2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    5名(単体) 5,815名(連結)
  • 平均年齢
    39.4歳(単体)
  • 平均勤続年数
    12.0年(単体)
  • 平均年収
    9,614,000円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社における従業員数

 

2024年3月31日現在

 

合計

従業員数(人)

5,815

〔3,282〕

 

(注) 1 当社グループは銀行業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

2 従業員数は、海外の現地採用者を含み、嘱託及び臨時従業員3,388人を含んでおりません。

3 臨時従業員数は、〔 〕内に年間の平均人員を外書きで記載しております。

 

(2) 当社の従業員数

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

5

39.4

12.0

9,614

 

(注) 1 当社従業員は、株式会社横浜銀行からの出向者であります。なお、従業員数には、当社に兼務出向しているが、主として株式会社横浜銀行または株式会社東日本銀行の業務に従事している者は含んでおりません。

2 臨時従業員はおりません。

3 平均勤続年数は、出向元での勤務年数を通算しております。

4 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3) 労働組合の状況

当社には労働組合はありません。また、当社グループには、横浜銀行従業員組合(組合員数 3,453人)、東日本銀行従業員組合(組合員数 772人)、神奈川銀行従業員組合(組合員数 253人)が組織されております。労使間においては特記すべき事項はありません。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金差異

 

① 連結会社(注1)

当連結会計年度

管理職に占める女性

労働者の割合(注2)

男性労働者の

育児休業取得率(注3)

労働者の男女の賃金の差異(注2,4)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

15.6

105.4

49.7

66.6

66.6

 

(注) 1 「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第2条第5号に規定されている連結会社を対象としております。

2 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しております。なお、出向者は出向元の労働者として集計しております。

3 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出しております。なお、出向者は出向元の労働者として集計しております。

4 海外赴任者は対象外とし、短時間勤務利用者等およびパート・有期労働者については、正規雇用労働者の所定労働時間で換算した人員数をもとに平均年間賃金を算出しております。また、性別による賃金の差は設けておりませんが、男女間の管理職比率の差異ならびにパート・有期労働者において女性労働者比率が高いことにより、男女の賃金の差異が存在しております。賃金の差異縮小に向け、女性の「管理職候補の育成」および「管理職への登用促進」等に取り組んでおります。

 

② 連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める女性

労働者の割合(注1)

男性労働者の

育児休業取得率(注2)

労働者の男女の賃金の差異(注1,3)

全労働者

正規雇用

労働者

パート

有期労働者

株式会社横浜銀行

20.6

119.2

46.7

63.1

64.4

株式会社東日本銀行

10.1

90.9

49.0

70.6

93.6

株式会社神奈川銀行

11.4

66.7

52.2

62.8

83.9

 

上記のほか、株式会社浜銀総合研究所の男性育児休業取得率は 50.0%であります。

(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しております。なお、出向者は出向元の労働者として集計しておりますが、株式会社横浜銀行の管理職に占める女性労働者の割合の算出においては出向者を除いております。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出しております。なお、出向者は出向元の労働者として集計しております。

3 海外赴任者は対象外とし、短時間勤務利用者等およびパート・有期労働者については、正規雇用労働者の所定労働時間で換算した人員数をもとに平均年間賃金を算出しております。また、性別による賃金の差は設けておりませんが、男女間の管理職比率の差異ならびにパート・有期労働者において女性労働者比率が高いことにより、男女の賃金の差異が存在しております。賃金の差異縮小に向け、女性の「管理職候補の育成」および「管理職への登用促進」等に取り組んでおります。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

当社グループのサステナビリティ経営の考え方は、財務資本と非財務資本を生かしながら、マテリアリティに基づくビジネスの展開を通じて、ステークホルダーの皆さまとともに価値を協創し、当社グループの持続的な企業価値の向上と地域社会の持続的な発展に取り組むことであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)  サステナビリティに関する取り組み

① ガバナンス

当社グループでは、社長を委員長とするグループサステナビリティ委員会において、サステナビリティに関する各種取組方針や取組状況などを審議しており、審議内容は取締役会に報告され、取締役会がサステナビリティに関する取り組みを監督する態勢としております。

