2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月28日)現在において当社グループが判断したものであります。

① 自然災害によるリスクについて

近年、世界で異常気象や地震などが引き起こす自然災害が激甚化してきており、その頻発化、被害の甚大化は過去の事象から想定できるものではなく、その対策が大きな社会課題となっています。当社グループは、ハザードマップ等から製品・部品在庫や生産に係わる自動機をより安全な場所へ移動するなりの対応はしておりますが、想定を超えた台風、洪水、地震、津波等の自然災害が発生した場合、事業所の機能停止、設備の損壊、電力・水・ガス等の供給停止、通信手段の停止、仕入先からの部品供給の遅れ、サプライチェーンへの被害等により、事業活動が中断し、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 為替相場の変動による影響について

外国通貨で取引されている製品の価格は、為替相場の変動による影響を受けるため、当社グループの経営成績、財政状態及び競争力に影響を及ぼす可能性があります。また、海外の現地通貨建ての財務諸表は連結財務諸表を作成する際に円換算されるため、当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③ 部品調達について

当社グループは、部品・材料の安定的な調達を実現できるよう努めておりますが、生産活動に必要な部品・材料の多くをグループ外の仕入先から調達している関係から、仕入先の納入遅延、製品の欠陥、製品の統廃合、経営状態の悪化、コンプライアンス違反、環境規制などにより、部品・材料の調達が困難になる可能性があります。また原材料費・物流費・人件費等の上昇に伴い、当社グループが調達している部品・材料も高騰しております。今後、これらの事態が長期化した場合、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

④ 人材確保について

当社グループは、2030年のありたい姿として制定したグループビジョンを実現するため、適正な人材の確保が重要な課題となっています。そのため、内部での人材育成と、多様な求人手段を活用した外部からの人材登用の両面で人材確保に努めております。また、人事制度の改訂や教育制度の充実を図ることで、人材流出を防止しております。しかしながら適正な人員確保が進まない場合は、期待していた収益を得られず、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 海外(中国・フィリピン)での生産活動について

当社グループは、メーカーとしての市場への供給責任を果たすべくリスクを分散するため、日本・中国・フィリピンにおいて生産活動を行っており、現在、グループ全体の生産量の75%程度を海外で生産しております。これにより、工場間で補完機能を持たせることができるようになり、被災等しても供給責任を果たせるようになりました。その反面海外の生産活動は、地政学的リスクにより予期せぬ事態が発生し、一時的に製品供給に問題を生ずる危険があり、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 製品のリスクについて

当社グループは「品質のNKK」「技術のNKK」として高品質・高性能の製品を目指しており、国際標準規格である品質マネジメントシステム(ISO 9001)により製品の製造を行っております。また、国内外の様々な環境法令を遵守し、事業活動を進めております。しかし全ての製品について欠陥がなく、将来的にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物賠償責任については保険が最終的に負担する賠償額を十分カバーできるという保証はありません。大規模なリコールや製造物賠償責任につながる製品の欠陥が発生した場合には、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。また、環境規制の強化により遵守すべき法規制が追加された場合には、その対応のための投資や費用が必要になるなど、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 投資有価証券の変動による影響について

当社グループは、原則として取引関係のある取引先等の要請により市場性のある株式等を保有(当連結会計年度末保有高1,239百万円)しておりますが、将来大幅な株価等の下落が発生する場合には減損が発生し、当社グループの業績に悪影響を与えるとともに、自己資本比率の低下を招く恐れがあります。

 

⑧ 棚卸資産の収益性の低下による簿価切下げ

当社グループは、お客様の要求に迅速に対応するため、一部の製品で計画生産を行っております。このため生産管理体制の強化、需要予測の精度向上に努めておりますが、市場環境の急激な悪化等により過剰在庫等が発生した場合、評価損等の計上により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

⑨ 価格競争について

当社グループが属している電子部品のスイッチ業界は、大手から中小までの多数の同業者が存在する競合の激しい業界であります。また、競合他社は国内だけでなく世界各国に存在しております。そのような環境の下、価格競争は一段と激化しており、この競争に巻き込まれないためにも当社グループは継続的な開発投資により他社にない独創的な新製品の開発に努めております。しかしながら顧客との関係において恒常的に価格低減傾向にあります。当社グループは、グローバルな視点から収益・コストの改革を進めておりますが、今後一層の価格下落も考えられ、この販売価格の低下が、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

当社は、株主への利益還元を重要な経営課題と位置づけ、収益の状況及び将来の事業展開等を勘案して、安定的な配当を継続的に行うことを基本方針としております。当社は、中間配当と期末配当の年2回の配当を行うこととしており、その決定機関は、期末配当につきましては株主総会、中間配当につきましては取締役会であります。

当期の配当金につきましては、業績動向等を総合的に勘案し、中間配当金は1株当たり50円、期末配当金は1株当たり50円の普通配当に、創立70周年記念配当として20円を加えた70円といたしました。

次期の配当につきましても、当社基本方針に基づき、収益の状況及び将来の事業展開等を勘案して決定してまいります。なお、内部留保については、今後の積極的な事業展開及び研究開発活動などに役立てたいと考えております。

当社においては、「取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。

なお、基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

 (千円)

1株当たり配当額

 (円)

2023年11月9日

41,141

50.0

取締役会決議

2024年6月27日

57,593

70.0

定時株主総会決議