2023年7月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 6,061 100.0 966 100.0 15.9

事業内容

 

3 【事業の内容】

当社は「フィットする暮らし、つくろう。」をミッションとして掲げております。このミッションは、当社の持つ世界観に共感する人たちのWell-beingを実現することを意味しております。当社は、Well-beingに欠かせない価値観の一つとして「自分の生き方を自分らしいと感じ、満足できること」=「フィットする暮らし」が重要だと考えております。当社は事業活動を通じて多くの人の「フィットする暮らし」づくりに貢献し、Well-beingな人が大勢いる「心地よい社会」の実現の一助になることを目指しております。

当社の運営する「北欧、暮らしの道具店」は、2007年にヴィンテージの北欧食器等を扱うECサイトとして始まりました。北欧に関係するものが占める割合は小さくなりましたが、販売する商品だけでなく、ユーザーとのつながりをつくり、深めるために提供しているコンテンツについても、すべて「暮らしを自分らしく、美しいものにすること」、「日常のささやかな幸せを大事にすること」といった、当社が強く共感した北欧カルチャーの本質に根ざしてつくられております。

このような当社の世界観を「ライフカルチャー」と称し、「北欧、暮らしの道具店」を通じて、ライフカルチャープラットフォーム事業という単一のセグメントで事業を展開しております。

当社はビジネスラインとして「D2Cドメイン」「ブランドソリューションドメイン」を有しており、「カルチャーアセット」「エンゲージメントチャネル」がビジネスラインを支える構造となっております。

 

(1) ビジネスラインについて

① D2Cドメイン

「北欧、暮らしの道具店」の提供している世界観に共感するユーザーに対し、暮らしにフィットする商品を販売しております。当社の収益の大半を生み出しているのは当ドメインであります。

当社とユーザーとの間にはECモールやECプラットフォームが介在しておらず、自社サイトを通じて直接商品を提供しております。

このように、ユーザーと直接接点を持ち、直接商品を提供することで関係性を築いている状態であることから、当ドメインの事業活動を「D2C(Direct to Consumer)」と表現しております。

取扱商品は、アパレル・キッチン・インテリア雑貨が主力であり、自社企画のオリジナル商品(※)が売上高の約53%を占めております。現在は、北欧関連商品の割合は少なくなっているものの、「北欧」の価値観に影響を受けて始めた事業であり、今もその精神は受け継がれていることから、サイト名に「北欧」を冠しております。

(※) オリジナル商品:オリジナルブランド「KURASHI&Trips PUBLISHING」「NORMALLY」の商品

 

② ブランドソリューションドメイン

「北欧、暮らしの道具店」の強いブランドとコアな顧客基盤に加え、商品を紹介する読み物をはじめとした多様なコンテンツ制作で培った高い企画制作能力を活用し、クライアント企業のブランドが「選ばれ続けるブランド」になるためのソリューションを提供し、全国で自社の製品を販売し、大規模に販促や宣伝活動に力を入れている広告主が展開しているブランドを中心に、多くのブランドを継続的に支援しております。2023年7月末時点での取り組み実績は、209ブランドとなりました。

主な取り組みとしては、クライアントのブランドや商品を「北欧、暮らしの道具店」サイト上で、当社の読み物の一つとして掲載する「BRAND NOTE」があります。当社のスタッフ等が実際にブランドの商品を暮らしに取り入れている様子などを紹介するコンテンツを作成しております。

その他に、動画コンテンツとしてブランドを紹介する「BRAND MOVIE」や、D2Cドメインの商品発送時に、クライアントの商品を同梱する「BRAND GIFT」などの取り組みを行っております。

 

(2) 「北欧、暮らしの道具店」の強みの源泉

当社は、事業開始以来ユーザーとのダイレクトなつながりを大切にし、「北欧、暮らしの道具店」サイトをはじめとした様々な媒体で、WEB記事、オリジナルドラマやドキュメンタリー、ラジオ番組や音楽プレイリスト、全国劇場公開されたオリジナルの映画など、多様なコンテンツを生み出し、発信し続けており、この活動をコンテンツパブリッシャーと呼んでおります。ライフカルチャー(世界観)の源泉として、「北欧、暮らしの道具店」の世界観を表現する多様なコンテンツを生み出し、様々なチャネルから発信し続けるコンテンツパブリッシャーとしての活動が、当社の強みとなっております。

 

