質及び量を具体化し、さらに、策定した人材ポートフォリオと現有人材との乖離を可視化するGAP分析を実施し、不足及び過不足領域を明確化いたします。

これらの分析結果を踏まえ、計画的な管理職登用、専門人材の育成、並びにキャリアシフトを含む配置の見直しを連動させ、採用・育成・異動等の人事施策を一体的に推進することで、人材の最適配置を実現してまいります。

 

<人材ポートフォリオ管理の取組>


専門人材の育成については、社内教育プログラム・Sanken Nexus School(Nスク)を2023年4月に立上げ、コアビジネスとなるパワー半導体について、理系・文系を問わず学ぶ場をつくり、専門人材の育成を推進するとともに、計画的な人材育成の仕組みの整備を進めております。

本取組の進捗を測る指標として、Nスクの受講者数(修了者数)をKPIに設定しており、講座数の拡充及び受講機会の拡大を通じて、計画的な人材育成を推進しています。

今後は、当該KPIの達成状況を継続的にモニタリングするとともに、人材ポートフォリオとの連動を図ることで、専門人材の質・量の両面からの充実を図り、人的資本の価値向上につなげてまいります。

 

2)  成果及び価値創出に応じた適切な処遇制度の整備

当社グループは、社員が担う役割及び責任の大きさに基づき等級を決定する役割等級制度を採用しております。各等級に応じて求められる役割及び期待成果を明確化し、業績評価及び行動評価を通じてその達成度を測定したうえで、昇給及び賞与等の処遇に反映しております。

社員の賃金は、年功的要素を抑制し、役割及び成果に基づくメリハリのある処遇を基本方針としております。また、当社グループの人材ポリシーに基づき、評価を通じた人材育成及び能力発揮の促進を重視しております。

業績評価にあたっては、事業計画に基づく会社目標を部門及び個人目標へと展開し、目標管理の仕組みにより達成度及びプロセスを評価しております。これにより、社員一人ひとりが経営戦略と連動した役割を果たすことを促進しております。

なお、幹部社員については、固定報酬に加え、会社業績及び個別のKPI達成度に応じて変動する業績連動報酬制度を導入しております。同制度では、短期インセンティブ及び長期インセンティブを組み合わせ、業績と報酬の連動性を高めております。

また、賃金水準については、評価結果に加え、物価動向や市場水準等の外部環境を勘案して決定しております。

今後は、経営戦略と人材戦略の連動性をさらに高める観点から、評価指標(KPI)の高度化や人材ポートフォリオとの整合を図りつつ、社員一人ひとりの価値創出に応じた処遇の実現を目指してまいります。

 

3)  多様な人材が活躍できる環境の整備

社員のエンゲージメント及び組織風土の状況を把握し、持続的な企業価値向上につなげることを目的として、2018年から従業員意識調査(ES調査)を毎年実施しております。

本調査では、働きがい、組織への信頼、成長機会、職場環境等に関する社員の意識を定量的に把握するとともに調査結果を基に、職場単位での対話を通じた改善活動を推進し、マネジメントの高度化や職場環境の改善に取り組むことで、社員エンゲージメントの向上を図っております。

今後は、当該指標を重要な経営指標の一つとして位置付け、組織パフォーマンスの向上及び人材の定着・活躍促進につなげてまいります。

 

<人的資本経営に向けた今後の取組>


③ 人材に関する指標及び目標

人材戦略の実行を通じた人的資本の強化の進捗については、主要な管理指標(KPI)を設定のうえ、その達成状況を継続的にモニタリングしております。これらの指標に関する目標及び実績は、以下のとおりです。

なお、「女性管理職比率」について、当社及び国内グループ会社は、女性人材の採用強化及び選抜による管理職候補者の育成とキャリア形成支援に取り組んでいるものの、現時点では管理職候補となる女性人材の層が十分に形成されておらず、目標値との間に乖離が生じております。今後は、現在の取組みに加え、各部門と連携を深めたHRBPの取組を通じて、人材ポートフォリオに基づく管理職候補層の可視化を進めるとともに、より計画的な育成及びキャリア形成支援を進めることで、女性管理職比率の向上に取り組んでまいります。

また、当社グループは、連携して人材育成及び社内環境整備に関する取組を推進しておりますが、指標については各社の実態を的確に示す観点から、具体的な実績及び目標に関しては連結ベースの数値ではなく、当社及び国内グループ会社の数値を記載しております。

