リスク
3【事業等のリスク】
当社グループ(以下、当社という。)では、リスク・危機管理委員会が当社のリスクマネジメント活動を推進する役割を担っており、定期的に当社におけるリスクの識別、当該リスクが顕在化する可能性や影響度を検討し、当該リスクへの対応策の立案及び対応状況の進捗確認を行っています。リスク・危機管理委員会は、当該委員会の運営状況、直面するリスク及び対応状況を取締役会に適宜報告し、取締役会は社外取締役の専門的見地からの助言を含め監督機能を発揮しています。
経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクのうち、リスク・危機管理委員会が、特に重要と分類しているリスクは、以下のとおりです。
なお、文中における今後又は将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2024年6月26日)現在において当社が判断したものです。
特に重要と分類しているリスク
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項目 |
リスク内容 |
対策 |
1 |
経済環境及び関連市場の景況 |
グローバルで事業を展開する当社において、世界経済や関連市場の景況感は、経営戦略の遂行に大きな影響があります。特に当社グループが注力する自動車関連市場では、物価上昇による景気減速等により、急激な需要低下が発生した場合は、受注減に加え過剰在庫をもたらす等、当社の業績及び財務状態にさらに影響を及ぼす可能性があります。 ・当社製品の最終消費地域(主に、欧米、日本を含むアジア)における景況感の悪化とそれに伴う需要減。 ・当社が生産を行う地域(中国、ベトナム、ミャンマー等)の経済発展に伴う人件費上昇。 |
・顧客との連携をより密接にし、需要動向を的確に把握。 ・世界情勢を十分に勘案し、BCPの観点も含め適時・適切な生産管理・在庫管理の実施。 ・販売地域や生産地域における情報収集と分析。 ・各種リスクを低減させるグローバル・サプライチェーンの構築と高付加価値製品の提案。 ・自動化・機械化の推進と、人と機械を調和させた効率的な生産体制の構築による人員の最適化。 |
2 |
ODM・OEM得意先企業の景況への依存 |
・取引依存度の高い企業の販売・業績不振、経営合理化・リストラ、予期しない契約の変更・解除、調達方針の変更等による取引減少。 ・取引依存度の高い企業からの値下げ要求。 |
・取引依存度の高い企業の財務モニタリングや信用調査による与信管理。 ・高付加価値製品のマーケティング。 ・ビジネス・ポートフォリオの見直しによる上位取引企業への依存度引下げ。 |
3 |
新商品の開発 |
当社は、継続して価値ある新製品を開発し、より付加価値のある製品をタイムリーに市場に提供することを重要な経営戦略として位置付けています。当該経営戦略に伴い主に以下のリスクがあります。 ・マーケット・ニーズの予測が外れるリスク。 ・急速な技術変化により、当社製品が市場ニーズの流れに乗り遅れるリスク。 ・新技術の製品化遅延により、市場ニーズにマッチしなくなるリスク。 |
・顧客や消費者からの情報収集と分析。 ・提案型マーケティングと開発へのフィードバック。 ・振動アクチュエータをはじめ新技術・新製品の開発体制の構築。 ・社会的ニーズの把握と環境配慮型製品の開発。 ・M&A候補の継続的調査と産学連携など他社との協業。
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4 |
資材費・部材費の高騰 |
・当社は、鉄、レアアース(ネオジム、ディスプロシウム)、原油、銅等の市況の影響を受けますが、資材・部材の調達価格が急激に上昇した場合、当社の業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。 |
・市場相場連動制の導入を含めた価格転嫁 ・コスト低減に向けたサプライヤーへの提案。 ・振動系部品を中心とした主要部品の内製化の推進。 |
5 |
海外展開・進出の潜在リスク |
・予期しない法令や規制の変更。 ・予期しない政治的経済的変動。 ・人財の採用・確保・育成難。 ・社会的共通資本(インフラ)の整備遅 れ。 ・テロ・争乱・その他の社会的混乱。 |