また、2022年度よりサステナビリティ分野の外部有識者をグループサステナビリティ委員会の外部委員として招聘し、審議事項に対する助言・提言などを受けることで、社外の専門的な知見をサステナビリティの取り組みに反映しております。

そのほか、役員報酬については、サステナビリティ経営の確立やガバナンスの高度化の観点から、社長を含む取締役(非業務執行取締役・社外取締役を除く)および執行役員を対象として、中期経営計画の業績目標の達成度合いに加え、ESG評価機関の評価や中期経営計画の非財務項目への取組状況を反映させた株式報酬制度を採用しております。


 

 

 

② 戦略

環境・社会問題が深刻化し、サステナビリティをめぐるさまざまな課題が顕在化しつつあるなかで、当社グループは、地域社会のサステナビリティに関する全社的な基本方針として、「経営理念にもとづき、持続的な企業価値の向上を実現し、本業を通じて社会的課題を解決するとともに、地域の一員として地域貢献活動に取り組むことにより、社会の持続的な発展に貢献していく」とのグループサステナビリティ方針を掲げております。

このグループサステナビリティ方針のもと、地域社会の環境の保全・保護をはかっていくうえでの行動指針として「グループ環境方針」、地域社会のあらゆるステークホルダーの人権を尊重するための行動指針としての「グループ人権方針」、そして、当社グループおよびその従業員が自発的・主体的に社会貢献活動に参画するための「グループ社会貢献活動方針」などを定めております。

 


 

当社グループは、こうしたサステナビリティ関連の方針にもとづく具体的な取り組みを推し進めるために、地域社会のサステナビリティをめぐる諸課題について、ステークホルダーにおける重要度と当社グループにおける優先度の観点から検証・議論し、取締役会における審議を経て、マテリアリティ(優先的に解決すべき重要課題)を特定しております。具体的には、「地球温暖化・気候変動対策」、「地域企業の持続的成長のサポート」、「地域経済の活性化」、「人生100年時代の暮らしのサポート」、「DX(金融デジタライゼーション)の推進」および「働き方改革・ダイバーシティの推進」の6つのマテリアリティを特定しており、これらのマテリアリティにもとづいたリスクや機会を事業戦略に反映して事業を推進するとともに、ステークホルダーの皆さまとの価値協創を通して、地域社会の持続的な発展と当社グループの持続的な成長を実現していくことで、「地域に根ざし、ともに歩む存在として選ばれるソリューション・カンパニー」をめざしております。

 

 <特定した6つのマテリアリティ(優先的に解決すべき重要課題)>

マテリアリティ

機会とリスク

おもな取り組み

関連ゴール

地球温暖化・気候変動対策

機会:脱炭素社会への移行に伴う新たなファイナンスやソリューションニーズの増加・拡大

リスク:自然災害の発生や、気候変動に関する規制強化等に伴う企業業績悪化、気候変動への対応不足によるステークホルダーからの信頼低下

・TCFD提言の枠組みを活用した気候変動対応

 

・お客さまの脱炭素社会への移行支援(サステナブルファイナンスやGHG排出量算定支援など)

 

・自社の脱炭素への取り組み(自社契約電力の実質再生可能エネルギーへの切り替えなど)

 


地域企業の持続的成長のサポート

機会:企業の経営課題の多様化・高度化に伴う戦略ソリューションニーズの増加・拡大

リスク:伝統的な貸出を中心としたビジネスモデルからの脱却の遅れによる競争力低下

社会構造変化への対応不足に伴う企業業績悪化

・LBOローンや劣後ローンなどの財務・資本戦略ソリューションの提供

 

・事業承継コンサルティングなどの再生・承継戦略ソリューションの提供

 

・海外ローンや海外進出支援などの海外拠点を活用したソリューションの提供

 

 


地域経済の活性化

機会:産学官金連携による地域経済の活性化・持続的な成長

リスク:人口減少や産業衰退等による地域経済の低迷

 

・持続可能な「まちをつくる」取り組み(地域脱炭素の取り組みなど)

 

・地域に「ひとの流れをつくる」取り組み(観光振興など)

