人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数2,315名(単体) 3,604名(連結)
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平均年齢44.5歳(単体)
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平均勤続年数16.6年(単体)
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平均年収8,280,000円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
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2025年3月31日現在 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
理科学・計測機器事業 |
2,382 |
産業機器事業 |
594 |
医用機器事業 |
276 |
全社(共通) |
352 |
合計 |
3,604 |
(注)1 従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含むほか、嘱託を含んでおります。)であります。
2 全社(共通)として、記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。
3 従業員数が前連結会計年度と比べて169名増加したのは、主に連結子会社の増加によるものであります。
(2)提出会社の状況
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2025年3月31日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(才) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
2,315 |
44.5 |
16.6 |
8,280,000 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
理科学・計測機器事業 |
1,451 |
産業機器事業 |
425 |
医用機器事業 |
263 |
全社(共通) |
176 |
合計 |
2,315 |
(注)1 従業員数は就業人員(当社からの出向者を除き、当社への出向者を含むほか、嘱託を含んでおります。)であります。
2 平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。
3 全社(共通)として、記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。
(3)労働組合の状況
当社グループには「JAM日本電子連合労働組合」があり、2025年3月31日現在の組合員数は1,610名であります。
なお、労使関係については円滑な関係にあり、特記すべき事項はありません。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異(注)1
当事業年度 |
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管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)2 |
男性労働者の育児休業取得率(%) (注)3 |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)2・4 |
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全労働者 |
うち正規雇用 労働者 |
うちパート・ 有期労働者 |
||
5.2 |
55.9 |
82.9 |
85.7 |
98.0 |
(注)1 連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)および「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
2 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
3 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
4 労働者の男女の賃金の差異の算出では、属人的手当(食事・家族・住宅・通勤・寒冷地手当)を除いております。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
