リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 光通信業界の動向
当社グループの主要事業は、光部品関連事業と光測定器関連事業から成っておりますが、光通信業界向けの製品販売が大きな割合を占めております。そのため、当社の業績は光通信業界の動向に大きく左右されます。
現在、光通信業界における設備投資の動向は予測が難しい状況にあり、投資動向が下振れした際には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、過去、通信キャリアによる新規の通信網の整備や新規設備への投資状況は急激な変化を経験してきましたが、今後も急激に変動する可能性があります。通信機器への需要が変動するのに伴い、当社グループの製品に対する需要も変動することが考えられます。この結果、棚卸資産の収益性の低下に伴う簿価の切下げ等、財務情報に影響を及ぼす可能性があります。
また、通信業界ならびに通信機器業界は、引き続き業界再編の渦中にあり、業界各社は、急速に変化する競合状況に適合するため、インターネットや新しい光通信技術や無線通信関係の技術への投資の方向性を探っております。今後さらに、技術の進展等に対応した業界再編が進むことで、当社の顧客が他の会社と提携または統合するなどの事情の発生が当社グループに影響を及ぼす可能性があります。
② 競合他社との競争
当社グループの主な競合企業は、光通信用のサブシステムやモジュールまたは部品を製造するメーカーであり、光通信機器ベンダーが自ら行う事業部門や、商社などを含みます。
現在、光通信業界を含む光技術業界では、合併、事業統合等の業界再編が行われており、この動きはさらに続くものと予想しております。業界再編により競争がさらに増す可能性があります。
当社グループの既存競合先または新しい競合先の一部は、当社グループよりも財務、技術、営業、購買、生産その他の面で多くの資源を有しております。そのため、これらの競合先が、当社グループよりも新技術や顧客要求の変化に対して素早く対応でき、より強力な競合製品を提供できる可能性があります。
以上のような状況に対処できず、当社グループが十分な競争力を維持できなくなった場合、当社グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 原材料の外部調達
当社グループは、原材料の供給を社外に依存しております。また、一部重要部品においては供給できる外部供給元が限定されております。
当社グループは外部供給元と通常、更新可能な短期契約を結んでおります。当社グループは一定の自己基準を設け、特定供給元への依存を回避する努力をしておりますが、重要部品の不足が生じないという保証はありません。また、外部供給元の事業廃止や製品廃版の可能性もあります。さらに、需要急増に際して、原材料の供給業者が当社グループが必要とする数量を供給できない可能性があります。重要部品が不足すると、原価率上昇、納期遅延などの問題が発生し、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
現在、世界的な半導体不足から、関連する部品の長納期化、調達価格の上昇等の影響が出始めております。この点につきましては、部品の先行手配を行う等、製品の供給を維持するための対策を立案、実行してまいります。
④ 原材料在庫
当社グループは、短納期かつ多量の注文に対応するため、リードタイムが長い原材料や、他に転用しやすい一部の原材料については、一定量を在庫として保有することがあります。在庫保有量については、受注動向、生産量等を勘案し、適正量となるようにしていますが、予想外の大量注文や仕入先の生産動向の急激な変化などによって、必要量を調達できなかった場合、当社グループの業績または財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。反対に、市場環境等の変化により過剰な在庫となった場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 製品の欠陥
製品に欠陥があったり、重大なトラブルにつながる問題が生じたりした場合、当社グループのブランドに対する信頼または評価の喪失、保守サービス及び保証費用等の増加、顧客からの法的手段による請求や、保険料等の費用の増加をもたらす可能性があります。また、欠陥対応へリソースを割くことに起因する新製品開発の遅れ、売上高の減少、市場シェアの喪失、新規顧客獲得力の喪失を招く可能性があります。
⑥ 製造物責任
当社製品には、通信網を支える最重要箇所に用いられたり、医療機器等に組み込まれたりするなど、製品の設計や品質が極めて重要な意味を持つものがあります。当社製品の設計や品質、説明書の不十分な表示等に起因して、他人の身体や財産に損害を与えた場合、製造物責任を問われる可能性があります。
⑦ 新製品開発
当社グループは研究開発型企業として、新製品開発に関して以下のリスクを有しております。
