人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数34,384名(単体) 114,449名(連結)
-
平均年齢40.3歳(単体)
-
平均勤続年数16.9年(単体)
-
平均年収7,377,000円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
|
2025年3月31日現在 |
|
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
日本 |
64,435 |
[17,284] |
北米 |
15,748 |
[1,702] |
欧州 |
2,177 |
[275] |
中国 |
13,719 |
[1,720] |
アセアン・インド |
17,529 |
[3,787] |
その他 |
841 |
[31] |
合計 |
114,449 |
[24,799] |
(注1) 従業員数は就業人員(当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均雇用人員を外数で記載しています。
(注2) 臨時従業員には、期間工、パートタイマー、嘱託契約の従業員及び派遣社員が含まれています。
(2)提出会社の状況
|
|
|
|
2025年3月31日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(千円) |
|
34,384 |
[5,789] |
40.3 |
16.9 |
7,377 |
(注1) 従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均雇用人員を外数で記載しています。
(注2) 臨時従業員には、期間工、パートタイマー、嘱託契約の従業員及び派遣社員が含まれています。
(注3) 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金が含まれています。
(注4) すべての従業員及び臨時従業員は日本セグメントに属しています。
(3)労働組合の状況
労使間に特記すべき事項はありません。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得割合及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
当事業年度 |
補足説明 |
|||||
管理職に占め る女性労働者 の割合(%) (注1) |
男性労働者の 育児休業取得 割合(%) (注2) |
男性労働者の 育児休業と 育児目的休暇 の取得割合 (%) (注3) |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注1) |
|||
全労働者 |
正規雇用 労働者 |
パート・有期 労働者 |
||||
3.0 |
62.8 |
92.2 |
70.1 |
70.3 |
79.2 |
正規雇用労働者の賃金格差の主な要因は、職能資格別の構成割合の違いによるもので、賃金体系及び制度上の男女差はありません。男女の賃金差は、現時点で男性の方が平均勤続年数が長く、高資格者の割合が高いことが起因しています。 |
(注1) 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
(注2) 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。
(注3) 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものです。配偶者が出産した年度と、育児休業等及び育児目的休暇を取得した年度が異なる男性労働者がいる場合、100%を超えることがあります。
② 連結子会社
当事業年度 |
||||||
名 称 |
管理職に占める 女性労働者の 割合(%) (注1) |
男性労働者の 育児休業取得 割合(%) (注2) |
男性労働者の 育児休業と 育児目的休暇 の取得割合 (%) (注3) |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注1) |
||
全労働者 |
正規雇用 労働者 |
パート・有期 労働者 |
||||
アイシン高丘㈱ |
1.1 |
22.7 |
86.3 |
67.6 |
65.1 |
76.7 |
アイシン化工㈱ |
4.1 |
72.2 |
111.1 |
67.6 |
71.7 |
52.2 |
アイシン軽金属㈱ |
5.1 |