 

・地域に「しごとをつくる」取り組み(創業支援、大学等との連携など)

 


人生100年時代の暮らしのサポート

機会:人生100年時代を見据えた資産形成・資産運用ニーズの増加・拡大、金融リテラシーの向上

リスク:少子高齢化等の社会構造の変化に伴うお客さまニーズの多様化・高度化への対応不足による競争力低下

・ライフステージに応じたソリューション提供(ファンドラップ、信託、保険など)

 

・オーダーメイド・ワンストップでのソリューション提供(不動産活用、金融資産運用、資産承継)

 

・金融教育への取り組み

 


DX(金融デジタライゼーション)の推進

機会:デジタル化の進展に伴う非対面・非接触ニーズや、高度なソリューション提供ニーズの増加・拡大

リスク:急速なデジタル化の進展への対応の遅れや異業種参入等による競争力の低下

・スマートフォンアプリ「はまぎん365」による非対面取引の拡充

 

・デジタルコンサルティングの実践によるお客さまのデジタル化支援

 

・キャッシュレス決済の普及に向けた取り組み

 


働き方改革・ダイバーシティの推進

機会:多様な人財の活躍推進による人財確保、組織風土改革、新たな価値創出

リスク:価値観の多様化・社会構造の変化に対応していない職場環境による従業員のモチベーション低下や人財の流出

・女性活躍推進プロジェクトの推進

 

・専門性の高い人財の中途採用の実践

 

・働きがい・エンゲージメントの向上

 

・産育休復職支援プログラムの実践

 

 


 

 

③ リスク管理

当社グループは、子会社がリスクの統括部署およびリスク種類ごとにリスク管理部署を設置し、リスクを識別・評価・管理するとともに、持株会社のリスク統括部がグループ全体のリスクを統合的に管理し、監査部長とは異なるリスク担当役員がリスクの状況について代表取締役社長、取締役会へ定期的に報告をしています。またサステナビリティにかかる事項に関しては、別途サステナビリティ委員会にて審議し、審議内容は取締役会へ報告されております。

当社グループの経営に重要な影響を及ぼす可能性があるリスクイベント(リスク事象)について、その影響度と蓋然性にもとづきリスクイベントの重要度を判定し、最も注意すべきと認識したリスクイベントを「トップリスク」として取締役会で選定しております。「トップリスク」については、KRI(Key Risk Indicator)を設定し、モニタリングを継続的におこなうことにより予兆の把握に努め、リスクが顕在化した場合には、機動的に対応できるよう態勢を整備しており、気候変動等のサステナビリティに関するリスクも「トップリスク」に位置付けております。

気候変動に関するリスク管理については、「(2)気候変動 ③リスク管理」をご参照ください。

 

④ 指標及び目標

全社的なサステナビリティの取り組みを強化するために、6つのマテリアリティに対応した中期経営計画におけるKPIに加え、2030年度までを目標期間とした「サステナビリティ長期KPI」(「サステナブルファイナンス実行額4兆円、うち環境分野ファイナンス2兆円」「カーボンニュートラル(Scope1,2)の実現」「金融教育受講者数50万人」)を設定しております。

気候変動に関する指標及び目標については「(2)気候変動 ④指標及び目標」、人的資本に関する指標及び目標については「(3)人的資本 ③指標及び目標」をご参照ください。

 


 

 

(2)  気候変動

① ガバナンス

当社グループは「地球温暖化・気候変動対策」をマテリアリティ(優先的に解決すべき重要課題)の1つと認識しており、グループサステナビリティ委員会において気候変動に関する取組方針や取り組みの進捗状況を定期的に審議し、取締役会へ報告しております。詳細については、「(1)サステナビリティに関する取り組み ①ガバナンス」をご参照ください。

 

② 戦略

気候変動は人々の生活や事業活動の基盤である地球環境自体の変化であり、自然災害の激甚化や異常気象など、地域や企業の持続的な発展を脅かすようなさまざまな影響が顕在化しつつあるなかで、脱炭素社会への移行に向けた動きが急速に進んでおります。

