2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,988名(単体) 7,001名(連結)
  • 平均年齢
    45.8歳(単体)
  • 平均勤続年数
    20.2年(単体)
  • 平均年収
    10,491,797円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

半導体・部品テストシステム事業部門

3,613

(312)

メカトロニクス関連事業部門

723

(90)

サービス他部門

2,423

(143)

全社(共通)

242

(53)

合計

7,001

(598)

 (注)1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含んでおります。)であり、臨時雇用者数は、年間の平均人員を( )内に外数で記載しております。

2.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門等に所属している人員であります。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年令(才)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

1,988

(461)

45.83

20.15

10,491,797

 

セグメントの名称

従業員数(人)

半導体・部品テストシステム事業部門

1,254

(291)

メカトロニクス関連事業部門

382

(89)

サービス他部門

144

(33)

全社(共通)

208

(48)

合計

1,988

(461)

 (注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は、年間の平均人員を( )内に外数で記載しております。

2.平均年間給与は、税込み支給額で、基準外給与および賞与を含んでおります。

3.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門等に所属している人員であります。

 

(3)労働組合の状況

 当社および連結子会社には、アドバンテスト労働組合等が組織されており、アドバンテスト労働組合は全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会に加盟しております。
 なお、労使関係について特記すべき事項はありません。

 

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注)1

男性労働者の育児休

業取得率(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)3

全労働者

正規雇用労働者

非正規雇用労働者

3.6

66.6

74.0

73.2

85.7

 (注)1.(1)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

(2)提出会社からの出向者を含み、提出会社への出向者を含んでおりません。

2.(1)「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

(2)提出会社からの出向者を含み、提出会社への出向者を含んでおりません。

(3)子供の出生時に最大5日間取得できる特別有給休暇取得者は含んでおりません。

   (参考)2024年度の男性社員の育児休職または特別有給休暇の取得率:83%

       2024年度の男性社員の育児休職取得者の平均取得期間:53日

3.(1)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

(2)「正規雇用労働者」とは、正規雇用の従業員であります。

(3)「非正規雇用労働者」とは、嘱託(有期、無期)およびパート・アルバイトであります。

(4)「全労働者」とは、正規雇用労働者および非正規雇用労働者であります。

(5)男女の賃金の差異における労働者には、以下を含んでおりません。
・取締役(社外取締役含む)
・執行役員
・提出会社への出向者
・提出会社からの出向者

(6)男女の賃金の差異における賃金は、手当等を含んだ給与の総支給額および賞与支給額で算出しております。

(7)男女の賃金の差異(%)=女性の平均年間賃金÷男性の平均年間賃金×100として算出しております。

(8)男女の賃金の差異が生じている背景として、正規雇用労働者においては管理職中の女性比率が全労働者中の女性比率と比べて低いこと、育児短時間勤務を選択する労働者に女性が多いこと、非正規雇用労働者においては定年後に再雇用された労働者の賃金が定年時の賃金に準じていることにより、正規雇用労働者の賃金の差異の影響を受けていることなどがあります。

4.当社グループの女性管理職比率を含む人的資本に関するその他の指標は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方および取組(1)サステナビリティ全般⑤指標および目標」に記載しております。

 

(参考)当社グループの女性管理職比率および男性社員の育児休職取得率向上のための取り組み

 当社グループでは、常に多様な価値観を受け入れ、人種・性別・年齢・国籍などに関係なく活躍できる企業風土づくりを推進しています。2025年3月末現在で全従業員のうち女性の割合は全体の22.0%(前連結会計年度末21.8%)、管理職における割合は9.7%(前連結会計年度末9.4%)であり、女性従業員の採用と管理職に占める女性比率のさらなる向上が課題です。

 当社では、もともと男性比率が高い技術系の学生の採用が多く、従来の採用活動では女性が当社に応募するための動機付けができていませんでした。こうした状況を踏まえて、特に技術系の女性に対して当社の魅力を伝えることに注力し、女性向けのPRを強化しています。ウェブサイトや採用パンフレットでも女性社員の活躍を広く伝え、また、就職イベントでは、女性向けの制度やキャリアプランなどの説明を行い、アドバンテストの女性社員がどのように活躍しているかを紹介しています。

 また、社員には様々なライフステージの変化があることを踏まえ、個々人の状況に応じて柔軟な働き方ができるようワークライフ・バランスへの取り組みに力を入れています。

 テレワークを必要に応じて活用するほか、育児・介護との両立支援制度として、100%有給保証の妊娠通院・妊娠障害休暇制度、法定を上回る水準の育児休職、介護休職制度、短時間勤務制度などを整備しています。

 男性の積極的な育児参加支援としては、子育て中の男性社員やその上司向けの個別相談、育児関連制度の案内、育児休職取得の意思確認や取得する際のサポートを行っています。また、2022年度から子の出生後8週間以内に育児休職を取得した場合、4週間を限度として育児休職補助金を支給することを制度化しました。

 

 取り組みの詳細については、当社グループホームページに掲載している統合報告書およびサステナビリティレポートをご参照ください。

  統合報告書(https://www.advantest.com/ja/about/annual.html

  サステナビリティレポート(https://www.advantest.com/ja/sustainability/report/


② 国内子会社

 国内子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)および「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象でないため、記載を省略しております。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方および取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)サステナビリティ全般

①基本的な考え方

 「経営方針、経営環境および対処すべき課題等」で記載したとおり、当社グループは、中長期経営方針「グランドデザイン」にて、「半導体バリューチェーンで最も信頼され、最も価値あるテスト・ソリューション・カンパニーへ」をビジョン・ステートメントとしています。このビジョンを体現する企業であるべく、当社グループは、顧客課題の解決を軸としながら、サステナブルな社会実現につながる各種取り組みを今後一体的に推進します。そして同時に、当社グループを取り巻く各ステークホルダーの期待や要請を事業活動に適切に反映していくことで、当社グループの存在意義や提供価値を経済的にも社会的にもバランスよく、かつ多面的に拡大することを目指します。

 

<ステークホルダー>

 当社グループは、経営理念と中長期的に当社事業に与える影響度に鑑み、株主・資本市場、従業員、顧客、サプライヤー、パートナー、地球環境を、重要なステークホルダーと位置付けています。

 