ライフカルチャープラットフォームの構造としては、3つの層で構成されており、「ビジネスライン」は「カルチャーアセット」と「エンゲージメントチャネル」によって支えられております。

カルチャーアセットは、コンテンツパブリッシャーとしての活動を行うことによって生み出されたコンテンツやブランド、データという蓄積された無形の資産の集まりを表しており、ライフカルチャープラットフォーム事業を行うために最も重要な資産と考えております。

コンテンツについては後述しますが、ユーザーに当社のライフカルチャー(世界観)を浸透させ、長期にわたるロイヤルティを醸成する強力な資産であります。ブランドとは、当社との関わりを通して、「北欧、暮らしの道具店」を認知する人の頭の中につくり上げられたイメージであります。またデータとは、お買い物をするときのユーザーの行動履歴や購買履歴などのデータであり、あらゆる事業活動の効率を高める羅針盤として意思決定に活用しております。

エンゲージメントチャネルは、SNS(Earnedチャネル)から、アプリ、WEBサイト、メールマガジンといった自社チャネル(Ownedチャネル)にいたる多様なチャネルを指します。上記チャネルを通じて当社とユーザーがダイレクトにつながっております。

 

「フィットする暮らし」づくりに貢献するようなコンテンツが蓄積され、エンゲージメントチャネルによってユーザーへ発信することで、ユーザーからのエンゲージメント(=好きでいてくれること、支持してくれること)が高まり、ユーザーが「フォロー」という形で当社とコミュニケーションする機会を提供してくれます。これにより毎日のようにコンテンツを提供することでエンゲージメントの高まったユーザーがD2Cドメインの商品の購入に至り、収益が生まれます。

 

ビジネスラインであるD2Cドメイン、ブランドソリューションドメインの2つの事業領域は、幅広いチャネルと蓄積されたカルチャーアセットの土台の上で展開しております。ライフカルチャー(世界観)によってユーザーと繋がり、その土台の上でビジネスを展開しているため、当社の事業をライフカルチャープラットフォームと表現しております。

 


 

当社がユーザーに提供しているコンテンツは、具体的には下記のとおりであります。

 

(商品とそれにまつわるユーザー体験

当社では、「お客様に自分自身のものさしで商品を選んでほしい」という想いを伝え、共感したお客様に、購入した商品を生活に取り入れていただくことが「フィットする暮らし」づくりにつながると考えております。

例えば当店でお気に入りのグラスを見つけて購入する際、お客様自身の生活にどのように取り入れられるのか想像を膨らませてもらう。お買い物をして手元に届いたあとは、単に水を飲むための器としてだけでなく、そのグラスを使う瞬間は特別な気持ちになっている。商品の提供とは、お客様にこのような価値を提供していることと考えており、サイト上でのお買い物体験だけでなく、お買い物いただいた商品をお客様の暮らし、ファッション、インテリアに取り入れていただくという行為も、広義のコンテンツだと考えております。

 

(読み物)

平日は毎日3~4本程度、月間で70~80本程度の記事を読み物として「北欧、暮らしの道具店」サイトで提供しております。読み物の内容には、ECで取り扱っている商品について、バイヤーやプランナーが込めた想いを紹介するもの、スタッフが自身の生活について綴るコラム、何らかのテーマに沿った特集記事などがあります。特集記事では、食事にまつわるものや、レシピを紹介するもの、インテリアを取り上げたものなど、「暮らし」を軸にしながら、多岐にわたったテーマを扱っております。記事には当社スタッフが作成するものと、スタッフは記事の企画を行い、外部のライターに指示することで作成するものがあります。「北欧、暮らしの道具店」サイトなどインターネット上の読み物だけではなく、お買い物いただいたお客様に小冊子の提供をすることもあります。

 

(動画)

少し変わった家族構成の4人のまわりの出来事をドラマにした「青葉家のテーブル」や、一人暮らしの女性が「自分のお城」のワンルームの部屋を好きな雑貨でいっぱいにし、テーマミュージックとともに料理をする「ひとりごとエプロン」などを通して、「北欧、暮らしの道具店」の「世界観」を詰め込んだ短編ドラマを制作しております。また、様々な人たちの朝の習慣を動画として収めた「モーニングルーティン」や、生き様に迫る「うんともすんとも日和」などのドキュメンタリーも制作し、公開しております。これらの動画はYouTube上に無料で公開されており、2023年7月現在、チャンネル登録者数は57万人に達しております。オリジナルドラマである「青葉家のテーブル」については映画化し、2021年6月に全国の劇場で公開されました。一部動画からは収益を得ております。

