2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    3,964名(単体) 12,964名(連結)
  • 平均年齢
    43.6歳(単体)
  • 平均勤続年数
    16.0年(単体)
  • 平均年収
    7,915,332円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

 

(1)連結会社の状況

 

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

環境

8,682

機械・インフラ

2,258

脱炭素化

974

その他

178

全社(共通)

872

合計

12,964

(注)従業員数には、就業人員数を記載している。なお、年間平均臨時従業員数については、当該臨時従業員の総数が従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略している。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

3,964

43.6

16.0

7,915,332

 

セグメントの名称

従業員数(人)

環境

1,589

機械・インフラ

1,054

脱炭素化

449

その他

全社(共通)

872

合計

3,964

(注)1.従業員数には就業人員数を記載している。なお、年間平均臨時従業員数については、当該臨時従業員の総数が従業員数の100分の10未満のため、記載を省略している。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含む。

 

(3)労働組合の状況

当社の労働組織は、企業内単一組合として5地区約2,600人の組合員で構成されており、日本基幹産業労働組合連合会(基幹労連)を上部団体とし、これを通じて日本労働組合総連合会(連合)及び全日本金属産業労働組合協議会(金属労協)に加盟している。

会社と労働組合との間には、対等、信頼、尊重を中心とした、話合いによる解決を基本とするよき労使関係が確立されており、労使間には現在係争事項はない。なお、1979年3月、会社と労働組合との間で、労働組合及び組合員の参加を基本とし、労使関係の基本事項を織り込んだ総合労働協約を締結している。

また、当社組合と当社グループ会社においてそれぞれ組織された労働組合を中心として、カナデビアグループ労働組合連合会が組織されている。

 

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

①提出会社

当事業年度

補足説明

管理職に占める女性労働者の割合(%)

 (注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)

 (注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1

全労働者

うち正規雇用労働者

うちパート・有期労働者

4.2

94.8

80.3

79.7

78.6

全労働者における男女の賃金の差異は、人事制度に起因するものではなく、女性管理職比率が低いこと及び男性の育児休業取得日数が短いこと等が影響している。階層別の男女の賃金の差異は係長相当職以下(おおむね20~30歳代)では約85%と低いものの、部・課長相当職では約105%となっている。賃金の差異の解消に向けて、女性の積極的な採用、女性管理職の育成・積極的な登用ならびに男性の育児休業取得の推奨に取り組んでいるところである。

なお、当社における非正規雇用労働者は全て嘱託職員である。

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものである。

   2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものである。

 

②連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1

全労働者

うち正規雇用

労働者

うちパート・有期労働者

㈱カナデビアエンジニアリング

50.0

(注)2

71.4

73.4

54.2

カナデビアE&E㈱

2.4

62.5

(注)3

 

カナデビア環境サービス㈱

28.6

(注)2

 

89.4

90.7

88.0

浅野アタカ㈱

60.0

(注)2

73.2

87.8

52.8

㈱アイメックス

22.2

(注)3

77.1

77.1

㈱エイチアンドエフ

3.4

37.5

(注)2

80.9

86.1

63.9

㈱ブイテックス

7.8

80.0

(注)2

74.0

76.9

47.9

日立造船マリンエンジン㈱

72.2

(注)2

 

86.2

84.9

103.6

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものである。

 

   2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものである。

   3.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものである。

   4.連結子会社のうち、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象でないものについては、記載を省略している。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりである。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 

(1)ガバナンス

 当社の取締役会及び当社に設置したサステナビリティ推進委員会が中心となり、サステナブルビジョン実現のための戦略や目標設定を行い、グループのサステナビリティに関する重要な課題に対する戦略・施策の実施状況を監督し、指示を行っている。

 取締役会及びサステナビリティ推進委員会は、中期経営計画策定に際し、サステナブルビジョン実現のための戦略及び目標を見直すための審議を行うが、その際、「気候変動リスク及び機会」や「自然関連の依存、影響、リスク及び機会」のほか、ESGに関連するリスク及び機会(以下、「ESGリスク等」と総称する。)を考慮する。サステナビリティに関する取組の進捗等は、サステナビリティ推進委員会で確認し、取締役会に報告される。取締役会は、この報告を受け、重要な課題や取組に対する施策実施の監督及び指示を行う。サステナビリティに関する議題を扱う取締役会は、年2回開催している。