 

 

主な指標(目標及び実績)[当社及び国内グループ会社]

 

目標値

(2026年度)

実績

2025年度

男性育児休業取得率

80%

100.0%

女性管理職比率

13%

6.4%

専門人材確保・専門人材比率(注)

50%

29.7

専門人材育成・社内教育受講者数

280名

281名

 

(注)当社数値

 

(2) 【従業員の状況】

① 連結会社の状況

 

2026年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

半導体デバイス事業

2,683

 

(注) 従業員数は就業人員数であります。

 

② 提出会社の状況

 

 

 

 

2026年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

平均年間給与の対前

事業年度増減率(%)

842

(139)

44.0

17.5

7,114

1.04

 

(注) 1.従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。

2.臨時従業員には、契約社員、再雇用者、パートタイマー従業員及び派遣社員を含んでおります。

3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

③ 労働組合の状況

当社及び一部の連結子会社において労働組合が組織されており、労使関係は安定しております。

なお、当社の労働組合は全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会に加入しており、2026年3月31日現在の組合員数は653名であります。

 

④ 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

1) 提出会社

当事業年度

管理職に占める

女性労働者の割合

(%)(注1)

男性労働者の

育児休業取得率(%)(注2)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注3)

全労働者

正規労働者

パート・

有期労働者

4.2

100.0

78.7

78.6

65.5

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。

配偶者が出産した年度と、育児休業を取得した年度が異なる男性労働者がいる場合、100%を超えることがあります。

3.賃金体系は、資格等級・職位により設定されており、性別による賃金の格差はなく、同じ資格等級・職位における男性、女性の賃金は同一です。

発生している格差は、資格等級・職位ごとの性別構成比の差に起因するものです。

 

 

2) 連結子会社

当事業年度

名称

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

(注1)

男性労働者の

育児休業取得率(%)

(注2)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注3)

全労働者

正規労働者

パート・

有期労働者

石川サンケン株式会社

11.9

100.0

80.6

81.1

96.2

山形サンケン株式会社

8.7

100.0

74.4

76.8

74.8

福島サンケン株式会社

13.3

100.0

79.1

79.9

72.4

新潟サンケン株式会社

0.0

100.0

93.1

93.1

-

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。

配偶者が出産した年度と、育児休業を取得した年度が異なる男性労働者がいる場合、100%を超えることがあります。

3.上記の対象各社の賃金体系は、資格等級・職位により設定されており、性別による賃金の格差はなく、同じ資格等級・職位における男性、女性の賃金は同一です。

発生している格差は、資格等級・職位ごとの性別構成比の差に起因するものです。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)当社グループのサステナビリティ方針

当社グループを取り巻く事業環境は、気候変動への対応や人権尊重など、企業に求められる役割の拡大とともに大きく変化しています。このような環境のもと、当社グループは、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するためには、事業活動を通じた社会課題の解決及び環境・社会・ガバナンス(ESG)への的確な対応が不可欠であると認識しています。この考え方のもと、サステナビリティを経営の重要課題の一つとして位置付け、経営戦略、リスク管理及び業務執行を一体で推進しています。2020年にはSDGsを経営に取り込み、「本業の推進(省エネルギー・高効率化)によるCO₂の削減」と「事業活動を通じた環境負荷の低減」を重点課題(マテリアリティ)として特定しました。これに基づき、当社の主力であるパワー半導体を通じた省エネルギー化など、事業そのものを通じて社会課題の解決に貢献するとともに、その価値を企業の成長へと結び付けています。

また、サステナビリティへの取組を継続的かつ実効的に推進するため、サステナビリティ委員会を中心とした社内体制を整備し、ESGに関する方針・戦略の明確化、リスク及び機会の特定・評価、指標及び目標の設定を行っています。さらに、製造プロセスにおける温室効果ガス削減やエネルギー、水資源、化学物質の使用の最適化及び廃棄物削減・リサイクル資源の有効活用、人的資本への投資、サプライチェーンにおける人権・環境・コンプライアンス課題への対応及び、リスクの把握・低減に向けた取組の推進等、事業運営のあらゆる側面にESGの観点を組み込み、持続可能な事業基盤の強化を図っています。

気候変動や人的資本をはじめとする重要なサステナビリティ課題については、事業環境や社会環境の変化を踏まえ、中長期的な視点で経営への影響を評価するとともに、設定した指標(KPI)の進捗を踏まえ、設備投資や事業戦略の見直しに反映しています。これらの取組については、サステナビリティ委員会において統合的に管理し、経営会議及び取締役会に報告することで、経営上の意思決定と連動させています。