脱炭素社会へ移行する過程において、カーボンニュートラルの実現に向けた各国の政策・規制の強化や気候変動を緩和するための技術革新、気候変動問題への関心度の高まりによる消費者・投資家の価値観の変化など、経済・社会環境には大きな変化が見込まれておりますが、こうした変化は当社グループにリスクと機会をもたらすものと認識しており、その両面から気候変動に伴う脱炭素社会への移行が事業に及ぼす影響を検証するとともに、それらのリスクと機会に対処すべく、気候変動への対応に係る戦略を策定し実行しております。

 

 

A. リスク

当社グループには、気候変動に関するリスクとして、脱炭素社会への移行に伴うリスク(移行リスク)と自然災害の激甚化や異常気象などに伴う物理的な被害が生じるリスク(物理的リスク)の2つのリスクがあり、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に沿ったリスクの把握・評価に取り組んでおります。当社グループが分類・管理している「信用リスク」、「市場リスク」、「流動性リスク」、「オペレーショナルリスク」、「レピュテーショナルリスク」の区分で移行リスクおよび物理的リスクを整理すると以下のとおりであります。

 

 

想定される事例(移行リスク)

時間軸

想定される事例(物理的リスク)

時間軸

信用リスク

・GHG排出に関する規制の強化や炭素税導入により取引先の財務が悪化するリスク

・脱炭素社会への移行に伴う技術の進歩等により取引先の事業が座礁資産化するリスク

・取引先における各種気候変動への対応が不十分なため、取引先のブランド価値が毀損し、財務が悪化するリスク

・上記の影響により与信関係費用が増加するリスク

中期~長期

・異常気象によって深刻化する洪水等の急性的な自然災害や、降雨や気象パターンの変化によるリスク

・慢性的な気候変化によって、建物の毀損や事業が中断するリスク

・上記のリスクによっておこる洪水にて取引先の社屋や工場が被災し、担保物件の毀損や売上の減少等、財務が悪化することにより与信関係費用が増加するリスク

短期~長期

市場リスク

・脱炭素社会への移行に影響を受けるお客さまの収益減少や既存資産等の減少により、関連する有価証券や金融派生商品等の価値が変動するリスク

短期~長期

・異常気象等により市場が混乱したことによって、有価証券、金融派生商品等の価格が変動するリスク

短期~長期

流動性リスク

・気候変動への対応不足に伴い、当社の信用悪化による資金調達力の低下、預金が流出し資金繰りが悪化するリスク

短期~長期

・自然災害により被災した顧客の資金需要の高まり・復旧復興などによる資金流出の増加によるリスク

短期~長期

オペレーショナルリスク

・提携先・委託先も含めた不適切な商品・サービスの販売により、損害が発生するリスク

短期~長期

・自然災害により本支店が被災し損害が発生するリスク

短期~長期

レピュテーショナルリスク

気候変動への対応不足やステークホルダーから不適切または不十分と評価されることにより当社のレピュテーションが悪化するリスク

短期~長期

 

(短期:1~3年程度、中期:3年~10年程度:長期:10年超)

 

a.シナリオ分析の実施と結果

TCFDの提言にもとづく一定のシナリオのもとで、移行リスクおよび物理的リスクについてシナリオ分析を実施しており、2023年度に実施した分析結果は、以下のとおりであります。引き続き、対象セクターの拡大やシナリオ分析の高度化等に取り組んでいきます。

 

移行リスク

物理的リスク

リスク

イベント

・炭素税導入、エネルギーコストの増加

・脱炭素社会への移行に伴う需要の変動や追加の設備投資、研究開発費の発生

洪水による

・事業の中断や事業拠点の直接被害に伴う財務悪化
・担保物件の毀損

シナリオ

・NGFS(気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)のシナリオのうち、Net Zero 2050、Below 2℃シナリオ、Current Policies(現行政策)シナリオ

・IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によるRCP(代表的濃度経路)シナリオ(RCP2.6:2℃シナリオ、RCP8.5:4℃シナリオ)

