2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    9,785名(単体) 36,890名(連結)
  • 平均年齢
    44.6歳(単体)
  • 平均勤続年数
    20.9年(単体)
  • 平均年収
    8,298,269円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

スマートコミュニケーション部門

17,905

(17,874)

ライフ&ヘルスケア部門

12,527

(1,811)

エレクトロニクス部門

4,043

(187)

全社(共通)

2,415

(124)

合      計

36,890

(19,996)

 

(注)1.従業員数は就業人員数(DNPグループからグループ外への出向者を除き、グループ外からDNPグループへの出向者を含む。)であります。従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員数であります。

2.臨時従業員は、雇用契約期間に6か月以上の定めのある従業員であります。

3.全社(共通)は、提出会社の本社部門及び提出会社の基礎研究部門等に所属している就業人員数であります。

 

(2)提出会社の状況

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

9,785(641)

44.6

20.9

8,298,269

 

 

セグメントの名称

従業員数(人)

スマートコミュニケーション部門

4,767

(437)

ライフ&ヘルスケア部門

1,588

(59)

エレクトロニクス部門

1,015

(21)

全社(共通)

2,415

(124)

合      計

9,785

(641)

 

(注)1.従業員数は就業人員数(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であります。従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員数であります。

2.臨時従業員は、雇用契約期間に6か月以上の定めのある従業員であります。

3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

4.全社(共通)は、本社部門及び基礎研究部門等に所属している就業人員数であります。

 

(3)労働組合の状況

大日本印刷グループ労働組合連合会は、現在26労働組合が加盟し、グループ内の組合員数は約21,500人であります。

労使関係について、特に記載すべき事項はありません。

 

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

当事業年度

管理職に占める

女性労働者

の割合(%)

(注1、注4)

男性労働者の

育児休業

取得率(%)

(注2、注4)

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注1、注3、注4、注5)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

10.4

96.4

81.2

80.6

65.4

 

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.男女の賃金の差異については、賃金に賞与および基準外賃金を含んでいます。また、短時間勤務者、パート労働者については、正規雇用労働者の所定労働時間(1日8時間)で換算した人員数を基に平均年間賃金を算出しています。

4.社員個々の性自認を尊重し、本算定にあたり、社員から性自認についての申告があった際は、原則、申告に基づく性別に含めて算定することとしています。

5.当社においては、処遇制度上、賃金体系・水準面で男女の差はありません。

・正規雇用労働者全体では男女間で賃金の差異が生じていますが、その差異は、実態として管理職クラスの女性従業員の割合が低いことに加え、相対的に賃金が高めの高年齢層に男性従業員が多いといった人員構成などの要因によるものです。また、一部の年齢層では育児休業や育児による短時間または短日数勤務の女性比率が高いこと等も影響しています。女性管理職比率の向上に関する取り組みやジェンダーギャップの解消に向けた取り組み等については「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)サステナビリティに関する具体的な取り組み ①人的資本の強化」に記載しています。

・パート・有期労働者については、製造部門の交替制勤務従事者に男性が多く、深夜割増手当などの交替制勤務によるインセンティブが支給されているため、格差が生じています。

 

[正規雇用労働者の年代別の男女の賃金の差異]

年代

20歳代

30歳代

40歳代

50歳代

男女の賃金の差異(%)

98.0

90.8

85.8

82.2

 

 

 

 

② 主要な連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める

女性労働者

の割合(%)

(注1、注4)

男性労働者の

育児休業

取得率(%)

(注2、注4)

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注1、注3、注4)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

丸善CHI
ホールディングス㈱

25.0

97.0

94.7

北海道コカ・コーラ
ボトリング㈱

6.8

54.5

71.7

78.8

83.9

㈱インテリジェント
ウェイブ

17.4

100.0

78.6

78.9

56.8

シミックCMO㈱

14.0

31.2

72.2

81.1

43.7

㈱DNP
ファインケミカル

16.0

116.0

86.4

86.1

㈱DNP
ロジスティクス

1.9

80.0

51.4

68.1

64.3

㈱DNP高機能マテリアル彦根

0.0

50.0

71.4

72.9

62.2

 

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.短時間勤務者、パート労働者については、正規雇用労働者の所定労働時間(1日8時間)で換算した人員数を基に平均年間賃金を算出しています。

4.社員個々の性自認を尊重し、本算定にあたり、社員から性自認についての申告があった際は、原則、申告に基づく性別に含めて算定することとしています。

5.連結子会社のうち主要な連結子会社以外のものについては、「第7 提出会社の参考情報 2 その他の参考情報 (2) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

DNPグループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであり、結果は社会動向の変化などにより異なる可能性があります。

 

