リスク
3【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)住宅市況及び金利状況、経済情勢の変動について
当社グループが属する住宅業界は、景気動向、金利動向、地価動向並びに住宅税制等の影響を受けやすいため、景気見通しの悪化や大幅な金利上昇、地価の上昇並びに住宅税制等の諸情勢に変化があった場合には、住宅購入者の購入意欲を減退させる可能性があります。また、人口動態及び世帯数の推移の影響も受けるため、国内における人口及び世帯数が減少する局面においては、国内における住宅需要の減少要因となる可能性があります。これら経済情勢等が変動した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)法的規制等について
当社グループの事業は、建築基準法、建設業法、建築士法及び関連する各種法令により規制を受けております。
当社グループでは、事業継続のため、これらの法令等を含めたコンプライアンスが遵守されるよう、役職員に対して研修等を通じて周知徹底を図ることで、これらの適用法令等に対応できる体制を構築しており、現時点で事業継続に支障をきたす事項はありませんが、今後、何らかの理由により適用法令等の違反が発生した場合には、処罰、処分その他の制裁を受け、当社グループの社会的信用やイメージが毀損することにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、建設業法や建築士法等をはじめ有資格者の選任・配置が義務づけられている場合については、適法に事業活動ができるようその確保に努めており、現時点では必要な有資格者を確保できておりますが、今後、何らかの理由によりそれらが十分に確保できなかった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、これらの適用法令等の改廃や、新たな法的規制が設けられた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、適用法令等について、その有効期間やその他の期限が法令等により定められているものは下表のとおりであります。
許認可等の名称 |
許認可登録番号 |
有効期間 |
関係法令 |
許認可等の取消事由 |
一級建築士事務所 |
東京都知事登録 第53799号 |
2022年8月15日~ 2027年8月14日 |
建築士法 |
同法第26条 |
特定建設業許可 |
国土交通大臣許可 (特22)第23620号 |
2020年7月8日~ 2025年7月7日 |
建設業法 |
同法第29条 |
宅地建物取引業免許 |
東京都知事(2) 第101790号 |
2023年3月24日~ 2028年3月23日 |
宅地建物取引業法 |
同法第66条 |
(3)国や地方自治体の施策による影響について
当社グループの事業に関連する国の施策として、2013年12月に「国土強靭化基本法」が施行され、2014年6月には「国土強靭化基本計画」が閣議決定されました。さらに、取り組むべき具体的な個別施策等を示した「国土強靭化アクションプラン」が策定され、国土強靭化の取り組みは本格的な実行段階にあります。「建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)」に基づく国の基本方針においては、南海トラフ地震防災対策推進基本計画(2014年3月中央防災会議決定)及び首都直下地震緊急対策推進基本計画(2014年3月閣議決定)、住生活基本計画(2016年3月閣議決定)における目標を踏まえ、住宅の耐震化率について、2025年までに少なくとも95%にすることを目標とするとともに、2030年までに耐震性が不十分な住宅をおおむね解消することを目標とし、耐震化の促進を図っています。2018年時点の住宅の耐震化率は、約87%となっており、今後当社グループが提供する耐震性の高いSE構法に対するニーズが増加していくことが予想されます。
また、2050年のカーボンニュートラル実現と脱炭素社会の実現を目指し、2010年10月に施行された「公共建築物等木材利用促進法」を改正した「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が2021年10月に施行され、木材利用を促進する対象が公共建築物だけでなく民間建築物にも拡大されるとともに、脱炭素社会の実現に向けて積極的に木材を活用し、森林の適正な整備や木材自給率の向上を目指すこととなりました。今後、公共建築物だけでなく民間建築物における木材利用や構造設計に関する市場が拡大することが予想されます。
しかしながら、今後これらの施策が変更された場合には、市場の成長が鈍化し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)原材料価格の変動について
