2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1.為替レートの変動に関わるリスク

 当社グループの事業は、グローバルな製品の生産と販売を含んでおります。日本以外の生産拠点はフィリピン、韓国及びドイツであり、これら地域の通貨価値の上昇は、製造と調達コストを押し上げることになります。コストの増加は当社グループの価格競争力を低下させることになり、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。販売に関わる通貨は、日本円の他、米ドル、ユーロ、シンガポールドル等があり、これら通貨の価値の下落は当社グループの収入減となって業績に悪影響を及ぼします。短期的な為替変動リスクに対しては、為替リスクヘッジ取引により、悪影響の排除に努めておりますが、中長期的な為替変動には対応できなくなる場合もあり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

2.事業環境の変動に関わるリスク

 当社グループの業績は、営業収入のうち重要な部分を占めるテストソリューション事業製品の需要が過去において世界の半導体需給に大きく影響を受けたように、当社グループのコントロールが及ばない要因の影響を受けます。その要因とは、グローバルな経済環境全般の変化(今般では米中間の貿易摩擦がコネクタソリューション事業に与える影響)、地政学的リスクの増大、大規模な感染症の流行などを契機とした企業のビジネス環境や個人のライフスタイルの変化、新製品の市場投入の成否、大口顧客による製品戦略等の変更、大口注文の解約、大口顧客の倒産、大口顧客のM&Aによる消滅などに伴う大きな変化ですが、これらに好ましくない変化が生じた場合は、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

3.気候変動に関わるリスク

 当社グループは、気候変動に関わる課題を当社グループの経営に重要な影響を与える主要なリスクのひとつとして認識しております。気候変動による影響は一部顕在化しており、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。リスクが当社の経営に与える影響については、前記「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (4)戦略」をご参照ください。

 

4.価格競争に関わるリスク

 当社グループが属しているエレクトロニクス業界は、スマートフォンや車載用電子機器等の製品や部材などの技術革新の進展が加速化し、新製品への切り替えが早まることにより、市場での在庫調整への動きや競合他社との価格競争も激化する環境下にあります。当社グループは、継続的な開発投資により独自技術の蓄積と新製品・新技術の開発に積極的に取り組んでおりますが、国内外を問わず業界における価格競争は激化しており、顧客からのコストダウン要求や競合他社の参入攻勢などのため、今後一層の価格下落が予想されます。当社グループは、グローバルな視点での収益及びコストの構造改革を推進してまいりますが、予想を超えた価格競争や販売価格の下落及び在庫調整が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

5.製品の品質、欠陥に関わるリスク

 当社グループは、各製造拠点で世界的に認められている品質管理基準に従って各種の製品を製造しております。しかしながら、製品の微細化、高品位化がますます要求されていることからも、品質問題、リコールが発生しない保証はありません。特に、コネクタについては、最終製品がマスプロダクトであるスマートフォンや車載用電子機器等であることから対象製品が量的に多くなりやすく、製造物賠償責任保険などによるリスクヘッジに努めておりますが、賠償額の大きさによっては当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

6.知的財産権に関わるリスク

 当社グループは技術開発型企業として競合他社に対して差別化できる技術を蓄積してまいりましたが、急速な生産工場のグローバル化の結果、一部地域では当社グループの知的財産権が完全な保護を受けることが出来なくなる可能性があります。また、競合間での技術の急速な開発競争の結果、当社グループの技術が意図せずに他社の知的財産権を侵害してしまう可能性もあります。

 

7.訴訟に関わるリスク

 当社グループが広範な事業活動を展開する中で、知的財産権、製造物責任、環境、労務等の様々な訴訟の対象となるリスクがあります。重大な訴訟が提起された場合、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

8.海外での事業展開に関わるリスク

 当社グループの生産、販売活動の大きな部分が、東南アジア、中国、米国、ヨーロッパ等の日本以外の国で行われております。これら海外事業展開でのリスクとして、①予測できない税制、法律の改定 ②最低賃金改定による想定以上の賃上げや労働争議による賃上げ ③伝染病(特に感染規模が大きく、収束までに長期間を要するもの)、戦争、テロ、自然災害による事業継続の困難さ ④インフラの不確実性―エネルギー、ロジスティックス等 ⑤優秀な人材確保の困難さ等があり、当社グループの業績、財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

9.外注部品供給元への依存に関わるリスク

 当社グループ製品は、多くの原材料、部品、治具の供給を外注業者に依存しております。それら外注業者とは安定供給を狙いとした協力関係を築いておりますが、時に原材料、部品の不足や、治具の供給遅延が起こらないという保証はありません。原材料、部品、治具の供給状況の悪化は当社グループのコスト上昇に繋がり競争力を失うことから業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

10.原材料価格の変動に関わるリスク

 当社グループが使用する金や銅などの金属材料や石油化学原料は、価格が大きく変動することがあり、これら原材料の価格上昇分を製品価格に十分に転嫁できない場合、あるいは品種転換により製品原価を抑えることができない場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

11.技術トレンドの予測に関わるリスク

 当社グループは、革新的な技術と資源を投入する新製品の開発により、業績を確保しておりますが、新技術のトレンド、マーケットでのニーズの予測を間違えると投下資源の回収が出来なくなることから業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

12.量産拠点の集中に関わるリスク

 当社グループの生産拠点は、テストソリューション事業及びコネクタソリューション事業の製品は一部製品を除きフィリピン、光関連事業の製品は神奈川県秦野市にて生産しており、各生産拠点が一極集中しております。何らかの原因でそれら生産拠点での操業が制限を受けたり不可能になるなど不測の事態が生じた場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、中長期的に国内での生産を拡大することにより、リスク低減に努めてまいります。

13.減損損失に関わるリスク

 当社グループが保有する土地および設備等の資産について、取得時に想定した収益が見込めなくなった場合には、「固定資産の減損に係る会計基準」の適用により減損損失が計上され、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

14.資金調達に関わるリスク

 当社グループが事業を展開するために必要な資金の調達について、金利の上昇や当社グループの信用力の低下などにより調達コストが増加した場合、収益性が悪化する可能性があり、また有利子負債の一括返済を求められた場合、財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

配当政策

3【配当政策】

当社は、株主の皆様に対する安定的な配当の維持と適正な利益還元を行うとともに、財務体質と経営基盤の強化を図ることを利益配分の基本方針としております。

内部留保資金につきましては、既存事業の拡大や新技術・新製品開発投資など企業価値向上のために活用してまいります。

また、当社は自己株式の取得についても、株主の皆さまに対する利益還元の一環として財務状況等を勘案し、機動的に実施を検討してまいります。

当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。

これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

当事業年度の配当につきましては、上記方針に基づき1株当たり31円の配当(うち中間配当18円)を実施することを決定いたしました。

当社は、「取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。

なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2023年11月7日

367,980

18.00

取締役会決議

2024年6月26日

265,763

13.00

定時株主総会決議