 サステナビリティ推進委員会は、委員長を取締役社長、委員会メンバーを事業本部長、事業所長、グループ会社社長等で構成している。サステナビリティ推進委員会では、当社グループにおけるサステナビリティ推進に係る重要な課題や取組みについて確認および議論を行い、リスクと機会及び社会・環境への影響について監督を行うとともに、報告事項等の承認を行う責任を担っている。サステナビリティ推進委員会は、年4回開催している。

 また、サステナビリティ推進室が、サステナビリティ推進委員会の事務局として、サステナブル経営の推進を一元的に担うとともに、サステナビリティに関わる方針策定やグループ横断的な各種施策の実行・支援、情報発信などの活動を行っている。サステナビリティ推進室は、当社グループの事業のうちESGリスク等の観点から優先順位の高い事業や場所のパフォーマンスと進捗状況を経営陣に報告し、経営陣が適時に問題を認識し対処するための体制を整えている。

 ESGリスク等に関する方針・コミットメント・目標設定、評価及び管理などに対する執行側の最高レベル責任と説明責任は、当社取締役社長が担っている。

 

 サステナビリティ推進体制

 

 

 

(2)戦略

 当社グループは、「技術の力で、人類と自然の調和に挑む」ことを使命とし、新たな事業機会の獲得、当社グループの持続的成長のため、サステナビリティを重視した経営を実践しており、2050年に当社グループの目指す姿であるサステナブルビジョンを、「環境負荷をゼロにする」「人々の幸福を最大化する」に定めている。

 そのうえで、サステナブルビジョン実現に不可欠な要素である7項目(「カーボンニュートラル」、「資源の完全循環」、「環境復元力の最大化」、「災害激甚化への対応」、「サステナブル調達」、「人々の幸福の最大化」、「コーポレート・ガバナンスの高度化」)を、「成功の柱(マテリアリティ)」として設定した。そして、成功の柱ごとに、関連する社会課題の認識、課題に対する施策を明確化し、2050年までの目標(KPI)とロードマップを策定し、各種取組みを推進している。

 主な取組み内容は次のとおりである。なお、Forward 25の進捗状況については、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を参照。

 

ア.カーボンニュートラル

社会課題の認識

パリ協定の1.5℃目標を達成するには、社会全体でのカーボンニュートラル達成が不可欠。脱炭素社会への移行要請が急拡大。

機会(●)と

リスク(■)

●再生可能エネルギーの主流化

●低炭素・脱炭素製品・技術の需要増加

■GHG排出規制、炭素税などの規制強化

■高環境負荷製品の需要減少

指標及び目標

(GHG排出量削減目標)

・スコープ1・2につき、2025年度34%削減(2013年度比)

・スコープ1・2・3につき、2030年度50%削減(2013年度比)、2050年度カーボンニュートラル

(Forward 25)

・脱炭素化事業の拡大につき、2025年度に700億円の事業規模を目指す。

主な対応策

・スコープ1・2につき、製造プロセスにおける化石エネルギーの削減・再生可能エネルギーへの切り替え推進や効率的なエネルギーの使用推進等

・スコープ3及び脱炭素化事業の拡大に関し、舶用エンジン燃料の非化石化、メタネーションや風力発電を含むカーボンネガティブ貢献製品・事業の拡大展開、サプライヤーや顧客との協働の推進等。

実績

・スコープ1・2(2023年度)は、223.4kt-CO2eq(2013年度比39.7%削減)、スコープ3(2023年度)は、26,260.7kt-CO2eq

 ※当連結会計年度の情報は、2025年10月頃発行する統合報告書2025を参照。

 

 

イ.資源の完全循環

社会課題の認識

世界人口の爆発的増加に起因し、エネルギー・資源・食糧・水の不足、住む場所の問題、廃棄物の問題、生物多様性の崩壊等が生じる。環境負荷ゼロ社会への移行要請急拡大。

機会(●)と

リスク(■)

●環境意識の高まり、規制強化による環境関連ビジネスの市場拡大

●サーキュラーエコノミーによる新たなビジネスモデル創出

■環境規制強化とサーキュラーエコノミーへの対応による事業面でのコストアップ

指標及び目標

(当社グループの事業活動)

