2023年11月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

当社の将来的な事業展開その他に関し、リスク要因の可能性があると考えられる主な事項は以下のとおりです。。

当社はこれらのリスク発生の可能性を把握した上で、発生の回避及び発生した場合の早期対応に努めます。

具体的には、当社の事業遂行に関わる様々なリスクについてその主管部を定めてリスクごとに管理を行うとともに、リスクマネジメント委員会において個別リスク分析と重要性判断を行う管理体制を構築しております。詳しくは「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ②会社の機関の内容 eリスクマネジメント委員会」をご参照ください。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。

 

 (1) リスクの分類

当社は、管理対象とするリスクを、「外部環境」、「事業戦略」、「財務リスク」、「オペレーショナルリスク」、「エマージングリスク」の5つのリスクカテゴリーに分類しております。以下は、大分類ごとの主なリスクを示したものです。

 

  リスク項目

大分類

小分類

①外部環境

ESGリスク

(気候変動・経済環境変化・法改正等)

②事業戦略

戦略リスク

レピュテーションリスク

③財務リスク

流動性(資金繰り・市場)リスク

信用リスク

価格変動リスク

不正会計リスク

④オペレーショナルリスク

オペレーショナルリスク

事務リスク

情報セキュリティリスク

システムリスク

法務・コンプライアンス

人事・労務

事業継続リスク

⑤エマージングリスク

エマージングリスク

 

 

 (2) 重要性が高いリスク

「(1) リスクの分類」において管理対象とするリスクのうち、発生した場合の影響度及び発生可能性の観点から特に重要性が高いと評価されるリスクは以下のとおりです。

①外部環境

a.  法的規制・自主規制について (顕在化可能性:小 / 影響度:大)

当社は、生命保険代理店・損害保険代理店として「保険業法」に基づく登録を行っており、同法及びその関係法令並びにそれに基づく関係当局の監督等による規制・指導等を受けて、サービス提供及び保険募集を行っております。これら法令に違反する行為が行われた場合、もしくはやむを得ず遵守できなかった場合、当社の財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

特に代理店登録の取り消しに至った場合においては、事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。

また今後、保険業法等の関係法令、関係当局の解釈、自主規制等の制定、改廃等があった場合には、当社のサービス提供及び保険募集の方法等が制限を受ける可能性があります。

これらのリスクが顕在化する可能性は低いと考えており、今後、関係法令等の変更があった場合においても、当社はその都度、法改正等に対応し、新しいルールに適合する形でのサービス提供及び保険募集を行うことで対応できると考えております。

 

b. 大規模自然災害、戦争や感染症の流行について (顕在化可能性:小~大 / 影響度:小~大)

水害、地震等の自然災害、新型コロナウイルス感染症の流行等により、顧客との面談機会が減少した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクについては事象によって顕在化する可能性や影響度合いに差がありますが、当社では大規模災害の発生に備えて、「危機管理規程」「災害に関する事業継続計画(BCP)基本計画書」を制定し、緊急時に的確な対応が行える体制整備をしております。

また、コロナ禍において、テレワーク制度や「オンラインFP相談」の導入により影響を最小限に抑えることができたことから、これらは他の事象への対応においてもリスク低減に有効に機能すると考えております。

 

②事業戦略

a. 人材の確保について (顕在化可能性:中 / 影響度:大)

当社事業において、営業社員数の確保が最も重要な経営課題の一つです。しかしながら、人員計画どおりに採用が進まない場合や、退職者が急増した場合には、十分な営業社員数を維持できず、財政状態及び経営成績に影響を及ぼすことが考えられます。

また、管理部門の人材についても高度な専門性が求められ、優秀な人材の確保や人員の維持ができない場合には、事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性は高くないと認識しておりますが、採用強化とあわせ、従業員の定着率を高めるために、従業員エンゲージメントが向上する職場環境づくりへの取り組みによりリスク軽減を図っております。

 

b. 新規事業に係るリスク (顕在化可能性:中 / 影響度:中)

新規事業の展開は当社ブランド価値の向上に好影響を与え、主軸事業である保険代理業の伸展につながると考えます。しかしながら、計画どおりに新規事業展開ができない場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性は高くないと認識しておりますが、新規事業については段階的に効果測定しながら進めており、柔軟な計画変更によりリスク軽減が可能と考えております。

 