分析手法

・移行シナリオにもとづき、個社別に2050年までの財務内容を推計する手法と、セクターレベルに拡大した手法を組み合わせて影響を分析し、分析結果から債務者区分の変遷をもとに、与信関係費用の増加額を算出

・ハザードマップのデータから洪水発生時の取引先の財務への影響、担保への影響を算出したうえで、シナリオを踏まえ推計した2100年までの洪水発生確率を勘案し、与信関係費用の増加額を算出

分析対象

貸出のある国内事業法人(金融機関などは含まれない)

うち

・「電力」セクター(再エネは除く)

・「石油・ガス」セクター
・「自動車」および「自動車関連」セクター

・「鉄鋼」セクター

 

貸出のある国内事業法人(金融機関などは含まれない)および個人事業主

分析期間

2050年まで

2100年まで

分析結果

与信関係費用:103億円~754億円*

Net Zero 2050:754億円 Below 2℃:103億円

*Current Policiesシナリオとの差額

与信関係費用:182億円~409億円

 

※最新の分析結果については、2024年7月に当社ウェブサイト

(URL https://www.concordia-fg.jp/shareholder/ir/disclosure/index.html)において公表予定の「コンコルディア・フィナンシャルグループ統合報告書2024」をご参照ください。

 

B. 機会

気候変動に伴い脱炭素社会へ移行する過程において、政策・規制の強化や技術革新、消費者の価値観の変化による事業への影響(移行リスク)および自然災害の激甚化や異常気象による事業への影響(物理的リスク)により、お客さまの事業価値に毀損等が生じる場合には、お客さまとの取引関係を通じて当社グループの事業にも影響を及ぼすと認識しております。こうした認識から、当社グループは、お客さまの本業支援の取り組みの一環として、エンゲージメントを通じてお客さまの気候変動への対応を積極的に支援することで、お客さまの事業基盤が強化されることにより、当社グループ自身の成長機会の拡大や経営の安定等につながるものと考えております。

こうした考え方にもとづく主な取組状況は以下のとおりであります。

 

a. お客さまとのエンゲージメントの強化とお客さまの取り組みフェーズに応じた最適なソリューションの提供

当社グループは、中小企業のお客さまをはじめ、サプライチェーンの上流に位置する上場会社や地域の中核となる企業のお客さまなど、さまざまなお客さまとの取引関係を有しております。こうしたお客さまとのエンゲージメントを通じて移行リスクや物理的リスクの低減、成長機会拡大のための課題を共有したうえで、お客さまの課題解決に資するソリューションラインアップの充実をはかるとともに、お客さまごとの取り組みフェーズに応じた最適なソリューションを提供していくことが重要と認識しております。

 

 


 

b. 投融資ポートフォリオのGHG排出量ネットゼロに向けた取り組み

日本では2050年のカーボンニュートラルの実現を目標として掲げ、企業や産業の脱炭素化の推進がはかられておりますが、こうした目標の実現に向けて、当社グループは金融機関として、投融資ポートフォリオにおけるGHG排出量ネットゼロの実現を通じて貢献していくことができると認識しております。

このような認識のもとで、2022年度には、投融資ポートフォリオのGHG排出量の計測・開示に係る取り組みを進める国際イニシアティブPCAF(Partnership for Carbon Accounting Financials)に加盟するとともに、PCAFの定める基準にもとづき、事業貸出を中心に投融資ポートフォリオにおけるGHG排出量(※)を算定しました。

こうした算定結果を踏まえ、お客さまのGHG排出量削減を支援するためのアクションプランを策定しております。炭素強度が高い「電力」、「石炭」および「石油・ガス」セクターを「GHG排出量削減の目標設定セクター」として選定し、個社ごとのきめ細かいエンゲージメントを通じてGHG排出量削減に向けた取り組みを支援しております。なお、目標設定については、現在検討を進めております。

また、中小企業をはじめとしたサプライチェーンの裾野の広い「自動車・部品」セクターに加え、脱炭素に向けた取り組みに長期間を要することが見込まれる「金属・鉱業」セクターを「エンゲージメント重点セクター」に追加しました。サプライチェーンへの影響度が高いお客さまからエンゲージメントを進め、GHG排出量の可視化、削減に向けた目標設定および削減のための取り組みを支援していきます。

