2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    440名(単体) 15,606名(連結)
  • 平均年齢
    43.3歳(単体)
  • 平均勤続年数
    14.3年(単体)
  • 平均年収
    7,191,817円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

スピーカ事業

12,268

モバイルオーディオ事業

1,616

その他事業

1,635

全社(共通)

87

合計

15,606

(注)1 従業員数は就業人員数です。

2 上記の従業員数には広州豊達電機有限公司が製造を委託している広州市番禺区旧水坑豊達電機廠の従業員数1,810名を含んでいます。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2025年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

440

〔83〕

43.3

14.3

7,191,817

 

 

 

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

スピーカ事業

144

(23)

モバイルオーディオ事業

46

(7)

その他事業

177

(29)

全社(共通)

73

(24)

合計

440

(83)

(注)1 従業員数は就業人員数です。

2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。

3 従業員数欄の〔 〕は、臨時従業員の年間平均雇用人員です。

 

(3)労働組合の状況

 当社及び国内連結子会社に労働組合はありません。なお、従業員による組織があり労使交渉に当たっています。

 また、在外連結子会社の一部において労働組合が組織されていますが、労使の関係は安定しています。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 提出会社

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

   (注)1.

男性労働者の育児休業取得率(%)

   (注)2.5.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1.4.

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

13.7

125.0

79.4

81.0

64.8

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.契約社員には年俸契約社員、月給契約社員及び時給契約社員が含まれます。なお、時給契約社員については、所定労働時間(7.5時間/日)をもとに人員数の換算を行っています。

4.男女の賃金格差については、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しています。なお、同一労働の賃金に差はなく、等級別人数構成の差によるものです。出向者は、出向先の従業員として集計しています。

5.子の出生年度とその子に対する育児休業等及び育児目的休暇の取得開始年度のずれにより、育児休暇取得率が100%を超える場合があります。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社は、社是として「誠実」、ビジョンとして「未来社会に音で貢献する」、ミッションとして「音に関わる製品やソリューションを通して、世界中により快適な生活やコミュニケーションの喜びを提供し社会から期待される企業になる」ことを掲げて活動しています。その根底にはサステナビリティの理念が深く根付いており、創業時から一貫して社会から必要とされ発展し続けるサステナブルな企業を目指してきました。自社のみならず、社会双方のサステナビリティの実現に向けて、2021年には「ESG経営宣言」を制定し、E(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)の側面を重視した経営に取り組んでいます。

 また、時代の変遷に伴いサステナビリティ課題への意識がより一層高まり、同時に気候変動、資源枯渇、社会的不平等、人権問題など、解決すべき社会的課題が増加しています。企業としての責任がますます重要になっています。

 ステークホルダー、特にお客様からの期待やニーズも多様化・高度化しており、企業にはより高い基準での対応が求められています。当社の車載関連ビジネスにおいては、電気自動車(EV)化の進展を背景に軽量化が求められ、環境負荷軽減やカーボンニュートラルへの対応も重要な課題です。現在、車載用音響スピーカの小型・軽量化を進めており、次世代スピーカとして環境配慮製品の開発も行っています。さらに、リサイクル材料の使用や、製造プロセスにおけるエネルギー効率の向上にも取り組んでいます。私たちの音響技術や材料開発力・製造技術をもって、これらの要望に応える製品を開発し提供していきます。

 今後も「ESG経営の推進」を経営方針の中核に据え、健全な企業風土の醸成、働き方改革のさらなる推進、品質管理・リスク管理の徹底を図ると共に、CO2排出削減やエネルギー効率の向上、サプライチェーンにおける人権尊重など社会課題の解決に取り組んでまいります。ステークホルダーの皆様、そして社会全体の期待に応え、サステナビリティに貢献していきます。

 

  (ⅰ)サステナビリティ全般

(1)ガバナンス

 企業価値・株主価値の最大化を図るため、経営環境の変化に迅速かつ的確に対応できる意思決定と、適法かつ適正な業務執行が可能な経営体制および公正で健全な経営システムの確立が重要であると認識し、ガバナンスに取り組んでいます。

 当社では2006年にCSR憲章の初版を発行し、2010年にアメリカの電子工業会が定めたCSR基準であるEICC(注)を基本方針として採用することで、グローバルな汎用性・普遍性を追求し、内容を刷新しました。

 さらに、2022年には従来取り組んできた企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility、以下 CSR)だけでなく、自社そして社会双方のサステナビリティを追求することを明確にするために、CSR憲章を改定し、「サステナビリティ憲章」を制定しました。すべての役員・社員が、企業のサステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)を重要な課題としてとらえていることを周知し、日々の活動の中でサステナビリティを意識し、果たすことを目的としています。

 (注) Electronic Industry Citizenship Coalition(2017年にResponsible Business Alliance に改名)
 

〈サステナビリティ推進体制〉

当社では、経営方針や重要事項の意思決定を担う取締役会の監督のもと、サステナビリティ推進を担う執行機関であるサステナビリティ委員会が重要事項を諮問し、それに基づいて取締役会が審議・承認を行っています。取締役会はサステナビリティに関する知識や経験を有する取締役が加わって構成されており、社外取締役の参画により、客観的な視点も取り入れながら、月1回定時に開催し、迅速かつ的確な意思決定と経営監督を実施しています。また、サステナビリティ委員会からの諮問事項については建設的なフィードバックを行い、委員会活動の質の向上にもつなげています。