当社グループでは、SE構法の材料として、集成材、木材及び合板を使用しております。集成材、木材及び合板は、主に国内のメーカーから調達していますが、伐採量、消費量等需給バランスの変化によって相場が変動することにより、流通価格が変化します。今後、原材料の相場変動に伴い流通価格が大きく変化した場合、販売価格への転嫁により適切な利益を確保するよう努めますが、急激な原材料価格の変動により、販売価格への転嫁がタイムリーに行えない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)競合について
当社グループは、工務店を中心とした登録施工店ネットワークを通じて、当社が独自に開発した木造建築用の建築システムであるSE構法を提供しております。SE構法では、構造計算から構造加工品の供給・省エネルギー計算・施工・検査・性能保証等まで一括管理することにより、木造建築の耐震性等において他社に対する優位性を確保していると考えておりますが、資本力、営業力及びブランド力等に優れる企業との競合の結果、当社グループが想定どおりの事業拡大を図れない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)構造加工工場への依存について
当社グループが提供するSE構法では、構造加工工場で加工した構造加工品を利用するため、加工能力、工期、コスト及び品質等を勘案し、一定の技術を有する全国の指定構造加工工場へ原材料(集成材)の加工を委託しておりますが、構造加工工場の予期せぬ業績不振や事故等により事業を継続できなくなるなどの不測の事態が発生した場合は、構造加工品の提供遅延等によりお客様及び登録施工店等への損害賠償等が発生する可能性があり、その場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)物件着工時期の遅れによる業績への影響について
当社グループの木造耐震設計事業においては、大半の売上が構造加工品の納品時に計上されますが、天災地変、事故、その他予期し得ない要因により、物件の着工遅延等の不測の事態が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)システムについて
当社グループでは、建築図面のデータ入力や構造計算、省エネルギー計算並びに構造加工工場との連携など、事業の基幹となる部分に各種システムを活用しております。当社グループでは、今後とも業務の効率化による生産性向上等に向けて、新しいシステムを自社開発又は他社への委託、もしくは他社からのシステム購入等により確保していく方針でありますが、新システムの開発、購入等には多額の費用が必要となる可能性があり、その結果、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、システムの冗長化及びデータベースのバックアップを行っておりますが、当該システムの障害、大規模広域災害、もしくはコンピュータウイルス等によるデータベースへの影響又はシステムサービスの中断等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)構造設計及び品質保証等について
当社グループが提供するSE構法による建物については、すべての建物について構造計算を行っておりますが、構造等に関する法改正が行われた場合や、何らかの理由により構造計算書の偽装等、建物の構造に係わる問題が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、SE構法による住宅については、当社独自のSE住宅性能保証による長期保証システムを提供し、耐震性及び品質管理に万全を期しておりますが、長期にわたるサポート期間の中で、予期せぬ事情により重大な品質問題が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)特定人物への依存及び人材確保に係るリスクについて
当社グループでは、事業拡大に伴い優秀な人材の確保とその育成は重要な課題となっており、人材採用と人材育成に関する各種施策を継続的に講じております。しかしながら、十分な人材確保が困難になった場合や、人材が外部に流出した場合には、当社グループの今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
また当社では、代表取締役社長執行役員である田鎖郁夫の木材業界及び住宅業界並びに建築業界における長年の経験と豊富な知見に依存している面があります。このため当社グループでは、特定の人物に過度に依存しない体制を構築すべく経営組織及び各部門の専門的なスキルを有するスタッフの強化を図っておりますが、これらの役職員が何らかの理由で退任、退職し、後任者の採用が困難になった場合には、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(11)訴訟等の可能性について
当社グループは、事業展開において建築基準法、建設業法、建築士法及び関連する各種法令を遵守し、事業活動を推進しておりますが、お客様又は登録施工店との認識の齟齬その他に起因して、クレーム・トラブル等が発生する可能性があります。当社グループにおいては、弁護士等の関与の下、必要な協議・対応・手続を行っており、現在、重大な訴訟事件等は生じておりません。
