2024年7月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

北欧、暮らしの道具店 foufou
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
北欧、暮らしの道具店 6,677 95.2 1,066 98.4 16.0
foufou 335 4.8 18 1.6 5.3

事業内容

 

3 【事業の内容】

当社グループは、「フィットする暮らし、つくろう」というミッションを掲げ、当社グループが提案する世界観(ライフカルチャー)に共感する人たちのWell-beingを実現することに貢献します。Well-beingに欠かせない要件の一つとして「自分の生き方を自分らしいと感じ、満足できること」=「フィットする暮らし」だと考え、事業活動を通じて多くの人の「フィットする暮らし」づくりに貢献し、Well-beingな人が大勢いる「心地よい社会」の実現の一助になることを目指しています。

当社の運営する「北欧、暮らしの道具店」は、2007年にヴィンテージの北欧食器等を扱うECサイトとして始まりました。北欧に関係するものが占める割合は小さくなりましたが、販売する商品だけでなく、ユーザーとのつながりをつくり、深めるために提供しているコンテンツについても、すべて「暮らしを自分らしく、美しいものにすること」、「日常のささやかな幸せを大事にすること」といった、当社が強く共感した北欧カルチャーの本質に根ざしてつくられております。

このような当社の世界観を「ライフカルチャー」と称し、「北欧、暮らしの道具店」を通じて、ライフカルチャープラットフォーム事業という単一のセグメントで事業を展開してまいりましたが、2023年8月1日に株式会社foufouの全株式を取得し、同社が連結子会社となったことに伴い、報告セグメントの区分変更を行っております。連結子会社となった株式会社foufouにおいてもライフカルチャープラットフォームという事業構造は基本的に同じであると考えておりますが、投資判断に資する適切な情報を開示する観点から、2024年7月期より「北欧、暮らしの道具店」、「foufou」の2つの報告セグメントでの開示に変更しております。

 

(1) 「北欧、暮らしの道具店」セグメント

① ビジネスライン

「北欧、暮らしの道具店」の提供している世界観に共感するユーザーに対し、商品、記事、動画など様々なコンテンツを提供することによって、多くの人の「フィットする暮らし」づくりに貢献しております。売上を獲得するビジネスラインとしては「D2Cドメイン」「ブランドソリューションドメイン」を有しております。

 

D2Cドメインでは、暮らしにフィットする商品を販売しており、当セグメントの収益の大半を生み出しているのは当ドメインであります。ユーザーとの間にはECモールやECプラットフォームが介在しておらず、自社サイトを通じて直接商品を提供しております。このように、ユーザーと直接接点を持ち、直接商品を提供することで関係性を築いている状態であることから、当ドメインの事業活動を「D2C(Direct to Consumer)」と表現しております。

取扱商品は、アパレル、キッチン、インテリア雑貨が主力であり、自社企画のオリジナル商品(※)が売上高の約55%を占めております。現在は、北欧関連商品の割合は少なくなっているものの、「北欧」の価値観に影響を受けて始めた事業であり、今もその精神は受け継がれていることから、サイト名に「北欧」を冠しております。

(※) オリジナル商品:オリジナルブランド「KURASHI&Trips PUBLISHING」「NORMALLY」の商品

 

ブランドソリューションドメインは、「北欧、暮らしの道具店」の強いブランドとコアな顧客基盤に加え、D2Cドメインのコンテンツパブリッシングで培った高い企画制作能力を活用し、クライアント企業のブランディング上の課題に対する総合的なマーケティング・ソリューションを提供する、ブランディングエージェンシーとしての事業ドメインです。ナショナルブランドを中心に、多くのブランドを継続的に支援しております。

主な取り組みとしては、クライアントのブランドや商品を「北欧、暮らしの道具店」サイト上で、当社の読み物の一つとして掲載する「BRAND NOTE」があります。当社のスタッフ等が実際にブランドの商品を暮らしに取り入れている様子などを紹介するコンテンツを作成しております。

