2025年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 

(リスクマネジメントについて)

 当社グループでは、日々変化する経営環境を把握し分析することで、備えるべき様々な「リスク」の状況を監視しています。それぞれのリスクは関連の事業部や部署にて監視・情報収集を実施しており、リスクをコントロールしながら収益機会の創生と最大化に努めています。

 当社グループは、経営における全社リスクに関わる重要事項を経営会議にて議論・決定しており、決定された内容のうち特に重要と判断される事項は取締役会に報告しています。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響については合理的に予見することが困難であるため記載していません。また、当社グループがリスク要因に対して影響を軽減するための対応内容につきましては、決定済みの内容についてのみ記載し、未定のものは今後リスク毎にシナリオを仮定し優先順位をつけて議論を進めます。

 ここで記載する内容は、有価証券報告書提出日(2025年6月26日)現在において当社グループが合理的であると判断したものです。

 

(リスクが顕在化した際の組織体制)

 当社グループでは、リスクの顕在化に備え、「経営危機管理規定」を制定しています。本規定では、経営状況に関わる顕著なリスクが顕在化した場合に、リスク管理の担当役員を中心とした対策本部を設置する手順を定めています。設置された対策本部は迅速に対応方針の決定および事態の収拾と再発の防止をはかります。また、対策本部は、危機の内容、対応策、再発防止策等を速やかに取締役会に報告します。

 

(当社グループが想定する事業等のリスク)

① 人材確保

 人材流出や採用難は少子高齢化、人口減少の環境下において今後さらに深刻化していくとみられ、人材不足を起因とした品質やサービスの低下による当社グループへの業績への悪影響を及ぼす可能性があります。

 このため、当社グループは連結全体での人材の採用や育成を強化するとともに、連結内人材の活用を促進することで必要人材の確保を行っていきます。加えて人事制度や福利厚生の見直しや拡充を図ることで多様かつ柔軟な働き方の実現に努めていきます。

 

② 特定の取引先への依存

 特装車事業は、各種の特装車を国内のトラックメーカー、及びその系列のディーラー、商社等へ販売しており、技術面においても車種ごとに種々の製造・販売に関するノウハウを構築しています。

 また、環境事業につきましては、自治体や産業廃棄物処理業者向けに各種のごみ処理プラントの建設、アフターサービスや運転受託等の事業を行っています。

 このため、各種の特装車の販売先や需要の動向、地方自治体の公共投資の動向等は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 特有の法的規制

 特装車事業に関しては、道路交通法、道路運送車両法、道路法など関連法規の適用を受けます。これらの法規が制定又は改訂されることにより、基準に適合しない製品は使用又は保有が認められなくなることがあるため、適用期日前の駆け込み需要や、適用後の反動による減少などが発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 環境事業に関しては、ごみ処理プラントの建設工事が建設業法等の規制の対象となり、国土交通大臣より建築工事業や清掃施設工事業等の許可を得て事業を展開しています。これらの規制が制定又は改訂されること、あるいは許可を得られないこと等により、プラント建設工事の受注ができず、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

④ 原材料価格の変動

 当社グループでは、生産に必要な鋼材をはじめとする原材料や部品等の多くを外部から調達しています。これらの価格が変動した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 海外での事業活動

 当社グループでは、製品の輸出や、現地法人での生産、販売並びに部品の調達等を行っています。予期し得ない景気変動、通貨価値の変動、法律や規制の変更等、経済的に不利な要因の存在又は発生、テロ、戦争、その他の要因による社会的又は政治的混乱等のリスクが存在します。こうしたリスクの顕在化により、当社グループの業績及び計画に影響が生じる可能性があります。

 

⑥ 取引先の信用リスク

 当社グループは国内、海外において様々な取引先と取引をしています。取引先の信用不安などによる貸倒れリスクが顕在化した場合は、損失や引当が必要となる場合があり、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ リコール及び製造物責任

