2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあると考えております。ただし、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

1.外部環境に起因するリスク

(1)経済環境、金利動向、住宅関連税制等

 当社グループの主たる顧客は一般個人であることから、雇用情勢、地価の推移、金利の動向、住宅関連税制の変更、自然災害ならびに疫病の発生・蔓延等による個人消費低下の影響を受ける可能性があります。

(2)自然災害の発生

 地震や台風などの自然災害の発生により、当社の施工物件、LOGWAY設備等への直接的な被害のほか、建設材料・資材の調達先企業における被害により部資材の調達等への支障が生じた場合など、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

(3)原材料、資材等の調達

 調達先において、異常気象による被害、社会不安(テロ、戦争、伝染病等)により調達が困難になった場合や、当社の主要構造部材である木材ほか建設資材等の急激な価格高騰や為替相場の変動などの局面等で仕入価格が上昇した場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(4)輸入取引に関するリスク

 当社グループは、住宅部材の一部を北欧から直接輸入しているため、これに伴い以下のようなリスクが存在しています。

① 為替変動リスク

 欧州から部資材を直接買い付けする際に、ユーロ建て決済(年間約1百万ユーロ)を行っており、為替変動による業績への影響の可能性があります。これに対して、為替予約等のリスクヘッジ策を講じているため、期中の為替変動に伴う業績への影響は比較的軽微ですが、対ユーロの円安傾向が長期化する場合や、期末の急激な為替変動が生じた場合などには、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

② 海上輸送に伴うリスク

 欧州からの部資材の輸送を、主に海上輸送に依存しているため、テロや地域紛争、国際関係の悪化による治安、情勢不安などによる運航リスク、原油価格の高騰などによる輸送コストの上昇、コンテナ需給の逼迫による輸送遅延などのリスクがあり、これらの事象が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

(5)法的規制等

 当社グループが行う事業は、日本国内において建築基準法、住宅品質確保促進法、建築物省エネ法その他多数の法令により、規制を受けており、その改正動向に対し適時に対応するよう努めてまいりますが、これらの規制の改廃や新たな法的規制が設けられる場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

① 建築基準法

 当社グループの商品には、外壁に天然木を使用しているために、各地域の防火規制により建設可能地域が限定されているものがあります。これまでの技術開発により、BESS商品ラインナップ7シリーズ及びCLT構造材について、既に準防火地域での建設が可能になっておりますが、今後の規制の動向によって影響を受ける可能性があります。

② 住宅品質確保促進法

 住宅品質確保促進法により、住宅の構造耐力上主要な部分等の瑕疵に対する補修等が10年間義務付けられていますが、当社は独自の「BESS安心総合保証制度」を設け、住宅瑕疵担保責任保険法人を通して、5年ごとに定期点検及び必要な修補、保証更新の手続きを行うことで、最大60年間の瑕疵保証を供与しています。そのため、同業他社に比してその度合いは相当に低減されるものの、当社グループの引渡件数の増加に伴ってクレーム件数や保証工事が増加した場合、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、顧客に引渡した商品に重大な瑕疵があるとされた場合には、それが当社グループの責によるか否かを問わず、また、実際の瑕疵の有無によらず、当社グループの評判が低下し、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

③ 建築物省エネ法

建築物省エネ法の改正により2025年4月から全ての新築住宅及び非住宅に省エネ基準適合が義務付けられる事となりました。これに伴い当社の商品についても本基準に合わせた商品の改良が必要となります。ログハウスについては、本基準適合の方法について現状は検討段階でありますが、丸太組という構法上からも外壁に断熱材を用いていないため、デザイン・価格・取り扱える地域等に影響が出る可能性があります。

④ 営業登録等

当社グループは、住宅及び非住宅の建築事業を営むに際し、建築士法に基づく建築士事務所登録、建設業法に基づく建設業許可及び宅地建物取引業法に基づく宅地建物取引業免許を取得し、各法令の規定に基づいて業務を遂行しており、それぞれの登録等において届出が必要な資格を有する者は当社内に複数在籍しております。当社グループでは、これらの登録等の諸条件や各法令の遵守に努めており、現状においては、これらの登録等が取消しとなる事由は認識しておりません。しかしながら、万一法令違反等によって登録等が取消された場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

2.当社グループ事業独自のリスク

(1)BESS事業への依存

 当社グループは、ブランド名称「BESS」を使用し、ログハウスに代表される自然材(無垢材)を多用した住宅の販売及び施工事業(BESS事業)を展開しております。現在、当社グループにおいては、BESS事業に経営資源のほとんどを投入しており、BESS事業に依存しております。BESS事業は、「こころを遊ばせる暮らしを求めるユーザー」に対して、その道具としてふさわしい「自然派個性住宅」を商品として提供するビジネスです。当社グループといたしましては、その事業コンセプトは流行に左右されない普遍性があると考えており、今後も主力事業として販売等の拡大を図っていく方針であります。しかしながら、一般住宅との競合や市場環境の急激な変化等、不測の事態が生じ、販売拡大に支障を来たした場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