<ステークホルダーへの提供価値>

 当社グループが主要なステークホルダーに提供すべき価値の主なものは以下と分析しています。当社グループはステークホルダーにこれらの価値を提供するとともに、ステークホルダーに負の影響を与える事象を発生させないよう取り組むことで、ステークホルダーからさらなる信頼をかち得るよう努めます。

 

ステークホルダー

提供価値(アウトカム)

株主・資本市場

 - 中長期的な企業価値の向上

従業員

 - 従業員満足度の向上

顧客

 - 顧客課題の解決を通じた顧客の事業成長への貢献

 - 顧客の環境課題改善への寄与

サプライヤー

 - 事業成長機会の拡大

 - 持続可能な社会価値の共創

パートナー

 - エコシステム/ビジネスパートナー:パートナーとの協働を通じた業界における課題解決、相互の事業成長機会の促進

 - 地域社会:人々がより豊かに暮らせる社会づくりへの貢献

地球環境

 - 持続可能な地球環境への貢献

 

 また、当社グループがサステナブルな社会実現への貢献と自社の成長の両立を果たすためには、事業活動を通じたステークホルダー価値の創造に加え、企業価値向上の基盤となるグループ・ガバナンスをさらに強化していくことが不可欠と認識しています。この考えに沿い、当社グループは、法令遵守や企業倫理の徹底を含めた責任ある事業活動の遂行、コーポレート・ガバナンスの高度化、およびリスクマネジメントの強化といった取り組みを推進します。

 

②戦略

 当社グループは、社会的貢献拡大とステークホルダーへの提供価値のさらなる創造を図るという観点のもと、「The Advantest Way」の構成要素として「サステナビリティ基本方針」を策定し、これを基盤にサステナブル経営の推進に努めています。

 さらに、当社グループは、サステナビリティ課題への対応を中期経営計画における戦略の1つと位置付けています。サステナビリティに関する中長期的なリスク分析や課題について、マテリアリティ評価を実施し、経営会議において審議しています。また、個々の目標やありたい姿を中期的な行動計画として設定することで事業成長戦略と社会課題解決に向けた取り組みを一体的に推進しています。

 

<マテリアリティ評価>

 当社グループは、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)の発行したサステナビリティ開示基準を参考に、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与え、投資家の判断に影響を与える合理的な可能性があるサステナビリティ関連リスクおよび機会の識別を行いました。当社グループは、マテリアリティ評価を実施する上で、気候変動に係る検討において一部シナリオ分析を行っております。

 マテリアリティ評価を実施するにあたり、当社グループのバリューチェーンを整理したうえで、SASB(サステナビリティ会計基準審議会)スタンダードや欧州連合(EU)の企業サステナビリティ報告指令(CSRD)に定められる「欧州サステナビリティ報告基準」(ESRS)、当社グループと同じ産業において事業を営む企業による開示情報等を参照し、当社グループにとって重要である可能性のあるサステナビリティ関連リスクおよび機会を識別しました。識別したサステナビリティ関連リスクおよび機会を基に、社外ステークホルダーとのコミュニケーションや関連するCxOおよび部署との協議を通じて各リスクおよび機会の重要性を判定しました。サステナビリティ関連リスクおよび機会の重要性は、発生可能性および発生した場合の財務的影響を踏まえ評価しております。マテリアリティ評価のプロセスおよび重要であると判定したサステナビリティ関連リスクおよび機会については、経営会議において審議の上、取締役会に報告を行っています。マテリアリティ評価は毎年度実施し、具体的な目標をサステナビリティ行動計画に反映していく予定です。

マテリアリティ評価の結果、当社グループとして優先的に取り組むべき項目を以下のように特定しています。そのうち、特に重要と思われる、気候変動、自社の従業員、バリューチェーン内の労働者について、「(2)気候変動関連の取り組み」「(3)人権の尊重」「(4)人的資本」において、それぞれ現状の課題認識、当社グループとしての取り組みを記載しています。

 

項目

リスク

機会

気候変動

移行リスク

・気候変動関連規制への対応や再生エネルギー導入拡大に伴う事業コスト増加

・当社製品のエネルギー効率が顧客要求水準を満たさないことによる販売への影響

物理的リスク

・気候変動に起因する災害による物流インフラや生産への影響、甚大な損失の発生、事業機会の喪失

・環境性能に優れた製品開発による顧客からの信頼性向上を通じた、競争優位性維持と事業成長

・主要製品の工期短縮、物流最適化、サプライチェーンのローカライゼーションを通じたエネルギー使用量削減による事業コスト削減および環境負荷軽減

 

汚染

・汚染や対策規制要件を満たすための対応費用や、未処理水等の水域への流出や有害物質等の土壌への流出が発生した場合の対応費用の発生

サーキュラー
エコノミー

・製品の再利用戦略による、サステナビリティに係る新たなビジネスモデルの創出、ブランドイメージの向上や環境意識の高い顧客の開拓

自社の従業員

・会社の魅力低減による人財流出、採用難、それに伴う労働生産性・技術優位性の低下

・労働安全衛生管理の不備・怠慢に起因する労働災害・事故による、従業員の安全および事業継続への影響

・コンプライアンス違反や人権侵害が発生した場合の事業への影響および信用の低下

・ジェンダーエクイティ推進の不足に起因する従業員満足度やモチベーションへの悪影響、また、これに伴う効率的な事業運営の阻害

・充実した育成制度やワークライフ・バランスによる採用機会の拡大および継続的なトレーニング・研修を通じたさらなる競争力の強化

・多様な人材の活用によるイノベーションや成果、課題解決力の向上

・ポジティブな職場環境の促進および労使間のオープンなコミュニケーションを通じた従業員のコミットメントとパフォーマンスの向上

バリューチェーン内の労働者

・児童労働、劣悪な労働環境、紛争鉱物の使用等、サプライチェーンにおける人権侵害に関わる事象に伴う事業への影響および信用の低下

 