その他に、動画コンテンツとしてブランドを紹介する「BRAND MOVIE」や、D2Cドメインの商品発送時に、クライアントの商品を同梱する「BRAND GIFT」などの取り組みを行っております。

 

 

② 「北欧、暮らしの道具店」の強みの源泉

当社は、事業開始以来ユーザーとのダイレクトなつながりを大切にし、「北欧、暮らしの道具店」サイトをはじめとした様々な媒体で、WEB記事、オリジナルドラマやドキュメンタリー、ラジオ番組や音楽プレイリスト、全国劇場公開されたオリジナルの映画など、多様なコンテンツを生み出し、発信し続けており、この活動をコンテンツパブリッシャーと呼んでおります。ライフカルチャー(世界観)の源泉として、「北欧、暮らしの道具店」の世界観を表現する多様なコンテンツを生み出し、様々なチャネルから発信し続けるコンテンツパブリッシャーとしての活動が、当社の強みとなっております。

ライフカルチャープラットフォームの構造としては、3つの層で構成されており、「ビジネスライン」は「カルチャーアセット」と「エンゲージメントチャネル」によって支えられております。

カルチャーアセットは、コンテンツパブリッシャーとしての活動を行うことによって生み出されたコンテンツやブランド、データといった形で蓄積される無形資産であり、ライフカルチャープラットフォーム事業を行うために最も重要な資産と考えております。

コンテンツについては後述しますが、ユーザーに当社のライフカルチャー(世界観)を浸透させ、長期にわたるロイヤルティを醸成する強力な資産であります。ブランドとは、当社との関わりを通して、「北欧、暮らしの道具店」を認知する人の頭の中につくり上げられたイメージであります。またデータとは、お買い物をするときのユーザーの行動履歴や購買履歴などのデータであり、あらゆる事業活動の効率を高める羅針盤として意思決定に活用しております。

エンゲージメントチャネルは、SNS(Earnedチャネル)から、アプリ、WEBサイト、メールマガジンといった自社チャネル(Ownedチャネル)にいたる多様なチャネルを指します。上記チャネルを通じて当社とユーザーがダイレクトにつながっております。

「フィットする暮らし」づくりに貢献するようなコンテンツが蓄積され、エンゲージメントチャネルによってユーザーへ発信することで、ユーザーからのエンゲージメント(=好きでいてくれること、支持してくれること)が高まり、ユーザーが「フォロー」という形で当社とコミュニケーションする機会を提供してくれます。毎日のようにコンテンツを提供することでエンゲージメントの高まったユーザーがD2Cドメインの商品の購入に至り、収益が生まれます。

ビジネスラインであるD2Cドメイン、ブランドソリューションドメインの2つの事業領域は、幅広いチャネルと蓄積されたカルチャーアセットの土台の上で展開しております。ライフカルチャー(世界観)によってユーザーと繋がり、その土台の上でビジネスを展開しているため、当社の事業をライフカルチャープラットフォームと表現しております。


 

当社がユーザーに提供しているコンテンツは、具体的には下記のとおりであります。

 

(商品とそれにまつわるユーザー体験)

当社では、「お客様に自分自身のものさしで商品を選んでほしい」という想いを伝え、共感したお客様に、購入した商品を生活に取り入れていただくことが「フィットする暮らし」づくりにつながると考えております。

例えば当店でお気に入りのグラスを見つけて購入する際、お客様自身の生活にどのように取り入れられるのか想像を膨らませてもらう。お買い物をして手元に届いたあとは、単に水を飲むための器としてだけでなく、そのグラスを使う瞬間は特別な気持ちになっている。商品の提供とは、お客様にこのような価値を提供していることと考えており、サイト上でのお買い物体験だけでなく、お買い物いただいた商品をお客様の暮らし、ファッション、インテリアに取り入れていただくという行為も、広義のコンテンツだと考えております。

 

(読み物)

