人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数8,911名(単体) 36,360名(連結)
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平均年齢44.8歳(単体)
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平均勤続年数20.7年(単体)
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平均年収8,610,246円(単体)
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平均年収の
対前年増減率3.8%(単体)
従業員の状況
人材戦略に関する基本方針等
(1) 【人材戦略に関する基本方針等】
当社グループは、持続可能なより良い社会の実現と人々の心豊かな暮らしへの貢献を目指し、長期的な視点に立ち、自らがより良い未来を創り出す主体となる事業活動を展開することを経営の基本方針としています。この基本方針のもと、独自の強みである高度化された「印刷(Printing)」および「情報(Information)」の技術を基盤に、多様なパートナーとの「対話と協働」を通じてそれぞれの強みを掛け合わせ、社会課題の解決と新たな価値の創出に取り組んでいます。
こうした経営方針を持続的に実現していくためには、価値創出の基盤であり、競争力の源泉である人的資本の強化が不可欠であるとの認識のもと、当社グループでは、人財を最も重要な経営資本の一つとして位置付けています。人に対する普遍的・基本的な考え方を「人的資本ポリシー」として明確化し、育成、配置、処遇に関する共通の軸として位置付けるとともに、この方針に基づき、人への投資を積極的かつ継続的に拡充しています。
当社グループは、中期経営計画および各事業戦略の実現に向け、人材戦略を経営戦略と一体で推進しています。具体的には、各事業の戦略実現に向けた人材ニーズに対する人材の過不足状況を「DNP版キャリア・スキルマップ」により可視化することで、戦略的な人材配置やマッチング、必要人材の獲得・育成施策へとつなげ、経営戦略と人材戦略の連動を図っていきます。加えて、人への投資を通じて人的創造性(付加価値生産性)をグローバルで向上させ、企業価値および財務価値の向上につなげる好循環の確立を目指しています。
従業員の給与(賞与を含む)等の決定方針については、マネジメント(管理職)またはスペシャリスト(専門職)を自律的に選択できる複線型の役割等級制度を基盤として、市場競争力のある報酬水準および報酬体系の維持・確保を前提に、職務・職位および役割に対する期待貢献の発揮度に加え、行動やプロセス等を総合的に評価し、決定しています。当事業年度における従業員の平均年間給与は8,610,246円となり、前事業年度の8,298,269円から3.76%増加しています。このような処遇水準の向上については、「人的資本ポリシー」に基づく人的資本への継続的かつ積極的な投資の一環として実施しているものです。また、こうした賃金等の金銭的報酬に加え、自律的なキャリア形成や挑戦を後押しする制度、学び直しや能力開発の機会、働き方やウェルビーイングの向上に資する施策など、非金銭的要素を含めた「総合的な人への投資」を推進しています。
さらに、中期経営計画の達成状況等と連動した従業員向け株式交付制度や従業員持株会制度を通じて、企業価値向上に対するインセンティブの強化を図っています。従業員向け株式交付制度においては、当社グループの中長期的な成長および企業価値向上に対する従業員の意識を一層高めることを目的として、一定の条件を満たした従業員に対し当社株式を交付する仕組みを導入し、企業価値創出への貢献と処遇を中長期的な視点で結び付けています。また、従業員持株会制度においては、創業150周年を記念した施策として、一定期間継続加入している従業員等を対象に、特別奨励金として当社株式を付与するとともに、拠出継続年数に応じた奨励金率の引き上げを実施しています。これにより、従業員の経営参画意識を高め、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブを与えるとともに、株主との一層の価値共有を促進しています。これらの制度は、役員報酬制度における業績連動報酬および株式報酬の考え方との整合性を確保しつつ、従業員による価値創出への貢献を中長期的視点で適切に反映することを目的としています。
当社グループは、これらの人的資本に関する取り組みを通じて、中長期的な成長を支える強固な経営基盤の構築と、持続的な企業価値の創出を目指しています。なお、これらの方針に基づく具体的な取り組みについては、「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しています。
(2) 【従業員の状況】
①連結会社の状況
2026年3月31日現在
(注)1.従業員数は就業人員数(DNPグループからグループ外への出向者を除き、グループ外からDNPグループへの出向者を含む。)であります。従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員数であります。
2.臨時従業員は、雇用契約期間に6か月以上の定めのある従業員であります。
3.全社(共通)は、提出会社の本社部門及び提出会社の基礎研究部門等に所属している就業人員数であります。
②提出会社の状況
2026年3月31日現在
(注)1.従業員数は就業人員数(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であります。従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員数であります。
2.臨時従業員は、雇用契約期間に6か月以上の定めのある従業員であります。
