人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数32,088名(単体) 194,173名(連結)
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平均年齢44.5歳(単体)
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平均勤続年数21.3年(単体)
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平均年収8,955,000円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
(注) 従業員数は就業人員です。また、( )内に臨時従業員の平均人数を外数で記載しています。
(2) 提出会社の状況
(注) 1 従業員数は就業人員です。また、( )内に臨時従業員の平均人数を外数で記載しています。
2 平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでいます。
(3) 労働組合の状況
提出会社、連結子会社ともに、労使関係は安定しており特記すべき事項はありません。
提出会社の状況
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
(注) 1 管理職に占める女性労働者の割合については、当事業年度末日を基準日としています。また、男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異については、当事業年度を対象期間としています。
2 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年(平成27年)法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
3 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年(平成3年)法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年(平成3年)労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等および育児目的休暇の取得割合を算出したものです。
4 当社の労働協約適用会社である㈱本田技術研究所、㈱ホンダ・レーシング、学校法人ホンダ学園、㈱ホンダアクセスを含んでいます。
② 主要な連結子会社
(注) 1 管理職に占める女性労働者の割合については、当事業年度末日を基準日としています。また、男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異については、当事業年度を対象期間としています。
2 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年(平成27年)法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
3 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年(平成3年)法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年(平成3年)労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等および育児目的休暇の取得割合を算出したものです。
4 連結子会社のうち主要な連結子会社以外のものについては、「第7 提出会社の参考情報 2 その他の参考情報 (2) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しています。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来生じうる実際の結果と大きく異なる可能性もあります。詳細は「3 事業等のリスク」を参照ください。
(1) ガバナンス及びリスク管理
① ガバナンス
当社グループは、「基本理念」、「社是」および「運営方針」の3つから構成されている「Hondaフィロソフィー」に根ざした企業活動を推進しています。
当社グループでは、長期経営方針や中期経営計画は経営会議(議長:取締役 代表執行役社長 最高経営責任者)や取締役会で承認・決議しています。気候変動問題への対応を含む最終的な監督機関は取締役会であり、経営会議では取締役会の決議事項等について事前審議を行うとともに、取締役会から委譲された権限の範囲内で、経営の重要事項について審議しています。