平日は毎日3~4本程度、月間で80本前後の記事を読み物として「北欧、暮らしの道具店」サイトで提供しております。読み物の内容には、ECで取り扱っている商品について、バイヤーやプランナーが込めた想いを紹介するもの、スタッフが自身の生活について綴るコラム、何らかのテーマに沿った特集記事などがあります。特集記事では、食事にまつわるものや、レシピを紹介するもの、インテリアを取り上げたものなど、「暮らし」を軸にしながら、多岐にわたったテーマを扱っております。記事には当社スタッフが作成するものと、スタッフは記事の企画を行い、外部のライターに指示することで作成するものがあります。「北欧、暮らしの道具店」サイトなどインターネット上の読み物だけではなく、お買い物いただいたお客様に小冊子の提供をすることもあります。

 

(動画)

少し変わった家族構成の4人のまわりの出来事をドラマにした「青葉家のテーブル」や、一人暮らしの女性がワンルームの部屋を「自分のお城」のように好きな雑貨でいっぱいにし、テーマミュージックとともに料理をする「ひとりごとエプロン」などを通して、「北欧、暮らしの道具店」の「世界観」を詰め込んだ短編ドラマを制作しております。また、様々な人たちの朝の習慣を動画として収めた「モーニングルーティン」や、生き様に迫る「うんともすんとも日和」などのドキュメンタリーも制作し、公開しております。これらの動画はYouTube上に無料で公開されており、2024年7月現在、チャンネル登録者数は59万人に達しております。オリジナルドラマである「青葉家のテーブル」については映画化し、2021年6月に全国の劇場で公開されました。一部動画からは収益を得ております。

 

(SNS)

当社では、LINE公式アカウント、Instagram、FacebookなどのSNSやメールマガジンの運営を、マーケティングの手段としてだけでなく、コンテンツの形態の一つであると考えております。SNSの投稿内容は、「北欧、暮らしの道具店」のサイト上のコンテンツを、各媒体に合わせた形に編集して紹介しているものや、各媒体独自の記事を作成することもあります。

 

(ラジオ)

当社取締役で「北欧、暮らしの道具店」店長の佐藤と、スタッフのよしべこと青木がお届けするインターネットラジオ「チャポンと行こう!」や、過去に記事として紹介していたエッセイをスタッフが朗読する「エッセイラジオ」をSpotifyやApple musicなどの音楽サービス上で公開しております。

 

(音楽)

SpotifyやApple music内に提供されている音楽プレイリストの作成機能を利用して、音楽が好きなスタッフが中心となって、「わたしの朝習慣」や「仕事と、音楽と。」などのテーマに即したプレイリストを作成して公開しております。

 

「北欧、暮らしの道具店」は、独自のライフカルチャー(世界観)があふれる温泉を体験できるリゾートパークのようなプラットフォームです。温泉を楽しむために訪れたお客様に、リゾートパークでさらに素晴らしい体験をしていただくことで、「もっと長く滞在したい」「この体験を持ち帰りたい」というニーズが生まれ、そのニーズに応えるべく旅館やお土産屋さん(ビジネスライン)が賑わい、さらに気軽にお越しいただけるように交通網(エンゲージメントチャネル)が整えられていきます。たとえ、リゾートパークが賑わったとしても、肝心の温泉が枯れてしまっては元も子もありません。一番大切なのは、お客様が入りたいと思えるような温泉を枯らさないことであります。これからも、当社はこの「温泉」=ライフカルチャーを大事に守りながら、よりお客様の日常に寄り添えるよう利便性を強化して、さらに長い時間をともに過ごしたいと思われるリゾートパーク=プラットフォームに成長させていきたいと考えております。

 

エンゲージメントアカウント数の増加は、多くのユーザーからエンゲージメントを獲得していることを示しております。そのエンゲージメントが、一段深まった形で蓄積されていることが、累積会員数(※)の増加に現れております。そして、会員が購入することにより、D2Cドメインの収益につながります。