3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
4.全社(共通)は、本社部門及び基礎研究部門等に所属している就業人員数であります。
5.従業員数が、前事業年度末と比較して874名減少しておりますが、主として2025年4月1日に当社の出版印刷事業について、当社の連結子会社である株式会社DNP書籍ファクトリー(同日付で「株式会社DNP出版プロダクツ」に商号変更)を承継会社とする吸収分割を行ったことによるものです。
③労働組合の状況
大日本印刷グループ労働組合連合会は、現在26労働組合が加盟し、グループ内の組合員数は約21,100人であります。
労使関係について、特に記載すべき事項はありません。
④使用人その他の従業員のみを対象とした役員・従業員株式所有制度の内容
1.従業員向け株式交付制度(株式付与ESOP信託)の概要
当社は2025年12月22日開催の取締役会において、当社グループの中長期的な成長および企業価値向上に対する従業員の意識を一層高めることを目的として、従業員向け株式交付制度(以下「本制度」といいます。)を導入することを決議しました。本制度は、2026年度から開始する3か年の新中期経営計画の対象期間における業績目標の達成状況に応じて、予め定める株式交付規程に基づき、当社従業員に対して、当社の株式及び当社株式の換価処分金額相当額の金銭を一定の要件を充足する従業員に交付または給付するものです。なお、本制度は一部の当社グループ会社の従業員にも導入を予定しております。
2.従業員に取得させる予定の株式の総数
有価証券報告書提出日現在で、未定であります。
3.本制度による受益権その他の権利を受けることができる者の範囲
対象従業員のうち受益者要件を満たす者
⑤管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
ア 提出会社
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。計算式(当事業年度に育児休業等を開始した男性労働者の数)÷(当事業年度に配偶者が出産した男性労働者の数)×100
3.男女の賃金の差異については、賃金に賞与および基準外賃金を含んでいます。また、短時間勤務者、パート労働者については、正規雇用労働者の所定労働時間(1日8時間)で換算した人員数を基に平均年間賃金を算出しています。
4.社員個々の性自認を尊重し、本算定にあたり、社員から性自認についての申告があった際は、原則、申告に基づく性別に含めて算定することとしています。
5.当社においては、処遇制度上、賃金体系・水準面で男女の差はありません。
・正規雇用労働者全体では男女間で賃金の差異が生じていますが、その差異は、
①人員構成(年齢・勤続年数など)の要因による管理職ならびに上位等級における比率の差、
②育児休業や育児による短時間または短日数勤務の利用状況による所定外手当の差、
③その他各種手当の支給状況の差、
といった人員構成・働き方の違いが主な要因であると認識しています。
・当社は、女性管理職比率の向上に向けた育成・登用施策、キャリア形成支援、ならびに評価・登用の運用点検を通じてジェンダーギャップの解消に取り組んでいます。具体的な取り組み等については「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)サステナビリティに関する具体的な取り組み ①人的資本の強化」に記載しています。
・パート・有期労働者の男女間賃金差異については、主に雇用形態の違いが起因しています。特に、定年後再雇用者は男性が多く、定年前の等級等を踏まえて処遇を決定しており、格差が生じています。
<男女賃金差異の影響度内訳>
イ 主要な連結子会社
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。計算式(当事業年度に育児休業等を開始した男性労働者の数)÷(当事業年度に配偶者が出産した男性労働者の数)×100
3.短時間勤務者、パート労働者については、正規雇用労働者の所定労働時間(1日8時間)で換算した人員数を基に平均年間賃金を算出しています。
4.社員個々の性自認を尊重し、本算定にあたり、社員から性自認についての申告があった際は、原則、申告に基づく性別に含めて算定することとしています。
5.連結子会社のうち主要な連結子会社以外のものについては、「第7 提出会社の参考情報 2 その他の参考情報 (2) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
DNPグループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであり、結果は社会動向の変化などにより異なる可能性があります。
(1)DNPグループのサステナブル経営の取り組み
DNPグループは、企業理念に基づき、サステナブルな経営の考え方として「持続可能な社会と心豊かな暮らし」の実現をめざしており、自らが主体となって「より良い未来」をつくり出すための事業活動を展開しています。「より良い未来」を実現するとともに、当社自身が長期的に成長していくためには、多様かつ急激な環境・社会・経済の変化が当社の経営に及ぼす影響を適切に捉え、マイナスの影響(リスク)及びプラスの影響(機会)(以下、総称して「リスク及び機会」という。)を評価したうえで中長期的な経営戦略に反映し、リスクを低減するとともに、事業機会に転換する必要があります。
さらに、さまざまな変動要因に対して、柔軟かつ機動的に対応するだけでなく、変化を先取りして自らが変革を起こし、ビジネスチャンスに変えていくことで、企業としての持続可能性と環境・社会・経済の持続可能性をともに高めていきます。
(ⅰ)ガバナンス
当社は、健全な社会と経済、快適で心豊かな人々の暮らしは、サステナブルな地球の上でこそ成り立つと考えています。近年は特に、環境・社会・経済が急激に変化しており、経営に影響を与える変動要因もますます多様かつ広範囲に及んでいます。