また、事業活動に伴う様々なリスクへ対応し、社会と当社グループの永続的な発展に向けた事業運営の監督を行う必要性から、気候変動問題への対応を含む「ESG・サステナビリティ」を必要スキルの一つとして定め、取締役を選任しています。各本部・統括部や各子会社では、全社の長期経営方針や中期経営計画に基づき、実行計画・施策を企画・推進し、重要事項については経営会議で適宜、報告・承認されています。
「環境」「安全」「人材」「人権」「労働安全衛生」「品質」「サプライチェーン(購買・物流)」などの各領域では、会議体を設け、情報共有や議論などを通じてグローバルマネジメントを推進しています。また、気候変動問題への対応など、部門をまたぐ重要課題については経営メンバーが直接指揮を執る「部門横断タスクフォース」を組成し、実行計画・施策の検討提案を適宜行い、重要事項については経営会議で報告・承認されています。
また、各領域に関するコンプライアンスやリスク管理については、当社の内部統制システム整備の基本方針に基づいて運用されています。
取締役会が監督責任を有するKGIや経営会議が執行責任を有するKPIは、取締役会や経営会議が進捗を定期的にモニタリングすることで、経営ガバナンスの強化をはかっています。財務指標および非財務指標に連動した役員報酬制度については「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4) 役員の報酬等」を参照ください。
② リスク管理
「Hondaグローバルリスクマネジメント規程」を制定し、リスクを能動的にコントロールすることで、「持続的成長」や「経営の安定化」につながる活動を行っています。リスクマネジメントオフィサー監視・監督のもと、当社グループの有形・無形の資産、企業活動、ステークホルダーに重大な被害・損失を与え、企業経営に影響をもたらす可能性があるものと定義したリスクを分類・管理・対応しています。各組織でリスクの特定・評価を実施し、その評価結果をもとに各本部のリスクマネジメントオフィサーが「本部重点リスク」を特定しています。また、社内のリスク認識に加え社外のリスクトレンドも反映し、コーポレートとして重要なリスクを「全社重点リスク」として特定し、対応状況の確認・議論を行っています。リスクマネジメントに関する重要事項については、リスクマネジメント委員会で審議しており、実施内容については経営会議で適宜報告されています。
(2) 重要な戦略並びに指標及び目標
① 戦略
当社グループは、「環境」と「安全」は何よりも真摯に向き合うべき社会課題であると捉えています。それぞれ「環境負荷ゼロ社会の実現」、「交通事故ゼロ社会の実現」をテーマに掲げ、実効性ある施策をスピーディーに展開していきます。
<環境戦略>
当社グループはすべての企業活動において環境負荷があることを認識しています。課題達成のためには企業活動を製品ライフサイクルに合わせた各工程に分けて、それぞれの環境負荷を考えることが重要です。Hondaが認識する主な環境負荷として、「CO2排出」・「化石燃料由来のエネルギー使用」・大量な「資源採掘・廃棄」、そして「生物多様性への影響」を設定しました。
当社グループは、持続可能な企業活動をめざし、それぞれが連鎖している環境負荷を網羅的に低減する取り組みに向けて、全社の重要テーマの一つを「環境負荷ゼロ社会の実現」と設定し、環境負荷への対応を4つのマテリアリティ(注)として定めています。
(注) 持続可能性の観点から網羅的に抽出した社会課題を、当社グループのめざす方向性に照らし優先順位を付けたうえで選定した「重要テーマ」において、特に注力していくべき課題
Triple Action to ZERO
「環境負荷ゼロ社会の実現」をめざした活動に向けて、2050年の二酸化炭素排出量実質ゼロ、カーボンフリーエネルギー活用率100%、サステナブルマテリアル率100%をめざす姿として、「カーボンニュートラル」「クリーンエネルギー」「リソースサーキュレーション」、この3つを1つのコンセプトにまとめた「Triple Action to ZERO」を中心にして、取り組んでいます 。
「Triple Action to ZERO」の3つの取り組みは密接に関連しており、それぞれの連鎖を考慮してシナジー効果の最大化をめざしていきます。
また「Triple Action to ZERO」の取り組みは、国際的な要求が高まっている、生物多様性の保全を含む自然共生にもつながると考えています。その推進においては“自然に根ざした解決策”(注)も考慮していきます。
