リスク
3 【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、これらの事項が発生する可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容を併せて、慎重に検討した上で行われる必要があります。なお、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から記載しておりますが、以下の記載は、当社株式への投資に関連するリスクを網羅するものではありませんのでご留意ください。また、本項における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
以下の各事項において、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した時に当社グループの経営成績等の状況に与える影響について合理的に予見することが困難な場合には、その可能性の程度や時期・影響についての記述は行っておりません。なお、当社はリスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」において定め、リスク管理の基盤としての内部統制システムと代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会において、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスク顕在化の予防を図っております。
(1) 景気の変動について
PR業界の景況感は慎重な傾向があります。企業のPRに関連する予算は景気変動の影響を受けやすく、当社グループの売上高は当該予算の影響を受けるため、当社グループでは顧客のニーズを掘り起こす活動を積極的に行ってまいりますが、景気の悪化等が進む場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 当社グループの新規事業開発について
当社グループは独自の企画による事業開発で競合他社との差別化を図っており、今後も時代のニーズに応えた当社グループ独自の施策の立案に取り組んでまいります。新規事業への取組に際しては、業界や競合他社の情報の収集及びマーケット動向調査や分析等を十分に行った上で実行判断をすることとしておりますが、これらの施策が必ずしも顧客に受け入れられる保証はなく、その場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 競合他社の状況及び新規参入について
当社グループのPR事業において、新規参入事業者は絶えず発生しておりますが、一見の新規参入事業者による多様なメディアリレーションの構築は一朝一夕で実現できるものではないため、参入障壁は高いものと判断しております。しかしながら、今後、さらなる他社の新規参入により競争が激化し、当社グループがこれらの競合企業に対して効果的な差別化を行うことができない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが新規事業を開始する際には、インターネット環境、モバイル機器の進化の状況、SNSやブログ等の利用状況といった情報環境の調査を綿密に行った上で事業開始の意思決定をしております。しかしながら、事業開始後に当該環境の変化や、同業他社等の新規参入があった場合、そこに新たな競合関係が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 法的規制について
① 下請代金支払遅延等防止法について
当社グループは、下請代金支払遅延等防止法(下請法)の適用対象となる取引につき事業者に委託を行う場合は、当該取引の相手方が資本金5,000万円以下の法人事業者であるか、又は個人事業者である場合、下請法の適用があります。当連結会計年度末現在、下請法に違反する事象は生じておりませんが、下請法違反の状態は各取引担当従業員の判断によって発生する可能性があり、下請法の禁止事項に抵触しないための社内体制整備を進めておりますが、今後、下請法違反が発生し損害賠償請求等を受けた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 著作権等の知的財産権の侵害について
当社グループは、制作物の制作にあたり、第三者の著作権等の知的財産権を侵害することがないように細心の注意を払っており、今までに第三者の知的財産権を侵害するような重大な問題が生じた事実はありません。しかしながら、知的財産権の対象は社会や技術の発展とともに増加していくため、網羅的に調査することは難しく、今後、第三者の知的財産権を侵害するような問題が生じて、損害賠償請求等を受けた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 個人情報について
当社グループは顧客満足度向上のために、多数の顧客情報を保有していることから「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」に定める「個人情報取扱事業者」に該当し、個人情報の取扱いに関して一定の義務を負っております。そのため当社では、個人情報取扱管理規程を策定し、社内の管理体制には万全を期しております。しかしながら、個人情報が外部へ漏洩するような問題が発生した場合、当社グループの信用低下による売上高の減少や損害賠償による費用の発生等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)について
当社グループは、顧客である医療機関からの委託を受けて、当該医療機関のために医療法上の規制対象である「広告」を行う場合があり、当該広告を行うにあたっては、同法及びこれを受けて策定された医療広告ガイドラインを遵守する必要があります。医療法等の適用がある広告を行う場合には、その都度、医療広告ガイドラインに則して違法な広告とならないかをチェックしており、違法の問題が生じないように社内体制を整備しておりますが、今後、違法な広告により損害賠償請求等を受けた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 取引慣行について
