リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項として当社グループが判断するものには以下のようなものがあります。
ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2024年1月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業界の需要状況
当社グループは、グローバルに事業を展開しており、製品を販売している国又は地域の経済状況の影響を受けるとともに、主たる供給先である半導体、家電及び自動車業界の需要動向にも影響を受け、顧客の在庫調整等が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、世界経済情勢、半導体・自動車市況を注視し、中長期的な市場予測に基づき生産能力を拡充・調整し、短期的には稼働状況を調整することなどにより、需要の変化への対策を講じております。
しかしながら、あまりにも急激な環境の変化が発生した場合、生産能力の余剰、又は生産能力不足に起因する受注機会逸失による、競争力の低下が発生する可能性があります。
(2) 原材料・部品の調達及び価格変動
需給バランスの乱れ、国際情勢の不安定化等、原材料・部品等の安定的な調達に影響を及ぼす事象により、原材料・部品等を十分に確保できない場合、製品・サービスの提供が遅れ、お客様への納期遅延や機会損失等が発生する可能性があります。また、サプライヤーにおいて児童労働や強制労働等の労働者の権利侵害事象等を含む法令違反等が発生した場合、発注元としての当社グループの評判の低下や、当該サプライヤーからの安定した原材料・部品の調達に支障が生じ、当社グループの業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。非鉄金属(ニッケル、銅など)、鋼材、貴金属(金、銀、パラジウムなど)及び原油価格の変動は、当社グループが購入しております主要原材料価格の変動に繋がり、製品価格への転嫁が進まない場合にも当社グループの業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、主要サプライヤーとの関係強化や調達先の多様化、CSR調達ガイドラインの制定と徹底、また原材料の価格変動については、お客様へ適正なご負担をお願いするなど、当社グループへの影響を最大限少なくするための対策を講じております。
(3) 販売価格の変動
当社グループの主要取引先であります半導体、家電及び自動車業界においては、熾烈な価格競争がグローバルに展開されており、競合他社が安価な人件費、原材料、部品を使用することにより、低価格で製造し供給することとなった場合、当社グループの業績を低迷させる可能性があります。
当社グループもより一層の原価低減、画期的な技術開発により市場価格への対応を図って参りますが、それを上回る販売価格の低下が継続する場合には、当社グループの業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 為替相場の変動
当社グループの海外売上高比率は5割程度となっており、為替相場の変動は、当社グループの業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうした状況において、将来の為替相場の変動に伴うリスクの軽減を図る目的で、為替予約を行っております。しかしながら、あまりにも急激な為替変動は当社グループの業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) 法的規制等の影響
当社グループは、知的財産権の確保とその保護に努めておりますが、当社グループの知的財産権を使用した第三者による類似製品等の製造、販売を完全に防止することができない可能性があります。また、当社グループでは製品開発時には第三者の知的財産権を侵害しないよう細心の注意を払っておりますが、将来、知的財産権を侵害したとして第三者から訴訟を提起される可能性があります。当社グループが第三者の知的財産権を侵害しているとの申し立てが認められた場合には、当社グループが特定の技術を利用できない可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性もあります。従いまして、これらの場合には、当社グループの業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 品質問題
当社グループは、顧客が求める品質の確保に全グループを挙げて取り組んでおりますが、当社グループが供給した製品の欠陥が原因で生じた損失に対する責任を追及され、多額の損害賠償責任を負う可能性もあります。
当社グループではISO/IATF等の国際認証規格に準拠した品質マネジメントシステム(QMS)を運営しており、国内・海外ともに各工程にて「品質を作り込むこと」で不良品を流出させない品質保証体制を構築しております。
しかしながら、大規模なリコールや製造物賠償責任に問われるような商品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を及ぼす場合があり、当社グループの業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 納期遅延
当社グループは納期管理の徹底に努めておりますが、資材調達、生産管理、設計などにおける予期せぬ要因により納期遅延が生じ、その結果、顧客が被った損害の賠償責任が発生する可能性は排除できません。この場合には、当社グループの業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしましては、製造と販売が連携した納期遵守のための会議を実施し、納期面での顧客満足度向上に努めております。
(8) 海外事業展開におけるカントリーリスク
当社グループは、グローバルに生産及び販売拠点を構築しており、カントリーリスクの分散化を図っておりますが、各国における急激な政策変更や経済変動などが発生した場合、当社グループの業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。予想される主な項目は以下のとおりです。
①外国資本に対する投資優遇政策の変更
②輸出又は輸入規制の変更
③為替政策による為替レートの大幅な変動
④人件費、物価などの大幅な上昇
⑤その他の経済的、社会的及び政治的リスク
⑥テロ、戦争、感染症、その他要因による社会的混乱
(9) 地震、台風等の大規模災害
地震、台風等の大規模災害によって、当社グループの生産、原材料や部品の購入、製品の販売及び物流やサービスの提供などに遅延や停止が生じる可能性があります。
当社グループとしましては、社内防災体制を構築し人的被害の最小化を図り、また、事業継続計画(BCP)を策定し推進しております。