執行側としては、代表取締役社長を委員長とし、関連部門の代表をコアメンバーとするサステナビリティ委員会を本社に設置しています。サステナビリティ委員会は、実行委員長であるサステナビリティ担当役員出席のもと、本社および各拠点のサステナビリティ責任者、実務担当者により月次で開催され、グループ全体におけるサステナビリティ推進活動、マテリアリティの特定プロセスやマテリアリティKPI設定・進捗のモニタリングと連携活動を担っています。

 

 

 

2024年度の取締役会、サステナビリティ委員会におけるサステナビリティ関連の報告・審議事項

取締役会

審議・承認事項

・マテリアリティの見直し

・統合報告書の発刊

・サステナビリティに関する活動報告及び業務計画

サステナビリティ委員会

審議事項

・マテリアリティの見直し

・フォスターグループサプライヤーサステナビリティ行動規範の改定

・2024年度CO2削減アクションプログラムの策定

・統合報告書の発刊

 

報告事項

・マテリアリティKPIの進捗・振り返り

・サステナビリティ情報開示(CSRD、TCFD・TNFD対応)

・外部ESG評価機関・お客様調査に基づくESG重要課題

・2024年度CO2削減アクションプログラム進捗結果

・環境内部監査、マネジメントレビュー、ISO14001審査の結果

・お客様CSR監査の進捗・結果

 

(2)戦略

 2021年には、「ESG経営宣言」を制定し、E(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)を軸とした経営に取り組むフォスターの姿勢を社内外に発信しました。すべての企業活動の原点である「社員」のウェルビーイングを活動の基点として、自社そして社会双方のサステナビリティ実現に向けて、中長期的にESG経営に取り組む当社のコミットメントおよび当社のありたい姿を具体的に表現したものです。

 さらに事業活動を通じてESG課題に統合的に取り組むために、2024年には従来のESGマテリアリティに事業(B)の要素を組み込み、「B+ESG」の領域でマテリアリティを設定しました。事業とESGの双方を連携させ、さらなる強化と推進を図ります。当社のサステナビリティ推進活動は、マテリアリティに伴うKPIの設定に始まり、ESGの側面からPDCAサイクルを実行しています。

 

(3)リスク管理

 当社のリスクマネジメントは、サステナビリティ関連を含むリスクを事前に予測し、リスクが具現化されることを未然に防ぐため、然るべき対策を講ずること、および万一リスクが発現・具現化して危機が発生した場合には、被害を最小化することを主な目的としています。具体的には、「フォワードルッキングなリスク・危機管理に向けての態勢作り」を運営の基本方針として、「RCM(リスクコントロールマトリックス)フレームワーク」の高度化及び情報管理・共有体制の強化を図っています。

 

〈リスクマネジメント推進体制〉

 経営に支障をきたす可能性のあるリスクに迅速かつ的確に対処するため、代表取締役社長を委員長とするリスク・危機管理委員会を設置しています。これにより、全社的なリスクの評価、管理、対策立案とその実行を行っています。

 

 

   また、マテリアリティの設定に際しては、当社が社会および環境に与える影響(インパクト)と、それに伴う財務

   上の影響(リスクと機会)を考慮し、これらの影響の大きさや発生の可能性に基づいて重要度を評価しました。

   この様な評価プロセスを経て設定されたマテリアリティをもとに、当社はサステナビリティへの対応を推進してい

   ます。

 

(4)指標及び目標

 当社では、ESGの側面から設定した各マテリアリティを主担当部署ごとに、毎年目標・KPIを設定して推進し、達成に向けて取り組んでいます。進捗結果については、役員をはじめ関連部門の代表が出席するサステナビリティ委員会で審議し、見直しや改善の対策を講じています。なお、本有価証券報告書に掲載の「〈2〉人的資本への取組:人的資本への取組に関する指標、目標及び実績」以外の各KPIに対する2024年度の取り組み状況に関しましては、2025年7月末発刊予定の統合報告書にて開示する予定です。

 

B+ESG

マテリアリティ項目

サブ課題

2024年度目標(KPI)

事業(B)

音と振動を通じた快適な空間・楽しさ・喜びの提供

-

2025年4月よりスタートのためKPI掲載はございません

安心・安全な社会の実現

-

お客様とのパートナーシップによる
新たな価値の提供

-

安定した収益確保
による社会への経済的貢献

-

環境(E)

気候変動への対応

気候変動に対するレジリエンス向上

BCP訓練の実施

災害発生時における本社と拠点との合同BCP訓練・年1回の実施と課題の解消

温室効果ガス
排出量の削減

Scope1&2の総排出量
 
 


Scope3の総排出量
 

・2025年目標:2018年度比30%削減
・2030年目標:2018年度比50%削減
 
・2025年目標:2018年度比3%削減
・2030年目標:2018年度比15%削減

エネルギー使用の効率化と再生可能エネルギー利用の促進

再生可能エネルギー
比率の向上

-

資源循環型社会の
実現への貢献による地球生態系保全

サーキュラー
エコノミーの実現

105g未満に向けた軽量化技術を盛り込んだ自主開発品の製作完了
 
環境対応スピーカ(注1)の採用率の向上
車載用環境対応スピーカの採用率(売上高比)

 

 

 

 

2024年度:20%
2025年度:22%

各国の環境法規制への対応と環境負荷の低減

新規モバイルオーディオ製品のうち「トルエン不使用製品」の比率

100%

自然生態系の保護と回復

事業活動と生物多様性との依存度・影響評価を検討

-

社会(S)