(1)サステナビリティ全般
当社グループは、“日本電子は、「創造と開発」を基本とし、常に世界最高の技術に挑戦し、製品を通じて科学の進歩と社会の発展に貢献します”という経営理念のもと、科学技術の振興に寄与する活動を続けております。
科学技術の振興に寄与し、科学の進歩と社会の発展に貢献するために、当社グループは環境と社会の持続可能性への貢献と健全な事業活動による社会課題の解決を通じて企業価値の向上を追求してまいります。また、その事業活動が株主・取引先・顧客・従業員などのステークホルダーや環境に与える影響に十分配慮して行動するとともに、ステークホルダーとの対話を通じて信頼を築くよう努めてまいります。
①ガバナンスおよびリスク管理体制について
当社では、サステナビリティ全般に関する重要課題の審議・検討やリスク管理について下図の体制を構築しております。各部門(事業部・本部・グループ会社)では、自らのサステナビリティに関する課題やリスクの抽出、評価、コントロールを実施しており、内部統制・リスクマネジメント推進を担う各委員会が全社的なリスクコントロールを実行しております。これらの委員会がサステナブル課題を含むリスク情報を集約して、審議すべき全社重要リスクを取りまとめ、代表取締役社長兼CEOを委員長とし、社外弁護士も参加するCSR委員会へ報告します。CSR委員会ではこの報告内容について審議・検討を行い、各部門に諮問・提言するとともに結果を取締役会および監査役会に報告します。これら一連の流れにより経営層がサステナビリティに関する全社重要リスクの審議と決定に関与する仕組みとなっております。
なお、当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方および企業統治の体制の概要については、「第4提出会社の状況、4コーポレート・ガバナンスの状況等(1)①、②」に記載しております。また、リスク管理体制の整備の状況については、「第4提出会社の状況、4コーポレート・ガバナンスの状況等(1)④」に記載しております。
(2)気候変動
当社グループは、気候変動に伴うリスクや機会は、事業戦略に大きな影響を及ぼすものと認識しており、2021年に新たに特定した「地球環境の保全と持続可能性に貢献」を重要なマテリアリティと位置づけ、TCFDの提言に準じた気候変動シナリオの分析やガバナンス/リスク管理体制の開示、温室効果ガス(GHG)の継続的な算定を進めています。
①ガバナンスについて
2006年には、サステナビリティの取り組みを効率的に進めるための専門組織であるCSR委員会を立ち上げました。取締役会は委員会で検討した気候変動に関する課題について審議、必要に応じて委員会へ諮問を行い、これらの課題の決定と取り組み(KPIとしてのGHG排出量の削減など)をCSR委員会委員長の責任のもと、モニタリングします。
②戦略について
当社グループは、2種のシナリオ(1.5℃および4℃)に基づき事業に与えるリスク・機会に関して、以下の項目を抽出し、対応策を立案しております。
■リスク
1.5℃シナリオにおいては規制の強化によるエネルギー転換にかかる費用の増加、低炭素商品のニーズへの対応不足による売上減少、4℃シナリオでは自然災害の激甚化による費用の増加リスクが予想されます。
リスク |
分類 |
ドライバー |
リスク内容 |
時間軸 |
影響度 |
対応策 |
移 行 リ ス ク |
法規制・政策 |
炭素価格の導入・炭素価格の高騰 |
自社排出量(Scope1-2)に対する費用の発生 |
中期 |
中 |
[Scope1] ■省エネ設備の導入 ・クリーンルームの空調 機の更新・省エネ設備 の導入・照明器具のL ED化 ・生産用電力設備の運転 制御の最適化 [Scope2] ■再生可能エネルギーの 導入 ・再エネ電力メニューの 適用を関係会社へも拡 大 |
法規制・政策 |
再生可能エネルギー価格の高騰 |
電源構成において再生可能エネルギーの割合が高まった場合の電力費用の増加 |
中期 |
小 |
■PPAによる再生可能エネルギーの導入 ・契約完了、2026年度より導入予定 ■自家発電設備導入による再生可能エネルギーの導入 ・太陽光発電設備の導入 |
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法規制・政策 |
炭素価格の導入・炭素価格の高騰 |
サプライヤーの製造コストが増加し原料への価格転嫁が発生した際の調達コストの増加 |
中期 |
小 |
■サプライヤーと共に、地球環境に配慮した事業展開を遂行 ■サプライヤー企業へGHG算定、削減依頼 |
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技術 |
低炭素製品の開発 |