しかしながらこれらの想定を超える災害発生により、遅延や停止が起こり、それが長引くようであれば、当社グループの業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10) コンプライアンス
当社グループは、コンプライアンスを実践して事業活動を推進しておりますが、重大なコンプライアンス違反が発生した場合、当社グループの社会的信用が失墜し、当社グループの業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、行動指針「王道を歩む」のもと、「三井ハイテックグループ行動規範」を制定し、海外グループ会社を含む当社グループで働く役員・従業員に周知しております。また、行動規範の遵守・実践を推進する機関として、常勤取締役ほかで構成する「コンプライアンス委員会」を設置し、全社的な取り組みを推進しております。加えて、内部通報窓口を社内及び社外に設置し、コンプライアンス違反の早期発見及び是正を図っています。内部通報制度の運用においては、通報者の保護を徹底しております。
(11) 環境・気候変動の影響
当社グループは、大気汚染、水質汚濁、土壌・地下水汚染、有害物質の取扱い、廃棄物処理などを規制する環境関連法令を遵守しておりますが、気候変動抑制のための温室効果ガス排出規制等の関連規制が強まっており、これらの法令・規制等に十分対応できない場合、当社グループの社会的信用が失墜し、当社グループの業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、社会的責任を果たし持続的に発展していくための重要な経営課題の一つとして気候変動問題を含む「環境問題」を認識し、取締役会による監督とサステナビリティ推進委員会を中心とするガバナンス体制を構築しております。取締役会は、サステナビリティ推進委員会からの報告を受け、その活動状況の監督を行うとともに、気候変動問題への取り組みを含むサステナビリティに係る基本方針や重要事項の決定をおこなっております。なお、当社は「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」への賛同を表明しており、シナリオ分析に基づくリスクと機会の開示と、TCFDの提言に沿った気候変動関連情報開示に取り組んでいきます。
(12) 情報セキュリティ
事業活動を行う中で、保有する機密情報や個人情報等が、コンピューターウィルス、不正アクセス、人為的過失等により、外部へ漏洩した場合、当社グループの社会的信用が失墜し、当社グループの業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
全社的なセキュリティ課題について、情報システム管掌役員の下、定期的なリスク対応評価を行いながら、ITガバナンス強化やセキュリティ強化に取り組み、情報セキュリティに関する改善点の検証、予防対策、人材育成などを行い、必要に応じ経営会議や取締役会まで報告し、適正かつ効率的な事業運営に資するための施策を推進するなど、可能な限りのリスク低減に努めております。重大な事象が生じた場合には、情報開示委員会での審議や取締役会への報告を行い、速やかに必要な情報開示を行うこととしております。万一事故が発生した場合は、事故対応のみならず再発防止策を含む適切な対策を速やかに講じます。
(13) 税務リスク
当社グループは、グローバルに事業を展開しており、各国税務当局から租税に関する法的規制の適用を受けております。そのため、当社グループでは「グローバル税務管理規程」に従い、各国の税務施策に関する情報について適宜収集を実施しており、当社グループへの影響を事前に見極め、必要な対策を講じるよう努めております。
しかしながら、予期しない税制改正や、各国税務当局との間に税に対する見解の相違等があった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 人材・労務リスク
当社グループにおいて、必要とする人材を採用及び育成することは重要課題であり、その人材の採用又は育成ができない場合や、優秀な人材が定着しない場合、当社グループの業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
まずは、従業員が安心して働ける職場をつくっていくために、当社グループで働くすべての従業員の人権を守ります。三井ハイテックグループ行動規範に「基本的人権を尊重し、職場におけるさまざまな差別やハラスメントを容認しません」と明記し、従業員の人権尊重の意識や環境の醸成に努めております。また、「人材は資本である」との考えのもと、人材の採用・育成に投資し、成長の機会を提供しております。従業員のチャレンジの結果に関しては、基準に基づいた正しい評価を行い、適切なフィードバックと待遇を与えることにより、従業員がやりがいを感じることができる職場づくりへ結び付けております。
(15) 設備投資
当社グループにおいて、設備投資にあたっては、製品の需要予測並びに投資効率に鑑みて投資を実行しておりますが、競合他社の技術力や価格動向、最終商品の市場環境変化に伴い、需要が減少し、想定した販売規模を達成できない等の場合には、当社グループの業績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、お客様と仕様、生産能力の確保・その時期などを調整し、投資効率を検討の上、所要変動を勘案して投資を慎重に行うなど、リスクを軽減する努力をしております。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主還元を経営の重点課題と認識しており、剰余金の配当については、競争力強化と成長機会獲得に向けた投資拡大を最優先とすることから、資本に対する配当の継続的安定性を測定できるDOE(株主資本配当率)を株主還元指標として採用し、連結業績・資本効率・配当額を勘案しながら、DOE3%以上を目安として、安定的かつ継続的な配当を行うことを基本方針としております。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うこととしており、会社法第459条第1項の規定に基づき、剰余金の配当を株主総会の決議によらず、取締役会の決議で行うことができる旨を当社定款に定めております。
当事業年度の期末配当については、2024年3月12日の取締役会において、1株当たり48円とさせていただきました。これにより、中間配当24円と合わせた当事業年度の年間配当金は1株当たり72円、DOEは3.0%となりました。
当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当金 (円) |
2023年9月12日 |
878 |
24.0 |
取締役会決議 |
||
2024年3月12日 |
1,757 |
48.0 |
取締役会決議 |