 

(SNS)

当社では、LINE公式アカウント、Instagram、FacebookなどのSNSやメールマガジンの運営を、マーケティングの手段としてだけでなく、コンテンツの形態の一つであると考えております。SNSの投稿内容は、「北欧、暮らしの道具店」のサイト上のコンテンツを、各媒体に合わせた形に編集して紹介しているものや、各媒体独自の記事を作成することもあります。

 

(ラジオ)

当社取締役で「北欧、暮らしの道具店」店長の佐藤と、スタッフのよしべこと青木がお届けするインターネットラジオ「チャポンと行こう!」や、過去に記事として紹介していたエッセイをスタッフが朗読する「エッセイラジオ」をSpotifyやApple musicなどの音楽サービス上で公開しております。

 

(音楽)

SpotifyやApple music内に提供されている音楽プレイリストの作成機能を利用して、音楽が好きなスタッフが中心となって、「わたしの朝習慣」や「仕事と、音楽と。」などのテーマに即したプレイリストを作成して公開しております。

 

 

「北欧、暮らしの道具店」は、独自のライフカルチャー(世界観)があふれる温泉を体験できるリゾートパークのようなプラットフォームです。温泉を楽しむために訪れたお客様に、リゾートパークでさらに素晴らしい体験をしていただくことで、「もっと長く滞在したい」「この体験を持ち帰りたい」というニーズが生まれ、そのニーズに応えるべく旅館やお土産屋さん(ビジネスライン)が賑わい、さらに気軽にお越しいただけるように交通網(エンゲージメントチャネル)が整えられていきます。たとえ、リゾートパークが賑わったとしても、肝心の温泉が枯れてしまっては元も子もありません。一番大切なのは、お客様が入りたいと思えるような温泉を枯らさないことであります。これからも、当社はこの「温泉」=ライフカルチャーを大事に守りながら、よりお客様の日常に寄り添えるよう利便性を強化して、さらに長い時間をともに過ごしたいと思われるリゾートパーク=プラットフォームに成長させていきたいと考えております。

 

エンゲージメントアカウント数の増加は、多くのユーザーからエンゲージメントを獲得していることを示しております。そのエンゲージメントが、一段深まった形で蓄積されていることが、累積会員数(※)の増加に現れております。そして、会員が購入することにより、D2Cドメインの収益につながります。

(※) 会員:「北欧、暮らしの道具店」での商品購入時に必要なユーザー情報を登録した状態のこと

 

エンゲージメントアカウント数とは、公式SNSのフォロワー数、YouTubeチャンネル登録数、アプリのダウンロード数、メルマガ会員数等の合計であり、定期的に当社がリーチできる状態のユーザー数に相当するものと考えております。なお、一人のユーザーが複数登録している場合は、重複してカウントされます。

「北欧、暮らしの道具店」のエンゲージメントアカウント数推移、累計会員数推移、年間購入者数推移は、それぞれ以下のとおりであります。

 

[エンゲージメントアカウント数推移]


 

 

[累計会員数推移]


(注) 退会済みのユーザーを除いた累積の会員数となります。

 

 

[年間購入者数推移]


(注) ユニークの購入者数であり、複数回購入者は1人とカウントしております。

 

 

 

(3) 事業の特徴・強み

① 低い顧客創造・リテンションコスト

ユーザー獲得のために広告媒体に支払う「広告費」やユーザー育成のために支払う「販促費」が少なく、自社チャネル(Ownedチャネル)である「北欧、暮らしの道具店」及びSNS等(Earnedチャネル)で発信する各種コンテンツの提供を通じて効率的にユーザーを獲得することができております。

 

② 長期に伸長するLTV

「北欧、暮らしの道具店」でのお買い物に限らず、読み物や動画を楽しむためにサイトを訪問するという多様な訪問動機を提供することで、長期にわたってお買い物を継続的にしてもらえております。結果として平均LTV(※)が長期で伸長し続けております。初購入年度が2020年7月期のユーザーについては、3年LTVは1年LTVの約2倍となっております。ユーザーを年齢、性別等の基準で分類しておらず、「フィットする暮らし」の実現を望む全年代のユーザーを対象とした、幅広いユーザーに支持されるエイジレスな「卒業のないブランド」となっております。