低炭素商品のニーズの増加に対応できず、低炭素商品を開発できなかった際の売上の減少 |
中期 |
大 |
■CO2排出削減効果の高い技術の開発・実証を進め、同業他社との差別化 ・環境設計基準を見直し、GHG排出量が少ない装置を市場導入 |
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評判 |
情報開示対応 |
半導体・スマホメーカーからの情報開示要請の増加や規格の厳格化の中で対応ができなかった際の売上の減少 |
短期~中期 |
大 |
■継続的なステークホルダーへの情報開示 ・有価証券報告書、統合報告書による情報開示 ■気候変動に関する外部格付けへの対応 ・継続的なCDP質問書への回答 |
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物 理 リ ス ク |
急性 |
自然災害の激甚化 |
台風等の自然災害における車両損傷対応(自動車保険料)の負担の増加 |
短期~中期 |
小 |
■自動車の浸水対策の計画と実施 ・水害ハザードマップ拠点の抽出 ・該当拠点における駐車場の高台移転 |
急性 |
自然災害の激甚化 |
災害対策のためのBCP対策によるコストの増加 |
中期 |
小 |
■BCP対策拠点の抽出 ・部門BCPマニュアルの更新と防災教育および訓練の実施 ・災害時の通信強化策の検討と対応 ■対応策の検討および実施、スケジュールの明確化 ・BCPの全社見える化対応 |
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急性 |
自然災害の激甚化 |
自然災害によるサプライチェーンの分断による製造停止に伴う売上の減少 |
中期 |
中 |
■サプライチェーンの多角化 |
■機会
環境配慮型事業の拡大や気温上昇による新薬開発需要の拡大に伴う売上増加が予想されます。
機会 |
分類 |
ドライバー |
機会内容 |
時間軸 |
影響度 |
対応策 |
機 会 |
製品およびサービス |
気温上昇による感染症の蔓延 |
気温上昇による感染症が蔓延した際の新薬開発需要に伴う売上の増加 |
中期 |
大 |
■抗ウィルス薬の開発に必要な装置の開発 ・ウィルスの観察・特定・構造解析ができ、効能がある薬剤の分子構造を決定できる装置を開発 ■開発投資額の増強 |
製品およびサービス |
電池開発分野の参画 |
EVや蓄電池等、電池使用製品需要に合わせた研究設備投資に伴う売上の増加 |
短期~中期 |
大 |
■ソリューション情報の提供による販売拡大 ・バッテリーの開発に対応したJEOL装置の紹介と使用方法を提供 ・お客様要求事項に対するアドバイスと分析・装置使用方法のスキル向上支援 ■開発投資額の増強 |
|
製品およびサービス |
環境配慮型事業の拡大 |
低炭素素材需要に合わせた研究設備投資に伴う売上の増加 |
中期 |
大 |
■低炭素排出製品の開発 ・環境配慮設計基準の見直し ■開発投資額の増強 |
・使用シナリオ:[移行リスク]IEA WEO2023 NZE2050 [物理リスク]・IPCC RCP8.5 ・IPCC AR6 SSP5-8.5
・時間軸 短期:1年以内、中期:~2030年、長期:~2050年
・影響度 小:売上額1億円未満、中:売上額1億円以上10億円未満、大:売上額10億円以上
③リスク管理について
当社グループでは、情報セキュリティ、品質・環境、輸出管理、安全衛生、災害発生等に係るリスクについてそれぞれ責任部署や委員会を定め、事業運営上において発生しうるあらゆるリスクの予防、発見、是正、および再発防止に係る管理体制の整備と発生したリスクへの対応を行っております。気候変動に関するリスクについては、当社グループの環境責任者が参加する「ゼロカーボン推進委員会」で識別・評価・議論を行い、その課題への対応について「CSR委員会」に報告します。CSR委員会は、特に当社の事業活動に影響を及ぼす可能性が大きいと判断したリスクの対応策について取締役会へ報告しマネジメントレビューを受けるとともに、監査役会へ報告します。気候変動のみならず、報告を受けた取締役会はCSR委員会および各委員会を経由して指示・監督を行うことにより常に対応状況をモニタリングおよび全社的なリスク管理体制を構築しています。
④指標および目標について
当社グループは、気候関連問題が経営に及ぼす影響を評価・管理するため、GHGプロトコルの基準に基づき当社および国内連結子会社の温室効果ガス排出量(Scope1-2)の算定を実施いたしました。温室効果ガス排出量の削減目標は、2030年度までに2021年度比38%削減を目指して活動します。2025年度はScope3の算定、削減目標の見直しを行いSBTiの取得を目指し、グループ全体で削減活動を推進します。
(単位:tCO2)