<サステナビリティ行動計画2024-2026>

 当社グループのサステナビリティ推進に向けて、顧客価値向上など事業上の価値創造に関わる課題、人的資本高度化など事業基盤の強化に関わる課題、経営執行体制の見直しなど経営基盤強化に関わる課題、社会・環境面における規制やリスク対応に関する課題、サステナビリティに関する国際開示基準の動向などを踏まえ、ステークホルダーと自社の双方の観点から今後重要と認識した課題を抽出し、これを中期経営計画の下位計画となる「サステナビリティ行動計画」として整理しています。さらに「サステナビリティ行動計画」において個々の課題ごとに設定した目標の達成に向け、活動を戦略的に推進しています。当社グループにおける重要性の変化に応じ、「サステナビリティ行動計画」における活動項目および目標は定期的に見直されます。

 

 2024年度を初年度とする第3期中期経営計画(MTP3)における「サステナビリティ行動計画」の内容および目標については、⑤指標および目標を参照ください。

 

③ サステナビリティに関する推進体制とガバナンス

<推進体制>

 当社グループは、「サステナビリティ基本方針」に基づき、 Group CEOを含めた各CxOを個々の課題の責任者に設定しながら全体の活動を推進しています。さらに、「サステナビリティ行動計画」を各ユニット単位での毎年の具体的な事業計画へ落とし込むことで、全体の取り組みを着実に進捗させるよう努めています。

 また、サステナビリティに関する取り組みをグループ全体で機動的に推進していくために、当社グループは、経営会議直結の組織である「サステナブル経営推進ワーキンググループ (SMWG)」を2020年度より設置しています。この組織は、すべてのビジネス・ユニット、ファンクショナル・ユニット、リージョナル・ユニットのリーダーで構成される全社委員会であり、その統括リーダーはGroup CEOが務めています。この委員会において、各ユニットにおけるESG課題の重要性分析等を基に、全社横断的に対処すべきサステナビリティ課題についてのアップデートや議論を定期的に行うことで、サステナブル経営のさらなる推進と深化を図っています。

 

 当社グループにおけるサステナビリティに関する取り組みは、その全体の進捗状況が定期的に経営会議に報告され、必要に応じて是正策の検討がなされます。

 

<ガバナンス>

 当社グループにおけるサステナビリティに関する取り組みは、案件の重要性に応じて個別に取締役会への報告や監督を受けるなど、取締役会の関与のもとで推進されています。SSBJによるサステナビリティ開示基準を参照し、当社グループ全体を対象に実施したマテリアリティ評価においても、その内容に対し、経営会議で審議の上、取締役会に報告されました。

 これに加え、役員報酬制度として、当社グループの経営理念およびビジョンのもと、企業価値向上に資する制度とすることを目指し、2024年6月に報酬制度を一部変更し、業績連動型株式報酬の副指標の一つとしてサステナビリティ評価を採用しています。報酬制度の詳細については「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (4)役員の報酬等」を参照ください。

 

 

サステナビリティに関する推進体制(提出日現在)

CSO: Chief Strategy Officer、CHO: Chief Human Capital Officer、Group COO: Group Chief Operating Officer

 

④ リスク管理

 当社グループは、経営会議において、サステナビリティ課題のリスクと機会について議論をしています。

 当社グループのリスクマネジメントにおけるプロセス詳細は、「3. 事業等のリスク (1)当社グループのリスクマネジメント体制について」に記載のとおりであります。サステナビリティに関わる重要なリスクに関しても、経営会議における定期的な課題把握およびSMWGが各ユニットの施策立案と活動をサポートすることを通じ、他の事業リスクと同等の体制でマネジメントされます。サステナビリティに関する重要な機会については、リスクと同様に経営会議で把握し、SMWGが具体的な戦略策定と機会の実現に向けた活動をサポートする体制としています。

 その他、気候変動については、SMWGが気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に基づく気候関連リスクおよび機会に対してシナリオを設定し、分析および評価を行っています。

 気候変動に関するリスクおよび機会の管理については、「(2)気候変動関連の取り組み ①ガバナンス」に記載しております。

 

⑤ 指標および目標

 当社グループが重要と認識するサステナビリティ領域・課題、およびそれらの指標や目標については、統合報告書やサステナビリティレポート等を通じ、ステークホルダーに対し適時適切な情報開示となるよう努めています。その一環として、主要な指標に関しては第三者による保証を取得しています。

 

<「サステナビリティ行動計画2024-2026」2024年度の結果>

 2024年度以降の当社グループのサステナビリティに関する中期的な取り組みの全体像およびそれぞれの中期目標は以下のとおりです。

 サステナビリティに関する新たな中期的な行動計画の策定にあたっては、中長期経営方針「グランドデザイン」および第3期中期経営計画(MTP3)と連動した取り組みとなるよう、取り組むべきテーマをステークホルダーへの提供価値拡大という観点に基づくものへ全面的に再編するとともに、それら各テーマに対する中期目標を新たに設定しています。「サステナビリティ行動計画2024-2026」の中で、②戦略<マテリアリティ評価>に基づき、当社グループとして主要な項目として認識し開示する、提出日現在におけるKPI、目標値および2024年度実績は以下のとおりです。第三者による保証の取得の過程にある指標および見直し中の指標については、2025年10月を目途に、当社グループのホームページ上で掲載予定です。今後、当社グループにとってのマテリアリティ評価に基づき、行動計画の内容も随時更新されます。

 

 

ステークホルダー

重点テーマ

目標

担当

役員

(注1)

KPI

目標値

(2026年度)

結果

(2024年度)

従業員

多様性の尊重

ジェンダー・ダイバーシティの推進

CHO

女性管理職比率

(注2)

11%

9.7%

従業員エンゲージメント

魅力ある企業文化の醸成、浸透

CHO

離職率

自己都合離職率がMTP2期間平均(5.9%)を下回る

4.4%

CHO

Gallup社サーベイのスコア(注3)

3.80

3.76

人財への投資

Advantest Development Frameworkに基づく育成推進

CHO

教育・研修費用

8.0億円

6.8億円

サプライヤー

サプライチェーンにおける人権の尊重、公正な取引

サプライチェーンにおけるサステナビリティの浸透

CSCO

指定取引先に対するデュー・ディリジェンスの実施率

(注4)

100%

100%

地球環境

温室効果ガス排出削減(スコープ1+2)

スコープ1+2におけるGHG排出量削減

CSO

GHG排出量削減率

65%減

(2018年度比)

75%減

提出日現在の概算値

再生可能エネルギーの導入

CSO

再生可能エネルギー導入率

80%

85%

提出日現在の概算値

サーキュラーエコノミーへの貢献

3Rの推進によるリサイクル率の向上

3R:Reduce/Reuse/Recycle

CSO

廃棄物リサイクル率(日本・海外)