(※) 会員:「北欧、暮らしの道具店」での商品購入時に必要なユーザー情報を登録した状態のこと

 

エンゲージメントアカウント数とは、公式SNSのフォロワー数、YouTubeチャンネル登録数、アプリのダウンロード数、メルマガ会員数等の合計であり、定期的に当社がリーチできる状態のユーザー数に相当するものと考えております。なお、一人のユーザーが複数登録している場合は、重複してカウントされます。

「北欧、暮らしの道具店」のエンゲージメントアカウント数推移、累計会員数推移、年間購入者数推移は、それぞれ以下のとおりであります。

 

[エンゲージメントアカウント数推移]


 

[累計会員数推移]


(注) 退会済みのユーザーを除いた累積の会員数となります。

 

[年間購入者数推移]


(注) ユニークの購入者数であり、複数回購入者は1人とカウントしております。

 

③ 事業の特徴・強み

a 低い顧客創造・リテンションコスト

ユーザー獲得のために広告媒体に支払う「広告費」やユーザー育成のために支払う「販促費」が少なく、自社チャネル(Ownedチャネル)である「北欧、暮らしの道具店」及びSNS等(Earnedチャネル)で発信する各種コンテンツの提供を通じて効率的にユーザーを獲得することができております。

 

b 長期に伸長するLTV

「北欧、暮らしの道具店」でのお買い物に限らず、読み物や動画を楽しむためにサイトを訪問するという多様な訪問動機を提供することで、長期にわたってお買い物を継続的にしてもらえております。結果として平均LTV(※)が長期で伸長し続けております。初購入年度が2021年7月期のユーザーについては、3年LTVは1年LTVの約2倍となっております。ユーザーを年齢、性別等の基準で分類しておらず、「フィットする暮らし」の実現を望む全年代のユーザーを対象とした、幅広いユーザーに支持されるエイジレスな「卒業のないブランド」となっております。

(※) LTV:ある会計年度に初購入を行ったユーザー全員について、特定期間の購入金額の平均値から売上総利益を算出したもの

 

c 高い効率性

「北欧、暮らしの道具店」の運営を通じて獲得したデータを活用し、精度の高い商品企画、適正な発注、在庫コントロールが可能となることで、商品回転率9.5回(※)を実現し、効率性の高い経営を実現しております。

(※) 商品仕入高(2024年7月期)÷商品在庫(2024年7月期期中平均)により算出しております。

 

d 独自性の高い事業構造

当社のライフカルチャープラットフォームは、前述のカルチャーアセットとエンゲージメントチャネルを基礎として成立しております。このため、同様の優位性を発揮し得る事業構造は、資金や人的リソースを投じたとしても、容易に手に入れることはできないと考えております。

 

e 拡張性、可変性

ライフカルチャープラットフォーム上で、多様なビジネスを展開できる拡張性があります。商品の販売に限らず、広告の出稿や動画コンテンツの提供をこれまでに実施してきております。また、特定のエンゲージメントチャネルに依存せず、複数チャネルでユーザーのエンゲージメントを獲得しているため、SNSプラットフォーマーが方針変更等を行った場合にも、変化への対応が容易に可能となります。

 

f 価格決定を主導

D2Cドメインにおいては、販促負担がなく、注文ごとに基本的に送料を受領し、定価消化率は約97%(2024年7月期実績)を実現しております。ブランドソリューションドメインにおいては、代理店等ではなく当社の設定した価格でサービス提供を行っていることから、高い利益率を実現しております。

 

g 従業員の大半が元ユーザー

ブレないライフカルチャー(世界観)をつくり続けるためには、従業員自らがその文化圏の一員である組織づくりにこだわることが必要であると考えております。そのために、ユーザーを従業員として採用し、採用された従業員が生み出したコンテンツが、さらにユーザーを増やす好循環が生まれ、ライフカルチャープラットフォームの世界観を従業員全員で支える組織づくりを実現しております。

 

 