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2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
2030年度 |
Scope1 |
2,161 |
2,177 |
2,244 |
Scope1+2 38%削減 (2021年度比) |
Scope2 |
15,376 |
15,190 |
9,899 |
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Scope1,2合計 |
17,537 |
17,368 |
12,143 |
(3)人的資本
①戦略について
■前中期経営計画「Evolving Growth Plan」における「人材のGrowth」戦略の振り返り
当社が2022年度に策定した中期経営計画「Evolving Growth Plan」(2022年度~2024年度)では、事業規模の拡大と高収益化の実現に向けて3つのGrowthを掲げ、その一つを「社員・人材のGrowth」として積極的に投資し様々な施策を行ってまいりました。
具体的な項目と目標に対する結果は以下のとおりです。
ダイバーシティ&インクルージョンの推進に関しては、「えるぼし(3段階目)」「プラチナくるみん」の取得はできましたが、女性の新卒採用比率等の数値目標は未達に終わりましたので、継続して取り組んでまいります。人材の育成、エンゲージメントについては、博士号取得者支援制度の新設や学習管理システム(LMS)の導入、エンゲージメント研修の開催など、やるべき施策は実施し、一定の成果に繋がっていますので、新中期経営計画の実現のための人事戦略に切り替えていきます。
ダイバーシティ&インクルージョンの推進 |
目標 |
実績 |
女性労働者の管理職比率向上 |
5% (2024年度末) |
5.2% (2024年度末) |
女性労働者の新卒採用比率向上 |
25% (2024年度末) |
12.5% (2025年4月1日) |
男性労働者の育児休業取得率の向上 |
65% (2029年度末) |
55.9% (2024年度末) |
女性活躍推進法への対応 |
2023年に「えるぼし(3段階目)」の認定を取得 |
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次世代法への対応 |
2024年に「プラチナくるみん」の認定を取得 |
※男性労働者の育児休業取得率は2024年度末の目標である50%を2023年度に達成したため、新たに5か年計画を設定
しております。
人材の育成、エンゲージメント |
施策 |
技術者の育成強化 |
博士号取得社員数(2024年4月現在124名)を増員するため従来の博士号取得者表彰制度に加え「博士号取得者支援制度」を新設し取得奨励金の支給など処遇改定を実施 |
教育・研修体制の充実 |
2022年にLMS(学習管理システム)を導入しオンライン教育を充実を図るとともに、2024年にはeラーニングのサブスクリプションサービスを導入し社員のリスキリングを推進 |
従業員エンゲージメント |
2023年10月にエンゲージメントサーベイを実施し、サーベイ結果をもとに社長メッセージの配信や以下の全社研修を実施 ・2024年4~6月全管理職を対象とした研修 ・2024年7月に一般職1、2級を対象とした研修 |
離職者の減少 |
2.0%以下の目標に対して実績1.6% (2025年3月) |
安全・健康に働くことができる環境の整備 |
施策 |
健康経営の取り組み |
2022年~2024年と3年連続で「健康経営優良法人(大規模法人の部)」の認定を取得、2026年に「ホワイト500」の認定取得を目指す |
■人的資本戦略
日本電子は、電子ビーム等のコアテクノロジーを軸に成長してきた会社です。技術領域がニッチなため、社外から即戦力を採用することが困難な職種が多くありますので、採用した人財を、時間をかけて大切に育成することを重視しており、それは今後も変えるつもりはありません。
一方で、新中期経営計画「Evolving Growth 2.0 -A New Horizon-」では半導体・ライフサイエンスの分野を重点領域としており、これまでの日本電子の主要なお客様である大学・研究機関に比べると、圧倒的なスピードや変化への対応力が求められるようになってきております。この「長期目線での人財育成」と「スピード・柔軟性」の両立という、矛盾した課題を如何に解決していくかが、人的資本戦略の肝だと考えています。
■役割の再定義
新中期経営計画で掲げたビジョン、特に半導体・ライフサイエンス企業の期待に応えていくためには、我々自身が自らの役割を再定義し、特に「スピード・柔軟性」の面で大きく進化することが求められると考えています。