(1)DNPグループのサステナブル経営の取り組み

DNPグループは、企業理念に基づき、サステナブルな経営の考え方として「持続可能な社会と心豊かな暮らしの実現」を目指しており、自らが主体となって「より良い未来」をつくり出すための事業活動を展開しています。「より良い未来」を実現するとともに、当社自身が長期的に成長していくためには、多様かつ急激な環境・社会・経済の変化が当社の経営に及ぼす影響を捉え、適切にリスクを評価したうえで中長期的な経営戦略に反映し、リスクを低減するとともに、事業機会に転換する必要があります。

さらに、さまざまな変動要因に対して、経営リスクに柔軟かつ機動的に対応するだけでなく、変化を先取りして自らが変革を起こし、ビジネスチャンスに変えていくことで、企業としての持続可能性と環境・社会・経済の持続可能性をともに高めていきます。

 

(ⅰ)ガバナンス

当社は、健全な社会と経済、快適で心豊かな人々の暮らしは、サステナブルな地球の上でこそ成り立つと考えています。近年は特に、環境・社会・経済が急激に変化しており、経営に影響を与える変動要因もますます多様かつ広範囲に及んでいます。

このようななか、環境・社会・経済の持続可能性をともに高め、DNPグループ自身の持続的な成長をさらに推進していくため、代表取締役社長を委員長、代表取締役副社長を副委員長、本社の各部門を担当する取締役・執行役員を委員とする「サステナビリティ推進委員会」が、中長期的な経営リスクの管理、事業機会の把握及び経営戦略への反映を担っています。この委員会が、自然災害をはじめとする有事の際も社員の安全を確保し、生産活動を維持していくための「BCM推進委員会」、社員のコンプライアンス意識の向上を図ってリスクの低減を図る「企業倫理行動委員会」と密に連携することで、全社的リスクを網羅し、柔軟で強靭なガバナンス体制を構築しています。

サステナビリティ推進委員会は、サステナビリティに係るDNPグループのあり方を適切に経営戦略に反映していくため、年4回の定例開催を基本として必要に応じて適宜開催し、以下の内容の協議を行い、取締役会に報告と提言を行います。

・サステナビリティに関する中長期的な経営リスク管理、事業機会の把握及び経営戦略への反映

・サステナビリティ活動方針の策定と各部門での実行の統括

・サステナビリティに関する課題の掌握、目標・計画の策定、計画推進・活動状況の評価及び是正・改善

取締役会は、当委員会で協議・決議された事項の報告・提言を受け、サステナビリティに関するリスク及び機会への対応方針並びに実行計画等について、審議・監督を行っています。

当社のガバナンス体制のさらなる詳細は、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しています。

 

(ⅱ)戦略

当社は、企業理念に「人と社会をつなぎ、新しい価値を提供する。」ことを掲げ、サステナブルな経営の考え方として「持続可能な社会と心豊かな暮らしの実現」を目指しています。これらに基づき、長期を見据えて、自らが「より良い未来」をつくり出すための事業活動を展開しています。2024年3月には、DNPが「より良い未来」として目指す、それぞれ相互関係にある「4つの社会」の実現に向けて、また、DNPが社会とともに成長し続けるために重要なこととして、DNPが何をすべきか、どのような価値をつくり出していくのかを具体化した「マテリアリティ」を特定しました。

 

 

■DNPが目指す「より良い未来」とマテリアリティ

・安全・安心かつ健康に心豊かに暮らせる社会

自ら変化を生み出し、変化に柔軟に対応することで、環境・社会・経済の持続可能性を高めていきます。

・快適にコミュニケーションができる社会

リアルとデジタルをつなぐことで、得られる体験価値の質を高めるとともに、人々の活動の機会を拡げていきます。

・人が互いに尊重し合う社会

相互に理解を深め、認め合うことで、誰もがいきいきと活躍できる場をつくっていきます。

・経済成長と地球環境が両立する社会

環境保全・環境負荷の低減に取り組むことで、ネイチャーポジティブなバリューチェーンを実現していきます。

 


 

マテリアリティに基づく活動として、中期経営計画における「事業戦略」「財務戦略」「非財務戦略」に沿った取り組みを推進し、新しい価値の創出と経営基盤の強化により、DNPグループの持続的な成長を図っていきます。

持続的な成長を支える基盤となる非財務戦略においては、企業価値の向上と事業競争力の強化の両面で特に重要だと考えている「人的資本の強化」「知的資本の強化」「環境への取り組み」を加速させています。また、当社が事業活動を継続していくためには、法令を遵守することはもとより、全社員が社会倫理に基づいた誠実な行動をとることが重要であると考えています。これらの社員の行動のあり方を定めた「DNPグループ行動規範」を基本とする当社の視点と、国際規範をはじめとする社会全体の視点の両面から重要性を分析し、「公正な事業慣行」「人権・労働」「環境」「責任ある調達」「製品の安全性・品質」「情報セキュリティ」「企業市民」を重点テーマとし、サプライチェーン全体を通じたリスクマネジメントの徹底を図っています。そのなかでも特に、事業活動のグローバル化が進むことにより、サプライチェーン全体を通じた「人権の尊重」がこれまで以上に重要になると認識しており、2020年3月に「DNPグループ人権方針」を策定し、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいた人権デュー・ディリジェンスを進めています。特に、深刻な人権リスクの懸念がある原材料の調達においては、鉱物資源や木材・紙を中心に、リスク評価やトレーサビリティの確保などの「責任ある調達」を推進しています。