このようななか、環境・社会・経済の持続可能性をともに高め、DNPグループの持続的な成長をさらに推進していくため、代表取締役社長を委員長、代表取締役副社長を副委員長、本社の各部門を担当する取締役・執行役員を委員とする「サステナビリティ推進委員会」が、中長期的な経営リスクの管理、事業機会の把握及び経営戦略への反映を担っています。この委員会が、自然災害やサイバー攻撃による事業停止をはじめとする有事の際も社員の安全を確保し、生産活動を維持していくための「BCM推進委員会」、社員のコンプライアンス意識の向上を図ってリスクの低減を図る「企業倫理行動委員会」と密に連携することで、全社的リスクを網羅し、柔軟で強靭なガバナンス体制を構築しています。
サステナビリティ推進委員会は、サステナビリティに係る当社のあり方を適切に経営戦略に反映していくため、年4回の定例開催を基本として必要に応じて適宜開催し、以下の内容の協議を行い、取締役会に報告と提言を行います。
・サステナビリティに関する中長期的な経営リスク管理、事業機会の把握及び経営戦略への反映
・サステナビリティ活動方針の策定と各部門での実行の統括
・サステナビリティに関する課題の掌握、目標・計画の策定、計画推進・活動状況の評価及び是正・改善
取締役会は、当委員会で協議・決議された事項の審議内容、活動状況、成果についての報告を受け、サステナビリティに関する対応方針並びに施策等の妥当性について、審議・監督を行っています。当社のガバナンス体制についての詳細は、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しています。
(ⅱ)戦略
当社は、企業理念に「人と社会をつなぎ、新しい価値を提供する。」ことを掲げ、サステナブルな経営の考え方として「持続可能な社会と心豊かな暮らし」の実現をめざしています。これらに基づき、長期を見据えて、自らが「より良い未来」をつくり出すための事業活動を展開しています。2024年3月には、当社が「より良い未来」としてめざす、それぞれ相互関係にある「4つの社会」の実現に向けて、また、当社が社会とともに成長し続けるために重要なこととして、当社が提供する価値及び取り組むべき事項を具体化した「マテリアリティ」を特定しました。
■DNPグループがめざす「より良い未来」とマテリアリティ
・安全・安心かつ健康に心豊かに暮らせる社会
自ら変化を生み出し、変化に柔軟に対応することで、環境・社会・経済の持続可能性を高めていきます。
・快適にコミュニケーションができる社会
リアルとデジタルをつなぐことで、得られる体験価値の質を高めるとともに、人々の活動の機会を拡げていきます。
・人が互いに尊重し合う社会
相互に理解を深め、認め合うことで、誰もがいきいきと活躍できる場をつくっていきます。
・経済成長と地球環境が両立する社会
環境保全・環境負荷の低減に取り組むことで、ネイチャーポジティブなバリューチェーンを実現していきます。
マテリアリティに基づき策定した、中期経営計画における「事業戦略」「財務戦略」「非財務戦略」に沿った取り組みを推進し、新しい価値の創出と経営基盤の強化により、当社の持続的な成長を図っていきます。
特に非財務戦略においては、「人的資本の強化」「知的資本の強化」「環境への取り組み」を、リスク低減と機会創出の双方に資する重要な経営課題として位置付けています。
<中期経営計画(2023-2025年度)>
https://www.dnp.co.jp/ir/library/presentation/pdf/dnp_22Q4pre.pdf
<中期経営計画(2026-2028年度)>
https://www.dnp.co.jp/ir/library/presentation/pdf/dnp_25Q4pre.pdf
(ⅲ)リスク管理
当社は、柔軟で強靭なガバナンス体制のもとで、環境・社会・経済における外部環境の変化やメガトレンド(以下、「変動要因」という。)を起点として、当社の事業に影響を及ぼし得るリスク及び機会を識別しています。これらへの対応を通じて、変動要因によるマイナスの影響を最小限に抑えるとともに、事業機会の拡大につなげるため、統合的なリスクマネジメントを推進しています。
当社は、識別したリスク及び機会について、「財務影響の大きさ(100億円以上、10億円以上、10億円未満/年)」「発生可能性(大、中、小)」「発現時期(5~10年、5年以内、顕在化)」「社会・環境への影響度(大、中、小)」等の観点から重要性評価を行い、その評価結果に基づき、サステナビリティ推進委員会において、特に経営へ影響が大きい項目を「重要なリスク及び機会」として特定しています。
特定した重要なリスク及び機会は、中期経営計画における事業戦略・財務戦略・非財務戦略に反映するとともに、個別のリスク管理施策や事業機会創出のための施策として具体化しています。また当社は、重要なリスクの低減を図るため、重点的に推進する対応施策(以下、「重点対応施策」という。)を明確にしています。重点対応施策として位置付けた事項の詳細は、「3.事業等のリスク(1)DNPグループの重要なリスク」に記載しています。
なお、当社では、リスク及び機会の評価・見直しを年に1回以上実施し、外部環境の変化や事業戦略の進捗状況に応じて継続的に経営に反映させています。
当社が識別した主なリスク及び機会は以下のとおりです。当該一覧のうち重要性評価の結果、特に影響が大きいと判断した「重要なリスク及び機会」は、<重要性評価の結果、重要と判断したリスク及び機会>の表に示しています。これらのリスク及び機会は、売上の増減、コストの増減、投資の増加等を通じて当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。また、機会にはリスクへの対応過程において創出されるものも含まれています。
<識別したリスク及び機会>