当社グループは、これらの取組を通じて、社会課題の解決と収益の確保を同時に実現し、すべてのステークホルダーから信頼される企業であり続けるとともに、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2026年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。 

 

① ガバナンス(サステナビリティ推進体制)

当社グループは、サステナビリティを経営の重要課題と位置付け、その推進及び監督を実効的に行うため、代表取締役社長CEOを最高責任者とするガバナンス体制を構築しています。

具体的には、ESG経営を組織横断的に推進するため、「サステナビリティ委員会」を設置し、その下に環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)の各部会及びテーマ別チームを配置しています。サステナビリティ委員会は、ESG担当役員の川嶋勝巳を委員長とし、各部会・チームからの報告を基に、サステナビリティに関する方針、戦略、重要課題(マテリアリティ)、リスク及び機会への対応策について審議・決定するとともに、その進捗状況を定期的に確認しています。

サステナビリティ委員会での審議内容は、原則として年2回以上、業務執行の最高意思決定機関である経営会議を経て取締役会に付議・報告され、取締役会はこれらの内容を踏まえ、中長期的な経営戦略への反映状況を監督しています。

また、2024年度より、社外取締役がオブザーバーとして同委員会に出席し、独立した立場からの助言・提言を得ることで、ガバナンスの透明性及び実効性の向上を図っています。さらに、取締役監査等委員に対しても定期的にESG活動の報告を行い、監督・助言機能との連携を強化しています。

このような体制の下、当社グループは、サステナビリティを単なる施策や開示にとどめず、経営戦略・リスク管理・業績評価と連動した統合的なガバナンスのもとで推進しています。

 

 

※ESG経営推進体制図(※表示されている回数は2025年度のESG各部会及びチーム会議の開催実績)


② 戦略

当社グループは、「半導体をコアビジネスとし、パワーエレクトロニクス及びその周辺領域における省エネルギー・高効率化製品の開発・生産・販売を通じて、国際社会の発展に寄与する」という基本方針の下、サステナビリティを中長期的な企業価値向上を実現するための重要な経営戦略の一要素として位置付けています。

また、当社グループは、TCFD提言の考え方を踏まえつつ、国際的な開示基準の動向も考慮し、サステナビリティ情報の開示を行っています。

気候変動に関しては、上記の考え方を踏まえシナリオ分析及びリスク・機会評価を実施しています。分析では、主に1.5℃及び4℃シナリオを参照し、炭素税導入やエネルギー価格高騰等の移行リスク、自然災害等による物理的リスクを特定しています。また、電動化の進展や低炭素社会への移行に伴う省エネルギー・高効率製品需要の拡大を、重要な事業機会と捉え、次世代半導体(GaN、SiC等)の開発強化を進めています。

これらのリスク及び機会の評価結果は、中期経営計画及び設備投資計画に反映しており、リスク低減と事業機会創出の両面から企業価値向上を図っています。これらのリスク及び機会は、エネルギー価格の変動や炭素価格の導入等によるコストの増減、温室効果ガス削減に向けた設備投資の増加等を通じて、当社グループの財務状況及び経営成績に影響を与える可能性があると認識しています。また、前述の事業機会は、売上の拡大を通じて、当社グループの財務状況及び経営成績に影響を与える可能性があると認識しています。

また、人的資本については、技術力及び創造力を競争優位の源泉と位置付け、人材戦略を経営の中核として推進しています。HRBPによる人材育成の高度化、多様な人材の活躍推進、職場環境の整備に加え、人材ポートフォリオの高度化を通じて、事業戦略と連動した人材マネジメントを強化しています。今後は、専門人材の育成と最適配置を一体的に進め、環境変化に柔軟に対応できる組織基盤の構築と人的資本価値の最大化を目指していきます。

これらの戦略は、サステナビリティ委員会において進捗管理を行い、経営会議及び取締役会による監督の下、定期的に見直し・高度化を行うことで、サステナビリティと経営戦略の統合的な推進を図っています。

尚、人的資本の取組の詳細については、第4章「提出会社の状況」の「5.従業員の状況等」をご参照ください。

 

 