しかしながら、今後において、これらクレーム・トラブル等に起因して重大な訴訟等が提起された場合には、当社グループに対するお客様からの信頼低下、並びに損害賠償請求訴訟の提起等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)個人情報等の漏洩等について
当社グループは、営業活動に伴い個人情報を取り扱う場合があり、慎重な対応と厳格な情報管理の徹底が求められております。当社グループは、これらの重要な情報の漏洩、紛失、誤用、改ざん等を防止するため、システムを含めて情報管理に対して適切なセキュリティ対策を実施しております。しかしながら、これらの対策にもかかわらず重要な情報が外部に漏洩した場合には、当社グループの社会的信用等に影響を与え、その対応のための多額の費用負担やブランド価値の低下により当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(13)知的財産権について
当社グループは、当社グループの提供するサービスの基礎をなす技術について特許権を出願し取得するとともに、各種の商標を登録しております。しかし、現時点で権利取得に至っていない権利について、今後これらの権利を取得できるという確実性はありません。また、特許申請の必要性について社内検討し、弁護士や弁理士と連携の上、速やかに特許申請を行う方針ですが、特許申請をしない方が競争優位に立てると判断した場合は特許申請を行わない場合もあります。慎重に判断を行い権利保護に努めておりますが、他社による模倣を効果的に防ぐことができない可能性もあります。一方で、当社グループの事業分野において、国内外の各種事業者等が特許その他の知的財産権を取得した場合、その内容次第では、当社グループに対する訴訟やクレーム等が発生し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは、第三者に対する知的財産権を侵害することがないよう慎重に事業活動を行っておりますが、当社グループの事業分野における知的財産権の現状を完全に把握することは困難であり、万一当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償又は使用差止めなどの請求を受ける可能性があります。これらの事態が発生した場合、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(14)ソフトウエアの資産計上に伴う費用化についての影響
当社グループは、「研究開発費等に係る会計基準」(企業会計審議会 1998年3月13日)に従い、自社利用のソフトウエアについて、適切に資産計上及び減価償却を行っております。しかしながら、各事業の事業収益が悪化した場合には、減損会計の適用による減損処理が必要となる場合があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15)事業投資及び子会社株式の評価に係るリスク
当社グループでは、グループシナジーのある事業への投資を今後も継続してまいりますが、投資先企業の業績が悪化し子会社株式、投資有価証券について減損損失の適用対象となった場合には、これら資産の評価切り下げにより損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は株主に対しての利益還元を経営の重要な課題として位置付けております。配当につきましては、事業計画や事業規模の拡大(成長・発展に必要な研究開発並びに設備投資用資金を含む)に向けた内部留保資金の充実を図りながら、各期の利益水準及びキャッシュ・フローの状況を勘案し、連結業績に基づいた年間配当性向40%を基準とし、継続的かつ安定的に実施することを基本的な方針としております。配当方針については、2021年5月14日開催の取締役会にて、配当方針の変更の決議を行い、配当性向の基準を単体業績から連結業績へと変更を行っております。
また、当社は期末の年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。
なお、会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行うことができる旨を定款に定めております。また、剰余金の配当基準日は、期末配当は3月31日、中間配当は9月30日の年2回のほか、基準日を定めて剰余金の配当をすることができる旨を定款に定めております。
内部留保資金につきましては、事業拡大を目的とした中長期的な事業原資として利用していく予定であります。
2024年3月期の期末配当につきましては、会社収益の想定外の悪化に伴い、配当性向が上記基準から乖離いたしますが、株主還元重視の立場から期初に公表した配当予想額を維持し、1株あたり22円の配当を実施することを決定しました。
当事業年度の配当につきましては、以下の通りであります。
決議年月日 |
配当金の総額(千円) |
1株当たり配当額(円) |
2024年6月22日 |
65,285 |
22 |
定時株主総会決議 |