<重要性評価の結果、重要と判断したリスク及び機会>
重要なリスクについては、事業への影響の低減を図るため、重点的に対応を行っています。重要な機会については、当社の注力事業領域における成長機会として取り込んでおり、事業戦略などに反映しながら取り組みを推進しています。
リスクの詳細については「3.事業等のリスク」に記載し、機会の詳細については「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しています。また、統合報告書及び当社Webサイトにも具体的な取り組みを掲載していますので、記載のリンク先をご参照ください。
*1 サステナビリティウェブアーカイブ2025 P.115~123
*2 サステナビリティウェブアーカイブ2025 P.124~132
*3 サステナビリティウェブアーカイブ2025 P.44~49
*4 統合報告書2025 P.21~28
<サステナビリティウェブアーカイブ2025>
https://www.global.dnp/content/dam/dnp-global/pdf/ja/sustainability/report/archive2025.pdf
<統合報告書2025>
https://www.global.dnp/content/dam/dnp-global/pdf/ja/ir/library/annual/DNP_integrated2025j.pdf
また当社では、識別したリスク及び機会に対して、個別の対応を進めるとともに、「非財務戦略」を「経営基盤強化策」と位置づけ、網羅的な取り組みを行っています。中期経営計画において中核テーマとしている「人的資本の強化」「知的資本の強化」「環境への取り組み」における各施策は、リスクの低減のみならず、新たな事業機会の創出や競争優位性の確立を通じて、中長期的な企業価値の向上に資するものと考え、取り組みを強化しています。
(ⅳ)指標及び目標
当社は、サステナビリティに関するリスク及び機会への対応状況を定量的に把握・管理するため、関連する指標及び目標を設定しています。これらの指標は、中期経営計画及び各施策の進捗管理に活用するとともに、サステナビリティ推進委員会及び取締役会において定期的に進捗を管理しています。各指標及び目標に対する当事業年度における結果および進捗状況については、次項以降において各取り組みとあわせて記載しています。また、当社の「2025年度決算概要説明会資料」においても、主要な指標及び目標を一覧にして開示しています。
<2025年度決算概要及び2026-2028年度中期経営計画説明資料 P.18>
https://www.dnp.co.jp/ir/library/presentation/pdf/dnp_25Q4pre.pdf
(2)サステナビリティに関する具体的な取り組み
①人的資本の強化
当社が「より良い未来」をつくり出していくための“重要な基盤”であり、“強みの源泉”は社員一人ひとりの存在にほかなりません。社員が安心して挑戦を重ねることで、それぞれの強みを伸ばし、その強みを「対話」を通じて掛け合わせていくこと(協働)によって、社会と人々に新しい価値を提供し続けることが可能となります。
こうした“人に対するDNPグループの普遍的・基本的考え方”を「人的資本ポリシー」として策定し、「一人ひとりが強みを伸ばし、社会(社内・社外)で活躍できる人財に成長してもらいたい」という思いと、「社員を大切にし、大切にした社員によって企業が成長し、その社員が社会をより豊かにしていく」という信念を明確にしています。当社は引き続き、人的資本の強化と最大化を加速させていきます。
これらの取り組みは、当社が識別したリスクを低減し、事業活動の安定性を高めるとともに、事業競争力の強化につながる機会の拡大を支えるものです。人的資本への継続的な投資と実施していく各施策は、中長期的な経営基盤の強化に寄与するとともに、人的創造性を向上させて持続的な成長と収益力の強化につながる要素であると考えています。
<人的資本ポリシー:サステナビリティウェブアーカイブ2025 P.51>
https://www.global.dnp/content/dam/dnp-global/pdf/ja/sustainability/report/archive2025.pdf
(ⅰ)ガバナンス
「人的資本ポリシー」に基づく「人的資本の強化」に向けて、当社は「採用」「人材育成」「組織開発」「人事諸制度」「ウェルビーイング」「安全衛生」「ダイバーシティ」などを注力テーマとして、主管部門を定めて具体的な取り組みを進めています。これら人的資本の注力テーマの重要課題とその具体策については、取締役会にて審議・決定しています。なお、取締役会に付議しないテーマの意思決定や業務執行については、取締役会で担当委任された各基本組織の担当取締役または執行役員が適切に実施しています。
(ⅱ)戦略
価値創出の要であり、成長の原動力である「人的資本」を強化するにあたり、「人的資本ポリシーに基づき人への投資を拡大する」という方針のもと、「人への投資」が企業価値向上に貢献するという好循環ループの確立に向け、「人的創造性(付加価値生産性)」をグローバルで飛躍的に高めていくことを社内外に宣言しています。