(※) LTV:ある会計年度に初購入を行ったユーザー全員について、特定期間の購入金額の平均値を算出したもの

 

③ 高い効率性

「北欧、暮らしの道具店」の運営を通じて獲得したデータを活用し、精度の高い商品企画、適正な発注、在庫コントロールが可能となることで、商品回転率10.2回(※)を実現し、効率性の高い経営を実現しております。

(※) 商品仕入高(2023年7月期)÷商品在庫(2023年7月期中平均)により算出しております。

 

④ 独自性の高い事業構造

当社のライフカルチャープラットフォームは、前述のカルチャーアセットとエンゲージメントチャネルを基礎として成立しております。このため、同様の優位性を発揮し得る事業構造は、資金や人的リソースを投じたとしても、容易に手に入れることはできないと考えております。

 

⑤ 拡張性、可変性

ライフカルチャープラットフォーム上で、多様なビジネスを展開できる拡張性があります。商品の販売に限らず、広告の出稿や動画コンテンツの提供をこれまでに実施してきております。また、特定のエンゲージメントチャネルに依存せず、複数チャネルでユーザーのエンゲージメントを獲得しているため、SNSプラットフォーマーが方針変更等を行った場合にも、変化への対応が容易に可能となります。

 

⑥ 価格決定を主導

D2Cドメインにおいては、販促負担がなく、ほぼすべての注文において送料を受領し、定価消化率は約97%(2023年7月期実績)を実現しております。ブランドソリューションドメインにおいては、代理店等ではなく当社の設定した価格でサービス提供を行っていることから、高い利益率を実現しております。

 

⑦ 従業員の大半が元ユーザー

ブレないライフカルチャー(世界観)をつくり続けるためには、従業員自らがその文化圏の一員である組織づくりにこだわることが必要であると考えております。そのために、ユーザーを従業員として採用し、採用された従業員が生み出したコンテンツが、さらにユーザーを増やす好循環が生まれ、ライフカルチャープラットフォームの世界観を従業員全員で支える組織づくりを実現しております。

 

 

[事業系統図]

 


 

 

業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態
(資産)

当事業年度末における資産総額は、5,020,119千円と前事業年度末に比べて2,032,883千円の増加となりました。これは主に、現金及び預金が1,951,256千円、商品が20,071千円増加したこと、及び倉庫投資等に関連して固定資産が34,600千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

当事業年度末における負債総額は、742,527千円と前事業年度末に比べて69,869千円の増加となりました。これは主に、未払金が35,752千円増加したこと、及び長期借入金(1年内返済予定含む)が36,689千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産は、4,277,592千円と前事業年度末に比べて1,963,013千円の増加となりました。これは主に、株式上場による新株発行及び自己株式の処分により資本金が424,841千円、資本剰余金が706,189千円増加したこと、及び当期純利益695,339千円を計上したことによるものであります。

自己資本比率は85.2%と財務的健全性を維持しております。

 

② 経営成績の状況

当事業年度は、国内の社会経済活動の正常化が進み、財とサービスの消費の偏りは解消してきているものの、物価上昇が続いている事から、毎月勤労統計調査によると実質賃金はマイナスが続いており、家計調査(2人以上の世帯)の月次結果からは、2023年3月以降は実質消費支出もマイナスが続いているため、今後の消費動向については予断を許さない状況となっております。海外においては、アメリカでの銀行破綻や中国の景気不安などがあり、金融政策の相違などによる円安も長期化するなど、先行き不透明な状況が続いております。このような状況にはありますが、ミッションと真摯に向き合い、堅実な経営を行ってまいりました。

 

「北欧、暮らしの道具店」は、2022年9月18日に開店15周年を迎え、当店を訪れてくださるユーザーの皆様に心からの感謝の気持ちをこめて、15周年のさまざまな企画を用意し運営してまいりました。

15周年記念のコンテンツの配信や、D2Cドメインにおける15周年記念商品の展開、送料無料キャンペーンなどをきっかけに多くのユーザーが当店を訪れてくださり、オリジナルブランド「KURASHI & Trips PUBLISHING」の新作商品等が好評で、売上高は好調に推移しました。4月には報道番組『カンブリア宮殿』(テレビ東京系列)にて当社を特集いただき、放送後は大きな反響を呼びました。春夏アパレルをはじめとした人気の定番商品、コラボ商品を、これまで以上に多くの新規ユーザー、既存ユーザーの皆様にご購入いただける機会となりました。第4四半期にかけては、アパレルカテゴリにおける週末発売や豊富なサイズ展開、コスメカテゴリの育成等にも注力し、ユーザーの潜在的な需要に応える商品展開を行いました。