・専門的な能力を備えた現地スタッフの採 用。 ・現地弁護士等、外部専門家からのアドバイ ス。 ・現地ソサエティ等を活用した情報収集と分 析。 ・事業活動を通じた地域貢献と納税。 ・拠点間の連携によるバックアップ体制の整 備。 |
6 |
製品の品質 |
車載関連ビジネスを中心におく事業変革・意識変革を推進している当社において、車載向け製品の品質を高めることは経営戦略の根幹です。当該経営戦略に伴って、以下のリスクがあります。 ・顧客品質要求を充足できないリスク。 ・大規模な製品クレームやリコール、製造物責任に繋がるような重大な欠陥リスク。 ・原材料の品質不良を原因とする完成品の欠陥。 |
・品質人財育成と品質を重視した組織風土の醸成。 ・一般車載品質管理から「より高度な品質管理」へ転換するための体制・仕組みの構築。 ・各拠点を含むクロスファンクショナルチームによるグローバル品質改善活動。 ・仕入れ先の品質管理モニタリング。 ・戦略的パートナー(仕入れ先)との関係強化。 ・新規の仕入れ先や業務委託先の調査。 |
7 |
国内外の競合状況と価格競争の動向 |
製品価格は、当社製品の需要を決定する重要な要素であり、経営戦略において重要な要素です。当該経営戦略に伴い、主に以下のリスクがあります。 ・競合会社による競争力ある製品の発売。 ・競合会社との価格競争激化。 ・低価格品への需要シフト。 ・商品のコモディティ化による価格の低下。 |
・VE/VAによる継続的なコスト削減。 ・高付加価値製品の開発とマーケティング(「音と振動によるソリューション」の提供)。 ・価格・品質・納期・技術・サービスでの差別化。 ・知財活動による企業価値の維持と向上。 ・基幹部品の内製化によるコストダウン。 |
8 |
公的な規制への対応 法的規制・制限 |
・事業・投資に関する各国の法改正、安全保障貿易その他の輸出規制、関税その他の輸出入制限(保護主義政策に伴う関税の引上げ)等。 ・通商、独占禁止、特許等知的財産権、消費者、租税、為替管理、情報セキュリティ、環境・リサイクル関連の法規制の適用。 |
・コンプライアンス委員会、安全衛生委員会等による教育研修。 ・内部通報制度の整備と運営。 ・先願調査、侵害調査の周知徹底による知的財産権侵害リスクの低減。 ・環境マネジメントシステムに基づき、定期的なアセスメントによる環境関連法の順守徹底と規制変化への対応。 ・サイバーセキュリティリスクを想定した情報セキュリティの構築。 ・生産拠点の変更及び価格転嫁交渉による関税引き上げリスクの低減。 |
9 |
金利上昇リスク |
・金利上昇に伴う支払利息の増加リスク。 ・取引先の与信リスク。 ・資本コスト上昇リスク。
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・長期短期資金調達の最適化。 ・売上債権、棚卸資産及び仕入債務の回転期間の最適化。 ・与信管理の強化。 ・最適資本負債構成の検証と対応。 |
10 |
情報セキュリティに関するリスク |
事業の円滑・効率的な運用等を目的として、ITシステムの利活用及びDXの推進は重要な経営戦略です。当該経営戦略に伴い主に以下のリスクがあります。 ・サイバー攻撃等によるシステム障害、業務停滞リスク。 ・個人情報・機密情報等の情報漏洩等のリスク。 ・サプライチェーン情報セキュリティ脆弱リスク。 |
・情報セキュリティ規程の整備・適宜更新。 ・外部機関によるネットワークの脆弱性検査と対策。 ・セキュリティシステムの強化。 ・従業員に対しての標的型攻撃メール訓練。 ・従業員への研修やモラル教育等による情報管理の重要性の周知徹底。 ・サプライチェーン全体の情報セキュリティ体制のモニタリング強化。 |
11 |
気候変動に関するリスク |
気候変動への取組みは地球規模での課題であると同時に企業の使命です。持続的な成長に向け環境に配慮したモノづくりは当社の重要な経営戦略です。当該経営戦略に伴い主に以下のリスクがあります。 ・脱炭素社会に向けたコストの増加及び企業ブランドの毀損による販売機会の逸失。 ・異常気象による原材料の高騰。 ・異常気象による罹災への対処が遅れ工場操業停止やサプライチェーンの寸断による製品サービス供給停止。 |