<DNPグループ行動規範>

 https://www.dnp.co.jp/ir/library/annual/pdf/DNP_integrated2024j.pdf#page=2

<マテリアリティ>

 https://www.dnp.co.jp/sustainability/report/pdf/DNP_sustainabilitywebarchive2024.pdf#page=9

<サステナビリティ・マネジメント>

 https://www.dnp.co.jp/sustainability/report/pdf/DNP_sustainabilitywebarchive2024.pdf#page=6

 

(ⅲ)リスク管理

当社は、柔軟で強靭なガバナンス体制のもとで、変動要因によるマイナスの影響を最小限に抑えるとともに、事業機会の拡大につなげるため、統合的なリスクマネジメントを推進しています。

環境・社会・経済に関する中長期的なリスクと機会は、サステナビリティ推進委員会が年に1回以上特定し、評価・管理しています。また、事業計画や財務・非財務戦略への影響、市場の変化や環境・社会に与える影響、マイナス影響の発生可能性等の観点で、優先課題の特定や活動の優先順位付けを行ったうえで、最適な目標を設定して、経営に反映させています。特に重要度や優先度が高いリスクについては、リスク管理部門を選定し、経営会議での協議を経て事業戦略・計画に反映しています。機会については、DNPグループ全体で注力する事業を定め、戦略的な事業展開につなげています。

具体的なリスクの内容と対応施策については、「3.事業等のリスク」に記載しています。

 

(ⅳ)指標及び目標

当社は、中期経営計画における「事業戦略」「財務戦略」「非財務戦略」に基づく具体的な取り組みを通じ、長期にわたって事業価値・株主価値を創出することを目指しています。これらの活動を着実に推進していくため、中期経営計画における具体的な指標と目標を設けてモニタリングを継続的に実施しています。

指標及び目標に対する進捗状況については、当社の「2025年3月期 通期決算説明会」の資料を参照ください。

<2025年3月期 通期決算説明会資料>

https://www.dnp.co.jp/ir/library/presentation/pdf/dnp_24Q4pre.pdf

 

(2)サステナビリティに関する具体的な取り組み

①人的資本の強化

DNPグループが「より良い未来」をつくり出していくための“重要な基盤”であり、“強みの源泉”は社員一人ひとりの存在にほかなりません。社員が安心して挑戦を重ねることで、それぞれの強みを伸ばし、その強みを「対話」を通じて掛け合わせていくこと(協働)によって、社会と人々に新しい価値を提供し続けることが可能となります。

こうした“人に対するDNPグループの普遍的・基本的考え方”を「人的資本ポリシー」として制定し、「一人ひとりが強みを伸ばし、社会(社内・社外)で活躍できる人財に成長してもらいたい」という思いと、「社員を大切にし、大切にした社員によって企業が成長し、その社員が社会をより豊かにしていく」という信念を明確にしています。DNPグループは引き続き、人的資本の強化と最大化を加速させていきます。

<人的資本ポリシー>

 https://www.dnp.co.jp/sustainability/report/pdf/DNP_sustainabilitywebarchive2024.pdf#page=38

 

(ⅰ)ガバナンス

「人的資本ポリシー」に基づく「人的資本の強化」に向けて、当社は「採用」「人材育成」「組織開発」「人事諸制度」「ウェルビーイング」「安全衛生」「ダイバーシティ」などを注力テーマとして、主管部門を定めて具体的な取り組みを進めています。これら人的資本の注力テーマの重要課題については、取締役会にて審議・決定しています。なお、取締役会に付議しないテーマの意思決定や業務執行については、取締役会で担当委任された各基本組織の担当取締役または執行役員が適切に実施しています。

 

 

(ⅱ)戦略

価値創出の要であり、成長の原動力である「人的資本」を強化するにあたり、「人的資本ポリシーに基づき人への投資を拡大する」という方針のもと、「人への投資」が企業価値向上に貢献するという好循環ループの確立に向け、「人的創造性(付加価値生産性)」をグローバルで飛躍的に高めていくことを社内外に宣言しています。

 


 

そのための人材育成方針として、社員一人ひとりが自律した個として主体的に必要な知識と技術を身につけ、最大限に自身の役割を果たし、自らの成長と自己実現を図ることができる人材の継続的な輩出を目指しています。社内環境の整備として「DNPグループダイバーシティ宣言」や「DNPグループ健康宣言」に基づき、多様な個の強みを引き出すチーム力や組織力の強化に向けてDNP独自の「DNP価値目標(DVO:DNP Value Objectives)制度」によるチーム目標の設定、組織のエンゲージメントを高める施策、さらには「キャリア自律型」の仕組みであるDNP版「よりジョブ型も意識した処遇と関連施策」などを展開しています。社員は自律的にキャリアを描くなかで自らを磨き、会社は「価値創造に向けた社員のキャリア自律」を支援していくことで、人的資本ポリシーに掲げる「社会(社内・社外)で活躍できる人財」の輩出を目指しています。この実現に向けて、次の「4つの重要課題」を特定し、それぞれに具体策を定め、取り組みを進めています。