理念の浸透と
人財育成

-

新規雇用従業員への
理念浸透教育実施率
(本社)
 
従業員一人当たりの
年間研修時間(本社)
 
 
全社研修有効性評価・満足度の平均スコア(本社)
 
従業員一人当たりの
研修費用(本社)

100%
 


 
35.0時間以上
(23年度実績:33.1時間)
 
 

85以上(23年度実績:84.9)
 
 
 

70,000円
(23年度実績:66,418円)

社員のウェルビー

イング向上

従業員のエンゲージメントの向上

エンゲージメント調査のポジティブ回答比率
(本社)

76.0%以上

労働安全衛生の
推進

重大結果に繋がる労働関連の傷害件数(注2)

0件

働きがいのある/働きやすい職場づくり

従業員一人当たりの

総労働時間(本社)
特定保健指導・健診事後措置面談受診率
(本社)
定期健康診断受診率
(本社)
介護離職者(本社)

月平均158時間以下
 

80%
 


100%維持
 

0%維持

ダイバーシティ・エクイティ&
インクルージョン(DE&I)の推進

女性管理職比率
(本社)
 
海外人財比率(本社)
障がい者雇用率
(本社)
男性の配偶者出産休暇取得率(本社)
男性の育児休業取得率
(本社)

2025年度 30%
 


2025年度 30%

法定雇用率2.5%を上回る
 
100%
 

70%

人権への理解向上と侵害防止

DE&I教育・人権教育・ハラスメント研修の
受講率(本社)

100%

バリューチェーンにおけるサステナビリティ推進

-

①重要サプライヤー(注3) CSR自主アセスメントの実施率
②重要サプライヤーCSR適合率(注4)
 
責任ある鉱物調達調査におけるサプライヤーからの回答回収率
既存サプライヤー
新規登録のサプライヤー

100%


 

100%
 
 
 
 

 

99%以上
100%

製品の安全・品質および安定供給の確保

製品の安全性

品質経営の推進による製品品質の更なる向上を目指す

受注から量産までの未然防止活動による重大クレーム(注5)
発生:0件

製品、サービスの品質の確保

顧客満足度 「Aランク」率(注6)
95%以上

製品の安定供給

目標のスピーカ在庫回転率を達成

本社:4回転/年
米国拠点:4.8回転/年
欧州拠点 :3.6回転/年

ガバナンス(G)

ガバナンス強化によるステークホルダーからの信頼の維持・向上

コンプライアンスの徹底

コンプライアンス・
テストおよびコンプライアンスアンケートの回答率
内部通報制度の周知率
コンプライアンス研修の実施と満足度

100%の維持
 

 

 

100%
5段階中平均4以上の確保

リスクマネジメント態勢の充実

リスクアセスメントに基づくリスク・危機管理の体制・運用の改善
 
重要項目のモニタリング(注7) を実施し、各項目の対応策年度内完了率


 
 
 
100%

ITガバナンスの
強化

情報セキュリティに
関する重大な事故

0件

知的財産の管理と活用

知的財産マネジメントサイクルの高度化

-

 

(注1) 環境対応スピーカ:軽量化、VOC削減、はんだ低減、ドライプロセス採用等の環境配慮要素をひとつでも含んでいるスピーカ

(注2) 重大結果に繋がる労働関連の傷害 (high-consequence work-related injury) :死亡、または6ヶ月以内に労働者が傷害前の健康状態に完全に回復することができないか、または 回復しないと予想される傷害をもたらす労働関連の傷害

(注3) 重要サプライヤー:当社の調達金額80%に該当する上位サプライヤー約50社

(注4) CSR適合率:CSR自主アセスメント評価点66%以上を達成しているサプライヤーを適合とする(65%以下は不適合)

(注5) 人命・財産・環境、などに重篤な影響を与える不具合

(注6) 「Aランク」率:顧客満足度の評価にて指摘や改善要求等なく要求を満足できているステータス

(注7) 1.グローバルロジスティクス体制の展開構築  2.BCP体制の検証とグローバルの継続  3.サプライヤーの事業継続性の管理  4.グローバルベースでの情報セキュリティ管理体制の強化  5.その他期中に生じる事象から予見するリスク

 

  (ⅱ)テーマ別サステナビリティ課題

  〈1〉気候変動への対応(TCFD提言への取り組み)

 環境や気候変動に関するテーマを重要な課題と考え、2022年2月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD(注))」提言への賛同を表明すると共に、TCFDの効果的な情報開示や適切な取り組みについて、賛同企業や金融機関等が議論を行うTCFDコンソーシアムに参画しました。気候変動におけるリスクと機会を把握した上で、社内外の知見を活かしながら引き続き有効な対策を推進すると共に、TCFDの提言に沿った情報開示を積極的に進めてまいります。

(注) 気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate- related Financial Disclosures):各国の中央銀行・金融当局や国際機関が参加する金融安定理事会(FSB)が2015年に設立した、気候変動が経営に及ぼす影響の試算や情報開示のあり方について考えるタスクフォース。企業等に対し、気候変動関連リスクおよび機会に関する情報開示を推奨。

 

1.ガバナンス

 サステナビリティを重要なテーマとして捉え、2021年3月にESG経営を宣言し、優先課題であるマテリアリティの一つとして「気候変動への対応」「2050年カーボンニュートラルの実現」を目指すことを掲げ、その目標や削減活動は、全社員に展開され推進されています。