これらの取り組みやエンゲージメントチャネルへの継続投資によって、エンゲージメントアカウント数は順調に増加し、公式スマートフォンアプリ(iOS/Android)は、当事業年度末日現在、累計約311万ダウンロードとなりました。当事業年度におけるアプリ経由の注文数は既に「北欧、暮らしの道具店」全体の約64%を占めております。

ブランドソリューションドメインでは、パナソニック「はやうま冷凍」搭載冷蔵庫、ワイヤレスイヤホン「ambie(アンビー)」、アクティブウェア「DANSKIN」等、新たなカテゴリにおけるお取り組みを行ったほか、La CASTA「アロマエステ シリーズ」、積水ハウス株式会社との新たなお取り組み等、新規顧客との新たなチャレンジと既存顧客からのリピート受注により案件数、売上高はともに堅調に推移しました。

 

 

以上の理由から、売上高についてはD2Cドメイン、ブランドソリューションドメインともに堅調に推移し6,060,836千円(前期比17.4%増)となりました。

売上総利益は2,628,041千円(前期比16.2%増)となり、公式スマートフォンアプリ(iOS/Android)ダウンロード訴求のための広告施策等の結果、販売費及び一般管理費を1,662,361千円(前期比17.1%増)計上したものの、営業利益は965,680千円(前期比14.7%増)、経常利益は968,145千円(前期比13.8%増)、当期純利益は695,339千円(前期比23.9%増)となりました。今後もコンテンツを拡大し、「ひとさじの非日常(Trips)」を「私たち」みたいな「誰か」に届けることを進めてまいります。

なお、当社は、ライフカルチャープラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末と比べ1,951,256千円増加し、4,336,738千円となりました。当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において営業活動により獲得した資金は、732,814千円(前事業年度は535,533千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益の計上968,145千円、未払金の増加額65,114千円等による増加要因と、法人税等の支払額296,050千円等の減少要因によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において投資活動により支出した資金は、65,338千円(前事業年度は99,468千円の支出)となりました。これは主に、倉庫投資等に関連した有形固定資産の取得による支出16,994千円、無形固定資産の取得による支出23,335千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において財務活動により獲得した資金は、1,283,781千円(前事業年度は70,142千円の支出)となりました。これは主に、株式の発行による収入849,682千円、自己株式の処分による収入418,048千円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

当社は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」に記載のとおりライフカルチャープラットフォーム事業の単一セグメントでありますが、以下の販売実績については、事業ドメイン区分で記載しております。

 

a 生産実績

当社で行う事業は、提供する商品・サービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b 受注実績

当社で行う事業は、提供する商品・サービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

 

c 販売実績

当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。

 

ドメインの名称

販売高(千円)

前期増減率(%)

D2Cドメイン

5,851,254

20.4

ブランドソリューションドメイン

209,582

△30.8

合計

6,060,836

17.4

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。

この財務諸表の作成にあたって、見積り、判断並びに仮定を用いることが必要となりますが、これらは期末日における資産・負債の金額、開示期間の収益・費用の金額及び開示情報に影響を与えます。ただし、これらの見積り、判断並びに仮定は、実際の結果とは異なる場合があります。

当社の財務諸表の作成にあたって採用している会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績

(売上高)

当事業年度における売上高は、6,060,836千円(前期比17.4%増)となりました。当社は、ライフカルチャープラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しておりますが、売上高については、D2Cドメインとブランドソリューションドメインの2ドメインに区分しております。

ドメインの名称

前事業年度(千円)

当事業年度(千円)

D2Cドメイン

4,860,060

5,851,254

ブランドソリューションドメイン

303,075

209,582

合計

5,163,136

6,060,836

 

 

(D2Cドメイン)

「北欧、暮らしの道具店」は、2022年9月18日に開店15周年を迎えました。15周年記念のコンテンツの配信や記念商品の展開、送料無料キャンペーン等をきっかけにオリジナルブランド「KURASHI&Trips PUBLISHING」の新作商品が好評を博したこと、また、2023年4月に報道番組『カンブリア宮殿』(テレビ東京系列)にて当社を特集いただいき認知拡大に繋がったこと等により、当事業年度における売上高は5,851,254千円(前期比20.4%増)となりました。