※投融資ポートフォリオにおけるGHG排出量に関する詳細な情報については、2024年7月に当社ウェブサイト(URL https://www.concordia-fg.jp/shareholder/ir/disclosure/index.html)において公表予定の「コンコルディア・フィナンシャルグループ統合報告書2024」をご参照ください。

 

③ リスク管理

当社グループは経営に重要な影響を及ぼす可能性の高い「トップリスク」の1つとして、気候変動に伴うリスク(移行リスク・物理的リスク)を認識しております。2024年3月開催の取締役会にて選定した「トップリスク」は次の通りです。

・「気候変動・環境問題への不十分な対応」(移行リスク)

・「大規模な自然災害の発生」(物理的リスク)

なお、リスクを識別・評価・管理するプロセスについては、「(1)サステナビリティに関する取り組み ③リスク管理」をご参照ください。

また、当社グループは、環境・社会に対する負の影響を助長する可能性が高い資金使途の投融資への取り組みについて、「セクターポリシー」を制定し、セクター横断的に投融資を禁止する事業、セクター横断的に投融資に留意が必要な事業を定めるとともに、石炭火力発電や炭鉱採掘などの特定セクターについて取組方針を定めることで、環境・社会への負の影響を低減・回避するよう努めております。本セクターポリシーはグループサステナビリティ委員会にて定期的に見直し要否を協議するほか、自社の事業活動や外部環境の変化等に応じて、随時見直しております。

 

④ 指標及び目標

A. サステナブルファイナンス・環境分野ファイナンス

気候変動への対応をはじめとした、お客さまが抱える環境・社会課題に向けたソリューションを強化し、地域のお客さまの持続的な成長に貢献していくために、サステナビリティ長期KPIとして、サステナブルファイナンス、環境分野ファイナンスの実行額(累計)目標を設定しております。

当社グループはサステナブルファイナンス実行額(累計)目標(2030年度までに2兆円)を2022年度中に達成したため、「2030年度までにサステナブルファイナンス実行額4兆円(+2兆円)、うち環境分野ファイナンス2兆円(+1兆円)」と目標を引き上げております。

 

指標

目標

2023年度実績

サステナブルファイナンス実行額(累計)

2030年度までに4兆円

2.6兆円

環境分野ファイナンス実行額(累計)

2030年度までに2兆円

0.8兆円

 

※横浜銀行、東日本銀行、神奈川銀行(2023年度実績より加算)の合算

 

B. 自らの事業活動におけるGHG排出量ネットゼロに向けた取り組み

地域社会の一員として、地域の脱炭素を積極的に推し進めるために、「2030年度までのカーボンニュートラル(Scope1,2)の実現」を達成することをサステナビリティ長期KPIとして設定しております。省エネ設備の導入や自社契約電力の実質再生可能エネルギーへの変更等の取り組みを進めており、2023年4月までに、神奈川銀行を除く当社グループすべての自社契約電力を実質再生可能エネルギーへ切り替えました。引き続き目標達成に向けた取り組みを進めてまいります。

 


指標

目標

2022年度実績

GHG排出量(Scope1,2)

2024年度までに2013年度比80%削減

7,587 t-CO2
 2013年度比72.9%削減

2030年度までにカーボンニュートラル

 

※算定対象は、横浜銀行、東日本銀行の国内拠点であります。

※2023年度の実績については、2024年7月に当社ウェブサイト

(URL https://www.concordia-fg.jp/shareholder/ir/disclosure/index.html)において公表予定の「コンコルディア・フィナンシャルグループ統合報告書2024」をご参照ください。

 

(3)  人的資本

当社グループは、従業員を価値創造の源泉である「人的資本」と位置づけており、「多様な人財」を有するという強みを磨くことで経済価値および社会価値の創造をめざしております。また、当社グループにとって、従業員は重要な「ステークホルダー」であり、経営理念では「従業員が誇りを持って働ける魅力ある会社」であり続けることを掲げております。

