リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)介護保険制度について
当社及び連結子会社の主要取引先であるレンタル卸業者、福祉用具貸与事業者及び高齢者施設においては、「介護保険法」をはじめとする各種関連法令によって規制を受ける公的サービスが事業の中心となっております。また、これらの公的サービスは5年毎の介護保険制度の改正、3年毎の介護報酬の改定が行われることとなっており、上記の主要取引先の収益に影響を与える可能性があります。
従って、介護保険制度の改正等が行われる場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)商品の欠陥について
当社グループの生産拠点である持分法適用関連会社のSHENGBANG METAL CO.,LTD.及び海外の仕入先においては、JIS(日本工業規格)、連結子会社のやまと産業株式会社においては取引先が求める品質基準に則して各種商品を製造しておりますが、商品について全く欠陥が発生しないという保証はありません。また、当社及びやまと産業株式会社は製造物責任賠償に係る保険に加入しておりますが、この保険によって最終的に当社グループが負担する賠償額すべてをカバーできるとは限りません。
万一、大規模な無償交換(リコール)につながる商品の欠陥が生じ、当社グループが賠償責任を負う場合、多額のコストが発生することとなり、さらに商品に対する評価と会社の信用を大幅に低下させ、当社グループのブランドの毀損につながります。また、商品の欠陥を原因とした事故の発生等により、その過失や補償を巡って第三者との訴訟に発展する可能性もあります。
その場合は収益が減少し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)為替変動等について
当社グループは、部品及び商品の輸出入取引を行っており、それらに係る外貨建金銭債権債務(外貨建予定取引を含む。)について、米ドル、ベトナムドン、ユーロにおける為替相場の変動リスクを有しております。
そのため当社は、当社グループの業績及び財政状態にもっとも影響を与える米ドルの為替変動によるリスクをヘッジする目的で、米ドルに対して為替予約取引、通貨スワップ取引(クーポンスワップ)、通貨オプション取引(ゼロコストオプション取引)の為替デリバティブ取引を行っております。
当社は、為替リスク管理規定において、取締役会にて、将来の各期間における想定仕入高に対しての外貨建取引の割合(実需)を想定し、その範囲内で短期(1年以内)、中期(1年超)及び長期(2年超)の為替デリバティブ取引の配分方針を決定する旨を定めております。
当社グループは部品及び商品を主に海外から調達するとともに生産拠点をベトナムに擁していることから、円安(円高)となった場合、短期的には、円ベースでの売上原価が増加(減少)し、売上総利益率が低下(上昇)する一方、為替差益(差損)の計上により営業外収益(費用)が増加する傾向があります。一方、中長期的に円安傾向となった場合、円ベースでの売上原価が増加し、当社グループの利益が減少する可能性があります。
ヘッジ会計が適用されない為替デリバティブ取引は、各四半期末及び期末時点での当該取引の残高について期末為替レートを以て時価評価を行い、その評価損益は営業外損益の為替差損益に計上されます。
従いまして、期中に為替相場が大きく変動した場合、各四半期の経常利益と当期純利益は著しく変動する可能性があります。
過去において、為替相場の変動が、為替差益、為替差損等として、当社グループの損益に与えた影響の状況は、以下のとおりとなります。
連結経営指標等
(単位:千円)
回次 |
第28期 |
第29期 |
第30期 |
第31期 |
第32期 (当連結会計年度) |
会計期間 |
自2019年7月1日 至2020年6月30日 |
自2020年7月1日 至2021年6月30日 |
自2021年7月1日 至2022年6月30日 |
自2022年7月1日 至2023年6月30日 |
自2023年7月1日 至2024年6月30日 |
売上高 |
6,098,321 |
7,040,247 |
6,379,051 |
6,312,632 |
6,387,477 |
売上総利益 (売上総利益率) |
2,473,134 (40.6%) |
2,858,635 (40.6%) |
2,166,922 (34.0%) |
1,798,017 (28.5%) |
1,896,148 (29.7%) |
営業利益又は営業損失 |
559,182 |
724,924 |
100,777 |
△108,741 |
37,488 |
営業外収益 為替差益 |
1,762 |
21,897 |
186,963 |
19,552 |
19,197 |
営業外費用 為替差損 |
- |
- |
- |
- |
- |
経常利益 |
664,184 |
873,857 |
394,036 |
25,120 |
187,329 |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
507,818 |
305,855 |
263,597 |
222,379 |
65,675 |
(4)特定の仕入先の集中・依存について
当社は、医療介護用電動ベッドにおける主要部品について開発・設計を行い、海外の仕入先に製造委託しております。現時点では当該仕入先への依存度は高いものの、継続的で良好な取引関係を維持しております。しかしながら、当社及び連結子会社と仕入先との良好な取引関係が、何らかの事情によって取引に支障をきたし、主要部品の調達が困難となった場合は、他の仕入先での代替も可能であると考えておりますが、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(5)生産拠点及び仕入先の海外への集中・依存について
当社グループの生産拠点及び仕入先は、持分法適用関連会社であるSHENGBANG METAL CO.,LTD.を起点にベトナム及び東アジアに集中しており、東アジア各国の政治・経済情勢の不安定さや周辺国同士との関係悪化等に起因するカントリーリスクが存在しております。当該リスクにより主要部品の調達が困難となった場合やインフレに伴い仕入コストの上昇等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)競合について
