リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断しております。
(方針及び体制)
当社グループは、リスクを適切に管理することは、企業価値を継続的に高め、社会的責任を果たすために、極めて重要な経営課題であると認識しております。従来、経営者や各事業責任者が、事業運営の中でリスク感度を高くし、リスクが高まれば、即時対応を行う体制をとっております。
現在、これまでよりもさらに予防的な対応を図り、全社的なリスク認識を共有するため、コーポレート統括本部内の法務・リスクマネジメント課により、各本部と連携しながら当社が直面しうるリスクの抽出を行ってリスクヒートマップを作成しております。また、重要課題に対応すべく、情報システム・セキュリティ管理規程や個人情報保護規程の策定、秘密保持契約書のひな型の整備、コンプライアンス研修を行う等、全社横断的なリスク管理の推進を図っており、今後も継続する計画としています。
(主要リスクの概要)
1.政治・経済情勢
当社グループは、世界80か国以上に事業展開しており、世界経済や海外の特定地域の固有の経済動向、特に、日本車保有台数の多いアジア、中南米等の開発途上国に幅広く展開していることから、当該国の政治並びに経済情勢の変化や為替変動の影響を受けます。
また、自動車業界の大変革期における市場環境の激変や自動車に対する意識変容等による影響が及ぶ可能性があります。
当連結会計年度における当社グループを取り巻く経済環境については、雇用・所得環境が改善する中、長期化する不安定な国際情勢、原材料・エネルギー価格の高騰、物価上昇、急激な為替変動、米国経済政策動向などにより世界経済への影響が懸念されて先行き不透明な状況が続いており、不測の事態が起きるリスクがあります。
上記のように政治・経済情勢は国内外を問わず常に移り変わり、リスクは常にあるものと認識しております。
当社では、グローバルなネットワークを構築しており、逐次、情報が経営者や各事業責任者に入るため、各種会議体で、適宜対応について、議論、検討できる体制となっております。
2.マーケットの環境変化
自動車部品業界においては、環境規制や電動化、自動運転技術の進展による大きなマーケット環境の変化が生じており、当社グループの業績へ影響を与える可能性があります。国内の自動車保有台数の減少や自動車の電動化による補修部品の需要減少も予測されますが、現状、国内の自動車保有台数は直近の10年間で約230万台増加しており、早期の悪影響はないものとみております。しかしながら、上記マーケット環境の変化に伴う将来のリスクを軽減すべく、安定した事業基盤をさらに強化して生産性の向上に取り組むことで付加価値の高い商品や市場ニーズに合った新規商材の開発を行い、新規事業領域の開拓を引き続き行ってまいります。
また、完成車メーカーの海外現地生産台数増加によって、当社の輸出の減少が懸念されるものの、海外事業等の市場の成長力の見込まれる部分については需要増を取りこぼすことなく国際情勢を注視しながら商権の強化を行い、また、当社グループの海外現地法人の調達・供給網を活用し、機会を捉えてまいります。
3.法令・規制、コンプライアンスに関するリスク
当社グループは、事業の性質上、関連する法令・規制が多岐にわたり、会社法、税法、外為法を含む貿易関連諸法、個人情報保護法、不正競争防止法、独占禁止法、下請法、贈賄防止に関する法令、暴力団排除条例、海外事業に係る当該国の各種法令・規制等があります。また、国内外の行政・司法・規制当局等による法令の制定・改廃、社会・経済・環境・安全に向けた各種規制の変更の可能性もあり、早期に関係法令の改正情報を入手する必要があります。
当社グループでは、リスクの重要度に合わせた対策を行うことで法令順守を図っております。具体的には、法務支援サービスや反社チェックツールを活用して改正対応や法令違反防止策を講じ、個人情報保護法や不正競争防止法への対応として規程やひな型の整備を行い、コンプライアンス意識を持つ風土醸成のために顧問弁護士に当社専用のコンプライアンス研修資料作成・講義を依頼して全社員に受講させる等の対策を講じてまいりました。
上記対策を実施しながらコンプライアンスリスクに対する監視を続け、状況に合わせて回避、軽減、転嫁、受容の対応を考えてまいります。
4.海外での販売活動
当社グループは、海外での販売活動においては、各拠点での危機事象の発生や、テロ行為、金融危機によるカントリーリスクおよび新興国からの廉価商品との競争激化により、当社グループの事業展開や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。また、長期化する不安定な国際情勢、急激な為替変動、米国経済政策動向などによって先行き不透明な状況であり、リスクが顕在化した場合、状況によっては債権回収や事業遂行の遅延・不能等により損失が発生しかねず、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループのグローバルなネットワークや情報共有・議論の行いやすい社内体制を駆使し、各国における情報収集を定期的に行ってリスクへの迅速な対応を図ります。
5.取引先の減産による影響