(2) 「foufou」セグメント

2016年デザイナーのマール・コウサカ氏が設立したファッションD2Cブランド「foufou」を展開するセグメントであり、株式会社foufouが運営を行っております。自社サイトを通じて直接商品を提供・販売するとともに、実店舗も1つ運営しております。「健康的な消費のために」というブランドコンセプトを掲げ、「foufou」の世界観を表現するコンテンツをSNSで発信して、ユーザーのエンゲージメントを最大化し、購入につなげ、リピーター化する特徴を持つファッションブランドであり、洋服だけでなく、時計や革製品などのファッション雑貨も取り扱っております。

 

[事業系統図]


 

業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較・分析の記載はしておりません。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態
(資産)

当連結会計年度末における資産総額は、5,596,789千円となりました。主な内訳は、現金及び預金4,195,709千円、売掛金209,096千円、商品423,270千円であります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債総額は、869,945千円となりました。主な内訳は、買掛金154,175千円、未払法人税等227,571千円、長期借入金(1年内返済予定を含む。)152,777千円であります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、4,726,844千円となりました。主な内訳は、利益剰余金3,451,170千円であります。

自己資本比率は84.5%と財務的健全性を維持しております。

 

② 経営成績の状況

当連結会計年度は、円安や原材料高といった原因から年間を通じて国内消費者物価指数は前年同月を上回り続けており、実質賃金については前年同月を下回る状況が続いておりましたが、6月以降は若干プラスに転じるなど足元ではトレンドの変化も出始めているものの消費動向は厳しく、先行きについても不透明な状況であると捉えております。家計調査においても二人以上の世帯の実質消費支出は前年同月を下回ることが多く、当社グループの取り扱い商品に近いカテゴリ別に見ても、「家具・家事用品」はマイナスの月が多く、「被服及び履物」は2024年に入りプラスになる月が増えてきているものの、天候や気温の影響などもあり変動が見られ、当社グループにおいても気候影響による販売への影響を感じております。

様々な外部環境影響がある状況下ではありましたが、「北欧、暮らしの道具店」は、新商品を積極的に展開するとともに、新しいカテゴリの開発にも継続的に取り組んでおります。新感覚のトークバラエティへの挑戦や初の試着会を開催するなど、コンテンツや施策によってお客様との繋がりを作り、深めるための新たな取り組みにも挑戦しました。

「foufou」は、2023年8月1日に組織再編により事業を分離したうえで当社グループに加わったため、まずは安定した業務体制の構築を優先して運営を行ってまいりました。オフィス移転や物流・システムの移行、業績管理・在庫管理体制の構築、原価計算の適正化による価格設定の見直しなど、これからの持続的な事業成長のための体制への移行を進めております。

 

以上の理由から、当連結会計年度における売上高は7,012,802千円、売上総利益は3,072,689千円、EBITDA(※)は1,148,928千円、営業利益は1,083,700千円、経常利益は1,150,762千円、親会社株主に帰属する当期純利益は785,757千円となりました。

(※)EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却額

 

セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。

 

(北欧、暮らしの道具店)

「北欧、暮らしの道具店」は、お客様との直接的な接点を持ち、今後の商品・コンテンツ開発における多くのヒントを得た初の試着会の開催や、コラボ商品、定番商品に新素材を取り入れた「秋いちボトムス」、暖冬にもかかわらず完売したアウター等、オリジナルブランドの新作商品が続々と大ヒットし、売上伸長と来期以降の需要拡大に向けてチャレンジし続けた上期となりました。下期においてもアパレルは好調で、新商品のセットアップやオールインワンが大ヒットする等、高単価の夏物アパレル商品が好評を博しました。また、初のオリジナルスキンケア商品シンボリックオイルインミストは、発売直後から大反響を呼びリピート購入多数で、初回入荷分はわずか1ヶ月で完売する等、コスメは売上成長を支える可能性のあるカテゴリとして順調に進捗しております。コンテンツパブリッシャーにおいても、“人生後半”をテーマにした新感覚のトークバラエティ「あさってのモノサシ」を公開し、幅広い世代から支持され、公開から1ヶ月で20万回超再生を達成しました。オリジナルで制作したポッドキャスト番組「チャポンと行こう!」の主題歌『わたしの星 feat.三浦透子』は、公式YouTubeにてミュージックビデオを公開、各ストリーミングサイトにて配信を開始すると、2週間でInstagramリール32万回再生を達成する等、幅広い顧客層から大きな反響を獲得しました。

