2025年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 当社グループでは、グループ全体のリスクマネジメント活動の責任分担及び実効性を向上させるために、三線防御体制を前提としたリスクガバナンス体制を構築しています。当社における各部門及び当該部門が所管するグループ企業を第一線、当社グループのリスクマネジメントを所管するCRMOの指揮監督のもと専門組織であるリスクマネジメント部を第二線、さらに監査部を第三線と位置づけ、各防御線が相互に連携をしながらリスクマネジメント活動を行っています。

 また、リスクマネジメント活動の実効性を担保するため、リスク管理確認会議を毎月開催し、重点リスク項目を中心に各部門及びグループ企業の予防的取組み及びインシデント管理の対応状況を確認するとともに、その内容を経営層へ報告しています。

 CRMOは、インシデント発生時には、発生部門又はグループ企業に解決に向けた速やかな対応を指示するとともに、危機に転化するおそれがある場合は、その影響を極小化するために、CRMOが指名するメンバーによる対応チームを組成し、各種対応方針等を決定、実行しています。

 なお、事業影響が生じる重大な危機に繋がる可能性がある場合は、速やかに経営層に報告し、対応方針について審議・決定しています。

 

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月25日)現在において当社グループが判断したものです。

 

1.世界経済・金融市場・自動車市場に起因するリスク

(1)主要市場の経済状況・総需要の変動

 当社グループの全世界における売上収益のうち、主要な部分を占める自動車の需要は、当社グループが製品を販売している国・地域、特に日本、タイ、米国などの主要国市場における経済状況の影響を受けます。

 また商用車市場は、新興国においては物流需要の増加が見込まれることから、当社グループは一部の新興国市場を戦略地域と定め、拡販活動を進めています。そのため、一部の新興国市場における経済状況もまた、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、経済状況・需要動向の見通しの正確な把握に努めるとともに、製品を販売する市場の分散によって影響を極小化していますが、追加関税措置等により、世界的に経済環境の不透明さが増しており、当社グループの主要市場における景気後退及びそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)自動車市場における競争

 当社グループの全世界における売上収益のうち、主要な部分を占める自動車市場は、激しい競争が繰り広げられています。競争環境の激化は当社製品の競争力に影響を及ぼし、価格変動やシェア変動を引き起こす可能性があります。競争に影響を与える要素は、製品性能、安全性、燃費、環境負荷、価格、アフターサービスといった当社製品に起因する事項の他、各国の電気自動車(EV)等への補助金政策や関税政策をはじめとする外部起因の事項を含め多岐にわたり、各国の市場によって状況は異なります。

 当社グループは、主要市場での競争力を維持・強化するため、当社製品に起因する要素の改善に取り組みながら、競争力の高い製品について継続的に開発・生産・販売並びにそのアフターサービスを実施していますが、主要市場や新興国市場等での他社との競争に劣後した場合や業界再編に伴う当社の競争優位性が失われた場合、及び各国の政策等が当社グループに不利な内容となる等の場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)地政学リスクの発生

 当社グループの製品の調達、生産及び販売活動は、日本国内のみならず広く海外で行われ、事業展開する各国・地域において許認可をはじめとした各種政策の影響を受けます。また、戦争や政権交代等の政治情勢の変化、経済安全保障を目的とした保護政策(関税政策等)による経済状況の変化は、当社グループの経営・事業活動及びサプライチェーンに影響を与えます。当社グループでは、こうした不確実性を地政学リスクとして認識し、特に以下の予期せぬ事象が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

・国家間紛争・内戦、革命、クーデタ、騒擾、テロ

・潜在的に不利な租税政策(関税政策等)の変更

・輸出入、技術移転の制限

・事業等に係る各国の法令、規制(排出ガス規制並びに燃費/CO規制)の変更

・安全保障上のリスクがある設備、ソフトウエア、クラウドサービス、委託先等の利用・調達に関する制限

・事業・投資の許認可基準の変更

・当社グループ財産の直接的又は間接的収用

・情報やデータの管理や移転の制限

・送金や兌換の規制

・為替・金利政策

・重要な海上交通路の寸断

 