工機営業本部では、建設車輌をはじめ、フォークリフト、トラクター等の産業車輌を生産する大手メーカー向けに組付け用の部品・部材を供給しており、これら建設車輌・産業車輌メーカーが減産に転じた際には当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
上記影響を軽減するため、当社グループでは取引先メーカーのニーズにあった車輌・部品について増産するだけでなく、国内外問わず新しい市場や商材、顧客の開拓、安心・安全性能を向上させる製品開発、品質管理機能の強化等に取り組んでおりますが、引き続き重要な課題として認識し、対応してまいります。
6.のれんの減損
当社は、企業買収に伴い発生したのれんを連結貸借対照表に計上しております。当該のれんについては将来の収益力を適切に反映しているものと判断しておりますが、事業環境の変化等により収益性が低下した場合に、当該のれんについて減損損失を計上し、当社グループの事業展開や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。
当社では、減損を未然に防ぐため、買収前はより緻密なデューデリジェンスを行い、企業価値を見極め、潜在的リスクに対する対応を模索しております。また、買収後はPMIを体系化し、デューデリジェンス残課題やシナジーの最大化を推進するためプロセスの明確化を図り、実行中です。
今後とものれんについては、少なくとも年に一度、あるいは減損の兆候が認められる場合はより頻繁に確認を実施し、対応してまいります。
7.危機事象発生によるリスク
当社グループは、全国19か所、海外にも10か所に拠点があり、これらの地域で地震や津波等の自然災害、停電、感染症、テロ、その他事業を中断すべき危機的な事象が生じた場合、当社グループの社員や各拠点の設備・システムへの被害による事業拠点の休業、サプライチェーンの寸断や顧客及び取引先の事業停止・休業などの事業活動の制限が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響をもたらす可能性があります。
これらの危機事象発生に備え、感染症対策規程やBCPの策定、防災バッグを完備し、避難経路の掲示する等従業員の安全確保を最優先にリスクを軽減させる策を講じております。また、上記の通り、幅広く拠点を展開しているため、拠点間のバックアップ体制を整え、リスク回避、軽減に努めます。
8.情報システム・セキュリティに関するリスク
当社グループには小規模な海外拠点も存在し、外部からの予期せぬ不正アクセス、コンピューターウイルス侵入等による機密情報・個人情報の漏洩、トラブルによるシステム停止等のリスクは常にありうるものと考えており、被害の規模によっては、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
情報システム・セキュリティ管理については当社が遵守すべき情報システムの導入、総合的な管理及び運用の取扱いに関する社内規程を、個人情報に関しては近年個人情報保護法が頻繁に改正されることに伴い現状に適した内容の個人情報保護規程を策定し、規程に合わせた管理体制の構築や、啓もう活動・アンケート調査による社員への周知をしております。
9.その他のリスク
上記以外にも事業活動を進めていく上において、様々なリスクが当社グループの事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、こうしたリスクに対して適切な対応を選択すべく、リスク管理体制の強化に取り組んでおります。適宜取締役会その他経営会議へ連絡・報告を行う体制をとっており、当社を取り巻くリスクをヒートマップ化して可視化しております。今後、発生時の影響を最小限に抑えるための対策をより強化すべく、制度構築を進めております。
配当政策
3【配当政策】
当社は株主の皆様に対する利益還元を経営の最重要課題のひとつと位置づけたうえで、財務体質の強化と中長期的視野に立っての今後の事業展開に必要な内部留保を勘案し、安定した配当政策を実施することを基本方針としております。
内部留保資金につきましては、今後予想される経営環境の変化および市場ニーズに対応すべく、付加価値の高い基幹商品および環境に配慮した商品開発を強化するとともに、海外現地法人を育成・連携強化し、更なる事業拡大を図るために有効投資したいと考えております。
当社は「会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行うことができる。」旨定款に定めており、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを原則としております。
当事業年度の期末配当金につきましては、1株につき32円とさせていただきました。すでに、2024年12月2日に実施済みの中間配当金1株当たり28円とあわせまして、年間配当金は1株当たり60円となります。これにより連結配当性向は24.2%となります。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (千円) |
1株当たりの配当額 (円) |
2024年10月31日 |
282,522 |
28 |
取締役会決議 |
||
2025年5月9日 |
322,883 |
32 |
取締役会決議 |