 また、ESG経営を推進するため、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会が月次開催されています。同委員会は、気候変動に関する課題に対し、サステナビリティ担当役員、各本部長および本社・グローバル拠点の各部門から任命されるサステナビリティ推進責任者出席のもと、課題認識、方針・施策を審議・決定し、進捗状況を共有・モニタリングするものです。

 取締役会は、経営課題に関わるTCFDの賛同表明・情報開示、削減目標および施策等を審議・決定しています。また、同委員会の審議状況や進捗状況に関し、定期的もしくは必要に応じて報告を受け、当該業務執行状況を監督する役割を果たします。

 

2.戦略

 TCFD提言が提唱するフレームワークに基づいて、2030年時点の外部環境の変化を検討し、気候変動が当社に与える影響を分析しました。リスク・機会の分析にあたっては 1.5℃と4℃シナリオを採用し、移行リスクに関しては気候変動の緩和に向け、政策や市場がどのように移行するかを考えます。物理的リスクに関しては、気候変動に伴う気象災害の頻度や影響がどのように変化するかを分析しました。

 特定したリスクおよび機会の対応については中期事業計画へ展開すると共に、今後は自社への財務的な影響についても検討を進めます。また、インパクトの大きい一部の車載関連事業を対象に分析を行っていますが、対象外となった事業も含めて、引き続き分析を進めます。

 

〈気候変動リスクと機会に関する事業影響〉

 

3.リスク管理

 経営に支障をきたす可能性のあるリスクに迅速かつ的確に対処するため、代表取締役社長を委員長とするリスク・危機管理委員会を設置しています。これにより、全社的なリスクの評価、管理、対策立案とその実行を行っています。

 特に気候変動に関連するリスクについては、同委員会の総合リスク評価においてトップリスクの一つとして位置づけ、サステナビリティ委員会がリスクの識別・評価し、対応策を講じる等、実効性を高めています。

 当該リスク管理、対応策の状況等については、取締役会においても情報共有が行われ、全社のリスク・危機管理について監督およびモニタリングを実施すると共に、リスク評価とマテリアリティ分析の整合性を図ることで、全社における総合的リスク管理の強化を進めています。

 

4.目標と指標

 2021年3月にサステナビリティ実現へ向けて「ESG経営宣言」を制定し、「脱炭素社会」、「ゼロエミッションへのたゆまぬ努力」を中長期的に目指すことを掲げました。これらの宣言の下、パリ協定の1.5℃目標に沿って2030年までの中期環境目標(Scope1、2)の見直しを行いました。また、新たに2050年までの長期目標を設定しています。

(1)2030年中期削減目標

・Scope1、2:2030年までに2018年比で50%削減

・Scope3  :2030年までに2018年比で15%削減

(2)2050年長期削減目標

・2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指す

 これらの目標を達成すべく、今期(2024年度)CO2削減アクションプログラム〈Ver.2025〉を策定しました。当社グループ全体において本社、拠点が一体となり、CO2削減活動を加速させます。

 

具体的な削減施策

ⅰ.自社による省電力化(地道活動/革新的活動)

〈地道活動〉

具体的施策:

・運用改善    :運用、メンテナンス、保温・断熱改善、等

・省エネ設備の導入:各設備の改造・更新

〈革新的活動〉

活動内容:

・新しい製造方法・設計仕様の研究・導入

具体的施策:

・次世代スピーカプロジェクトによる革新的技術開発、等

ⅱ.再生可能エネルギー電力の調達

・費用対効果を検証の上、電力会社からの購入電力を再エネ100%メニューに切替

ⅲ.自社による再生エネルギー発電

・自社太陽光発電設備の導入

ⅳ.グリーン電力証書購入によるオフセット(不足分)

 ・海外工場におけるグリーン電力証書の購入

 

具体的なKPI

各拠点で電力使用量を削減のKPIに設定し、計画的な省エネルギー活動を推進しています。これらの活動を通じて、Scope1、2の2030年度目標(2018年度比50%削減)の確実な達成を目指します。

 

〈2〉人的資本への取組

Ⅰ.人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針等

 

1.人財開発方針

 当社の人財開発は、「中長期的な事業戦略と一人ひとりの個性(強み・弱み)を踏まえた、個々の人財開発目標に応じて、人事諸制度との有機的な連携を図りながら継続的に行う」ことを基本としています。長期的な視座から「採用・育成・活用・評価・処遇」を有機的に一体で捉えた「人事グランドデザイン」を策定し、社員一人ひとりが誇りとやりがいを持って力を発揮できる人事フレームワークを構築するとともに、次代のフォスターを担う人財基盤を盤石にするための「人づくり」を推進しています。

 

2.人財開発の指針となる人財像

・業務を通じてビジョンを具現化し、実現に向けてまい進する「強い意志」と「行動力」を持つ人財

・現状に甘んじることなく、あらゆる機会を利用して自己の能力を高める工夫と努力をし、成長できる人財

・専門性を武器に、戦略策定・遂行の中核となり、継続的に価値創出ができるプロフェッショナルな人財

・期待されている、また果たすべき役割や使命を自覚し、自らの行動および結果に対し責任を持つことができる自律型の人財

 