日本: 90%以上
海外: 73%以上

日本: 93%
海外: 64%

提出日現在の概算値

全社の水使用量を2016年度の水準に維持する

CSO

水資源使用量

288,000㎥/年 以下

296,781㎥/年

提出日現在の概算値

 

重点テーマ

目標

担当

役員

(注1)

KPI

目標値

(2026年度)

結果

(2024年度)

ガバナンス

責任ある事業活動の徹底

公正かつ透明性の高い職場の実現

CCO

コンプライアンスサーベイ(注5)における『内部通報窓口の利便性が向上した』との回答率(注6)

50%以上

82.8%

労働安全衛生の維持・向上

CHO

重大な(休職に至る)労働災害発生率(LTIR:Lost Time Incident Rate)

0

0.35

 

 

(注)1.担当役員一覧は、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (2)役員の状況 ①役員一覧」に記載のとおりであります。

2.提出会社の女性管理職比率は、「第1 企業の概況 5.従業員の状況」に記載しております。

3.グループ全体でのサーベイは3年に1回実施しております。今回は2024年度実施のサーベイのスコアを記載しています。

4.取引金額ベースで上位85%を占めるTier1サプライヤーおよびそれらの主要サプライヤーであるTier2サプライヤーに対してデュー・ディリジェンスを実施します。これらのサプライヤーを指定取引先として定めています。

5. グループ全体でのコンプライアンスサーベイは3年に1回実施しております。

6.全従業員が内部通報窓口の利用を希望するものではないことを踏まえ、内部通報窓口の利便性向上について「知らない」とした回答を除き算出しております。

 

(2)気候変動関連の取り組み

<TCFD提言への取り組み>

 当社グループはThe Advantest Wayのもと、長期的な視点で「緩和策」と「適応策」の取り組みを継続し、重要な社会課題である気候変動への対策に事業を通して貢献します。当社グループはTCFDに賛同しており、本項目では、TCFDの提言に沿って気候変動関連の重要情報を開示します。

 

① ガバナンス

 当社グループにおける気候変動関連の事項を含む環境経営推進体制は、Group CEOを統括リーダーとするSMWGにおける環境経営グローバル・リードのもと、ビジネス・ユニット、ファンクショナル・ユニット、リージョナル・ユニットで構成されています。

 当社グループ全体の気候変動関連目標は、「サステナビリティ行動計画」において定められており、同行動計画は経営会議における議論および承認を経て策定されています。同行動計画における気候関連目標は、SSBJによるサステナビリティ開示基準、TCFD、CSRD、ESRSなどの各種基準やフレームワーク、法令等を参照しつつ、業界団体における環境関連コンソーシアム等の動向を踏まえながら毎年見直しています。

 SMWGは、グローバル・サステナビリティ・ミーティングにおいて、気候関連目標を含むサステナビリティ関連の目標を定めたサステナビリティ行動計画の取り組み・達成状況について報告しており、経営層の確認および承認を得ています。また、気候関連リスクおよび機会の分析においては、経営会議が報告を受けたうえで、承認を行い、取締役会に報告を行っております。

 

② 戦略

 当社グループは、気候変動を、当社グループが事業を継続すると同時に持続可能な社会の実現に貢献するために重要なテーマの1つとしてとらえ、対策を推進しています。気候変動対策の推進においては、顧客や取引先などの社外ステークホルダーとの協働が不可欠であることから、GHG排出量削減と再生エネルギー導入を中心に、気候変動問題における課題ごとに中期的な目標を定め、社内外一体となったタスクフォース(TF)を設置し、気候変動課題に対する責任ある取り組みを推進しています。

 具体的には、顧客との協働によるスコープ3カテゴリー11(販売した製品の使用に関する排出量)に対処するためのTF1「製品開発におけるCO2削減」およびTF3「顧客との協働によるCO2削減」、サプライヤーとの協働によるスコープ3カテゴリー1(購入した製品・サービスに関する排出量)に対処するためのTF2「取引先との協働によるCO2削減」、自社の生産プロセスによる直接排出スコープ1+2に対処するためのTF4「省エネ設備、再エネ導入による事業活動上のCO2削減」の4つのTFを通じ、活動を展開しています。

 

CO2削減を推進するためのタスクフォース

タスク
フォース

アプローチ先

具体的な活動

TF1

スコープ3 カテゴリー11(販売した製品の使用)

飛躍的に複雑化する半導体のための最適なテスト・ソリューション開発

TF2

スコープ3 カテゴリー1(購入した製品・サービス)

取引先との協働によるCO₂削減

TF3

スコープ3 カテゴリー11(販売した製品の使用)

顧客との協働によるCO₂削減

TF4

スコープ1+2(自社の生産プロセスによる直接排出や購入する電力)

省エネ設備、再エネ導入による事業活動上のCO₂削減

 

<気候変動のリスクと機会>

 当社グループは、TCFDの分類に沿って、気候変動のリスクと機会を検討し、定期的に見直すことにより、気候変動がもたらすリスクと機会を把握し、自社のレジリエンス向上に取り組んでいます。これらのリスクと機会について「重要度」と「影響度」による評価を行うとともに、「短期(2027年まで)・中期(2030年まで)」と「長期(2050年まで)」の時間軸に分類しました。

 シナリオ分析においては、1.5℃/2℃、4℃ともに、以下の時間軸で検討しております。

・移行リスクや機会に関するシナリオは政策動向などを正確に反映させるため2030年

・物理的リスクに関するシナリオは、すでに物理的影響が顕在化していること、また、将来的に気温が上昇した場合にはより物理的影響が大きくなると考えられることを踏まえ、2030年および2050年

 

(気候変動関連のリスク)

 気候変動関連の事業リスクについては、①主に1.5℃/2℃未満シナリオの途上に起こる「脱炭素社会への移行に関連したリスク」と、②世界のCO2排出量削減未達により4℃シナリオに至った場合に発生する「気候変動に伴う物理的影響に関連したリスク」の2つのシナリオに関し、TCFDの分類に沿って検討しました。