81.2 |
92.1 |
82.5 |
81.0 |
88.6 |
アイシン開発㈱ |
6.1 |
0.0 |
142.8 |
54.8 |
65.9 |
30.5 |
アイシン機工㈱ |
0.9 |
64.9 |
91.2 |
69.5 |
67.7 |
98.3 |
アイシン辰栄㈱ |
5.6 |
52.6 |
73.6 |
74.1 |
72.2 |
105.6 |
㈱アイシン福井 |
1.9 |
69.3 |
100.0 |
70.4 |
71.4 |
86.5 |
豊生ブレーキ工業㈱ |
4.2 |
51.6 |
100.0 |
65.7 |
64.9 |
74.4 |
㈱アドヴィックス |
1.4 |
68.5 |
94.7 |
67.8 |
69.2 |
62.9 |
アイシンシロキ㈱ |
1.6 |
47.0 |
97.0 |
68.8 |
75.3 |
83.5 |
アート金属工業㈱ |
- |
20.0 |
80.0 |
81.2 |
79.5 |
98.9 |
(注1) 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
(注2) 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。
(注3) 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものです。配偶者が出産した年度と、育児休業等及び育児目的休暇を取得した年度が異なる男性労働者がいる場合、100%を超えることがあります。
(注4) アート金属工業㈱は、パート・有期労働者について、正規雇用労働者の所定労働時間に基づき換算した人員数を用いて平均年間賃金を算出しています。
(注5) 連結子会社のうち主要な連結子会社以外のものについては、「第7 提出会社の参考情報 2 その他の参考情報 (2)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得割合及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しています。
(注6) 「-」は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)において選択公表をしていない場合、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務がない場合を示しています。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループは、「“移動”に感動を、未来に笑顔を。」を経営理念とし、「“移動”に自由と喜びを、未来地球に美しさを運び続ける」ことを使命としています。ステークホルダーとの対話から、社会課題とニーズを先読みし、事業活動を通じた持続可能な社会の実現と企業価値向上の好循環を目指しています。
その実現に向けサステナビリティ憲章を策定するとともに、マテリアリティを選定しサステナビリティ経営に取り組んでいます。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)全般的な考え方及び取組
① ガバナンス
当社グループは社長執行役員を議長とするサステナビリティ会議を年2回開催し、サステナビリティに関する活動の方向性を議論・決定すると共に、マテリアリティに基づく活動の進捗管理を行っています。サステナビリティ会議で決定した方針に基づき、各委員会等で活動計画に落とし込み、目標達成に向け推進しています。
サステナビリティ推進体制 |
サステナビリティ会議 |
|
|
開催頻度 |
原則2回/年 |
議長 |
社長執行役員 |
|
事務局 |
総合企画部サステナビリティ推進室 |
|
参加者 |
執行役員、地域本部長、主要グループ会社社長他 |
|
主な議題 |
・サステナビリティに関する最新動向の共有 |
|
・サステナビリティに関する方針の議論・決定 |
||
・マテリアリティの見直し、指標と目標の決定、進捗フォロー |
||
|
|
サステナビリティ会議や各委員会の内容については、取締役会に付議・報告を行っており、2024年度の主な議題は以下のとおりです。
|
取締役会議題 |
区分 |
推進会議体 |
サステナビリティ全般 |
アイシングループサステナビリティ憲章の改訂 |
決議 |
サステナビリティ会議 |
マテリアリティの報告 |
報告 |
||
リスク管理全般 |
重点リスクの半期評価結果について |
報告 |
リスクマネジメント委員会 |
気候変動 |