3.主な施策

① 自律的なキャリア開発への取り組み

 人財開発において、キャリア形成に対する社員自身の主体的な取り組みが必要不可欠です。自身がどのような成長を望み、どのようなスキルを身につけることが必要か、社員自らの意思で考え行動することが、人づくりの礎となり、より高い付加価値を生み出す源泉になると考えています。一人ひとりのキャリアプランやライフステージにあわせて、柔軟に選択肢を選ぶことができる「キャリアコース制度」を設け、社員の自律的成長を促し、支援しています。

 

 

② 次世代人財育成への取り組み

 継続的な経営人財育成戦略の一環として、次代を担う人財をグローバルレベルで育成する「Global Leadership Development Program(GLDP)」を推進しています。

 GLDPは、2010年から本格的に取り組んできた経営人財育成プログラムを再構築し、2019年に新たなプログラムとして体系化したもので、主要ポストの後継者候補として選抜された対象者に対し、それぞれに適した能力開発を順次実施する選抜型の育成プログラムです。

また、2023年度には、若手社員層に対する公募型の育成プログラム「Start Up Program」を導入し、将来のタレントプール人財の育成も強化しています。

 

③ グローバル人財育成への取り組み

 多様な文化や価値観を理解し、世界中の拠点で力を発揮できる人財を計画的・継続的に育成するため、体系的なグローバル人財育成プログラムを展開しています。

 新入社員全員が参加する「海外工場実習プログラム」は、当社のグローバル人財育成の基盤となる取り組みです。海外製造拠点での実務経験を通じて、製造工程や品質管理、生産革新への取り組みを学ぶとともに、異なる文化背景を持つ同僚との協働を体験します。この早期段階での海外経験は、当社の「ものづくり」の本質理解と同時に、グローバルマインドの醸成に大きく寄与しています。

また、若手社員向けの「Global-eye Program」や中堅社員を対象とした海外トレーニー研修制度など、多様な形態での国際人事異動を推進し、より実践的な海外業務経験を積む機会を提供して将来のグローバルリーダーとしての素養を培います。昇格者研修や管理者研修においては、DE&I の理解促進と実践にも重点を置いており、多様性を強みに変える組織づくりの重要性を全社に浸透させています。

こうした多層的なアプローチにより、当社は世界各地の拠点で活躍できるグローバル人財の育成と、国際競争力の強化に取り組んでいます。

 

④ 若手社員の定着と早期戦力化への取り組み

 若手社員の成長を多角的に支援するための包括的なフォローアップ体制を整えています。「メンター制度」では、先輩社員が身近な相談相手となり日常業務や職場環境への適応をサポートします。「役員メンター制度」では、経営層が直接若手社員と定期面談を行い、キャリア形成や長期的な成長に関するアドバイスを提供しています。さらに「エスコートランナー制度」では、人事部門の専任担当者が若手社員の成長過程に寄り添い、職場での関係構築からキャリアプランニングまで、包括的なサポートを提供しています。これらの制度が互いに連携することで、若手社員の多様なニーズに応え、成長をきめ細かく支援する体制を実現しています。

また、「役員と若手社員との車座ミーティング」は、経営層と若手社員が直接対話する貴重な機会となっています。このミーティングでは、事業戦略や会社の将来ビジョンについての質疑応答だけでなく、若手社員が日々の業務で感じている課題や改善提案を経営層に直接伝える場としても機能しています。

 

⑤ 技術承継、技術者育成への取り組み

 技術者育成プログラムの一つとして、「アラカルト研修」を導入しています。約45種類・合計200時間以上の講座の中から、ニーズに合わせて必要なものを選択し受講することができるものです。また過去の講座を動画で視聴できる環境も整えています。

このプログラムの最大の特徴は、すべての講義を社内講師により実施されているため、当社の実務に最適化された内容になっていること、そして受講者の教育と同時に社内講師の育成を継続的に行っている点にあります。

この取り組みが、当社の技術力の底上げと技術承継を促し、確かな技術力を支える礎となっています。2011年の開講以来、受講者数はのべ4,600名以上におよびます。

 

⑥ 組織風土改革への取り組み

 毎年実施している「ストレスチェックおよび従業員満足度・エンゲージメント調査」結果から、課題抽出のための組織分析を実施。加えて2022年度からは「360度フィードバック制度」を導入し、管理職層の自己内省と行動変容を促すことで、よりよい職場環境づくりに向けた取り組みを強化しています。

この他にも、労働組合に代わる社員組織である「真珠会」との労使協議を通じて得られるさまざまな要望や提言、退職者への「exitインタビュー」結果や、人事評価フィードバック面談実施後の社員アンケート結果等から、継続的に課題抽出を行い、人事施策へ反映させていく活動を続けています。

 

⑦ 理念浸透、エンゲージメント向上への取り組み

「Foster Rhythm Project」という取り組みをグローバル規模で展開し、企業理念の浸透を図っています。このプロジェクトによって、フォスターグループの「ありたい姿」を再定義し、社員自らが考えアイディアを出しあいながら、行動基準や大切にする価値観を言語化しました。これらをガイドブックやカードとしてまとめ、全世界の社員に配布しています。また、ワークショップや各種教育プログラムを継続的に実施することで、企業理念を体現できる人づくりと、活力ある組織風土づくりに取り組んでいます。

さらに、社員のチャレンジ支援プログラム (注)(Foster Incubation Program)では、自社の強みや魅力を発信する取り組みとして、短編動画「FOSTER STORIES」を制作する等、エンゲージメント向上につながる活動は、様々な形で広がりと進化を続けています。