まず管理職、中でも部下を持つライン長の役割は、従来の管理監督から、最前線にいる社員一人ひとりへの権限委譲や部下の成長支援へとシフトしていくと考えています。
半導体・ライフサイエンス企業と共創することは、日本電子にとってまだまだ未知の部分が大きく、最も鮮度の高い情報を持つ前線メンバーが、適切な権限を持ち、スピーディーに意思決定・行動していくことは必須だと言えます。まだ仮説の段階ですが、前線には、圧倒的な当事者意識と実力を持った専門職を配置し、ライン長がそれを後方から支援していくようなイメージです。
これに伴って人財部門の役割も変わります。従来はオペレーションを効率的にこなし、人事制度を公正に運用していくことを重視してきましたが、今後は、変化に挑戦する管理職層に伴走者として寄り添い支援する役割や、社員のポテンシャル発揮を促す設計者としての役割が加わり、ビジネスへのより直接的な貢献が求められてくると考えています。
②指標および目標について
上記①の戦略を前提として、先に挙げた矛盾の解消のために、直近で優先度が高い施策は、公正な評価・報酬とタレントマネジメントの仕組みを通じて育成スピードを上げること、会社主導のタレントマネジメントと当事者意識を持った社員のキャリア自律の同時促進、ウェルビーイング経営の3つだと考えています。
■育成のスピードを上げる
現在、評価・等級・報酬といった人事諸制度の改定を進めております。2025年の4月より、管理職の評価制度のみを先行して改定し、目標管理の再徹底、行動目標設定による管理職層の成長促進、エンゲージメントサーベイのアクションプランと行動目標の連動、フィードバックの徹底などを盛り込みました。いずれも目新しいものではありませんが、高い目標へのチャレンジと絶えざる成長を促すための基礎となる、重要な一歩だと考えています。今後、管理職の他の制度や、一般職の諸制度の改定も検討を進めていきます。先述した専門職に適切な人をアサインし、適切に処遇していく仕組みも検討していきます。
この中で特に意識して進めたいのが、育成のスピードを上げることです。日本では今後急速に労働力が不足していきますが、日本電子は研究開発も製造も日本が中心であり、この点への対応は非常に重要です。従来の制度に残っている年功的な部分を改め、各人の成長スピードに合わせた、より柔軟な制度運用を通して、適所適材の実現に近づけていけると考えています。なお、平均的な昇格スピードを上げるというよりも、特に投資すべき人財を選抜し、その層を重点的に育成していくことを志向します。具体的な内容について、今後検討を進めます。
これら一連の施策をモニタリングしていくための指標ですが、現時点では、結果指標としての性格が強い以下の二つを設定しております。人事諸制度改定の検討と並行して、施策の進捗をモニタリングできるような中間KPIについても、設定していく予定です。
(人事諸制度の改定)
項目 |
実施施策 |
KPI(原則対前年度改善を目指す) |
評価・等級・報酬 |
・評価/等級/報酬制度改定 ・ミドルマネージャー開発支援 |
・エンゲージメントスコア(評価への納得感、給与への納得感):対前年度改善 ・エンゲージメントスコア(やりがい、達成感):対前年度改善 |
■タレントマネジメントとキャリア自律
タレントマネジメントは会社起点、キャリア自律は個人起点の取り組みですが、世界観や目指すところは共通しています。根底にあるのは「人的資本の所有者は個人であって会社ではない」ということです。会社は、一人ひとりの社員から人的資本を一時的に借り受け、それを運用して資産を増やし、結果として人的バランスシートとでも言うべき人的資本を拡大させていくというのが、人的資本経営の考え方です。この考え方を、日本電子が直面している課題に当てはめ、意欲ある人財が、成長し続けていけるための環境を作ります。
タレントマネジメントは、諸々の人財開発施策を通して、人的資本を拡大させていくための中核であり、具体的には、後継者管理やハイポテンシャル人財の育成に力を入れていきたいと考えています。全社タレントレビューを通して、少なくとも経営陣の中ではキー人財が見える化されている状態を作り出し、戦略的なローテーションなども実施していきたいと考えています。一方で、一人ひとりの社員にはキャリア自律を促し、自らのキャリアについて、上司との話し合いを通じて、オーナーシップを持てるような仕掛けを作っていきます。会社・個人両面からの取り組みを同時に実施していくことで、社内人財を流動化させ、全社的な適所適材の実現を目指します。
並行して、要員管理の仕組みも整えていきます。現状では人員数と労務費の管理までですが、将来的には職種やスキルを追加して解像度を上げ、動的人財ポートフォリオの策定ができるようにしていきたいと考えています。