そのための人材育成方針として、社員一人ひとりが自律した個として主体的に必要な知識と技術を身につけ、最大限に自身の役割を果たし、自らの成長と自己実現を図ることができる人材の継続的な輩出を目指しています。社内環境の整備として「DNPグループダイバーシティ宣言」や「DNPグループ健康宣言」などに基づき、多様な個の強みを引き出すチーム力や組織力の強化に向けて当社独自の「DNP価値目標(DVO:DNP Value Objectives)制度」によるチーム目標の設定、組織のエンゲージメントを高める施策、さらには「キャリア自律型」の仕組みであるDNP版「よりジョブ型も意識した処遇と関連施策」などを展開しています。社員は自律的にキャリアを描くなかで自らを磨き、会社は「価値創造に向けた社員のキャリア自律」を支援していくことで、人的資本ポリシーに掲げる「社会(社内・社外)で活躍できる人財」の輩出を目指しています。この実現に向けて、2023-2025年度の中期経営計画では、次の「4つの重要課題」を特定し、それぞれに具体策を定め、取り組みを進めてきました。2026-2028年度の中期経営計画では、当社の経営方針を持続的に実現していくため、これらの取り組みをさらに加速させていくとともに、各事業の戦略実現に向けた人材ニーズに対する人材の過不足状況を「DNP版キャリア・スキルマップ」により可視化することで、戦略的な人材配置やマッチング、必要人材の獲得・育成施策へとつなげ、経営戦略と人材戦略を一体的に推進する体制を一層強化していきます。これにより、人への投資を起点として人的創造性(付加価値生産性)をグローバルで飛躍的に向上させ、企業価値及び財務価値の向上につなげる好循環の確立を目指していきます。
なお、2026年度から2028年度の中期経営計画では、『人への投資によってグローバルでの「人的創造性」を高め、企業価値向上の好循環ループを実現する』ことを基本方針としています。この実現に向けて、「経営戦略との連動」を中心に、「組織力の強化・組織開発」「従業員体験の最大化」「持続的に稼ぎ続ける力の追求」「人事原則・人事哲学との整合」という5つの観点から主要課題を設定しました。これらの課題に対して新たに指標及び目標を定め、各施策を着実に実行していくことで、人的資本の強化に継続的に取り組んでいきます。
<2023-2025年度 中期経営計画における人的資本強化の基本戦略>
<2026-2028年度 中期経営計画における人的資本強化の基本戦略>
<ダイバーシティ宣言:サステナビリティウェブアーカイブ2025 P.69>
https://www.global.dnp/content/dam/dnp-global/pdf/ja/sustainability/report/archive2025.pdf
<健康宣言:サステナビリティウェブアーカイブ2025 P.59>
https://www.global.dnp/content/dam/dnp-global/pdf/ja/sustainability/report/archive2025.pdf
<人材育成制度:サステナビリティウェブアーカイブ2025 P.54~56>
https://www.global.dnp/content/dam/dnp-global/pdf/ja/sustainability/report/archive2025.pdf
○社員のキャリア自律支援と組織力の強化
「人的資本ポリシー」に基づいて、社員一人ひとりの「自律的なキャリア形成」と「挑戦」を後押しするための施策を導入・展開しています。当社独自の「価値関連性分析」によって、キャリア自律を支援する各制度とエンゲージメントとの相関性を分析した結果、キャリア支援制度利用者が増加することでエンゲージメントが向上し、生産性の向上につながることが明らかになったことから、自律的キャリア形成を支援する取り組み・制度のさらなる充実を図っています。具体的には、マネジメントまたはスペシャリストのどちらかを自律的に選択する複線型の役割等級制度を基盤として、管理職・専門職向けの職務・職位をより重視した等級格付や、管理職向けの部下からのマネジメントフィードバックなど、メンバーシップ型とジョブ型の双方の処遇のメリットを活かした独自のハイブリッドな「キャリア自律型」の仕組みであるDNP版「よりジョブ型も意識した処遇と関連施策」を展開しています。また、社員本人の主体的・自律的な意志を重視し、「人材公募制度」や、未経験の職種にも安心して挑戦できる「研修付き人材公募」、意思決定のスピードやマネジメント手法等が当社とは大きく異なるスタートアップ企業に副業や出向ができる「スタートアップ企業派遣制度」を展開するなど、継続的な制度の拡充を行っています。
また、次世代経営リーダーを計画的に育成するために、選抜研修を継続的に実施しています。具体的には、社外の機関も活用した厳格な「エグゼクティブリーダーシップ&マネジメント研修(ELM研修)」を通じて、経営リテラシーの習得、リーダーシップやマネジメントスキルの強化を図っています。併せて、この研修の対象者に、人事ローテーションを活用して複数の部門で経験を積ませることで、より広い視野と高い視座を持つ次世代経営リーダーの計画的な育成を進めています。
■人的資本の強化における価値関連性分析
<統合報告書2025 P.29>
https://www.global.dnp/content/dam/dnp-global/pdf/ja/ir/library/annual/DNP_integrated2025j.pdf
○社員の幸せ(幸福度)を高める健康経営
当社では「健康と安全はすべてに優先する」という理念のもと、「DNPグループ健康宣言」に基づく健康経営を行っています。心身の健康に加えて、一人ひとりの「こころの資本(前向きな心)の醸成」や、組織・チームの「心理的安全性(信頼関係)の構築」に取り組んでいます。具体的には、チーム力の強化とマネジメントの変革を一層進めていくため、当社独自のDNP価値目標(DVO)制度を展開し、1on1ミーティング、チームミーティングと3点セットで運用することで、一人ひとりの「挑戦」とそれを支える組織の「信頼関係」の向上を図っています。また、価値創出の基盤となる活力ある職場風土づくりと、組織力・チーム力強化のために、当社全員が共通して目指すべき状態として「DNPウェルビーイング」を定義しています。これは、「心身の健康」と「安全で快適な職場環境」に「幸せ(挑戦心・信頼感)」を加えた3つの要素が満たされた「個人も組織も良好な状態」のことです。こうした定義に基づいた「DNPウェルビーイング表彰」を定期的に実施することで、グループ全体への拡充・浸透を進めています。こうした取り組みに加え、エンゲージメントサーベイによって組織の強みや課題などを可視化することによって、対話を通じた働きがいの向上にもつなげています。2022年度のエンゲージメントサーベイ導入当初から2025年度末までに総合スコア10%アップという目標達成に向けて取り組みを進め、6.0%の改善が図られました。なお、当社が最も重視している社員の挑戦心の醸成度と組織の挑戦への支援度を表す「挑戦」指標は17.2%向上するなど、着実に取り組みの成果が表れています。
