リスク
3 【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある と考えられる事項を下記に記載しておりますが、当社グループの事業等のリスクは以下の事項に限定されません。当社グループは、リスクを認識した上で、発生の回避及び発生した場合には当該事象による影響が最小限となる対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の事業等のリスク及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、記載事項における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 事業環境について
当社グループは、大手企業を主要顧客とし、法人を対象とした人材育成事業を提供しております。現在、景気回復による労働市場の活況に伴い、企業が新卒採用を積極的に行う中、当社の主力領域である「新人・若手領域」で展開している新入社員向け研修は、堅調に推移しております。しかしながら、今後、若年労働人口及び新卒採用動向の変化により新卒採用数が減少した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 人材の確保と育成について
今後の事業拡大及び業務内容の多様化に対応すべく、優秀な人材の確保が必要となります。しかしながら、当社グループが求める人材が適切な時期に確保、育成できなかった場合、また、社外流出等何らかの事由により既存の人材が業務に就くことが困難になった場合、業務運営及び成長戦略に支障をきたし、当社グループの事業運営及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 競合について
社会人を対象とした人材育成や教育研修事業に関しては、他の研修会社やコンサルティング会社等、多数の企業が参入しており、今後より一層、品質や価格に係る競争が激化するものと認識しております。当社の競争優位性として認識しております、顧客との関係構築を通じたニーズに合わせたカスタマイズ力や、アセスメント等を通じた現場での育成成果の定着支援において、他社に対する優位性が維持できなくなった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 開始から間もないサービスについて
現在、当社グループの事業は、教室型研修等の法人向けサービスを中核としておりますが、継続的な成長に向け、2019年8月に事業譲受を行ったクラウド型eラーニングシステム「etudes」を9月より営業を開始いたしました。既存事業とのシナジー効果を最大化し「etudes」のサービス拡大を図ってまいりますが、顧客ニーズに即したサービスを提供できない場合や、システム運営や改修などによる原価の上昇が想定よりも多くなる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 海外でのサービス展開について
① 海外関連サービスにおける外部環境の変化に係るリスクについて
当社の海外派遣研修及び語学研修「ALUGO BOOT CAMP」における派遣先国は、インド、フィリピン等、アジア方面が中心であります。海外派遣研修等を提供するにあたっては、参加者及び当社従業員の安全確保を第一に考え、常時、安全情報の入手、外務省の海外安全情報に基づく全社共通の催行基準に従って対応しております。また、当社子会社の実施する海外教室型研修は、中国並びにシンガポールにて実施しております。これらのサービスの実施に際しましては、外部機関と連携し、様々なリスクを想定した危機管理体制及び万一のトラブル・事故発生時に適切かつ迅速に対応できる体制を構築しております。
しかしながら、所在国における、テロの発生、感染症の流行、自然災害等の外部環境の変化が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 海外関連サービスにおける現地法律に係るリスクについて
当社グループの海外子会社において実施しております海外教室型研修は、所在国の政治、経済、社会情勢の変化に起因して生じる事態、関連する法令改正及び新法令の制定並びに諸規則等により所在国における事業継続が困難となるリスクを有しております。本社において、各海外子会社を統括、管理する部門を設置するとともに、社内外に構築してきた危機管理体制により、リスクに対応できる体制を整備しておりますが、このようなリスクが顕在化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) システム障害について
当社の法人向け「ALUGO」及び個人向け「ALUGO」のレッスン予約・受講管理、並びにクラウド型eラーニングシステム「etudes」は、社内システム及びサーバ等並びにインターネットに依存しております。また、サービスはインターネットを介して行われるため、通信事業者が運営する通信ネットワークに依存しております。そのため、当社グループは、サービスの安定供給に向けて、コンピューターウイルスへの感染、ネットワークへの不正侵入、サイバー攻撃等によるシステムダウン、電力不足や自然災害等に伴うシステム障害等、顧客へのサービス提供を妨げられるようなトラブルを回避するために、外部業者によるシステムサーバの管理・監視体制の構築やセキュリティ対策等により未然防止策を講じております。また、当社の社内業務は、システム化を進めており、情報システム及びインターネット技術と密接に関連しているため、ハッキングやコンピューターウイルス被害等を予防するためのセキュリティ対策を講じております。
しかしながら、何らかの障害により、顧客へのサービス提供が不可能となった場合、当社グループの社会的信用の低下や損害賠償請求等が発生する可能性があります。また、障害の規模によっては、サービス提供の中断や修復費用の増加等により、当社グループの事業運営及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 講師・コーチの確保について
① 教室型研修の講師について
講師の品質は、当社が提供する人材育成施策の成果を左右する一つの要素であります。企業の人材戦略に応じて求められる研修テーマや育成施策が多様化する中、顧客のニーズに応え、高品質の研修を実施するためには、スキル、知識、経験を兼ね備えた講師の確保が必要であります。しかしながら、将来において、当社が求める要件を備えた講師を確保できず、主力サービスである教室型研修の提供に支障が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 「ALUGO」のコーチについて
当社の法人向け「ALUGO」及び個人向け「ALUGO」の英会話レッスンは、マンツーマンレッスンであり、ビジネスで通用する英会話の指導ができる高品質のコーチが不可欠となります。また、当社の英会話レッスンのコーチは、主にフィリピン在住のフィリピン人であり、当社子会社ALUE PHILIPPINES INC.において、コーチの管理を行っております。しかしながら、フィリピンの社会情勢、感染症の流行による情勢の変化、景気変動に伴う雇用情勢の変化等による報酬水準の上昇や関連する法令改正及び新法令の制定、諸規則等により、コーチの確保、法人向け「ALUGO」及び個人向け「ALUGO」のサービス提供に重大な支障が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 法的規制等について