KPIとしては、タレントマネジメントに関連するものを中心に設定しています。キャリア自律や人財ポートフォリオに関する具体的な施策は目下検討中となりますので、KPIについても、これから検討していきます。
項目 |
実施施策 |
KPI(原則対前年度改善を目指す) |
タレントマネジメント |
・後継者計画/育成計画 ・若手発掘/育成 ・グローバル人財発掘/育成 |
・キーポジションの後継者計画策定率:対前年度改善 ・後継者およびその他選抜人財の個別育成計画策定率:対前年度改善 |
■ウェルビーイング経営
そして最後がウェルビーイング経営です。今後労働力不足が進む日本において、働く場として魅力的であることは、日本電子の持続的な成長の必須要件です。内容としてはDOI(Diversity, Opportunity & Inclusion)とエンゲージメントが中心になります。
DOIについては、当社はこれまで両立支援の取り組みを進め、2023年に「えるぼし(3段階目)」、2024年に「プラチナくるみん」の認定を受けており、引き続き社員が働きやすい環境づくりを推進してまいります。多様な視点での考えや発想は事業成長のためには不可欠な要素であり、更なるイノベーションの創出のためにDOIの推進をより一層進めてまいります。
項目 |
実施施策 |
KPI(原則対前年度改善を目指す) |
DOI |
・ジェンダーダイバーシティ推進(女性積極採用/登用他) ・障がい者雇用 |
・女性管理職比率:2024年度末5.2%→2029年度末10% ・女性新卒採用比率:2025年4月12.5%→2030年4月25% ※女性キャリア採用を含めて2030年4月35%以上を目指す ・男性育児休業取得率:2024年度末55.9%→2029年度末100% ・障がい者雇用率:2025年度末までに2.7%(2025年3月末2.41%) |
エンゲージメントについては、2023年度に初めてのエンゲージメントサーベイを実施し、現在その結果に基づいたアクションを実施中であり、2025年度には二回目を実施予定です。DOI、エンゲージメントともに、全社的な数値目標は設けますが、各部署・マネージャー単位の目標はあえて設定しません。これは、エンゲージメントのスコアや登用・配置にバイアスや歪みが入らないようにするためです。代わりに、アクションそのものを着実に実行できるように、数値ではなく、アクションの実施を各人の行動目標に盛り込み、着実な実施に繋げていきます。数値は後からついてくると考えています。
(エンゲージメント向上)
項目 |
実施施策 |
KPI(原則対前年度改善を目指す) |
エンゲージメント |
エンゲージメント向上 ・エンゲージメントサーベイの定例化 ・フォローアップアクションと行動評価への紐づけ |
・エンゲージメントサーベイ:総合スコア対前年度改善(2023年度:63pt) ・アクションプラン策定率:90% |
■安全・健康に働くことができる環境の整備
当社は、全ての従業員が活躍できるよう安全・健康に働くことができる環境整備に努めてまいります。
a.健康経営の取り組み
当社は、経営理念を実現するため、社員一人ひとりが心身ともに健康であり、健康づくりを通じて活力ある社員を増やすべく、健康経営に取り組んでいます。健康経営では、「JEOLグループ 健康経営戦略マップ」を策定し、健康上の課題を明確にするとともに、KPI(指標・目標)を設定し推進しています。戦略マップでの「運動」「食事」「こころ」「疾病」「教育」「喫煙」などの課題に対しては、様々な施策を実行し、PDCAサイ
クルを回して改善を図っています。
2025年度は、健康経営推進事務局を新設し、更なる健康経営の推進を図っていきます。喫煙対策では、2025年度より会社敷地内を全面禁煙にするとともに、喫煙者に対して引き続き「禁煙・卒煙」をサポートする「禁煙応援プログラム」を実施していきます。
b.健康経営優良法人取得について
当社は、「健康経営優良法人認定制度」にて2022年度、2023年度、2024年度、2025年度と4年連続で「健康経営優良法人(大規模法人の部)」の認定を取得しております。今後は活動内容をさらに充実させ、健康経営優良法人認定取得を継続させるとともに、2029年度には「ホワイト500」の認定取得を目指してまいります。
項目 |
実施施策 |
KPI(原則対前年度改善を目指す) |
健康経営 |
健康経営の推進 ・「運動」「食事」「こころ」「疾病」「教育」「喫煙」への改善施策 |
・認定取得:①健康経営優良法人(大規模法人の部)認定取得(2022年度~2025年度取得)の継続、②2029年度に「ホワイト500」の認定取得 |
(注)指標および目標における取り組みは、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、提出会
社の数値のみ記載しております。