エネルギーバリューチェーン事業の構想と 取り組みについて |
報告 |
VC事業会議 カーボンニュートラル推進会議 |
中長期事業戦略について |
報告 |
戦略機能会議 カーボンニュートラル推進会議 |
|
人的資本 |
人的資本戦略について |
報告 |
人事機能会議 |
健康経営について |
報告 |
安全衛生委員会 |
また、サステナビリティ課題への取り組みに関する取締役のインセンティブを強化するため、サステナビリティKPIを業績連動型報酬の評価体系に組み込んでいます。詳細については「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4)役員の報酬等」をご参照ください。
② 戦略
当社グループは、2019年度に選定したマテリアリティに基づきサステナビリティ経営に取り組んできましたが、事業環境や社会からの要請の変化に対応すべく、2025年1月にマテリアリティの見直しを行いました。
3つの優先課題と5つの実現に向けた方向性をマテリアリティとして特定し、経営理念の実現に向けサステナビリティ経営を推進しています。
マテリアリティの選定プロセス
当社グループでは、以下のプロセスでマテリアリティを見直しました。
Step1.一般的なビジネスやESGに関わる課題のリストアップ
(ESRS、ISSB、SASB、GRI等の各種ガイドラインや開示基準を参照)
Step2.従業員ワークショップにてアイシンの事業活動に関連する課題を抽出
Step3.役員ワークショップ(社外取締役含む)にて経営者目線で重要な課題を絞り込み
Step4.ステークホルダーエンゲージメントによりマテリアリティ案の妥当性を検証
(投資家、社外有識者、地域住民、サプライヤー、従業員等)
Step5.サステナビリティ会議でマテリアリティ案を議論・決議。取締役会へ報告・承認
リスクと機会
外部環境認識 |
アイシンにとってのリスク・機会 |
マテリアリティ |
|
優先課題 |
実現に向けた方向性 |
Politics(政治) |
リスク |
自然との共生、 持続可能な未来への貢献 |
バリューチェーン全体での環境負荷低減 |
■環境規制や安全基準の強化 |
自動車市場の成長鈍化 |
||
■エネルギー政策の不確実性 |
電動化による既存製品の需要低下と売上減少 |
||
■国際社会の多極化、不安定化 |
技術革新に対応できないことによる競争力の低下 |
クリーンなエネルギー社会に向けたソリューションの提供 |
|
Economy(経済) |
地政学リスクの発現によるサプライチェーン途絶 |
||
■先進国市場の成長停滞、新興国市場の拡大 ■経済成長の鈍化 |
バリューチェーン上での環境・人権問題発生による信頼低下 |
世界中の人々に 移動の自由を提供 |
|
従来の思考パターンに囚われ創造力が停滞 |
人生を豊かにする ”移動”価値の創造 |
||
人材獲得競争の激化 |
|||
Society(社会) |
機会 |
||
■高齢化社会・生産人口減少 ■ライフスタイルや価値観の変化 ■社会課題解決に対する企業への期待の高まり |
各国のエネルギー事情に応じた柔軟な商品提案 |
挑戦する企業文化の醸成 |
|
グローバルサウスの経済発展への貢献 |
多様な人材の活躍と 人生の充実 |
||
現地化によるレジリエンス強化と事業機会拡大 |
|||
知能化による商品付加価値の向上 |
多様性を尊重し共に輝き強くなる |
||
Technology(技術) |
カーボンニュートラル・サーキュラーエコノミーへの貢献 |
||
■AIをはじめとするデジタル技術革新 ■自動車産業の構造変化 |
交通事故低減への貢献 |
||
新規事業の開拓 |
盤石な経営基盤の構築 (安全、品質、コンプライアンス、人権、環境、リスクマネジメント、ガバナンス) |
||
人材の多様性を活かした新価値創造 |
③ リスク管理
サステナビリティに関するリスクについては、全社のリスク管理に統合されているため、「3 事業等のリスク」における「(1)基本的な考え方・方針」、「(2)推進体制」、「(3)戦略~リスクマネジメントの高度化~」、「(4)主な取り組み」、「(5)重点リスクの決定」をご参照ください。
サステナビリティに関する機会については、各種主要会議、経営会議での審議を経て、重要な機会は取締役会に付議・報告を行っています。
④ 指標及び目標
取締役会から承認を得たマテリアリティに対し、KPIと2030年度目標を設定し、具体的な活動計画へ落とし込み推進しています。
なお、第103期有価証券報告書より2025年1月に見直したマテリアリティの指標及び目標にて開示を予定しています。