 当社グループは、各国・地域、特に日本、米国、アセアン地域、中国、欧州地域における地政学リスクの情報収集を行い、法規制の変化に備えた投資や新技術・製品の開発を行う等、様々な対策を実施しています。しかし、上記のような地政学リスクが顕在化した場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)為替及び金利の変動

 当社グループの事業には、世界各地における製品の生産と販売が含まれています。各地域における売上、費用、資産、負債を含む現地通貨建の項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されています。換算時の為替レート、特に米ドルやタイバーツ等の為替レートにより、これらの項目は元の現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。さらに、為替変動は、当社グループが購入する原材料の価格や販売する製品の価格設定に影響し、実際に原材料価格や製品価格の変動が生じています。

 また当社グループは、日頃よりキャッシュ・フローの管理に努めていますが、資金調達に関わるコストは、市場金利が急激に上昇した場合、支払利息の負担が増大する可能性があります。

 当社グループは、為替及び金利の変動による影響を極小化すべく、現地生産に加えて、先物為替予約取引を含むデリバティブ金融商品の活用を行っています。

 しかし、為替及び金利の大きな変動が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)原材料等価格の変動

 当社グループは、自動車製造にあたり、鉄、非鉄金属、樹脂等の原材料や半導体をはじめとする外製品を使用しており、加えて、xEVの研究・開発やBEVの市場投入等によってレアメタル等の使用が増加することを見込んでいます。

 世界的な需給逼迫等によりこれらの原材料価格、外製品価格やエネルギー価格及び輸送等にかかる費用が上昇すると、当社グループとしての調達コスト・製造コストもそれに伴い上昇する可能性があります。その際、生産性向上などの内部努力や製品価格への転嫁などをもってしても上昇分のコストを吸収できなかった場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

2.事業に関するリスク

(6)新しい技術革新やビジネスモデル変化などへの対応

 当社グループの事業に関わる外部環境は大きく変化しています。商用車市場のお客様ニーズの多様化や商用車を用いたビジネスモデルの変化、「CASE」に代表される技術革新、生産・販売・アフターサービス・バックオフィス業務におけるデジタルイノベーションの推進、ESG投資やSDGs達成への社会的な要請は、当社グループの事業の拡大と深耕の好機です。

 当社グループは、こうした技術革新や社会的要請に速やかに対応するため、常設部署を設置し、全社横断の複数プロジェクトを推進しています。また、当社グループは商用モビリティソリューションカンパニーへの進化を掲げ、自動運転ソリューション、コネクテッドサービス、カーボンニュートラルソリューション等の「運ぶ」を創造する新事業の創出・拡大を目指しています。しかし、万が一、これらの技術革新や社会的要請に速やかかつ十分に対応できなかった場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

(7)研究開発の失敗や遅延

 当社グループの置かれた事業環境は、競争の激化や市場ごとに異なる商品ニーズの多様化などが見込まれます。

このような経営環境に対応し、「運ぶ」を支える「ものづくり事業」を推進していくには高い技術と市場のニーズを的確にとらえた製品を提供する研究開発への取組みが不可欠です。

 当社グループは、将来の市場ニーズの予測、研究開発分野の優先順位付けを通じて、新たな技術や製品の開発に取り組んでいますが、求められる技術水準への到達や市場ニーズの的確な把握に失敗や遅延が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)合弁事業をはじめとするアライアンス先との提携目的の未達

 当社グループは、いくつかの国において、各国の法律あるいはその他の要件により合弁で事業を行っています。また、国内外の販売ではディーラーやディストリビュータと提携し、研究開発では合弁事業や業務提携を行っています。