(注) 2020年から開始した社内の取り組み。

社員自らが、ワクワクすること・チャレンジするアイディアや技術を生かしたプロジェクトを立ち上げ、それを支援する制度です。

 

Ⅱ.社内環境整備に関する方針

1.ダイバーシティ・エクイティ & インクルージョン(DE&I)

〈方針〉

多様な人財がグローバルに連携を図りながら価値共創を行うことは、当社の「ものづくり」において必要不可欠です。

 年齢・性別・性的指向・身体的特徴・価値観・学歴・経歴・出身地・人種・民族・国籍等、さまざまな個性の多様性が尊重されるとともに、個々の事情や育児・介護といったライフイベント等の多様なニーズに応じ、安心していきいきと働くことができる組織風土づくりを推進しています。

 これにより、社員と会社の「Win-Winの関係」を築き、社員一人ひとりの充実した個人生活の実現と、新たな価値の創造・企業競争力の向上という相乗効果を生みだすことを目指しています。

 

〈推進体制〉

 ダイバーシティ・エクイティ & インクルージョン(DE&I)を推進する専任組織として、人事部門内に「ダイバーシティ推進課」を設置しています。

 

〈主な施策・活動(本社)〉

① ダイバーシティ教育への取り組み

 多様な人財の活躍が企業のあらたな価値の創造につながることへの理解を深めるため、社内イントラネット上にダイバーシティに関する専用ウェブサイトを設置し、さまざまな情報発信を行っています。この中で、多様性を尊重したコミュニケーションの促進を目的とした「インクルーシブ・ランゲージ」についての啓発も実施しています。2018年から人事評価項目に「ダイバーシティへの取り組み行動実績」を追加しました。2023年度は「一人ひとりが自分らしく活躍するために~アンコンシャス・バイアスに気づき、行動を変える一歩を踏み出そう~」をテーマに女性取締役による講演会を開催しました。2024年度は管理職向けにダイバーシティ・マネジメント研修を実施し、属性の違いに合わせたマネジメントについて学びました。すべての社員のダイバーシティに関する意識を高め、自ら推進する行動を促すことで、より包括的で多様性のある職場づくりに取り組んでいます。

 

② LGBTQ+(性的マイノリティ)への理解促進に対する取り組み

 以前よりLGBTQ+に関する理解を深め、Ally(LGBTQ+当事者の理解者、応援者のこと)を増やす活動を推進してきました。2023年度にLGBTQ+フレンドリー推進検討会を立ち上げ、個人の性的志向や性自認を尊重すべく活動しています。また「多様性を組織力に変えるためのLGBT講座」や、「ハラスメントのない職場づくり講座」といったオンライン教育コンテンツを導入し、いつでも受講できるようにしています。

 

③ 女性活躍推進への取り組み

 2025年度までに管理職に占める女性管理職の割合を30%にすることを目標に掲げ、女性社員の計画的育成やキャリア形成における支援に取り組んでいます。2022年度は女性取締役が講師となり、多様なキャリアについての理解を深めることで自身のキャリア開発イメージを明確にするとともに、女性社員のネットワークづくりを目的とした「若手・中堅女性社員のためのキャリア研修」を実施しました。また2024年度は女性管理職と女性社員との座談会を開催し、女性管理職からキャリアを形成する上で努力したこと、管理職としてのやりがい、仕事とプライベートを両立するために工夫したことなどをオープンに語ってもらいました。参加者からは、普段聞くことができない話を直接聞くことができて有意義な座談会だったとの声が寄せられています。

 

④ 子育て&介護支援への取り組み

 子育て世代の社員や介護をしながら働く社員が安心して働ける環境づくりを促進するため、仕事と育児・介護の両立支援制度拡充に取り組んできました。2018年4月より、育児休業は最長3年まで、介護休業は最長183日まで、休業期間を延長しました。「子の看護休暇」についても法令上のものに加え、中学校までの子を養育する社員にまで取得要件を拡大しました。また、社内に相談窓口を設置し、個別に適切なアドバイスや情報を提供できる体制を整えています。2023年度は「介護セミナー~人生100年時代を生きる~」をテーマにeラーニング講座を開設し、いつでも受講できるようにしました。

 

⑤ シニア人財活用への取り組み

 60歳の定年到達後、65歳までの継続雇用制度(再雇用制度)を適用しています。経験豊富なシニア人財は会社にとって欠かせない戦力であるとの考えから、モチベーションを維持しながら積極的に働けるよう、シニア人財が活躍できる環境の整備を行っています。シニア人財の勤務形態は職務の必要性等に応じて個別に決定されますが、所定労働日数や所定労働時間については柔軟な選択肢を用意するなど、シニア人財の多様な働き方を支援しています。

 

⑥ グローバルな人財採用への取り組み

 人財採用においても多様性を重視し、差別のない公正な選考を行うことはもちろんのこと、本社で働く人財のグローバル化促進を目的として、外国籍社員の積極採用にも取り組んでいます。新規学卒者採用における海外人財比率は、過去15年間で20%以上となっており、キャリア採用においても同様にグローバル化を推進しています。通常の一般求人だけでなく、海外グループ会社から日本本社への転籍制度を設ける等、多様な採用チャネルを積極的に活用し、異なる国籍や文化を持つ人財が組織に参加することを促し、多様性と包括性を高めることを目指しています。

 

⑦ 退職年金制度改革

 個人のライフプラン多様化に応じ、選択肢の拡大および将来にわたり安定した年金給付を可能とする制度を構築するため退職年金制度の改革に取り組み、2022年7月より退職年金制度を確定拠出年金に一本化しました。