① 旅行業法について
当社の海外派遣研修及び語学研修「ALUGO BOOT CAMP」は、旅行業法における一定の事業に該当するため、当社は第1種旅行業者(観光庁長官登録旅行業 第1930号)として登録し、旅行業法に則りサービスを提供しております。しかしながら、当社が旅行業法に定める登録拒否事由に該当し、登録更新を行うことができない場合、または、旅行業法上の取消事由に該当し取消処分等を受けた場合は、登録の取消又はサービス提供の停止等を命じられる可能性があります。現時点において登録更新拒否や取消し事由に該当する事実はないと認識しておりますが、何らかの理由によりこれらの事由が生じた場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 個人情報保護法について
当社は、事業運営に際し、顧客企業、従業員等その他の関係者の個人情報及び機密情報を保有しております。当社では、個人情報を適切に取り扱う体制の整備にあたりプライバシーマークを取得しております。また、個人情報及び機密情報の取扱いに関する規程を定め、情報管理を徹底するための部署を設置し、定期的に情報管理に関する教育を実施する等、情報管理体制の構築、運用の徹底に努めております。しかしながら、第三者による不正アクセス、システム運用における人的過失、従業員の故意等により、個人情報や機密情報の漏洩、不正使用等の事態が生じた場合は、当社グループの社会的信用の低下や損害賠償請求等の発生により、当社グループの事業運営及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 特定商取引に関する法律について
当社の個人向け「ALUGO」は、「特定商取引に関する法律」の通信販売、特定継続的役務提供に該当し、同法並びに関連法令の適用が求められています。現時点において、同法並びに関連法令の遵守に努め、サービスの提供を行っておりますが、同法並びに関連法令に違反し、その公表による社会的信用の低下、通信販売に関する業務停止命令を受けた場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 知的財産権について
当社の事業においては、自社開発・設計によるオリジナルコンテンツを中心に顧客へ提供しております。そのため、第三者に帰属する著作権等の知的財産権、肖像権等を侵害しないよう、事前に権利関係を調査する等、細心の注意を払っております。また、当社グループの資産の保護、保全に向けて、商標権の取得や著作権の明示、自社開発した技術の特許取得を行っております。しかしながら、当社の知的財産権等に関する調査、管理が完全である保証はなく、当社が認識せずに第三者に帰属する著作権等の知的財産権、肖像権等を侵害した場合、当社に対する損害賠償や使用差し止め等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 組織体制について
① 代表取締役社長への依存について
当社の代表取締役社長である落合文四郎は、当社の創業者であり、創業以来代表取締役社長を務めております。現在においても、経営方針や事業戦略の決定から新サービスの開発等の各業務分野に至るまで、当社の事業活動全般において重要な役割を果たしております。このため当社では、取締役会や経営会議等における情報共有や経営組織の強化を図り、同氏に依存しない経営体制の整備を進めております。しかしながら、現時点においては、何らかの理由により同氏が当社グループの業務遂行を継続することが困難になった場合、当社グループの財政状態及び経営成績並びに今後の事業推進に影響を及ぼす可能性があります。
② 内部管理体制について
当社は、小規模組織による運営でありますが、当社の継続的な企業価値の向上と発展を遂げていくために、コーポレート・ガバナンス体制の強化は重要な課題の一つであると認識しております。現在、財務報告の信頼性、業務の有効性及び効率性、事業活動に関わる法令等の遵守、資産の保全を実現するために、内部統制が有効に機能する体制を構築し運用に努めておりますが、今後、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築、運用を促進できない場合、適切な業務運営が困難となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 四半期ごとの収益変動について
当社の収益の大半を占める法人向けサービスは、顧客の人材育成計画と連動しております。特に、当社が強みとしている新入社員育成については、顧客の新入社員受入れに伴う研修の実施が4月に集中いたします。その一方、月ごとの変動の小さい人件費等の固定費は継続して発生することから、第2四半期(4~6月)の売上高及び利益は大きくなる傾向にあり、第1四半期(1~3月)及び第3四半期(7~9月)の売上高及び利益は小さくなる傾向にあります。したがって、第2四半期において当社グループの経営成績が不調となる場合には、当社グループの通期の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 講師、コーチの不祥事、風評等のリスクについて
当社グループは、講師やコーチが、事故、事件、不祥事等を起こした場合、又は巻き込まれた場合、風評及び報道がなされた場合等には、当該講師、コーチの研修への登壇中止等の措置が必要となるため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、これらの発生事象に対し、当社グループの対応等に関わらず、投資家、マスメディア、インターネット、その他を通じて社会全般に広まった場合において、当社グループへの悪影響により社会的信用が損なわれ、事業運営及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、利益配分につきましては、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保の充実を図りつつ、安定した配当を継続して実施していくことを基本方針としております。内部留保資金については、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を実現させるための資金として有効に活用してまいります。
なお、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当を取締役会の決議によって毎年6月30日を基準日として行うことができる旨を定款に定めておりますが、期末配当の年1回を基本方針としております。当社の配当決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。
当事業年度の前年同期と比べて増収減益となりましたが、当社では、株主様へ安定した配当を継続して実施していくことを基本方針としていることから、7円の剰余金の期末配当を行うことといたしました。
(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。