当社グループの事業においては、一定期間にわたって継続的に取引が発生する場合においては、業務委託時に契約文書を締結しております。一方、スポット業務の発注等においては、業界の慣習上、引合いから活動開始に至るまでの時間が極めて短期間で進行する場合があり、契約文書を締結しないまま業務を委託する案件もあります。当社グループは、契約文書を締結しない場合においても、注文書や受注に関するメールログ等の受注記録を必ず保存することにより取引先との間で受注内容の齟齬を生じさせない対応を徹底しておりますが、取引先との認識の食い違い等により当社グループの業務に対し取引先との取引が成立しない事態が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) サーバー利用契約について
当社グループのPR事業において提供するサービスには、レンタルサーバーの利用を基本とするメディアがあります。新規サービス開始の際には、レンタルサーバーが安定して利用できるような確認を行っておりますが、レンタルサーバーを提供する業者が破綻等の状態に陥り、レンタルサーバーの継続的使用が困難となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 人材採用及び教育について
当社グループが安定的な成長を確保していくためには、優秀な人材の確保が必要であります。当社グループの経営理念を理解し、賛同できる人材の確保を重要課題として、新卒採用だけでなく、異業種を含めた中途採用等、優秀な人材の獲得に取り組んでおります。また、人材教育に関しては、実践を通じた教育を通し、プロフェッショナルとなり得る人材を育成しております。しかしながら、当社グループの経営理念を理解し、賛同できる人材の確保及び教育が追いつかない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 制作費の高騰について
当社グループのPR事業において提供するサービスには、質の高いコンテンツを制作するサービスがありますが、質の高いコンテンツを制作するには、高度な技術が必要とされるため、人件費や外注費等が高騰する場合があります。今後、制作に関連する人件費や外注費等がさらに高騰した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 売掛金の回収について
当社グループは、売掛金の回収にあたり、一部を決済代行会社に委託しております。代金回収の手数料は契約によって定められておりますが、当該手数料の変動、又は何らかの事態が発生して当該契約が終了した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 情報システムについて
当社グループのサービスや社内管理システムは、コンピュータ・システムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、社内管理体制の充実と教育を推進し、情報技術の進歩や社会情勢の変化に応じて、見直しや改善を実施し、万全を期した体制を整えております。しかしながら、自然災害等偶発的な事由によりネットワークの機能が停止した場合、サービス提供に支障が生じる可能性があります。また、外部からの不正な手段によりコンピュータ内へ侵入され、重要なデータの不正利用、コンピュータ・ウイルスの感染により重要なデータが消去される可能性があります。このような状況が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 特定の役員への依存について
当社の創業者である代表取締役社長本田幸大氏は、当社の最高責任者であり、事業の立案や実行等会社運営において多大な影響を与えてまいりました。
現在当社では、事業拡大に伴って権限の委譲や業務分掌に取り組み、同氏への依存度は低下しつつありますが、不慮の事故等により同氏が当社の業務を継続することが困難となった場合には、当社の事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 内部管理体制について
当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のためには実効的なコーポレート・ガバナンスの実現が不可欠であると認識し、そのために、会社の業務執行が法令及び定款に適合することを確保するための内部管理体制を構築しております。しかしながら、社歴が短く、事業が急速に拡大しているため、例外的な事象には内部管理体制が追いつかない可能性があり、その場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13) ストック・オプション行使による株式価値の希薄化について
当社の役員及び従業員に対するインセンティブを目的とした新株予約権(以下「ストック・オプション」という。)を付与しております。これらのストック・オプションが権利行使された場合、新株式が発行され、株式価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。当連結会計年度末現在、これらのストック・オプションによる潜在株式数は399,200株であり、当連結会計年度末現在の発行株式総数7,268,200株の5.49%に相当しております。
新株予約権の詳細については、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2) 新株予約権等の状況」をご参照ください。
(14) 自然災害等のリスクについて
大規模な地震や台風等の自然災害が発生した場合、当社グループ及び当社グループ取引先の事業活動が困難となり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 調達資金の使途について