 

人的創造性を高めるための重要課題

具体的な施策

社員のキャリア自律支援と組織力の強化

DNP版「よりジョブ型も意識した処遇と関連施策」の展開

・複線型のポスト型処遇とキャリア自律支援

・競争力のある報酬水準・体系の維持、確保

・組織力強化に向けた研修の充実

社員の幸せ(幸福度)を高める健康経営

「DNPグループ健康宣言」に基づくマネジメント改革

・「DNPグループ健康宣言」の具現化に向けた施策

・DNP価値目標(DVO)制度の浸透

・組織のエンゲージメント向上施策

人材ポートフォリオに基づく採用・

人材配置・リスキリング

注力事業領域への人材配置とリスキリングの展開

・人材ポートフォリオに基づく採用・専門人材育成の強化

・DX人材のスキルレベルの可視化とレベルアップ

・構造改革分野から注力分野等へのリスキリング

多様な個を活かすD&I推進

多様な人材が活躍できる風土の醸成

・女性活躍推進(意思決定における多様性を高める)

・男性育休取得推進(両立支援)

・全社員向けアンコンシャス・バイアス研修の実施

 (心理的安全性のある職場風土の醸成)

・D&I当事者意識の醸成

 

 

<ダイバーシティ宣言>

 https://www.dnp.co.jp/sustainability/report/pdf/DNP_sustainabilitywebarchive2024.pdf#page=43

<健康宣言>

 https://www.dnp.co.jp/sustainability/report/pdf/DNP_sustainabilitywebarchive2024.pdf#page=57

<人材開発・育成の取り組み・制度>

 https://www.dnp.co.jp/sustainability/report/pdf/DNP_sustainabilitywebarchive2024.pdf#page=54

 

○社員のキャリア自律支援と組織力の強化

「人的資本ポリシー」に基づいて、社員一人ひとりの「自律的なキャリア形成」と「挑戦」を後押しするための施策を導入・展開しています。DNP独自の「価値関連性分析」によって、キャリア自律を支援する各制度とエンゲージメントとの相関性を分析した結果、キャリア支援制度利用者が増加することでエンゲージメントが向上し、生産性の向上につながることが明らかになったことから、自律的キャリア形成を支援する取り組み・制度のさらなる充実を図っています。具体的には、マネジメントまたはスペシャリストのどちらかを自律的に選択する複線型の役割等級制度を基盤として、管理職・専門職向けの職務・職位をより重視した等級格付や、管理職向けの部下からのマネジメントフィードバックなど、メンバーシップ型とジョブ型の双方の処遇のメリットを活かした独自のハイブリッドな「キャリア自律型」の仕組みであるDNP版「よりジョブ型も意識した処遇と関連施策」を展開しています。また、社員本人の主体的・自律的な意志を重視し、「人材公募制度」や、未経験の職種にも安心して挑戦できる「研修付き人材公募」、意思決定のスピードやマネジメント手法等がDNPとは大きく異なるスタートアップ企業に副業や出向ができる「スタートアップ企業派遣制度」を展開するなど、継続的な制度の拡充を行っています。

また、次世代経営リーダーを計画的に育成するために、選抜研修を継続的に実施しています。具体的には、社外の機関も活用した厳格な「エグゼクティブリーダーシップ&マネジメント研修(ELM研修)」を通じて、経営リテラシーの習得、リーダーシップやマネジメントスキルの強化を図っています。併せて、この研修の対象者に、人事ローテーションを活用して複数の部門で経験を積ませることで、より広い視野と高い視座を持つ次世代経営リーダーの計画的な育成を進めています。

 

■人的資本の強化における価値関連性分析


https://www.dnp.co.jp/ir/library/annual/pdf/DNP_integrated2024j.pdf#page=25

 