(2)地区販社への依存

 当社グループの主要な事業セグメントである販社部門では、フランチャイズ契約に基づき全国に20社、30拠点(連結子会社3社の9拠点を含む。)の地区販社を展開しております。その当社グループ連結売上高に占める割合は28.2%(2024年3月期)となっており、今後も全国に地区販社の営業拠点を増やす計画であります。このような状況において、以下のようなリスクが存在しております。

① 地区販社の経営リスク

 地区販社に対しては、マーケティング活動に主眼を置いた顧客創造のためのフランチャイズシステムを導

入し、BESS営業システムに基づくきめ細かな指導育成を行っているほか、ブランド価値を共有するファンづ

くりパートナー関係の強化に取り組んでいます。しかしながら、地域経済の動向、自然災害、新型コロ

ナウイルス等の感染症拡大、BESS以外の事業等に起因する経営不振など、様々な要因で地区販社がBE

SS事業を継続することが困難な状況に陥った場合、当社グループの売上減少等の影響に加えて、債権の貸

倒れ発生やブランドイメージの低下を招くなど、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性が

あります。

② 地区販社に対するLOGWAY設備の一括譲渡

 地区販社に対する本部支援策の一環として、新規のBESS LOGWAYを出店する際に、新拠点の設計からモデルハウスの建設及び演出設定までを行ったうえ一括で地区販社へ譲渡し、展示場パッケージ売買契約に基づき分割で代金回収を行う支援策を、一部の地区販社に対し実施しております。この施策は、本部の考えるブランド要件を満たしたBESS LOGWAYを新設、運営する地区販社側の財務負担軽減が目的であります。しかしながら、当該新拠点の運営成績が目論み通り進捗しなかった場合、又は運営する地区販社の業績悪化等により経営不振に陥った場合、当該代金の回収遅延や貸倒れの発生などにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

(3)ブランドイメージの低下

 当社グループの重要な販売網である地区販社は、当社と共通の「BESS」ブランドを使用しております。これらの地区販社における不正なブランド使用(顧客の流用、無断での広告使用など)、不祥事の発生などにより、BESS事業のブランドイメージの低下を通じて、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

(4)設計及び施工不良によるリスク

 当社グループは、ログハウス等の工事を請負っておりますが、その設計及び施工に関し、外注先を含め、仕様書や業務フロー、定例会議や各施工現場の一般公開等を通じて、品質管理の徹底を図っておりますが、ルールの不徹底などにより設計や施工不良が発生し重大なクレーム等が発生した場合には、当社グループの評判が低下し、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5)労働環境及び労働災害リスク

 当社グループにおいては、労働環境の適正化について、勤怠管理や健康管理等に係る体制を整備し対応しておりますが、不適切な管理等により、過重労働やハラスメント等が発生した場合、法律違反による社会的信用の失墜や損害賠償請求等の発生リスクが生じます。また、建築工事等に係る外注先を含む労働災害についても、安全ルール等を設けて指導体制を敷いているものの、重大な事故災害が発生した場合は、信用の失墜や被災者への補償、工事遅延による損害金の発生などにより、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

(6)情報漏洩

 当社グループ及び地区販社では、LOGWAYの来場客等についての個人情報を保有しており、また、BESS運営に係るノウハウ等を共有している状況にあります。当該管理には、十分な注意を払い適切な対策を講じるとともに、今後、情報管理のセキュリティ機能強化等により一層の管理強化を図る方針ですが、これらの情報が何らかの事由により外部に漏洩した場合、当社グループの信用低下など、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

3.その他全般

継続企業の前提に関する重要事象等

 当社は、複数の金融機関との間で締結したシンジケーション方式による金銭消費貸借契約における一定の財務制限条項に抵触しておりましたが、2023年3月30日付の代官山資産の売却に係る不動産売買契約に基づく売却代金等の精算が行われたことにより2023年4月25日をもって財務制限条項に抵触していた借入金全額を返済し、先の財務制限条項の抵触は解消されました。

 また代官山資産譲渡による当期純利益の計上により純資産が回復しております。さらに「第2「事業の状況」1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の対策を講じる事により営業損失も早期に解消していきます。

 以上から、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、配当を含めた利益還元につきまして、重要な経営課題として認識しております。株主の皆様に当社株式を長期的に保有いただくために、連結純資産配当率(DOE)を重視した「長期的な視点での安定的配当」を利益還元の柱とするとともに、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保の確保にも配慮していく考えであります。

 また、当社は中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。なお、2014年6月12日開催の定時株主総会において、会社法第459条第1項に基づき剰余金の配当等を取締役会の決議により行う旨

の定款変更を行ったことから、これらの剰余金の配当につきましては取締役会にて決定しております。

 第39期の配当につきましては、誠に遺憾ながら業績悪化に伴い無配とさせていただきました。