リスク
3【事業等のリスク】
平山グループの事業等に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項は以下のとおりであります。平山グループは、これらのリスクの存在を理解した上で、当該リスクを極力回避するための最大限の努力をいたします。なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において平山グループが判断したものであります。
(1)大規模な自然災害と日本経済の動向等による影響
平山グループは、地震、台風、洪水、火災等の災害、地球規模の気候変動の進行による影響を受けた場合、また、戦争、テロ行為、コンピューターウイルスによる攻撃等が起こった場合やそれにより情報システム及び通信ネットワークの停止や誤作動が発生した場合、さらにコロナ禍の再拡大やインフルエンザ等の感染症が流行した場合、平山グループの事業活動が制限され、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、景気変動や社会環境の変化に伴い顧客企業からの人材需要が減少した場合や顧客企業の製造拠点の海外移管等により業績に大きな影響を与える可能性があります。
(2)法的規制等について
平山グループの主力事業であるインソーシング・派遣事業は、顧客構内での製造請負と製造派遣で構成されております。製造請負については、現時点では請負自体を規制する法律はありませんが、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する労働省告示第37号で示される労働者派遣との区分に則って取り組んでおり、コンプライアンスを確実に遵守した製造請負を推進しております。
平山グループの事業は、労働基準法、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(以下「労働者派遣法」という。)をはじめとする労働関係法令及びその他関係法令の規制を受けております。2015年9月には改正労働者派遣法が施行され、派遣需要の裾野は確実に広がりましたが、派遣元事業主には一層の雇用責任が求められることになりました。そのため、内部監査室が全国各支店を監査し関連諸法令の遵守状況を日々監視しております。
平山グループは、コンプライアンスを経営方針の最重要事項と位置付け、関係法令の教育、指導、管理、監督体制の強化等に努めておりますが、関連諸法令に違反するような事象が発生した場合には、労働局等所轄監督官庁により平山グループ及び取引先に対し是正勧告、業務改善命令、事業停止命令、事業許可取消等の処分が下され、平山グループの業績に甚大な影響を及ぼす可能性があります。
平山グループの許可状況
会社名 |
許可の名称 |
監督官庁 |
許可番号 |
取得年月日 |
有効期限 |
株式会社平山 |
労働者派遣事業 |
厚生労働省 |
派13-310767 |
2018年7月1日 |
2026年6月30日 |
有料職業紹介事業 |
厚生労働省 |
13-ユ-309562 |
2018年7月1日 |
2026年6月30日 |
|
株式会社トップエンジニアリング |
労働者派遣事業 |
厚生労働省 |
派13-040276 |
1995年4月1日 |
2028年3月31日 |
有料職業紹介事業 |
厚生労働省 |
13-ユ-040317 |
2000年6月1日 |
2026年5月31日 |
|
FUNtoFUN株式会社 |
労働者派遣事業 |
厚生労働省 |
派13-312372 |
2018年10月1日 |
2026年9月30日 |
有料職業紹介事業 |
厚生労働省 |
13-ユ-309971 |
2018年10月1日 |
2026年9月30日 |
|
株式会社平山GL |
労働者派遣事業 |
厚生労働省 |
派40-301124 |
2018年3月1日 |
2026年2月28日 |
なお、上記の許可について、事業停止、許可取消等となる事由は労働者派遣法第14条及び職業安定法第32条に定められております。本書提出日現在において平山グループが認識している限り、平山グループにはこれら事業停止、許可取消等の事由に該当する事実はありません。
(3)取引先企業の生産変動について
平山グループの主力事業であるインソーシング・派遣事業における製造請負及び製造派遣では、取引先メーカーの生産状況に合わせたサービスを提供しております。平山グループは、取引先メーカーの意向に従って増産・減産するといった生産変動に対応することで、メーカー側のコスト構造をより変動費化する役割を担っております。現在、平山グループの最も取引量の多い取引先業種は、医療機器・医薬品等を扱う精密機器分野のメーカーですが、当該分野の企業は、国内に留まらず全世界に製品を出荷しており、出荷先の景気動向が生産数量に大きな影響を及ぼす状況となっているため、頻繁に生産変動が生じております。さらに、取引先メーカーは、為替変動、コストダウン要請等の課題も抱えており、グローバルな視点で生産拠点の最適化を模索しているため、生産拠点自体の統廃合も戦略的・機動的に行われております。
こうした取引先の生産動向の変化や生産拠点戦略の変更等は、今後も規模の大小を問わず常に生じるものと考えられます。取引先企業の大規模かつ急激な生産変動が生じた場合には、平山グループの業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。
このような取引先企業の生産変動に伴うリスクに対応するため、平山グループの強みである派遣契約から請負契約への転換を推進することにより、より安定した契約関係の維持・構築を進めております。
