リスク
3【事業等のリスク】
当社の事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。なお、当社は、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生リスク回避方法の検討や緊急対応を想定した事前準備に努める方針です。
なお、以下の事項には、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当事業年度末日現在において判断したものであり、将来において発生可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)建築投資動向による影響
当社は建築物の内外に用いるサイン製品の製造・販売を主たる事業としており、民間非住宅建築投資動向の影響を受けております。また、当社製品のほとんどは一品一品異なる製品を受注しており、将来の需要予測に基づいて在庫を抱えることもできず、生産能力との比較で需要が上回る場合には売上逸失というリスクがあり、逆に需要が下回る場合には固定費増による利益喪失リスクが発生します。そのため当社では、建築投資動向による影響に対し、建築業界以外の需要取り込み等を通じて収益基盤の強化とその影響軽減に努めております。しかし、建築投資関連の需要割合が圧倒的に多いため、建築投資の動向によっては売上高が大幅に減少し、当社の財政状態・経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(2)材料・原材料等の価格変動・調達
当社が使用する主要材料はステンレスであり、ステンレス原材料であるクロム・ニッケルの世界市況や為替等による影響、あるいは国内外ステンレス市場の需給動向により、仕入価格の高騰や仕入先からの供給が不足するリスクを抱えております。ステンレス価格が想定を超えて上昇し、当社製品の販売価格で吸収できなかった場合、あるいは製品の製造に必要な量のステンレスを調達できなかった場合は、当社の財政状態・経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(3)得意先の信用リスク
当社は約3,000社に及ぶ得意先の財務情報を基に独自の与信管理を行い、過去の貸倒実績等をもとに貸倒引当金を設定し、必要に応じて保険を付保するなどして貸倒損失に備えております。
先行き不透明な経済状況の中で、倒産等予期しない事態が発生して多額の債権回収に支障が発生した場合、当社の財政状態・経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(4)製造物賠償責任等
当社製品のほとんどは一品一品異なる製品を受注しており、得意先指定の仕様に基づき、生産しております。そのため当社では、顧客満足を高める目的で品質保証部を設置し、品質管理体制強化に努めております。しかし、当社製品を起因とする事故が発生して製造物賠償責任が発生した時には、当社の評判や社会的信用が低下、あるいは売上高低迷や多額の賠償金が発生するなどした場合は、財政状態・経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社製品に関して損害賠償等を請求された場合に備え、企業総合賠償責任保険に加入しております。
(5)競合関係の状況
当社は、事業展開するサイン市場において、同業他社との競合関係が存在します。そのため当社では、品質保証・品質マネジメントシステム体制の構築、継続的改善、新製品や製造技術開発、コスト削減等のあらゆる事業活動を通じ、顧客満足と信頼を得るための競争力確保に努めております。しかし、競合他社が、新製品開発、製造技術開発で先行し、当社が対応できなかった場合は、当社の財政状態・経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(6)法的規制
当社の製品は、建設業法や屋外広告物法等各種法令の他、各自治体が制定した条例等の法的規制を受けております。近年では、他の先進国と比べて「景観の価値」について意識が低いと指摘されているわが国でも、景観との調和・配慮を重視する傾向が強まっております。また、相次ぐ自然災害や看板落下事故も影響し、サイン製品に対する法的規制も、景観確保・安全重視の観点から、規制が強化される傾向にあります。
一方、当社事業を推進する中でも、事業の許認可、独占禁止、知的財産、環境、商取引、労働関連等、多くの法令による規制を受けております。当社はコンプライアンス体制を整備して法令順守に努めておりますが、今後、これらの法改正や規制強化、あるいは当社へ訴訟が提起された場合は、新たなコストの発生、あるいは訴追によって社会的信用が失墜するなどした場合、当社の財政状態・経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(7)人的資源と労務管理
当社の事業は、主に製品の製造において多くの労働力が必要であり、人員確保と労働関連法令を遵守した労働環境の整備に努めております。今後、雇用環境の急速な変化によって必要な人員を確保できない場合、コスト上昇、あるいは労務管理上の問題などが発生した場合には、当社の財政状態・経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお、「人的資源」に関するリスク管理の状況については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載の通りであります。
(8)生産エリアの集中
当社は、当社製品のほとんどは一品一品異なる製品を受注しており、機動的かつ効率的な生産体制の構築に努めております。その結果、生産能力は広島市及びその周辺地域に集中しておりますが、広島市及びその周辺の広範囲な地域に、地震・水害等の自然災害や火災が発生し、電力・通信手段の停止や物流網の障害、あるいは感染症・伝染病等が発生した場合には、事業活動における何らかの制約が発生して製品の製造・供給が滞り、当社の財政状態・経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社ではリスクを分散する目的で、広島市内での2工場体制を構築しております。
(9)大規模自然災害や社会情勢の混乱等
想定外の大規模自然災害、政治経済状況の変化、感染症・伝染病等の流行、テロ・戦争・その他社会情勢の混乱などが発生した場合、事業活動に何らかの制約が発生して製品の製造・供給が滞り、当社の財政状態・経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(10)システム障害
当社の事業は、情報システムを活用しているため、通信ネットワーク機器の故障やソフトウェアの不具合などのIT資産の不調、コンピュータウイルスやハッキングなどの人為的攻撃、あるいは自然災害・火災・事故等による情報社会インフラの障害などにより、事業上での制約や損失が発生する場合があります。当社は、その対策として定期的バックアップの実施や情報システムの稼働状況の監視体制を構築しておりますが、こうした対応に関わらずシステム障害が発生した場合、売上逸失、重要データ消失、システム回復に多額の費用を要するなど、当社の財政状態・経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主の皆さまに対する利益還元を経営上の重要課題と位置付け、企業価値の向上に必要な資金需要を確保しつつ、継続的・安定的な配当を実施していくことを基本方針とし、当事業年度の配当金額につきましては、純資産配当率(DOE)2.0%を目安に各期の業績や経済情勢を勘案し、1株当たり16円の配当を実施することを決定いたしました。
内部留保資金につきましては、経営基盤の強化に活用する予定です。
なお、当社は2024年5月10日開催の取締役会において、PBR改善のため利益配分の方針について変更することを決議いたしました。配当・自己株式取得などの資本政策を通じて、戦略的・機動的な株主還元を実施するという当該方針に則り、2025年3月期以降は配当金額の目安となる純資産配当率(DOE)の水準を2.5%に引き上げることを決定しております。
当社は期末配当の年1回を基本的な方針としておりますが、会社法第454条第5項に定める中間配当制度を採用しております。また、「取締役会の決議により毎年9月30日を基準日として中間配当を行うことが出来る。」旨を定款に定めており、剰余金配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
また、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2024年6月26日 |
60 |
16 |
定時株主総会決議 |