 物理的リスクについては、自社生産拠点を対象に、2030年時点、2050年時点での浸水被害による影響を試算しています。リスクの評価を行った結果、自社生産拠点のうち、群馬工場および埼玉R&Dセンタ、Essai, Inc.(米国アリゾナ州チャンドラー)に水害リスクが存在することが判明しています。群馬工場においては特別高圧変電所更新時に嵩上げを行ったほか、止水板の設置等の水害対策を行っており、埼玉R&Dセンタにおいても水害対策の実施を予定しています。Essai, Inc.のチャンドラー工場においては、雨期の多雨への対策として、排水設備を導入しています。また、オールハザード型の事業継続マネジメントの取り組みを通じ、気候変動による影響を含めたあらゆる災害に対応できるよう対策を進め、レジリエンスの向上に努めています。

 

1.5℃/2℃未満シナリオ:脱炭素社会への移行リスク

カテゴリー

主なリスク

対応・戦略

時間軸

政策・法規制

・気候変動関連規制への対応による事業コスト増加(炭素税、法令対応費用、部品調達費用等)

・自社拠点への再生可能エネルギー導入の促進

・サプライヤーの脱炭素支援

短期

技術・市場

・環境低負荷対応の前倒し、または脱炭素に係る領域(カーボンフットプリント等)での競争環境の激化による研究開発費増

・顧客からの低炭素技術に係るニーズに応えられないことでの評価の変化や販売機会損失による売上高減少

・省エネ性能(低電力/小型化)とテスト性能向上の両立による自社製品の付加価値向上

・環境性能に優れた製品の販売促進

・次世代の省エネ研究・開発に対応する人財づくり

短・中期

評判

・気候変動問題に対する取り組みへの評判低下による競争環境悪化、および投資家評価変化

 

・気候変動への取り組みを含むサステナビリティ経営の推進(サステナビリティ行動計画2024-2026の目標達成)

・気候変動に関連するデータおよび取り組みの適切な開示

短・中期

 

4℃シナリオ:気候変動に伴う物理的リスク

カテゴリー

主なリスク

対応・戦略

時間軸

急性

大型台風や降雨量の増加による

・自社生産拠点での被害に伴う復旧費用発生や売上高減少

・サプライチェーンの寸断に伴う売上高減少

・水害対策の計画、実施

・オールハザード型事業継続マネジメントの推進

短期~長期

 

(気候変動関連の機会)

 気候変動対策が強化された脱炭素社会においては、半導体が大きく貢献します。デジタル革命による半導体需要のすそ野の広がりなど、今後半導体生産数は増加の一途をたどることが想定できます。並行して半導体の技術進化・複雑化により、半導体試験の質と量が高まります。1チップ当たりのテスト内容の強化と半導体の物理的な増加、この2つの要素の掛け算で半導体テストの需要が増加することが見込まれます。したがって、当社グループは、テスト当たりの全体的なカーボンフットプリントを競合他社と比較して削減できることを前提に脱炭素社会を気候変動の機会と認識しました。こうした技術進化のための研究開発費や次世代の技術に対応する人財づくりなど、先行的な投資も行い、当社グループは、半導体テストの事業と新たな半導体技術に対応する製品開発を通じて未来の脱炭素社会の実現に貢献していきます。

 

気候変動関連の機会

カテゴリー

主な機会

対応・戦略

時間軸

製品および

サービス・市場

ハイエンドSoCやHBMなど、AI/HPC向け半導体の旺盛な市場伸長に伴うテスト需要の増加

・電力最適化とテスト性能向上の両立

・新たなテスト方式の研究とテスト装置の開発

短・中期

EV移行や電力変換効率を高めるSiC(炭化ケイ素)/GaN(窒化ガリウム)半導体の需要拡大に伴う、パワー半導体向けテスタ事業の拡張

・新たなテスト方式の研究とテスト装置の開発

・高度化するテストニーズに対するソリューションの提供およびテスト効率の最適化

短・中期

環境性能に優れた製品開発による顧客からの信頼性向上を通じた競争優位性維持と事業成長

・サステナビリティ行動計画2024-2026に基づく電力最適化製品導入の着実な実施

短・中期

 

③ リスク管理

 当社グループでは、事業経営の阻害要因となるものをリスクとしてとらえ、全社的なリスクマネジメントの体制を整備しています。全社的なリスクマネジメント体制は、「3. 事業等のリスク (1)当社グループのリスクマネジメント体制について」に記載のとおりでありますが、気候変動が及ぼすリスクもこの仕組みの中でマネジメントされます。具体的には、気候変動に伴う緊急性のあるリスクと、将来起こりうるリスクの事案の分析・評価を行い、そのリスクを回避・軽減する施策を実施しています。

 

④ 指標および目標

 気候変動関連に関する指標は、「(1)サステナビリティ全般 ⑤指標および目標」に記載しております。

当社グループでは、気候変動対策の中長期目標として、2050年度にスコープ1+2におけるGHG排出量ゼロを目標として掲げ、また、スコープ1+2におけるGHG排出量を2026年度に2018年度比でGHG排出量を65%削減する目標を掲げております。国内拠点における再生可能エネルギーの導入が着実に進展した結果、スコープ1+2に関して、2024年度において2018年度比で75%のGHG排出量削減を見込んでおり、目標を前倒しで達成する見通しです。こうした進捗を踏まえ、2025年度以降のスコープ1+2におけるGHG排出量削減目標について、見直しを検討しております。なお、当社グループは2030年度のスコープ3のGHG排出量削減目標を策定しておりますが、当社グループを取り巻く事業環境の変化を踏まえ、現在、スコープ3のGHG排出量削減目標値の見直しを行い、目標達成に向けた具体的な施策を検討するとともに、当社の実務に即した形で運用可能であり、かつ投資家にとって理解がしやすいスコープ3GHG排出量に係る指標の策定を目指しております。以下に記載の2024年度のGHG排出量は、提出日現在における概算値であり、今後他の主要な実績数値と同様にEY新日本有限責任監査法人による第三者保証を取得し、2025年10月を目途に、当社グループのホームページ上で掲載予定です。

 統合報告書(https://www.advantest.com/ja/about/annual.html

 サステナビリティレポート(https://www.advantest.com/ja/sustainability/report/

 

GHG排出量実績(スコープ1+スコープ2)(注1)

単位:千t-CO2e

対象範囲

2018年度

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度
(注2)