③財務リスク

当事業年度においては、顕在化可能性若しくは影響度において重要と判断すべきリスクはございません。経営環境の変化や財務の健全性について定期的なモニタリングにより、当該リスクの発生をいち早く察知し、顕在化並びに影響度の増大を抑制できると考えております。

 

④オペレーショナルリスク

a. 役職員の不祥事に係るリスクについて (顕在化可能性:中 / 影響度:中)

役職員の業務全般に関しては、関連法令等を遵守して業務に当たる姿勢が求められます。また、業務外においても適切でない商取引などに関与することのないように注意を払う必要があります。しかしながら、これらに関する個人の意識欠如が役職員の不祥事等につながり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスク低減のため役職員への法令遵守体制の強化と維持に取り組んでおり、定期的に業務全般に関するコンプライアンス研修と確認テストを実施し、法令遵守の周知徹底を図っております。また、業務外においても就業規則及び社会一般通念上の規範遵守はもちろんのこと、適切性の疑わしい事案等への関与がないよう社内研修を通じて注意喚起を行っており、リスク低減は実現可能と考えております。

 

b. 訴訟のリスクについて (顕在化可能性:中 / 影響度:中)

当社は事業活動を遂行する過程において、当社の顧客若しくは取引先とのトラブル、従業員との労働契約上のトラブルなど想定外の訴訟を受ける可能性があります。

訴訟になった場合、状況によっては裁判が長期化することや、和解・敗訴に応じることにより、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。顧客対応に関するコンプライアンス研修等や、取引先との定例ミーティングを行うことで対外的なトラブルの防止を図っており、当該リスクが顕在化する可能性は高くないと考えております。

 

c. 支配株主との関係について (顕在化可能性:小 / 影響度:大)

当社の支配株主である黒木勉は、当社創業者であり代表取締役社長です。

黒木勉と自身の資産管理会社である合同会社FPコンサルティング及び配偶者である黒木真澄を含めると、本書提出日現在で発行済株式総数の63.26%を所有しております。

黒木勉及び合同会社FPコンサルティングは、安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。しかしながら、双方の意見が必ずしも一致するわけではないため、支配株主の利益追求により当社の少数株主利益が損なわれる利益相反のリスクが生じる可能性があります。

 

⑤エマージングリスク

当事業年度においては「事業承継リスク」及び「予期せぬトラブルが発生した際のシステムリスク」をエマージングリスクと選定し、以下の対策を行いました。

a. 特定人物への依存について (顕在化可能性:小 / 影響度:小)

当社代表取締役社長である黒木勉は、創業者として企業文化の創造、経営方針、戦略の決定等に重要な役割を果たしてまいりました。そのため、何らかの理由により同氏の業務遂行が困難になった場合、精神的支柱を失い、当社の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性は低いと考えており、現在は経営に関する重要事項の意思決定、判断は取締役会が行っているため、顕在化した場合の影響度も低減できると考えております。

 

b. 予期せぬトラブルが発生した際のシステムリスク(顕在化可能性:中 / 影響度:大)

昨今、マルウェア感染のリスクは増大しており、ランサムウェア感染による脅迫被害や業務停止のリスクが高まっております。ローカルネットワークへの不正アクセスが発生し、システムの不具合や稼働停止が生じた場合は社会的信用が失墜し、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

当社では創業以来、事業の遂行に影響を与えるような大規模なシステムトラブルは発生しておらず、安定したシステム運用を行っております。セキュリティのアップデートや定期的なパトロール、従業員への標的型攻撃メール訓練等を実施することで想定されるリスクに対しての予防策を講じておりますが、さらなるセキュリティ対策により、強化を図ってまいります。

 

配当政策

3 【配当政策】

当社は、株主の皆様に対する利益還元を重要な経営課題であると認識しており、財務体質の強化と事業拡大のために必要な内部留保を考慮したうえで、配当性向45%を目安に安定的な配当を継続して実施することを基本方針としております。また、機動的な配当政策を図り、株主の皆様への利益配分を充実させるため、剰余金の配当等の決定機関を取締役会とし、中間配当及び期末配当の年2回実施できる旨定款に定めております。

当期の期末配当につきましては、2024年1月15日開催の取締役会決議により、1株当たり90円の配当とさせていただきました。

 

(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たりの配当額(円)

2024年1月15日

取締役会決議

2,086,872

90.00