○社員の幸せ(幸福度)を高める健康経営

「人的資本ポリシー」のもと、「DNPグループ健康宣言」でめざす健康経営として、心身の健康に加えて、一人ひとりの「こころの資本(前向きな心)の醸成」や、組織・チームの「心理的安全性(信頼関係)の構築」に取り組んでいます。具体的には、チーム力の強化とマネジメントの変革を一層進めていくため、DNP独自の価値目標(DVO)制度を展開し、1on1ミーティング、チームミーティングと3点セットで運用することで、一人ひとりの「挑戦」とそれを支える組織の「信頼関係」の向上を図っています。また、価値創出の基盤となる活力ある職場風土づくりと、組織力・チーム力強化のために、DNPグループ全員が共通してめざすべき状態として「DNPウェルビーイング」を定義しています。これは、「心身の健康」と「安全で快適な職場環境」に「幸せ(挑戦心・信頼感)」を加えた3つの要素が満たされた「個人も組織も良好な状態」のことです。こうした定義に基づいた「DNPウェルビーイング表彰」を定期的に実施することで、グループ全体への拡充・浸透を進めています。こうした取り組みに加え、エンゲージメントサーベイによって組織の強みや課題などを可視化することによって、対話を通じた働きがいの向上にもつなげています。2022年度のエンゲージメントサーベイ導入当初から2024年度末までに、総合スコアは4.5%アップし、DNPが最も重視している社員の挑戦心の醸成度と組織の挑戦への支援度を表す「挑戦」指標は13.8%向上するなど、着実に取り組みの成果が表れています。引き続き、2025年度末までの総合スコア10%アップという目標達成に向けて、取り組みをさらに加速させていきます。

 

 

○人材ポートフォリオに基づく採用・人材配置・リスキリング

各社員の役割や保有する専門性・マネジメント能力によって、複数のタイプに類型化した人材ポートフォリオを策定しています。事業戦略と人材戦略のより密接な連動に向けて、各事業で真に求められる人材についてタイプごとに過不足を検討し、人材の質的側面を重視した採用・育成・人材配置での活用を推進しています。また、再構築事業から注力事業領域等への人材の再配置・リスキリングや、高度専門人材を高処遇で受け入れるプロフェッショナルスタッフ等の制度を運用するなど、強靭な事業ポートフォリオの構築に取り組んでいます。また、経済産業省が定めたデジタルスキル標準に準拠して、DNPグループとしてのDX(デジタルトランスフォーメーション)人材を定義し、「P&I(Printing & Information:印刷と情報)イノベーション」による価値創造を実現できる人材を育成しています。具体的には、DXリテラシーを持ち、DXを自分のこととして捉えている人材を「DX基礎人材」、各部門のDX推進を支える一層専門的な人材を「DX推進人材」と定義しました。こうした考えのもと、DNPグループ全社員を「DX基礎人材」の対象と位置付け、現時点のスキルレベルを可視化するためのDXリテラシーレベル診断を行っています。この結果を踏まえ、各自のレベルにあったe-ラーニングや、社内研修等のDXリテラシー標準基礎教育によるレベルアップを図っています。2025年度末までに対象社員約27,500名の受講完了をめざすなかで、2024年度末時点で25,473名(約92.6%)が修了しており、順調に進捗しています。

 

○多様な個を活かすD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)推進

DNPグループは、「人的資本ポリシー」に基づき多様な個を活かすD&Iを推進することで、「人的創造性」が飛躍的に高まると考えています。こうした考えのもと、D&I推進の中期ビジョンとして「“インクルージョンがあたりまえになっている”状態にすること」を掲げ、その実現に注力しています。その一環として、社長・役員をはじめ、DNPグループ社員約30,000人を対象に、自分に向き合う「アンコンシャス・バイアス研修」を実施するなど、各種施策を実行しています。

また、当社が持続的に発展していくためには、意思決定層における多様性を高めていくことが重要であると認識しています。この認識のもと、女性の上級管理職登用に向けて、管理職だけでなく若手・中堅も含めて女性の育成に努め、意思決定層の女性比率を継続的に高めるパイプラインの形成に注力しています。こうした取り組みにより、2024年度末時点で女性管理職比率が10.4%に、また、多様な働き方の実現に取り組むなかで、男性育児休業取得率が96.4%に達するなど、中期的な目標の達成に向けて順調に推移しています。

<ダイバーシティ&インクルージョン>

 https://www.dnp.co.jp/sustainability/report/pdf/DNP_sustainabilitywebarchive2024.pdf#page=42

 

○グローバル人事労務戦略の推進

上記の4つの重要課題に加えて、「グローバル人事労務戦略」の策定と推進にも取り組んでいます。DNPグループの海外事業の成長を支えるため、新たに設置した専門部署と現地法人との密なコミュニケーションを通じて、「駐在員候補者育成」「マネジメント力のあるグローバル人材育成」「現地人的資本の明確化」「本社機能強化」「国際標準・情報開示対応」「市場競争力・水準の確認」「リスクマネジメント(労働法・税制・健康管理等)」という7つの課題を抽出しました。これらの課題の解決に向けて、「タレントの可視化とマネジメント」「人材マネジメント基盤の整備」「リスクマネジメント力強化・体制の整備」を大きな3つの柱とし、グローバル人事労務戦略を推進しています。

 

(ⅲ)リスク管理

当社は統合的なリスクマネジメントを推進しており、その取り組みについては「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)DNPグループのサステナブル経営の取り組み (ⅲ)リスク管理」及び「3.事業等のリスク」に記載しています。人的資本におけるリスクとしては、「人権」「労働安全」「各種法令遵守の徹底」を経営における重要課題として取り上げて、対策を講じています。