国内

19.68

19.14

16.25

11.83

11.04

9.15

1.17

海外

18.45

14.71

11.93

13.21

9.43

8.92

8.38

合計

38.13

33.85

28.18

25.04

20.47

18.07

9.55

 

GHG排出量実績(スコープ3)

単位:千t-CO2e

対象範囲

2018年度

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度
(注2)

カテゴリー1

489.53

400.46

482.02

671.61

966.74

881.84

1,095.98

カテゴリー11

1,175.02

855.01

1,151.98

1,319.35

1,991.31

1,519.50

2,324.23

その他
(注3)

28.62

35.37

49.40

61.95

80.26

70.11

集計中

合計

1,693.16

1,290.84

1,683.41

2,052.92

3,038.31

2,471.46

集計中

(注)1.スコープ2はマーケット基準で算定しています。

   2.2024年度のGHG排出量は提出日現在の概算値です。

   3.当社グループの事業においては、カテゴリー10(販売した製品の加工)、カテゴリー13(リース資産(下流))、カテゴリー14(フランチャイズ)、カテゴリー15(投資)に該当する活動を実施していないため、集計対象外としています。

 

(3)人権の尊重

 当社グループは、「自社の従業員」および「バリューチェーン内の労働者」の人権を優先的に取り組むべき重要な項目であると認識しています。

 

① ガバナンス

当社グループにおける自社の従業員の人権課題についてはCHO(Chief Human Capital Officer)をトップとして、グローバル共通の取り組み体制および各地域個別の取り組み体制を整備しています。

コンプライアンスに関するリスクは、すべてCCO(Chief Compliance Officer)に情報が適時または定期的に集約され、CCOから経営会議や取締役会に報告される体制となっています。当社では2023年7月からCHOがCCOを兼務しているため、人権擁護・人事苦情処理委員会等に届く人に関するリスク情報も含めてすべてCCOに集約されます。兼務によって情報が一元的に集められるガバナンスとなっております。

 また、人権方針と重点施策の見直しは定期的に行われており、自社のみならずサプライチェーン上でも人権を尊重した事業活動が継続できるよう、サプライヤー選定や取引条件の中にも、人権の項目を取り入れ、責任ある企業行動への協力を要請しているほか、レスポンシブル・ビジネス・アライアンス(RBA)行動規範をベースとした「サプライチェーンCSRガイドブック」を発行し、サプライヤーとともに人権や労働に関する国際規範に準拠していけるよう努力しています。CSCO(Chief Supply Chain Officer)をトップとして、サプライチェーンにおける人権の尊重、公正な取引に向けたグローバル共通の取り組み体制および各地域個別の取り組み体制を整備しています。

2024年4月のGroup CEOの交代に伴い、国際的規範に基づいて、あらためてアドバンテストグループ人権方針の見直しを行いました。改定にあたっては、労働組合を含む社内の関連各部署をはじめ、社外の人権専門家にもヒアリングを行い、意見やアドバイスを踏まえて案を作成し、経営会議で審議・承認の上、改定しました。

 

② 戦略

 グローバルに事業を展開している当社では、世界の人々の人権が守られなければ、当社ビジネスの持続的な成長が見込めなくなることを認識しています。その考え方は、「The Advantest Way」でも明文化され、国連グローバル・コンパクトの10原則、世界人権宣言およびビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)を含む、国際的に認められた人権に関する原則を支持し尊重するとともに、この行動基準を私たちの事業活動の基盤とすることを約束しています。

当社グループは、サプライチェーンを通じた活動においても人権が尊重されるよう、ステークホルダーとのエンゲージメントも重視しています。人権方針の内容は、調達方針ならびにサプライチェーンCSR推進ガイドブックにも反映され、事業により人権に影響を与えうる可能性のあるステークホルダーには、そのステークホルダー自身だけでなく調達パートナーにまで配慮するよう依頼しています。

また、人権に関しては国または地域ごとの法令対応も必要になるため、法務部門とも連携しながら人権に関する法令を遵守しています。

 これらの人権の取り組みの一部である、当社グループの人権方針は次のとおりです。

 

a. アドバンテストグループ人権方針

 当社グループは、「先端技術を先端で支える」ことで「安全・安心・心地よい」社会の実現に貢献しています。私たちは、グローバルに事業活動を行う中で影響を受けるすべての人の人権が守られなければならないことを認識しています。その考え方はアドバンテストグループの「The Advantest Way」で明文化されており、この「アドバンテストグループ人権方針」は、「The Advantest Way」に基づき、アドバンテストグループの人権尊重の責任を表明するものです。

 

1.国際的規範の尊重

私たちは、「世界人権宣言」「国連グローバル・コンパクト10原則」「国際人権章典」「労働における基本的原則および権利に関するILO宣言」等の人権に関する国際規範を支持、尊重し、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいた人権尊重の取り組みを推進していきます。

 

2.人権尊重の責任

私たちは、自社のみならずサプライチェーンを含む事業活動において、人権に対する負の影響が生じた場合や、負の影響を助長したことが明らかになった場合には、是正に向けて適切な救済措置と防止・軽減措置を行うことで人権尊重に対する責任を果たします。

 

3.適用の範囲

本方針は、アドバンテストグループの役員と全従業員(正社員・契約社員・派遣社員を含むすべての社員)に対し適用されます。また、サプライヤーその他のビジネスパートナーに対しても、本方針に沿った事業活動を行うことを奨励しています。

 

4.適用法令の遵守

アドバンテストグループが事業活動を行う国または地域における法と規則を遵守するとともに、法令と国際規範に乖離がある国や地域においては、それぞれの国と地域の法令規則に可能な限り配慮をしつつ、人権に関する国際規範を尊重する取り組みを推進します。

 

5.人権デュー・ディリジェンス

私たちは、自らの事業活動による顕在的または潜在的な人権への負の影響に対処するため、人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築し、継続的に人権リスクを評価・特定し、人権への負の影響の防止と軽減に取り組みます。

 

6.教育

私たちは、本方針と人権デュー・ディリジェンスが理解され、自らの事業活動の全般にわたって効果的に実行されるよう、役員と全従業員に適切な教育の推進と人権に対する意識の啓発を継続的に実施していきます。

 