 あわせて、教育資金や住宅購入等のライフイベントに伴うニーズにも柔軟に対応できるよう、退職金を前払いで受け取ることができる「前払退職金制度」を導入しました。このような選択肢を設けることにより、将来の生活基盤が必ずしも日本国内とは限らない外国籍の社員にも配慮しています。

 

2.労務(労働慣行とディーセントワーク)

〈方針〉

 社員一人ひとりが仕事を通じて成長し、やりがいを感じながら能力を発揮できることを重んじ、さまざまなバックグラウンドを持つ社員が、日々のコミュニケーションを通じて自然に助け合い、知恵を出し合えるような「働きやすい」環境をつくることが重要であると考えています。労使の信頼関係・相互協力の下、さまざまなライフスタイル・志向を持つ社員が、それぞれの条件に応じたワークスタイルで働くことができる環境を目指し、諸制度の整備と組織風土づくりを推進しています。

 

〈推進体制〉

 ダイバーシティ推進課での活動に加えて、働き方改革プロジェクトを設置し、労使で連携をとりながら行っています。

 

〈主な施策・活動(本社)〉

① 働き方改革への取り組み

 2016年9月よりダイバーシティの推進、ワークライフバランスの実現を図ることを目的に、多様な働き方のニーズに応じた制度や風土づくりに取り組んできました。2017年度は、フレックスタイム制度の全社員への適用および在宅勤務制度の本格導入を実現しました。現在在宅勤務は対象者に制限をかけず、誰でも利用できる制度として実施しています。

 2020年度は、一日の所定労働時間を15分短縮して7時間30分にすると共に、コアタイムのないフレックスタイム制度を全社員に適用しました。仕事の進め方の抜本的な見直しやICTの活用により、個々のライフスタイルに合わせて「時間」や「場所」に捉われない柔軟な働き方を実現する環境整備に取り組みました。

 2021年度は、社員が居住地を選択する自由度を高めるため、距離による制約を撤廃しました。これにより、配偶者の転勤により遠隔地に転居するようなケースにも、柔軟に対応することが可能となりました。

 今後もより一層働きやすくかつ働きがいのある会社を目指し、働き方改革に取り組んでまいります。

 

② 休暇・休職制度充実への取り組み

 働き方の多様性促進、多様なライフスタイルへの対応と働きやすさの向上を目指し、休職や休暇制度の充実に取り組んでいます。

 ボランティア休暇制度、就学を希望する社員や配偶者の海外転勤への同行を希望する社員に対する休職制度、失効年休を積み立てることができる「積立有給休暇」制度の拡充、家族の介護・不妊治療・子の看護等の各種休暇制度に加え、2022年7月には、子の入学式や卒業式等のイベントに気兼ねなく参加することができるよう「子のイベント休暇」を導入しました。

 また、年に2日の「一斉有給休暇取得日」を設定するとともに、毎月「有給休暇取得奨励日」を設けることで有給休暇取得率向上を図りました。(2024年度有給休暇取得率78.3%※年5日の年次有給休暇を含む)

 

③ 過重労働防止への取り組み

 当社は、長時間労働が労働生産性の低下や疲労の蓄積を招き、さらには脳・心臓疾患の発症リスクを高めるという医学的知見を重視し、社員の健康維持と働きやすい職場環境の実現に向けて、以下の施策を推進しています。

・フレックスタイム制度の全社展開

コアタイムを設けないフレックスタイム制度を全社的に導入し、社員が自身の業務状況や生活パターンに応じて労働時間を柔軟に調整できる環境を整備しています。この制度は、業務の効率化と過重労働の防止に大きく貢献しています。

・在宅勤務制度の拡充

当社は、テレワークが一般化する以前から在宅勤務制度を導入してきました。現在は、利用日数の制限を撤廃するとともに、同一勤務日における出社と在宅の併用を可能とする部分在宅勤務制度を導入し、より柔軟で効率的な働き方を実現しています。

・戦略的な有給休暇取得の促進

適切な休暇取得は、過重労働の予防だけでなく、従業員エンゲージメントの向上や生産性の改善にも寄与します。当社では、有給休暇の計画的付与制度を導入すると共に、毎月の有給休暇取得奨励日を設定し、休暇を取得しやすい職場風土の醸成に努めています。

・充実した産業保健体制の構築

法定基準(月間残業時間100 時間超)を大幅に下回る月間残業時間45 時間を独自の基準として設定し、該当する社員に対して産業医による面接指導を実施しています。これにより、心身の不調を早期に発見し、適切な対応を図っています。また、産業保健師による相談体制を整備し、社員が気軽に健康相談できる環境を提供しています。これらの取り組みを通じて、社員の心身の健康保持・増進と、持続可能な働き方の実現を目指しています。

 

④ 副業解禁への取り組み

 社外における多様な経験は新たな活躍や成長の機会を広げ、個々のキャリア形成に幅と奥行きをもたらすことに寄与するとの考えから、2020年9月1日より副業制度を導入しました。現在、10名以上の社員が副業制度を活用しており、本業では携わることのできない仕事に取り組むことで視野を広げ、多様なスキルやノウハウを身につけています。

 