○人材ポートフォリオに基づく採用・人材配置・リスキリング
当社は、各社員の役割や保有する専門性・マネジメント能力によって、複数のタイプに類型化した人材ポートフォリオを策定しています。事業戦略と人材戦略のより密接な連動に向けて、各事業で真に求められる人材についてタイプごとに過不足を検討し、人材の質的側面を重視した採用・育成・人材配置での活用を推進しています。また、再構築事業から注力事業領域等への人材の再配置・リスキリングや、高度専門人材を高処遇で受け入れるプロフェッショナルスタッフ等の制度を運用するなど、強靭な事業ポートフォリオの構築に取り組んでいます。また、経済産業省が定めたデジタルスキル標準に準拠して、当社としてのDX(デジタルトランスフォーメーション)人材を定義し、「P&Iイノベーション」による価値創造を実現できる人材を育成しています。具体的には、DXリテラシーを持ち、DXを自分のこととして捉えている人材を「DX基礎人材」、各部門のDX推進を支える一層専門的な人材を「DX推進人材」と定義しました。こうした考えのもと、当社の全社員を「DX基礎人材」の対象と位置付け、現時点のスキルレベルを可視化するためのDXリテラシーレベル診断を行っています。この結果を踏まえ、各自のレベルにあったe-ラーニングや、社内研修等のDXリテラシー標準基礎教育によるレベルアップを図っています。2025年度末までに対象社員約27,500名の受講完了を目指すなかで、2025年度末時点で29,259名が修了しています。
○多様な個を活かすD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)推進
当社は、「人的資本ポリシー」に基づき、多様な個を活かすD&Iを推進することで「人的創造性」が飛躍的に高まると考えています。「インクルージョンがあたりまえになっている」状態の実現を掲げ、その一環として、異なる意見やアイデアを活かす組織風土の醸成を目的に、社長・役員を含む、当社グループの社員約30,000人を対象に、自分のバイアスと向き合う「アンコンシャス・バイアス研修」を実施するなど、行動変容につなげる各種施策を展開しています。
また、当社が持続的に発展していくためには、意思決定層における多様性を高めていくことが重要であるとの認識のもと、女性の上級管理職登用に向けた取り組みを推進しています。管理職に限らず、若手・中堅も含めて計画的な育成と、多様な人材が活躍する風土醸成を両輪で進め、意思決定層の女性比率を継続的に高めるパイプラインの形成に注力しています。こうした取り組みにより、2025年度末時点で女性管理職比率が12.3%に、また、多様な働き方の実現に取り組むなかで、男性育児休業取得率が100%に達しています。
<ダイバーシティ&インクルージョン:サステナビリティウェブアーカイブ2025 P.68~78>
https://www.global.dnp/content/dam/dnp-global/pdf/ja/sustainability/report/archive2025.pdf
○グローバル人事労務戦略の推進
当社は、世界各国で多様な事業を展開しており、その持続的成長を支える基盤として、「グローバル人事労務戦略」を推進しています。この取り組みを担う専門部署と現地法人との連携を通じて、これまで「駐在員候補者の育成」「マネジメント力を備えたグローバル人材の育成」「現地人的資本の可視化」「本社機能の強化」「国際標準および情報開示への対応」「各国市場における競争力・水準の確認」「労働法令、税制、健康管理等を含むリスクマネジメント」という主要な課題を整理しました。これらの課題の解決に向けて、「タレントの可視化とマネジメント」「人材マネジメント基盤の整備」「リスクマネジメント力の強化と体制の整備」を大きな三つの柱として、施策を段階的に進めています。引き続き、新たな中期経営計画の方向性も踏まえ、グローバルで一貫性のある人事労務マネジメントの高度化に取り組んでいきます。
(ⅲ)リスク管理
当社は統合的なリスクマネジメントを推進しており、その取り組みについては「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)DNPグループのサステナブル経営の取り組み (ⅲ)リスク管理」及び「3.事業等のリスク」に記載しています。
(ⅳ)指標及び目標
当社の「人的資本の強化」の指標については、関連する各指標のデータ管理とともに具体的な取り組みを推進しています。そのなかで、連結グループに属する各社の取り組み内容が異なっている場合があり、グループ全体での記載が困難な次の指標に関する目標及び実績は、主要な事業を営む提出会社のものを記載しています。
*1 対象:大日本印刷株式会社
*2 対象:大日本印刷株式会社及び国内の主要な連結グループ会社
*3 計算式:(当事業年度に育児休業等を開始した男性労働者の数)÷(当事業年度に配偶者が出産した男性労働者の数)×100
なお、2026-2028年度の中期経営計画においては、新たな目標を掲げて人的資本の強化に取り組んでいきます。各目標については以下の通りです。
*1 対象:大日本印刷株式会社
*2 対象:大日本印刷株式会社及び国内の主要な連結グループ会社
②知的資本の強化
当社は、グローバルに通用する新製品・新サービスを開発・提供し、持続的に成長するために、長年培った「P&I(印刷と情報)」の独自の強みを進化・深耕させるとともに、社外のパートナーとの連携を深めることで知的資本を充実させています。新規事業の創出、新製品・新サービスの開発、生産技術等の開発など、幅広い研究開発を続けており、その活動は事業成長の原動力として機能しています。