1) 技術の急激な進歩、顧客の要求の変化、規格・標準の変動に対し、当社グループが開発している製品・技術が適合できない可能性があること。
2) 新製品や新技術の開発に必要な資金や資源を十分に投入できる保証がないこと。
3) 新製品または新技術の市場投入の遅れにより、当社グループの製品が陳腐化する可能性があること。
4) 新製品・新技術を開発したとしても、市場からの支持を広く獲得できるとは限らず、これらの製品の販売が成功する保証がないこと。
上記リスクをはじめとして、当社グループが顧客ニーズや、市場ニーズの変化を的確に把握することができず、魅力ある新製品を開発できない場合には、当社グループの将来の成長と収益性を低下させ、業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 知的財産権
当社グループは、事業戦略上重要な製品または技術に関しては、特許申請などにより、積極的に権利の保全を図っております。しかし、特定の地域においては、知的財産権保護が不完全であることなどにより、当社グループ製品・技術が模倣または解析調査などされることを防止できない可能性があります。
また、当社グループは、第三者からの訴訟提起や権利侵害の主張を受ける事態を未然に防止するため、特許事務所を通じた特許調査を随時行っております。しかし、第三者の権利を侵害していないことを完全に調査し確認することは極めて困難です。現時点において当社グループが認識していない第三者の特許等の知的財産権の侵害の事実が存在する可能性は完全には否定できず、また今後、当社グループが第三者から特許権その他知的財産権の侵害を理由に各種請求を受けないという保証はありません。仮に当社グループが第三者から請求や訴訟提起等を受けた場合には、当社グループとしましては専門家と相談のうえ、慎重に対応を行っていく方針でありますが、その場合、多大な費用と時間を要する可能性があります。その結果によっては、当社グループのその後の事業戦略や、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 特定顧客への集中
当社グループは、国内外の主要な通信機器メーカーを主な販売先としております。事業環境の動向によっては、特定顧客に対する働きかけを強化する必要が生じ、当該顧客への依存度が高まる可能性があります。このため、通信機器メーカーを中心とする少数の顧客への営業活動が当社グループの計画通りにいかなかった場合や、当該顧客における光通信機器事業の業績不振、同事業からの撤退、多額の損失の発生、さらには、事業再編などの要因によって、当社グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。この対策として、当社グループは、特定企業への依存を制限する自己基準を設けて取引先の分散を図っております。
⑩ 受注の変動
当社グループは、製品の販売に関して、顧客との間で将来当社グループの製品を購入することを確約する契約を何ら締結しておりません。当社グループの販売は、あくまで個々の注文ベースによるものであります。
顧客によっては、契約内容は以下のような条件になっているものもあります。
1) 当社グループ製品の購入を違約金等の制裁なくいつでもやめることができること。
2) 当社グループの競合先から自由に製品を購入できること。
3) 最低購入数量が要求されていないこと。
4) 一定の条件下では当社グループに対する注文をキャンセルできること。
5) 将来の購入を約することなく、保証・代替品在庫を当社グループにて保有すること。
また、当社グループの主要な販売先からの受注は平準化されておりません。
さらに、当社グループの費用の支出額は、将来の受注に対する予測に基づいています。受注が予想を大きく下回り、かつ、費用を調整することができない場合、当社グループの業績が悪化する要因となります。
⑪ 販売単価の下落と収益性
競合他社との価格競争、新製品や新技術の導入、重要顧客からの圧力等により、一部製品の販売価格は下落傾向にあります。当社グループが販売単価下落幅を上回る原価削減ができなかった場合や、十分な利益を確保できるだけの売上を獲得できなかった場合、当社グループの収益が悪化し、当社グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 資金調達について
当社グループの設備投資(研究開発投資)は現在自己資金の充当によって実施しておりますが、事業戦略及び新製品開発の状況によっては新たな資金調達を必要とすることがありえます。その際に計画通り資金調達できない場合は当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 海外への事業展開に潜在するリスク
当社グループは、アメリカをはじめ、中国、ヨーロッパ諸国等、グローバルに販売活動を展開しております。また、製造原価の低減を目的として、アジアや新興国等における生産・調達割合を高めております。こうした海外市場への事業展開は、以下のようなリスクを内包しております。