 

 

(ⅳ)指標及び目標

DNPグループの「人的資本の強化」の指標については、関連する各指標のデータ管理とともに具体的な取り組みを推進しています。そのなかで、連結グループに属する各社の取り組み内容が異なっている場合があり、グループ全体での記載が困難な次の指標に関する目標及び実績は、主要な事業を営む提出会社のものを記載しています。

 

指標

目標

実績(当連結会計年度)

従業員エンゲージメントサーベイスコア *1

2025年度末までに10%向上

(2022年度比)

4.5%向上

DXリテラシー標準基礎教育受講完了者数 *2

2025年度末までに27,500名

25,473名

管理職に占める女性労働者の割合 *1

2025年度末までに12%以上

10.4%

男性労働者の育児休業取得率 *1

2025年度末までに100%達成

96.4%

 

*1 対象:大日本印刷株式会社

*2 対象:大日本印刷株式会社及び国内の主要な連結グループ会社

 

②知的資本の強化

DNPグループは、グローバルに通用する商材を増やして継続的に成長するために、長年培った「P&I(印刷と情報)」の独自の強みを進化・深耕させるとともに、社外のパートナーとの連携を深めることで知的資本を強化させています。新規事業の創出、新製品・新サービスの開発、生産技術等の開発など、幅広い研究開発を続けており、その活動は事業成長の原動力として機能しています。

研究開発の方針としては、DNP自身が「より良い未来」の姿を描き、それを起点とする「未来シナリオ」の実現に向けて、独自技術を強化し、新製品・新サービスの開発・提供につなげていくことを掲げています。研究開発関連の投資については、毎年300億円を超える規模の投資を継続的に実施しており、事業の成長戦略に応じて適宜増額していきます。

さらに、事業の成長と生産性の革新の両面で「DX」を強力に推進しており、そのための技術や人材の充実を図っています。重要な成長戦略の一つとして、社内のDX人材の育成と必要な外部人材の獲得、パートナー企業との連携等を位置付けており、DXによる価値創出のためのリソースをさらに拡充していきます。

DNPグループは常に変革に挑戦し、「オールDNP」で相乗効果を高めて「より良い未来」を実現するために、事業部門/研究開発部門/知財部門が三位一体となって新しい価値を創出していきます。

 

(ⅰ)ガバナンス

「知的資本の強化」に向けて、当社は「技術・研究開発」「知的財産獲得」「DX基盤構築」などの具体的な取り組みに対する主管部署を定めて活動しています。また、知的資本における「研究開発投資」や「M&A」などの重要課題については、取締役会において審議・決定しています。なお、取締役会に付議しないテーマの意思決定や業務執行については、取締役会で担当委任された各基本組織の担当取締役または執行役員が適切に実施しています。

 

 

(ⅱ)戦略

事業成長の原動力である「知的資本の強化」において、「長年培った『P&I(印刷と情報)』の独自の強みを進化・深耕させるとともに、社外のパートナーとの連携を深めることで知的資本を充実させていく」という考え方のもと、次の「4つの重要課題」を特定し、それぞれに具体策を定め、取り組みを進めています。

 

知的資本強化の基本戦略

具体的な施策

新規事業創出と強み技術の強化

未来シナリオから事業ポートフォリオを構築

・メガトレンドや事業環境を捉えた注力事業領域での新規事業創出

・DNP独自の技術の強化

・オープンイノベーションによる技術の獲得、強化

強み技術のグローバル展開

DNP独自の技術・製品を磨きグローバル展開を加速

・ライフ&ヘルスケア領域を中心にグローバル展開を加速

基盤事業の強化と風土改革

「オールDNP」による新しい価値の創出

・「オールDNP」による知の集約による基盤事業の強化と新製品開発

・研究開発の仕組みや制度の最適化

・新しい価値を創出する風土の醸成

DX基盤の高度化

データドリブン経営の実現と基盤の強化

・モダナイゼーション、グローバリゼーションを進め、デジタルICT基盤を強化

・データマネジメント基盤の可視化・分析の深化を進め、持続的に基盤をアップデート

 

 

(ⅲ)リスク管理

当社は統合的なリスクマネジメントを推進しており、その取り組みについては「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)DNPグループのサステナブル経営の取り組み (ⅲ)リスク管理」及び「3.事業等のリスク」に記載しています。知的資本におけるリスクとしては、「製品安全・品質」「情報セキュリティ」「AIガバナンス」「技術・知識の継承」「各種法令遵守の徹底」を経営における重要課題として取り上げて、対策を講じています。

 

(ⅳ)指標及び目標

当社は知的資本の強化に向けて、次の指標と目標を設定しています。

 

指標

目標

実績(当連結会計年度)

研究開発投資 *1

年間300億円を超える規模を継続

375億円

データマネジメント基盤の利用者数 *2

2025年度末までに10,000名に拡大

7,069名

データマネジメント基盤のデータ分析者数 *2

2025年度末までに1,000名に拡大

703名

データマネジメント基盤の分析・可視化されたレポート数 *2

2025年度末までに1,800本に拡大

1,356本

 