 当社グループは、合弁相手やアライアンス先の経営状況、ガバナンス、その他重要な非財務情報も含め、様々な情報をもとに業務提携の要否を検討しています。しかし、合弁相手やアライアンス先の経営方針、経営環境の変化等により、アライアンス先が適時適切な技術・製品の提供に失敗や遅延が生じた場合、及び当社グループがアライアンス先から求められる技術水準への到達に失敗や遅延が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)販売・供給における特定チャネルへの依存

 当社グループは、当社製品である自動車やその構成部品等を、トリペッチいすゞセールス㈱(タイ国バンコク市)やゼネラルモーターズ・コーポレーション(アメリカ合衆国ミシガン州デトロイト市)及びそのグループ企業などの大口顧客企業に供給しています。当社グループは、大口顧客企業との関係を維持するとともに、新規顧客の開拓によりリスク分散を図っていますが、顧客企業の生産・販売量の変動など当社グループが管理できない要因により、上記の対策をもってしてもリスクを受容できない場合は、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)資材、部品等の調達の不足や遅延

 当社グループは、生産に必要な原材料や半導体をはじめとした部品及び製品を外部のサプライヤーから調達しています。しかし、以下のような事象が当社グループのサプライヤーや調達網で発生した際には、供給・輸送能力の低下や供給・輸送の中断が引き起こされ、生産に必要な量の原材料、部品及び製品が確保できなくなる、又は確保が遅れる可能性があります。

 

・サプライヤーや物流網において自然災害や大規模な事故等の不測の事態が発生した場合

・サプライヤーや物流網において労働争議等が発生した場合

・サプライヤーや物流網で大規模なシステム障害が発生した場合

・サプライヤーの供給能力を大幅に超えるような需給状況になった場合

・サプライヤーにおいて許認可取り消し等による製品の出荷停止が生じた場合

・サプライチェーン上の人権侵害等、品質・コスト・納期以外の問題が顕在化した場合

・海上交通の要衝での事件・事故等により物流網で混乱が生じた場合

 

 当社グループは、サプライヤー各社の生産能力、信用リスク、製品等の品質、コスト等を定期的に把握するとともに、各社の法令・コンプライアンス遵守や気候変動問題等への対応状況を確認し、調達に支障が生じないように努めています。しかし、上記のような事象が発生した場合は、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)製品の欠陥

 当社グループは、厳格な品質管理基準に従って各種の製品を開発・生産しています。品質の維持及び改善のため、当社グループは「品証・CS委員会」を通じて、不具合情報の早期発見と共有、品質向上のための全社横断的検討、全社的な品質マネジメントの運用状況の監視を実施しています。また製品の欠陥等を原因とする損害賠償が必要な場合に備えて、製造物賠償責任保険に加入しています。

 しかし、万が一、大規模なリコールを実施する場合、加えて、実際に発生した費用が事前に計上した引当金を大きく上回る場合や損害賠償の価額が製造物賠償責任保険により填補できない場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)人権の侵害

 当社グループでは、従業員、関係者、取引先等のすべてのステークホルダーの人権を尊重し、事業活動を展開しています。また、「いすゞグループ人権方針」に基づき、サプライチェーン上に労働環境や安全衛生面での人権侵害などがないかを確認する「人権デュー・ディリジェンス」を実施し、人権に対する負の影響を特定・評価し、これらの防止・軽減に取り組んでいます。

 しかし、全世界のサプライチェーン全体の人権状況を正確かつリアルタイムに把握することは困難であり、当社グループやサプライチェーンで人権侵害が発生した場合、事業の中断、法令違反に伴う制裁金、レピュテーションの低下等により、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)優秀な人財の確保・定着の困難

 当社グループの事業では、人財が最も重要な資産と考え、当社グループの事業推進に必要となる技能・能力をもった多様な人財の確保に努めるとともに、従業員一人ひとりのモチベーション、熱意、技能、能力、パフォーマンスを高め、当社グループに定着させるための取組みを進めています。しかし、今後の人財獲得競争の一層の激化により、優秀な人財確保・定着がより困難になっていく可能性があります。