マテリアリティとKPI・2030年度目標
|
|
優先課題(マテリアリティ) |
KPI |
2024年度実績 |
2030年度目標 |
|||
社会課題の解決 |
事業活動を通じた |
・地球温暖化防止 ・交通事故低減 安全な移動・輸送手段の提供 ・健康と福祉の推進 |
|
社会課題の解決に寄与する成長領域(注1)向け商品売上収益(比率) |
41% |
58% |
||
|
||||||||
|
成長領域売上+HEVユニット売上 |
|
||||||
総売上 |
||||||||
|
||||||||
健康・福祉に資する商品・サービス延べ利用者数 |
MAU(注2):35,700人 |
MAU:183,400人 |
||||||
・技術革新による 持続可能な産業化の促進 ・CO2排出削減 ・汚染防止 ・環境負荷物質削減 ・資源循環 ・資源効率の改善 ・クリーンエネルギー転換の推進 |
|
成長領域向け研究開発費比率 |
63% |
80% |
||||
ライフサイクルCO2排出量削減率 |
(注3) |
▲25%以上 (2019年度比) |
||||||
|
生産CO2排出量削減率(総量) [2013年度比] |
(注4) |
▲50%以上 (138.6万t-CO2/年) (注5) |
|||||
経営基盤 |
活動を支える |
・労働安全衛生 ・健康 ・人権 ・多様性の促進 ・働きがい改革 ・ワークライフバランス ・コンプライアンス ・持続可能な調達 |
|
重大災害件数(注6) |
0件 |
0件 |
||
休業度数率 |
0.25(注7) |
0.05 |
||||||
女性管理職比率 |
2.8%(注8) |
6.0% |
||||||
|
働きがい(社員意識調査結果、5ポイント評価) |
3.3ポイント (注9) |
4.0ポイント (グループ連結) |
|||||
|
重大法令違反件数(注10) |
0件 |
0件 |
|||||
|
グループ・グローバル共通でのサプライヤー向け ガイドライン策定・展開によるガイドライン遵守率 (カーボンニュートラル目標2030年度▲25%以上 (2019年度比)含む) |
グループ・グローバル5地域 (米・中・欧・印・亜)への仕入先周知完了 |
100% |
(注1) 成長領域の定義は、2023年9月14日公表の中長期事業戦略説明会資料P8
(https://www.aisin.com/jp/investors/business-briefing/)に基づく
(注2) MAU:Monthly Active Users、月に1回以上利用があったユーザー数
(注3) 2024年度実績は、当社サステナビリティサイト(https://www.aisin.com/jp/sustainability/)にて公開予定
(注4) 2024年度実績は、当社サステナビリティサイト(https://www.aisin.com/jp/sustainability/)にて公開予定
(注5) 「第7次アイシン連結環境取組プラン」での係数を用いたCO2排出量
(注6) 死亡災害又は一時に3人以上の労働者が業務上死傷又は罹病した災害
(注7) 2024年度時点で共通の指標で管理をしている当社グループの12社(当社、アイシン高丘、アイシン化工、アイシン軽金属、アイシン開発、アイシン機工、アイシン辰栄、アイシン福井、豊生ブレーキ工業、アドヴィックス、アイシンシロキ、アート金属工業)の数値を基に算出
(注8) 2024年度時点で共通の指標で管理をしている当社グループの主要会社4社(当社、アイシン高丘、アイシン化工、アドヴィックス)の数値を基に算出、管理職の定義は基幹職(課長)以上
(注9) 2024年度時点で共通の指標で管理をしている当社グループの主要会社4社(当社、アイシン高丘、アイシン化工、アドヴィックス)の数値を基に算出
(注10) 重大法令に違反する犯罪行為又は最終的に刑罰につながる行為
自動車業界では、カーボンニュートラル、電動化、知能化の流れが一層加速しており、産業構造が大きく変わりつつあります。当社グループはこの変化を機会と捉え、電動化・知能化など成長領域の開発を加速しています。このような中、気候変動と人的資本は中長期的な企業価値に影響を与える重要なサステナビリティ課題と認識し取り組んでいます。詳細は「(2)気候変動への対応(TCFD提言への取り組み)」、「(3)人的資本」をご参照ください。
(2)気候変動への対応(TCFD提言への取り組み)
当社グループは、2019年11月にTCFD(気候関連財務情報タスクフォース)へ賛同し、TCFDの提言に基づきシナリオ分析を実施しています。気候変動がもたらす事業活動へのリスクと機会を明確にしてその対応を経営戦略に盛り込むとともに、関連情報を開示しています。