*1 対象:大日本印刷株式会社及び連結グループ会社

*2 対象:大日本印刷株式会社及び主要な連結グループ会社

 

 

③環境への取り組み

DNPグループは、事業活動と地球環境の共生を絶えず考え、行動規範のなかに「環境保全と持続可能な社会の実現」を掲げ、環境問題への対応を重要な経営課題の一つに位置付けています。近年は特に地球環境に対する負荷の低減が強く求められるなか、サプライチェーン全体で環境に配慮した活動を強化・推進しています。2020年3月には「DNPグループ環境ビジョン2050」を策定し、「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現に向けた取り組みを加速させています。

また、事業活動による自然環境への影響を適切に評価し、「環境への取り組み」を拡充して効果を高めるため、TCFD(Taskforce on Climate-related Financial Disclosures)が提言するフレームワークを活用した情報開示に加え、TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)の開示提言にも賛同し、情報開示の質と量の充実に努めています。

<環境ビジョン2050>

 https://www.dnp.co.jp/sustainability/report/pdf/DNP_sustainabilitywebarchive2024.pdf#page=15

 

(ⅰ)ガバナンス

「環境への取り組み」を着実に推進するため、当社は環境マネジメントの主管部署を定めて活動しています。この環境マネジメントの方針・戦略や大型の環境投資などについては、サステナビリティ推進委員会で議論を尽くし、取締役会にて審議・決定しています。なお、取締役会に付議しないテーマの意思決定や業務執行については、取締役会で担当委任された各基本組織の担当取締役または執行役員が適切に実施しています。これらの手続きを経て決定した環境課題に対する戦略・方針等については、事業部門ごとに設けている「各事業部・グループ会社環境委員会」と連携して、DNPグループが一体となって取り組んでいます。

 


 

 

(ⅱ)戦略

当社は「環境への取り組み」を重要な経営課題の一つに位置付けています。事業活動にともなう気候変動リスクの抽出と長期リスクに対する戦略の検討に向けて、TCFDが提言するフレームワークに沿って、「移行」及び「物理的影響」に関するシナリオ分析に基づく定性的・定量的な財務影響と、影響を受ける期間の評価・分析を実施しています。また、自然資本への影響評価や取り組みについて、TNFDの提言に沿った評価・分析を進め、情報開示の質と量の充実に取り組んでいます。

環境課題に対するリスクの抽出及びリスクに対する戦略の検討にあたり、気候変動については、国際的な機関が公表している複数のシナリオを用いて評価を実施しています。また、当社のバリューチェーンにおいて、自然資本への依存と、インパクトが大きい自社事業拠点の製造プロセスのインプット・アウトプットについて分析を進めています。これらの情報を基に設定したシナリオから環境関連のリスクと機会を特定し、定性的・定量的な財務影響と、影響を受ける期間について評価を実施しています。これらのリスクへの対応によって事業活動のレジリエンスを中長期的に高め、機会に転換していく取り組みによって、社会課題の解決に寄与するとともに当社の事業を拡大させていきます。

 


 

■DNPグループのバリューチェーンにおける依存とインパクトが大きい自然資本

 


 

 


 

 


 

(ⅲ)リスク管理

当社は統合的なリスクマネジメントを推進しており、その取り組みについては「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)DNPグループのサステナブル経営の取り組み (ⅲ)リスク管理」及び「3.事業等のリスク」に記載しています。環境への取り組みにおけるリスクとしては、「原材料・部品の調達」「各種法令遵守の徹底」「中長期的な環境リスク」を経営における重要課題として取り上げて、対策を講じています。

 

 

(ⅳ)指標及び目標

「DNPグループ環境ビジョン2050」の実現に向けて、中期目標を掲げて具体的な活動を進めています。

 

指標

目標

実績見込み(当連結会計年度)

GHG排出量の削減(Scope1+2) *1

2030年度末までに

2019年度比46.2%削減 *5

17.5%削減

環境配慮製品・サービス

「スーパーエコプロダクツ *4」

総売上高比率 *1

2030年度末までに30%に拡大

15%

資源循環率の向上

(不要物に対するマテリアルリサイクル

・ケミカルリサイクル比率) *2

2030年度末までに

不要物全体で70%を達成

63%

水使用量の削減 *2

(水使用量原単位)

2030年度末までに

2019年度比30%削減

8%削減

「印刷・加工用紙調達ガイドライン」

適合品調達率 *3

2025年度末までに98%、

2030年度末までに100%達成

100%

 

*1 対象:大日本印刷株式会社及び連結グループ会社

*2 対象:大日本印刷株式会社及び連結グループ会社の製造拠点

*3 対象:大日本印刷株式会社及び国内の主要な連結グループ会社

*4 自社独自の基準で特定した環境配慮に優れた製品・サービス

*5 GHG排出量削減目標は、パリ協定の努力目標である「1.5℃目標(温度上昇を1.5℃以内に抑える水準の目標)」に準じて「基準年度比で年率4.2%の削減」とする。