(注) 自然生態系を保全・再生しながら社会課題への対応を進める取り組み(Nature-based Solutions(NbS))。
環境負荷ゼロ社会の実現に向けて、取り組むべきこと
マテリアリティ達成に向けた主要施策とマイルストーン
当社グループは、製品ライフサイクル全体での「2050年カーボンニュートラル」をめざして、4つのマテリアリティのうち、「気候変動問題への対応」と「エネルギー問題への対応」について優先度を上げて取り組んでいます。
優先的な実行施策として製品使用のCO2排出削減と企業活動のCO2排出削減を主要施策とし、より具体的な取り組みにつながる施策に細分化して取り組んでいます。具体的には、各事業領域の個別の製品群についてのCO2排出や各々の製品工場や製造設備の排出を積み上げ、製品・工場ごとのCO2排出削減量の把握につなげています。
マテリアリティ「資源の効率利用」に紐付く、長期的な負荷低減施策については、カーボンニュートラルの実現に向けて当社グループとして既存の枠組みを超えた新たな事業の取り組みが必要となる施策もあり、将来の上流・下流工程におけるCO2削減につながる仕込み段階にあります。
これらの取り組みは、マテリアリティ「生物多様性の保全」など自然への影響を考慮しながら進めていくことも重要と認識しており、「2050年カーボンニュートラル」をめざした取り組みのみならず、「環境負荷ゼロ社会の実現」のために長期的な視点を持って将来への取り組みを継続していきます。
また、社会全体におけるカーボンニュートラルを実現するために、モビリティの電動化に加えて、多角的なアプローチでチャレンジをしています。
<安全戦略>
当社グループは、「人の能力(啓発活動)」、「モビリティの性能(技術開発)」、「交通エコシステム(協働、システム/サービス開発)」をそれぞれ進化させ、組み合わせることでさまざまな要因により引き起こされる事故に対応します。
2030年に向けた大きな課題として、新興国で二輪車が関与する死亡事故を削減する必要があります。この課題に対応するため、「人の能力(啓発活動)」においては、インストラクターの養成や交通教育センター(注1)での企業向けの研修、個人向けのスクールを積極的に展開します。「モビリティの性能(技術開発)」においては、二輪車では、「ABS (注2)」「CBS (注3)」などの先進ブレーキシステム、視認性および被視認性を高める灯火器などの装備の適用を拡大します。四輪車では、新興国で二輪検知機能付「Honda SENSING」を、また、先進国で「Honda SENSING 360」をはじめとする先進運転支援システム(ADAS)の普及や機能進化を地域の実情に合わせて推し進めます。「交通エコシステム(協働、システム/サービス開発)」においては、交通安全に関する国連などの国際的な機関との連携を強化します。当社グループの長年の安全活動から培われた知見やノウハウを、こうした機関を通じて、新興国を中心とした各国へ提供することで制度改革、啓発、インフラ整備などの安全政策を支援します。
2050年に向けた大きな課題として、歩行者、自転車利用者、二輪車のライダーなどの交通弱者の死亡事故を削減する必要があります。この課題に対応するため、「交通エコシステム(協働、システム/サービス開発)」の取り組みを加速させます。具体的には、「安全・安心ネットワーク技術」の研究開発と、社会実装に向けた技術の標準化を推し進めます。
(注) 1 交通安全に関する社内外の指導者養成や、企業・学校・個人のお客様に安全運転教育を行う当社グループの施設
2 アンチロックブレーキシステム
3 コンバインドブレーキシステム
② 指標及び目標
<環境戦略>
当社グループは、「環境負荷ゼロ社会の実現」に向けて、取り組みを実行していきます。管理指標については以下のとおりです。
(注) 1 事業環境変化のため、有価証券報告書提出日時点で目標値の算出未了です。(統合報告書「Honda Report 2025」で更新予定)
2 2031年3月期生産計画を基に、削減に向けた対策・施策を行なわないと仮定した場合の推計値(Business As Usual)
<安全戦略>
当社グループは、2050年に全世界で、当社グループの二輪車・四輪車が関与する交通事故死者ゼロをめざします(注1)。また、そのマイルストーンとして2030年に全世界で当社グループの二輪車・四輪車が関与する交通事故死者半減をめざします(注2)。これらは、新車だけでなく、登録・届出されたすべての当社グループの二輪車・四輪車が対象となります。