③ リスク管理

サステナビリティ関連リスク及び機会は、サステナビリティ委員会を中心に特定・評価され、全社的なリスクマネジメントの枠組みに統合されています。環境分野においては、気候変動や環境規制等に関するリスクを環境マネジメントシステムの運用を通じて管理・監視しています。社会分野においては、人権デュー・ディリジェンスを実施し、人権侵害リスクの特定及び是正対応を進めています。ガバナンス分野については、情報セキュリティ、コンプライアンス等のリスクについて、関係規程及び内部管理体制に基づき管理しています。

また、自然災害、重大事故、情報漏洩等の突発的リスクについては、危機管理委員会を中心とした対応体制を整備し、平時からの備えと有事の迅速な対応を可能としています。これらの活動に加え、内部監査部門が、全社レベル及び業務プロセスレベルにおける統制活動の有効性について独立した立場から監査・評価を行っています。

特定された主要なリスク及び機会については、その影響度及び発生可能性等を踏まえ優先順位付けを行い、対応策を策定するとともに、その内容は経営会議及び取締役会に報告されています。

これらのプロセスにより把握されたサステナビリティ関連リスクは、中期経営計画の策定及び事業戦略の見直しに反映されています。

なお、サステナビリティに関連するリスクの詳細については、「3.事業等のリスク」に記載のとおりであり、当社グループではこれらのリスクを継続的に見直し、管理体制及び対応策の高度化を図っています。

 

④ 指標及び目標

当社グループは、サステナビリティに関する戦略の実効性を高めるため、気候変動及び人的資本を中心とした重要なサステナビリティ項目について、定量的な指標(KPI)及び中長期目標を設定し、その進捗状況を継続的に管理・開示しています。

気候変動分野においては、温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1及びScope2)を主要な管理指標と位置づけています。Scope1には、エネルギー起源CO₂に加え、半導体製造プロセスにおいて使用される温室効果ガス由来の排出を含めて管理しています。

当社グループは、2020年度を基準年として2030年度までにScope1及びScope2の排出量を33%削減することを目標としており、当該目標は国際的な気候変動等に関する動向を踏まえ設定しています。また、2050年のカーボンニュートラルの実現を長期目標とし掲げています。これらの指標の進捗は、再生可能エネルギー導入率や省エネルギー施策の実施状況とあわせてモニタリングされ、サステナビリティ委員会を通じて経営に報告されるとともに、必要に応じて施策や投資計画の見直しに反映されています。

人的資本分野においては、多様性の確保及び働きがい向上、専門人材の育成を重要な管理指標として、男性育児休業取得率、女性管理職比率、専門人材育成をKPIに設定し、目標値を定めたうえで進捗を管理しています。これらの指標は、人材育成施策や人事制度改革の成果を測る指標として活用するとともに、必要に応じて見直しを行っています。

今後も当社グループは、社会環境や事業環境の変化を踏まえ、指標及び目標の妥当性を定期的に検証し、サステナビリティ戦略と経営判断に反映させることで、持続的な企業価値の向上を目指していきます。

なお、これらの目標は現時点の前提に基づくものであり、実際の結果は様々な不確実性により異なる可能性があります。

 

(2)気候変動

① ガバナンス

ステナビリティ委員会では、気候関連のシナリオ分析、リスク及び機会の特定・評価、対応策の検討及び進捗管理について定期的に協議・審議を行っています。これらの審議内容については、経営会議を経て取締役会に報告され、取締役会による監督の下で適切に管理されています。

また、当社グループは、CDP等の外部評価・調査への対応を通じて、気候変動に関する情報開示及び取組の高度化を図っています。これらの外部評価結果については、サステナビリティ委員会において共有され、施策の見直しや改善に活用しています。

気候関連では、以下のような内容について審議を行います。

・気候関連のシナリオ分析

・短期・中期・長期の気候関連のリスクと機会の特定及び重要度評価

・特定した重要な気候関連のリスクと機会に対する戦略的な取組方針

・気候関連のリスクと機会への具体的な対応策の検討

・気候関連のリスクと機会に関して採用された対応策の進捗管理

 

 

② 戦略

当社グループは、半導体・電子応用機器製品の設計、開発、製造、販売事業を展開しており、気候変動による影響を多方面に受けることが予想されます。そのため、中・長期的な視点で気候変動のリスクと機会を特定し、当社グループの事業への影響を把握するとともに、適切な対応を経営計画に組み込むために、シナリオ分析を通した気候関連影響評価を行っています。