 こうした状況を踏まえて、当社グループでは「ISUZU ID」に掲げる「働きがいNo.1」を目指し、また「IX」で2030年に目指す姿の一つとして掲げた「人的資本経営への進化」を実践しています。従業員の専門性強化と挑戦を後押しするグローバル基準の人財マネジメント基盤を整備すべく、当社では2024年4月より新人事制度を順次展開し、2026年度までにグループ全体に展開します。詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」中の「(3)人的資本・多様性」を参照ください。

 

(14)労働災害の発生

 当社グループは、自動車及び自動車部品の生産、開発実験、販売にあたり、組立、機械加工、プレス、塗装、自動車整備及び設備メンテナンス等を展開しています。これらの業務において、従業員の労働安全の確保をグループ全体の重要な経営課題と位置づけており、代表取締役社長COOを最高責任者とした「安全推進特別委員会」を設置し、安全に関する方針の策定と、その実行状況のモニタリング及び是正措置を継続的に行っています。また、災害リスクの低減に向け、法令遵守の徹底、安全管理体制の強化、安全パトロールの実施、設備の安全仕様向上対策、VR等を活用した実践的な安全教育の導入にも取り組んでいます。発生した労働災害については、専門会議体を設置し、個別事案における原因究明と対策を実行することで、再発防止に努めています。

 こうした取組みを通じて安全な職場環境の構築に努めていますが、万が一、労働災害が発生した場合には、操業停止等により事業活動に支障をきたし、当社グループの業績及び財政状況に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)コンプライアンス違反

 当社グループでは、関係法令の遵守はもちろん、社内規範や倫理規範を含めコンプライアンスを徹底しています。

 当社では、代表取締役社長COOを委員長とし、重要法令を所管する各部門長をメンバーとした「コンプライアンス委員会」を定期的に開催、当社グループのコンプライアンス活動の推進状況をモニタリングし、適切な指示・助言を行っています。さらに、グループ内でコンプライアンス違反又はそのおそれがある事象が発生した場合には、速やかにCRMOに報告するとともに、是正及び再発防止を行う体制を構築しています。また当社グループでは、経営層から従業員まで定期的にコンプライアンス教育を実施しています。

 しかし、コンプライアンスの徹底にもかかわらず、将来にわたってコンプライアンス違反が発生する可能性は皆無ではなく、コンプライアンス違反の重篤性及び発生時の対応内容や迅速性等が不十分な場合には、当社グループの社会的信用に重大な影響を与える場合があり、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。特に、道路運送車両法違反による生産停止や各国の個人情報保護、腐敗防止、独占禁止・不正競争防止・下請取引、及び金融商品取引に関する法令等への重大な違反が認められ、当局等から勧告を受けたり、高額な制裁金が課せられたりした場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)情報セキュリティへの対応不足

 当社グループの事業は多くのシステムに依存しており、情報の機密性、完全性、可用性を一定以上で維持するための高度な態勢を確保しています。具体的には、個人情報や機密情報の保護、データやシステムの可用性の維持、各種情報の改竄防止等の情報セキュリティの維持・改善を目的に、様々なリスク対策を実施しています。また、製品のサイバーセキュリティ法規(R155 CSMS認証、R156 SUMS認証)も遵守し、お客様が安心安全にご利用できるように努めています。

 しかし、不測の事態により情報漏洩等が発生した場合や、製品の安心安全に影響がある事象が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。また、システム障害やコンピューターウイルスへの感染、サイバー攻撃等が発生した場合には、業務の中断やデータの破損・喪失などを引き起こす可能性があります。その結果、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 また当社グループは、アライアンス先等の取引先との機密情報の管理についても上記のような様々なリスク対策を実施しています。しかし、不測の事態により情報漏洩等が発生した場合、企業としての信用低下、アライアンス先等に対する損害賠償責任が発生するなど、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)知的財産の保護の不足や侵害・被侵害

