2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)当社グループのリスクマネジメント体制

 当社グループは、リスクの発生防止及び適切な対応による損失の最小化を図るため、組織的・計画的に取り組むことを目的として、代表取締役社長を委員長とし、取締役を中心に構成するリスク評価委員会を設置しております。

 

(2)当社グループのリスクマネジメント体制の運用状況

 リスク評価委員会は、少なくとも四半期に1回定例開催するほか、必要に応じて臨時開催し、リスクの調査、網羅的な認識及び重要度の分析、各種リスクへの対応策の検討及び決定、対策の実施状況の監督及び再発防止策の検討等を行っております。

 

(3)事業環境に関するリスク

① 市場環境について

 当社グループは国内のスタートアップ企業向けまたはそれに関連したサービスを提供しており、潜在的に国内におけるスタートアップ企業の企業動向・求人需要等に影響を受けております。特に、当社グループの主力サービスであるタレントエージェンシーは、スタートアップ企業の求人ニーズに影響を受ける可能性があり、国内外の経済情勢や景気動向の悪化、地政学リスク、金融資本市場の変動の影響等により、スタートアップ企業数やスタートアップ企業に対する資金供給が著しく減少した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります

 このようなリスクに対応するため、当社グループは特定の顧客群に偏らないよう顧客基盤の拡大に努めているほか、景気変動の影響を受けにくいハイレイヤー求人を注力領域としております。

 

② 競合について

 当社グループの主力サービスであるタレントエージェンシーは、「有料職業紹介事業」に該当しております。「有料職業紹介事業」は許可事業ではあるものの、参入障壁が低く各分野にて多数の同業他社が存在し、厚生労働省の調査によれば、有料職業紹介事業の民営職業紹介事業所数は継続的に増加傾向にあります。当社グループは、既存の人材紹介サービスの多くを占める総合人材紹介型や業界特化型、広告型とは異なり、スタートアップ・成長企業に特化したサービスを展開しておりますが、今後、同業他社が同様のサービスを展開し、競争が激化した場合等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクに対応するため、当社グループは、スタートアップ・成長企業に特化した人材支援として顧客企業との密な関係性の構築やシェア拡大等に努めております。

 

(4)事業内容に関するリスク

① 候補者の自己都合退職について

 当社グループの主力サービスであるタレントエージェンシーでは、求人企業に候補者が入社後、一定期間内に自己都合退職した場合には成功報酬の一部を返金する契約を締結し、サービスを提供しております。将来的に何らかの理由により、早期自己都合退職者が増加した場合には、収受した報酬の返金が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 このようなリスクに対応するため、当社グループは、求職者に対し求人内容や求人企業のカルチャー等の状況を十分に説明し、ミスマッチの軽減に努めております。

 

② 求人媒体運営事業者との関係について

 当社グループの主力サービスであるタレントエージェンシーは、自社媒体を有して求職者を確保する登録型ではなく、他社が運営する媒体を利用して求職者を確保するハンティング型を採用しております。人材データベース運営会社の方針変更や関係性の悪化等により取引関係に変化が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 このようなリスクに対応するため、当社グループは、人材データベース運営会社との良好な関係を保ちつつ取引を行うことに加え、各求人媒体の利用方法の継続的な研修の実施、複数媒体の利用推進によりリスク低減を図っております。

 

③ 法的規制について

当社グループの主力サービスであるタレントエージェンシーは、職業安定法に基づき、「有料職業紹介事業」として厚生労働大臣から許可を受けております。当該許可は5年毎の更新が必要なほか、職業安定法第32条の9に欠格事由が定められております。当連結会計年度末現在において、当社グループは欠格事由(法人であって、その役員のうちに禁固以上の刑に処せられている、成年被後見人もしくは被保佐人または破産者で復権を得ないもの等に該当する者がある、届け出違反等)に該当しておりませんが、将来的に職業安定法第32条の9に定められた欠格事項等に該当した場合には、許可の取り消し、業務停止命令または業務改善命令の対象となるおそれがあります。その場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクに対応するため、当社グループでは定期的な各種コンプライアンス教育によって役職員の意識

向上に努めております。また、営業部門の管理監督部署、監査等委員会及び内部監査室が中心となり、役職員の職

務上の法令違反については常時監視する体制を整えております。

 

④ 個人情報保護について

 当社グループの主力サービスであるタレントエージェンシーでは、多数の個人情報を取り扱っているため、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務を課されております。当社グループは、個人情報の管理徹底を図るべく、「個人情報等管理規程」を制定するとともに、一般財団法人日本情報経済社会推進協会が発行するプライバシーマークを取得し、プライバシーマークの運用規程に準拠し、社内教育の徹底を図っております。このような取り組みにもかかわらず、外部からの不正アクセスや、当社グループ役職員の故意または過失により個人情報が流出した場合には、当社グループへの損害賠償請求やブランド価値の毀損、社会的信用力の低下により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクに対応するため、当社グループは、個人情報の管理徹底を図るべく、「個人情報等管理規程」を制定し、役職員の教育を図っているほか、一般財団法人日本情報経済社会推進協会が発行するプライバシーマークを取得し、2年毎に審査を受けて更新を実施しております。また、個人情報漏洩時に損害を補填する保険にも加入をしております。