・2050年度ゼロエミッション(埋立率を限りなくゼロに近づけること)達成

・2025年度リサイクル率90%以上、埋立率3%以下

(Forward 25)

・資源循環事業の拡大につき、2025年度に3,530億円の事業規模を目指す。

・水事業の拡大につき、2025年度に400億円の事業規模を目指す。

主な対応策

・事業活動で使用する資源の完全循環につき、製品回収による有価金属の再資源化や製造プロセスにおけるリサイクルの徹底等。

・サーキュラーエコノミーへの貢献につき、リサイクルしやすい設計の推進、長寿命部品の使用、長寿命化技術の開発推進、廃棄物資源から多様な有価物を創出・活用するWaste to X事業、水事業の拡大等

実績

・2023年度廃棄物発生量は、以下のとおり。

 ①当社及び製造子会社から発生する廃棄物(計11社)

  発生量11,042t、埋立量392t、埋立率3.5%

 ②非製造子会社から発生する廃棄物(計60社)

  発生量422t

 ③現地工事関連の廃棄物(当社を含め計5社)

  発生量33,470t

 (②③の埋立量・率は今後調査予定)

 ※当連結会計年度の情報は、2025年10月頃発行する統合報告書2025を参照。

 

ウ.サステナブル調達

社会課題の認識

サプライチェーンにおける環境・社会側面の責任拡大

機会(●)と

リスク(■)

●サプライチェーン全体での環境負荷ゼロ、社会的価値の創出によるバリューチェーン全体の持続可能性に貢献することで、社会的信頼性が向上

■サプライチェーンにおける人権侵害や環境負荷によるレピュテーションの低下

指標及び目標

(2050年度目標)

全サプライヤーのサステナビリティ推進スコア*80(100点満点)達成

 *国連グローバル・コンパクトSAQのスコア

主な対応策

当社グループのサステナブル調達方針・サプライヤー向けガイドブックに基づく指導、改善協議の継続的実施。

実績

・2023年度も国連グローバル・コンパクトSAQを実施し、当社単体発注額の約84%にあたる624社を調査対象とし、回答率は約83%(517社)であった。

 ※なお、当連結会計年度もSAQを実施した。その情報は、2025年10月頃発行する統合報告書2025を参照。

 

 

エ.人々の幸福の最大化

社会課題の認識

持続可能な発展は、環境課題解決に加え、人々の健康、影響力、能力、公平、意味・意義が認められることが必要。

多様な人材が心身ともに健康で、自己の能力を最大限発揮できる職場の実現への要請。

第三者による人権侵害に加担しないことへの強い要請。

機会(●)と

リスク(■)

●当社グループのビジネスバリューチェーン全体への価値創造による信頼性の向上

●DE&Iの推進を通じたイノベーションの創出による企業競争力の向上

●働き方改革の加速による生産性・効率性・モチベーションの向上

■多様な人材の活躍機会の喪失による人材の流出

■事業環境の変化に対応できないことによる競争力の低下と業績の低迷

指標及び目標

(2050年度目標)

・人権リスクゼロの継続

・全サプライヤーのサステナビリティ推進スコア*80(100点満点)達成

 *国連グローバル・コンパクトSAQのスコア

なお、人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針についての戦略、指標と当該指標に関する目標及び実績は、「(5) 人的資本(人材の多様性を含む。)に関する戦略並びに指標及び目標」に記載している。

主な対応策

・人材の多様性の確保、多様な働き方の提供、適正配置・戦略的育成、人材の定着に繋がる取組み等。

・国連グローバル・コンパクトに賛同、署名。

・国際人権章典、国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に加え、「カナデビアグループ倫理行動憲章」が定める人間尊重を貫く姿勢の堅持。

実績

・人権方針制定(2024年4月)

・2023年度も国連グローバル・コンパクトSAQ実施結果は、前述「サステナブル調達」を参照。なお、当連結会計年度のSAQ実施結果は、2025年10月頃発行する統合報告書2025を参照。

 

オ.コーポレート・ガバナンスの高度化

社会課題の認識

実効性の高いコーポレート・ガバナンス実現の要請拡大。

高い倫理性に基づく企業活動、透明性ある企業活動の重要性増大。

機会(●)と

リスク(■)