こうした考えのもと、当社グループにおける人的資本の価値向上を目的とした基本方針である「グループ人財ポリシー」を制定するとともに、経営戦略と連動し、中長期的にめざす人財ポートフォリオの構築に向けた「グループ人財戦略」を策定しております。

 

①  ガバナンス

経営戦略と連動した人財戦略を実行していくために、人財育成方針や社内環境整備方針など、人的資本経営に関する方針や重要な施策の取り組み状況は、経営会議にて協議・決議をおこない、取締役会へ報告をしております。

また、人財部担当役員を委員長とし、本部各部門の役員や本部各部部長等を構成メンバーとした会議体を組織しており、当該会議体において、めざす人財ポートフォリオの実現に向けた取組方針や具体的な施策などについて組織横断的な議論を定期的におこなっております。

 


会議体

タレントマネジメント委員会(横浜銀行)

人財育成委員会(東日本銀行)

委員長

タレントマネジメント推進担当役員

(人財部担当役員)

人財部担当役員

構成メンバー

本部各部門の役員、本部各部部長等

役割

めざす人財ポートフォリオの検討と、現状把握・分析を踏まえた課題共有ならびに全体計画および施策の策定、進捗管理

 

 

 

② 戦略

<グループ人財ポリシー>

基本的な考え方

当社グループでは、従業員は経営理念の実現に不可欠で大切な「人財」であり、価値創造の源泉となる「資本」であるとの認識のもと、「人財」へ積極的に投資し、その価値を持続的に高めていくことで、地域社会の持続的な発展とともに当社自身の持続的な成長につなげていきます。

経済・社会環境の激しい変化に柔軟に対応しつつ、多様化・高度化する地域社会・お客さまのニーズに対するソリューション提供能力を高めていくために、従業員一人ひとりの成長意欲に応えるフィールド・機会を積極的に提供することで、常に変革に向けて挑戦し続ける人財を育むとともに、さまざまなバックグラウンドや専門性を有する多様性に富んだ人財ポートフォリオを構築します。

多様な価値観やライフスタイルを持つ従業員一人ひとりのWell-beingを高め、その持てる能力を最大限に発揮することができるよう、安心して働ける職場環境の整備と、活力ある組織風土の醸成をはかることで、組織全体の生産性向上につなげるとともに、当社内外の人財にとって魅力あふれる組織であり続けます。

 

求める人財

地域社会・お客さまへの価値提供に強い誇りと自覚を持つとともに、常に変革マインドを持ち挑戦し続ける人財。

 

上記「グループ人財ポリシー」にもとづき2023年4月に策定した「グループ人財戦略」では、2027年度までを計画期間とし、『成長意欲・挑戦意欲を大切にする「人づくり」』、『多様な人財がいきいきと活躍できる「組織づくり」』、『個々のWell-beingを起点にした「環境づくり」』の3つの基本テーマのもと、それぞれのテーマに紐づく主要施策を策定し、取り組んでおります。

 

A. 人財育成方針

グループ人財戦略の基本テーマの1つ目に『成長意欲・挑戦意欲を大切にする「人づくり」』を掲げ、長期的にめざす姿である「ソリューション・カンパニー」の実現のためにはソリューション提供活動を担う担当者のスキルや専門性の向上が大切だと考え、ОJTとОff-JTが連動した人財育成を実践するとともに、行内公募、外部出向、自己啓発支援といった挑戦機会を拡大し、従業員一人ひとりの成長意欲に積極的に応えております。

ソリューション提供スキルの高度化・担い手の拡大に向けて教育態勢や資格取得支援を強化するほか、市場・国際部門やIT・デジタル部門といった専門性の高い人財を育成するため、計画的な人事ローテーションなどに取り組んでおります。また、担当者それぞれがめざすキャリアの実現に向けて新たな職務に挑戦できる機会としてリスキリングも含めた公募制度を拡大するほか、サクセッションプランにもとづいた次世代経営人財の育成にも取り組んでおります。

 

 

B. 社内環境整備方針

グループ人財戦略の基本テーマの2つ目に『多様な人財がいきいきと活躍できる「組織づくり」』を掲げ、多様化・高度化する地域社会・お客さまのニーズに対して最適なソリューションを提供し続けるために、さまざまなバックグラウンドや専門性を持った人財が個々の能力を最大限発揮できる組織の実現をめざしております。