当社は2021年6月18日に東京証券取引所マザーズに上場し、それに伴う公募増資及び第三者割当増資により資金調達を行い、主に事業拡大のための採用活動費、人件費及び広告宣伝費に充当する予定であります。しかしながら、当社が属する業界の環境が急激に変化することも考えられ、その場合、現時点で計画している資金使途以外へ充当する可能性及び当初の想定していた投資効果をあげられない可能性があります。
(16) メディアとの関係について
当社グループにおいては、メディアとの継続的かつ良好な関係を維持することが、顧客へ提供するサービスの品質・効果における重要な要素となります。当社グループは、メディア各社に対し有用な情報を長期的かつ継続的に提供することにより、メディア各社との信頼関係を構築してまいりましたが、当社グループが誤った情報の提供等により、メディアとの信頼関係を失った場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(17) 投資ファンドに関するリスクについて
当社グループは船舶投資ファンド等を保有しており、為替等金融市場の影響を受けます。金融市場の動向によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(18) 与信管理と債権回収について
当社の主な顧客は法人、医療機関であり、顧客数は多数に及びます。顧客との取引開始前には与信調査を行い、取引期間中も継続して与信調査を行っております。また取引開始の際には前受金として事前に対価を受領する方針としており、与信リスクの低減に努めております。しかしながら、取引期間中に何らかの事情により顧客の与信が急激に悪化し、同時多発的に多額の債権回収が困難となった場合、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(19) 検索エンジンへの依存について
当社グループのPR事業のうち、ダイレクトブランディングサービスはYahoo!やGoogle等の他社が運営する検索サイトの検索結果に依存したサービスを提供しております。そのため、検索サイトの運営会社の事業戦略の転換等によって、当社グループが検索結果を利用できなくなり、サービスが展開できなくなった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループのサービスに関係のある検索サイトの利用者数減少や市場ニーズの変化、技術革新による代替サービスの登場、検索ユーザーの用途の変化や、検索ユーザーの減少等によるマーケティング媒体としての価値の低下が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
これらに対し当社グループでは、検索エンジンにおける検索結果を継続的にモニタリングし、検索アルゴリズムの変更に際して迅速に対応できるよう努めております。
(20) 大株主について
当社の代表取締役社長本田幸大氏は、同氏の資産管理会社である株式会社S&Sホールディングスの所有株式を含めると、当連結会計年度末現在において当社グループの発行済株式総数の58.94%を所有しております。
同氏は、中長期的に安定株主として一定の議決権比率を維持するとともに、その議決権行使にあたっては少数株主の利益にも配慮しつつ株主共同の利益を追求する方針です。しかしながら、将来において何らかの事情により大株主である同氏の議決権比率が低下した場合、当社株式の市場価格や議決権の行使状況等に影響を及ぼす可能性があります。さらに、特定の相手先へ当社株式の譲渡を行った場合には、当該譲渡先の方針により、当社グループの事業戦略等に影響を与える可能性があります。
(21) 特定のオウンドメディアへの依存について
当社の売上高総額に占める「KENJA GLOBAL」及び「私のカクゴ」等のオウンドメディアに係る売上高の割合は、2022年5月期30.85%、2023年5月期24.74%、2024年5月期21.33%であり、当社の売上高総額の一定の比率を占めている状況にあります。当社は、TV局・新聞社等の外部の提供可能な複数のメディアと提携しており、これらの代替的なメディアの売上比率を増加していくことで、当該依存度の低下を図っていく方針であります。しかしながら、何らかの事情によりオウンドメディアの売上高及び利益が急速に悪化し、かつ、代替メディアへのサービス変更が追いつかない場合は当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営の重要課題のひとつと位置付けております。事業基盤充実のため、業績動向及び財政状況等を総合的に勘案しながら、中間配当及び期末配当による株主の皆様への利益還元に努めることを基本方針としております。
長期的視野に立った安定的な成果配分を継続していくために、財務基盤の強化を前提として、株主還元における基本方針を配当と自己株式の取得を含めた総還元性向といたします。総還元性向の目標値を当期純利益に対する30%とし、残りの70%は成長投資に振り分けます。(ただし、大規模な資金需要が発生した場合にはこの限りではありません。)
配当と自己株式の取得の比率につきましては、市場環境等に基づき都度決定いたします。
この方針は、資本市場の動向や今後の事業環境を勘案し、当社の将来の成長投資機会を考慮した上で、株主の皆様への還元を積極的に行おうとするものであります。
なお、配当の回数は、期末配当として年1回又は中間配当を含めた年2回を基本方針としております。これらの剰余金配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会としております。なお、当社は会社法第454条第5項の規定に基づき、11月30日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。
(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。