 当社グループは、他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してきましたが、当社グループ独自の技術とノウハウの一部は、特定の国・地域では法的制限のため知的財産権による完全な保護が不可能、又は限定的にしか保護されない状況にあります。

 当社グループは、知的財産保護のための取組みを進めています。しかし、第三者が当社グループの知的財産を使って類似した製品を製造することを効果的に防止できない場合や当社グループに対する知的財産権侵害訴訟による製造・販売の差し止めや損害賠償の請求が認められた場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(18)気候変動に関する社会的要請への対応遅れ

 当社グループは、気候変動対応を重要な経営課題の一つとして位置づけ、気候変動に関する規制強化及び頻発・激甚化している自然災害への対応に取り組んでいます。一方で、更なる成長機会の獲得のため、脱炭素社会に貢献するイノベーションの創出を進めています。

 当社グループは、「いすゞ環境長期ビジョン2050」を策定し、2050年までに、当社グループ製品のライフサイクル全体での温室効果ガス(GHG)ゼロ及び当社グループの事業活動から直接排出されるGHGゼロを掲げ、GHG削減に取り組んでいます。

 また、2024年4月に中期経営計画として策定した「IX」においても、「運ぶ」を創造する新事業として、「カーボンニュートラルソリューション」を掲げています。具体的には、「いすゞ環境長期ビジョン2050」に基づきマルチパスウェイで技術開発を進め、地域の状況や社会動向に適した商品を展開することで、CN社会実現に貢献します。また、燃料代や電気代までを含む総所有コスト(TCO)の観点で価格競争力のあるBEVを投入し、周辺事業の展開を推進します。

 しかし、脱炭素へのイノベーションの取組みに失敗や遅延が生じた場合、気候変動による影響への対応・取組みが不十分である場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(2)気候変動」を参照ください。

 

(19)災害等の発生

 当社グループは、全世界で事業を展開しており、国内外において様々な災害リスクにさらされています。大規模地震、風水害や噴火等の自然災害、停電又はその他の中断事象、疫病・感染症が顕在化した場合、当社グループの生産活動、販売活動、その他事業活動に影響が生じる可能性があります。特に主要な事業拠点が集中する日本・南関東やアセアン地域における主要拠点が多数存在するタイ等で大規模な災害等が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。また、設備トラブル、オペレーションミスによる事故、火災等の人為的災害が発生した場合にも、当社グループの生産、販売、その他事業活動に影響が生じる可能性があります。当社グループでは、自然災害や人為的災害等が発生した場合に備え、事業継続計画を予め策定し、それに基づいた訓練を実施することで被害の拡大防止及び迅速な復旧に努めています。しかし、これらの取組みにもかかわらず、災害等による影響を完全に防止又は軽減できない場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

配当政策

3【配当政策】

当社は、株主への利益配分の実施は、多様化するステークホルダーの皆さまと共に発展するため、成長投資資金の確保、及び財務健全性の維持を目的とする内部留保の充実と、株主価値重視とのバランスを総合的に勘案の上、決定しています。

当社は、毎年9月30日を基準日として、会社法第454条第5項に規定する中間配当を行うことができる旨を定款に定めており、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としています。これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会です。

当事業年度に係る普通株式の配当金は、中間配当は1株につき46円、期末配当金は1株につき46円、合計で1株につき92円を予定しています。

内部留保資金については、今後の更なる成長に向けた投資資金への活用及び資本効率を重視する経営の一環として、配当や状況に応じた機動的な自社株取得等の株主還元実施に充当していきます。

 

当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりです。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2024年11月11日

34,132

46

取締役会決議

2025年6月26日

32,820

46

定時株主総会決議予定