2030年のマイルストーンの実現に向けて、四輪車では特に、衝突安全性能の強化や、先進運転支援システム(ADAS)の進化と適用の拡大、そして、二輪車では「ABS」や「CBS」などの先進ブレーキ、視認性および被視認性を高める灯火器の適用を拡大させる取り組みを進めます。これらの進捗状況を把握するため、管理指標(KPI)として、先進国の四輪車(注3)における「Honda SENSING 360」、新興国の四輪車(注4)における「Honda SENSING」、新興国の二輪車(注5)先進ブレーキ(「ABS」/「CBS」)など先進安全装備適用率を設定し、目標値を定め、着実に推進します。
指標と目標
(注) 1 当社グループの二輪車、四輪車が関与する交通事故:当社グループの二輪車・四輪車に乗車中、および歩行者・自転車・その他当事者(故意による悪質なルール違反、および故意により飲酒・薬物その他による責任能力のない状態の二つを除く交通参加者)が関与する交通事故。
2 2020年比で2030年に全世界で当社グループの二輪車・四輪車が関与する1万台当たりの交通事故死者数を半減。
3 日本、米国、中国、欧州
4 代表測定国:インド、インドネシア、マレーシア、タイ、ブラジル
5 代表測定国:インド、インドネシア、ベトナム、タイ、ブラジル
(3) 人的資本(人材の多様性を含む。)に関する戦略並びに指標及び目標
① 戦略
<当社グループの人的資本経営・人材戦略>
当社グループの人的資本経営とは、全社の方針である「一人ひとりの夢を原動力に人と社会を前進させる総合モビリティカンパニー」をめざし、事業戦略の到達点からバックキャストした将来必要な人材ポートフォリオを形成していくことです。そしてこれを実現するために中長期・短中期の観点から達成すべき二つの人材マテリアリティ(注1)を設定しています。さらに、人材マテリアリティごとに二つ、合計四つの主要テーマを設定しています。各テーマに対して経営管理指標(注2)および2031年3月期までの目標や、注力して取り組むべき施策を定めることで達成に向けて活動しています。なお、2025年3月期から人・組織についての重要課題を検討する経営会議の諮問機関を設け、経営戦略・事業戦略と人材戦略の連動を高めています。
(注) 1 マテリアリティ:持続可能性の観点から網羅的に抽出した社会課題を、当社グループのめざす方向性に照らし優先順位を付けたうえで選定した「重要テーマ」において、とくに注力していくべき課題。
2 経営管理指標:取締役会が監督責任を有するKGIや経営会議が執行責任を有するKPI。なお、2025年3月期以前は主要テーマに紐づく当該指標の対象範囲を日本(国内労働協約適用会社)としていましたが、2026年3月期以降は、戦略に基づく指標ごとに対象範囲を設定し、グローバル(国内労働協約適用会社および海外連結子会社)と日本(国内労働協約適用会社)に区分しています。
② 指標及び目標
<人材マテリアリティ(中長期観点):従業員の内発的動機の喚起と多様な個の融合>
- 主要テーマ①内発的動機を喚起する人マネジメント力の進化と組織活性化
・経営管理指標(KGI)および実績/目標
(注) 本指標の対象範囲は日本国内の労働協約適用会社および海外連結子会社ですが、2025年3月期までは前者のみを対象範囲としていた為、実績の対象は日本国内の労働協約適用会社に限られます。
・経営管理指標(KGI)の考え方
当社グループではグローバルブランドスローガン(GBS)の体現に当たり、挑戦や目標に対する「従業員の内発的動機」と「マネジメントの支援意欲」が高い状態を「従業員エンゲージメントスコアが高い」と捉えて指標を設定しています。
・計算式
各地域で実施している従業員サーベイ(一回/年)における2つの設問「従業員の内発的動機の高さ」、「マネジメントの支援意欲・後押し」それぞれに対する回答に占める肯定的回答率(5段階中4と5の回答率)の平均値。
- 主要テーマ②多様な個が融合し活躍できる組織風土の醸成
・経営管理指標(KPI)および実績/目標
(注) 1 女性管理職数比率は国内労働協約適用会社のみを対象とした指標
2 女性活躍の取り組みを着実に遂行するため、現状の実績を鑑みて年度別計画を精査し、2026年3月期の目標を3.0倍から2.1倍に見直しています。2031年3月期の目標は据え置きとし、目標達成に向けて取り組みを促進していきます。
・経営管理指標(KPI)の考え方
(インクルージョンスコア)
当社グループにおけるダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の実現に向け、職場におけるその浸透度を測定するためにインクルージョンスコアを新たに設定しています。
(女性管理職数比率)