分析にあたっては、政府機関の予備研究機関で開示されているシナリオを参照しています。従来の4℃シナリオに加え、低炭素経済における1.5℃シナリオを用いた分析を行った結果、炭素税の導入による移行リスク及び電力価格高騰による財務リスクなどがあることがわかりました。

気候変動に伴う中長期(2030年及び2050年)の社会環境及びビジネス環境の変化に対応するため、当社サステナビリティ委員会において、当社製品及びサプライチェーン全体を通じて、気候関連の課題及び課題への社会的な対応がどのような影響を及ぼし得るかについて審議し、気候関連のリスクと機会を特定しています。気候変動のリスクと機会は、事業活動そのもののリスクや機会でもあるため、その他のリスクとともに経営計画に組み込んでいます。

 

③ リスク管理

グローバルの大きな変化に対する迅速な対応を強化するとともに、事業機会の拡大と社会課題の解決を目指し、柔軟で強靭なESGガバナンスを構築し、ESG経営の推進体制の整備を実施しております。

TCFD提言の考え方を踏まえ、気候関連リスク・機会の特定・評価を行いました。具体的にはまず考えられる、直接操業における気候変動リスクと機会を部門ごとに列挙します。その後本社・工場の各部門長により、重要度を①リスクが顕在化した場合に受ける影響の大きさ(財務的・戦略的)、②影響を受けるタイムスケール(短期、中期、長期の視点から)、③発生頻度(リスクが顕在化した際に影響を受ける頻度はどの程度か)、④顕在化する可能性(リスクが顕在化する可能性はどの程度考えられるか)、⑤顕在化する時期(リスクが顕在化するのはどの程度先の将来か)の5項目について、「大」「中」「小」の3段階で分析、審議します。この審議の結果、特定されたリスクと機会は、サステナビリティ委員会が気候変動関連リスクを含むESGに関する事業リスクを組織横断的に評価しております。また、サステナビリティ委員会は、年に2回以上、経営会議に付議・審議した議案を取締役会に報告しており、ホームページや統合報告書等において適宜情報開示も行っております。

■リスクと機会の特定方法

製品及びそのサプライチェーン全体に係る気候変動関連のリスク及び機会を各STEPに従い特定しました。

STEP1

考えられるリスクと機会の列挙

STEP2

本社・工場の各部門長により、重要度を以下の5項目基準、3段階分類にて分析

 ・リスクが顕在化した場合に受ける影響の大きさ(財務的・戦略的)

 ・影響を受ける期間(どの程度の期間、影響が続くか)

 ・発生頻度(リスクが顕在化した際に影響を受ける頻度はどの程度か)

 ・顕在化する可能性(リスクが顕在化する可能性はどの程度考えられるか)

 ・顕在化する時期(リスクが顕在化するのはどの程度先の将来か)

STEP3

結果の集計(項目の重みや重要度高の頻度も考慮)と類似項目をまとめ、

リスク5個、機会3個を特定し、その重みを「大」「中」「小」に評価・分類

 

(要約)

・1.5℃、2℃の分析のために3つのシナリオ、4℃の分析のために2つのシナリオを使用。

・リスクとして炭素税導入による、電気代高騰、原材料価格、輸送費用高騰等を考慮。

・リスク低減の施策として多面的な省エネ活動、水力由来の電力など自然エネルギーの購入。

・機会として、気候変動による低炭素商品ニーズが高まる中で、「EV向けパワーモジュール」等の販売拡大の期待。

GaN、SiC等の次世代デバイスの開発加速を見込む。

・リスク管理体制として、サステナビリティ委員会(ESG各部会)と危機管理委員会等が連携し監視。

 

 

前述のプロセスを経て特定・評価された気候変動リスクと機会はサステナビリティ委員会において戦略的な取組方針が定められ、具体的対応策の検討が行われております。

 

■リスク

種類

主なリスク

施策

重要度

移行リスク

施策及び規制

化石燃料価格上昇により、電気代が高騰し操業費用が上昇

CO排出量の削減

・省エネ活動

・再生可能エネルギーの電力置換え

・生産時の効率化

・輸送の最適化

・リサイクルの促進

炭素税導入により、操業費用が上昇

気候変動の新たな規制の強化により、既存製品の需要減少に伴う売上の減少

中期経営計画による省エネ・高効率の新製品開発で売上拡大

評判

気候変動対策が遅れることにより、ステークホルダーからの信頼が下がり、市場評価が低下

カーボンニュートラル実現に向けた計画を策定し実行

物理リスク

急性

自然災害等により生産への影響、サプライヤーの操業停止や物流機能被害によって売上が減少

危機管理体制の充実等リスク管理の強化

 