多様な人財の確保に向けて、新卒採用では、学生に対する情報発信や接点の拡大といった採用活動の強化のほか、入社予定者の希望と実際の配属部署とのミスマッチを抑制するためのコミュニケーションを強化しております。キャリア採用についても、アルムナイネットワークの活用、リファラル採用の強化など採用ルートの多様化などを進めております。また、めざす人財ポートフォリオの構築に向けて、タレントマネジメントの高度化を進め、担当者のスキルの可視化による適材適所の人財配置をおこなっております。さらに、ワーク・ライフ・バランスを実現させるための産育休復職支援プログラムなどの各種制度を拡充するなどのDEI(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)のさらなる推進、セカンドキャリアの構築の支援にも取り組んでおります。

また、グループ人財戦略の基本テーマの3つ目に『個々のWell-beingを起点にした「環境づくり」』を掲げ、活力ある組織風土の醸成や、心身ともに健康かつ安心して働ける職場環境の整備を進めております。

公平公正な評価・処遇を徹底するよう、マネジメント層に対する部下の評価実施に関する教育を強化するほか、1on1ミーティングを通じたコミュニケーションを密におこなうことにより、仕事のやりがいと成長を感じながら、モチベーションを高く持ち働くことができる職場環境を整備しております。さらに、従業員が心身ともに健康で安心して働けるよう、健康経営の実践の強化にとどまらず、人権への意識向上など心理的安全性の高い健全な職場を作っていくことに加え、従業員の金融リテラシー向上や従業員持株会制度を通じた資産形成支援などファイナンシャルウェルネスの向上にも取り組んでおります。

こうした諸施策の実施により、2027年度には「営業人員割合:60%程度への引き上げ」、「一人あたりソリューション収益:2021年度比10%増加」、「会社の総合的魅力(従業員意識調査):2021年度比向上」を実現させ、その結果として、当社グループの長期的にめざす姿である「地域に根ざし、ともに歩む存在として選ばれるソリューション・カンパニー」の実現をめざしております。

 

 <グループ人財戦略 概要>

 


 

③ 指標及び目標

上記「②戦略」に関する主な指標及び目標は以下のとおりであります。

 

指標※1

目標

2021年度実績

2022年度実績

2023年度実績

総合指標

営業人員割合※2

2027年度まで

60程度

48%

49%

50

一人あたりソリューション収益 ※3

2027年度まで

91百万円

83百万円

90百万円

97百万円

会社の総合的魅力(従業員意識調査)※4

2027年度まで

3.29以上

3.29

3.28

3.41

人づくり

一人あたり研修時間 ※5

2027年度まで

22.6時間

9.7時間

13.2時間

13.5時間

営業人員スキルレベル上級者割合(各行ごと) ※6

2027年度まで

30

横浜銀行20%

東日本銀行 -

横浜銀行27%

東日本銀行15%

横浜銀行27

東日本銀行21

組織づくり

女性管理役職者比率

2027年度まで

25

14%

16%

18

キャリア採用者管理役職者比率(横浜銀行のみ)

2027年度まで

14以上を維持

14%

14%

16

 

※1 特段の表示がないものは、横浜銀行、東日本銀行の合算

※2 実働人員数に占める営業人員数の割合

※3 円貨貸出収益+役務収益+外貨建貸出収益・法人デリバティブ収益等の合計をソリューション営業人員(本部直

    接営業+法人渉外担当者+個人渉外担当者等)一人あたりに換算したもの

※4 組織の現状、強み・課題を的確に診断・把握するための従業員意識調査を無記名で毎年実施し5段階で評価(5

    が最高値)

※5 ソリューション営業力の強化に資する研修を対象に、各行(横浜銀行・東日本銀行)の基準にて算出

※6 法人渉外担当者、個人渉外担当者における社内のスキル認定制度で上級判定されたものの割合。なお、東日本銀

    行は、2022年度の金融ビジネススクールの新設にあわせて営業人員のスキル評価制度を導入しております。