① ガバナンス
気候変動への対応を重要な経営戦略と位置付け、グループとして注力すべきマテリアリティに選定しています。「サステナビリティ会議」、「環境委員会」、「カーボンニュートラル推進会議」で議論した内容を取締役会に付議・報告し、必要に応じて事業戦略・計画を修正しています。
※詳細は、「(1)全般的な考え方及び取組」をご参照ください。
② 戦略
「生産」と「製品」の両軸で2050年カーボンニュートラルの実現を目指しています。生産面では、徹底した省エネ活動や革新生産技術の開発によるエネルギー使用量削減、再生可能エネルギーや新エネルギーなどのクリーンエネルギーの導入・切替を実施します。
製品面では、電動車向け製品の更なる進化、エネルギーと資源の循環システムの普及を進め、モビリティ・エネルギー技術融合による新価値創出を目指します。
また、TCFD提言が推奨する定義を踏まえた気候変動に伴う移行・物理的リスク、機会を分析し、定期的に対応を決定しています。
<気候変動のリスクと機会、当社グループの対応>
区分 |
リスク/機会 の種類 |
影響段階 |
当社グループへの影響 |
時間軸 長・中・短 |
財務影響 大・中・小 |
対応 |
移行 リスク |
市場 |
調達 |
低炭素原材料の需要が高まり必要な原材料の価格高騰による調達コストの増加 |
中 |
大 |
・製品設計時点での軽量化や材料置換による使用原材料の削減 ・サーキュラーエコノミーの推進による購入原材料の削減 |
新たな規制 |
直接操業 |
炭素税や再生可能エネルギー導入などの政策によるコストの増加 |
中 |
大 |
・エネルギー使用ミニマム化に向けた省エネ活動の推進 ・地域ごとの特徴を活かした再生可能エネルギーの導入 |
|
製品需要 |
電動化の推進で電動車向け製品需要が拡大する一方、ガソリン車向け製品需要が減少 |
中 |
大 |
・2030年までにパワートレインユニット販売台数の電動化率増加を見据えて製品構成を電動車向けへシフト ・高効率&小型化の電動ユニット、回生協調ブレーキ、熱マネジメントシステムや空力デバイスなど、幅広い製品によるモビリティの電動化とエネルギーソリューションでカーボンニュートラルへ貢献する製品の拡販を強化 |
||
物理的 リスク |
急性 |
直接操業 |
気象災害(大雨、台風、洪水など)の発生頻度増加や激甚化による被災時のサプライチェーン寸断の発生や一時的操業の停止 |
短 |
中 |
・異常気象発生時における行動基準及びルールの策定 ・調達物流のBCP高度化 ・リスクのある拠点を抽出して定期的にモニタリング ・浸水対策計画の策定、実施 |
機会 |
製品需要 |
製品・ サービス |
電動化の推進による電動車向け製品の需要拡大 |
中 |
大 |
・高効率&小型化により電費向上した電動ユニットのスピーディな市場投入 ・車種別ユニット共通化、材料使用量低減によるコスト低減 ・回生協調ブレーキシステム進化による電動車の航続距離向上 ・関連製品の生産能力拡大 |
CO2削減に寄与する製品・サービスへの需要拡大に伴う新規事業創出 |
中 |
中 |
・ペロブスカイト型太陽電池の市場投入・シェア確保 ・ヤシ殻由来のバイオ成型炭の販売 ・CO2を炭酸カルシウムとして固定化する技術の事業化 |
|||
省エネルギーかつ低炭素排出の製品需要の拡大 |
中 |
中 |
・高効率で安定したエネルギー供給や、停電時の自立発電機能によるレジリエンス向上に貢献する家庭用燃料電池コジェネ「エネファーム(SOFC)」のさらなる高効率化と拡販 ・自治体と協業で脱炭素事業を推進し、街づくりへ貢献 |
|||
資源効率性 |
直接操業 |
エネルギー効率化によってエネルギー消費量が減少し、エネルギー調達コストが減少する |
中 |
大 |
・動力源、熱源、無駄レスの徹底による省エネルギー化 ・革新生産技術の開発 ・CO2の回収・利活用(メタネーション等)やバイオ成型炭等の導入によるクリーンエネルギー化 |
(注) <時間軸> 短:~2025年度、中:~2030年度、長:~2050年度
<財務影響> 大:100億円以上
中:10億円以上100億円未満
※財務影響小は開示対象から除外
③ リスク管理
当社グループに影響を与えるリスクはリスクマネジメント委員会で特定・抽出されます。その中でも最重点に位置づけられた気候変動リスクは、環境委員会等において定期的にモニタリング・管理しています。また、各国の法規制、ステークホルダーとの対話、CDPなどの外部評価、顧客動向を受け、対応策の検討・見直しを実施しています。一方で、CO2削減に寄与する電動化などの製品・サービスの需要拡大は当社にとって機会であり、経営及び事業戦略に織り込むことで、企業価値の更なる向上につなげていきます。