また、流入経路においても「北欧、暮らしの道具店」の公式スマートフォンアプリ(iOS/Android)は、当事業年度末日現在、累計約311万ダウンロードとなりました。当事業年度におけるアプリ経由の注文数は既に「北欧、暮らしの道具店」全体の約64%を占めております。

 

 

(ブランドソリューションドメイン)

パナソニック「はやうま冷凍」搭載冷蔵庫、ワイヤレスイヤホン「ambie(アンビー)」、アクティブウェア「DANSKIN」等、新たなカテゴリにおけるお取り組みを行ったほか、La CASTA「アロマエステ シリーズ」、積水ハウス株式会社との新たなお取り組み等、新規顧客との新たなチャレンジと既存顧客からのリピート受注により、当事業年度における売上高は209,582千円(前期比30.8%減)となりました。

 

(売上総利益)

アパレルを中心にオリジナルブランド「KURASHI&Trips PUBLISHING」が成長しており、売上高が堅調に推移していること、仕入商品より相対的に原価率の低いオリジナル商品取扱高の増加等により、原価率が改善したことにより、売上総利益率が43.4%(前期比0.4%減)となりました。

そのため、売上総利益は前事業年度から366,073千円増加し、2,628,041千円(前期比16.2%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

ユーザビリティの向上・システムの安定性のためのエンジニアの採用等で給料手当及び賞与を473,978千円(前年同期395,600千円)、アプリダウンロード訴求等のための広告宣伝費を458,455千円(前年同期391,826千円)計上し、事業規模の拡大に合わせた健全な体制、環境の整備を図ったことで、販売費及び一般管理費は1,662,361千円(前期比17.1%増)となりました。

そのため、営業利益は前事業年度から123,825千円増加し、965,680千円(前期比14.7%増)となりました。

 

(経常利益、法人税等、当期純利益)

経常利益は968,145千円(前期比13.8%増)と増加したのに対し、賃上げ・生産性向上のための税制による税額控除が適用となったことや外形標準課税の適用等により法定実効税率が下がったことから法人税等は272,806千円(前期比5.6%減)と減少しました。以上の結果、当期純利益は695,339千円(前期比23.9%増)となりました。

 

③ 財政状態に関する認識及び分析・検討内容

財政状態の分析・検討内容については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。

当社は、事業運営上、必要な流動性と資金を安定的に確保することを基本方針としております。

当社の主な資金需要は、仕入資金、事業規模の拡大に係る人件費、物流費及び広告宣伝費に係る運転資金となります。これらの資金需要につきましては、自己資金によることを基本としておりますが、必要に応じて銀行借入で調達する方針であります。

成長投資については、本社移転を計画しております。設備投資計画の詳細については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。また、株主還元については、安定した経営に必要なキャッシュポジションの観点から還元可否及び還元規模の判断を行っております。株主還元方針の詳細については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりでありますが、今後収益を拡大するためには、既存の事業のさらなる拡大、知名度向上のための広告活動の展開、新規事業及び新サービスの開発が必要であると認識しております。

そのためには、優秀な人材の確保や組織体制の整備を引き続き行い、これらの課題に対して最善の事業戦略を立案するよう、努めていく所存であります。

 

 

⑥ 経営方針、経営戦略又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析

「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社はユーザーとの関係の蓄積を判断するための指標として、エンゲージメントアカウント数、累積会員数及び年間購入者数といった指標を利用しております。経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高、売上総利益率、営業利益率といった収益指標とともに、商品回転率や自己資本比率なども重要指標を位置付けております。

当該指標については、2023年7月末時点でエンゲージメントアカウント数は686万人(前期比21.5%増)、累積会員数は60万人(前期比17.6%増)、年間購入者数も20万人(前期比8.6%増)となり、売上高は6,060,836千円(前期比17.4%増)、売上総利益率は43.4%(前期比0.4%減)、営業利益率は15.9%(前期比0.4%減)、経常利益率は16.0%(前期比0.5%減)、商品回転率は10.2回(前事業年度末は10.1回)、自己資本比率は85.2%(前事業年度末は77.5%)となっております。

これらの指標は、堅調に推移しているものと認識しております。