2025年8月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。「(2)事業環境について」は、2025年11月26日(有価証券報告書提出日)現在の報告セグメント(物流事業及びソリューション事業)で記載しております。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

 なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅したものではありません。当社グループが認識していない、予見しがたい又は重要ではないと考えるリスク及び不確定要因も当社グループの事業及び業績に重要な影響を与える可能性があります。

 

(1)経済情勢について

 当社グループの主たる事業は、パレット等物流機器のレンタル収益への依存度が高いことから、景気の後退や個人消費の冷え込み等により、パレットレンタル需要が減少した場合、レンタル売上が減少する可能性があります。また、返却増加に伴い一時的に保管スペースが増加することで、保管コストが上昇するおそれがあります。さらに、レンタル用パレットの需給バランスが崩れることで、売上に対する減価償却費比率が増加し、収益性が低下する可能性があります。木材・プラスチック・金属などの原材料価格やエネルギーコストの高騰、輸送費の上昇が続く局面では、仕入価格や運営費用の増加を招くおそれがあります。これらのコスト増を競争環境などの理由でレンタル価格や販売価格へ十分に転嫁できない場合、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 このため、当社グループでは、取引先の需要動向に合わせたパレットの仕入管理や保有在庫の最適化を実施するとともに、オペレーションの効率化及びレンタル単価への転嫁推進を継続しています。

 

(2)事業環境について

① 物流事業

 レンタル事業の安定した収益確保には、レンタル資産の調達やデポ(貸出・返却拠点)の運営など、相当の投資が必要となるため、新規参入は容易ではありません。当社グループはレンタルパレットを約528万枚保有しており、パレットプールシステムの提案等を通して顧客の輸送効率向上に貢献し、単なる価格競争に巻き込まれることなく、当該環境下でのシェア拡大を図ってまいります。しかしながら、今後、当社グループの優位性が相対的に低下した場合や、競争激化による価格下落が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、デポ運営費や輸送費、減価償却費などの上昇によりコスト負担が増加した場合には、収益性の低下を招くおそれがあります。販売事業においては、企業の物流拠点投資の減少や計画延期により販売機会が減少する可能性があります。

 このため、当社グループでは、共同利用・共同回収スキームの拡大、重点業界への提案強化、デポ集約やパレット洗浄機導入などによる効率化を進め、収益性の確保に努めています。

 

② ソリューション事業

 ソリューション事業では、参入障壁が相対的に低く、技術革新や新規参入の加速によって当社のサービスや技術が陳腐化するリスクがあります。アクティブRFIDや通信モジュール等の技術領域においては、小型化・低価格化・省電力化の進展により、価格競争が激化する可能性があります。

 このため、当社グループでは、顧客の課題を起点としたソリューション提案の強化、不採算事業の見直し、研究開発および外部パートナーとの連携推進を通じて、競争力の維持向上を図っています。

 

(3)仕入先への依存について

 当社グループが扱っているレンタル商品のうち、当連結会計年度に仕入れたプラスチックパレットについては三甲株式会社(子会社含む)及び岐阜プラスチック工業株式会社が製造した商品に99%以上依存しております。そのような特定の仕入先とは取引開始以来、良好な関係を継続しており、今後も仕入取引を継続していく方針でありますが、何らかの要因により、取引が継続できなくなった場合には、当社グループの商品供給体制に重大な支障が発生し、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)海外展開について

 当社グループは、アセアン地域を中心に海外展開しており、アセアン地域内及び日本とアセアン地域での物流機器レンタル・販売を強化する計画であります。今後アジアエリア及び当社グループの現地法人が所在する地域での経済情勢・事業環境の悪化、予期せぬ法律・規則等の変更、治安の悪化やテロ活動の活発化、商習慣の相違、自然災害や感染症の発生等のリスクが顕在化した場合は、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。このため、現地法人との連携を密にし、情報収集を継続してまいります。

 

(5)新規事業について

 当社グループは、事業規模の拡大と収益源の多様化を進めるため物流と親和性のある新規事業に取り組んでいく考えであります。しかしながら新規事業は不確定要素が多く、計画が想定どおり進捗しない可能性があり、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。このため、新規事業の将来性を慎重に見極め、段階的な投資と進捗管理を行うことでリスクを最小化しています。

 

(6)製品欠陥について

 当社グループにおいては、全ての製品について欠陥がなく、将来において顧客からの製品の欠陥に起因する損害賠償請求等が発生しないという保証はありません。万が一損害賠償請求等があった場合は、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。そのため、信頼のおけるメーカーの製品を仕入れ、また製品についてメーカーと十分な精査を行うようにしております。

 

(7)委託先について

 当社グループの物流事業では、当社グループが保有するレンタル資産をデポで管理しており、運営は第三者へ委託しております。委託先の事情によりデポの管理運営が不可能になった場合や、契約更新により管理料の交渉が想定どおりに行われない場合は、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。そのため、委託先との良好な関係を維持すると同時に、情報を収集することにより代替先の検討を行うようにしております。

 

(8)資金調達について

 当社グループにおいては金融機関からの借入金により運転資金及び設備投資資金を調達しております。借入金の一部については固定金利での調達により金利変動リスク軽減の施策を講じておりますが、金融市況及び景気動向の急激な変動等により、当社グループの財政状態及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)固定資産の減損に関するリスク