 

⑤ ファンドで保有する株式の評価減リスクについて

 当社グループにおいて、ベンチャーキャピタル事業を行っておりますが、その中で、投資対象先のエグジットの延期、事業計画の見直しや実績の乖離によって、当社子会社を通じて組成したファンドが保有する株式の評価減により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクに対応するため、当社グループは、主としてタレントエージェンシーの人材紹介支援を行っている未上場企業を投資対象として、投資時においてビジネスモデルや市場環境を十分に検討した上で判断するとともに、投資後は投資先の状況把握を定期的に行いリスクの軽減に努めております。

 

 

(5)組織体制に関するリスク

① 人材確保及び育成について

 当社グループ事業のさらなる拡大及び企業価値の継続的な向上のためには、人材の確保や人材育成が重要と認識しております。特にタレントエージェンシーにおいては人材の確保が必要不可欠であるとともに、期待通りの効果を発揮するまでに、一定の育成期間を要することがあります。当社グループは、全社を挙げて人材採用・育成に取り組んでおりますが、当社グループが求める人材が適時適切に確保されなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 このようなリスクに対応するため、当社グループは、全社を挙げて人材採用に努めているほか、社員がやりがいと働きやすさを持って働けるよう就業環境の整備に努めております。

 

② 内部管理体制について

 当社グループは、企業価値を継続的に向上させていくためには適切な内部管理体制の構築が必要不可欠と判断しておりますが、当社グループは、設立からまだ間もなく、未だ発展途上にあると認識しております。今後、事業の急激な拡大に応じた内部管理体制の整備・運用が行われなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 このようなリスクに対応するため、内部統制システムの適切な整備・運用に努めております。

 

③ 特定経営者への依存について

 当社グループの代表取締役社長である志水雄一郎は、当社グループの前身である株式会社セントメディア(現 株式会社ウィルオブ・ワーク)のネットジンザイバンク事業部において事業部長を務め、分社化以降も継続して代表取締役を務めております。同氏は、当社グループの経営方針やブランディングにおいて重要な役割を果たしております。今後、何らかの理由により、同氏の業務執行が困難な状況となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクに対応するため、当社グループは、同氏に過度に依存しないよう、人員体制や権限委譲等の経営組織の強化を図っております。

 

(6)その他のリスク

① 訴訟について

 当社グループの事業運営において、提供サービスの不備や個人情報・機密情報の漏洩、契約違反等により、訴訟を提起された場合には、当社グループブランドの毀損や社会的信用力の低下により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 このようなリスクに対応するため、当社グループでは定期的な各種コンプライアンス教育によって役職員の意識向上に努めております。また、監査等委員会及び内部監査室が中心となり、役職員の職務上の法令違反については常時監視する体制を整えております

 

② 情報システムについて

 当社グループの事業運営上、情報ネットワークやコンピューターシステムを多岐にわたり利用しており、データベースはクラウド上に保存しております。災害・事故等によるネットワーク障害やサーバーダウン等のシステム障害、悪意ある第三者による不正アクセスが生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 このようなリスクに対応するため、当社グループは、アンチウィルスソフトの導入や情報セキュリティ教育を図っているほか、通信ネットワークの冗長化構成を行い、リスクの軽減に努めております。

 

 

③ 新株予約権の行使による株式価値希薄化について

 当社グループは、当社グループ役職員に対して業績向上に対するインセンティブ付与を目的として、新株予約権方式によるストックオプションを付与しております。当連結会計年度末現在、これらの新株予約権による潜在株式数は、64,600株であり、発行済株式総数に潜在株式数を加えた合計の3,711,000株の1.7%に相当しております。これらの新株予約権の行使が行われた場合は、当社グループの1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。

 

④ 配当政策について

 当社グループは、設立以降、配当実績がありません。株主に対する利益還元を経営上の重要課題の一つとして位置づけておりますが、財務体質の強化に加えて、事業拡大、収益力強化のための必要投資に充当し、企業価値を向上させることが当面の優先課題と考えております。現時点において、配当の実施及びその実施時期等については未定でありますが、将来的には、経営成績、財政状態及び内部留保とのバランス等を統合的に勘案しながら配当の実施を目指していく方針であります。

 

 

配当政策

3【配当政策】

 当社グループは、現在成長過程にあり、経営基盤の長期安定化に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を目指すため、内部留保の充実が重要であると考え、会社設立以降、配当は実施しておりません。

 配当実施時期につきましては現在のところ未定でありますが、今後につきましては、経営成績、財政状態、内部留保とのバランス等を総合的に勘案し検討していく方針であります。内部留保資金につきましては、積極的な採用活動や人材関連への投資、システムの改修、ベンチャーキャピタル事業における投資等を目的とした中長期的な事業原資として利用していく予定であります。

 当社グループは、剰余金の配当を行う場合は、毎年3月31日を基準日とする期末配当の年1回を基本方針としており、また、毎年9月30日を基準日とする中間配当を行うことができる旨定款に定めております。

 このほか、当社グループは剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めのある場合を除き、取締役会の決議によって定めることができる旨定款に定めております。