●実効性の高いコーポレート・ガバナンスの実現を通じた持続的な企業価値の向上

●高い倫理性に基づく企業活動による会社に対する信頼性の向上

■コーポレート・ガバナンス及び内部統制の機能不全による適切な経営判断の欠如、事業停滞・低迷及び不祥事の発生とこれらを理由とするステークホルダーからの信頼低下

■役職員のコンプライアンス意識、倫理性の欠如による反競争的行為や腐敗・贈収賄等を含むコンプライアンス違反事案の発生

指標及び目標

(2025年度目標)

グループ全体のサステナブル経営体制確立完了

主な対応策

・サステナビリティ推進委員会を中心とする体制の維持、運用の継続

・実効性あるコーポレート・ガバナンスとコンプライアンスの徹底

実績

・贈収賄防止規程の制定(2024年4月)

・サステナビリティ推進委員会(年4回)開催

 ※当連結会計年度の情報は、2025年10月頃発行する統合報告書2025を参照。

・当連結会計会計年度において、当社グループの舶用エンジン事業、可燃ごみ焼却施設、し尿処理施設、橋梁、鋳物製品、特殊バルブ等の事業・製品について一部に不適切行為が行われていたことを公表した。特別調査委員会による調査結果を踏まえ、包括的な再発防止策の一環として、経営トップによるコミットメントの発信、組織風土改革・意識改革、業務プロセスの改善、品質不正防止の取組み、品質保証部門の人員確保、取締役会の監督強化に取り組む。

 

 

 

(3)リスク管理

ア.組織全体のリスク管理

プラントエンジニアリング企業である当社グループが手掛けたプラントの故障や破損は、顧客の環境劣化につながる。このため、プラントの受注案件単位でのガバナンスをかけて、リスクや機会のマネジメントを推進している。

しかし、個別案件の環境劣化リスクにのみ着目していては、中長期的なリスクに対応することができない。また、当社グループは、ごみ処理発電施設等や水関連プラントなど環境分野で事業を営んでいるため、事業の推進と地域社会の環境負荷改善が連動している。したがって、事業戦略を実現するには、自然関連リスク等の管理プロセスと組織全体のリスクマネジメントへの統合が不可欠である。

そこで、当社グループでは、気候変動・自然資本関連を含め、様々な社会課題を踏まえ、社会とステークホルダーの視点、事業継続へのインパクトの視点から7つの「成功の柱」(マテリアリティ)を設定し、各マテリアリティに対してリスクと機会を抽出している。

当社グループでは、ESG課題に対する中長期リスクについては、サステナビリティ推進委員会において、バリューチェーン全体について包括的に議論している。議論にあたっては、サステナビリティ推進委員会の事務局であるサステナビリティ推進室が、当社グループ事業のうちESGリスク等の観点から優先順位の高い事業や場所のパフォーマンスと進捗状況を踏まえて問題提起を行う。これにより、サステナビリティ推進委員会における議論を活発化し、重要なリスクを経営戦略会議に報告、経営陣が適時に問題を認識し、対処することができる。また、サステナビリティに関連する議題を扱う取締役会は、年2回開催されるが、このうち、少なくとも1回は、ESG課題に関連する中長期リスクに関連するサステナビリティ推進委員会および経営戦略会議における議論を踏まえた報告を受け、ガバナンスを効かせている。

今後は、サステナビリティ推進委員会を中心に、中期経営計画の更新に合わせて定期的に見直しを行い、外部環境の変化を反映させる。

 

イ.気候変動・自然関連リスク等の特定・評価プロセス

気候変動影響を受ける可能性が高い3つの事業(ごみ焼却発電事業、バイオガスプラント事業、風力発電事業)については、TCFDの枠組みに沿って1.5℃上昇を含む複数のシナリオに基づく影響分析を行っている。

 また、自然関連リスクについては、2024年度のWtE事業等について、既に公表されているTNFD V1.0のガイドラインやツール等を参考に、LEAPアプローチによって特定・評価を行った。2024年10月に発行したTNFDレポートでは、ごみ焼却発電事業およびバイオマス発電事業における自然資本への影響と生態系サービスへの依存を、5段階(Very High, High, Medium, Low, Very Low)で評価した。また、同レポートでは、定量評価も実施した。具体的には、調達については、国際産業連関表に基づいたサプライチェーンの負荷の推計値(二次データ)を使って地域およびプロセスを推定し、評価した。納入先のプラントについては、環境アセスメントや発生したインシデント情報に従って評価した。今後は、依存および影響、バリューチェーンの上流・下流について、データの取得範囲の拡大と可用性の向上に取り組み、それらデータに基づく更なる分析に加え、特定済みのリスクの評価見直しを定期的に行う。