 

■機会

種類

主なリスク

施策

重要度

製品及びサービス

カーボンニュートラルに向けた商品の市場拡大(車載・白物家電等)により売上増

・インバータ向け製品の開発

・IPMの開発

・高効率電源デバイスの開発

・次世代半導体の開発

資源の効率

生産ライン及び社内インフラの省エネ・省資源化

DX・スマートファクトリー導入

評 判

生産段階のカーボンニュートラルを推進することでステークホルダーからの信頼向上

カーボンニュートラル実現に向けた計画を策定し実行

 

気候変動が事業に及ぼす移行・物理的リスク及び機会については、TCFDガイダンスに沿ったシナリオ分析により適切に把握しております。

 

④ 指標及び目標

2015年のパリ協定の決定を踏まえ、シナリオ分析を行った結果、気候変動により平均気温が4℃上昇するシナリオでは物理的リスクとして拠点の洪水など被災リスクの上昇による財務リスク、低炭素経済に移行する1.5℃シナリオでは炭素税の導入による移行リスク、電力価格高騰による財務リスクが大きいことがわかりました。

一方で、1.5℃シナリオにおいては、自動車のEV化の進展により、当社グループが製造するxEV向け半導体デバイスの需要の拡大が重要な事業機会であることもわかりました。これら気候関連リスク・機会のうち、炭素税の財務インパクトが最も大きく、最優先で取り組むべき気候関連課題であることが判明しました。

 

■サンケングループのCO₂排出削減目標

当社グループは国内・国外(大連)を対象に、2020年を基準年とし、2030年度Scope1(エネルギー起源CO₂)及びScope2において33%削減を目標として、位置づけております(産業革命後の気温上昇を2℃未満に抑えるシナリオ)。

今後は、2030年に向けて削減活動を加速させ、さらなる施策の展開を図り、気候変動リスクの低減に努めるとともに、2050年カーボンニュートラルに向けて取り組んでまいります。

なお、これらの目標は現時点の前提に基づくものであり、実際の結果は様々な不確実性により異なる可能性があります。

 

 

1) 具体策

・国内外省エネの活動の推進

・太陽光発電の導入

・再生可能電力への転換

 

2) これまでの具体的な取組

2021年 サステナビリティ委員会発足。

2022年 サンケングループ CO₂削減目標の設定。

2022年 福島サンケンにて再エネ電力100%購入。

2023年 石川サンケンにて堀松工場及び能登工場にてオンサイトPPA導入。

2023年 福島サンケンにてオンサイトPPA導入。

2023年 大連三墾電気にてオンサイトPPA導入、購入電力の一部を風力発電へ切替。

2023年 環境ISOの1/2化:2023年8月環境マネジメントシステム国内4社7拠点 統合(※1)、

2024年3月JQAの審査完了。

2024年 大連三墾電気にて風力発電購入割合の拡大(2025年度風力発電由来電力使用87%)。

(※1)サンケン電気株式会社、石川サンケン株式会社(本社・堀松工場・能登工場・志賀工場

(2026年4月30日閉鎖))、山形サンケン株式会社、福島サンケン株式会社。

 

3) Scope1,2の削減実績 (※1)

 

 

 

 

単位:[kt-CO2]

 

2020年度

2023年度

2024年度

2025年度(※2)

Scope1

エネルギー起源CO₂

6.4

6.1

6.2

5.7

Scope1

半導体製品の開発製造で使用されるGHG

20

21

17

15

Scope2

80

61

59

49

 

※1 算定範囲:サンケン電気本社、石川サンケン、山形サンケン、福島サンケン、大連三墾電気、EK(2024年度より)

2023年度及び2024年度は第三者検証機関により限定的保証にて検証済み。

※2 2025年度データは暫定値。第三者検証機関により検証実施中(2026年5月28日時点)。

 

4) Scope3について

サンケングループにおけるScope3の排出量は388kt-CO₂(2024年度)となっています。

Scope3については、排出量算定の精度向上に取り組むとともに、重要カテゴリーの特定を進めていきます。今後は、削減に向けた具体的な管理指標及び方針の整備を進め、サプライチェーン全体での排出削減に取り組んでまいります。