これらの取り組みやエンゲージメントチャネルへの継続投資によって、エンゲージメントアカウント数は順調に増加し、公式スマートフォンアプリ(iOS/Android)は、当連結会計年度末日現在、累計約379万ダウンロードとなりました。当連結会計年度におけるアプリ経由の注文数は既に「北欧、暮らしの道具店」全体の約67%を占めております。

ブランドソリューションドメインは、YouTube、Instagramの動画や投稿で再生数を伸ばし商品のブランディングに貢献した森永乳業「パルメザンチーズ」とのお取り組み等、案件数・売上は順調に推移いたしました。

以上の結果、当連結会計年度における「北欧、暮らしの道具店」セグメントの売上高は6,677,448千円、EBITDAは1,108,328千円となりました。

 

(foufou)

「foufou」は、まずは安定した業務体制の構築を優先して運営を行いました。オフィス移転や物流・システムの移行、業績管理・在庫管理体制の構築、原価計算の適正化による価格設定の見直し、在庫健全化のための初のセールの実施など、これからの持続的な事業成長のための体制への移行を進めております。また、そうした中でも、デンマークの老舗ブランド「アルネ・ヤコブセン」の名作デザインとのコラボレーションや、国内の限られた職人にしか製造できないバッグ、ベルト等の革小物、今年3年目となる干支にちなんだスカジャンが完売するなど、定番商品に加え、新たな取り組みにより商品展開の幅が広がっております。7月にはオンラインストアをリニューアルし、より顧客が世界観に没頭できるデザインへの変更や、画像の一覧化によるユーザビリティの向上等、魅力的で利便性の高い店づくりを実現しております。

また、foufouのクラシカルな装いに日本の自然・旅コンテンツを合わせた新たなショート動画は、通常の2倍以上の再生数を獲得し、外部スタイリストと海外モデルを起用したハイエンドな商品の世界観を表現する新コンテンツも好評いただきました。

以上の結果、当連結会計年度における「foufou」セグメントの売上高は335,354千円、EBITDAは40,599千円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、4,195,709千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、784,059千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上1,150,762千円、仕入債務の増加額29,320千円等による増加要因と、法人税等の支払額303,253千円、売上債権の増加額45,649千円、棚卸資産の増加額112,181千円等による減少要因によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は、530,090千円となりました。これは主に、本社移転に伴う有形固定資産の取得による支出198,697千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出299,874千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は、394,997千円となりました。これは主に、配当金の支払額331,665千円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績

当社グループで行う事業は、提供する商品・サービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b 受注実績

当社グループで行う事業は、提供する商品・サービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c 販売実績

当社グループは、当連結会計年度より、従来のライフカルチャープラットフォーム事業の単一セグメントから、「北欧、暮らしの道具店」と「foufou」の2つの報告セグメントに変更しております。

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前期増減率(%)

北欧、暮らしの道具店

6,677,448

foufou

335,354

合計

7,012,802

 

(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。

2.当連結会計年度より、連結財務諸表を作成しているため、前期増減率は記載しておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、見積り、判断及び仮定を用いることが必要となりますが、これらは期末日における資産・負債の金額、開示期間の収益・費用の金額及び開示情報に影響を与えます。ただし、これらの見積り、判断及び仮定は、実際の結果とは異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループは、ライフカルチャープラットフォーム事業という、世界観でユーザーとつながるユニークな事業を展開し、「北欧、暮らしの道具店」「foufou」という2つの報告セグメントを有しております。