 当社グループが保有する固定資産については、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。同会計基準では、減損の兆候が認められる資産又は資産グループについては、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回った場合に、帳簿価額を回収可能価額(当該資産又は資産グループから得られる割引後将来キャッシュ・フローの総額もしくは当該資産又は資産グループの正味売却価額のいずれか高い方の金額)まで減額し、減額した当該金額を減損損失として計上することとなります。

 また当社グループは、キャッシュ・フローを生み出す資産又は資産グループの最小単位として、主として事業単位を基本単位としてグルーピングを行っております。

 このため、当該資産又は資産グループが属する事業の経営環境の著しい変化や収益状況の悪化等により、固定資産の減損損失を計上する必要が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。そのため、事業別に状況を把握することにより、早期の把握と対応を検討できる体制としております。

 

(10)自然災害等について

 当社グループは、国内外において営業所、デポなどの設備を利用し事業を行っております。これらの設備が、地震、津波、洪水、台風、火災等の自然災害又は暴動等の偶発的事故によって毀損し、事業が中断する可能性があります。また、利用している設備が被害を受けた場合、事業再開の遅れにより、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、当社グループが展開する全ての地域において、役員及び従業員の死亡や負傷による欠員があった場合、一部又は全部の業務が中断し、事業活動が継続できなくなる可能性があります。

 その他、災害等により当社グループの主要な取引先に重大な被害が発生した場合には、取引先の営業・生産活動の停滞が当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、デポとの良好な関係を維持し、情報の提供及び収集を行っております。また、安否確認システムを導入し、災害発生時には社員や社員の家族の安否ができる体制をとっております。

 

(11)情報セキュリティについて

 当社グループは、事業全般においてコンピュータシステムを活用し情報資産の管理を行うとともに業務の効率化を図っております。情報セキュリティ管理規程及びシステム管理要領を定め、情報セキュリティ対策の強化、バックアップ体制の構築等の危機管理を講じておりますが、予期せぬ不正アクセス、コンピュータウイルス侵入等による情報漏えいや、自然災害、事故等によりシステムが機能しなくなった場合、提供するサービスの低下を招くことにより、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 これらの影響を極小化するために、当社グループは、東日本と西日本の2拠点のデータセンターにサーバーを配置することにより分散化を図り、定期的にサーバーデータのバックアップを取得すると共に、現状のシステムの稼働状況について適時確認することで、システムの復旧が早期になされる体制を構築しております。

 

(12)人材の確保・育成

 当社グループは、今後の業容の拡大に伴い、継続的な人材の確保が必要となるため、新卒採用活動のほか、中途採用活動も積極的に行い、優秀な人材を適切に確保するとともに、人材の育成に努めてまいります。しかしながら、人材の確保、育成が計画どおり進まなかった場合には、収益の減少や費用の増加等により、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。そのため積極的な採用活動を行っていくとともに、人事部人材開発グループにおいて、社員教育の仕組みを体系化することで、社員の質の向上を図ります。

 

(13)感染症等に関するリスクについて

 新たな感染症の拡大等により、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。具体的には、景気減速による既存取引先の保有在庫の減少によるレンタル事業への影響、対面営業が制限されることで新規顧客の獲得が鈍化するなど、売上が減少する可能性があること、当社従業員が感染することで長期の職場離脱を余儀なくされることなどが挙げられます。そのため、当社グループでは従業員の安全を最優先とし、厚生労働省や各都道府県及び各自治体等の指針に準ずるとともに、出社時の検温や消毒の実施、時差出勤及び在宅勤務を推奨するなどの対策を講ずることで感染防止に努め、感染リスクの極小化を図ってまいります。

 

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主の皆様への利益還元を経営の重要施策の一つと認識しております。日常の事業運営に必要な運転資金と将来の事業展開のための内部留保を確保し、健全な財務体質を維持しつつ、当面は連結配当性向10%を目処とし、将来的には連結配当性向30%を目標とするとともに、減配を行わないことを原則としておりましたが、株主の皆様への利益還元の一層の充実を図り、あわせて資本効率の向上を図ることを目的として、2026年8月期からはDOE(自己資本配当率)を新たに配当指標として導入いたします。当面はDOE3%を目処とし、将来的にはDOE5%を目標とすることを原則といたします。

 内部留保資金につきましては、事業の継続的な拡大発展を実現させるための資金として、有効に活用していく方針であります。

なお、期末配当は8月31日、中間配当は2月末日をそれぞれ基準日とし、このほか基準日を定めて剰余金の配当をすることができると定款に定めておりますが、当社は剰余金を配当する場合には、年1回の期末配当を基本としております。

 また、経営の機動性と柔軟性の向上を図り、もって株主利益の向上に資するため、「剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めがある場合を除き、株主総会の決議によらず取締役会の決議によって定める」旨を定款に定めております。

 

 当事業年度の配当につきましては、2025年1月14日に公表いたしましたとおり、株主の皆様への利益還元の充実を段階的に実現すべく、1株当たり25円の配当を実施いたしました。

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2025年10月15日

191,487

25

取締役会