2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)海外での事業展開リスクについて

当社グループの生産及び販売活動につきましては、北米やアジア等、日本国外に占める割合が高まる傾向にあります。そのため当社グループが進出している国や地域において、予測不能な自然災害やテロ、戦争、その他の要因による社会的混乱、労働災害、ストライキ、疫病等の事象により事業の遂行に問題が生じる可能性があります。そのような場合には、海外事業の立上げや運営、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2)特定産業への依存度が高いことへのリスクについて

当社グループは独立系の自動車部品メーカーであり、特定の顧客への依存度は高くはありませんが、自動車産業への依存度は高くなっています。従いまして、当社グループの業績は国内及び海外の日系自動車メーカーの自動車生産台数の増減に影響を受けます。また、当社グループが供給している部品群は内燃機関と変速機を動力・伝達機構とする従来型(ハイブリッド車含む)の車両向けが主力であるため、動力・伝達機構が内燃機関を有さないモーターと、変速機を必要としない減速機のみによる駆動等に変更された場合、自動車の生産台数は減少せずとも部品構成の変更に伴い影響を受けます。この対応として、EV化が進んでも残る車両部品や車両向け以外の部品の獲得、新規事業の立ち上げ等を進めております。また、樹脂部品事業につきましても主要な事業領域は車両関連部品となりますが、こちらは動力・伝達系以外の部品が多く、医療等の異分野にも販売を行っているため、これらの売上を増やすことによって事業の多様化につなげていきたいと考えております。

 

2022年3月

2023年3月

2024年3月

当社グループの売上高(千円)

20,533,642

21,842,083

23,655,968

金属関連部品事業売上高(千円)

17,938,721

18,994,736

20,577,227

金属関連部品事業売上比率(%)

87.4

87.0

87.0

 

(3)在庫リスクについて

当社グループは独立系自動車部品メーカーとして、国内完成車メーカー11社との直接取引をはじめ多くのユニットメーカーと取引を行っております。当社での生産におきましては、客先の生産計画に基づく、週・旬・月単位での内示情報と過去の流動傾向を基にした見込生産がかなりの部分を占めております。当社グループといたしましては、より正確な情報を得て見込みが大きく狂わないように努力いたしておりますが、見込生産量と実際の受注量に大きな差異が生じた場合には、過剰在庫となって業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当期の客先各社の生産状況は、部品供給の正常化により回復基調で推移しましたが、サイバー攻撃や工場での災害、認証不正、自然災害等の発生により度々生産調整が掛かり、これらが最も重なった第4四半期には大きく減速しました。当社では製造リードタイムの関係から客先からの内示を元に計画を立てて生産しており、直前の変更には対応が難しい面があり、結果当社グループの当期末の在庫金額は前期末に比べて9.9%増加しました。

(4)為替変動リスクについて

当社グループの業績及び財務状況は、為替の変動によって影響を受けます。為替変動は当社グループの外貨建て取引から発生する資産及び負債の日本円換算に影響を与えます。また、為替変動は、外貨建てで取引されている製品の価格及び売上高の日本円換算に影響を与えます。これにより、当社グループの競争力にも影響し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

現在歴史的な円安が続いていますが、円安による当社グループへの影響は基本的にプラス方向となります。しかしながら、為替が円安から円高へ急激に変化した場合には、外貨資産の換算損が発生します。当社では、長年の取引で得た外貨を外債等により運用して参りましたが、これによる外貨資産がそれなりに大きくなり、為替による大きな差益や差損を発生させておりました。最近の大幅な円安に伴いこれら外貨資産の円換算額が増加しましたが、円高に転じた場合の差損影響をヘッジすることを目的に、現在外貨資産の円資産への転換を進めており、今後も為替相場を見ながら外貨資産の圧縮を進めて参ります。

 

(5)品質リスクについて

当社グループは、客先からの厳しい品質要求に応えるべく品質保証体制を確立し、常に品質向上に努めております。しかしながら、それでも製造工程等で品質不具合が発生・流出した場合には、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(6)市況変動リスクについて

当社グループの金属関連部品の主要材料である普通鋼・特殊鋼や非鉄材料、樹脂関連部品の主要材料である樹脂の調達価格は、市場の取引市況に大きく左右されます。生産に必要な消耗品類につきましても、原油やその他の原材料市況に影響を受けるものが多くあります。昨今の資源高と歴史的な円安、労働力不足や2024年問題等もあり、モノの値段は上昇する傾向にあります。市況変動により当社グループの調達価格が大きく変動した場合や鉄などのスクラップ価格が大きく変動した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

主要材料である鉄鋼・樹脂等の調達価格上昇に対しては、客先への売価反映を交渉して回収しておりますが、客先各社の対応も様々であり、全額回収が難しい客先や回収期間が遅れる客先があります。主要材料以外でも消耗品や副資材、電力・ガス等の価格上昇分の転嫁を客先各社と交渉し、一部は回収出来ております。来期は、労務費上昇分の価格転嫁交渉を進めて参ります。客先によっては満額回収が難しいのが現状ですが、粘り強く交渉を行い、適正な費用回収が出来るように努めて参ります。

(7)自然災害その他のリスクについて

地震・洪水等の自然災害や火災等の事故、感染症等の蔓延によるサプライチェーンの寸断等の社会的混乱が発生した場合、事業活動の停止や機会損失、復旧のための費用負担等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。この度の能登半島地震も日本全国に大きな影響を及ぼしており、地震大国日本では常に備えておかなければならないリスクだと認識しております。これらのリスクにつきましても日頃から出来る備えはしっかりと行い、出来得る限り発生時の影響を低減出来る様に努めて参ります。

 

配当政策

3 【配当政策】

長期安定的配当の維持を基本とし、業績や経営環境等を総合的に勘案しながら株主の皆様のご期待にお応えして参りたいと考えております。

当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。

これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

当社は、株主への機動的な利益還元を見据えて、剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めがある場合を除き、取締役会の決議によって定めることができる旨定款に定めております。 但し、剰余金の配当につきましては、株主の皆様の意見が反映できるよう株主総会において決定することとしております。

当事業年度の配当につきましては、厳しい経済環境の中、中間配当を1株あたり22円、期末配当を1株あたり22円で実施し、これにより当期の年間配当は、1株あたり44円となります。

内部留保につきましては、今後の事業展開に備え、より一層の企業体質の強化・充実を図るための投資に充当いたしたいと考えております。

当社は、「取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる」旨定款に定めております。

なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下の通りであります。

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2023年11月14日

定時取締役会決議

132,925

22

2024年6月25日

定時株主総会決議

132,924

22