日本では女性の活躍拡大を推進しており、女性管理職数比率を指標に設定しています。また、女性活躍推進法の行動計画にも準拠しています。
・計算式
(インクルージョンスコア)
各地域で実施している従業員サーベイ(一回/年)において「多様性受容度」「組織内での帰属意識・個の発揮」「心理的安全性」に関する設問スコアの平均値。
(女性管理職数比率)
日本において2021年3月期時点の女性の管理職数に対する倍数。
<人材マテリアリティ(短中期観点):事業上の注力領域における人材の量的・質的充足>
- 主要テーマ③事業戦略に資する人的資本グローバルマネジメント
・経営管理指標(KPI)および実績/目標
・経営管理指標(KPI)の考え方
注力領域に必要な要員数の充足状況をモニタリングする指標として設定しています。現在は、以前から注力領域の人材として位置付けていたソフトウェア開発人材に加えてバッテリー関連人材(注)も対象とし、両者を含む必要要員数に基づいて目標値を設定、取り組みを進めています。
(注) バッテリーのライフサイクル、バリューチェーンに関わる様々な人材
・計算式
注力領域の対象組織を特定し、事業計画に基づいて算出した必要要員数を分母、従事している従業員数を分子として人材充足率を計算。
- 主要テーマ④新領域で新たな価値を創出し続ける人材育成投資
・経営管理指標(KPI)および実績/目標
・経営管理指標(KPI)の考え方
注力領域の人材充足、新領域におけるトップクラスの技術優位性獲得に向け、これまで以上に人材育成を促進するために育成投資額を指標に設定しています。現在、注力領域の人材育成体系を構築し、専門性のレベルに合わせた教育プログラムの展開を行っていますが、今後も投資を積極的に拡大します。
・計算式
注力領域における上記取り組みへの投資額。
(4) 気候変動対応 (TCFDに基づく気候関連財務情報開示)
当社グループは「気候変動・エネルギー問題への対応」を環境分野における最重要課題の一つと考え、2021年4月に「2050年に、当社グループの関わるすべての製品と企業活動を通じ、カーボンニュートラルをめざすこと」を表明しました。当社グループは金融安定理事会(FSB:Financial Stability Board)により設置されたTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同しており、TCFDが提言する情報開示フレームワークに沿った開示を行っています。
① ガバナンス
当社グループは、ライフサイクルでの「環境負荷ゼロ社会の実現」に向けた取り組みをグループ全体で推進しています。当社グループは、長期経営方針や中期経営計画は経営会議(議長:取締役 代表執行役社長 最高経営責任者)や取締役会で承認・決議しています。
気候変動問題への対応を含む最終的な監督機関は取締役会であり、経営会議では取締役会の決議事項等について事前審議を行うとともに、取締役会から委譲された権限の範囲内で、経営の重要事項について審議しています。
また、事業活動に伴う様々なリスクへ対応し、社会と当社グループの永続的な発展に向けた事業運営の監督を行う必要性から、気候変動問題への対応を含む「ESG・サステナビリティ」を必要スキルの一つとして定め、取締役を選任しています。
各本部・統括部や各子会社は、全社の長期経営方針や中期経営計画に基づき、実行計画・施策を企画・推進し、重要事項については経営会議で適宜、報告・承認されています。各事業本部や各地域本部では、「グローバル環境事務局会合(事務局:コーポレート戦略本部)」で共有される情報をもとに、グローバルの中長期環境方針を踏まえ、実行計画を策定し、施策を推進しています。各地域本部では「地域環境会議」を開催し、地域本部内でのPDCAを推進しています。各事業本部では、地域の進捗状況をモニタリングし、事業本部内でのPDCAを推進しています。コーポレート戦略本部では各事業本部や各地域本部での進捗状況をモニタリングし、必要に応じて中長期環境方針や目標の見直しを検討します。なお、重要事項は経営会議にて報告・承認され、取締役会にて報告・決議されています。また、気候変動問題への対応など、部門をまたぐ重要課題については「部門横断タスクフォース」を組成し、実行計画・施策の検討提案を適宜行い、重要事項については経営会議で報告・承認されています。
気候変動を含む環境に関するコンプライアンスやリスク管理については、当社の内部統制システム整備の基本方針に基づいて運用されています。