⑤ 健康増進への取り組み

 社員が働きがいを感じ、いきいきと活躍するためには、まず心身共に健康であることが必要不可欠です。社員の健康増進を重要な経営課題と位置づけ、さまざまな取り組みを行っています。産業医による新入社員への入社後フォローアップ面談の実施や、産業保健師による健康相談を充実させて、メンタルヘルス不調や病気の予防・早期発見・重症化防止に取り組んでいます。また、社員の健康増進に対する意識づけを目的として、健康診断・人間ドックの受診、健康関連セミナーへの参加、メンタルヘルス研修の受講等に対してポイントを付与し、健康奨励金を支給する「健康ポイント制度」を導入しています。2024年度は産業保健師によるメンタルヘルス研修を実施し、心の健康について学びました。

 なお、当社の健康増進に対する取り組みが評価され、2018年12月に健康企業宣言東京推進協議会より「健康優良企業 金の認定」を取得しました(2025年1月1日認定更新)。また、2025年3月には経済産業省より「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に認定されました。

 

人的資本への取組に関する指標、目標及び実績

マテリアリティ-サブ課題

目標(KPI)

2024年度までの取り組み状況

従業員のエンゲージメントの向上

エンゲージメント調査の
ポジティブ回答比率
(本社)

76.0%以上

78.5%

労働安全衛生の推進

重大結果に繋がる労働関連の傷害件数(注)

0件

0件

働きがいのある/働きやすい
職場づくり

従業員一人当たりの総労働時間(本社)
特定保健指導・健診事後
措置面談受診率(本社)
 
定期健康診断受診率
(本社)
 
介護離職者(本社)

月平均158時間以下
 

80%
 


100%維持


 
0%維持

159.7時間
 

84.4%
 


100%


 
0%
 

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進

女性管理職比率(本社)
 


海外人財比率(本社)
障がい者雇用率(本社)
 
 
男性の配偶者出産休暇
取得率(本社)


男性の育児休業取得率
(本社)

2025年度 30%
 

 

2025年度 30%
法定雇用率2.5%を上回る


100%

 


70%

 

13.7%(2025年3月31日)
13.9%(2025年4月1日現在)
 

11.9%
3.1%

 


100%
 

 

125%

 

(注) 重大結果に繋がる労働関連の傷害 (high-consequence work-related injury) :死亡、または6ヶ月以内に労働者が傷害前の健康状態に完全に回復することができないか、または 回復しないと予想される傷害をもたらす労働関連の傷害

 

 なお、上記記載のほか、「従業員の状況」においても記載しています。

 

〈3〉人権尊重への取組

1.ガバナンス

 2003年に「フォスターグループ企業行動要綱」および「フォスターグループ社員行動規範」を制定しました。これにより、強制労働、児童労働、差別、ハラスメント、個人情報保護、安全衛生、責任ある鉱物調達等の側面において、すべての法律・法令、国際ルールおよびその精神・趣旨に則り、人権を尊重することを規定しています。また、「フォスターグループサプライヤーサステナビリティ行動規範」を通じてお取引先様にもご協力いただき、サプライチェーン全体を通して人権の尊重を遵守しています。さらに2024年には、人権に関する取り組みを一層強化するため、人権に関する最上位の方針として「フォスターグループ人権方針」を策定しました。この方針は、すべての従業員や取引先に適用されるものであり、人権に対する責任とコミットメントを明確に示すとともに、社内外での人権リスクの管理と改善を通じて、持続可能なビジネス活動を推進していくための指針となっています。2025年には、ハラスメント防止規定を改定し、非性的ハラスメントを含む多様なハラスメントを想定した内容へと見直しました。今後も、さまざまな属性を持つ従業員が働きやすい職場になるよう、ハラスメント防止の取り組みにも注力していきます。

 

2.戦略及びリスク管理

①社員の人権尊重および啓発・浸透

 社員のウェルビーイングを大切にし、社員の人権尊重・差別禁止、ハラスメント防止、個人情報・プライバシーの保護、職場の安全衛生、労働関係法の順守等の観点から、一人ひとりの人権が尊重されるよう取り組んでいます。さらに社員への啓発・浸透を目的とする全社員向けのハラスメント研修や、毎年人権週間にあわせて全社員向けの「人権とビジネス」に関するeラーニングや啓発の掲示、ダイバーシティ推進活動の一環としてLGBTQ+に対する理解を深めるeラーニングを実施しています。内部通報制度に関しては、社員に対してコンプライアンス・アンケートを利用した周知活動を行っており、社内周知率は100%を維持しています。

 

②サプライチェーンにおける人権尊重

 お取引先様には「フォスターグループサプライヤーサステナビリティ行動規範」への同意書に署名いただき、人権侵害に関する項目を設けた取り組み状況の調査(CSR自主アセスメント)を実施し、必要に応じて是正依頼をしています。さらに鉱物調達においては、深刻な人権侵害を行う武装勢力の資金源になっていないことを確認するためのデューディリジェンス(責任ある鉱物調達調査)を行い、認定された精錬所のみから調達活動をしています。

 

③相談・通報窓口

 内部通報制度として、コンプライアンスホットラインおよびハラスメントヘルプラインの相談・通報窓口を設置し、さまざまなステークホルダー(当社グループの社員・役員、その家族および取引先の社員を含む)からの相談を受け付けています。厳正な調査に基づき人権への侵害が特定された場合は、通報者への報復・不利益がないことを確保した上で、救済・処分を行っています。

 

 なお、その他の取り組みや最新の実績については、2025年7月に発行予定の当社『統合報告書』をご参照ください。