セグメント別の経営成績の状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、7,012,802千円となりました。分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

(売上総利益)

「北欧、暮らしの道具店」セグメントにおいて、オリジナルブランド「KURASHI&Trips PUBLISHING」が引き続き成長しており、仕入商品より相対的に原価率の低いオリジナル商品取扱高の割合が増加していること、及び当連結会計年度から株式会社foufouが連結子会社となったことにより加わった「foufou」セグメントは、オリジナル商品のみを取り扱っているため原価率が相対的に低いことから連結損益計算書上での原価率は改善し、売上総利益率が43.8%となりました。

そのため、当連結会計年度における売上総利益は3,072,689千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

株式会社foufouの子会社化に伴う人員増加を含めた給料手当及び賞与を589,702千円、アプリダウンロード訴求等のための広告宣伝費を464,397千円、本社移転等により減価償却費を43,684千円、のれん償却額21,543千円計上し、事業規模の拡大に合わせた健全な体制、環境の整備を図ったことで、販売費及び一般管理費は1,988,989千円となりました。

そのため、当連結会計年度における営業利益は1,083,700千円となりました。

 

(経常利益、法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)

保険解約返戻金52,489千円の計上等により経常利益は1,150,762千円となりました。

法人税等を365,004千円計上したことにより、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は785,757千円となりました。

 

③ 財政状態に関する認識及び分析・検討内容

財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態」に記載のとおりであります。

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

キャッシュ・フローの状況の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは、事業運営上、必要な流動性と資金を安定的に確保することを基本方針としております。

主な資金需要は、仕入資金、事業規模の拡大に係る人件費、物流費及び広告宣伝費に係る運転資金となります。これらの資金需要につきましては、自己資金によることを基本としておりますが、必要に応じて銀行借入で調達する方針であります。

成長投資については、向こう3年間、アプリダウンロード広告、WEB広告、マス広告等へのマーケティング投資として広告宣伝費を拡大していく方針であります。2024年9月9日より、テレビCMの実験的なトライアル放映を関西地方で実施いたしました。3年をかけてマーケティング投資の効果的な組み合わせ、規模、内容等のノウハウを積み上げ、マーケティング戦略の土台づくりを目指してまいります。

また、株主還元については、安定した経営に必要なキャッシュポジションの観点から還元可否及び還元規模の判断を行っております。株主還元方針の詳細については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりでありますが、今後収益を中長期的に拡大するためには、既存の事業のさらなる拡大、知名度向上のための広告活動の展開、新規事業及び新サービスの開発が必要であると認識しております。

優秀な人材の確保や組織体制の整備を引き続き行い、これらの課題に対して最善の事業戦略を立案するよう、努めていく所存であります。

 

⑥ 経営方針、経営戦略又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析

「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、「北欧、暮らしの道具店」セグメントにおいては、ユーザーとの関係の蓄積を判断するための指標として、エンゲージメントアカウント数及び累積会員数を、会計期間において購買に至った結果を示す指標として、年間購入者数を客観的な指標としております。2024年7月末時点における各種指標については、エンゲージメントアカウント数786万人(前期比14.5%増)、累積会員数67万人(前期比13.2%増)、年間購入者数20万人(前期比2.2%増)となっております。

また、当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高、売上総利益、EBITDA、売上総利益率、EBITDAマージンといった収益指標とともに、安全性指標としての商品回転率や自己資本比率なども重要指標と位置付けております。当連結会計年度における当社グループの収益指標については、売上高7,012,802千円、売上総利益3,072,689千円、EBITDA1,148,928千円、売上総利益率は43.8%、EBITDAマージン16.4%となり、安全性指標については、商品回転率は9.0回、自己資本比率は84.5%となっております。これらの指標は、堅調に推移しているものと認識しております。

 