今後予測される高齢者人口の増加に伴い、医療介護用電動ベッドのみならず、介護市場全体の拡大が推測され、異業種からの新規参入や同業他社の事業拡大のスピードが加速されるものと考えられます。
当社グループは、こうした競合との競争に対応するため、あらゆる施策を講じてまいりますが、価格競争の激化等が当社グループの想定を超える場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)自然災害及び疫病等によるリスクについて
地震等の自然災害または大規模火災等により、当社グループの生産拠点や仕入先に重大な損害が発生し、操業中止、生産や出荷の遅延や減少等が発生した場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、新型化コロナウイルスの感染拡大については、収束したものと判断しておりますが、必要に応じてWeb会議システムや在宅勤務などを行うことで接触機会の低減をしつつ、営業活動を維持する体制を構築しております。
(8)情報システムについて
当社グループの事業は、販売管理システムをベースとした日常業務が行われており、このシステム運用については十分な安全性を確保していると考えております。しかしながら、自然災害、システムハード及びネットワークの不具合、コンピューターウイルス等による予測不可能な事態によりシステム障害が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)海外の事業展開について
当社グループでは、中国を中心とした東アジア圏市場の開拓に取り組んでおり、現時点では中国及び韓国にて販売の実績を着実に積み上げております。今後は各国の介護ニーズにあった商品開発や有力な代理店網の構築等の事業施策を展開する計画となっております。
しかしながら、各国の政治的・経済的要因により、輸出入管理・投資規制・収益の本国送金規制・移転価格税制等に関する予期できない法律・規制の変更等のリスクに直面した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)知的財産権の侵害について
現時点において、当社グループの事業活動に影響を与えるような特許権、商標権、意匠権等その他の知的財産権が他社により侵害されているという事実はありません。また同様に、当社グループの申請済みの知的財産権が他社の知的財産権を侵害しているという事実はありません。
しかしながら、当社グループの事業活動に関連して第三者が知的財産権の侵害を主張して法的手段に訴えた場合、あるいは逆に当社グループが法的手段に訴える場合、訴訟に発展する可能性があります。また、その訴訟の結果によって、当社グループの事業が差し止められ、損害賠償等の金銭的な負担を余儀なくされた場合等において、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11)主要原材料等の市況変動について
当社グループの主要製品である医療介護用電動ベッドの主な原材料である鋼材の価格のほか、樹脂部品やウレタンフォームの原料となる原油価格は、世界規模での需給バランスや各生産地域における経済情勢等により価格が変動しております。
これらの価格が高騰し、販売価格に転嫁できない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)新規事業について
当社グループは、事業基盤の拡大と収益の安定化を図る目的で、現状保有しているノウハウを活かせる周辺事業領域への展開を推進していく予定です。新規事業を開始するにあたっては慎重な検討を重ねたうえで取り組んでまいりますが、当該事業を取り巻く環境の変化等により、当初の計画通りの成果が得られない場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13)情報管理について
当社グループの事業活動において、顧客情報に接することがあり、また営業上・技術上の機密情報を保有しております。これらの各種情報の取り扱い及び機密保持には細心の注意を払っており、不正なアクセス、改ざん、破壊、漏えい及び紛失などから守るために管理体制を構築するとともに、合理的な技術的対策を実施するなど、適切な安全措置を講じております。
しかしながら、万が一、情報漏えい等の事故が起きた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主の皆様への利益還元を経営の重要な政策と位置付けており、利益の状況や将来の事業展開等を総合的に勘案しながら、配当による利益還元(目標配当性向30%)を行ってまいります。
また、業界における環境の変化や競争の激化に耐え得る企業体質の強化並びに将来の積極的な事業展開に備えるための内部留保の充実も図ってまいります。
当社は、期末配当として年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。
これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
当事業年度の年間(期末)配当金につきましては、上記方針に基づき、1株当たり14円といたしました。この結果、当事業年度の純資産配当率は1.8%となりました。配当原資については、利益剰余金であります。
当社は中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことができ、取締役会の決議によって、毎年12月31日を基準日として中間配当をすることができる旨を定款に定めております。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は、以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額(千円) |
1株当たり配当額(円) |
2024年9月27日 |
52,057 |
14 |
定時株主総会決議 |
(注)2024年9月27日定時株主総会決議による配当金の総額には、従業員向け株式給付信託の信託財産として株式会社
日本カストディ銀行(信託E口)が保有する当社株式に対する配当金2,387千円が含まれております。