1) 予測しない法律または規制の変更。
2) 不利な政治的または経済的要因。
3) 人材の採用と確保の難しさ。
4) 未整備の技術インフラが、製造等の当社グループの活動に悪影響を及ぼすこと、または当社グループの製品やサービスに対する顧客の支持を低下させる可能性。
5) 潜在的に不利な税制による影響。
6) テロ、戦争、その他の要因による社会的、経済的混乱。
当社グループは、製品に価格競争力をつけ、かつ生産量増大に柔軟に対応するため、特にベトナム社会主義共和国(ベトナム)における生産を行っております。ベトナムにおける政治や法環境の変化、労働力の不足、ストライキ、経済・社会状況の変化など、予期せぬ事象によりこうした計画の遂行に問題が生じる可能性があります。これらの事象が発生した場合には、当社グループの海外市場への展開、製品の納期順守、新規の受注等に支障が生じ、当社グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、上述の海外事業展開に関わる取引を主として米ドルによって行っております。また、販売地によって、英ポンド、ユーロ、中国人民元などでも行っています。当社グループでは為替変動による影響を最小限にする活動に取り組んでおりますが、これら通貨に急激な変動等が生じた場合には、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。
⑭ 人材の確保・育成
当社グループが今後成長していくためには、営業活動及び研究開発活動ならびに組織管理のための優秀な人材を確保することが重要であります。しかしながら、必ずしも優秀な人材の育成・獲得・維持が可能であるとは限りません。適正な人材の獲得・育成・維持確保が計画通りに進行しなかった場合には、当社グループの業務や事業計画の遂行に支障が生じる可能性があります。
⑮ 経営者ならびに重要な使用人の事故
当社グループの運営・事業推進は、代表取締役社長 鄭 元鎬のリーダーシップならびに対外交渉能力に大きく依存しております。また、他の取締役ならびに一部の使用人においても代替の難しい能力を持つ者がおります。これらの者が事故に遭う可能性は常にはらんでおり、事故があった場合、当社グループの業務執行について一時的または長期的な影響が発生します。そのため、状況によっては当社グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。この対策として、当社グループでは特定の人物への依存を軽減し分散することを明示的な目標として取り組んでおります。
⑯ 自然災害、伝染病流行、インフラの損傷等による影響
当社グループの主たる営業拠点及び生産拠点は愛知県小牧市にあります。同地域内で発生した自然災害や伝染病の流行、電気・ガス・水道・交通機関などインフラの損傷や停止等は、当社グループの事業活動に大きな影響を与えるおそれがあります。特に、同地域は、政府の中央防災会議において、地震が発生した際は大きな被害が想定される地域であるとして、南海トラフ地震防災対策推進地域に指定されております。
こうした災害等の発生地域内に、当社グループの重要顧客や仕入先が関係する営業拠点、生産拠点があった場合、当社の営業活動や生産活動に著しい影響を与える可能性があります。
⑰ 為替や株式市場の変動による影響
当社グループにおいては、余剰資金の有効な運用のため、社内規程に基づいて、株式、債券、外貨預金、あるいは、それらを組み合わせた金融商品を保有しております。これらについて、市況の悪化や投資先の業績不振による株価下落等によって、評価損や為替差損の計上が必要となる可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主の皆様への利益還元を経営の重要課題の一つとして認識しております。将来の事業展開と経営基盤の強化のために必要な内部留保を確保しつつも、収益の状況や財政状態を総合的に勘案して、安定的な配当水準を維持することを基本方針とし、目標とすべき指針として連結配当性向30%を挙げております。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。
これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
当社は、「取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。
当事業年度の剰余金の配当につきましては、中間配当40円に期末配当50円を加えて、1株当たり90円の配当としております。
(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2023年11月10日 |
470 |
40 |
取締役会決議 |
||
2024年6月19日 |
588 |
50 |
定時株主総会決議 |