2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経済状況について

 当社グループは、デジタル放送市場と電波関連市場に特化して電子計測器の開発と製造、販売を行っております。今後、世界的に動画配信ビジネスが放送から通信へとシフトしていく中、主として放送市場向けの放送関連用計測器市場は漸減していくとみられます。そのため、放送関連用計測器だけでなく、テレビ電波の計測器、カメラテストシステム等、特化した市場に幅広く製品を展開し、市場の動向に対してリスクヘッジをしております。また、新規事業として、当社に蓄積された自動画質評価技術を基盤として、動画制作・編集業務の自動化・省力化ソリューションを開発・展開してまいります。

(2)技術開発力について

 当社グループは、ますます高度化するデジタル技術に対応するため、引き続き開発設備等の拡充強化策を実施しております。そのため連結子会社であるPhabrix Limitedの技術力・商品開発力・コスト競争力を当社と融合することにより、開発のスピードアップをはかります。また、当社とPhabrix Limitedの役割分担・連携を明確にし、新規事業領域の開発リソースを抽出し、事業化に向けて迅速に取り組みます

 さらに、技術力を保持するため技術者の確保、育成をはかっており、また、技術者の流出を防ぐ取組みを行っております。

(3)生産体制について

 当社は、経営資源を技術開発、販売及び品質管理に集中させるため、生産を外部に委託するファブレスメーカーの事業形態を構築しております。なお、当社の製品は委託先の特殊な製造技術に依存するものではなく、一般的な製造技術で生産が可能であり、また製品固有の技術及びノウハウは全て当社で管理しているため、生産委託先の経営悪化、生産能力及び品質問題の発生等により生産委託が不可能となった場合においても、他の製造会社への移管は可能であると考えております。

 しかしながら、代替委託先を迅速に手当できない、あるいは移管完了までに長期間を要した場合等には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)ウクライナ・中東問題の影響について

 ロシア・ウクライナ両国間及び中東における紛争により、経済活動の先行きが不透明な状態にあります。このような状況ではありますが、当社といたしましては各地域とも、これらの要因によって当社製品に対する需要が長期的には大きく増減するものではないと考えております。

 しかしながら、紛争が長期化することにより、世界経済の停滞や為替の変動、部材の確保や物流に支障が出るような場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 そのようなリスクに備えて、経営面において技術研究費を除く販売管理費を最大限圧縮し、今後の成長余力の確保と当面の営業利益の確保の両立に努める次第です。

(5)企業買収について

 当社グループは、事業環境の変化に柔軟に対応しながら、グローバル展開における継続的かつさらなる安定的な収益基盤の強化及び事業成長を達成するために、資本提携をはじめとするM&A戦略を推進しております。その実施に際しては、対象となる企業に対して事前に十分な調査及び検討を行い、リスクの精査を行ってまいります。しかしながら、買収後に未認識の簿外債務が発覚した場合、偶発債務が顕在化した場合、事業環境や競合状況の急激な変化等により当初に期待していた成果が得られない場合、のれんの減損損失が発生する場合等には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります

(6)製品の欠陥について

 当社は、ISO9001による品質マネジメントシステムを適正に運用し、欠陥のない製品作りを行っております。また、欠陥の発生に際しましては原因の追及、迅速な対応に加え、他製品への水平展開を行うなどのリスクヘッジをしております。

(7)為替変動について

 連結する子会社の現地通貨建て財務諸表の各項目は、円換算時の為替レートの変動の影響を受ける可能性があります。また、地域、顧客によっては外貨建て取引を行っているため、為替変動による影響を受ける可能性があります。

 顧客の信用リスクに関しては、取引先ごとに与信管理を徹底し、期日管理や残高管理を行うことによって、リスク低減をはかっております。

 また、外貨建営業債権の為替の変動リスクに関しては、個別にデリバティブ取引(為替予約取引)を利用してヘッジしております。

 

(8)安全保障輸出管理体制について

 当社製品の一部に安全保障輸出管理規制の対象となるものがあります。そのため、当社は経済産業省に届け出ている安全保障輸出管理規程に沿って輸出管理を行い、経済産業省の検査にも疑義のないレベルを維持しております。

(9)投資有価証券について

 当社グループは、投資有価証券を保有しておりますが、株価の下落あるいは投資先の業績不振等により評価損が発生した場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 投資有価証券は上場株式であり、四半期ごとに時価の把握を行っております。

(10)固定資産の減損について

 固定資産の減損会計基準の対象となる資産又は資産グループについて減損損失を認識すべきであると判定した場合には、当該資産又は資産グループの帳簿価額を回収可能価額まで減額することとなり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

配当政策

3【配当政策】

 当社の利益配分につきましては、今後の経営環境及び業績等を勘案しつつ株主還元を重視し、配当性向も考慮した継続的な安定配当を行うことを基本といたしております。

 当社は、期末配当として年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。

 剰余金の配当の決定機関は、期末配当につきましては株主総会、中間配当につきましては取締役会であります。

 当事業年度の期末配当金につきましては、上記の基本方針を鑑み、1株当たり15円の配当を実施することを決定いたしました。

 なお、内部留保された資金の使途につきましては、今後の事業の成長及び強化をはかるため研究開発を中心に有効な投資をしてまいりたいと考えております。

 当社は、取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。

  なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2024年6月27日

50,581

15

定時株主総会決議