・サステナビリティ委員会、環境委員会を中心とする対策強化。 ・国際要請の確認及び環境目標の適宜見直し及び推進。 ・「資材費・部材費の高騰リスク」参照。 |
12 |
為替の変動 |
・海外拠点における現地通貨の下落により、子会社の業績や企業価値が下がるリスク。 ・海外拠点における現地通貨の上昇により、現地人件費など製造コストが上昇するリスク。 ・外貨建債権・債務のアンバランスにより、換算差損が生じるリスク。 ・円安進行により輸入用在庫の粗利益が減少するリスク。 |
・各国為替相場のモニタリングと為替予約やデリバティブの活用。
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13 |
人財確保・育成 |
企業価値を高め持続的な成長を実現するためには、多様な価値観や専門性を持った人財が必要不可欠であり、人財戦略は重要な経営戦略です。当該経営戦略に伴い主に以下のリスクがあります。 ・少子高齢化や雇用環境の変化等により、当社の求める人財の確保やその定着・育成が計画通りに進まない。 ・労働市場の状況により、必要なタイミングに必要な能力を有する人財を確保できない。 ・優秀な人財の社外流出。 ・人財育成がうまくいかず、技術の承継ができなくなる。 |
・個々人の価値観を尊重し、多様性を受け入れる文化を醸成するため、Foster Rhythm(行動基準及び大切にする価値観)を整備し、普及させる活動を継続。 ・「働き方改革」の推進により、ワークライフバランスを実現できるさまざまな勤務形態や休暇制度の選択肢を提供。 ・モチベーション向上につながる人事処遇制度の確立。 ・専門性を重視した中途採用。 ・幹部人財の育成と後継者計画プログラムの強化。 ・ダイバーシティの推進。 ・国籍を問わないグローバル人財の登用。 ・健康経営の推進。 ・ハラスメント教育や内部通報制度の整備。 |
14 |
災害等による影響 |
・地震、洪水、停電等の災害の発生。 ・重大事故の発生。 ・感染症の拡大。 |
・地域や事業に応じたBCP(事業継続計画)を策定。 ・早期復旧体制の整備(被災時の初期対応、報告、方法、各種対策本部の設置、役割の明確化等)。 ・ウイルス感染を防止する職場環境の整備と新しい勤務体系の提供。 |
15 |
減損会計の適用による影響 |
・減損損失の計上。 |
・設備投資委員会の運営(投資回収性等の審査や経過管理)。 ・各子会社の業績モニタリングと兆候の有無の確認。 |
16 |
税務に係るリスク |
・追徴課税 |
・税務アドバイザー等、外部専門家からの助言。 ・BEPS文書の整備と更新。 ・移転価格ポリシーの整備や移転価格契約の締結・更新。 ・バイラテラルAPAの締結。 |
配当政策
3【配当政策】
当社グループは、企業価値の向上を経営課題としつつ、業績に対応した利益配分と長期的な視野に立った内部留保の充実との調和を図りながら、総合的に株主利益の向上を図ることを基本的な方針とし、連結ベースでの配当性向30%を目途としています。
当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としています。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会です。
当期の期末配当金につきましては、将来の内部留保の備え、配当の基本方針等を総合的に勘案した結果、15円とさせていただくこととしました。これにより、年間配当金は、昨年12月の中間配当金1株当たり10円を含めて、1株当たり25円となります。
内部留保資金につきましては、競争力強化のため、設備投資等に活用したいと考えています。
なお、当社は、取締役会の決議により中間配当を行うことができる旨を定款で定めています。
(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりです。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2023年10月30日 |
223 |
10 |
取締役会決議 |
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2024年6月26日 |
336 |
15 |
定時株主総会決議 |