 

④ 人権への取り組み

DNPグループは、「人権の尊重」について、企業が社会の一員として果たすべき責任の一つであると認識しており、「社員」「地域社会」「サプライヤー」「顧客」「株主・投資家」といった多様なステークホルダーとの対話を通して、人権デュー・ディリジェンスの取り組みを強化しています。

 

(ⅰ)ガバナンス

人権尊重の取り組みの方針や戦略などについては、サステナビリティ推進委員会での議論を経て、取締役会にて審議・決定しています。サプライチェーン全体における人権に関する課題については、取締役会でもその重要性及び取り組みの必要性を審議しており、2022年度からサプライチェーン管理の強化を図っています。2024年度には、サステナビリティ推進委員会で人権デュー・ディリジェンス推進に向けた審議を行いました。なお、取締役会に付議しないテーマの意思決定や業務執行については、取締役会で担当委任された各基本組織の担当取締役または執行役員が適切に実施しています。

 

(ⅱ)戦略

当社は、全ての社員が取るべき行動を示した「DNPグループ行動規範」のなかに「人類の尊厳と多様性の尊重」を掲げ、あらゆる人が固有に持つ文化、国籍、信条、人種、民族、言語、宗教、性別、年齢や考え方の多様性を尊重することを定めています。2020年には、取締役会の審議を経て、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく「DNPグループ人権方針」を策定しました。この方針では、「国際人権章典」や「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」等が定め、国際的に認められた人権をDNPグループが尊重することを表明しています。その他にも、人権尊重に資する「DNPグループ環境方針」や「DNPグループサステナブル調達ガイドライン」(2024年7月改定)を定めて、さまざまな活動を推進しています。

 

当社は、自社の事業活動が、社員だけでなく、サプライヤーや地域社会をはじめとする、事業活動のサプライチェーン上の全てのステークホルダーの人権に影響を及ぼすことと、それにともなって人権尊重への取り組みが企業に求められていることを深く認識しています。当社は常に、社員の労働安全衛生や職場環境に関するリスク、サプライチェーン上の人権問題等の負の影響を防止・軽減する各種施策を実行しています。近年は特に人権を尊重する企業の取り組みの重要性が高まっており、2024年度からは当社の事業活動に関わる人権リスクの特定・評価を加速させています。具体的には、社外の専門家を起用して、当社の国内外の拠点(一部の子会社等を除く)に人権リスクに関するアンケート及びヒアリングを実施し、潜在的なリスクの分析を行いました。これらの結果と、印刷関連業界特有の人権リスクの特徴を踏まえ、当社として考慮すべき人権リスクの全体像を見極めるとともに、特に重要な人権リスクの特定を進めています。

また、人権デュー・ディリジェンスで求められる救済へのアクセスを確保するために、退職者を含む社員やビジネスパートナーなどのステークホルダーが利用できる通報窓口を設置し、対話の促進に努めています。特に、社員の通報窓口においては、弁護士が相談・通報を受け付ける外部窓口を設置するほか、多言語対応しています。サプライチェーンにおける人権リスクについては、取引規模や事業継続の観点での重要なサプライヤーを対象として、「サステナブル調達ガイドライン」に基づく書面調査やヒアリングを継続的に行い、各社の遵守状況の確認と課題の改善に取り組んでいます。さらに、人権課題の実態を把握するため、サプライヤーの人権マネジメントの方針・体制等の整備状況や、強制労働の懸念、紛争状態にある国・地域との関与についても併せて確認しています。

 


 

特に、深刻な人権リスクの懸念があり、当社の事業活動にも欠かせない鉱物資源については、「OECD紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンス・ガイダンス」に基づいて「DNPの責任ある鉱物調達フレームワーク」を定め、RMI(Responsible Minerals Initiative)のRMAP(Responsible Minerals Assurance Process)を用いて責任ある鉱物調達に取り組んでいます。

 

(ⅲ)リスク管理

当社は統合的なリスクマネジメントを推進しており、その取り組みについては「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)DNPグループのサステナブル経営の取り組み (ⅲ)リスク管理」及び「3.事業等のリスク」に記載しています。人権尊重の取り組みを経営における重要課題として取り上げ、コンプライアンスに関する経営リスク及び中長期的な経営リスクへの対策を講じています。

 

(ⅳ)指標及び目標

人権尊重の取り組みをさらに強化するため、サプライチェーン全体の重要な人権リスクについて、2024年度には、人権デュー・ディリジェンスの負の影響の特定・評価のプロセスを通じて明らかにするよう取り組んできました。2025年度は、これらの人権課題を踏まえて、サプライチェーン管理及び当社の人事労務施策などについて具体的な指標と目標を策定し、人権デュー・ディリジェンスの実効性を高めていきます。