 当社グループが提供する製品やサービスにおいては、当社が定める品質基準に基づいた管理を行っているものの、想定外の不具合や欠陥が生じるリスクがあります。大規模なリコールや製造物責任による損害賠償等が発生した場合は、当社グループのブランド価値の低下を招くほか、損失の発生等により、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 固定資産の減損

 当社グループは事業の用に供する様々な固定資産を有していますが、「固定資産の減損に係る会計基準」及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」等の適用により、このような資産において、時価の下落や将来のキャッシュ・フローの状況によっては、その収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなることにより減損処理が必要となる場合があり、減損損失が発生した場合、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 資本・業務提携、M&A

 当社グループでは将来的な成長に向けた競争力強化の一環として、国内外他社との事業・資本提携やM&Aを行うことがありますが、今後の市場及び事業環境の変化などにより、当初想定していた効果を得ることができない場合や、提携・出資先の事業、経営及び資産の悪化等が生じた場合には、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 大規模自然災害

 当社グループは大規模地震や台風等の自然災害の発生を想定し、事業継続のための各種対策及び連絡体制等の施策を講じていますが、実際に大規模な自然災害が発生し、施設・設備の損壊等による人的被害や事業の中断が生じた場合には、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 感染症の流行

 社会的影響の大きな感染症の拡大が発生した場合、次の因果関係により各セグメントの業績に影響を及ぼす可能性があり、その結果、当社グループの連結業績及び財政状況に影響が生じる可能性があります。

 

・特装車事業

営業活動における新規商談の遅延及びキャンセル

生産活動におけるトラック搬入の遅延や部品調達等サプライチェーンへの影響

・環境事業

営業活動における新規商談の遅延及びキャンセル

建設工事における工期や建設資材調達の遅延

・パーキング事業

営業活動における新規商談の遅延及びキャンセル

建設工事における工期の遅延や部品調達等サプライチェーンへの影響

外出規制等によるコインパーキング部門の収益低下等

 

⑫ その他当社グループの現況に関する重要な事項

 当社と当社子会社である日本トレクスは、製造する「架装物」の販売をめぐってカルテルを結んでいた疑いがあるとして、2024年11月12日、公正取引委員会の立ち入り検査を受けました。

 事実関係につきましては調査中でございますが、当社及び日本トレクスは、今後も公正取引委員会の検査に全面的に協力してまいります。

 公正取引委員会による調査の結果、本件に関して当社及び日本トレクス株式会社に独占禁止法に違反する行為があったと認定された場合、それに伴う課徴金納付命令等により当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

配当政策

3【配当政策】

 当社は、持続的な成長と企業価値向上の両立を主眼として、資本効率を高め自己資本を適切にコントロールしつつ、株主の皆様の満足度も向上させるため、株主還元の強化に継続的に取り組んでいます。株主還元の手法は、安定的かつ高水準な配当による還元を行うことを基本方針としています。

 中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)における株主還元の計画は、株主の皆様への還元をより高めるため、各年度の総還元性向を100%に設定することに加え、機動的な自己株式の取得、1株当たり年間配当金の下限を54円と設定しています。

 当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当をすることができる旨を定款に定めており、配当の回数については、中間配当及び期末配当として年2回行うことを基本方針としています。また、配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会です。

 内部留保資金につきましては、将来の成長に向けた研究開発や生産設備などの投資に活用する予定です。

 当事業年度の配当につきましては、上記の方針に鑑みまして、期末配当は1株当たり83円とさせていただく予定です。これにより、中間配当金を含めました年間配当金は、1株当たり158円となる見込みです。

 なお、新中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)における株主還元の計画は、3ヵ年累計で総額150億円以上かつDOE(株主資本配当率)4%以上の安定的な配当を実施することによる株式価値の向上を図る方針としています。

(注)第90期の剰余金の配当は以下のとおりです。

決議年月日

配当金の総額(百万円)

1株当たり配当額(円)

2024年11月12日

2,876

75.00

取締役会

2025年6月27日

3,188

83.00

定時株主総会(予定)