当社グループでは「環境負荷ゼロ社会の実現」に向けて、取締役会が監督責任を有するKGIや経営会議が執行責任を有するKPIは、取締役会や経営会議が進捗を定期的にモニタリングすることで、経営ガバナンスの強化をはかっています。財務指標および非財務指標に連動した役員報酬制度については「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4) 役員の報酬等」を参照ください。
② リスク管理
当社グループでは、「リスクマネジメント委員会」において事業運営上重要なリスクを「全社重点リスク」として特定し、対応状況の確認・議論などを行っています。
気候変動関連リスクである、気候変動に起因する環境規制に関わるリスクや自然災害等リスクについてもこの管理・監視項目の中で把握し、組織特性を踏まえたより効果的なリスクマネジメント活動の展開をはかっています。
コーポレート戦略本部では、全社重点リスク等の社内のリスク認識に加え、社外のリスクトレンドも反映のうえ、TCFD提言に基づいたシナリオ分析を行い、気候変動関連リスクを評価・特定しています。気候変動関連リスクに関するシナリオ分析の結果は、リスクマネジメント委員会へ共有しています。
気候変動関連リスクへの対応は、コーポレート戦略本部、事業本部、地域本部を中心に、各本部・統括部、各子会社および「部門横断タスクフォース」で推進しています。
気候変動関連リスクへの対応を含むリスクマネジメントに関する重要事項については、リスクマネジメント委員会で審議しており、実施内容については経営会議で適宜報告されています。
リスクマネジメント活動におけるリスク評価・管理プロセスについては「(1) ガバナンス及びリスク管理」を参照ください。
③ 戦略
当社グループでは、より持続可能な企業経営実現のために、気候変動に対する短中長期のリスク・機会を評価、特定し、当社グループの全社戦略へ反映するとともに、技術・製品・サービスの進化により、新たな事業機会を創出することができるよう対応することで、企業としてのレジリエンスを高める取り組みを進めていきます。
<シナリオ分析の概要>
当社グループでは、気候変動が事業に与える影響を評価・考察するにあたり、パリ協定の目標である「産業革命前からの気温上昇を1.5℃未満に抑える」ことを想定した政策移行の影響が大きいシナリオ(1.5℃シナリオ)および環境規制が強化されず物理リスクが高まるシナリオ(4℃シナリオ)を含む複数のシナリオを設定し、TCFD提言にも推奨されるシナリオ分析を実施しています。
シナリオ分析では、TCFD提言の分類に沿って、気候変動関連リスクと機会を検討し、シナリオ下における中長期の財務影響度を可能な限り定量化し、評価・考察しました。なお、シナリオ分析は二輪・四輪・パワープロダクツ事業を対象としています。
TCFD提言に基づくシナリオ分析では、以下のシナリオを主に使用し、想定する世界観を整理しました。
(1.5℃シナリオ)
1.5℃シナリオでは、IEA(国際エネルギー機関)のNZE(Net Zero Emissions by 2050 Scenario)、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のAR6SSP1-1.9の報告内容を参考にしました。
1.5℃シナリオでは、長期的には世界全体で2050年カーボンニュートラルに向けた施策が推進され、新技術の開発や利用の促進により脱炭素製品が広く普及することや、再生可能エネルギーの利用が拡大することが想定されます。また、循環型経済への移行が加速することが想定されます。
自動車業界では、政策変化などによる不確定要素はあれど、長期的には燃費・ZEV規制がさらに強化され、先進国を中心にEVやFCEVの需要が増加する見込みです。さらに、二輪・四輪・パワープロダクツ事業において、脱炭素製品やサービスを好むお客様が増加するなど顧客価値観の変化が想定されます。
(4℃シナリオ)
4℃シナリオはIPCCのAR6SSP3-7.0を参考にしました。4℃シナリオでは不可逆的な環境の変化が想定され、自然災害が頻発化・激甚化することが想定されます。
<主なリスクと機会およびその対応(注1)>
(注) 1 記載されているリスクと機会ならびに対応は、すべてを網羅するものではありません。
2 影響が生じると見込み得る時間軸として、短期は1年以内(年度ごとの実行計画期間)、中期は2年から2031年3月期まで(中期経営計画期間)、長期は2031年3月期以降から2050年まで(カーボンニュートラルの実現に向けた基準年)で設定しました。
④ 指標及び目標
当社グループは、2050年にすべての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラルをめざしています。
指標目標については「(2) 重要な戦略並びに指標及び目標」を参照ください。