7.情報の開示

私たちは、本方針に基づく人権尊重の取り組みの状況について、サステナビリティ・ウェブサイトや統合報告書などにて報告していきます。

 

8.対話・協議

私たちは、人権に関する当面の重点課題を、「アドバンテストグループ人権に関する重点課題」として別途定め、本方針に基づいて適切に取り組んでいきます。また、当社のサプライヤー、ビジネスパートナーなどによる人権への負の影響が、アドバンテストグループの事業活動に直接つながっている場合は、相手方との対話と協議に基づいて、人権を尊重し侵害をしないように対処を求めます。なお、人権に関する重点課題については、社会や事業の動向などの変化により適宜ステークホルダーとの対話や協議を通じて見直す必要があることを理解しています。

 

9.救済へのアクセス

私たちは、人権侵害を効果的に防止・是正するために救済へのアクセスを確保・促進します。当社では従業員、サプライヤー、その他の外部のステークホルダーを含む誰もが、コンプライアンス相談窓口を利用して匿名で通報することができます。また、通報を理由として通報者に不利益を与えるなどの報復行為を禁止しています。

 

b. 人権に関する重点課題

当社が事業との関連性を踏まえ、重点的に取り組んでいる人権課題は以下の6つです。

これらの重点課題において、私たちは人権に関するリスクを評価・特定し、人権への負の影響の防止と軽減ができるよう、様々な方法で人権デュー・ディリジェンスに取り組み始めています。

 

1.差別の排除

私たちは、一人ひとりの人権を尊重し、人種・信条・性別・年齢・国籍・民族・宗教・社会的身分・身体的障害・疾病・性的指向などによる差別を排除します。

 

2.児童労働・強制労働の禁止

私たちは、法令で定められた就業最低年齢に満たない児童の雇用、および法令で禁じられた強制労働・奴隷労働および人身売買による労働を一切させません。

 

3.労働基本権の尊重

 私たちは、誠実な労使コミュニケーションを通して堅固な信頼関係を築き、お互いが協力しあうことで従業員と会社がともに発展することを目指します。結社の自由ならびに労働者の団結権および団体交渉権をはじめとする労働基本権を尊重します。

 

4.適切な賃金の支払いおよび労働時間の管理

 私たちは、従業員の労働時間を適切に管理し、各国・地域の法令に則った適正な賃金を支払います。また、賃金の支払い額は従業員の成果や職歴、労働時間など客観的な実績に基づいてのみ決定されます。

 

5.安全な職場環境の確保および健康管理

 私たちは、私たちの健康、安全および個々の健やかな成長のため、快適な職場環境を維持することに努めるとともに、豊かな個性の伸長を支援します。

 

6.差別的言動、暴力行為、ハラスメントの禁止

 私たちは、いかなる差別的言動、暴力行為、セクシュアル・ハラスメント、パワー・ハラスメント、誹謗中傷等個人の尊厳を傷つける行為を行いません。

 

③ リスク管理

全体的なリスクマネジメント体制は、「3. 事業等のリスク (1)当社グループのリスクマネジメント体制について」に記載のとおりでありますが、人権に関するリスクもこの仕組みの中でマネジメントされます。そのほか、当社グループは、自社の事業活動がサプライチェーン上のステークホルダーを含めた人々に対し、負の影響を与えていないかどうかを把握するため、アセスメントの仕組みを取り入れ、人権リスクの特定・評価および防止、軽減措置に努めています。グローバル共通の企業倫理ヘルプラインを設置し、職場だけでは解決が難しい人権についての問題や相談がある場合に、企業倫理相談室に報告・相談できる制度を設けています。匿名での報告・相談が可能な仕組みを取り入れており、また、主要な言語である16言語での報告を受け付けています。スマートフォンなどのモバイル端末から報告・相談できるよう、QRコードを記載したポスターも各事業所に掲示しています。報告・相談事項は企業倫理相談室が中心となって対応し、報告者・相談者が不利益な扱いや報復行為を受けることがないよう、万全な注意を払っています。また、ヘルプラインの相談・報告をより行いやすくするため、外部の法律事務所(弁護士)への通報窓口も設けています。なお、これらのヘルプラインは海外からも利用が可能であり、グローバルイントラネットのトップページにリンクを貼っています。

また、国内においては、労働組合とともに人権擁護・人事苦情処理委員会も設置し、国内の人権問題についての相談を受け付けています。相談者のプライバシーに十分配慮したうえで人権擁護・人事苦情処理委員会が適切な対応を実施し、迅速な解決を図っています。

当社は、この活動を通して、従業員一人ひとりがお互いの人権を尊重し、安心して働くことのできる職場づくりに努めています。

 

④ 指標および目標

人権に関する指標は、「(1)サステナビリティ全般 ⑤指標および目標」に記載しております。

また、自社の人権に関する取り組みが国際的に求められる基準になっているかどうかを把握するため、積極的に外部サステナビリティ機関のアセスメントも受けています。2023年度からは、EcoVadis社が実施するセルフアセスメントに回答し、国際標準とのギャップ把握に努めました。同社のセルフアセスメントは、「環境」、「労働と人権」、「倫理」、「持続可能な調達」の4つのテーマで企業の持続可能性を包括的に評価しており、多くのグローバル企業が同評価をサプライヤー選定における重要な基準として参照しています。

 

(4)人的資本

① ガバナンス

 当社グループでは、2022年にCHO(Chief Human Capital Officer)を設置し、CHOを頂点とするグローバル共通の人事課題への取り組み体制および各地域個別の人事課題への取り組み体制を整備しました。また、人的資本に関する事項の決裁権限については、グローバル組織およびグローバル職務権限規定で定めており、重要な事項の決裁にあたっては、CHOの事前承認またはCHOの決裁を求め、適宜取締役会に報告するなど、グループ全体を考えたガバナンスを確保しています。

 

② 戦略

 先述のとおり、当社グループは、経営理念「先端技術を先端で支える」を体現する会社であり続けるため、中長期経営方針「グランドデザイン」を策定し、それを実現するための戦略課題に取り組んでいます。