(4)特定の取引先への依存について
平山グループは、テルモ株式会社の国内工場に対し製造請負及び製造派遣を行っており、平山グループの最近2連結会計年度における総売上高に占める同社に対する売上高の割合は、下表のとおり高い水準にあります。
相手先 |
第57期 連結会計年度 (自 2022年7月1日 至 2023年6月30日) |
第58期 連結会計年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
テルモ株式会社 |
4,591,402 |
14.5 |
4,852,693 |
13.8 |
現状において、平山グループは、同社とは良好な取引関係を維持しておりますが、何らかの要因により取引関係に問題が生じた場合、あるいは同社の生産動向の変化や事業方針の変更等があった場合には、平山グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお、この他にも、平山グループは同社の関係会社と取引がありますが、取引金額は僅少であり重要性が乏しいため、記載を省略しております。
このような特定の取引先への依存に伴うリスクに対応するため、新たな高付加価値サービスを提供するものづくり支援オンリーワン企業に向けて諸施策を策定し顧客の拡大に取り組んでおります。
(5)人材の確保及びその維持にかかる業績への影響について
平山グループの主たる事業においては、顧客企業及び自社運営の請負事業所が必要とする人材を採用・育成し、必要なときに必要な人材を供給する必要があります。
平山グループの主力事業であるインソーシング・派遣事業においては、ものづくりに深く取り組む現場での社員確保が必要であり、そのために必要な施策を的確に展開しております。
さらに、採用過程において、募集広告に関し総合的な分析による効率的な投資を行うとともに、採用担当者に対して徹底した教育を行うことにより良質な人材採用につなげ、応募から採用、そして入社に至るすべての過程で就労意欲を高められるよう、取引先及び平山グループが必要とする人材確保に努めております。
しかしながら、当該施策を行っても、平山グループの求める人材の確保が計画通りに進まない場合には、売上機会の喪失、原価率の上昇、販売管理費の上昇等により、平山グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、平山グループの人材戦略として、新卒正社員を主軸とした無期雇用社員数の増加を掲げており、請負化推進の基本戦略にもつながっております。しかしながら、大規模な経済活動の後退局面が生じた場合においては、結果的に平山グループの業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。
(6)社会保険料率の変化について
平山グループは多数の従業員を抱えており、社会保険の加入義務があります。今後社会保険料の料率が上昇した場合には、平山グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(7)労働災害等のリスクについて
平山グループの主力事業であるインソーシング・派遣事業は、取引先メーカーの工場内において、製造請負及び製造派遣を行っております。取引先メーカーの工場内で行う製造請負は、取引先メーカーとの業務請負契約によって生産量や生産期限、品質あるいは取引先企業の備品管理といった領域まで責任を負っております。一方、製造派遣は法律上、人材を取引先メーカーに派遣し、派遣した人員の指揮命令等の労務管理が派遣先に委ねられる形態となっております。
製造請負の取引形態と製造派遣の取引形態では、業務を遂行する現場社員が労働災害に見舞われた場合の責任主体が異なり、製造派遣では取引先メーカーがその損害についての責任を負うのに対し、製造請負においては平山グループが責任を負うこととなります。
労働災害に関しては、基本的に労働保険の適用範囲内で解決されるものと考えておりますが、平山グループの瑕疵が原因で発生した労働災害において、被災者が労働保険の適用を超えて補償を要求する等、訴訟問題に発展した場合には、平山グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このような労働災害等のリスクに対応するため、「安全衛生管理規程」において安全衛生管理の基本方針等を策定するとともに、「リスクアセスメント管理」を徹底することで、未然の災害防止策を講じ、グループ各社で実施すべき管理教育の内容等をそれぞれ定めております。
(8)顧客及び個人情報の管理について
平山グループは、取引先メーカーの生産計画や新製品の開発及び製造にかかわる機密性の高い情報に接することがあります。平山グループは「顧客情報管理規程」において、社員が職務上知り得た顧客企業の情報の取扱いについて必要な事項を定め、適正な情報管理を行うための体制を整えております。
また、採用活動時の個人情報管理面では、採用試験合否結果後の履歴書等の保管及び廃棄について、面接前に個人情報取扱いに関する同意書を交わして進める等、個人毎の情報管理の徹底を図っております。また、社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)が始まり、これまでより一層の管理責任が求められることになりました。
平山グループは、全社員を対象とした継続的な教育を実施し、厳正な管理を行っておりますが、個人情報等の漏洩や不正使用などの事態が生じた場合、損害賠償請求や社会的信用失墜等により平山グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)事業投資及び海外事業展開に関するリスク