 

(4)指標及び目標

「(2)戦略」に記載している。

 

(5)人的資本(人材の多様性を含む。)に関する戦略並びに指標及び目標

 当社グループでは、職員の多様性を尊重し、また、人材に対する投資を通じて、各職員の能力やエンゲージメントの向上により企業価値を高め、持続的な成長につなげている。2023年度より開始した中期経営計画「Forward 25」の基本方針である「持続可能な経営の推進」においても、人的資本の強化を重点施策の1つとして位置付けている。人的資本の強化においては、「人」と「組織」の成長の好循環が「会社の成長」及び「企業価値の向上」を促進するという考えの下、経営戦略・事業戦略の実行に必要な「人材の採用・確保」、「適正配置・戦略的育成」、「人材の定着」を人事戦略の重点施策として掲げ、以下のとおり取り組んでいる。

 

① 人材の採用・確保

 事業の維持・拡大に必要な人材の確保が重要であると同時に、性別、年齢、国籍等に関係なく多様な考え方、ルーツを持った人材の確保も欠かせないと考えている。このような人材の確保にあたっては、多様性を受容する組織風土、心理的安全性の高い職場環境、心身ともに健康で誰もが自身の持つ力を最大限発揮できる環境に加え、多様な働き方を提供する取組みに注力している。

② 適正配置・戦略的育成

 確保した人材には、役割やキャリアに応じた自律的な学び、挑戦を促すだけでなく、個々人の能力や適性を見極め、キャリア形成やリスキリングの支援、また戦略的な人材配置を推進することで人材の流動化の促進にもつなげていく。この取組みを強化するため、タレントマネジメントシステムを整備し、個々のスキル、経験、適性をより詳細に把握し、育成計画、配置戦略、適材適所の人材活用を推進していく。さらに、海外においても活躍できるグローバル人材、当社の企業価値向上の推進役となる経営人材、製品サービスの付加価値向上や業務効率化・生産性向上による働き方改革の実現を目指したDX人材の育成にも注力している。

③ 人材の定着

 当社グループで長期間活躍する人材の定着のため、エンゲージメントの向上に向けた働き甲斐が感じられる環境の整備、若手及び管理職のモチベーションアップに向けた人事処置制度の見直しや福利厚生制度の再構築、多様な経験や価値観等を活かしたDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)によりイノベーションを起こす仕組みの整備に取り組んでいる。

 

上記の人材戦略の取組みにあたっては、「創業者精神・Kanadevia Valueの共有」「意識改革・風土改革」をはじめとする人材戦略の基盤となる項目を掲げている。特に、「エンゲージメント」、「ウェルビーイング」、「健康経営・安全」、「ワークライフバランス」、「DE&I」に着目しており、2024年7月には管理職の多様な活躍と自律的なキャリア形成を促し、支援するとともに、人材の定着ややりがいのある処遇を目指して制度の見直しを実施した。また、2025年4月より定年年齢を60歳から65歳へ引き上げるとともに、賃金制度をはじめとする人事制度を見直すことにより、年齢にかかわらず職員一人ひとりが持てる能力を発揮し、挑戦、成長できる環境を整備した。

 

当該指標に関する目標及び実績は次のとおりである。

指標

目標(2025年度)

実績(当連結会計年度)

女性新卒採用率

事務系:50%

技術系:10%

事務系:50%

技術系:6.9%

(注)2

男性の育児休暇・休業取得率

100%

94.8%

職員エンゲージメント指数(注)3

70%

44.0%

生活習慣病平均有所見率

21%未満

25.5%

(注)1.上記については、連結グループにおける記載が困難であるため、当社単体の目標及び実績を記載している。

2.女性新卒採用率の実績は、2024年4月1日付新卒入社職員の数値を記載している。

3.職員エンゲージメント指数は、2009年度から隔年で実施している職員意識調査から測定してきたが、2023年度からは、エンゲージメントに影響を及ぼす要因を深掘りし、より効果的なアクションにつなげられるよう、エンゲージメントに特化した調査に変更した。