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

1.報告セグメントの概要
(1) 報告セグメントの決定方法

当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために当社の取締役会に定期的に報告される対象となっているものであります。

 

(2) 各報告セグメントに関するサービスの種類

「北欧、暮らしの道具店」は、世界観に共感するユーザーに対し、商品、記事、動画など様々なコンテンツを提供することによって、多くの人の「フィットする暮らし」づくりに貢献しております。暮らしにフィットする商品やコンテンツの提供の他、コンテンツパブリッシングで培った企画制作能力を活用した総合的なマーケティングソリューションの提供も行っております。

 

「foufou」は、「健康的な消費のために」というコンセプトのもとファッションD2Cブランド「foufou」を展開し、洋服、ファッション雑貨等を取り扱っております。「foufou」の世界観を表現するコンテンツをSNSで発信して、ユーザーのエンゲージメントを最大化し、購入につなげ、リピーター化する特徴をもっております。

 

(3) 報告セグメントの変更等に関する事項

当社は従来からライフカルチャープラットフォーム事業という、世界観でユーザーとつながるユニークな事業を展開しており、当連結会計年度より連結子会社となった株式会社foufouにおいてもその事業構造は基本的に同じであると考えておりますが、投資判断に資する適切な情報を開示する観点から、当連結会計年度より2つの報告セグメントに変更しております。

 

2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法

報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、連結財務諸表作成のために採用される会計方針に準拠しております。

報告セグメントの利益は、営業利益ベースの数値であります。

 

 

3.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債の金額に関する情報並びに収益の分解情報

当連結会計年度(自  2023年8月1日 至  2024年7月31日)

(単位:千円)

 

報告セグメント

調整額

(注)2

連結財務諸表

計上額

(注)3

北欧、暮らしの

道具店

foufou

合計

売上高

 

 

 

 

 

顧客との契約から生じる収益

6,677,448

335,354

7,012,802

7,012,802

外部顧客への売上高

6,677,448

335,354

7,012,802

7,012,802

セグメント間の

内部売上高又は振替高

6,677,448

335,354

7,012,802

7,012,802

セグメント利益

1,065,962

17,737

1,083,700

1,083,700

セグメント資産

5,554,198

391,523

5,945,722

△348,932

5,596,789

セグメント負債

825,858

385,019

1,210,878

△340,932

869,945

その他の項目

 

 

 

 

 

減価償却費

42,366

1,318

43,684

43,684

のれん償却額

21,543

21,543

21,543

EBITDA (注)1

1,108,328

40,599

1,148,928

有形固定資産及び

無形固定資産の増加額(注)4

212,055

1,600

213,655

213,655

 

(注) 1.EBITDAは、セグメント利益に減価償却費及びのれん償却額を加えた数値であります。

2.セグメント資産の調整額及びセグメント負債の調整額は、セグメント間の相殺消去によるものであります。

3.セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と一致しております。

4.有形固定資産及び無形固定資産の増加額は、主に本社移転に伴う建物附属設備の増加額であります。

 

【関連情報】

当連結会計年度(自  2023年8月1日  至  2024年7月31日)

 

1.製品及びサービスごとの情報

単一のサービスの区分の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

2.地域ごとの情報

(1) 売上高

本邦以外の外部顧客への売上高がないため、該当事項はありません。

 

(2) 有形固定資産

本邦以外に所在している有形固定資産がないため、該当事項はありません。

 

 

3.主要な顧客ごとの情報

外部顧客への売上高のうち連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がいないため、記載を省略しております。

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

当連結会計年度(自  2023年8月1日  至  2024年7月31日)

該当事項はありません。

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

当連結会計年度(自  2023年8月1日  至  2024年7月31日)

 

 

 

 

(単位:千円)

 

報告セグメント

全社・消去

合計

北欧、暮らしの道具店

foufou

当期償却額

21,543

21,543

当期末残高

193,891

193,891

 

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

当連結会計年度(自  2023年8月1日  至  2024年7月31日)

該当事項はありません。