④ 指標及び目標
<2030年度目標>
・生産CO2排出量(スコープ1、2):2013年度比50%以上削減
・ライフサイクルCO2排出量(スコープ1、2、3):2019年度比25%以上削減
<2035年度目標>
・生産CO2排出量(スコープ1、2):カーボンニュートラル
<2050年度目標>
・ライフサイクルCO2排出量(スコープ1、2、3):カーボンニュートラル
<実績>(2023年度※)
・生産CO2排出量(スコープ1、2):228万t-CO2(2013年度比18%削減)
・ライフサイクルCO2排出量(スコープ1,2,3):2,522.4万t-CO2(2019年度比3%削減)
※2024年度実績は、第三者検証後に当社サステナビリティサイト
(https://www.aisin.com/jp/sustainability/)にて公開予定
(3)人的資本
① 人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する取組
当社グループでは、働く仲間一人ひとりが主役であり、「働く仲間」こそが強みであると考え、経営理念の提供価値の最初に「働く仲間」を位置づけています。経営理念・事業戦略の実現に向けたチャレンジを通じて、主体的な成長を促し、働く仲間へ働きがいと人生の幸せを提供します。
今までの急激な量的拡大期では、効率よく成果を出し続ける力が求められてきました。しかし今後は、これまでの延長線ではなく、社会のニーズや変化を先読みした商品を開発し、提供する必要があります。私たちは、これまで培ったアイシンらしさを活かしながら、価値提案型で機敏に対応できる組織へと変革していかなければなりません。
そこで、2030年に向けた人・組織の目指す姿を「グループ・グローバル連結でチャレンジ推進」「どこよりも人が育ち、全員が活躍」している状態と整理し、すべての活動のベースに「風通しの良い職場風土づくり」を置くとともに、「プロ人材の活躍・成長」「チャレンジの促進」「グループ総合力の強化」の3つに重点を置いて、人的資本の拡充を推進しています。
(ⅰ)戦略
(a)プロ人材の活躍・成長、チャレンジの促進
正解のない時代において、新たな価値を生み出していくには、大きく社会、そしてお客様第一で課題を抽出し、自発的に行動できる多様な人材の全員活躍が必要です。
目指す人材像を「プロ人材」=「全体最適で持ち場・立場で自発的に考え行動する人」と定義し、プロ人材としての基盤能力の成長を促進するとともに、「チャレンジする人・職場づくり」をキーワードに、企業風土そのものの変革を推進しています。プロ人材のチャレンジを測る指標として、社員意識調査において、仕事のやりがい、成長、能力発揮などを示す「働きがい」を重点KPIと置いています。
2022年から段階的に人事制度改定を実施し、2025年4月に従業員の人事制度改定を完了しました。新人事制度運用を通した個々の役割やテーマの明確化による主体性の喚起、そしてその職責や成果にタイムリーに報いることで、個々の能力発揮と伸長、全員活躍を目指します。また、主体的な行動を増やしていくため、全管理職を対象とした個を活かすマネジメントへの変革活動を推進し、取り組みの結果として約6割の管理職が部下の意識・行動変化を実感しています。
引き続き、新人事制度の理解・浸透や育成施策を通じた主体性喚起、継続したマネジメント変革活動に加え、個々のチャレンジの方向性と会社の向かうべき方向性を合わせるための経営理念・事業戦略の浸透などの取り組みを通じて、一人ひとりのプロ人材としての活躍・成長とチャレンジを促進します。
(b)グループ総合力の強化
当社グループは、競争力強化に向けて、分社経営からグループ経営へと舵を切り、グループ会社の役割・位置づけの見直しを推進しています。グループ経営を実現・加速するため、国内においては、事業再編に向けた技術者のリスキル、役員を含めた会社・組織を越えたリソーセスシフトや人材交流など、組織や人材配置の最適化をはかっています。また、海外においては、事業拡大を支える人材の確保に向けて、組織・国境を越えた協働・事業成長を先導するリーダーの育成や最適配置などに取り組んでいます。