研究開発の方針としては、当社自身が「より良い未来」の姿を描き、それを起点とする「未来シナリオ」の実現に向けて、独自技術を強化し、新製品・新サービスの開発・提供につなげていくことを掲げています。研究開発関連の投資については、毎年300億円を超える規模の投資を継続的に実施しており、事業の成長戦略に応じて適宜増額していきます。
さらに、「DX」による事業成長と生産性向上に向けて、人材及びDX基盤の強化を図っています。具体的には、社内DX人材の育成に加え、外部人材の獲得やパートナー企業との連携を進めています。また、データマネジメント基盤やAI活用プラットフォームの整備を通じて、DX基盤の高度化を推進しています。今後も、DXによる価値創出を支えるリソースを一層拡充していきます。
当社は常に変革に挑戦し、「オールDNP」で相乗効果を高めて「より良い未来」を実現するために、事業部門/研究開発部門/知財部門が三位一体となって新しい価値を創出していきます。
これらの取り組みは、当社が識別したリスクを低減するとともに、新規事業創出やグローバル化などによる事業成長の機会の拡大に資するものであり、技術優位性の維持・強化による競争力向上に加え、将来の収益基盤の拡大につながると考えています。
(ⅰ)ガバナンス
「知的資本の強化」に向けて、当社は「技術・研究開発」「知的財産獲得」「DX基盤構築」などの具体的な取り組みに対する主管部署を定めて活動しています。また、知的資本における「研究開発投資」や「M&A」などの重要案件については、取締役会において審議・決定しています。なお、取締役会に付議しないテーマの意思決定や業務執行については、取締役会で担当委任された各基本組織の担当取締役または執行役員が適切に実施しています。
(ⅱ)戦略
事業成長の原動力である「知的資本の強化」において、「長年培った「P&I(印刷と情報)」の独自の強みを進化・深耕させるとともに、社外のパートナーとの連携を深めることで知的資本を充実させていく」という考え方のもと、2023-2025年度の中期経営計画では、次の「4つの基本戦略」を策定し、それぞれに具体策を定め、取り組みを進めてきました。これまでの中期経営計画における取り組みを通じて着実に蓄積・強化してきた知的資本を、事業環境の変化を捉えた次の成長ステージへとつなげていくため、2026-2028年度の中期経営計画では、「グローバルでの知的創造性の向上と競争優位性の確立」を中長期的に目指す姿として掲げ、「新規事業創出のための技術獲得の加速」「独自の強み技術の高度化およびグローバル展開の加速」「AI前提の業務・意思決定プロセスへの転換」という3つの基本戦略に沿って施策を推進していきます。
<2023-2025年度 中期経営計画における知的資本強化の基本戦略>
<2026-2028年度 中期経営計画における知的資本強化の基本戦略>
(ⅲ)リスク管理
当社は統合的なリスクマネジメントを推進しており、その取り組みについては「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)DNPグループのサステナブル経営の取り組み (ⅲ)リスク管理」及び「3.事業等のリスク」に記載しています。
(ⅳ)指標及び目標
当社は知的資本の強化に向けて、次の指標と目標を設定しています。
*1 対象:大日本印刷株式会社及び連結グループ会社
*2 対象:大日本印刷株式会社及び主要な連結グループ会社
なお、2026-2028年度の中期経営計画においては、新たな目標を掲げて知的資本の強化に取り組んでいきます。各目標については以下の通りです。
*1 対象:大日本印刷株式会社及び連結グループ会社
*2 対象:大日本印刷株式会社及び主要な連結グループ会社
③環境への取り組み
当社は、事業活動と地球環境の共生を考え、行動規範のひとつに「環境保全と持続可能な社会の実現」を掲げ、気候変動を含む環境問題への対応を重要な経営課題に位置付けています。近年は特に、地球環境に対する負荷の低減が強く求められるなか、事業活動全体で環境を強く意識した活動を推進しています。2020年3月には「DNPグループ環境ビジョン2050」を策定し、「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現に向けた取り組みを加速させています。
また、事業活動による自然環境への影響を適切に評価し、「環境への取り組み」を拡充して効果を高めるため、TCFD(Taskforce on Climate-related Financial Disclosures)が提言するフレームワークを活用した情報開示に加え、TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)の開示提言にも賛同し、情報開示の質と量の充実に努めています。
これらの取り組みは、当社が識別したリスクを低減し、事業継続性を向上させるとともに、環境ポジティブ市場の拡大を捉えた収益機会の創出にもつながると考えています。
<環境ビジョン2050:サステナビリティウェブアーカイブ2025 P.21>
https://www.global.dnp/content/dam/dnp-global/pdf/ja/sustainability/report/archive2025.pdf
(ⅰ)ガバナンス
「環境への取り組み」を着実に推進するため、当社は環境マネジメントの主管部署を定めて活動しています。この環境マネジメントの方針・戦略や大型の環境投資などについては、サステナビリティ推進委員会で議論を尽くし、取締役会にて審議・決定しています。なお、取締役会に付議しないテーマの意思決定や業務執行については、取締役会で担当委任された各基本組織の担当取締役または執行役員が適切に実施しています。これらの手続きを経て決定した環境課題に対する戦略・方針等については、事業部門ごとに設置している「各事業部・グループ会社環境委員会」と連携して、DNPグループが一体となって取り組んでいます。