 これらの戦略課題実現にあたっては、人的資本、研究開発資本、製造資本、顧客関係資本等の整備、強化が必須です。人的資本は、これらの資本の基盤となるものでもあります。したがって、当社グループの人事戦略は、経営戦略と密接に結びついたものである必要があります。そのため当社グループは、人的資本の総合力を高めるべく、「個人の力」と「組織の力」を両輪として、様々な取り組みを進めています。「個人の力」を高めるために、当社グループは従業員の能力開発に一層の力を入れると同時に、採用およびリテンションプログラムの改善等を通じて必要な人財の確保を進めています。また、「組織の力」を高めるために、エンゲージメントの向上や多様な人財の定着・活躍に取り組んでいます。さらに、これらの両輪をつなぐものとして、経営理念の体現に必要な人事制度を継続的に見直しています。

 これらの人事戦略の一部である、当社グループの人財育成基本方針および社内環境整備方針は次のとおりです。

 

a. 人財育成基本方針

 当社グループは、人財を当社グループの持続的成長に不可欠な人的資本としてとらえ、人財の育成は人的資本への投資であり、育成により高めた「個人の力」とこれを活かす「組織の力」の両輪が従業員エンゲージメントを高め、当社グループの価値創造を推し進めると確信しています。The Advantest Way、コア・バリュー「INTEGRITY」を礎に、技術戦略や卓越した経営戦略のもとで、人財開発フレームワークに基づき、積極的、継続的かつ公正に人財の育成に取り組みます。

 

1.キャリア自律

 私たちは、従業員が積極的にキャリアアップすることを奨励し、目指すキャリアに求められる経験や知識を得るためのリソースやサポートを提供します。

 

2.グローバル人財

 私たちは、長期的な視野に立ち、グローバルな視点で専門性やマネジメントリテラシーを高める機会を提供し、人財を育成します。

 

3.最先端人財

 私たちは、経営理念「先端技術を先端で支える」を体現するため、長所をさらに伸ばすことにより、最先端にチャレンジするハイパフォーマーの育成を目指します。

 

4.Advantest Development Framework

 私たちは、The Advantest Wayおよび経営戦略に基づき、当社のすべての従業員のため、キャリアアップに求められるスキルをAdvantest Development Frameworkとして表し、必要なリソースを提供します。

 

b. 社内環境整備方針

 当社グループは、人財を当社グループの持続的成長に不可欠な人的資本としてとらえ、その価値を最大限に引き出すことが当社の企業価値向上に直結することを認識し、The Advantest Way、経営戦略およびこの基本方針に基づき、積極的、継続的かつ公平に人的資本に関する社内環境の整備に取り組みます。

 

1.企業文化

 私たちは、The Advantest Wayが、多様性に富む当社従業員をグローバルに結束したチームをつくる企業文化の礎であることを理解し、すべての従業員が日々の業務生活の中でThe Advantest Wayを体現、実践できるよう、継続的にThe Advantest Wayの定着および浸透に取り組みます。

 

2.人財開発・育成

 私たちは、意欲ある当社従業員の自律的なキャリア形成を促すため人財開発・育成の強化に取り組みます。人財の力強さと課題は、定期的なエンゲージメントサーベイにより把握し、適宜、当社の人財開発・育成の施策およびアクションプランに反映していきます。

 

3.健康経営

 私たちは、健康宣言のもと、従業員の健康維持・増進に経営的な視点から戦略的に取り組みます。

 

4.働き方、職場環境

 私たちは、従業員一人ひとりがワークライフ・バランスを実現できるよう、多様な働き方を受け入れ奨励し、支援を行います。また、オフィス環境を整備するだけでなく、リモート勤務環境の強化についても必要なサポートを提供します。

 

 

③ リスク管理

 全社的なリスクマネジメント体制は、「3 事業等のリスク (1)当社グループのリスクマネジメント体制について」に記載のとおりでありますが、人的資本に関するリスクもこの仕組みの中でマネジメントされます。そのほか、「(3)人権の尊重 ③リスク管理」に人権に関するリスク管理について記載しております。

 

④ 指標および目標

 人的資本に関する指標は、「(1)サステナビリティ全般 ⑤指標および目標」に記載しております。

 

(参考)当社グループの取り組み

 

・人財育成への取り組み

 当社グループでは、「人財育成基本方針」、「社内環境整備方針」に基づき、すべての従業員のため、キャリアアップに求められるスキルを表した「Advantest Development Framework」を定め、このフレームワークに従い、さまざまな育成施策を推進しています。

 従来の施策の継続、強化とともに、当社では、2024年より、すべての管理職を対象とした研修プログラム「MP-2(Management Program 2)」をスタートしました。これは、管理職が自らのポジションに求められる責任とスキルを正しく理解・強化し、定期的な研修を通じて組織全体のパフォーマンスを向上させることを目的としたプログラムです。初年度の2024年度は、「自らの立ち位置を知る」というテーマで、360度サーベイ、TOEIC、外部講師による業界セミナーの3つの施策を実施しました。

 また、社内技術交流をさらに拡大し、自由な発想と知識の交流、コミュニケーションの活性化を促進する「RAKUICHI構想」に基づき、2024年に社内交流イベント第1回「RAKUICHI」を開催し、エンジニアだけでなくコーポレート部門も参加し、様々なテーマによるプレゼンテーションやポスターセッションが行われました。

 その結果、当社グループの2024年度の教育・研修費用は6.8億円となりました。

 

・従業員エンゲージメント向上への取り組み

 当社グループでは、2024年に2021年以来となるエンゲージメントサーベイを実施しました。その結果、スコアは3.64から3.76へ、Engaged(熱意のある)従業員の比率は26%から32%へと、いずれも改善しています。また、「INTEGRITY」を優れた行動で実践し、企業文化の変革に大きく貢献した従業員を推薦し、感謝を伝える「The INTEGRITY Award」については、2024年度のノミネーションが400件を超えました。

 現在、「The Advantest Way」やコア・バリュー「INTEGRITY」を企業文化として定着させる「INTEGRITY」ワークショップや、マネージャー層に向けた、リーダーシップに重点を置いた「Leading with INTEGRITY」ワークショップ、「The INTEGRITY Award」などの取り組みを継続するとともに、マネージャーのエンゲージメントスコアが低い組織のエンゲージメントが低くなる傾向にあることから、マネージャー層に向けた新たな取り組みについても実施していきます。

 

 なお、当社グループの女性管理職比率および男性社員の育児休職取得率向上のための取り組みは、「第1 企業の概況 5.従業員の状況」に記載しております。