平山グループは、成長発展を促進するための手段として、同業又は製造業、コンサルティング業を中心にM&Aを検討してまいります。そのために、多額の資金需要が発生する可能性があるほか、その投資が必ずしも見込みどおりに進展せず、平山グループの業績に貢献するまでに時間を要する可能性があります。
また、日本国内の長期的経済環境は、人口減少による購買力の低下で経済力が弱体化し、国内マーケットの規模は確実に縮小していく一方、海外市場、特にアジアでの人口は増加しており、消費拡大が見込まれております。現在平山グループの事業活動は日本国内を中心に行われておりますが、持続的に成長を実現するためにも、アジアを中心として更なる海外事業の拡大が重要なテーマと考えております。しかしながら、これら海外での事業展開を推進していくにあたり、為替リスクに加え、売掛金の回収や取引先との関係構築等の面で現地商慣習により様々な障害を受ける可能性があり、また、テロ行為等の政情不安や、宗教観などの違いによる労使関係の悪化等、政治的・法的なリスクが存在します。
これらのことから海外事業の拡大では、投資資金の回収や利益の実現までには一定の期間が必要と考えております。しかし、その結果として、所要の成果があげられなかった場合や投資した資金が回収不能となった場合等には、平山グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このような事業投資等のリスクに対応するため、外部専門機関によるデューデリジェンスや市場予測等の客観的調査をもとに、取締役会での十分な議論を通じた意思決定プロセスを経て投資判断を行うことでリスクの低減に努めております。
(10)請負化推進にかかる請負事業者責任
平山グループの主力事業であるインソーシング・派遣事業は、製造請負及び製造派遣の2本の柱で構成されております。その主たる事業である製造請負について、当社の現場改善コンサルタントと連携し付加価値の高い製造請負サービスを各種ものづくり企業に提供してまいりました。また、長年の取組みの中、製造請負事業改善推進協議会から平山グループの請負事業所が「製造請負優良適正事業者」第1号として認定されました。
平山グループの製造請負事業は、前述の現場改善コンサルタントが生産特性を詳細に分析し、最善の生産プロセスを具現化しております。しかしながら、製造派遣事業と比較して利益率が高い分、リスクも高く、不良品の発生や、顧客企業の設備の破損等への責任は、平山グループの業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。
(11)潜在株式について
平山グループは、役員及び従業員等に対して、業績向上に対する意欲や士気を高めるため、ストックオプションによる新株予約権を発行しております。2024年6月30日現在、新株予約権による潜在株式総数は193,600株であり、発行済株式総数8,040,400株の2.4%に相当します。
平山グループでは、今後も将来にわたって平山グループの成長に大きな貢献が期待できる役員及び社員には、新株予約権の付与を行っていく方針でありますが、現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権の行使が行われた場合、発行済株式総数が増加し、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。また、当社株式の株価の状況によっては、需給バランスの変動が発生し、当社株価形成に影響を及ぼす可能性があります。
なお、ストックオプションの詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」に記載のとおりであります。
配当政策
3【配当政策】
配当につきましては、株主に対する利益還元を経営の重要課題として認識しております。利益配分につきましては、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当の継続という観点から、配当性向は30%超を基本方針としたうえで、業績、財政状態、株価水準等を総合的に勘案しながら、自己株式取得を含めた連結ベースの総還元性向(※)50%以内を目途とし、株主へのより積極的な利益還元に努めてまいります。
当事業年度の剰余金の配当につきましては、上記の安定した配当の継続という基本方針のもと、1株当たり42円の配当(うち中間配当12円)を実施することを決定いたしました。この結果、当事業年度の連結配当性向は、41.0%となりました。
(※)連結総還元性向
=(当年度の年間配当金+翌年度の自己株式取得額)/当年度の親会社株主に帰属する当期純利益
内部留保資金の使途につきましては、運転資金に充当するほか、今後の事業展開及び経営基盤の強化に係る投資に充当していきたいと考えております。
剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
当社は、「取締役会の決議によって、毎年12月31日の最終の株主名簿に記載又は記録された株主又は登録株式質権者に対し、中間配当をすることができる。」旨を定款に定めております。
なお、当事業年度(第58期)に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額(千円) |
1株当たり配当額(円) |
2023年11月14日 |
88,464 |
12.00 |
臨時取締役会決議 |
||
2024年9月26日 |
226,428 |
30.00 |
定時株主総会決議 |