(ⅱ)戦略
当社は、事業活動を通じてさまざまな生態系サービスに依存し、自然の変化要因となるインパクトを与えています。これらの依存とインパクトが、バリューチェーンのどの段階で発生し、どのような影響を自然に及ぼすかについて、当社と自然との関わりとして整理しています。
○依存とインパクト
当社が事業で使用する原材料や副資材等は、生態系の供給サービスに依存しています。例えば、雑誌・書籍等に使う紙は森林資源を原料とし、リチウムイオン電池用バッテリーパウチや光学フィルム等には、鉱物資源や化石資源を利用しています。また、水資源を製造プロセスで直接的に、紙の抄紙工程では間接的に利用しています。さらに河川と近接する地域では、生態系の調整・維持サービスに依存しており、特に水リスク(渇水、洪水、水質悪化等による操業やサプライチェーンへの影響など)の高い地域に近接する当社の製造拠点を4カ所特定しています。製造プロセスでは、大気への排出(GHG、NOx、SOx、VOC等)、水域への排出(排水、窒素、リン等)及びプラスチックを含む不要物等の排出が生じており、環境に対する負のインパクト要因になると考えています。
○シナリオ分析
環境課題に対するリスクの抽出及び戦略・対策の検討にあたっては、4つのシナリオを用いた分析を行っています。これらのシナリオに基づき、具体的に想定される当社への影響を環境関連のリスクと機会として特定しました。事業計画を踏まえ、ステークホルダーや事業に及ぼす影響について、その大きさと、期間、発生可能性の観点で評価しています。
今後も公開されている分析ツールや研究機関等の情報、TNFDが提供するガイダンス等を活用し、シナリオ分析を深化させ、事業活動におけるレジリエンスを中長期的に高めていきます。
○リスクと機会
・物理的リスク
豪雨災害や森林火災の頻発・激甚化等、自然災害の増加や生態系供給サービスの低下により、操業停止やサプライチェーンリスクなどが生じる可能性を考慮しています。国内外の製造拠点における水リスクについては、WRI(World Resources Institute)が提供するAqueduct等の公開ツールを活用した地域単位での評価を実施し、優先地域を特定しています。これらのリスクに対して、非常用電源設備や止水板の設置等、災害対策の設備投資を行っている他、複数拠点での生産体制の構築や調達先の多様化等、サプライチェーンマネジメントもさらに強化しています。
・移行リスク
環境課題への対応を促す政策強化として、脱炭素関連の法規制に加え、環境デュー・ディリジェンスの義務化やプラスチック規制の導入などが想定されます。これに伴いステークホルダーの意識も高まり、対応が不十分な企業は市場淘汰や評価低下のリスクがあります。移行リスクへの対応として、環境負荷の低減と付加価値の拡大に向けて、事業ポートフォリオの転換を進めています。また、法規制等よりも高い自主管理基準による環境リスクの適切な管理や、資源循環率が低いプラスチックのリサイクルの推進、調達ガイドラインに基づくサプライヤーエンゲージメントの強化に注力しています。あわせて、気候関連リスクへの対応として、Scope1、Scope2に加えScope3排出量の把握・管理を進めるとともに、再生可能エネルギーの活用や内部炭素価格(ICP)の活用等を通じて、脱炭素への移行を推進しています。
・機会
ネイチャーポジティブの実現に向けて、統合的な対応を求める社会的・経済的な志向が高まっており、環境配慮製品・サービスの需要拡大が期待されます。これは当社にとって大きな事業機会になると捉えています。当社は、中期経営計画に基づき、太陽電池用部材等の環境配慮製品・サービスを含む注力事業領域を中心に、成長に向けた設備投資等を実行し、事業機会の獲得を図っていきます。自然環境にポジティブなインパクトを与えるとともに、新たな収益と企業価値の向上という好循環を生み出すことを目指しています。
<シナリオ分析において参照したシナリオ>
*1 TNFDの「自然関連財務情報開示タスクフォースの提言」で提案されているシナリオを利用
(ⅲ)リスク管理
当社は統合的なリスクマネジメントを推進しており、その取り組みについては「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)DNPグループのサステナブル経営の取り組み (ⅲ)リスク管理」及び「3.事業等のリスク」に記載しています。
(ⅳ)指標及び目標
「DNPグループ環境ビジョン2050」の実現に向けて、中期目標を掲げて具体的な活動を進めています。
*1 対象:大日本印刷株式会社及び連結グループ会社
*2 対象:大日本印刷株式会社及び連結グループ会社の製造拠点
*3 対象:大日本印刷株式会社及び国内の主要な連結グループ会社
*4 自社独自の基準で特定した環境配慮に優れた製品・サービス
*5 GHG排出量削減目標は、パリ協定の努力目標である「1.5℃目標(温度上昇を1.5℃以内に抑える水準の目標)」に準じて「基準年度比で年率4.2%の削減」とする。
さらに環境への取り組みを推進するため、2026年度から2028年度までの中期経営計画において、3年間累計で100億円規模の環境投資を行うことを新たなKPIとして設定しました。
また、事業の拡大や事業構成の変化を踏まえ、水資源に関する目標については、2026年度より内容を見直しています。具体的には、より実効性の高い進捗管理を進めるため、水使用量の多い10拠点に対象を絞り、水使用量原単位を2030年度までに2019年度比で30%削減することを目指す目標に変更しました。これにより、影響の大きい領域に重点を置いた施策設計とし、着実な改善を進めていきます。
これらの対応により、環境への取り組みの実効性を高め、脱炭素社会、循環型社会、自然共生社会の実現に向けた活動を加速していきます。