また、イノベーションを絶えず起こし、新しい価値を提供するとともに、持続的に事業を支える人材を確保し続けるために、ダイバーシティ&インクルージョンを推進しています。女性管理職比率を重点KPIと位置づけ、両立支援制度の拡充に加え、男性育休取得100%を5年連続で達成するなど、制度を利用しやすい環境づくりも積極的に進めており、「なでしこ銘柄」(主催:経済産業省、東京証券取引所)に2021年~2024年の4年連続選定されました。働く仲間全員が性別や年齢を問わず職場で貢献し続けられるよう、特に女性、シニアの活躍を強化しています。女性活躍は女性個人の課題から組織課題へ視野を広げ、管理職の働き方改革、管理職候補の母集団形成などに取り組んでいます。シニア活躍に向けては、再雇用制度を改定し、いつまでも活躍し続ける人に報いるとともに、技能職場で工程の負荷軽減、表示文字の大きさ調整、作業のシンプル化など、誰が行っても同じ成果が得られる工程づくりなどの環境整備を推進しています。
(ⅱ)指標及び目標
(a)プロ人材の活躍・成長、チャレンジの促進
2024年度の指標及び目標(2025年度より新しいマテリアリティを踏まえ見直し予定)
指標 |
実績 (2023年度) |
実績 (2024年度) |
目標 (2030年度) |
働きがい (社員意識調査より) |
3.4ポイント |
3.3ポイント |
4.0ポイント |
(注) 指標は5段階評価。働きがいは「仕事の充実感」、「仕事の適応感」の設問で測定しています。
(b)グループ総合力の強化
指標 |
実績 (2023年度) |
実績 (2024年度) |
目標 (2030年度) |
女性管理職比率 |
2.6% |
2.8% |
6.0% |
(注) 次年度以降、連結グループ共通の指標を設定予定です。
② 社内環境整備に関する取組
(ⅰ)戦略
グローバルに事業を展開する企業として、構内で働くすべての人が安全かつ健康的に働ける職場環境を維持・構築することは、あらゆる事業現場において実現されるべき重要な経営課題と位置づけています。当社グループは、いかなる際も「安全と健康はすべてに優先する」という考えを企業価値創造の重要な基盤と捉え、全従業員の安全と健康の向上に取り組んでいます。
私たちは、重大災害・休業災害の根絶に向けて、徹底的な再発防止活動と、健康意識の向上及び健康行動の習慣化に向けた各種施策を推進しています。2030年グループ安全ビジョンにおいてKPI項目を設定し、安心して働け、心身ともに健康で生き生きと活躍し続けられる職場環境づくりに取り組んでいます。
(a)安全衛生
2020年度より、リスク管理及びパフォーマンス改善を可能にする労働安全衛生マネジメントシステムを、構内請負業者を含めた当社グループで導入しています。社内外の課題や働く人及び利害関係者の要求事項を受け、年に1度、リスクと機会の抽出を実施し、その結果から取り組むべき課題に優先順位をつけ、次年度の安全衛生計画に反映させ、目標達成に向けた活動を推進しています。また、活動結果やその他変動要因を踏まえ、マネジメントレビューを実施し、次年度に向けた方向性を明確にした上で、活動のレベルアップをはかっています。
(b)健康
従業員の健康増進を経営課題の一つと位置づけ、2021年4月に「アイシングループ健康宣言」を策定し、グループ従業員一人ひとりの健康意識の向上と健康行動の習慣化に向けた健康経営を推進しています。少子高齢化による労働力不足を重点課題と捉え、労働力確保の観点からシニア層や女性が働き続けられる環境整備を進め、すべての人が心身ともに健康な状態で能力が発揮できるように、戦略マップに落とし込み、活動に取り組んでいます。
(ⅱ)指標及び目標
(a)安全衛生
重大災害・休業災害の根絶に向けて、徹底的な再発防止活動と、安全意識の向上及び安全行動の習慣化に繋がる各種施策を推進しています。
指標 |
実績 (2023年度) |
実績 (2024年度) |
目標 (2030年度) |
重大災害件数 |
0件 |
0件 |
0件 |
(b)健康
健康経営の実現に向けて、プレゼンティーイズムパフォーマンス度を評価指標として採用しています。
2030年度85%以上を目指し、未然・再発防止対策をはかりつつ、不調者を重症化させないため、職場上司による早期発見・対応の更なる実践力向上を推進していきます。
指標 |
実績 (2023年度) |
実績 (2024年度) |
目標 (2030年度) |
プレゼンティーイズム パフォーマンス度 |
83.1% |
76.0% |
85.0% |
(注1)プレゼンティーイズム:何らかの疾患や症状を抱えながら出勤し、業務遂行能力や生産性が低下している状態
プレゼンティーイズムパフォーマンス度:SPQ(東大1項目版)を用いて算出。健康な状態で発揮できるパフォーマンスを100%とした時に過去1ヶ月で80%以上発揮できたと感じる社員の割合
(注2)2024年度時点はグループ各社で指標が異なるため、当社単体の数値を基に算出しています。